かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

うまいもの無し、と言われる奈良にも、隠れた名店は存在します。

2009-07-31 22:28:26 | Weblog
 今日は共同研究をしている某大学准教授の先生と、とある仕事でお付き合いしている工業デザイナーの方と3人で一杯飲みました。いわゆる「酒も仕事のうち」というタイプの飲み会で、大学の先生ご推薦のお店で、懸案の仕事について色々と密談を重ねました。まあ話の内容はともかくとして、そのお酒と料理が実においしかったです。地酒は清酒発祥の地奈良県に伝わる秘伝の製法で醸造し、7年間も寝かせた珠玉の一品。絶品の料理は創意工夫を凝らした珍しいものばかりでしたが、中でも秋刀魚のたたきは一時仕事も忘れて堪能しました。スダチを絞り、少ししょうがを利かせてこくのある醤油でいただくと、全くいやなにおいもなく、下品なしつこさも無く、まるで上物のトロの様に美しく脂ののった身が口の中で甘みとうまみを振りまきながらまさに溶けるように消えて行くのです。そしてこれがまた超辛口の酒に見事に調和することといったら! 私は生まれてはじめて、秋刀魚がこんなにうまいものだと知りました。本当に今だけの限定調理だそうですが、こんなうまいものに出会えてそれだけで今日の私は運がよいと感じてしまいました。
 もちろん他の料理も珍しくかつおいしく堪能できました。たとえばコロッケのおでん。秘伝の方法で硬く焼きしめるように作ったカリカリの衣のコロッケが、これも絶品のおでんのつゆの中に浮かんでいる様はちょっと信じがたい光景です。もちろんすぐに衣が溶けるようなことは無く、少しづつ時間をかけてつついていたのに最後までカリカリ感を残していたのが驚くばかり。会計の後、店のご主人にあの衣の秘訣をだめもとで質問すると割りと気さくに答えてくれたのがまた印象的でしたが、多分それだけではない工夫が幾重にも施されているのでしょう。
 結局、3時間ばかり3人で飲み食いして、合計1万円ちょっとと言う良心的な価格も素晴らしいものでした。機会があれば、また是非飲みにいきたいお店ですね。

 奈良にもこうして京大阪に負けない料理と酒を出すお店がありますが、残念ながらほとんど知られていません。奈良に住んでン十年の私も、今日先生に紹介してもらうまではそんなお店の存在は知りませんでしたし、観光のお客などには当然全く知られていないことでしょう。まあこういうお店にあんまりヒトが群がって行列を作ったりするのは感心しないので、今のように知る人ぞ知る店のありようはかえってよいとは思うのですが、うまいものなし、といわれる奈良県にもこんなお店があるんだぞ! と言いたくなるのもまた県民愛というものでしょうか。ブログで公開するのもなんなので、もし奈良にお越しの際はご一報くだされば紹介くらいはさせていただこうと思います。ついでに一緒に飲みに行くのもやぶさかではありませんよ。

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ここに来ての『有力新党』出現に、心揺らぐ思いをしております(笑)。

2009-07-30 21:57:58 | Weblog
 そろそろ天気を話題にするのもさすがに飽きてきましたが、どうやらこのぐずついた天気も、今週一杯くらいなようです。現時点の週間天気予報は、8月2日(日)から晴マークが並んでおります。もっとも、今、フィリピン東方海上にある低気圧が成長して列島をうかがうようなことになれば、話が変わってくるのだそうで、そのためか、2日の予想確度はかなり低い見積もりになっています。それでもようやく天気が夏に移ろうとしているのは確かなのでしょう。暑いのは大変ですが、いい加減晴れてくれないと今年は大凶作になり、秋以降、またタイ米を輸入して食べないといけなくなるかもしれません。2日から夏空になるというなら、是非そうあって欲しいものです。

 さて、今年は選挙で例年に無く熱い夏になりそうな様子ですが、そう思って色々渉猟しておりましたら、非常に魅力的な団体の結成集会を撮影した映像を見つけました。

http://www.youtube.com/watch?v=Sf9uyJBcyG4
http://www.youtube.com/watch?v=oeo0S4vNCNE&feature=related

 なんと、大ショッカー党結成を地獄大使が宣言、盟友死神博士が応援演説をする、と言う夢のような企画です。
 聴衆の中、ビデオカメラ手持ちで撮影されたためか、映像が揺れまくって見るのが大変だったりするのですが、その分聴衆の反応がしっかり伝わってきて、実に楽しい集会だったことが見て取れます。全く、私が東京近辺に住んでいたら絶対参加したに違いないでしょう。実に楽しそうなイベントのようでした。
 もちろん来月末の衆院選に備えての新党結成! なんていう話では断じてなく、8月8日公開の映画の宣伝イベントなわけですが、この演説を聴いて、幼少時、死神博士にあこがれていた私としては、是非党員として参加させていただきたいと半ば本気で思ってしまいました。映画、行こうかどうしようかちょっと迷いもあったのですが、地獄大使さまが映画館に行け! と仰るのですから、これは命令を承ってとにかく足を運ぶより無いでしょう。映画の出来は観てみない事にはなんとも言いようもありませんが、このイベントのビデオを観られただけで、本編の出来はもうあまり気にならなくなったような気までしてきます。この分でもし映画が楽しかったりしたら、8月30日の選挙で比例選は『大ショッカー党』と書いてしまうかもしれないですね。

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いい加減、梅雨も明けてくれないものでしょうか。

2009-07-29 21:52:35 | Weblog
 今日は久しぶりに空が晴れ、日が出ましたが、思ったほど暑くはなりませんでした。週間予報によると本格的な梅雨明けは8月に入ってから。暑くなるのもどうやらそれからになりそうで、ずっと雨続きで暑中見舞いを出しそびれていたのですが、この分だとすぐに立秋と言うことになりそうなので、準備するのは残暑見舞いにしておいた方がいいのかもしれません。といっても、今年は冷夏だそうですから、『残暑』を『お見舞い』するほどの暑さが本当にやってくるのかどうか。暑い夏は大変なので涼しいのはありがたいのですが、九州、中国地方は大変な事態になっていますし、関東でも竜巻が発生して、この梅雨が原因とされる災害が各地で目立っています。これらの災害に出会わなかったのは単に運がよかっただけで、ちょっとした上空の風の動きやなにかで我等奈良県がピンポイントで豪雨に見舞われていたかも知れないと思うと、涼しいからと喜んでばかりもいられないきもします。
 
 もっとも、そんな長引く梅雨のおかげで、四国の水がめ、早明浦ダムの貯水率がついに60%を超えました。6月28日は貯水率28%でしたから、この一ヶ月で水は倍増、それにまだ少しずつですが増えていますから、これからの雨次第ではひょっとしたら満水、なんていうのもありうるのかもしれません。夏を越すのにどれくらいの水が最低必要なのかは知りませんが、当面これくらい溜まっていれば何とかなるのではないのでしょうか? 

