かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

明日から8月なのですが、何の予定も無いのが少し残念です。

2010-07-31 22:27:55 | Weblog
 暑かった7月も今日で終わり、明日からは暑い8月が始まりますが、あんまり予定らしい予定もないのでこの夏はどう過ごしたものか、少々迷っております。一昨年は夏コミ全3日間参加、なんて、サークル活動していた時でもやったことのないことをやったりしましたが、さて今年はいかがしたものか。時間と旅費はそんなに問題なく準備できるとは思うのですが、2年前でさえ体力的な限界を感じてしまったあの過酷なイベントに、今行って楽しんだりすることが果たして可能なのだろうか? と躊躇してしまいます。それに、もう青春18切符で東海道在来線往復、なんて到底出来ないでしょうから、自然、新幹線に乗らざるをえないとは思うのですが、その往復だけでも億劫に感じてしまいますし、宿の手配やら何やらも、実に大変です。一応ネットで空き宿のチェックはしていて、案外に部屋が空いているのを確かめてはいるのですが、いざ実行に踏み切るとなると心のハードルが以前よりずっと高くなっているのを感じるこの頃です。
 そういえば青春18切符もそろそろ無くなるんじゃないか? なんて話も耳にしました。とりあえず今年の冬の分だけ発行しないらしいのですが、随分とお世話になった切符だけに、このまま消えて行くのは少々残念ではあります。とは言え、在来線の車両もロングシートの通勤車両ばかりになって、旅の風情を楽しむ4人がけボックス席は姿を消してしまいましたし、10年くらい前から、東海道線はやたら混み合いますし、私にとって青春18切符を使う醍醐味は、既に失われつつあると言って差し支えないでしょう。まあJRからすれば、年寄りは無理せず新幹線に乗ってください、と言いたいことでしょうし、楽しみに行ってるのか疲れに行ってるのか判らなくなりがちですから、これからは旅行手段も少し考えないといけませんね。
 飯田線とか身延線とかにはちょっと興味があって、それで甲信越方面に出かけてもいいな、と思うのですが、夏のシーズンは人がたくさんいそうですし、行くなら世間の夏休みシーズンが終わってからにしたほうがいいように思っています。
 まあもう少し検討を続けるつもりですが、結局そうやって色々考えて時刻表や宿の調べを進めている時が一番楽しいので、もうそれだけで満足して実際には動かずじまいになるかもしれません。それが結局一番可能性が高いかも。

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お米の消費が2年連続減少、ということですが、もう増大することはありえないのではないでしょうか?

2010-07-30 23:29:53 | Weblog
 農水省の発表によると、お米の消費量が2年連続で最低を更新したのだそうな。去年の7月から今年6月までで、前年比14万トン減の810万トン。更に来年6月までだと、805万トンとさらに落ち込むと推計しているそうで、そのままの数字で推移すれば、来年の今頃は3年連続、なんていうニュースになっている事になります。
 その原因として、(1)コメ離れによる国民1人当たり消費量の減少(2)人口の減少(3)景気の低迷 の3つを上げています。でもこれ、実際はどうなのでしょうか? 例えば米離れ、と簡単に言いますが、コンビニのおにぎりや牛丼戦争、回転すしの好調ぶりなど、お米を主体にした食品のニュースや宣伝はよく耳にしますし、ご飯の給食も定着してきているように感じますし、国民の米離れがコメ消費量低迷の理由の一番に上がるのがほんとうに正しいのか、どうも疑問に感じます。もし米離れだというのなら、国民のカロリー源がコメから他のものに移動している、というデータが必要だと思うのですが、ざっと見たところそのようなデータは無いようです。
 また、他の食品に比べ、お米は比較的安いんじゃないかと思うのですが、どうでしょう? 私が貧乏学生していたときは、お金がなくなるととにかくご飯だけ炊いてしのいだものですが、パンやインスタントラーメンなどよりも、炊飯の手間を別にすれば単位金額あたりの満腹度や満足度はお米が一番だったように思います。
 私が思うに、一人当たりの消費量が減ってきているのは、国民が高齢化して、あんまり量を食べなくなってきている、ということではないでしょうか。これに人口減が重なって、全体の消費が落ち込んでいってると言うことではないか、と思うのです。そうだとしたら、この程度の減少で済んでいるのは、景気低迷による安い米飯への需要増と、これまでの地道なコメ消費拡大の努力の結果だと言えるんじゃないかと思います。
 いずれにしても、人口減と高齢化が更に進んでいく我が国に置いて、もはや米を含む食品の需要増があり得るとは到底考えられません。官公庁の農業基本計画は未だに右肩上がりが前提になっているようですが、そろそろ増大はありえない、と言う前提で将来計画を構想するべき時なんじゃないか、と私は思います。

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田舎道で一日に二度もトラブるのはさすがに稀有の出来事でした。

