かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

「新作」も早いとこ設計図作らないといけませんね。

2009-05-31 21:24:57 | Weblog
 まあ毎度のことですが5月も今日で終わり、明日からは夏を意識させられる6月の始まり、とあって、さすがに少々焦りを覚えつつあります。まあ5月は引越しでほとんど時間を費やすことになった、ということはあります。そして片付けはまだまだ終わらず、今日も一日運び込んだ荷物の整理でばたばたしておりました。とは言え、いつまでも引越しのばたばたに翻弄されるのも難儀なことですし、いい加減そろそろ自分のペースを取り戻すようにしていきたいところです。6月はそんな期間になればよいな、と願っております。

 さて、連載小説のほうはようやくペースが復調しました。次からは、ドリームハンターにふさわしい新しい展開に入ります。クライマックスに向けての助走がぼちぼち始まるところ、といった話で、ここから徐々に話の展開スピードも上げて行く事になります。
 この作品は、今にして思うと、そういった話の展開の速度を最初からかなり計算ずくで意識した最初の作品だったといえそうです。もちろんそれまで書いたお話もそれなりにクライマックスシーンまでの展開には気を配って来たつもりですが、最後の方になるまで一体このお話が何字の原稿になるのか、まるで見当もつきませんでしたし、一つ一つの章立ても割りと行き当たりばったりに並べて、後で前後を入れ替えたり丸々削除して別の話を入れたり、なんていうような試行錯誤を結構しておりました。このお話も、当初はそんな手探り状態ではじめたのですが、メインテーマをはっきりと意識した段階で、映画のシナリオのように上映時間ならぬページ数を意識して全体の展開を根本から練り直し、ちょっとした設計図を作って起承転結を定め、話の流れを明確にしてから書き始めました。これだけの長さのお話を、私のお話の中では最短の時間で上梓し、夏コミに間に合わせられたのも、そんな最初の準備が幸を奏したのだろうと思っています。
 そんなことを思い出しつつ、今手がけつつある新しいお話も、そんな風に作れないものか、と考えています。思ったように時間がとれず、なかなか進められないところが辛いのですが。

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07 復活計画 その4

2009-05-31 11:03:16 | 麗夢小説『向日葵の姉妹達』
 真野昇造は、少しうつむいて目尻をもむように右手を上げた。多分、気を落ち着かせているのだろう。それは、真野にとっては救いがたい程積み重ねてきた失敗の歴史に違いないのだ。
 やがて真野は再び顔を上げた。
「ヒトはやはり必要な時間をかけ、必要な経験を積み重ねんと、ヒトになることはでけん。そやけど、儂の寿命はもう必要な時間をとれるほど残っとりはしません。この袋小路を破らんことには、どないしようも無かったんです。まさにそこは神の領域と言ってもええですやろ」
 さもあろうと麗夢も思った。肉体は、考えたくもないがヴィクターを初めとする研究者の手によっていくらでも成長を早め、クローンにすることもできるのだろう。だが、心はそう簡単ではないはずだ。プラモデルを組むように心を構築できるなら、誰も悩み、苦しみ、嘆く事もないのである。だが、と真野昇造は語を継いだ。
「一年前の事です。儂の研究所のメインコンピューターに、突然どこからか大量のデータが送りつけられてきよったんですわ。それが何か判ります? 麗夢さん?」
 一年前?
 目の前の佐緒里を目にしては、いやでも思い出すしかない事が一つあった。
 グリフィンの暴走。
 その時、グリフィン上で動いていた一つのプログラムが、設計者の意志を誤解し、究極の存在になるために東京を文字通り死の都にしようとしたのだ。
 曇った麗夢の顔色に、真野は微笑んだ。
「きっと麗夢さんの思てる通りや。そのプログラムは、ROMと名付けられた一連の統合プログラムやったんですわ。その一部を走らせてみた儂は、現れた姿に驚愕しました。まるで佐緒里に生き写しやないですか。もちろん癖のある金髪とか違うところもありましたが、それでも儂の目ぇには佐緒里がおるとしか見えませんでした。儂は大急ぎで他のプログラムも調べてみて、更に驚きを新たにしました。何言うたかて、完璧な人間の女の子が、そこにシュミレートされてたんやから。儂は取り憑かれたようにそのデータの解析にのめり込みました。そしてそれが、生きてる人間と同じく、自ら思考し、創造する能力を持ってる、奇跡のプログラムやと知ったんですわ」
 確かに表面上、ロムは見事に人格を持った一人の女子中学生だった。それは直接対峙した麗夢自身が感じたことだ。だが、彼女には致命的な欠陥があった。だからこそ麗夢は、彼女をその母体、グリフィンごと滅ぼさねばならなかったのである。
「誰がどんな技でこんな奇跡を生み出したのかは判りません。儂のコンピューターに流れ込んできた理由も知りませんわ。そやけど、儂はこれを天啓やと思た。これまで失敗続きやった儂の計画に、神さんが遂に味方してくれたんやと思ったんです。つまり、このプログラムを佐緒里の大脳に定着させたったら、心を持った人間として佐緒里を甦らせることが出来るんちゃうか。儂はこれが最後の挑戦と思うて、早速これまでさしたる効果を上げてこんかった大脳腑活化装置を改造し、ちょうど培養を完了した二人の佐緒里に、このプログラムを与えてみましたのや。その一人が、この子なんです」
 麗夢は改めて真野昇造の隣に立つ少女に目をやった。今となっては理由は判らないが、真野佐緒里と屋代修一がプログラムしたROMは、姿形も移植されたとしか思えないほどそっくりだったわけである。だが、心を移植した(!)と真野氏は言うが、本当にそんなことがあり得るのだろうか。こうしてみる限り、目の前の佐緒里嬢には、あの天真爛漫なロムの姿は微塵も伺うことが出来ない。まるで心など無いかのように、静かに、そして無表情に麗夢を見つめ返しているばかりである。
 麗夢は視線を真野昇造に戻して、気になっていた疑問を口にした。
「で、もう一人はどうされたんです?」
 実は麗夢には予感があった。第一ヴィクターの落ち着きぶりが気に入らないのだ。案の定、真野氏は答えた。
「ええ、実はちょっと目ぇ離した隙に逃げ出してしまいよりましてな。その足取りを追いかける途中で、貴女達と会い、矢も楯もたまらず、ここへお連れしてしもうた訳で」
「何故私達が?」
「ヴィクター博士が、人造人間の人間性を調べるんに、ある少女の力を借りたという話を小耳に挟みましたんや。それを教えてもらいたかったんです。つまり貴女のことや。麗夢さん」
「じゃあシェリーちゃんを連れ去ったのは……」
「お察しの通り、もう一人の佐緒里さんだ」
 ヴィクターの言葉に、ああやっぱり! と麗夢は大きく溜息をついた。でも、それが判ったからと言ってシェリーの安全が担保されたわけではない。麗夢は久々に怒りが沸騰するのを覚え、語気鋭くヴィクターに突っかかった。
「それで今どこにいるの!」
 すると、ヴィクターを抑えて真野昇造が答えた。
「実はお昼過ぎに加太の海水浴場で儂の部下が接触に成功したんやけど、突如乱入した一人のぼんさんのために取り逃がしてしもうたんです」
「そのお坊さんって、まさか……」
「報告やと円光いう名前らしい。儂の部下五人を、まるで草撫でるみたいに瞬く間にのしてしもうたそうや」
 自分の部下をやられたのに、何故か楽しげな真野氏の後を継いで、ヴィクターが言った。
「何故円光氏がそこに居合わせたか僕にも判らない。でもドラコニアンを杖一本で止めたほどの脅威の男が二人には付いているんだ。今は安心して、真野昇造氏に協力して欲しい」
「何をするのよ?」
「この子の夢に入ってくれませんか。ジュリアンの時のように……」
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徹夜カラオケマラソン