 災いもあれば幸いもある四季を刻む国の天気のうつろい。昔に比べてメリハリつきすぎの天気になることが多いようには感じるものの、ひょっとしたらもっと昔は同じように豪雨や竜巻やらが頻々とあったのやも知れず、いずれにせよヒトの力で制御できない以上、その日その日の天気にあわせて生きて行くしかないのでしょう。とりあえず、備えあれば憂いなし、という使い古された言葉を改めて磨きなおして、不測の事態の備えを整えておく必要を感じました。

 といいつつも、当面気になるのはこの長雨で野菜や果物など農産物の出来がどうなるかと言う点。雨がどうこう言うより、日照不足が一番の問題で、生育の不良、病気の蔓延などで収量が落ちれば、また値上がりも避けられなくなることでしょう。秋以降に収穫する米などの生育も気になりますし、今すぐ食糧危機になるようなことは無いにせよ、ともかく早く梅雨が明け、夏らしい天気になってくれたほうがよさそうです。

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他人の揚げ足取りより自分の立脚するところを早く明らかにすべきです。

2009-07-28 21:36:10 | Weblog
 民主党のマニフェスト、与党各位がこぞって酷評していますが、言ってる事はさもありなん、と思うこともあり、揚げ足取りに思うこともあり、と、まあ当たり障りの無い感想を持って見ておりました。でも、何より言いたいな、と思ったのは、そんなヒトのことをとやかく言うのはとりあえずいいから、あなた達のマニフェストを早く見せて、と言うところでしょうか。あんなのは実現不可能だ、と大合唱されるなら、まずは一刻も早く、これまでよかれ悪しかれわが国の舵取りを担ってきたという矜持が読み取れる、実現可能な提案とやらを見てみたいです。相手の主張にただ噛み付くだけ、なんて、これまでの万年野党や泡沫政党達と何ら変わらない態度を、仮にも現与党が取るというのはあまりにふがいない。そんな暇があったらさっさとマニフェストをまとめて、堂々と与党の矜持を持って論陣を張り、民主党の案を蹴散らして見せればよいのです。
 でも、このままではそれほど代わり映えのしない程度問題でしかないものしか出てきそうにない気がするので、もっと明確な対立軸を設定して、それをベースにやり合って欲しいな、と思います。経済問題が今重要な課題であることは与野党とも論を待たない話ですからそれはそれでそれなりに主張いただくとして、たとえばもう一柱、憲法改正なんて争点はいかがでしょうか。確かに今の生活も大事ですが、5年、10年先のわが国のありようをしっかり考え、主張することもまた大事だと思うのです。今日明日のわが国のピンチをしのぎつつ、遠く将来のわが国のことにも思いを馳せるような提案をしてこそ、責任ある政党と言えるのではないでしょうか。

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民主党のマニフェスト、見栄えはまあまあだと思いました。

2009-07-27 21:29:00 | Weblog
 天気予報を見ると今週もずっと雨または曇り。晴マークは今のところ8月にならないと出てきません。ということは、梅雨明けが8月になるのはほぼ決定? 今年は冷夏で8月もそんなに暑くならない、という話ですから、夏らしい季節はほんの一瞬で終わってしまうのかもしれません。今朝など、窓を開けていると寒いくらいでしたし、扇風機も出したもののほとんど使わずじまい。夏の暑さ対策に、程よい冷たさが心地よい、という評判を聞いてカットした竹を細かくすのこ上につなげた竹シーツ鳴るものも買ってみたのですが、その効果を検証する機会にもなかなか恵まれません。暑いのは確かに難儀ではありますが、こうも季節外れな低温が続いては、かえって体調がおかしくなるかも知れません。

 さて、選挙を前にして民主党がマニフェストを公表した、というので、公式サイトまで行ってPDFファイルを落とし、中を少しだけ流し読みしてみました。4.5MB、13ページと結構なボリュームでしたが、主たる話を5つにまとめ、鮮烈な赤色をポイントポイントに配して主張を強調し、1ページ1テーマで意見を開陳する内容は、まあまあとっつきやすく、理解も進むのではないか、と思わせるものがありました。全代表に比べれば、現代表は写真栄えも多少はするようにも見えますし、少なくともやる気にあふれている様子はしっかりと伝わってくる紙面構成に感じました。ただ、結局は見栄えよりも何が書いてあるのか、つまり民主党として何を主張しようとしているのか、が大事なわけで、その個別の内容はまだじっくり読んでみないとなんともいえないのですが、ざっと目を通しただけでも、突っ込みどころはいくつかありそうです。なにしろ、5つの主張全部がこれまで民主党が主張してきたとおりのこと、すなわちずいぶんお金のかかる話で、1番目に国の総予算207兆円がどうとか書いてあるのなんか、確か現政権が摘み増した4分の3ほどは借金のはずの予算額で、それを、使い方を精査するとは言えそのまま使ってしまおうと言うのはいかがなものか、と思わずにはいられませんでした。それに、政府のなすべき大きな仕事の一つ、外交は、一番最後にとってつけたように添えられて、5つの主張の目立つところには触れられていませんし、その中身もずいぶん抽象的で、言いたいことは判るけれど、ではどうやってそれを実現するの? という大事な点について全く触れられていないのが、かなりの不安を抱かせます。まあマニフェストはあくまでマニフェスト。具体的な処方箋はまた別途詳しく開陳されるときがあると信じてしばらく待つよりなさそうですが、少なくとも流し読みした限りでは、やはり信頼度に欠けるというか、国民を甘い言葉で釣り上げようとしているように感じてしまいがちな軽い中身に見えました。まあ何も故ケネディ大統領の演説のような話をしろというわけではないのですが、この危急存亡の時にもう少し厳しさを感じさせ、国民に覚悟を求めるような内容になっていてもよかったのではないか、と思いました。