2010-07-29 21:45:31 | Weblog
 今日は通勤途上でかなり冷や汗をかきました。
 途中、非常に狭い道があって、通り抜けるだけで10分近くかかるのですが、近道になっていて山の中の割に朝は比較的対向車があり、大体10数台とすれ違います。1分に1台あるかないかというようなまさに田舎道なわけですが、それだけめったに対向車が無い道なので、結構みんな道幅の割に飛ばして走ります。それでも見通しの悪い狭いところはやっぱり慎重に走るもので、鉢合わせしているうちに互いに次々と後続車がやってきてにっちもさっちも行かなくなったりすることは極稀にしか起こりませんし、事故になったりというようなことは、これまで10年以上走っていて一度もお目にかかったことがありません。
 でも、夏休みシーズンとかは通勤以外の目的で通過しようとする、この道の「初心者」の方がいたりします。毎日ここを通る人は大体なれたもので危ないところや離合ポイントは心得ていますので案外スムーズに通り抜けできるのですが、そうじゃない方が一台交じるだけでたちまち道がつまり、身動き取れなくなったりするのです。
 今日のもまさにそれで、お互い少し手前の広いところで控えていればいいものを、相手が譲歩するとでも考えたのか、無理やり狭いところに侵入した挙句、互いに身動き取れなくなって次々と後続車がその後ろを詰める、という、絵に描いたような最悪のパターンを演じてくれました。自車の幅をつかんでいないのか、まだ何十センチも左側に余裕があるのに道の端まで寄せきれず、互いに擦りあうようにして通り抜けしようとする様は本当にハラハラさせられました。
 ようやくそれを抜けたと思ったら、次のブラインド・コーナーで心臓が凍りつきそうになりました。見通しが悪くてしかも道が細いという典型的な危険地帯で、私は慎重にゆっくりと前を伺いながら侵入した途端、前からものすごい勢いで一台の軽が飛び込んできました。私の方は低速でしたので即止まりましたが、何せ逃げ場がありません。これはもうダメかも? と一瞬だけ考えましたが、その軽も反射神経だけはなかなかのものだったようで、耳をつんざくブレーキ音を轟かせながら、あと一歩、というところで急停車してくれました。もう相手のタイヤから白い煙が立つのが見え、ゴムの焼ける匂いが辺りに充満して、ただただ驚くばかりでした。
 相手は妙齢の女性で、多分対向車がいるなど露とも考えていなかったのでしょう。先の見えないコーナーに減速なしで飛び込むなんて無謀もいいところだと私は思うのですが、田舎の山道のことですから、なかなか対向車に会うこと無く走っていたら、行っても大丈夫、と勘違いすることもあるのかもしれません。
 まあ無事済んだのでとやかくいいませんけれど、出来ればこの女性にはこの機会にこの道の怖さを覚えて欲しいなと思います。あるいは、さっき動けなくなった人とあわせて、二度とこの道を走らないようにして欲しいです。少なくとも危ない道では減速する常識と、1.2車線くらいの道幅でも10mや20mスムーズにバックするくらいの運転技量を身につけるまでは。

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死刑廃止を訴えていたヒトが執行を許可してその刑に立ち会うに至った理由にすごく興味があります。

2010-07-28 21:54:33 | Weblog
 法相留任で死刑執行は当分ない、と思っていた矢先の執行報告。案の定いろんな批判があちこちから出てますが、自民党の方が言うような、「国民にノーと言われた人が死刑執行のはんこを押した」などというようなコメントは、何か間違っている気がいたします。選挙区で出て負けたわけですから、ノーと言った国民はごくごく一部の方ですし、第一、落選しようがなんだろうが、それが良い悪いは別にして、天下の総理大臣が指名して法相の席につかせたわけですから、法的には立派に判を押す資格があるわけで、それをとやかくいうのはおかしいと思うのです。もちろん、全国区で投票したとしても恐らくは敗北したに違いない、と私は思いますし、私自身、仮にそんな機会があったとしても絶対にこの方には一票入れなかったハズなのですが、それとこれとは話は別だと思う次第です。まだ、総理大臣の任命責任を追求されている公明党の方のコメントのほうが、非難としても筋が通っていて分かりやすいと思います。
 まあそんな揚げ足取りはこの際置いておいて、私の疑問は、死刑廃止論者である法相殿が、ここに来て何故執行を許可したのか、という1点に尽きます。同じ廃止論者の国民新党党首がいみじくも語っておられるように、「死刑をすべきではないという信念を変えるのであれば、考え方が変わったと国民に説明しないと」いけないと思うのです。また、法相の職においては死刑執行は義務なのですから、執行したことそのものは職務を全うした、と言えると思うのですが、信念として死刑を認められないというのなら法相にならずに一政治家として死刑反対を貫かれればよかったはずなので、その点からしても、どうも疑問が消えません。
 結局この方は何をやりたいんでしょう?
 今回の執行に立ちあって改めて死刑について考えさせられた、とのことでしたら、その思考の軌跡と現時点での結論を国民に説くべきなのではないのでしょうか? 私は基本的に死刑存続の方に1票入れる立場ですが、廃止論者の法相が何をどう考えて執行の断を下したのか、その思考の中身には大変興味があります。執行した上で、やっぱり死刑はダメだ、と改めて考えるようになった、というならそれでも結構ですから、是非発言してもらいたいですし、マスコミはそれを引き出してこそのマスコミだろうと想いますので、その活動に期待したいです(無理なのかもしれませんけど)。

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最有力議員の離党で、いよいよ解党のカウントダウンが始まったのかも?

