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在日米軍に法は全く通用しないのか~2

2014年09月17日 14時22分35秒 | 法関係
(続き)


在日米軍は軍隊だから、「日本の法律なんて守らなくてもいいんだ」的な出鱈目が横行しているように思える。ならば、米軍というのは、全くの無法無頼集団だとでも言うつもりか?(笑)
そんなわけないだろう。
米軍といえども法によって規律されているに決まっている。


米国法を知らないので、米軍の法体系がどうなっているのかは分からない。が、軍隊である以上、米国法で規律されているだろう。


例えば、自衛隊が海外派遣をされる場合を考えてみる。
自衛隊は国際法上では軍隊の取扱となるであろう、と言われている。じゃあ、自衛隊は国外に行けば日本の法律の域外となるから、無法集団と化すのか?違うに決まっている。

一般国際法、派遣先の領域国や国連との協定などは遵守義務がある。同時に、自衛隊の行為・行動を律するのは日本法であるはずであり、自衛隊法、国家公務員法、各特措法等によって規律される。派遣先の国内法については、どうだろうか?
この遵守義務が派遣先の国内法において規定され得ないとしても、基本的には遵守するし最大限尊重することになるだろう。PKOなどで軍隊を派遣する国々の多くは、派遣先の国内法と自国法との調整を協定上において行っているだろう。


米国の基本的な考え方としては、属地主義的な適用である。これと違うように見えるのは、シャーマン法の適用であろうか。他国民の域外行為についてまで管轄権を行使する(97年の日本製紙事件において、非米国民である日本企業が米国外での行為に対する刑事責任を有罪としたものである。amicus curiaeたる外務省の主権侵害であり国際法違反であるとの主張は全く役に立たなかった)のは、恐らく米国裁判所くらいではないかと思えるが、どちらかと言えばシャーマン法が例外的なものであって、原則的には米国法は域内でしか適用されない。


日米地位協定における刑事裁判権の種々の規定があるが、米国法においても軍事域外管轄権法(Military Extraterritorial Jurisdiction Act)が制定されている。地位協定、属地主義に基づく日本国内法適用、といった考え方以外に、米国法を域外において管轄権を発揮しようとすれば、こうした法規定が必要とされる、ということである。
(因みに、シャーマン法には、域外行為に法が及ぶとする条文上の規定はどこにもないはずである。なのに米国人以外の域外行為についてまで管轄権行使されるのだ)


在日米軍がキャンプ・シュワブ沖の例えば第1~第3水域において、独占的排他的利用の権原が米国法にある、といったことは、恐らく主張できない。米国法の基本原則である属地主義とは相容れないし、合衆国軍隊=合衆国政府が沿岸土地所有者であれば水面域・海底までも排他的利用を主張できる、といった連邦法などそもそも存在していないはずだから、である(あっても低潮線まで、だったか)。


そうすると、在日米軍がキャンプ・シュワブ沖で訓練する権利を主張できる理由は、単に日米地位協定の合意文書に書き込んだから、ということだけである。日本政府は米軍との約束を守り、これを果たす義務を負っている、とは言える。それが、国際関係上の礼儀だから、である。
(ならば、米国も同じく約束を守る義務を果たせ、と言ってやりたい。国際礼譲とは普通は双務的なものであり、義務的行為でもない。あくまで礼儀だ。日本国憲法98条2項が条約遵守だからといって、米軍が日米合意を遵守しないのに、日本だけが一方的片務的に国際礼譲に従う意味など本来ないものというべき)


しかしながら、日本国政府が合衆国政府に約束したことを、日本国民が無条件にこれを遂行しなければならない義務を負うのか、と言えば、それは全く違うであろう。

過去において、米軍の用に供された土地について、訴訟となったものがあるが、そこでの理屈とは例えば次のようなものであった(あくまで仮想の事例である)。

地主Aは「駐留軍用地特措法」(若しくは土地収用法)により、米軍が使用するという理由で所有していた土地を国に召し上げられたとする。米軍は土地利用方法として弾薬庫を作る、として日米合同委員会合意が得られていたものとする。
しかし、その後米軍側の計画が変更され、収用された時点では弾薬庫の建設目的であったものが、機関銃の射撃訓練場になってしまった。この時、地主Aが国(或は米軍)に対して、土地利用目的変更は手続上の瑕疵であり、間違った目的で土地を収用したのは違法なので収用自体が無効だ、よって土地を返還せよ、と求めたとしよう。