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一度はやってみたかった『怪獣物』を実現したのも、今回の目玉の一つです。

2009-07-26 21:48:06 | Weblog
 さあブログをつけよう、と思ってブログサイトを開き、何気にカレンダーを見てみましたら、なぜか23日が未投稿になっていました。7月は3日に投稿できず、年明け以来続けていた連続投稿が途絶えてしまいましたが、それ以外はきっちり忘れず書き込みに精を出していましたので、23日未投稿、はありえません。そこで確認してみましたら、例によって書くには書いたものの、下書き状態でアップせずにブログを閉じていたことがわかりました。たまにやるミスですが、こんな後になって気づくのはちょっと珍しい気がします。とにかく改めて公開でアップしなおしましたが、当日にアップしそこなったのに今更空白日を埋めると言うのは、どうもなんとなく後ろめたい気もいたします。

 さて、今日の連載小説更新は、いよいよクライマックスでスペクタクルなシーンになります。私はとにかく巨大怪獣が好きで、やはり幼少時に薫陶を受けた東宝特撮を初めとする怪獣ものやウルトラマンに代表される巨大ヒーローの影響が色濃く、できるだけばかでかいものや、大規模な破壊シーンを描きたくて仕方ないところがあります。「麗しき、夢」の巨大智盛や「夢都妖木譚」の夢の木、「円光地獄変」の戦艦大和、「夢封じ」の大ムカデ、「悪夢の純情」では未遂に終わりましたけど東京を壊滅状態にしようとしましたし、「夢都-平成編」では、京都の町を粉々に砕いてみました。そして今回、ターゲットを大阪に定め、そのシンボルとも言うべき建物を最終決戦地に選定して、悪夢と麗夢ファミリーのバトルを描くことにしたわけです。
 この巨大ROMちゃんは、構想当初から設定していたもので、この作品で描きたかった事の一つが、これだったのです。そのイメージは、ずばりゴジラ! 大ムカデとかマンモスフラワーならぬ巨大サボテンとか書いてきましたけど、やっぱり一度はちゃんとした怪獣(笑)を書いてみたい、という願望をぬぐうことが出来ず、とうとうこんなかわいらしい怪獣を描くことになってしまったわけです。この後も怪獣ROMちゃんの活躍(?)が続きますが、その部分はかつて観てきたゴジラの雄姿を創造しつつ、筆を進めました。もっとも、今見直すとゴジラと言うよりキングコングのパロディっぽくなってしまってますね。これは、物語の展開上必然的にそうなってしまっただけで、書いている当初は、無意識的にはともかく、意識の上ではキングコングはあまり考えておりませんでした。
 ネタバレになりますが、設定の基本は初代ゴジラですので、怪獣はROMちゃん一体。対抗する巨大麗夢ちゃんとか円光さんとかは出てきません。ウルトラQよろしく、麗夢ちゃんファミリーの知恵と勇気と団結でいかにこの怪獣ROMちゃんと対峙するか、をお楽しみいただきたいと思います。でもいずれ機会があったら、巨大ヒーロー物な話も考えてみてもいいかもしれませんね。

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10 巨大怪獣 その1

2009-07-26 09:56:58 | 麗夢小説『向日葵の姉妹達』
 巨大な火柱が桜之宮公園を真昼に変えた。
 と同時に漆黒の瘴気が渦を巻き、突風を伴って公園内を席巻した。
 既にJR桜之宮駅構内はじめ、帰路についていた祭参加者130万人の目が一斉に振り返った。
 中には、花火が終わったと思ったのは早合点だったか、と慌てて踵を返した者もいるが、大多数の人々は、堪能した花火よりもはるかに高く沖天を焦がすその火柱に、漠然とした恐怖を抱いた。
 まだ公園付近に残っていた人々は、その火柱を中心に、突如発生した強烈な風にあおられ、吹き飛ばされた。
 大勢の男女が目の前の安治川に放り込まれて盛大な水しぶきをあげ、あるいは根こそぎにされた木やバラバラに砕け散る屋台の残骸に巻き込まれながら突き転がされていく。プロパンガスのボンベが衝撃で爆発し、ショートした発電器が、自身奇怪な燭光を放ちつつ飛び去っていく。
 円光自身、あっと思ったときには、既に10mも吹き飛ばされ、無理矢理そんな残骸の中に叩き込まれていた。それでも辛うじて受け身をこなして着地するや、殺人的な勢いで突っ込んでくる残骸や人体を避けてその火柱を見た。
 円光はこの突風に辛うじて耐えた柳の木に寄り添いながら、強風をものともせずに目を見開き、今は瘴気に包まれ姿が見えなくなったシェリーの姿を追い求めた。
(迂闊だった)
 と円光は無念のほぞをかんだ。
 ようやくにして思い出したのだ。あの、天真爛漫な悪魔の姿を。
 麗夢と二人でようやく倒した魔の姿をどうして今まで思い出すことが出来なかったのか。
 ひょっとして、女子中学生にやられそうになったと言うことが、自身の記憶にある種の封印を強いていたのかも知れない。
 そう。あの少女の名前はROM。
 ドリームハッカーを名乗り、人の夢を喰らい尽くしてやまない狂ったコンピューターの産物。
 それがどうして実体を得て現れたあげく、こうしてシェリーを拉致するまでに至ったか。
 それは円光には判らない。
 だがこの禍々しき力の漲りは、心を挫かんばかりな負の圧力はどうであろう。
 かつて、屋代邸で対峙したスーパーコンピューターグリフィンとは比較にならない強烈さではないか。下手をすると智盛並みの、いや、智盛すら凌駕するとんでもない化け物が現れるかも知れない。
 円光は上空はるか見上げつつ、その信じがたい想像に思わず呼吸が乱れるのを必死で抑えていた。
 やがて、大阪の街に立ち並ぶ高層ビルよりも高く上がった火柱が、さっきまでの花火と同じく、頂点から細かい光の粒子となって崩れだした。オレンジに輝く中心部も、次第に色あせて透けてくる。同時にその柱の中に、ちょっとしたビルディングほどもある奇怪な影が浮かび上がった。影は薄れゆく光の中で徐々にはっきりした形をなした。
 袖の膨らんだピンク地に赤い格子縞のワンピースと真っ白なエプロンドレス。
 ボリュームのある金髪の上にそそり立つピンクのリボンが二柱。
 大きな目とあどけない唇は無表情に辺りを睥睨し、真っ赤な靴が大地を踏みしめた。
 それは、身長数十メートルにも及ぶ、巨大なROMの姿その物であった。
(あ、あれは!)
 思わず息を呑んだ円光は、目ざとくその巨大ROMの胸の辺りに気が付いた。
 何かを大事に抱え込むように胸の前に組まれた手の中に、シェリーを発見したのである。
 円光は無意識に拳を握りしめ、今は地上30mの高みに離れた少女の姿を凝視した。
 ぐったりと脱力しているのを見ていると、もはや絶命しているのではないか、と不吉な予感がふとよぎる。だが、と円光は頭を振ってその予感を振り払った。まだ死んだと見極めがついたわけではない。
(しかしどうやって助ければよい? あの巨体をかいくぐり、どうすれば……?)
 円光が思案する間もなく、ROMの巨体が蠢きだした。南向きの巨体が、公園の木々を蹴散らしながら一歩足を踏み出す。その先には、別名錦城の名を戴く天下の名城が、夜目に輝く優美な姿を、夏の夜空に誇示していた。
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マスコミもそろそろ情報の加工の仕方や考え方について知恵を絞るべきではないでしょうか。

