大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第2回

2013年06月03日 14時13分35秒 | 小説
『みち』 ~未知~  第2回



翌日 掃除を済ませ一休憩置き重い腰を上げて バスでハローワークまで出かけた。

ハローワークはガラガラであった。 

受付を済ませ番号票をもらい その番号と同じ番号が書かれてあるPCの前に座り そこで検索するよう指示されたが 初めてのハローワーク、何をどうしていいのか分からなかった。

取りあえず言われた通りに 同じ番号のPCの前に座った琴音は 鞄を足元に置き

「さてどうしたものかしら」 とディスプレイを見ると 『あなたの年齢は』『希望の地域は』 等と簡単に進んでいけるような画面になっていた。 ましてや横を見ると パウチされた紙に事細かに PCの検索の仕方が書かれている説明書があった。

「ああ、何だ。 難しく考えることなかったのね」 そう思い、上がっていた肩を下ろして 説明書を読むことなくPCに従って入力していった。

給与、職種その他の要項を入力していくと それに合った求人が画面に出されるシステムだ。

琴音は以前と同じように事務職を希望した。 そして職種より給与より何より一番重視をしている希望地域では 少しでも通勤をしたくない気持ちがあった。 

琴音のマンションから駅まではバスに乗らなくてはならない。 バスに乗って電車に乗ってと 今まで当たり前にしてきたこと。 その時には特に苦痛を感じていたわけではなかったが 今回はどうしてもそんな通勤をしたくないと思ったのだ。 

電車には乗らない。 バスで30分以内を希望したが 歩いていける範囲であればそれに越したことはないと思い 希望地域が細かくされていたので 琴音の住む地域とその周辺だけを希望した。 そして

「希望給与・・・どうしよう この年で30万以上なんて入力しても あるわけないわよね。 30万じゃなくても やっていけないわけじゃないんだから 試しに大幅に落としてみようかしら」 求人雑誌などを見ていて 琴音の年で事務職となると30万なんて募集は到底無いことを知っていた。 せいぜい良くても25万だ。 たまに25万を超す募集はあったが どこか怪しい所が大半だった。

それを考えて18万以上と入力すると 沢山の求人が画面上に出てきた。

「ええ? こんなにあるの? 求人広告や雑誌と偉い違いだわ。 でもこんなに多くちゃ絞りきれない」 そう思いながらも 何気なく見ていると 何かが引っかかった所があった。 

「あら? 悠森製作所(ゆうしんせいさくしょ)? ふーん、ここってマンションからそんなに遠い所じゃないじゃない」 琴音はどうして此処に引っ掛かったのかということに気付いていない。 

その後も次から次へとページをめくっていき 色んな所を見たがこの日は何を決めることもなくマンションに帰った。


週末。 新聞に求人広告の入る日だ。

朝起きてすぐに週末の決まり事となっていた 新聞に挿まれている求人広告を端から端まで見た。

「ああ、やっぱりこの年になると簡単に無いわ」

週末をダラダラと過ごしていた時、ふと頭に『悠森製作所』 と言う言葉がよぎった。

「ああ、そういえばそんな所あったわね。 月曜日もう一度ハローワークに行ってみよう」


2回目ともなれば慣れたものだ。 受付を済ませさっさとPCの前に座り入力していった。

「18万以上って入力すると また沢山出てくるわね。 ・・・今度は25万以上で入力してみようかしら」 25万と入力し、見てみると無いわけではなかったが 琴音が思うようなところがなかった。

「やっぱり駄目ね・・・じゃあ20万以上で」 そうすると18万以上と入力した時と比べては かなり絞られてではあるが求人はあった。

「あ、こっちのほうが絞りやすいじゃないの。 あら此処いいわね」 そう思いながら幾つかをメモしようとした時に プリンターがあるのに気付いた。

「あら? プリンターがあるのね。 使っていいのかしら?」 そう思って説明書を見てみると 5枚を限度に出力して良いと書かれていた。

「ハローワークもなかなか気が利いてるのね」 気になった3件をアウトプットしてその日は帰ったが マンションに帰ってからアウトプットしたものを見ても 次のステップに進む気がしない。

「ああ、何なのかしら 何が気に入らないのかしら」

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