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オール人力狙撃システム試作機

luxury perfusion(笑)

2009年11月24日 17時32分14秒 | 経済関連
これを読んで>銀行の「棚ぼたボーナス」に課税しろ  JBpress日本ビジネスプレス

欧米金融機関の巨額ボーナスの話を聞くにつけ、これを思い出す。
原因を生み出した組織は、空前の利益を上げて「巨額ボーナスを山分け」。一方では、何も加担せず、何らの恩恵を受けることも無かった、ただの小市民というか一般人たちは、企業収益の強烈な悪化の為にボーナス半額カット、or 3割カット、or モヒカンカット(笑)、5分刈り5厘刈り…(以下略)、という具合に、空前の所得減少危機に見舞われたのである。

世の中は、理不尽という物語で出来ているのである。



ところで、脳の血流というのは、面白い現象が観察される。
普通の状態であると、脳の活動が活発化すると脳代謝が亢進するので、細胞から吐き出される老廃物やCO2が増加する。CO2の効果によって脳血管が拡張するので、脳血流が増加するのである。活発に活動する脳に血液を供給するのに役立つということになるのである。この状態が、画像診断などで観察できるようになってから、脳研究が進むこととなったであろう。
流れで書けば、

 ①脳代謝亢進→CO2増加→血管拡張→血流増加

である。
これとは逆に、活動が低下するとどうなるかといえば、

 ②脳代謝低下→CO2減少→血管収縮→血流減少

となる。中々よく出来ている仕組みである。フィードバックの効果が働くからね。


これが病的状態になってしまうと、必ずしもこうしたカップリング(活動活発化と血流増加がパラレル)が維持されない場合があるのである。脳梗塞では脳細胞が死んだ部分があるのだから、脳の活動は低下しているはずなのであるが、必ずしも代謝バランスと脳血流が一致していないこともあるのである。uncouplingということだ。①でもなければ、②でもない状態、ということになる。

それはどういうものか。
脳梗塞によって壊死部位があっても、その部分の脳血流は「必要とされる酸素需要」よりも多く流れるのである。この現象のことを、贅沢灌流―luxury perfusionとよぶ。要するに、壊死したような「ダメ脳細胞」どもには贅沢過ぎる程に、血流を流してやっているんだぜ、みたいなものである。これは多分、傷ついた脳細胞をそれ以上に死なせない為の、体の防衛機構ではないかと思える。より多くの脳細胞が壊死に陥るのを防ごうと、見かけ上は「過保護に見える」くらいに(笑)酸素や栄養なんかを供給してあげよう、ということです。あくまで生理的反応なんですがね。薬物治療なんかの効果というわけではないのです。


で、こういう時期(多くは急性期~亜急性期など)にある時に、血管を拡張するような薬を使ってしまうとどうなるかというと、正常な血管が拡張してしまう為に、相対的にそちらに血液が多く獲られることになってしまうのです。贅沢灌流によって、傷害を受けた脳梗塞部位に多く流れていたのですが、傷害部位付近の血管は薬投与でも正常部位ほど拡張しないので、結果的には正常部分にばかり多く流れるようになってしまうのです。

贅沢灌流が効いていると、血流の多さを相対的に比べてみれば

 傷害部位  >  正常部位

だったものが、血管拡張作用薬投与によって正常血管がより拡張し、

 傷害部位  <  正常部位

ということになってしまう、ということです。

今の「生き残った金融機関」の多くは、世界同時不況で傷ついたことに違いはないかもしれませんが、一部には割りと元気な「正常部位」に近い金融機関も散見されるので、そういうところに敢えて「luxury」に血液供給(ゼロ金利や大幅な信用緩和措置など)をする必然性というものはない、ということになりますか。

一部の正常に近い金融機関にとっては、本当の意味で「贅沢過ぎる」ということになりますね。
ただ、虚血部位があるのは確かなので、一律に対処するのは難しいのかもしれません。個別政策を何か考える、ということになりましょうか。本当に、正常なところにばかり、血液を獲られてしまって、苦しい部位は苦しいまんま、というようなことですな。因みに、脳の状態を言う言葉には、「luxury」ばかりではなく、本当に「misery」というのもあるんですよ(笑、映画じゃないけど)。


巨額損失を出した多くの金融機関を救うが為に行った措置は、言ってみれば、一般国民から金融機関へのプレゼントに過ぎないのである。ゼロ金利は、一般国民から金融機関への金利分の所得移転である。そうした所得移転を積極的に利用しながら、「金融機関が巨額利益を上げた」というのは、ある意味で当然といえば当然ではある。





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