2009-07-25 21:41:00 | Weblog
 今日は休日出勤で仕事に行きました。予報では朝から雨、という話でしたが、結局雨は昼過ぎまで降ることは無く、思いのほか順調にはかどりました。その代わり、昼食後に降ってきた雨のすごかったこと。雨予報だったので用心して車の窓を閉めておいたのを、雨降りそうに無いしお日様も照っているし、ちょっと判断を誤ったかな? と考えていたのですが、閉めておいて正解でした。雨が降る前にやたらと強い風が吹き荒れていたのですが、その風に乗ってすさまじい雨が横殴りで駐車場を絨緞爆撃してましたから、もし少しでも窓に隙間を開けていたら、車中がえらいことになっていたはずです。大量の雨に洗われて車も程よく冷えたのか、帰りにドアを開けたときには午前中の暑さの名残はすっかり失せていましたし、ちょっとした判断の差で幸不幸が分かれるというのがなかなかに面白い一日でした。

 さて、実質的に選挙戦が始まり、各党あちこちで党首が演説したり講演会開いたりしているそうですが、首相が日本青年会議所主催の会合の挨拶で、「高齢者は働くしか才能が無い」と発言したということで、マスコミや野党が一斉に批判しているのだそうです。いくら首相が失言癖のあるヒトでも、こんなあからさまに高齢者を馬鹿にするようなことは言うまい、とその報道自体に疑問を抱いていたのですが、ネットで色々見ているうちに一応発言の全文と思われるものを拾ったりしたのですが、その文章が正しいとすれば、これは悪質な情報加工と判断せざるを得ません。
 問題とされる、「元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください」と言う部分も、話している相手が青年会議所に所属する人たちという事情を加味すれば、あんた達も遊んでばっかりいないでもっと高齢者を見習って働きなさい、と揶揄する意味合いがこめられていた可能性も考えられます。まあ状況も知らずにあんまりそんな風に擁護するかのごとく振舞うのも公正を期しているとは言いがたい態度なので、これ以上は言いませんが、言葉のニュアンスや発言にこめられたものは、そのとき会場にいて発言を聞いていなければつかめないモノがあり、単に発言した内容を文章にするだけでは真意はまず伝わりません。そんなことは、掲示板やメール等で発言する際に、いかにテキストだけで真意を伝えるのが難しいものか、少しでも経験したことがあれば容易に分かる話で、もし報道に記者の感じたことを入れることに対する正当性があるとしたら、そう言った言葉以外の情報を記事に盛り込み、臨場感ある情報に仕立て上げ、その場にいることの出来ないヒトにその場の空気を伝えることが出来る可能性がある場合に限られるのではないか、と私は考えます。なのに、報道側はあえてその種の情報は一切カットするだけでなく、更に発言まで細かく切り刻んで、誤解を最大限広げうる部分だけトリミングして伝える、と言う、まるで大東亜戦争中の軍部の広報もかくやといわぬばかりな技術を駆使して、「ニュース」とやらを伝えようとしてくれています。もう、そういう勝手なバイアスをかけた話は少なくとも報道としては伝えて欲しく無いですし、やり方があまりに見え透いていて幼稚にさえ感じてしまうので、その点マスコミの方ももう少し自覚を持った方がよいのでは? と思います。

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なんだか自分が若年性の痴呆症に罹っているんじゃないか、と疑うような1週間でした。

2009-07-24 21:53:06 | Weblog
 今日で一週間の仕事が終わって、明日あさってはお休み、と言いたいところですが、今週は特別に明日も仕事です。まあその分の休みはどこか別の日にとるので、休みがなくなるわけではないのですが、なんとなく、損をしたような気がするのはただの錯覚、というわけでもないような気がします。特に、どういうわけかこの一週間は疲労が自覚され、軽い眠気があったり、注意力が散漫になっていたりと心身ともにあまり健康とは言いがたい状況が続いているだけに、明日1日の休みが無くなる、と言うのが、普段以上に負担に感じるのです。なかでも昨日などは、中央分離帯のある広い道路に左折で入ろうとして、危うく対向車線の方に入りそうになり、冷や汗をかきました。そこは、田舎町では珍しく側道まである立派な幹線道路なのですが、本来入るべき本道をなぜか側道と勘違いし、交差点にある中央分離帯の切れ目を越えて、対向車線まで入ってしまったのです。たまたま対向車がいなかったことや、自分が交差点手前の信号で先頭だったために、すぐハンドルを切り直して本来の道に復帰しましたが、まかり間違えば大変な事故になりかねないミスでした。また、通い慣れた道がどうもいつもの道と意識できず、見当違いのところを走っているかのような錯覚を起こすことが2度ほどありました。既視感の反対で、まるで初めて走る道に迷い込んだかのように、思い込んでしまうのです。そんな時は、ひたすら感覚を無視しつつ、あえて意識して道の先を思い浮かべ、これが自分のよく知る道であることを頭の中で呪文のように唱えます。結局それで想像通りの道に出ても、私の感覚は違和感アリまくりで猜疑心に満ち溢れた?マークを連発しているのですが、それも無視してとにかく無事家に帰り着くことだけを意識するようにしていました。
 モノを忘れるのも少し目立つ気がします。めがねをはずしてどこかに置き忘れたりとか、何かをするつもりで部屋まで行って、自分が何をするつもりでいたのか度忘れしていたりとか。
 これってなんとなく若年性痴呆症の初期症状なのでは? と少々心配になりましたのでちょっと検索して見ましたら、痴呆診断テストなどもあってやってみました。とりあえずまだそれほど心配することも無い、という結果が出ましたが、質問事項にあったヒトの名前を忘れる、なんてのは、子供の頃から私にとっては当たり前にありましたので、これで痴呆といわれてもなぁ、という気もいたします。そんなこんなをひっくるめても、私の脳は、まだまだ治療を要するような老化はしていない模様ですが、それを疑わないとならないような事態が続いていることそのものに、もう少し危機感を抱いた方がよいのかもしれません。
 ・・・とりあえず、どこかでゆっくり休息をとらないといけませんね。

