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暴走安倍政権に立ちはだかった法学者の矜持

2015年08月09日 18時12分04秒 | 社会全般
戦後初の合衆国合同議会演説の栄誉に浴した安倍総理は、安保関連法案を夏までに成立させると高らかに宣言し、意気揚々と帰国した。

これを受けて、法案の国会提出は順調に進められた。ゴールデンウィーク明けの5月下旬には公式の総理会見を行い、授けられた必要性についての説明―あくまで政権の独自解釈に基づくもの―を国民に強調した。
この時、安倍総理は法案成立の意気込みは並々ならぬものがあり、成立への自信に充ち溢れていた。雑音程度にしかならない少々の批判は、踏み潰せると感じていたことだろう。所詮は多勢に無勢だ、圧倒的多数派であり権力を握っているのは、俺なんだ、と。そうした攻撃的姿勢は、国会の委員会答弁でもしばしば顕われていた。


安倍総理が有頂天になり、不適切発言が目立ち始めたのでクギを刺されたわけだが、影響は微々たるものとしか感じられていなかったろう。審議時間だけかければ、中身がどうであろうと成立は時間の問題だった。新たな障害があるとは、誰も想像もできなかった。


しかし、法案成立を強行に押し進める安倍政権の前に、思いもよらない敵が立ち塞がったのである!

法案審議とは直接関係のない、6月18日の憲法審査会において、3名の法学者が国会に呼ばれていた。
長谷部恭男、小林節、笹田栄司の3教授(小林節は名誉教授らしい)であった。


彼らが一様に口にした言葉は、今国会に提出されている安保関連法案は「違憲である」というものだった。

中でも、長谷部教授は自民党推薦で呼ばれていた法学者であり、彼の政権批判ともとれる「違憲」との発言は、重大なインパクトを与えた。小林節慶大名誉教授も時に改憲派と目されたこともあるので、違憲と断じた発言は意外にも影響力があったのである。


もしも、あの3名の勇気ある発言がなかったら、安倍政権は苦もなく関連法案を通過させていたかもしれない。
法学者としての矜持を示したのが、あの憲法審査会だったのだ。


この日を境に、法案への抗議や反対意見が相次ぐようになったのである。全国の大学教官など多数が反対表明を行うなど、抗議活動が広がっていった。そして、大学生や高校生といった若い世代からも、強い反対の声が上がりはじめたのだ。


政府に逆らい、時の権力者に逆らうことがどれほどの苦難を伴うかは、想像に難くない。マスコミだって、攻撃してくるやもしれぬ。僅か3名の個人が、批判の矢面に立たされて、政権と対決せねばならないとなれば、勝ち目は無きに等しい。

けれども、3人は怯まず「違憲である」と述べたことが、多くの人々を勇気付けることになったのである。ここまで反対機運が高まる結果をもたらしたのである。他の反対表明の先鞭となったのである。


拙ブログでは、常々法学者に対して厳しい批判をしてきたが、今回ばかりは感謝を申し上げなければなるまい。
また、法の力、学者の言葉の力を、まだ信じられる部分があるのかもしれない、と感じている。最初に立ちあがる者は、とても苦しい。その勇気と意志を讃えたい。




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