2010-07-27 22:10:35 | Weblog
 ネットニュースで辻元議員が離党、という話題を見た時、その対象が大阪選出の社民党 辻元議員であることを認識していたにもかかわらず、なぜか辻・元議員、と読んでしまって、副大臣と共に議員もやめてたんだろうか? としばらくの間考えておりました。もちろんそんなはずはなく、読んでいるうちに自分の誤解にもちゃんと気づいたのですが、何とも紛らわしい名前だな、と自分の認識能力の弱さは棚にあげて毒づいたりしてしまいました。

 それはともかく、なんとなくこれで社民党も終わったのかも? というふうに私には感じられます。単なる個人の感想で何の根拠もないいわば妄想のたぐいです。ただ、この党は与党になるたびに弱くなるようで、戦後すぐに政権を取った時も、その後の内部抗争で一度はバラバラになりましたし、阪神大震災の時に未曾有の失態を演じた時も、その後瞬く間にボロボロになって現状の体たらくを呈するまでになりましたし、今度も今度で、ただでさえヒトが少なくて、参院選でも敗北して政党としての鼎の軽重が問われているときに、人気抜群の有力議員が帆をかけて逃げ出すという『大ニュース』が出るという、まさに『政権』に呪われているかのような凶運ぶりです。万年野党だった時の方が、中身の出来はともかく余程存在感がありましたし、一定の国民の指示も得て野党第1党の座を不動のものにしていたのに、政権の座には社民党にだけ祟る魔物でも住んでいるんじゃないでしょうか。
 私は個人的に辻元議員は好きではありませんし、なぜ大阪のヒトはこのヒトを応援し、国会に送り出すのか、元大阪府民としては理解に苦しむところもナキニシモアラズなのですが、多分田舎住まいの私には知る由もない魅力や実力、そしてなにより野心があるヒトなのでしょう。「小政党では政策実現が遠のく」なんて至極当たり前のことですが、それで離党までして己の道を模索しようという態度には潔い思い切りと小気味良い政治的センスを感じました。
 巷の噂通り、いずれ民主党に入ったりするんじゃないか、そこで持ち前のキャラクターと人気で、女性首相候補として頭角を表したりすることもあるんじゃないか、とそんな気もしてきます。まあそうなったとしても応援する気もありませんけれど、社民党でポスト福島、なんて祭り上げられているより、余程政治家らしいじゃないか、とこの人に対する認識と評価を改めたいと思います。

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カラオケダイエットは確かにうまく行くのですが、歌うだけでは説明つかない不思議があります。

2010-07-26 22:03:21 | Weblog
 昨日は12時から職場のカラオケ同好会による毎月恒例のカラオケ8時間マラソンの日でした。準備や移動も含めて11時には出発しないといけなかったので、連載小説をアップできるか危惧されましたが、なんとかこなすことが出来ました。まあ、やればなんとかなるものです。小説の方はこれからクライマックスというところですが、このペースだとすっかり秋めく頃にはエンディングを迎えられるのではないでしょうか。少なくとも、寒くなる前には終わりたいと思っていますが、多分大丈夫でしょう。

 さて、昨日はカラオケボックスに浸りきりですっかり世間様とは隔絶した半日を過ごし、1キロくらい痩せました。まあ昼ごはんも食べず、チーズやクラッカーなどのおつまみを時折口にしながら、飲み物はホットの紅茶とウーロン茶と緑茶だけでただ歌い続ける、という半日でしたから、程良く効いたクーラーの中ではあってもそれなりにカロリー消費は激しかったものと思います。とは言うものの、体重1キロ減らすにはざっと7000キロカロリー消費する必要があります。一方歌い終わると画面表示される消費カロリーを見ると、1曲大体6-8キロカロリー、長めの曲でたまに10キロ超える場合もありますけど、平均すると7キロカロリーになるかどうか位じゃないかと思われます。そうすると、歌だけで体重1キロ分消化しようと思うと1000曲は歌わないといけない計算です。いくら8時間と言っても一人ではないですし、せいぜい20曲も歌えば良い方で、その差は明らかに桁違いに大きいものがあります。
 ただ、昨日も歌っていて思ったのですが、あのカラオケの消費カロリーって正しいのでしょうか? 静かで長いだけの曲が10キロオーバーだったり、私の好きな聖飢魔IIとかのとにかく歌い終わると息も絶え絶え、というような類の歌でも5キロほどしか無かったりと、どうもいまいち体感とあわない感じが往々にしてするのです。カラオケ配信会社の情報によると、『声の大きさ』×『発声している時間』×『実験によるサンプルデータ』で計算された数字であって、同じヒトが同じ歌を歌っても、歌い方で数値が変わってくるそうです。ある程度は根拠がある数字のようですが、それにしても減少した体重と歌だけで消費したカロリーとの差が激しすぎるので、歌に付随して消費されるエネルギーが他にも色々とあるのかもしれませんね。