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交通事故死者減少、本当に警察庁の努力の結果だと胸を張れるデータを公開して欲しいです。

2009-07-23 20:52:53 | Weblog
 今日は久しぶりの青空でしたが、梅雨はまだ明けていないそうで、また週末にかけて前線が居座り、天気が悪化するのだとか。もう7月も3分の2を過ぎ、暦の上では二十四節気の大暑を迎えているのに、一体いつになったら梅雨が明けるんでしょう?
 一方、四国の水がめは昨日までの雨が100ミリを超えたようで水位が少し回復しました。まあこの際ですから、四国の方々が渇水で苦労されることのないようもう少し雨をもらってもよいでしょう。

 さて、昼間、車で移動中にラジオでニュースを聞いていましたら、今年上半期の交通事故死者の数が2220人と9年連続で減少し、このペースで行くと今年の死者数が5千人を割り込むかもしれない、という話題が出ていました。その原因として、シートベルト着用義務化などの効果が出たと警察庁ではみているのだそうです。
 交通事故死者が減少したのは手放しで喜んでよいことだと思いますし、様々な安全のための方策が功を奏した、と言うのが本当なら、これも慶賀すべき事柄でしょう。ただ少し気になったのは、ニュースでは死者数の発表があっただけで、交通事故そのものの数は出なかったことです。ラジオの短いニュースだから致し方ないか、と思い、帰宅してから検索をかけてみましてが、ラジオ以上の情報は入手できませんでした。
 死者が減ったのは事実ですから嘘は言ってないのでしょうが、これでは報道としてはあまり意味が無い内容なんではないでしょうか。
 前にも事故死者数が減ったと言う一方で事故の件数は増えた、という話があり、使者の減少は警察庁の努力の結果と言うより、今の車の安全対策が進んできてヒトが死ににくくなっただけではないか、と書いたことがありましたが、今回も同じようなことが言えるだけなのではないか、と少し水を差したくなりました。後部座席のシートベルト着用義務で事故死が減ったと言うなら、過去のデータと今年のデータで、後部座席で事故死したヒトの数が実際にどう推移しているのか、データを示して欲しいのです。また、若い人たちの車離れや景気悪化による自動車の減少、交通量の減少、エコ意識の浸透による省エネ運転など、事故を減らす方向に社会全体のベクトルが向いていたりしていないか、何てことも分析して欲しいところです。これらはマスコミがその気になって調べてみたら結構揃うデータなのではないでしょうか。その上で警察庁や自動車メーカーに突っ込んだ取材をするなりして、情報の中身を深化させて欲しいと願うのです。減った減ったといってみても、まだ年間5000人が車が原因で死んでいるのです。車にかかわる人達は、その原因を解析し、少しでも0に近づける努力を不断に続けるべきで、そのためにも、個々の事故のケースを分析し、死が発生する状況、死なずにすんだ状況などから、安全対策のためのデータを抽出して、それを車社会全体へ還元しなければなりません。
 私はその一助として、一刻も早くドライブレコーダーを車に搭載すべきだろうと考えています。また、事故の瞬間を何秒か遡って映像記録する装置なども、搭載を義務付けるべきでしょう。それらによって集められたデータの解析を積み重ねて行けば、車の改良、運転者の技能向上、危険な道路の改善、といった交通事故やそれによる死を激減させる成果に繋がって行くはずです。今度の選挙でも、高速道路無料化、なんていう公約じゃなくてこの種の交通安全対策を具体化する、と言うような公約を掲げてくれたら、即その政党に投票しちゃうんですけどねぇ。

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いっそマスコミも選挙でその存在価値を国民に問うてみてはいかがでしょう?

2009-07-22 21:57:30 | Weblog
 今日の日食、結局私のところでは、分厚い雲に隠され、全く観ることができませんでした。奈良県内でも、橿原市など一部の地域で三日月状になった日食を雲の切れ間に観測できたそうですから、残念ながら運が悪かった、と言うよりなかったのでしょう。まあ私などは、あわよくば仕事サボって空を見上げようとしていた不届きモノですから、見られなかったとしても誰に文句を言う筋合いではないのですが、数十万円かけて南の島に日食観測ツアーに参加した方々は、満足されたのでしょうか? 何でも、嵐のような風と雨で非難を余儀なくされた島もあったとかで、大枚はたいて世紀の天文ショーを観に行ったと言うのに、建物の中に缶詰にされたのではまさしく割に合わないと言うものなのではないでしょうか。ただ、日食とともに気温がぐっと下がり、あたりに闇が押し寄せて、いかにもな状況になったのは体験できたそうですから、それだけでも実は貴重な体験と言うべきで、こちらなど、雲が分厚くてちょっと暗くなったのか、はたまた日食のせいなのかまるで判別も付かなかったわけですから、ちょっとつまらなかったです。次は、26年後の2035年9月2日に、北陸や北関東で見られるのだそうです。9月2日とはまあ私の誕生日なのですが、果たしてそのときまで無事生きながらえていられるかどうか。可能な限り頑張って、「次こそは!」と行きたいですね。