2009-05-30 22:47:33 | Weblog
 昨夜は結局朝4時の閉店までカラオケ三昧で過ごしました。きっともう年だし途中で沈没は必至、と考えていたのですが、やってみると意外になんとなるものですね。おかげで少し自信がつきました。まあ今は寝不足で少しハイになっているのかもしれないので、知らず知らずに過剰な自信を確信しているだけなのかもしれませんが。
 ちなみに歌ったのは下記の通り(たぶん順番どおりですが記憶はあいまい)。参加人数もそれなりに多かったので、長時間の割には少なめですが、知ってる曲は合唱したりもしたので、実際には1.5倍くらいは歌っていたんじゃないでしょうか?

裸々イヴ新世紀(ALI PROJECT:宇宙をかける少女OP)
あの宇宙を、征け(錦織健:タイタニアOP)
ウェディング・ベル(シュガー)
Summer time!(MINMI)
ハンバーガーショップ(嘉門達夫)
ストリッパー(沢田研二)
東京ラプソディ(藤山一郎)
サイボーグ009(第1期モノクロバージョン)
スーパースリー
走れマキバオー(緑のマキバオーOP)
完全無欠のロックンローラー(アラジン)
誰がために(サイボーグ009第二期OP)
肉屋のように(ヤプーズ)
もってけ! セーラー服
ねこの森には帰れない(谷山浩子)
宇宙士官候補生(ヤプーズ)
勝手にシンドバット(嘉門達夫)
青い花(カラーボトル:キャシャーンSins OP)
ヒトリノ夜(ポルノグラフティ:GTO OP)
メロスのように(蒼き流星SPTレイズナーOP)
絶対Love×Love宣言!(絶対可憐チルドレンED)

ちょっと驚いたのは、「スーパースリー」の主題歌が入っていたこと。私の年代なら多分知っているだろうと思いますが、一応こんな曲ですhttp://www.youtube.com/watch?v=OreKtQx0pUE
「ラリホーラリホーラリルレロン♪」で始まるなんともお気楽な歌詞ですが、1960年代、アメリカのハンナ・バーベラ・プロダクションが製作し、日本でも放映された時に、日本側で付けたオープニングテーマソングです。この会社の作品には、「チキチキマシン猛レース」「大魔王シャザーン」「怪獣王ターガン」「宇宙怪人ゴースト」「ドラドラ子猫とチャカチャカ娘」などなどといったアニメがあり、それぞれに日本製OPがあって、私などは多分音源があれば今でもちゃんと歌えるのではないか、と思う位幼少時は入れ込んでいたものですが、まさかそんなものがカラオケで歌えるとは夢にも思いませんでした。ただ、探してみた限りあったのはこれと「チキチキマシン猛レース」だけでした。どうせなら、当時のアニメは一通りカラオケ化しておいて欲しいですね。
 そういえば、あの当時の海外製作の番組には、日本で作った主題歌がついてました。「サンダーバード」、「スペース1999」とかはカラオケにも入っていて歌ったことがありますが、当時はもちろんアメリカ製とかイギリス製とかいうような意識は全く無くて、その後映画版のサンダーバードを観た時に何で主題歌が無いのだろうかと不思議に思ったりもいたしました。
 まあとにかく、カラオケは楽しいですよ。一晩余裕で徹夜出来るくらいですから。また近いうちに行きたいですねぇ。

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今日はカラオケ!

2009-05-29 19:03:13 | Weblog
今夜は職場有志による懇親会で、今日中に帰宅がかないません。明日はお休みですし、興が乗れば明日朝まで二次会三次会も十分あり得るでしょう。体力がもてば、ですが。
一昔前なら平気で徹夜カラオケマラソンも辞さない元気がありましたが、果たしていまそれだけの気力を発揮出来るのか。今宵は自分の肉体の衰えを痛切に自覚させられるか、はたまた意外にまだまだ頑張れると判明するか、明日のブログに記録したいと思います。
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天気も党首討論もその取り巻きも、お寒い状況ばかりで、今日は心身凍えました。

2009-05-28 21:01:18 | Weblog
 今日は本当に寒かった。朝はそれほどとも思わなかったのですが、昼前には普段の格好では到底耐えられない寒気に震える有様で、もっとしっかり厚着すべきだったと後悔致しました。南海上の低気圧が消えるまでは雨も続くらしいですし、早いとこ初夏らしいさわやかな暑さが帰ってきて欲しいです。

