内田先生が観たフランス映画は、『ヤマカシ』。これは「ゴマカシ」。似て非なるもの。
全然関係なかった。失礼。
まずコレ>中日新聞ホームページへようこそ
(記事より一部引用)
昨年末に公表された新たな人口推計に基づく試算。04年の年金改革の際より合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供数の推計値)が低くなったものの、政府が04年当時に維持可能だとした所得代替率50・2%を上回る結果となったのは、景気の回復や好調な積立金の運用を反映したためだ。前提条件によって数値が変わる微妙な結果ともいえ、国民の関心の高い年金問題だけに、論議を呼びそうだ。
06年度のモデル世帯の年金受給額は22万7000円で所得代替率59・7%。試算によると、代替率は徐々に低下するが経済成長が順調な「基本ケース」では(1)出生率が1・55まで回復すれば20年度以降の代替率54・2%(2)新人口推計通りに1・26だと26年度以降51・6%(3)1・06まで落ち込めば31年度以降49・4%-となる。一方、01-02年ごろの経済動向を踏まえた04年当時の経済見通しのまま、同様の出生率を当てはめた「参考ケース」では(1)29年度以降50・3%(2)35年度以降46・9%(3)38年度以降43・9%-になるとした。
年金財政は、受給者と支え手の人口構成、保険料収入や積立金の運用に影響する経済動向などに左右される。従来は、50年の合計特殊出生率が1・39になるとの見通しだったが、新人口推計では55年に1・26になるとの予測だったため、新たな年金財政試算が行われた。また、経済見通しは、1月に内閣府が発表した「日本経済の進路と戦略」に準拠。「11年度に名目成長率3・9%を達成」と仮定し、長期的な実質成長率を1・0%としている。
中々うまいこと試算していますよね。新たに「基本ケース」と名付けるのも妙味がありますね。何で04年推計の基本線を「基本ケース」と名付けないのか不思議です。厚生労働省の試算というのは、「100年安心、これで大丈夫なんだ」と言っていた割には、たった2、3年で前提条件もあれこれ入れ替える、適当な試算なんですか?(笑)年金試算は技術的に「難しい」というのは判るよ。でも、国民に約束した以上、その責任を負うべきだし(勿論法案可決した国会議員たちもだ)、「計算結果」というのがどれほど重要な意味を持つのかわかっているはずだろう。この前そのことをちょこっと非難したんですけれども(個人消費のこと)、官僚にありがちなのは「過去の失敗」を隠しておきたい、ということなのかもしれんね。間違いだった、ということを決して認めることをしないのが官僚という人種らしいから(←印象論)。
こうして見ると、官僚の傾向ってのがよーく判ります。そういう卑怯さは、見ていて滑稽でもありますね。官僚がこれまでやってきた「過去のこと」を多くの人々に知られたくない、中身を隠そうとする、ということですわな(笑)。都合の悪い発表なんかを隠蔽するという体質なんですよ。小心者というか、小賢しいのか、いい子ぶるのか、自分の名声’だけ’は守りたいってことなのか、何なのか全く判らんのだけれどね。これって、まさしくデジャビュみたいな気がするね。
脇道に逸れましたが、まず、厚生労働省の資料を見てみると、ホントなの?と思える部分はありますね。
長期の設定(2012以降~)はこんな感じ。
今回基本ケースと呼んでいるのは、物価上昇率1.0%、賃金上昇率2.5%、運用利回り4.1%となっており、04年改正時点での設定を今回は「参考ケース」と呼び、物価上昇率は同じ1%、賃金上昇率は2.1%、運用利回りは3.2%だった。この運用利回りについても、全然達成できてないじゃないか、ということを指摘したことがあるが、「いつかいい時も(多分)ある」というようなご意見だったような気がする(本当か?)。昔のことは措いておくとして、この長期設定のポイントは2つ。
①賃金上昇率が2.1→2.5%へと強気設定
②運用利回りは更に強気で+0.9の4.1%