 さて、長い長い選挙戦が始まろうとしていますが、マスコミは相変わらず与党たたき、総理たたきに余念が無いようなのがちと癇に障ります。『聖地』アキバでも熱気は冷めた、とか言うような記事が載っていたりしますが、本当のところはというと、どうも昨今のマスコミはこの種の情報には相当なバイアスがかかっている感じがして、素直に信じる気になりません。ネット上ではまだまだ総理を擁護する意見も根強いようですし、そんなところだけを見ていると、支持率が過去最低とか言うような話のほうがうそ臭く見えてしまうくらいです。ネットが世論を形成しているわけでもマスコミのやるアンケート調査の結果が世論を代表しているわけでもなかろう、とは思うものの、今の民主党人気があと40日ほども本当に続くのか、どうも心もとないような気もしますし、そんなこんなを鑑みるに、案外僅差で痛み分け、と言う程度の結果になったりするんじゃなかろうか、なんて予測の一つもしてみたくなります。
 まあ政権交代するならするでよし、民主党が本当に頼りになる対立軸になれるのならそれに越したことはありませんし、少しやってもらって、やっぱり評判倒れ? となれば、次の参院選でその結果が出ることでしょうし、自民党はこの際重鎮とされるお年寄の方々にことごとく引退してもらうというのは、長い目で見たら悪いことでもないでしょう。ついでに社民のような泡沫には消えていただいて、その分共産党あたりがそれなりにしっかりすればいいんじゃないでしょうか。最近、どうもそんな風に思えるようになってきました。再編があるのかもしれませんし、結局、落ち着くまでまだ数年かかるんでしょうね。それゆえにこそ、マスコミも、もう少し現政権の功罪を客観的に分析するなり、民主党の問題点もきちんと報道するなりして、マスコミの分と言うものを示して欲しいです。

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あまりな古典的手法に、不謹慎ながら微笑ましくさえ感じてしまいました。

2009-07-21 22:03:52 | Weblog
 今日は仕事で蒸し暑さもひとしおな京都へ出かけました。お昼時、北大路のとあるすし屋さんで昼食をとっていたのですが、そのお店のテレビでちょうど衆議院の解散が中継されていました。まあ議長が総理大臣提出の詔書を読み上げ、議員全員で万歳三唱する、というだけのセレモニーでしたが、とりあえずこれで衆議院は解散、ここまでに決まらなかった議案は全て廃案、そして、8月30日の投票に向け、長い長い選挙の日々が始まったわけです。
 一応決まりごととして解散から60日以内に選挙を行う必要があるとのことですが、40日もかけるのは、個人的にはちょっと長すぎるんじゃないか、と言う気がいたします。与党には与党の思惑があるのだろうとは思いますが、このご時世に悠長に選挙に時間をかけてもいられまい、とも思うのです。ま、今更言ってもせん無いことなのでしょうが、政局より政策、と言い続けてきた首相には、その言動にふさわしい行動をとってもらいたいです。

 さて、今日帰ってきてからメールをチェックしてみますと、またえらく古典的なスパムメールが来ておりました。
こんなやつです。

規約違反による契約不履行の損害賠償請求

(株)サイバーデジタル
03-6868-7023
担当の金本
と申します。

今回《総合コミュニティサイト》様で発生しています登録料金の件でご連絡差し上げました。

弊社調査会社になりましてお客様のお使いの{携帯端末}又はPC〈インターネット回線〉に対し【身辺調査及び裁判代行業務】の依頼を承りました。
誠に遺憾ではございますが、明日正午までにご連絡なき場合は「規約違反・契約不履行の損害賠償請求(415条)」に伴い

①悪質なお客様として身辺調査の開始
②各信用情報機関に対して個人信用情報の登録
③法的書類を準備作成の上、即刻法的手続(414条1項)の開始以上の手続きに入らせて頂きます。

その後
違約金【四十五万円】の請求になります。

>以降お客様からの和解の申し出には一切応じませんのでご了承下さい。       ※メールでのお問い合わせは一切受け付けておりません。
          未払い金のお支払いの手続きや退会処理の手続きをご希望の方は、
(株)サイバーデジタル
03-6868-7023
担当 金本
までお願いいたします。
営業時間 [平日]
午前10:00~午後19:00
(日・祝日を除く)



 このあまりに古臭い手口に思わず吹いてしまいましたが、今時、こんな内容のものに引っかかる人っているんでしょうか? ひょっとしたら、かえって絶滅したと思われるこの種のメールの方が新鮮で、引っかかったりするヒトもいたりするのかも? とも思いましたが、ちょっとさすがにそれもなさそうな気もいたします。
 せっかくなので「(株)サイバーデジタル」でググって見たら、まあまあ出るわ出るわ。迷惑しているヒトがやっぱりたくさんいるんだな、と思ったのですが、中でも一番かわいそうなのは、検索トップに出てきた株式会社サイバーデジタルさんではないでしょうか。サイトを見る限り、歯科医療用カウンセリングソフトの開発を主たる業務にしているごく普通の大阪の会社のようですが、その後にスパムメール告発ブログなどの検索記事がずらりと並んでいるためか、ぱっと見まるでこの会社も何らかのかかわりがあるかのように見えてしまいます。このスパムメールの出し主は、私のような個人的迷惑を超えた、業務妨害に相当する立派な犯罪行為を犯しているように思うのですが、多分訴えてもせん無いことなのでしょうね。どうせ担当とやらも偽名でしょうし、電話番号もその種のサービスで会社はもちろん架空、やばくなったら即行方をくらませられるようにはしているはずでしょうし。
 ・・・でも、一体どんなヒトがどんな顔でこんなメールを送りつけようと本気で考えたのか、個人的にはそこに存在するはずの個人的ドラマに興味があったりするのです。といってわざわざ電話するような馬鹿なことはやりませんが。

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高齢者ドライバーが増える以上、それに相応したシステムをもっと真剣に考えておいた方がよい気がします。