 国会での党首討論、結局与野党合意したはずの出席議員たちによるヤジ自粛は、まるで省みられないまま行われたようですね。全くもって嘆かわしいことです。まあ首相も野党党首も実のある話は特になく、互いに非難応酬していただけだったのでそれはそれで問題もありますが、曲がりなりにも良識の府の異名を取る参院ならば、その名にふさわしい行動を常日頃から取るように、意識してもらいたいものです。それにしても、どうして党首同士の討論に、ぞろぞろ他の議員が、同席せねばならないのでしょう? 単なるヤジ要員ならまさに無用の長物、有害無益の存在でしかありませんし、どうにも理解しがたい連中です。いっそ本当に党首二人だけで、テレビの前で徹底的にやりあったらどうでしょう? 1時間でも2時間でも、互いの体力気力の許す限り、国民の前でガチンコ勝負すればいいのです。できるだけ多くの国民が見られる日程と時間帯を選び、十分にデータや議論の練習などの準備をした上で、単なる非難応酬を超えた、政策論争や政治信条のぶつけ合いを見たいと思うヒトは結構いるのではないのでしょうか? 少なくとも私はそういう真剣勝負を見てみたいです。CMに中断を余儀なくされずにすむ公営放送というものもあるのですから、やってやれないことはないでしょう。マスコミによる勝手な切り貼り映像ダイジェストよりも、よほど意味のあるものになるに違いありません。放送枠の関係で出来ないのなら、インターネットで動画を公開すれば済む話です。
 ついでに、やじりたいその他大勢議員達も、テーマごとに5人程度の選抜メンバーを組んで、同じくテレビの前で政策論争を戦わせて見てはどうでしょう。一部の報道番組やバラエティ番組でその種のコーナーが設けられたりもしてますが、卑しくも国民に選ばれた国会議員は、もっと積極的に、じっくり腰をすえてまじめに議論している姿を、国民に公開すべきだと私は思います。特に子供達に、議論のマナーを守れない馬鹿ばっかりではない、ということを、ちゃんと示すことが出来るようにしてもらいたいと思います。

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白血病とかガンとか、命を喰らう病の克服はいつになることでしょう?

2009-05-27 21:06:29 | Weblog
 とりあえず、今週はお休みしていた分ペースを取り戻すため、今日も連載小説の更新をかけてみました。基本的にこの小説は、前作「ドリームジェノミクス」とは一線を画して、できるだけ荒唐無稽なお話作りをしようということでこの後もどんどんとんでもない展開が現れるのですが、私の性格、あるいは能力の限界というものもあって、今日の下りはちょっとだけ理屈っぽくなっています。まあごらんいただいている方には、物語の背景情報として読み流しておいてもらえたら、と思います。
 白血病、で思い出すのが夏目雅子サンです。年代のせいか「西遊記」の三蔵法師役なんかが一番印象に残っているのですが、デビュー作であるカネボウ化粧品のCMで披露された健康美あふれるビキニショットなどは、そろそろオトシゴロを迎えつつあった私には結構衝撃的でもありました。あんなに元気溌剌なヒトが、それから10年もたたないうちに亡くなってしまうのですから、病気というのは本当に恐ろしいものです。あの時もし白血病研究が進んでいて骨髄バンクがあったなら、今でも美しく年輪を重ねた女優夏目雅子の姿をテレビや映画で見られた可能性が高かったわけで、かつて、骨髄バンクのCMでもそんな内容の話がありましたが、まことに残念としか言いようのない話でした。
 ガンといえば、今日作家栗本薫の訃報が流れていましたね。いろいろな意味で時代を代表した作家の一人がこうしてはかなくなってしまうとは、なんとも寂寞の感がぬぐえない、うつろな気持ちを持て余してしまいます。まだ56歳、人生80年時代にあまりに早い最期なのが、また無念さを増幅してくれます。新型インフルエンザも恐ろしいには違いありませんが、やはり人類最大の敵は自分自身なのかもしれません。自らの体内で不可避的に発生する遺伝子の突然変異に対抗する術をまだヒトは持ち得ていませんし、そもそも遺伝子解析自体がまだ発展途上で、毎日のように新発見が相次いでいるところです。ガン克服までまだまだ道のりは長いですが、何とかそろそろ早すぎる永眠位は避けられるようなところまで、たどり着いて欲しいものです。
 ところでインフルエンザの方は、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」で万能薬開発に繋がる可能性が期待される、ウィルスたんぱく質の結晶化実験が7月から始められるそうです。無重力状態だと温度差による液の対流とか重い液が沈んだりする現象がそもそも存在し得ないので、理想的な実験が可能になるのだそうです。こうして人類の知恵と技術は、少しずつですが確実に病を克服しつつあるのですね。