次に足下の設定を見てみよう。
06年は既に過ぎたので、物価上昇率0.3%、賃金上昇率0%、運用利回り1.7%、と大体「実態に近い」数字となっている(笑)。皆さんにもよく知っておいて欲しいのですが、これが実力ってことですから。で、07年以降に並んでいる数字を見ると・・・・
物価上昇率は08年から11年まで1.2~1.9%という見通しです。割と強気。日銀さんは、厚生労働省に何か言ってやれば?(爆)
賃金上昇率は今年いきなり2.5%達成、これが4.1%まで行くという「超ブル」モードです。マジ?団塊世代が大挙して退職すれば、雇用需給は引き締まるかもしれんが、まだまだ失業率は高いし非正規雇用者は多いからね。果たしてここまで賃金上昇が達成できるのか不明ですね。運用利回りもかなり強気で数字を出しているが、本当にそれが達成可能なのでしょうか?あんまり信用できないな。
ここでもポイントは
③賃金上昇率が高い
④運用利回りも高い
ということなんですよね。これら①~④が見込みとしてどうなのか、というのは疑問は残る。よっぽど「上げ潮」になってないと無理なんじゃないか?(笑)本当に日の出の勢いでライジングになっていかないと難しいよ(内閣府の見込みが悪い、って批判もできるかもね、特に財政再建一派からすると)。
あと、所得代替率とか言うのも、夫が40年一定に働き、妻は専業主婦で貰える年金額が基本だから、独身で過ぎた人にしてみれば、代替率はずっと少ないはず。年俸300万円(平均月給25万円)程度の手取り賃金の人が貰える年金額は15万円以下ってこと。共働き世帯で、妻が結婚前と子育て後に合わせて25年以上正規で勤務していても、やはり年金額は代替率は50%以下だ。更にマクロ経済スライドで受取年金額は減額される可能性が高い。なので、「50%を約束します」なんていう言葉は、ほぼウソなのだ。
机上の計算では、保険料は全部入ってくることになっているのだろうし、未納にかかる徴収費用がどれほど計算されているのか不明だが、現実には未納はかなりあるし免除も勿論あるわけで、将来は生活保護とかであっても面倒を見ていかねばならない。そういうのがどの程度織り込まれているのか、ということも疑問ではある。
更に、人口推計の数字を見ると、2055年の前提は総人口8993万人、65歳以上の老年人口3646万人(40.5%)、生産年齢(15~64歳)人口4595万人(51.1%)、15歳未満の年少人口752万人(8.4%)ということだ。これはどういうことか?
主に、生産年齢人口が「働いて稼ぐ、税金を納める、保険料を払う」という世代であるとしよう。生産年齢人口のうち、15~24歳程度の人たちは殆どが働いていないだろう、きっと。学校に行くからね。今後大学院やロースクールみないな教育を受ける人々が増加する可能性が高く、これまで以上に労働に参加する時期は遅くなるだろう。となれば、15~24歳の人たちがざっと800万人と仮定(全く調べてないけど、年少人口の数と大きく違わないかな、ということで)すると、約4600万人のうち800万人が働いてない人ということになり、残りは約3800万人しかいないことになる。この3800万人の人たちが、「高齢世代」の年金や医療の面倒を見て、尚且つ自分達の下の世代約1600万人の人たちの子育て費用や教育費なども払わねばなりません。前に書いた(参考記事)3人で2人の高齢者の面倒を見るどころか、3800万人で3600万人の面倒をみることになります。ほぼ1:1、ということですな。そこにプラスして子どもたちの面倒を見る、ということなんですよ。
税金を投入すればいいとか、積立金があるから大丈夫、というのも、本当にそうなんだろうか、とは思うね。ほぼこれに近い状態を何十年と続けていかねばならんのだし。「日本の年金制度というのは、その制度の性質上、決して破綻することはない。何故なら、支える世代が払った年金保険料を高齢世代に回すだけだから」とかいう説明もあるらしい。そりゃそうだ。仰る通り。じゃあ、「1:1」対応で支えてごらんよ。それでも破綻せずに必ず払い続けられるんですね?