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06リセットハンマー その3

2010-07-25 10:47:19 | 麗夢小説『夢の匣』
「痛ぁいぃ……」
 麗夢は、円光の錫杖に一撃された後頭部を両手で押さえ、ごろん、とうつ伏せの状態から仰向けに転がった。あまりに痛くて片目しか開けられないが、すぐ隣のやや埃がたまった床に、『凶器』の錫杖が所在無げに転がっているのが見えた。あの斑鳩日登美のパワードプロテクターを打ち破った業物である。痛いだけで済んでいるなら僥倖と言うべきだった。
 麗夢はようやく両目を開き、右手は後頭部のコブに当てたまま、上体を起こして室内を見回した。涙でにじんだ視界に、見覚えのある狭い部屋が映る。耳を澄ませると、学園のそこここで奏でられる明るい歓声が、初夏の微風に乗って窓越しにささやいてくるのが感じ取れ、麗夢は、強い既視感を覚えた。
 まださっきまでの夢の残滓が色濃く脳裏に漂うようで、現実感がいまいち不足しているようだ。
 自分が小学校教師になっていて、あの死神が教頭先生で、榊警部や円光、鬼童が小学生になっていて、と、ゆっくり夢の記憶を想起し、現実の自分と切り離していく。その上で、あの、あっぱれ4人組の妹を名乗る4人の小学生の事を改めて意識した。4人がここから逃げ出し、濃密な夢の気配の中を追いかけて、あるはずのない南麻布学園初等部まで行ったのはもう何日も前のことだ。だが、麗夢は腕時計を見て軽く目を瞠った。ほとんど時間が経っていない。他に時間や日付を確認する方法は無いが、外から漏れ聞こえる女生徒達のクラブ活動の様子などからしても、うたた寝から目覚めてから、間違いなく時間はほとんど経過していないと考えてよいだろう。これはまさに『胡蝶の夢』。あるいは、これこそあの『玉手箱』の力なのかもしれない。すると、次に白い煙を浴びたら、一気に時間が進んだりするのだろうか?
 麗夢は軽く頭を振った。頭の中がクリアに澄んでくるのが意識される。
 後頭部だけはまだズキズキするが、かえってこの痛みが残っている方が、意識がはっきりしていいかもしれない。
 もう大丈夫だ。
 麗夢はようやく円光の錫杖を拾い上げ、立ち上がろうとした、その時。
「動かないで」
 麗夢は、ゆっくりと背後の出入口を振り返った。
「貴女は、夢じゃないのね」
 静かに問いかける麗夢に、荒神谷皐月はいつになく真剣な面持ちで言った。
「もう少しだったのに。もう少しで必要な力が蓄えられたのに」
「全てをリセットする力?」
 皐月は、無言で唇をかみしめ、麗夢を睨みつけた。その無言の答えを、麗夢は正確に受け取った。なるほど、もう少しだったわけだ。私が私でなくなり、ルシフェルが、榊警部が、円光さん鬼童さんが、それぞれの本来の姿を失ってしまうまで。その上で『何を』リセットしようとしていたのか。それは恐らく……。
 麗夢は言った。
「弥生さんが、好きだったのね」
 皐月の目が大きく見開かれた。
「でも、それは無理なことだわ。できないのよ」
「そんなこと無い!」
 皐月の叫びが、狭い室内を一瞬で満たした。
「できるのよ! 私にはできる。原日本人4人の巫女の正統後継者である私なら、ここまで起こった全部を無かった事にして、原日本人だとか征服民族なんてこともみんな無かった事にして、みんなみんな無かった事にして、呪いもしがらみもない平和で楽しい毎日を創り出すことができる!」
 皐月の想い、願い、望みが、膨大な感情に乗った心の叫びが、麗夢の全身に突き刺さった。ようやく麗夢には理解できた。そうか、そこまで考えていたのか。
 だが、麗夢は冷酷に言った。
「絶対無理。私とルシフェルの力を吸い尽くして、榊警部や円光さんや鬼童さんの力まで利用して貴女のその『玉手箱』の力をフルに発揮したとしても、できない」
「できる!」
「いいえ無理だわ」
 麗夢は冷静に皐月の様子を看て取った。なんてことだ。あれから現実世界でほとんど時間がたっていないのに、この娘は……、これじゃ、まるで本当に『浦島太郎』じゃない……。
 麗夢は言った。
「自分の事なんだから、もう分かっているでしょう? 貴女はもうもたないわ。多分、もし成功したとしても、貴女は私やルシフェルと共に、消えてしまうんじゃないの?」
「それでも構わない! 原日本人の呪いだなんてくだらないものがこの世から消えて無くなるなら、本望だわ!」
「どうしても、あきらめないのね?」
「麗夢ちゃんこそ、諦めて私の言うことを聞いて。あと少しなのよ」
 皐月の言葉を聞きながら、麗夢はゆっくりと立ち上がった。いつの間にか皐月は、あの彩り鮮やかな小箱を両手に持ってこちらを睨みつけている。どうにかしてあの箱を彼女から取り上げないと、彼女こそ力を箱に吸い尽くされてしまう。錫杖を両手に抱えて完全に皐月と正対した麗夢は、ふと、気づいて皐月に言った。
「他の3人の子はどうしたの?」
「ルシフェルと親衛隊トリオを抑えに言ったわ。私が麗夢ちゃんを片付けて駆けつけるまで足止めする役目よ」
 皐月の言葉に、麗夢は思わず叫んだ。
「そんな無茶な! ルシフェルの恐ろしさを見くびりすぎてるんじゃないの?!」
 すると皐月は、ふふふ、と初めて不敵な笑みで頬をほころばせた。
「心配いらないわ。あの3人だってただの小学生じゃないの。5分や10分足止めするくらい、って、ダメ!動かないでって!」
 だが、麗夢はその制止を全く無視して、突然皐月に体当たりをかけた。咄嗟に皐月が小箱を固く胸に抱きしめて左に身をかわす。
「あっ!」
 皐月は、麗夢が『玉櫛笥』を狙いに出たものとばかり思い込んでいた。ひたすら麗夢を睨みつけていたのは、麗夢が飛び掛ってくるタイミングを図っていたからでもある。だが、麗夢の狙いは当面皐月にはなかった。
 麗夢は脱兎の勢いで出入口から廊下に飛び出すと、原日本人の地下祭壇へと通じる奥の階段めがけ、突っ走った。急がないと!
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夏コミ新作を作っていた頃の方が暑かった気がするのですが、あれは魂が燃えていたからでしょうか(笑)?