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07 復活計画 その3

2009-05-27 20:39:36 | 麗夢小説『向日葵の姉妹達』
「実は、この娘は普通の人間や無いんです。儂の身代を傾けた研究成果を結集して生み出した、クローンなんですのや」
 怒りを忘れて目を丸くした麗夢に、真野は言った。
「本物の佐緒里は二〇年も前にはかのうなってまいましてな。急性骨髄性白血病ゆう難病やったんです」
 急性骨髄性白血病とは、正常な状態なら好中球、好塩基球、好酸球、単球に成長するはずの細胞ががん化し、急速に骨髄の正常細胞を駆逐して数週間から数ヶ月で患者の命を奪う、恐怖の病である。現在では生存率七割に達するほどに対策が進んでいるが、佐緒里が発症した当時はまだ骨髄バンクもなく、骨髄移植自体が実験段階であった。そのために、真野昇造が心血を注いだ真野製薬の誇る開発陣も、必死にかき集めた全国の有能な医師達にも、その猛威をとどめる術はなかったのである。
「儂はもう本当に目の前が真っ暗になって しまいましたのや。もう生きててもしょうない。早よ死んで佐緒里の元に旅立とうって、何度首を吊り掛けたか知れません」
 そう語る真野の目尻がいつの間にか濡れていた。語りながら、当時のやるせなさ、悔しさ、絶望感を思い出したのであろう。
「そやけど、儂は結局諦めの悪い男でした。今、佐緒里を救うことは出来なんだけど、将来もっと科学が進んだら、ひょっとして佐緒里を生き返らせることが出来るんやなかろうか、と考えましたのや。幸い、儂はこの薬の世界で商いしよったおかげで、この世界の最先端の出来事は常に耳にしてました。当時、マウスの幹細胞が培養できるようになって、次はヒトやと言う話がぽつぽつ聞かれるようになってきてました。それに、ヒトの細胞はそれよりも更に三〇年ほど前に、長期培養できる方法が確立してました。儂は、それに賭けたんです」
 幹細胞とは、人間のあらゆる臓器、骨、皮膚と言った全身の器官に分化する能力を持つ万能細胞の事である。1981年にアメリカでマウスの幹細胞培養に成功したのがきっかけとなって研究が始まり、1991年、人間の幹細胞株の樹立に伴い、飛躍的に研究が進化した。
 幹細胞には主に受精卵から得られる胚性幹細胞と、骨髄など盛んに細胞分裂している組織から得られる成体幹細胞がある。ES細胞とも呼ばれ、患者自身から得た幹細胞を使って臓器を培養できれば、臓器移植最大のハードル、免疫拒絶反応を理論上クリアできる。そのため、再生医療の切り札として、世界各国で熾烈な研究競争が繰り広げられていた。その一方、この研究がクローン人間誕生に繋がる、ということから、アメリカのように研究その物を全面禁止しようと言う動きを見せる程、世界的に微妙な問題をはらんでいる。真野昇造はそんな研究の進展を睨み、佐緒里の全身から細胞組織標本を採取、液体窒素につけて保存することにしたのである。
「今にして思えばようやったと自分でも思いますが、当時はやっぱりとんでもなくあほなことしてるんちゃうか、といっつも思てました。でも、儂にはもうこれに賭けるしか手ぇがなかった。儂は、保存した佐緒里の細胞を元に研究してくれる研究者を募り、出来る限りの資金援助をしてその研究を支援しました。そして、遂にヴィクター博士の人造人間創造計画が出てきたんです。それと時を同じくして、佐緒里の細胞ライブラリーから幸運にも極めて良好な状態に保たれた胚幹細胞が見つかったんですわ。そんなこんなが合わさって、2年前には遂に佐緒里を生み出すことが出来ました」
「でも、一つだけ問題があったんだ。ジュリアンと同様のね」
 感極まって口ごもってしまった真野昇造に代わって、ヴィクターが話を継いだ。
「佐緒里さんの細胞は、細胞成長速度を極限まで引き出すため、ありとあらゆる方法を使って、培養液を満たした人工子宮内で成長させたんだ。ホルモン処理はもちろん、電気刺激、赤外線照射など、考えられる限りの方法を真野氏は採用したんだよ。おかげで驚異的なスピードで佐緒里さんは成長を遂げ、遂にこの世に生み出されたんだが、残念ながら彼女には心がなかったんだ」
「心がなかった?」
 麗夢がオウム返しに聞き返したのを合図に、真野昇造が再び口を開いた。
「麗夢さん、西行法師の話は知ってはりますか?」
「西行? ひょっとして、反魂の、法?」
「それや。西行自身が著したと伝えられる『撰集抄』第十五にある話ですわ。ある時西行法師はんが、人の骨を集めて話し相手を作ろうと思いはった。本には随分詳しいやり方も載ってますが、結局そうやって人を再生する事に成功しはったそうや。でも、その人は形は人やったけど、心はとても人のそれと違うて、まさに獣そのものみたいやった、という話ですな。まあ人がどうやって出来たかというのはともかく、重要なのは結局そうやって生み出したものがおよそ人の心を持たずにいた、という下りなんですわ。やっとの思いで生み出した佐緒里も、まさに西行の反魂の秘術同様、人の心を宿さんかったんです」
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とりあえずホウ酸団子による我が家の専守防衛は成功したようですが、国の先制攻撃論はどうなるでしょうか?

2009-05-26 21:40:20 | Weblog
 昨晩、この間の『G』出現に鑑み、急遽購入したホウ酸団子24ピースを、出現箇所である台所を中心に、部屋中に配置してみました。ヒトのにおいがつくと効果が薄れる、と聞いたような気がしたので、手で持つときには、作業用のゴム手袋をして極力におい付着を防ぎ、相手の習性を考慮して、暗いところ、じめじめしたところ、というような場所の極力壁沿い隅に配置するよう心がけました。その効果が早速あったのか、今朝、サボテンに水をやろうと少し早起きして外に出てみましたら、玄関の前で、巨大な成虫が一匹うずくまっておりました。死んでるのか? と傍らに落ちていた木の棒で突っついてみましたら、意外にすばやく動いて逃げようとしましたので、これも手近なレンガ大の石を拾い上げ、一撃であの世に送り届けました。意外にすばやくはありましたが、明らかにぴんぴんしているやつに比べれば動きが鈍く、移動距離も短かったので、恐らくは昨夜設置した毒餌にかかったものではないか、と推察されます。逆に言うとこいつが今まで新居に我が物顔で居座っていたということになり、改めてその状況に戦慄を覚えながらも、とにかくこれで相当な安全を確保できたのではないか、とほっと胸をなでおろしました。効果は2、3ヶ月程度だそうですから、夏ごろに改めて追加するなりしたほうがよいようです。また、おいてある場所を覚える、という自衛策を取る輩もいるらしいので、設置場所を変えるのがよいのだとか。まあしばらく様子を見て、更なる対策を考えていきたいです。

 さて、日本海の向こうで核実験、という事態に対し、時の首相は危ないときは敵基地を先制攻撃するのも法理上は可能、という判断を発言されたのだとか。もっとも、その判断は、昭和31年に時の鳩山内閣がされたもので、それを代々踏襲してきた、ということなのでしょう。ただ、自衛隊によると法理上で可能であっても、実戦力として先制攻撃を想定した装備や訓練をしてきてはいないので、事実上は不可能だ、との見解のようです。やろうと思えばできるけどやらない、というのと、やろうと思っても出来ない、というのでは、結果としてどちらもやらないにせよその影響力は明らかに異なります。むしろ法理上は無理かもしれないけどやれる実力はある、という方が、現実的に対処できる幅が広がるんじゃないでしょうか? 装備も訓練も今日言って明日整うような性質のものではありませんが、やるやらないの判断は、それこそ政治決断で1日で出来る話です。まずは自衛隊の実力を、先制攻撃可能なところまで引き上げておくこと。その上でそれを使えるようにするのかどうかをその時々の国民、ひいてはその代表者たる政治家が、判断すればよいのではないでしょうか?

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核には核、ととりあえず議題にあげて侃々諤々やってみるだけもしてみてはどうかと思います。

2009-05-25 22:00:40 | Weblog
 最近の天気予報は、どうも当たりませんね。雨、と聞いたから備えていたら一滴も降らなかったり、晴と聞いてあれもやろう、これもやろう、とてぐすね引いていたら、ざざっと降ってきて予定が全ておじゃんになったり。局地的に天気が急変しているせいなのでしょうが、はずれを引く回数が増えると、どうしても当たらない、とイメージしてしまいがちになります。気象庁や天気予報会社の方々は大変でしょうが、可能な限りきめ細かく予報の精度を上げていって欲しいと切に願います。