厚生労働省以外の数字はどうなのか、一応挙げておく。
新人口推計を契機に建設的な年金論議を(II)-「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」発表後の年金財政予測 RIETI 経済産業研究所
このシミュレーションは、厚生労働省の昔の「基本ケース」(今回のじゃないよ)に則って条件設定されている。なので違いがあるのは仕方がないだろう。
中身を見ると、厚生年金積立金残高推移があって、2006年中位推計マクロスライド2023年までのケースだと積立金が枯渇することになっている。これが果たしてどうなのか、というのは正確に評価できないが、重要なことが判る。それは、積立金運用益の利回り、そしてマクロ経済スライドの期間ということだ。
今後共済と統合されていくであろうが、各年金の積立金を全部合計すれば額が大きくなることは確かである。その巨額積立金をいかに運用するかによって、相当大きな違いが出てくるだろう。1%台という低レベルでは話にならない、ということなんじゃないか。ああ、でも年金資金で日本国債を買っておかねば買い手が不足するか。もしも償還された国債の資金で新規国債を買わずに、別な投資先に順次資金を振り向けるとすれば、国債の買い手が足りなくなってしまうか、ということだ。このあたりはよく判らない。
たとえば運用部隊として、国内のファンドマネージャーなんかで構成する「ドリームチーム」を結成してもらい、運用報酬をべら棒に高くしても何でもいいので(成功報酬制でいいと思うけど)、一定額の資金を与えて利益を出してもらった方がいいようにも思えるね。恐らくざっと200~230兆円規模の年金積立金が存在すると思われ、その1割くらいを投入してもいいと思うね。20兆円の巨大ファンド誕生、ということですよね。これを更に細かく分散して、日本国債以外に投資させる。VCに1兆円とか。株式市場に3兆円とか。ダメ?そんなに上手く行くなら、誰かがやってるか(でも、役人に金を持たせるとロクなことがないんだよね、本当に。必ず大損させられるから)。
年平均10%程度の利益を上げ続けると、積立金全体の運用利回りを1%近く押し上げることになり、すると持続可能性はかなり改善される。今後年金保険料が上がり続ける間は、年金積立金は増加していくはずで(厚生年金の取り崩し額は現時点でもかなりデカイけど)、その間にいかに運用利益を上げておけるか、というのが大事なんじゃないか。その後に訪れる超高齢社会に「持ってるモノ」が、多いか少ないかでかなり違うのでしょうね。
マクロ経済スライドに関しては、恐らくずーっと続けられるだろう。私は多分2050年までは生きていないと思うけど、今後65歳で受取開始(2031年)となり80歳(2046年)で死ぬとすれば、その間もずっとスライドになっていると思うよ。だって、無理だもの。払う世代はそんなに支えきれないと思うよ。それに行政の「暫定的措置」みたいなのって、面倒だから「このままやっとけ、どうせみんな気付かないから変えずに行っとけ」という感じが多いように思うね。なので、積立金枯渇を先延ばし可能にするスライドは継続されるだろう。
やっぱりこのままではイカンと思うよ。とりあえず年金財源だけ考えたとしても、まだ医療や介護の財源問題は残される。無年金者たちが生活保護とかの対象になれば、当然医療や介護も必要になるのですからね。
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(記事より一部引用)
昨年末に公表された新たな人口推計に基づく試算。04年の年金改革の際より合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供数の推計値)が低くなったものの、政府が04年当時に維持可能だとした所得代替率50・2%を上回る結果となったのは、景気の回復や好調な積立金の運用を反映したためだ。前提条件によって数値が変わる微妙な結果ともいえ、国民の関心の高い年金問題だけに、論議を呼びそうだ。
06年度のモデル世帯の年金受給額は22万7000円で所得代替率59・7%。試算によると、代替率は徐々に低下するが経済成長が順調な「基本ケース」では(1)出生率が1・55まで回復すれば20年度以降の代替率54・2%(2)新人口推計通りに1・26だと26年度以降51・6%(3)1・06まで落ち込めば31年度以降49・4%-となる。一方、01-02年ごろの経済動向を踏まえた04年当時の経済見通しのまま、同様の出生率を当てはめた「参考ケース」では(1)29年度以降50・3%(2)35年度以降46・9%(3)38年度以降43・9%-になるとした。
年金財政は、受給者と支え手の人口構成、保険料収入や積立金の運用に影響する経済動向などに左右される。従来は、50年の合計特殊出生率が1・39になるとの見通しだったが、新人口推計では55年に1・26になるとの予測だったため、新たな年金財政試算が行われた。また、経済見通しは、1月に内閣府が発表した「日本経済の進路と戦略」に準拠。「11年度に名目成長率3・9%を達成」と仮定し、長期的な実質成長率を1・0%としている。