2010-07-24 22:06:53 | Weblog
 今日はほんの少しだけ暑さがマシだったような、そうでもなかったような。日ごろは山の中の職場にいるため、曲がりなりにも地方都市の一角にある自宅とは多少は気候も違うので、はっきりしたことは言えませんが、家に一日いてPCを動かしていられたのですから、まだマシだったといえるのではなかろうか、と思います。もちろんクーラーなんてつけていないです。そもそもクーラーがありませんし、ここ数年夏はずっと扇風機だけで過ごしています。それも、以前夏コミ用新刊を作っていた頃はヒトよりもPCに直接風が当たるように扇風機を設置したりしてさすがに大変でしたが、今はそれほど無理な仕事をする必要もありませんので、PC付近の窓を開け、扇風機は室内の空気を吐き出すように別の窓に向けているだけで、結構それなりの風が入ってきてくれます。これくらいなら多分一番暑い時間帯だけ水浴びて昼寝でもすればそれなりにすごせるんじゃないでしょうか。
 ただ、7月の今頃からこんな暑さで、8月はどうなるんでしょうね。9月の残暑も厳しい見込みだ、なんてあまりうれしくない発表を気象庁がしておりましたが、この暑さをピークとしてずっとこのまま最高気温は横ばいで行くのか、はたまたもう少し上がってくるのか、それによっても夏を無事越せるかどうかがかかっています。暑さに体が慣れるには3週間ほどかかるそうですが、願わくば、暦の通りこの暑さがピークであって欲しいです。
 そういえば、今日はなんとこの奈良県で竜巻注意報が出ていたそうです。天気図を見ると、西日本は太平洋高気圧がデーンと構えていて全く揺るぎも無い夏空、という感じではありますが、東北のあたりで妙に等圧線がゆがんでいる所を見ると、何か大気が不安定になっていたりするのかもしれません。空を見る限り雨など全くそのそぶりさえ見えませんが、いわゆるゲリラ豪雨を伴うようなスーパー入道雲が立ち上がるようなことにでもなれば、竜巻もありうるのかもしれませんね。夢では何度か見ていますけど、現実には竜巻なんて観る機会がありませんから、もし安全に遠くから眺めていられるならちょっと見てみたい気もします。
 
 
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よく分からんのですが、なぜ我が国の首班を決める選挙に国民以外のヒトにも選挙権があるのでしょう?

2010-07-23 23:22:12 | Weblog
 去年の今頃、衆議院が解散されて、それから1ヶ月と少々で民主党政権が誕生したわけですが、この間の参議院選挙、続いて9月の民主党代表選と、日本の政治はなかなか落ち着きを取り戻せないでいるようなのが不満でもあり不安でもあり、という状況が続いています。代表選は国会議員と地方の党員や、サポーターという人達で行われるそうですが、このサポーターは日本人だけじゃなくて在日外国人の方もなることが出来、かつ代表選に一票を行使できるという話を聞いて、なんだかな、と思いました。今回の代表選は事実上我が国の総理大臣を決める選挙になるわけですが、国会議員でさえ選挙権は日本国籍が必須の条件なのに、どうして総理大臣を選ぶ権利が日本国民以外にも安易に付与されるのか、非常な疑問があります。今回の代表選に限り、投票できるサポーターは日本国民に限ってはどうかと思いますが、まああの党がそんな疑問に聞く耳を持たないことは改めて言うまでもないことですし、平気でそのようなことをやっちゃおうというような政党が時の勢いで政権に座ってしまう世の不条理に溜息をつくよりないのでしょうね。
 それなら、せめて党の代表はそれぞれの政党のやり方で決めてもらうとして、こと総理大臣に限っては国民の直接選挙で選ぶように法を改めるべきではないのでしょうか? あるいは信任投票を実施するとか。まあそれが次の衆議院選挙、ということになるのでしょうけれど、これは満期を迎えるか一年前のように総理が衆議院解散を宣言しないとその信任投票もできないわけで、なんとも歯がゆい不満が募るばかりです。

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新幹線、事故で動かないなら在来線をもっと活用する方法を考えてみたらどうでしょう。

2010-07-22 22:11:08 | Weblog
 山陽新幹線が止まった、というニュースを聞いたとき、てっきり、昨日の地震が何か影響したのか、と勘違いしてました。高速運行する新幹線なら、地震後の緊急点検などで時間を食っているのではないか、と勝手に思い込んでいたのです。実際には地震とは何の関係もなく、作業車両がトンネル内で脱線した事故だったとのことで、我ながら、さすがにあの程度の地震でそんな長時間止めることはないだろう、と反省しました。ただ、思いのほか復旧は長引いていたようで、朝4時過ぎの事故発生が、昼休みに見ていたニュースではまだ不通状態で見込みが立たない、というようなことを言ってました。結局14時半に開通したそうですが、人身事故もなく、車両2両が脱線したのを取り除くのに10時間もかかったわけですね。トンネル内とあって脱線車両を重機で持ち上げたりするスペースもなかったりしたせいかな、とまた勝手に想像しておりましたが、逆にじゃあどうやって事故車両を取り除いたのだろうか、と新たな疑問にしばしとらわれました。ジャッキみたいなものでとりあえず上げて少しずつずらしながら線路にもう一度載せ直したのだろうか? とか、脱線時に車輪が歪んだりしてそのままでは線路に載っても回らないだろうから、別の台車を転がしてきて、その上に載せたのだろうか? とか、まあくだらないことを考えているときは何の根拠もないのに色々と浮かぶもので、小一時間、楽しむことが出来ました。
 まあそれはともかく、10時間足止め食った方々は大変だったと思います。なんでも岡山から向こうは問題なく動いていたそうですし、私がこの事故に遭遇したなら迷うこと無く在来線に乗換え、大阪から4時間弱かけて岡山まで行き、そこから新幹線に乗ったことでしょうが、関西圏以外から来られて新大阪で立ち往生された方々は本当にイライラさせられどうしだったんじゃないでしょうか? こういう時こそ、JR西日本には姫路や西明石まで走っている新快速を岡山まで走らせる位の機転を効かせて欲しいものですが、ダイヤ編成上無理なんでしょうか? 山陽本線は立てこんでいて無理があっても、赤穂線と振り分けるとかすれば岡山まで通すくらいはそれほど無理でもなかろう、と想像するのですが。大阪ー岡山間が4時間かかると言っても、実際の走行時間は3時間弱で、後は乗換えの待ち時間ですから、姫路ー岡山間の各駅停車区間を快速仕立てで走らせれば2時間半位で大阪と岡山を結べるんじゃないですかね。大阪ー岡山は新幹線だと1時間切るくらいなので、10時間お客を待たせるよりは1時間半余分に時間がかかってもサービスで運ぶくらいすれば株も上がったろうに、なんてことも夢想しておりました。