2009-07-20 21:58:17 | Weblog
 今年の梅雨の雨は、何かヒトに恨みでもあるのか、と言うくらいいやな降り方をしてくれます。昨夜も大雨となり、雷も鳴って、このブログを付けているさなかに、ピカッとなって2秒後に窓ガラスを震わせるような炸裂音を轟かせて、あわててPCの電源を落としたのですが、それにも飽き足らず、夜中ぐっすり寝ている最中に、さっきに倍する轟音で叩き起こされてしまいました。全く、夜になると強い雨になって雷が鳴る、というのは、一体どういうわけなのでしょう? 夕方にそういう雨が降ってくれれば涼しくなって気持ちよく寝られるというものですが、夜中ではただただうるさく、安眠を妨げるだけの存在でしかありません。どういうわけかこの梅雨はそんな雨ばかりが降るのが実にいやらしいです。

 さて、昨日岐阜県の高速道路のサービスエリアで76歳の男性が運転する車が暴走し、SAのガソリンスタンドに突っ込んで給油中の軽自動車に激突する、と言う事故があったそうです。運転手の翁は意識不明のまま病院に運ばれて死亡、同乗していた70歳の奥さんは重態、スタンドの店員さんや軽自動車のヒト達が重軽傷と言う惨事になりましたが、幸か不幸か引火はせず、更なる大惨事の誘発にはいたらなかったようです。
 しかし、一歩間違えればガソリンに引火、爆発なり炎上なりして他の客や従業員、あるいはSAそのものに多大な損害を与えていたかもしれず、そんな、映画くらいでしかお目にかからないような事態が後何歩かで現出していた可能性があった、と想像するだけで、改めて車の怖さを思い知ったような気がしました。
 事故原因は現在も調査中だそうですが、死亡原因が心筋梗塞だったそうで、そのことから事故時に発作を起こし、運転を誤ったのではないか、と言う見方がなされているそうです。
 高齢者の運転は、少なくとも私の仕事する田舎町では珍しいことではなく、大抵軽トラックで法廷速度ないし法廷速度マイナス10キロくらいのゆっくりした速度で道を走っているのをよく見かけます。実年齢は判りませんが、その姿を垣間見るに、とても70台には見えず、80,90台の修行僧のような方のようにも見える小さなおじいちゃんがハンドルを握っていたりもします。まあ見た目がそうなだけで実際の年齢はまだ若かったりするのかもしれませんが、ともかくも高齢な方が目立つのは確かです。
 こういう方々が全員今回の事故の如く爆弾を抱えているような状態、と言うわけでもないとは思いますが、若いヒトに比べてリスクが高いのはほぼ間違いないところだろうと思います。飛行機や鉄道、バスなどの公共交通機関の乗務員は、会社の方で様々な健康診断を行い、高齢になれば退職することでそのあたりのリスクは比較的抑制されているのでしょうが、それでも体の不調を原因とした事故が無いわけではありません。ましてや健康管理が個人に任され、最近でこそ少しそういう議論も出てきてはいますが、基本的にいつまでも乗ろうと思えば乗れてしまう自動車と言うのは、考えてみると大変危なっかしい状態にあると言えそうです。免許更新のときに色々高齢者向けのハードルが設けられているようですが、それに加えて、運転が可能かどうか、危険がないかどうかを医学的に検証し、それを免許更新の目安にするようなシステムを作ることは出来ないのでしょうか。心臓等の重要臓器に疾患を抱えているようなヒトがハンドルを握らなくてもすむような制度があってもよいのではないか、と私は思います。

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ほんの軽い気持ち出始めた話でも、楽しめる話になったんじゃないかと思います。

2009-07-19 22:35:25 | Weblog
 もうすぐ学校は夏休みに入ろうと言う時期なのに、まだ梅雨が明けません。今日も一日雲が多く、蒸し暑い昼間でしたが、夜になって雨が降り出し、ずいぶんしっかりと、本格的な降りになってきました。天気予報を見ると、どうやら明日の昼まで降るのだそうです。その後も雨マークが目立つ週間天気予報になっていて、まだ当分梅雨が明けそうにありません。あんまり雨が降った、と言う記憶も無い梅雨ではありましたが、こういつまでも雨続きと言うのは、ちょっと気になる夏になりそうです。そういえば、初めて奈良に引っ越した平成5年の夏は、いつまでも雨が続き、結局梅雨明けしないまま夏が過ぎていった珍しい年でしたが、今年はそれに習うような年になったりするのでしょうか?

 さて、連載小説「アルケミックドリーム 向日葵の姉妹達 第9章 亀裂」 が終わりました。ここまで比較的のんびりゆっくり進行してきたお話も、この後は急転直下の大活劇に移行して行きます。いよいよクライマックスですね。少し直したい部分もところどころありますので、気合を入れなおして見落としなど無いようにしっかり固めて行きたいです。
 一方、「亀裂」の中でもこの最終節は、ほとんど直しが必要ありませんでした。原作設定どおり、「命」を理解できない「お姉さま」の仕打ちに初めて反発するシェリーちゃん。話が行き詰っていたときに思いついた本作の主題を浮き彫りにする今日の話は、恐らくこの作品全体の中で、一番検討に検討を重ね、何度も書き直しを繰り返した部分だったからでしょう。といって、けして筆が進まなかったのではなく、少しでも主題が浮き彫りになるよう、かえってどんどん進んでしまう筆を抑えつつ、一字一句大事に書くようにしたつもりの部分だったために、今見てもほぼ直し無しでそのままアップできたのだと思います。
 それにしても、私がそもそもシェリーちゃんを話の軸にすえようと考えたのは、単に「ローマの休日」を大阪を舞台にやってみたかった、というごくごく単純な動機からスタートしたのですが、その相手役に「お姉さま」を選んだのは、比較的年齢が近く、行動的な性格で、背景設定からも色々お話を作りやすいだろうと思ったからです。もともと原作シリーズにはシェリーちゃんに近い年齢の男性キャラはほとんどいませんし、それにそもそも「マリみて」をやってみたかったわけですから、「ローマの休日」だからと言って男女のカップルにしようと言う発想ははなからありませんでした(笑)。それがこれだけ自分にとってのお気に入りの話になるのですから、きっかけと言うのはなかなか馬鹿に出来ないものです。
 次の小説も、できればそういうお話に成長してくれたらいいな、と思うのですが、こちらは想像以上に筆が進まず、難航を重ねているのが困ったところです。