中々うまいこと試算していますよね。新たに「基本ケース」と名付けるのも妙味がありますね。何で04年推計の基本線を「基本ケース」と名付けないのか不思議です。厚生労働省の試算というのは、「100年安心、これで大丈夫なんだ」と言っていた割には、たった2、3年で前提条件もあれこれ入れ替える、適当な試算なんですか?(笑)年金試算は技術的に「難しい」というのは判るよ。でも、国民に約束した以上、その責任を負うべきだし(勿論法案可決した国会議員たちもだ)、「計算結果」というのがどれほど重要な意味を持つのかわかっているはずだろう。この前そのことをちょこっと非難したんですけれども(個人消費のこと)、官僚にありがちなのは「過去の失敗」を隠しておきたい、ということなのかもしれんね。間違いだった、ということを決して認めることをしないのが官僚という人種らしいから(←印象論)。
こうして見ると、官僚の傾向ってのがよーく判ります。そういう卑怯さは、見ていて滑稽でもありますね。官僚がこれまでやってきた「過去のこと」を多くの人々に知られたくない、中身を隠そうとする、ということですわな(笑)。都合の悪い発表なんかを隠蔽するという体質なんですよ。小心者というか、小賢しいのか、いい子ぶるのか、自分の名声’だけ’は守りたいってことなのか、何なのか全く判らんのだけれどね。これって、まさしくデジャビュみたいな気がするね。
脇道に逸れましたが、まず、厚生労働省の資料を見てみると、ホントなの?と思える部分はありますね。
長期の設定(2012以降~)はこんな感じ。
今回基本ケースと呼んでいるのは、物価上昇率1.0%、賃金上昇率2.5%、運用利回り4.1%となっており、04年改正時点での設定を今回は「参考ケース」と呼び、物価上昇率は同じ1%、賃金上昇率は2.1%、運用利回りは3.2%だった。この運用利回りについても、全然達成できてないじゃないか、ということを指摘したことがあるが、「いつかいい時も(多分)ある」というようなご意見だったような気がする(本当か?)。昔のことは措いておくとして、この長期設定のポイントは2つ。
①賃金上昇率が2.1→2.5%へと強気設定
②運用利回りは更に強気で+0.9の4.1%
次に足下の設定を見てみよう。
06年は既に過ぎたので、物価上昇率0.3%、賃金上昇率0%、運用利回り1.7%、と大体「実態に近い」数字となっている(笑)。皆さんにもよく知っておいて欲しいのですが、これが実力ってことですから。で、07年以降に並んでいる数字を見ると・・・・
物価上昇率は08年から11年まで1.2~1.9%という見通しです。割と強気。日銀さんは、厚生労働省に何か言ってやれば?(爆)
賃金上昇率は今年いきなり2.5%達成、これが4.1%まで行くという「超ブル」モードです。マジ?団塊世代が大挙して退職すれば、雇用需給は引き締まるかもしれんが、まだまだ失業率は高いし非正規雇用者は多いからね。果たしてここまで賃金上昇が達成できるのか不明ですね。運用利回りもかなり強気で数字を出しているが、本当にそれが達成可能なのでしょうか?あんまり信用できないな。
ここでもポイントは
③賃金上昇率が高い
④運用利回りも高い
ということなんですよね。これら①~④が見込みとしてどうなのか、というのは疑問は残る。よっぽど「上げ潮」になってないと無理なんじゃないか?(笑)本当に日の出の勢いでライジングになっていかないと難しいよ(内閣府の見込みが悪い、って批判もできるかもね、特に財政再建一派からすると)。
あと、所得代替率とか言うのも、夫が40年一定に働き、妻は専業主婦で貰える年金額が基本だから、独身で過ぎた人にしてみれば、代替率はずっと少ないはず。年俸300万円(平均月給25万円)程度の手取り賃金の人が貰える年金額は15万円以下ってこと。共働き世帯で、妻が結婚前と子育て後に合わせて25年以上正規で勤務していても、やはり年金額は代替率は50%以下だ。更にマクロ経済スライドで受取年金額は減額される可能性が高い。なので、「50%を約束します」なんていう言葉は、ほぼウソなのだ。
机上の計算では、保険料は全部入ってくることになっているのだろうし、未納にかかる徴収費用がどれほど計算されているのか不明だが、現実には未納はかなりあるし免除も勿論あるわけで、将来は生活保護とかであっても面倒を見ていかねばならない。そういうのがどの程度織り込まれているのか、ということも疑問ではある。
更に、人口推計の数字を見ると、2055年の前提は総人口8993万人、65歳以上の老年人口3646万人(40.5%)、生産年齢(15~64歳)人口4595万人(51.1%)、15歳未満の年少人口752万人(8.4%)ということだ。これはどういうことか?