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揺れた!

2010-07-21 21:58:58 | Weblog
 昨日は更に輪をかけて暑い夜で、結局あまり熟睡とはいかなかったようです。ただ、風邪薬がよく効いたようで、喉の痛みは朝にはかなり引いて、それほど気にならなくなっていました。今夜もう一回薬を飲んで寝れば、明日にはほぼ回復するのではないか、と思います。本当に、ひどくならなくてよかった。

 さて、今朝六時過ぎ(後で確認しましたら6時19分頃)、地震がありました。本震の2、3秒前に何か妙な違和感を感じたのですが、それが前触れの揺れだったようで、変だな? と身構えた途端にグラグラきたのでかえってびっくりしました。ただ、本震の間はこれが前触れでこの後凄いの来るかも、と一段と身構えてしまったので、その後すうっと揺れが収まってしまって、少し拍子抜けもしてしまいました。
 その後、早速気象庁のサイトに今の自身の情報を拾いに行きましたら、10分ほどして震源、自身の大きさ、震度などのデータがずらりと出てきました。
 一番気になる震源はなんと足元の奈良県でした。南西の端っこの方、和歌山との県境に近い山の中の地下60kmで発生した地震だったそうです。マグネチュードは5.1とやや大きめ、震度はうちの近所で3、一部4でしたが、ずっと離れた福井県でもこの地震で震度3を記録するなど、かなり広範囲が揺れたみたいです。
 それにしても、これほど本格的な地震は久しぶりでしたので、ついでに過去の地震記録を検索してみたのですが、この10年ほどの間に住んでいる町では震度3以上の地震が7回あり、いずれも震度3で、直近のものは2007年でした。まあ3年も前では忘れていてもしょうがないですし、その時たまたま出勤時間帯で山の中にいたりしたら気づかないこともあったと思いますので、記憶としてはまさに10年ぶりくらいな感覚になっています。何せ、真っ先に思い浮かべたのがあの阪神大震災の揺れでしたから、本当に久々に感じました。台風、地震とそんなに大きなモノは経験少ない奈良県ではありますが、やはり来るときは来るのだな、と関心を新たにいたしました。

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風邪? かもしれないので、とりあえず薬飲んで早く寝ます。

2010-07-20 21:44:10 | Weblog
 昨夜は暑くて、扇風機のタイマーが切れるたびに目が覚めるくらいだったのに、無理矢理マスクをして寝ていたりします。先週の土曜日くらいからどうも喉の調子がヘンで、昨日の朝くらいまではちょっといがらっぽいくらいだったのが、だんだん痛みが強くなり、鼻の奥がひりつくように痛み出しました。ほぼ完全に風邪状態です。原因はおそらく金曜日、もうもうと埃のたつような中で、面倒なのと暑いのとでマスクするのをサボっていたために喉をやられたためだと思われます。その時は、特にくしゃみもなく、咳も出ず、特に何も感じなかったので放置していたのですが、ちょっと対応甘かったみたいです。そこで昨夜はマスクをして寝て、今朝は風邪薬を飲んで、一日過ごしました。特に喉以外体調は悪くなく、休み明けにしては元気に仕事できましたので、これは感染症としての風邪ではなくて、単に炎症が喉で生じているだけだろうと推測されます。これなら、今夜また風邪薬飲んでマスクして寝れば、明日朝には大体回復してるんじゃないか、と期待されます。全く、この暑いのに熱なんてまっぴらですからね。

 そういえば、今日の夕方6時過ぎ、この夏初めてヒグラシが鳴いているのを聞きました。なかなか大きな声でカナカナ鳴いているのですが、まだ仲間がいないのか、独唱状態です。ただ、実にいい声で鳴くウグイスが山筋にこだましたかと思うと、カッコウの深みのある声が遠くの山から響いてきたりして、ちょっと耳をすますとなかなかバラエティに飛んだオーケストラが堪能できます。恐らく、もうすぐアブラゼミやミンミンゼミが盛大に鳴き始めるでしょう。そしてツクツクホウシが鳴いて、夕方以降、コオロギやスズムシが鳴きだしたら、暑い夏も終盤、となるはずです。まだ7月三分の二を過ぎたばかりですが、早くそんな涼しい季節になってくれないものか、と心待ちにしています。

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今日は中途半端な夕立でかえって蒸し暑さが増す厄介な夜を迎えています。