 さて、最近の天気と同じくもう一つ動向の読めない隣の国が、ついに核実験を成功させたのだそうな。規模にしてファットマン級。前回のは成功成功と自画自賛するばかりだったような記憶があるのですが、今回はどうやらちゃんと破裂させたようで、そのときの特有の地震波が観測され、大気中の放射性物質の調査など、我が自衛隊も精力的に行っているのだそうです。あのお国が、というよりあの国の総大将がアメリカと対等に口を利きたがっているのが間違いないのでしょう。アメリカに振り向かせるために、対等を誇示できる力を欲しており、それが自称ロケットやら核実験やらに結実しているということなのでしょうから、あの国に顔を向けさせるには、それなりの相手にさせるための力を見せないといけない、ということになるのでしょうか。そうなると、前々から拉致被害者の話を何とかしたいわが国としては、やはり相手に相応の力を見せ付けてやる以外に、話を通す方法はないのかもしれません。
 いっそのこと、この際、わが国も核武装を本気で考えてみてはどうでしょう? 実際に装備しなくても、わが国の技術力からすれば、ちょっと本気出せば恐らくあっという間に実弾製造できたりもするでしょうし、するかどうかは別にして、H2Aロケットならそんな実弾をちゃんと搭載もできでしょうから、そういった可能性をちゃんと吟味して、原料の入手から製造までの技術的な課題を抽出・整理しつつ、一方で政治的課題として議論するくらいはやってみてもよろしかろう、と思うのです。核武装するかどうかは最終的には国民の判断になるでしょうし、反対なら反対でも一向に構いませんから、とにかく大いに議論を盛り上げつつ、国民的総意を明らかにするために、その是非を問う国民投票なり、選挙なりをやってみてはいかがでしょう? 全く核の話をすることすらはばかられる、というのはやっぱり病的な反応だと思いますし、核のことをもっと国民みんなで勉強してみてはと思います。そもそも、国民の何人が、原子爆弾、という兵器について正確な知識を有しているでしょう? かく言う私も、物理的原理とか広島型、長崎型の発火の方法の違いとかその威力とか位はある程度知識として持っているつもりではありますが、最新の核兵器事情はよく知りませんし、一口に核兵器、といっても、多分今は実に様々なものがあると想像されますから、そういったところからでも正確な知識を国民一般に常識として知るべきなんじゃないか、と、思います。これは、ある意味いい機会なんじゃないでしょうか?

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早く年寄りになりたい、と若いころは結構真剣に考えておりました。

2009-05-24 22:50:16 | Weblog
 今日は上空に強い喚起が入り、雷を伴った局地的な大雨のおそれあり、ということだったのでそれなりに警戒していたのですが、結局うちの方はまるで降らないまま、雲ばかり分厚く流れていって蒸し暑いだけの、何か損をしたような一日でした。雨を警戒して作業も大して進めることが出来ないままでしたし、局地的な予報がもっと正確に出るような時代に、早くなって欲しいものです。

 さて、昨日に続いて連載小説「向日葵の姉妹達」をアップいたしました。今日の分は少し文章量多めになりましたが、途中で切って次回に回すにはさすがに中途半端なところでしたので、思い切ってそのまま載せました。
 ようやく黒幕の正体が明らかとなり、その焦点ともいうべき黒髪の「ROM」こと佐緒里嬢の紹介まで進みました。もちろんただの娘さんではないのですが、それはまたおいおい来週くらいに披露することになるんじゃないか、と思います。
 それにしても、私はどういうわけか昔から老人を出すのが好きで、同年代前後の男性を描写するよりも、ずっと年上の人達の方がなぜか書きやすかったりします。
物語でもお年寄りの活躍する部分というのは結構好きで、指輪物語の魔法使いガンダルフとかハリーポッターのダンブルドア校長なんていうのが一種の理想像として捉えていたりします。他にもたとえばジョジョの奇妙な冒険Part3のジョセフとか、映画「ベストキッド」のミヤギとか、基本的に、並みの若者では太刀打ちできないほどの実力があって、懐深く若者を導く老賢人、というのが理想のようです。その一方で死神博士(麗夢のライバルじゃなくて、ショッカー大幹部の方)なんていうのは心底ほれ込んでしまいそうなほど好きですので、善人であることはそれほど重要な意味合いがないのかもしれません。
 この年寄り好きは、おそらくは古典に親しんだりしているうちに、私自身考え方が古めかしくなっている部分があるのも、親しみを覚えるところなのかもしれませんし、記憶にある祖父のイメージが重なっている所も多々あるような気もいたします。
 少しずつ自分の年がこれら理想と仰ぐ年寄り達に近づいていき、いまやそれがそれほど遠くない、いずれ手の届くと実感できる頃合になってきているわけですが、果たして自分がこのような年寄り達と同じくらい経験と知識とを積み重ね、多少のことには動じない胆力と落ち着いた雰囲気をかもし出せるようになっているだろうか、と考えると、まだまだ心もとない気がしてなりません。まあ理想はあくまで理想、そうそう現実が追いつけるものではありませんが、そんな老人達を描き続けながら、いつか自分もそういう列に並ぶことの出来る人物になりたいものだ、と考えているのです。