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09 亀裂 その4

2009-07-19 09:50:49 | 麗夢小説『向日葵の姉妹達』
「これを?」
「今日一日付き合ってくれたお礼よ」
 お姉さまは、私の手にビニールの口を絞っているピンクの紐をかけようとした。私はその手を一旦拒んで、お姉さまに言った。
「でも、私いただいても困ります」
「どうして?」
「私、飼ってあげられないし、第一持って帰ることもできないわ」
 私は旅行者なのだ。食べ物ならともかく、生き物を連れて歩くわけには行かない。その事を説明すると、お姉さまは耳を疑うことを言った。
「なんだそんなこと? 邪魔になったら、捨てちゃえばいいのよ」
「えっ?!」
 私が目を丸くしてお姉さまの言葉を受け止めかねていると、更にお姉さまは私に強烈な一撃を見舞った。
「それに、夜店の金魚って弱いからすぐ動かなくなるわ」
「そ、それって、死んじゃうって事?」
「うーん、良く判んないけど……。どうしたの暗い顔しちゃって?」
 私はさっき円光さんに顔色が悪いと言われたが、きっと今はもっと悪化しているだろう。それに加えて金魚のことを思うと、気分が落ち込んでくるのを止められない。
「……そんなの、可哀想だわ……」
 でも、お姉さまには一向に私の気持ちは通じそうになかった。お姉さまはきょとん、としたまま、なんで? と私に言ったのだ。私はつい意地になって、お姉さまに言った。
「だって狭いところに押し込められて、散々子供達に追い回されて、あげくにすぐ死んじゃうなんて、可哀想と思わないの?」
 でも、お姉さまの関心は、私とは随分ずれていた。
「シェリーちゃん、この金魚がそんなに大事なの? それなら動かなくなったら、クローンでも作ってまた動かしてあげるわよ」
「違うよ、そんなのじゃない。判らないのお姉さま。死んじゃうのよ。おもちゃの電池が切れるのとは訳が違うのよ」
「同じじゃない。壊れたら直す。直せなくなったら捨てる。そんで、必要なら同じ設計図と部品でまた作る。生物もおもちゃも、理屈は同じよ」
 お姉さまの屁理屈に、私は次第に気分が高ぶってきた。
「同じじゃない! 命はそんな簡単なものじゃないわ! じゃあもし私がここで死んだら、お姉さまは悲しくないの?」
「びっくりはするけど……、すぐ細胞を採取してクローンを作るから平気よ」
 あまりに平然と答えられ、私は絶句した。そんな私にお構いなく、お姉さまは呟いた。
「ま、それはともかく、シェリーちゃんはこれいらないって事ね。私も別に欲しい訳じゃないし」
 お姉さまは金魚の入った袋の紐に人差し指を通すと、突然ぐるぐる大車輪のように袋を回し、勢いが付いたところで袋を放り投げた。
「あっ!」
 思わず悲鳴を上げた私は、その袋がどんぴしゃりですぐ側に設置されたゴミ箱へ飛び込むのを見た。私は思わず駆け寄って、ゴミ箱の中に手を突っ込んだ。汚れた割り箸や発泡スチロールのトレイがあふれる中、重量のあった袋は結構奥まで飛び込んでしまったらしい。私は必死でゴミを掻き分け、そのピンクの紐の付いた袋を求めた。
 あった!
 私は袋の紐を掴んで引っ張った。でも、私の努力は及ばなかった。袋の中身は飛び込んだときの衝撃で既にゴミ箱に飛び出し、肝心の金魚は、その下にたまたまたまっていたソースの海に飛び込んで、二、三度尻尾を跳ねていたのである。
 私は改めて手を入れて金魚をゴミ箱から救い出したけれど、私の掌でぴくぴくしていた金魚はすぐに動きを止め、揺すっても叩いてももう二度と動くことはなかった。
「駄目じゃない。汚れるわよ」
 お姉さまはのんびり私に呼びかけた。その様子に、私の頭は、たちまち血が上った。
「お姉さま、何て事を……」
「いらないって言うから捨てただけじゃない。ちゃんと分別は守ったわよ」
「そんなこと言ってるんじゃない! この子はこれでも一生懸命生きていたのよ? それを、それを貴女は勝手に無理矢理止めちゃったのよ! それがどれだけ罪深いことか、判らないの?!」
「わ、判らないわよ!」
 とうとうお姉さまも怒鳴り返してきた。私は、私の言葉がお姉さまの地雷を踏んだことに気づかなかったのだ。
「さっきも言ったでしょ! 死んじゃったのが惜しいなら、クローン再生でも何でもして生き返らせればいいのよ!」
 でもこの時、私も疲れで余裕を無くし、怒りで心が暴走して、お姉さまの突然の変化に驚いたり訝しく思ったりすることが出来なかった。私はお姉さまの声に倍する勢いで、言い返した。
「じゃあこれまでこの子が生きてきた時間は?! 楽しかったり悲しかったりした記憶や経験は?! この子の生きてきた価値は取り戻せると言うの?! そのクローンがお友達やお父さん、お母さんに会ったときに、前に生きていたときと同じように仲良く出来るの?!」
「そ、そんなこと……、そんな、事……」
 お姉さまの様子がおかしい、と気づいたのは、言いたいことを叫んでようやく私の心が余裕を取り戻したときだった。でも、それは少し遅かった。ひょっとしたら、電車の中で叫んでいた麗夢さんは、このことを教えてくれていたのかも知れない。もう、文字通り後の祭りだけれど……。
 お姉さまは見る間に狼狽し、頭を抱えてしゃがみ込んだ
「そんなこと判んない……。判らないわ……。私……、私……」
 冷静さを取り戻した私が、お姉さま? と呼びかけようとしたとき、お姉さまの様子が変化した。それは、まるで電気のスイッチをぷつん、と切り替えたかのような、劇的な変化だった。
「私の捜し物はお前だ」
 お姉さまはすっくと立ち上がると、抑揚のない平板な声で私に言った。何時もはじけるような笑顔を浮かべていた顔も目も、今は全く笑っていない。いや、あらゆる感情がその表情から抜け落ちた、仮面のような顔で私を見つめている。
「もらうぞ、そのデータ」
「な、何を……」
 思わず後ずさりした私の背後で、切迫した円光さんの声がはじけた。
「シェリー殿離れるんだ!」
 しかし、私の視界はその瞬間漆黒に塗りつぶされ、お姉さまも円光さんも見えなくなっていた。
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