2010-07-19 22:09:25 | Weblog
 今日も朝から熱い日差しが輝いていたので、せめて3連休の最後くらいは、と布団を干してみました。1日じゅう干していると夜も熱が下がらず暑くて寝ることもママなりませんので、お昼を回った時分には早々に取り込もうと思っていたのですが、いざ取り込みにかかったところで空模様がにわかに怪しげに。真上の空はまだ青空だったのですが、すぐその隣には、いかにも一雨きそうな感じで真っ黒い雲が天を覆いつつあって、布団を取り込んでから30分としないうちにパラパラと雨が降り出しました。間一髪、ぬれぶトンを抱えて途方にくれずに済みました。
 ただこの雨、せっかくだからざあッと短時間でも篠突く程に降ってくれれば涼しくなってよかったのですが、パラパラ降ってはやみ、またパラパラと降ってを繰り返して、午前中に熱せられたアスファルトから濛濛と湯気が立ち上り、ただ蒸し暑さばかりが募る天然サウナ状態にしかなりませんでした。これなら降らないでいてくれたほうがよっぽど良かったです。
 でも、場所によっては相当強烈に降ったみたいで、気象庁のレーダーを見てもほぼうちの近所に時間雨量80mm以上を表わす真っ赤な色分けがされているところがありました。今日の雨は、その端っこの方だったわけで、それだけ降ったところはさぞ涼しい夜を迎えていることだろうと、羨ましい限りでした。
 とは言えもちろん雨は喜んでばかりもいられないわけで、隣の和歌山県では、広域農道が大きく崩れてたまたまバイクで通りかかっていた兵庫県の男性が巻き込まれ、足を骨折する重症を負う事故が発生しました。和歌山の広域農道は私もバイクの時からよく走るところがあったので、まさかそこか? と一瞬思ったのですが、調べてみると別の農道で少し安堵しました。でも、梅雨明け直前は相当降っていますので、夕立雨でもあれば、私の通勤ルートや山の中の職場でも道が危なくなるところも出てくることでしょう。当分は気をつけて走るに越したことはなさそうです。

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06リセットハンマー その2

2010-07-18 22:15:13 | 麗夢小説『夢の匣』
その痩せた後姿を追いながら、サカキ少年は何故自分が「死神」の言うことを聞いてついて行ってるのか、という疑問をふくらませていた。
 担任の綾小路先生に言われるのならまだ判る。サカキ少年が思うに、見ているこっちが危なっかしくてしょうがない位、綾小路先生は1年経っても新米臭さが抜けない。だから、しょうがないな、とばかりに思わず助けてあげたくなる。
 今日のカエル事件でも、サカキ少年は真っ先に我に帰り、先生の失敗は自分達が助けてあげなければ、と思う一心で、迷わずカエルが飛び出した窓から外に出ようとした。それなのに、こんな遠くまでカエルの逃亡を許したのは、
「サカキ君! 窓から出ちゃ駄目! それにちゃんと靴を履き替えなさい!」
 と、緊急事態にもかかわらず、健気に普段のルールを口走る担任の先生の言葉がサカキの耳に飛び込んできたからだ。いや、それでも普段ならそんな制止は簡単に降りきって飛び出したかもしれない。本質的に天邪鬼で唯我独尊なところがあるサカキ少年としては、そのほうが自然な行動と言えた。それが思いとどまったのは、思いとどまらせた当の本人が、タイトなミニスカートも顧みず、サカキ同様思わず窓から身を乗り出そうとしながら、はっと顔色を変えてこちらをにらんでいたからだった。その姿を目の当たりにして、さしものサカキも、全くしょうがない先生だな、と思わず苦笑してしまったのである。そして苦笑したまま、「みんなそのまま待機してて! 先生捕まえてくるから!」と改めて実験室の出入口から飛び出して行った担任を追って、ここまで付いてきたのだった。
 それなのに、どうして今はこの教頭の背中を追うことになっているのか。
 綾小路先生、一人で本当に大丈夫なのだろうか? とサカキは不安も覚えた。
 幾ら部屋の中に追い込んだからといって、何匹かのカエルをあの頼りない先生が一人で全部捕まえられるのだろうか? 俺が行って助けてあげないといけないんじゃないか? サカキは何度も考え、そのたびに思わず引き返したくなった。
「綾小路先生なら心配いらん! それよりちゃんと付いて来い!」
 ところが、まるでサカキの胸の内を読んでいるかのように、タイミングよく目の前の「死神」が声をかけてきた。これでは問題児サカキシンイチロウでもなかなか離脱はしにくい。結局、後ろにつくキドウ、エンコウと一緒に、教頭先生の後を懸命に追うよりしょうがないのである。
「こっちだ!」
 薄暗い部室棟の一番奥まで走ってきた教頭が、一声鋭く左に舵を切った。上下に階段があるその角を曲がり、一段と暗い下り階段に向かって、教頭が走り降りていく。その暗さに、思わずサカキの足が止まった。
「付いて行くの? サカキ」
 不安げな声で呼びかけてきたのは、ここまで黙って付いてきたキドウだった。
「綾小路先生に聞いたほうがいいんじゃない?」
 隣のエンコウも、いかにもやめたほうがいいんじゃないか? とばかりに、難しい顔をしてサカキに言った。
「でも、カエルはどうする?」
 サカキは言葉を返しつつも、内心、その意見にはうなずいていた。先生が連絡も取れないほど遠くにいるならともかく、すぐそこの部屋にいることは分かっているのだ。
「先生だって、一人であのカエルをちゃんと捕まえられているかどうか……」
 キドウの言葉は、まさにさっきまでサカキが考えていたことでもあった。
「判った、一度先生に聞いてみよう」
 サカキは今度こそ踵を返そうとした。
「なにをしておる! 早くこんか!」
 突然、教頭の叱責が階段を木霊し、サカキ達の心を鷲掴みにした。再び3人で目を見合わせる。
「急がんか! バカ者共が!」
 だが、もう一度更に強い叱声が飛んだ時、自然に3人の足は、下り階段の方に向かっていた。漠然と強まりだした不安も、「死神」の怒りへの恐怖には勝てない。
「こっちだ!」
 ほぼ一階分降りたところで、教頭が薄暗くカビ臭い廊下の奥から声をかけてきた。サカキ、キドウ、エンコウは、こわごわながらもその声を追って廊下を走った。
「そうだ、そのまま走って付いて来い!」
 冷たいセメント張りの廊下は電灯が付いているわけではない。また、どこからか地上の光が差し込んでいる、というわけでもない。しかし、不思議と真っ暗の闇にはならず、ぼんやり薄暗いままの状態が続く。さすがに気味が悪くなってくるサカキ達だったが、と言って今更戻るわけにも行かず、ただ必死に先を行く教頭先生を追いかけた。
 やがて、サカキは足元がコンクリートでは無くなったことに気がついた。薄暗いのではっきりしないが、靴裏の感触は、まるで土の校庭を走っているかのようなザラツキ感を足に伝えている。ふと気づくと、3人並んで走るのが苦になるほどに狭苦しいはずの廊下が、いつの間にか広がって、ちょっと手を伸ばしたくらいでは壁が触れなくなっていた。そんな中、先を走る「死神」の姿だけがぼんやりと浮かんで、早く来いとこちらを急かしている。その背をひたすら追うサカキ達は、いつしか熱に浮かされるように、ただ無心に足を動かしていた。なんだか足元が心もとない。まるでふわふわと柔らかな雲の上を走っているような感覚に、3人の意識がぼおぅと呑まれていく。
「いーい塩梅だ。そのまま、そのまま急げ。もうすぐだぞ!」
 遠く先を走るはずの教頭の姿が、時にすぐ側まで寄り、時に後ろから追うかように見え隠れし、前後左右遠近も構わず語りかけてくるように感じられる。それがどれだけ続いたか、時間すら分からなくなってきた頃、ようやく「死神」の足が止まった。
「ようし、着いたぞ。さあ、起きるがいい!」
 ぼんやりとした頭で、サカキは足元にバンザイの姿勢でうつ伏せで倒れている大柄な男を見下ろした。クタクタのレインコートをまとい、顔中覆うような髭が、半分以上土にまみれている。
 エンコウもまた、自分の足元に伏している男の姿を見た。頭はつるつるで一本の毛もなく、墨染の和装に身を包んでいるが、半分だけ見えるその顔は案外に精悍で若々しい。
 キドウも同じく、一人の男の傍らに立っていた。瀟洒なスーツが土にまみれ、腕時計にしてはやけに大柄な機械がその左腕でチカチカとLEDを点滅させている。
 3人は同時に思った。
 これは、誰だろう?
「待って! その人に触ったら駄目っ!」
「離れろ! みんな!」
 その時、サカキ達がやってきた薄暗い闇の向こうから、少女然とした児童が3人走ってきた。サカキ達もよく知るクラスメイト、纏向琴音、斑鳩星夜、眞脇紫の、少女二人と少年一人である。肩で息を切らすその3人を迎えて、サカキ達同様、漆黒のマントを纏う、やたら「死神」によく似た男の傍らに立つ教頭先生が、凄みのある笑みを浮かべて言った。
「遅かったな。だがもう茶番は終わりだ。貴様らの悪夢、覚まさせてもらうぞ」
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アナログ延長してもらっても、今のテレビそんなに観ようとも思わないのです。