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07 復活計画 その2

2009-05-24 09:33:54 | 麗夢小説『向日葵の姉妹達』
 そんなこんなを考えつつも再びうとうととしかけたとき、突然どこからか二度と忘れないその声が語りかけてきた。
『綾小路麗夢さん』
 麗夢は、たわめたバネがはじけるようにベットに起き直った。
「ヴィクター博士をどうしたの!」
 開口一番、まずは一緒に拉致されたヴィクターのことを口にする。この部屋には看視カメラや盗聴マイクがしかけてあるに違いない。うら若き女性の寝姿をのぞき見しようなど、許し難い破廉恥漢である。その怒りを感じ取ったか、マイク越しの老紳士の声の調子は、確かに内心の反省を伺わせるに足る丁重さに満ちていた。
『ヴィクター博士はもちろん十分におもてなしさせてもろてます。それよりもあなたにはほんに申し訳ないことをしました。あなたがあの麗夢さんとはつゆ知らなかったんです。この通り謝るよって、どうか許してもらいたい』
「あなたは誰? 何故私の名前を?」
『あなたの令名は、松下はんや大豪寺君達によう聞いてました。一体どんなお人やろうと、わしも一度お目にかかりたい思てました。でも今日こうしてお会いすることができて、実に光栄です』
「そう思うなら、私の前に姿を見せなさい!」
 ぴしゃりと言い放った麗夢に、老紳士はさも申し訳なさそうに言った。
『おお、これは気づきませなんだ。どうかそのまま部屋を出て右の突き当たりまで来て下され。ヴィクター博士と一緒に、私もおりますよって』
 麗夢はベットから立ち上がると、愛用の靴がないことに気が付いた。ドア近くのボックスに置いてあったのは、確かによく似てはいるが、明らかにさっきまで足にしていた物と違う。第一いかにも今棚から下ろしてきましたと言わぬばかりの、新しい靴である。不審げに靴を手にした麗夢に、老紳士がまた声をかけてきた。
『申し訳ないんやが、靴を片一方失うてしまいましてな。急いで出来るだけそっくりなのを捜したんやがそんなものしかなくて、悪いんですが、それで我慢願いますか?』
 麗夢はふぅ、とため息を一つ付くと、靴を降ろして足を入れた。思ったよりもすっと足にフィットして、少しだけ麗夢は気を取り直した。
 いざ! と気合いを入れてドアノブに手をかけ、ぐいと引く。ドアはなんの抵抗もなくすっと内側に開き、麗夢をその部屋から解放した。
 そっと左右に目をやると、まさにホテルのフロア然とした廊下が両側に延びている。
 人気はない。
 だが、ずっと感じる視線は、間違いなく今も麗夢を監視する老紳士達の目が光っている証拠だろう。
 思わず左に進んで様子を見てみたい衝動に駆られた麗夢だったが、銃もなく、ヴィクターの行方も判らない現状では、闇雲な行動は控えるより無かった。
 結局言われるままに右に進路を取って、奥へと進む。廊下は20歩も行かぬ内に一枚のドアによって遮られ、そのまま袋小路になっていた。こうなったら突き進むしかない。麗夢は改めて気合いを込めると、ドアノブを手にしてぐいと押し込んだ。かちゃり、と建て付けのよさを誇るような小さな音がして、すっとドアが開いた。
「麗夢さん!」
 ドアの向こうには、今朝と印象が違うヴィクターの姿があった。背中越しに振り返る顔を見ながら、麗夢はそれが眼鏡が違うせいだと気が付いた。どうやら麗夢が靴を無くしたように、ヴィクターも眼鏡を落としてしまったらしい。
「ヴィクター博士、お怪我はありませんか?」
「ああ、僕は大丈夫だ。それよりあなたは?」
「私も大丈夫よ。それよりこれは一体?」
 麗夢は油断無く辺りに気を配りながら、その部屋に入った。ヴィクターから目を離し、部屋をざっと見聞する。広い部屋は一種の会議室の様である。20人くらいは余裕でかけられる、楕円形のドーナツ型をしたテーブルが真ん中に据え付けられ、リクライニングの効くイスが、その周りを何脚も取り囲んでいる。部屋の右側が一面大きなカーテンに仕切られ、天井は明るい蛍光灯が何列も並んでいる。
 そしてその一番奥の席に、麗夢は目指す人物を捉えた。麗夢はテーブルを挟んで近づくと、イスに深々と腰掛けるその老紳士に言った。
「あなたは何者なの? 私たちを捕まえて、何をしようと言うの?」
「僕から紹介しよう、麗夢さん」
「え?」
 ヴィクターが部屋を横断して、老紳士の脇に立った。
「彼は真野昇造。真野製薬の会長であり、再生医療研究所を初めとするバイオテクノロジー関連の、ベンチャーキャピタルを手がける財団の理事長だ。それに、僕の所属する学会のスポンサーでもある」
「真野、昇造……」
 名前だけは聞いたことがあった。日本経済に隠然たる影響力を誇る関西財界の老雄。気取らない関西弁で、歯に衣着せずまくし立てる論客としても知られている。麗夢自身が会うのはこれが初めてだが、なるほど、麗夢の顧客でもある大豪寺氏を「君」付けで呼ぶ訳である。
「初めまして、ドリームハンターの麗夢さん」
 ヴィクターの隣で、好々爺然とした笑顔がぺこりと頭を下げた。およそ敵とは言い難いその態度に、拉致された側としては勢いを削がれること著しい。それでも麗夢は怒りをかき立てて、一歩一歩テーブルに歩み寄った。
「こちらこそ初めまして。こんな形でお会いしたのでなければ、私もお得意様を一人増やせたと素直に喜ばせていただいたでしょうけど……」
 バンっ!
 麗夢はテーブルの際まで辿り着くと、形相凄まじく両手を思い切りテーブルに叩き付けた。
「これまでの仕打ちははっきり言って許せないわ!」 
 円光や鬼童なら肝消し飛んで、這い蹲って許しを請うたに違いない。ヴィクターもさすがにびくっと肩を震わせて、端正なマスクが引きつっている。だが、当の真野昇造は、少なくとも表面上、何の痛痒も感じていないようだった。
「お怒りはごもっともや。この通り、お詫び申し上げる」
 真野はにこやかな笑みを納め、テーブルに頭をつけた。
「誠意が足らんとおっしゃるなら、土下座でもなんでもお望みの通りいたしましょ。じゃが、どうかその後で、この年寄りの最後の願いに、耳を傾けてくれんやろうか」
 あまりに素直な真野の姿勢に、再び麗夢の怒りが水を差された。不完全燃焼のくすぶりを覚えつつ、麗夢は言った。
「最後の願い?」
「そう。わしのたっての、そして生涯最後のお願いじゃ」
 真野昇造はそう麗夢に告げると、手元のインタホンのスイッチを押した。少し顔を近づけて、二言三言呟いてからボタンから手を放す。すると、今麗夢が入ってきた扉がまた開いた。何? と振り向いた麗夢は、自分の背後に再びあの少女を見たのである。
「やっぱり、ロムそっくり……」
 艶やかな黒いストレートヘアの美少女が立っていた。車の後部座席にいたときと同じ清楚な白のワンピースを身にまとっていたが、その顔立ちや背格好は、グリフィンと戦ったときに出会ったROMと、寸分の狂いもない。
「紹介しましょ。儂の孫娘の佐緒里や」
「え? 佐緒里?」
 麗夢は驚いて真野を見返した。その間に真野から佐緒里と紹介された黒髪のROMが、すっと老翁の元に歩み寄り、ヴィクターの反対側に立ち止まった。
「貴女はこの子をROMという名前で呼ばはりましたな」
 真野は手を組んでテーブルに置くと、表情を改めて、頷く麗夢に告げた。
「実はこの子は、そのROMでもあるんですわ」
「おっしゃることが判りません。一体どういうこと?」
「少し長うなりますから、どうぞ掛けて下され」
 真野はそう言うと、手を机に突いたまま仁王立ちしていた麗夢にイスを勧めた。
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国会でのヤジ、ようやく自粛しよう、という動きが少しでも出てきたのは同慶の至りです。