主に、生産年齢人口が「働いて稼ぐ、税金を納める、保険料を払う」という世代であるとしよう。生産年齢人口のうち、15~24歳程度の人たちは殆どが働いていないだろう、きっと。学校に行くからね。今後大学院やロースクールみないな教育を受ける人々が増加する可能性が高く、これまで以上に労働に参加する時期は遅くなるだろう。となれば、15~24歳の人たちがざっと800万人と仮定(全く調べてないけど、年少人口の数と大きく違わないかな、ということで)すると、約4600万人のうち800万人が働いてない人ということになり、残りは約3800万人しかいないことになる。この3800万人の人たちが、「高齢世代」の年金や医療の面倒を見て、尚且つ自分達の下の世代約1600万人の人たちの子育て費用や教育費なども払わねばなりません。前に書いた(参考記事)3人で2人の高齢者の面倒を見るどころか、3800万人で3600万人の面倒をみることになります。ほぼ1:1、ということですな。そこにプラスして子どもたちの面倒を見る、ということなんですよ。
税金を投入すればいいとか、積立金があるから大丈夫、というのも、本当にそうなんだろうか、とは思うね。ほぼこれに近い状態を何十年と続けていかねばならんのだし。「日本の年金制度というのは、その制度の性質上、決して破綻することはない。何故なら、支える世代が払った年金保険料を高齢世代に回すだけだから」とかいう説明もあるらしい。そりゃそうだ。仰る通り。じゃあ、「1:1」対応で支えてごらんよ。それでも破綻せずに必ず払い続けられるんですね?
厚生労働省以外の数字はどうなのか、一応挙げておく。
新人口推計を契機に建設的な年金論議を(II)-「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」発表後の年金財政予測 RIETI 経済産業研究所
このシミュレーションは、厚生労働省の昔の「基本ケース」(今回のじゃないよ)に則って条件設定されている。なので違いがあるのは仕方がないだろう。
中身を見ると、厚生年金積立金残高推移があって、2006年中位推計マクロスライド2023年までのケースだと積立金が枯渇することになっている。これが果たしてどうなのか、というのは正確に評価できないが、重要なことが判る。それは、積立金運用益の利回り、そしてマクロ経済スライドの期間ということだ。
今後共済と統合されていくであろうが、各年金の積立金を全部合計すれば額が大きくなることは確かである。その巨額積立金をいかに運用するかによって、相当大きな違いが出てくるだろう。1%台という低レベルでは話にならない、ということなんじゃないか。ああ、でも年金資金で日本国債を買っておかねば買い手が不足するか。もしも償還された国債の資金で新規国債を買わずに、別な投資先に順次資金を振り向けるとすれば、国債の買い手が足りなくなってしまうか、ということだ。このあたりはよく判らない。
たとえば運用部隊として、国内のファンドマネージャーなんかで構成する「ドリームチーム」を結成してもらい、運用報酬をべら棒に高くしても何でもいいので(成功報酬制でいいと思うけど)、一定額の資金を与えて利益を出してもらった方がいいようにも思えるね。恐らくざっと200~230兆円規模の年金積立金が存在すると思われ、その1割くらいを投入してもいいと思うね。20兆円の巨大ファンド誕生、ということですよね。これを更に細かく分散して、日本国債以外に投資させる。VCに1兆円とか。株式市場に3兆円とか。ダメ?そんなに上手く行くなら、誰かがやってるか(でも、役人に金を持たせるとロクなことがないんだよね、本当に。必ず大損させられるから)。
年平均10%程度の利益を上げ続けると、積立金全体の運用利回りを1%近く押し上げることになり、すると持続可能性はかなり改善される。今後年金保険料が上がり続ける間は、年金積立金は増加していくはずで(厚生年金の取り崩し額は現時点でもかなりデカイけど)、その間にいかに運用利益を上げておけるか、というのが大事なんじゃないか。その後に訪れる超高齢社会に「持ってるモノ」が、多いか少ないかでかなり違うのでしょうね。
マクロ経済スライドに関しては、恐らくずーっと続けられるだろう。私は多分2050年までは生きていないと思うけど、今後65歳で受取開始(2031年)となり80歳(2046年)で死ぬとすれば、その間もずっとスライドになっていると思うよ。だって、無理だもの。払う世代はそんなに支えきれないと思うよ。それに行政の「暫定的措置」みたいなのって、面倒だから「このままやっとけ、どうせみんな気付かないから変えずに行っとけ」という感じが多いように思うね。なので、積立金枯渇を先延ばし可能にするスライドは継続されるだろう。
やっぱりこのままではイカンと思うよ。とりあえず年金財源だけ考えたとしても、まだ医療や介護の財源問題は残される。無年金者たちが生活保護とかの対象になれば、当然医療や介護も必要になるのですからね。