2010-07-17 23:15:58 | Weblog
 テレビの地上波において、後一年でアナログ放送が終了し、デジタル化されるとのことで、電気屋さんに行くとデジタル対応テレビやブルーレイレコーダーなどが山積みになっていたりします。これに対し、放送を専門とする有識者らがアナログ終了を2、3年延期すべし、という提言を出したとのことです。その理由として、デジタル受信機器の普及状況から、アナログ放送が終了したらテレビが見られなくなる世帯や事業所が数百万規模に上る恐れがあり、緊急放送などで問題が生じることなどを上げてます。一方で総務大臣は初志貫徹ばかりにアナログ放送は来年7月24日で終了、延長は一切考えていない、と強調していますが、数百万世帯の視聴不能者の存在を切り捨ててでもやらねばならない、と決意を固めているのだとしたら、そのことの是非はともかくとして、とりあえず一つの見識なのだろうとは思います。
 うちはまだデジタル対応しておりませんし、職場で主に昼休みに見ているテレビもアナログのままで、デジタルにする予定は今のところ全くありません。そもそも私自身、テレビをまともに見なくなってもう随分になりますので、今更デジタル化しようが関係無いとも言えるのですが、家人はそうも行かない部分もありますので、果たしてこれをどうしたものか、というのはかなりの悩みではあります。現在使用しているUHFアンテナも大分痛んできているので、もし本気でデジタル対応しようとすれば、チューナーだけではなく、アンテナから替える必要が出てきそうです。それならいっそ地元のケーブルテレビサービスが提供する光回線でも導入して、ネット環境も一気に光化するというのも検討に価しそうです。まあ総務大臣や総務省がどれくらい焦っているのか存じませんが、まだ1年もあることですし、テレビ見るのは完全に止める、という選択しも含めて、もう少し検討する時間がありそうです。もう、クダラナイを通り越して、本当に大丈夫か? と心配してしまうほどの今のテレビ番組の有様が良い方に変化してくれれば、もう少し観るための努力にも力が入るのですが、今の状況では、1年後、家人にせがまれてしぶしぶ、という具合で対応を検討することになりそうです。

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