2009-05-23 21:50:30 | Weblog
 今日も一日結構な暑さと感じましたが、ひたすら片付けに専念して体を動かしていたからなのかもしれません。別に新型ウィルスが怖いからではなく、ホコリでクシャミが止まらなくなるので一日中マスクをつけっぱなしだったのも、暑さを感じさせられた一員といえるでしょう。それにしても、今の時期いくら周囲の目が怖いからといって、マスクをしたまま出歩いたりするのは結構つらいものがあろうと思うのです。それを知ってか、あるいは各国でわが国の過剰反応振りやその一方で休校の学生達が暇をもてあましてカラオケなどにたむろっている光景などが面白おかしく報道されていたからなのか、厚労省はようやく、マスクは感染者がウィルスを撒き散らすのを抑えるために有効だから、人ごみの少ないところではかかってないヒトはマスクはしなくていいよ、と呼びかけるに至りました。ところがその一方で私鉄各社は車内ではマスクをつけるよう客に要請する呼びかけをしているそうで、どうもその対応振りがちぐはぐとした印象を与えているような気がします。まあそんなこんなも後でじっくり戦訓として分析できればそれに越したことは無いので、いつかやってくる「本番」のために、色々と今のうちに試行錯誤しておいてもらいたいものです。

 さて、新党首も決まったところで、久々に国会で党首討論をやるのだそうですが、それに際して、お互いヤジを自粛しよう、という申し合わせを、与野党で取り交わしたのだそうです。今までも、閣僚から「ヤジで質問が聞こえない」との苦情が出ていたのだそうで、与党の方から「党首討論は落ち着いた雰囲気で行おう」と提案、民主党も「節度と品格をもった対応を徹底する」と受諾したとのこと。
 全く、今まで何をしていたのか、私などには到底理解に苦しむ話ですが、そもそも何故曲がりなりにも話し合いをする場でヤジなど許すのでしょう? ヤジを飛ばすような輩は、議長権限で議場から放り出すくらいのことは出来ないのか、と、日ごろ国会中継などを見たり聞いたりしていると苛立ちが募るのですが、聞くところによると「ヤジは議会の華」と言われるとか。ばかばかしい。仮にも選良と唱えられる大人のやることではありません。どこの会議で、質疑応答が聞こえなくなるほど勝手気ままな発言を許す場があるものか。国の最高議決機関だけが、我慢の出来ない駄々っ子のごとき馬鹿野郎どもを野放しにしているというのは、どう考えてみても国会の尊厳を損ない、自らの品位を貶める情けない姿をさらしているようにしか見えないではないですか。まあこれを機会に出来れば日常的に国会ではそういう下らない行為は慎むようになっていって欲しいものですが、あまり期待も出来そうに無いのが情けない限りです。

 ところで、ようやく新居での生活も落ち着いてきたところで、連載小説のアップを再開しようと思います。大分休んでしまったので、今日と明日、続けて上げる予定です。囚われの麗夢ちゃん、いよいよ黒幕と対決? という所ですが、その都度好き勝手書いている解説もどきは、明日改めて書くといたしましょう。
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07 復活計画 その1

2009-05-23 21:48:40 | 麗夢小説『向日葵の姉妹達』
 鈍い頭痛を伴いながら、麗夢はゆっくりと目を醒ました。
なぜ自分はどうして寝ているのか。
 まだ動き始めたばかりの頭は、ぼんやりして事態を把握出来ないでいる。
 麗夢は上体を起こして薄暗い室内をゆっくり見回した。
 寝ているベットはもちろん、見覚えのない調度類が、無言で麗夢の目覚めを見つめている。
 一体ここはどこなのか。
 そして、一体何があったのか。
 いつも一緒にいるアルファ、ベータの姿もない。いや、姿だけでなく、その気配すらない。
 普段は、たとえどこか物陰に隠れていたとしても、二匹がいれば麗夢にはその存在を感じ取ることが出来る。時折麗夢の目を盗んで冷蔵庫の中身をつまみ食いしている二匹だが、気配を消したつもりでも、麗夢にはそれとなく感じられてしまうのだ。だからこそ三回に一回くらいは、「こらっ!」と怒って見せたりもできるのである。従って、今その気配が全く絶えて感じられないと言うことは、二匹が、現在麗夢の手の届かない遙か遠くへ離ればなれになっていると言うことである。
 麗夢はその事に漠然と不安を募らせながら、無意識に左脇に吊したホルスターに手を伸ばした。が、それもまた麗夢の焦燥を募らせることしかできなかった。冷たい存在感を示して安心を与えてくれる愛用の銃が、消えて無くなっていたのである。はっとなって寝ていたベットの上を見回してみても、目当ての物が落ちている様子はない。まさかとポケットを探ってみた麗夢は、すぐに携帯電話も財布も失ったことに気が付いた。明らかにしてやられたらしい。麗夢はそれ以上失われた物を捜すのは諦めて、改めて周りを見回した。
 部屋は見る限り、少し高めの金額に設定されているビジネスホテルのシングルルームに見えた。セミダブルのスプリングが良く効いたベットに清潔なシーツが掛けられ、向かい側に、まるで開けると聖書とご利用案内が入っていそうな引き出しが付いた、作りつけのテーブルとスタンドが置いてある。壁には大きな姿見が貼り付けてあり、出入り口は頑丈なスチール製のドアになっている。ドアの脇にはクローゼットの扉が見え、その向かい、ベットの後ろに当たるところの扉は、恐らくユニットバスであろう。壁紙や天井は圧迫感を覚えないようベージュに統一され、全体にゆったりとした雰囲気にまとめられてはいるが、華やかさとか美しさとはあまり縁が無い、実用一点張りの調度品類であった。だが麗夢は、ホテルなら必ずあるはずの、テレビと電話が無いことに気が付いた。壁際の窓に手をかけてみたが、頑丈にロックされている物と見えてぴくりとも開けることが出来ない。つまり、外部の状況を知ることもできなければ、誰かに連絡を取ることもできない。完全な監禁状態に置かれていることに、今更ながら気づいたのだった。
 一通り部屋をチェックした麗夢は、再びベットに戻って投げ出すように腰を下ろした。一体今が何時なのか、あれから何時間、ひょっとしたら何日も経ったかもしれない。失踪したシェリーは一体どうしてしまっただろう。ヴィクター博士も無事でいるのだろうか。鬼童、アルファ、ベータは?  アルファ、ベータなら、きっと自分が生きている限り必ず見つけだしてくれるだろう。今はその時に備えて体力を温存するのが、麗夢に出来る唯一のことであった。
 そのままぱたりと仰向けになった麗夢は、染み一つ無い天井を見つめながら、シェリーを連れ去った謎の少女のことを思い浮かべていた。
 聞き込みした外観から想像される姿はただ一人。
 苦心惨憺の末破壊した、スーパーコンピューターグリフィンの三次元インターフェースROM。
 脳裏に浮かぶその姿は、もちろんただ想像しているからこその一致とも言える。実は似ても似つかぬ全くの別人と言うことも、当然ながらあり得るわけだ。
 と、そこまで考えて、麗夢は苦笑を漏らした。
 全くの別人に決まっているではないか。ROMは所詮プログラムに過ぎない。いくら存在感溢れる挙措を示そうと、彼女がコンピューターの中から現実世界に飛び出してくることはない。せいぜい人の夢に姿を現すだけで、実在する一人の女の子と手を繋いで歩くなんてこと、到底できっこないはずなのだ。
(でも、じゃああのROMは一体……?)
 麗夢は、自分がこうして無様にも捕まることになってしまった原因を思い起こした。
 黒塗りの高級リムジン後部座席に収まった一人の少女。
 確かに髪の色や服装は違ったが、その少女はまさにROMそのものに見えるほどよく似ていた。
 そして、突然ヴィクター博士を捕まえようと話しかけてきた老紳士。彼はこちらがロムと口を滑らせたのを聞いて、確かに言ったのだ。
「お嬢さん、何か知ってはるようやね」と。
 つまりあの老紳士は、ROMのなんたるかについて、何かを知っていると言うことだ。あのアクセントからしてもこの地元大阪の人間に違いないと思われるが、ROMの起こした騒ぎは東京に限定されていたというのにどうしてその事を知り得たのか、それも不思議と言えば不思議なことであった。
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今日はいわゆる厄日でした。

