大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第26回

2013年08月27日 14時29分34秒 | 小説
『みち』 目次

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『みち』 ~未知~  第26回



女の会話はくだらないことでも 尽きることなく出てくるようだ。 くだらないから尽きないのだろうか? これが政治の突っ込んだ話になると 多分無言に近くなるのではないだろうか。
だが このくだらない会話のお陰で 琴音の自分を責める時間が消えていた。

高速を降りて かなり山の中へ走ってきた 天気に恵まれたお陰で 車の窓を開け山の空気を吸い込む

「ああ、気持ちいいわ」 琴音がそう一言いうと

「うん 本当ね 山の空気は贅沢よね」 文香がそう返してきた。

ナビの通りに走っては来ているがナビが少々古いため不安である。 その上、いざ山の中に入ると方向音痴の二人だ 全く分からなくなってしまった。

文香に比べてまだ方向音痴がましな琴音が ナビを見ながら地図を片手に持って見ている。

「自信がないけど 多分あっていると思うわよ。 あら? あの建物何かしら?」

「何?」

「左に見えるでしょ」

「ああ、大きな建物ね」

「あそこで聞いてみない? 文香が」

「はいはい。 琴音は聞きに行かないのね」 建物の前に車を停め 文香が玄関口で

「すみません 天河神社に行きたいんですけど この道であってますか?」 地図を見せながら聞いた。

その間 琴音は車から降りて 身体を伸ばしながら建物を見て

「ここって役場かしら?」 キョロキョロとしだしたときに 文香が帰ってきた。

「大体分かったわ。 この道で合ってるみたいよ、行こう」 また車に乗り込み暫く走ると段々と道が細くなってきた上に先を見ると

「工事してるみたいね」 琴音が言った。 

道幅が大型車一台分くらいだ。 それなのに道の半分弱が工事されていた。 それでも進むしか道は無い。

「えー、誰も誘導してくれてないじゃない。 対向車が来たらお終いよー」

「あ、文香見て 工事のおじさんが居るわ あの人に聞いてみる?」

「どこ? あ、居た。 ってしっかり私が聞くのね」

「当たり前じゃない。 私に聞けって言うの?」

「はいはい、分かりました。 普通は助手席でナビをしてくれる人が聞くと思うけど 運転手の私が聞きます」

「なによ その言い方。 私が人と話さないの知ってるでしょ」

「だから分かったって」 

端に車を停めようにも 殆ど車幅しかない道だ。 道をふさぐように車を停め前後から車が来ないか気にしながらも 車を降りて

「すみません 天河神社に行きたいんですけど この道であってますか?」 さっきと同じように地図を見せながら文香が聞くと それを見た工事の人間は

「ああ、合ってるよ。 今はこの辺りだから この先の橋を渡ってすぐ左に見えるよ」 と返事をした。

「有難うございます」 文香がそう言うと 車の中で琴音も会釈をした。

再び車に乗り込んだ文香は

「合ってるって。 この先に橋があるからそれを渡ってすぐ左に見えるんだって」

「じゃあ もうすぐに着くのね」 車を発車させて 10分ほどで橋が見えた。

「あれって おじさんの言ってた橋じゃない?」

「あ、そうよ。 あれを渡って左に見えるのね」

「おじさんに聞かなくても すぐに着けたのね」

「そうみたいね」 橋を渡った所で琴音が文香に言った。

「ちょっとゆっくり走って。 見落とさないように見るから」

「うん分かった」 文香がそう返事をして いくらも走らないうちに琴音が

「あら?」 そう言いながら 後ろを見ている。

「何?どうしたの?」 文香がアクセルから足を離した。

「私達ってどこに行くの?」 車は惰性で走っている。

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