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財政赤字を心配する前に

2008年09月25日 22時00分01秒 | 経済関連
お得意の豪語癖が治らない人もいるみたいだな(笑)。

はてなブックマーク - 中川昭一氏のためのマクロ経済学超入門 - 池田信夫 blog

ハイレベルの論争が行われているのかもしれないが、もしそうだとして、本当にハイレベルの経済学者たちや実務家たちが大勢であったのなら、こんな「惨めな金融危機」なんか起こらなかっただろう(笑)。理論的にこうなることが判っていながら、どうしてわざわざ1兆ドルを超える損失を出したり、米国の高額所得者層である金融業を壊滅状態に追い込むほどの失敗をせねばならなかったのか、疑問に思う。今の事態が「予測できなかった」というのなら、その程度の実力しか持たない人々しか存在せず、「その程度の論争」しかできなかったからなのではないか?
だからこそ、歴史ある名門の金融機関が破綻に追い込まれてしまったのだよ。そういうのを「ハイレベル」と呼ぶには、若干の抵抗がある。理論の精度が高められ、知識や技術の完成度が高くなればなる程、結果予測の確実性が増すものなのだから。そこまでには、まるで届いていなかった、ということが判明したに過ぎない。べら棒に高い授業料となってしまったが。

もっと低レベルでしかないはずの某池○あたりに「簡単に答えが判る」のであれば、誰も苦労はせんわな(笑)。どうせ思い込みでしかない、間違った解説だと思うけど。仮定に仮定を重ねて、自分の都合のいい辻褄合わせをやったところで、ほころびは必ずあるんだよ、きっと。ま、見るべき価値はない。



経済学の初歩として、所得と消費や投資等の関係式(恒等式)がある。

  所得=消費+投資+政府支出+純輸出*  …()


また、政府の支出超過額(=政府支出-税収、要するに財政赤字額)は次のように表される。

  政府支出超過額=(貯蓄-投資)-純輸出*  …()

*:純輸出=輸出額-輸入額、とりあえず面倒なので経常収支とはしていない(資本収支とか所得収支とか出るから)


今の状況を考えてみると、これまでよりも今期は景気が良くないので、①消費が減少する、②投資が減少する、更には円高の影響や世界経済不振などで③輸出が減少する、原油高などの資源価格上昇で④輸入が増加する、ということが考えられるであろう。そうなると、()式において、消費、投資、純輸出は全て減少し、政府支出が不変の場合には「所得は減る」ことになる。すなわち、マイナス成長は避けられない、ということだ。

また、()式において、具体的に数字を適当に入れて考えてみよう。

とりあえず、ある期には、
政府支出超過額=5
貯蓄=100
投資=85
純輸出=10
であったとしよう。つまり、()式において、

 政府支出超過額5=(貯蓄100-投資85)-純輸出10

が成り立っている、ということだ。
この時、政府のプライマリーバランスは、赤字額が5ということになる。みんなに憎まれている財政赤字ってやつだな(笑)。

で、次の期には数字が変化して、投資と純輸出がそれぞれ5だけ減少、貯蓄は同じであったとしよう。すると、

 政府支出超過額=(貯蓄100-投資80)-純輸出5

となり、計算すると政府支出超過額は15となってしまう。政府の財政赤字幅が10だけ増大してしまう、ということだ。これは、恒等式の性質上、そうなってしまう。もしも政府支出超過額が5のまま変わらないようにすると、投資や純輸出が減少したのであれば、あとは貯蓄を減らすよりないのである。100だった貯蓄を90にすることになる。

景気後退局面では、投資が減少、純輸出も今がそうであるように減少するだろう。貯蓄を減らすというのがどの程度行われるのか判らないが、政府のプライマリーバランスを変えないようにするなら、()式の上では所得を減らすことになってしまう(消費減なので、所得-消費の値が小さくなる)だろう。これは、過去に日本が陥ってきた構図と同じである。

政府のプライマリーバランスをゼロにする為には、()式を見ればわかるように、貯蓄から純輸出を除いた分を「投資に回さねばならない」のだ。しかし現実には、民間投資がそこまで増えずにきたからこそ、(貯蓄-純輸出)が投資を上回った分だけ財政赤字となったのだ。ここ数年で外需主導によって景気が上向いたというのは、投資がそれ程大きく伸びなくとも純輸出が伸びると(貯蓄-純輸出)の値がこれまでより小さくなるので、仮に貯蓄と投資がそれまでと同じ値であったとしても政府支出超過額は減少する。恒等式なのだから、当たり前なのだ。


景気対策としては、消費を維持させるようにする、投資に向かわせるようにする、政府支出を使う、純輸出を増やす、のいずれかである。政府支出は景気が回復したなら、後退期よりも減らしてもいいわけだから、必ずやることが決まっていて必要な支出であるなら「前倒し」で実施でもいい。将来支出が今に回ってくるだけなのだから。
あと、消費意欲や投資意欲につながりそうな措置を実施するべきかと。今のような状況であれば政府系(金融)機関の持つ日本国債を市場で少し売却(金利低下=債券価格上昇なので少しは儲かるのでは?)し、その金で株式市場インデックス商品を買うとか。将来の物価上昇がある限り、長年待てば今の現金(または国債)よりも株式(類似商品)の方が有利になるはずだろうと思うので。国内資産を買うのだから、下支えになると思う。資金を数兆円入れるだけで、年金積立金の評価額がべら棒に変動するのだから、運用利回りも大きく改善する。住宅取得促進の為の措置を何かやるとか。

簡単な例として提案した>勝負に打って出る気力はないのか?


それと、以前に記事で紹介したポール・サミュエルソン教授の言葉を再掲しておきたい。

慰められる国、ニッポン


『それはあなたの知ったことではない。先にやらなければならない重要なことはほかにある。それは再び経済を成長させることだ。国債の残高について心配するのはその後でいい』




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