2009-05-22 22:48:07 | Weblog
 昨夜、携帯のマナーモードを解除してあったのを忘れてそのまま寝てしまったところ、夜中の12時半に鳴り響いたいきなりの着信音に叩き起こされました。寝ぼけ眼に携帯を開いて見れば、見たことのない番号が表示されています。多分掛け間違いなのだろう、と判断して一端切り、マナーモード設定にして寝ようとしたらまた着信、その時のバイブレーションがうるさくて、結局電源を落としてやっと寝ることが出来ました。真夜中に電話をかけてくるなどなんと非常識な輩もいたものだ、と憤慨することしばし、イマドキの人たちの中には宵っ張りのヒトも結構いて、私などとっくに夢の国を放浪している頃合にも、元気に(?)活動していることも珍しくないのだろう、と思い直し、それ以上ぷりぷりするのはやめにしました。そのままでは興奮のあまり入眠の妨げになりそうでしたし、いくら怒ってみても改めてかけ直して文句の一つも言うような元気もありませんし。でも、他人や世間がどうあれ私の生活時間では、夜は寝る時、と決まっていますので、携帯の電源はちゃんと落として寝るように今後は徹底しようかと思っています。

 別にそんな事があったから、ということもないとは思うのですが、朝、朝食の準備をしていたらいきなりゴキブリと対面して一騒動やらかしましたし、出勤途上の信号では、待ち時間が長いのに限って目の前で赤に変わってくれましたし、対向不可の細い道で決まって対向車が現れ、何度もバックを余儀なくされましたし、なんだか一日、致命傷にはならないものの、何かと細かなトラブルが連発して、閉口いたしました。まあ年に一度くらいはそういうどうしようもない日、というのもあるものですが、なんとなく昨夜の携帯がその契機になったような気がして、どこかで厄払いでもしておかないとおちおち眠ることもままならない感じです。
 とりあえず、「スレイブヒロインズ」届いたのでこれでも読んで1日の締めといたしましょう。・・・相変わらず麗夢XX以外観るべきものも無い本ではありますが。

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こちらでは、ヒトもPCもウィルスで大騒ぎになりました。

2009-05-21 22:28:30 | Weblog
 引越しでばたついているせいか、時の過ぎるのもあまり意識しないでおりましたが、気がつけばもう5月もあと10日ばかり。いい加減引越し後のお片づけもけりをつけて、名実ともに、日常生活へ回帰したいところですが、難儀なことに、なかなか思うようにもいきません。そろそろ夏に向けて新作執筆も再開せねば、と少々気がせいて参りましたが、日常生活によってかもし出された混乱ならいざ知らず、非日常とも言うべき荷物の山に囲まれていては、思うように書き物だけに熱中するわけにも行かず、じりじりと時の過ぎるのを見送るばかりです。コミックトレジャーにエントリーするならぼちぼち考えていかないとならないのですが、ほんと、何とかしないといけません。

 さて、現実世界でも連日新型ウィルスで大騒ぎですが、PCの中でも、最近はUSBメモリを介して広がったり、一見なんでもないサイトを開いただけで仕込まれたりするような厄介なウィルスの類がはやっているのだそうです。先日も、職場のとある部署でUSBメモリによって持ち込まれたとおぼしきウィルスがその区画のネットワーク全体に蔓延し、結構大変な騒ぎになっております。通常のセキュリティでは、感染したことは感知できるようですが、感染を阻止したり、感染したものを駆除したりする機能はないようで、結局感染したPCは一旦ネットワークから切り離し、担当のものがいちいちウィルス駆除のための措置を講じているそうです。そのおかげで今、こちらまでそのとばっちりを食ってUSBメモリ使用禁止令まで出て、これでまともに仕事になるのかしらん? と疑問に感じつつも、命令は命令ですので、一応その通りにしております。
 それにしても、面倒な世の中になったものだとつくづく思わされます。うちのシステムとか、大手企業のもののように、日常気をつけていても感染するときにはあっさり防壁を突破されるのですから、日本中、あるいは世界中にごまんとあるPCのなかでも、3匹の子豚のうちの2匹の家並みのセキュリティレベルしかない多数の家庭用PCには、すっかり蔓延しているんじゃないでしょうか? しかも、ヒトなら治癒後ある程度の免疫が出来て次の感染には抵抗力が生じるものですが、PCのウィルスは、かかったからといって自然に治癒することも無ければ免疫がつくわけでもありません。ひとえにウィルスの駆除ソフトやシステムの脆弱な部分を強化する修正プログラムなどに頼らざるを得ず、それは、手間隙とお金をかけて、別途ヒトの手で作り出すよりないのです。いっそ人間の免疫システムでも模倣したような抗ウィルスプログラムでも出来ないものか、と思うのですが、そういう研究はどっかでやってないものでしょうか?

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