過去の例では、地主敗訴が確定してきたものである。米軍は日本政府との契約において当初の利用目的を果たすのが通常と考えられるが、それは政府間の関係性であって、地主Aに対する法的義務を負っているものではない、とする考え方である。日米政府間の契約変更があったとしても、これを理由として日本政府と地主Aとの間での契約(この場合では土地収用に関する約定)に変更すべき理由があるものでなく、収用を無効とすることはできないから、ということだ。


これは、キャンプ・シュワブ沖の利用制限についても同じことが言えよう。米軍に対して区域の提供を約したのは日本国政府であるが、それはあくまで合衆国政府と日本国政府との約束なのであって、日本政府とある1人の私人(一般国民)との約束事とはなり得ない、ということだ。すなわち、日本国政府は、合衆国政府(米軍)との間にある条約(合意事項)の存在を理由として、国民に同じ義務を無条件に負わせることなどできない、ということである。唯一可能なのは、立法(根拠法)がある場合のみ、である。


現在の防衛省や海上保安庁の屁理屈を言えば、次のようなものが合法となってしまう。

日本政府は外国政府Bとの間で条約を締結した。毎年100万円を無償で援助する(支払う)、という契約(約束事)である。さて、日本政府は、この外国政府Bと締結された条約があるから、という”理由だけ”で、日本国民Cから何らの法的根拠もなしに100万円を徴収するようなものだ。「条約の義務を果たす為なので合法だ」と主張しても、それで法的根拠とはなり得ないのに、である。これを合法と主張できる法理が一体全体世界中のどこにあるのか、教えてほしいものだ。普通は、暴力とか無法と呼ばれる行為なのではないのか。


国家が国民の権利を制限する以上、何らの制限もなく実行できるなどとということが許されるべきではない。例えば「財産を差し出せ」とか「海を利用できない」とか「自由に行き来するな」といった一般国民の権利侵害が政府に許されるのは、制限する利益が私人の自由享受の利益を上回るからであり、立法府において正当な民主的手続を経た制定法によるから、である。


これらから導かれる結論は、防衛省告示第123号は、あらゆる点において、重大かつ明白な瑕疵があり、法的根拠が皆無の文書である。海域を提供できる根拠はないし、国有財産でもないし、独占的支配を主張できるものでもない。根拠法なく、最高裁判例にも全く反している。
にも関わらず、これを自分勝手に提供した挙句、この区域内の通航制限を何らの法的根拠もなく行い、更には国民の身体拘束を繰り返すことなど、無法の極地としか言いようがない。


もう一つ、大事な点について言及しておきたい。
軍隊というのは、命令に服するのが当然である、と考えられているだろう。それは、前提条件があるからだ。軍隊が国際法上でも特別の法的地位が与えられているのは、軍隊の属する国における法体系が「正当かつ国際法上妥当なもの」であるだろうから、だ。


上官の命令が違法である場合には、これに服従する義務がない、というのは、一般的な規律だろう。非人道的行為などもそう。犯罪を構成することが分かっている場合にも、これを行えば実行者自身が戦争犯罪人として処罰される可能性があると認識するべきである。

一般国際法違反ではないこと、国内法で違法ではないこと、専ら軍事的目的達成の為のものであること、兵士自身の人格や尊厳を著しく侵害するものではないこと、などといったことが、上官の命令に服従する義務を課される要件なのだ。各国によっては若干異なるかもしれないが、概ね基本原則は似ているだろう。イギリスの場合では、現地法に適合し合法なものが命令服従義務の条件として含まれる。


海上保安庁が辺野古沖でやっている行為は、これら軍隊の規律に照らしてでさえ、命令服従が必須とは言えないものなのである。
この意味が分かっているのか。海保よ。
規律なき組織、法を無視する組織とはな。
それは愚連隊のようなもので、そこまで落ちぶれてしまったか。


ハワイの革命の頃、東郷平八郎艦長率いる『浪速』がホノルル港に停泊していた時、軍艦に逃げ込んできた日本人脱走犯をどうしたか知っているか?
治外法権ではあったものの、ハワイ政府に引渡したんだよ。国際法に従い日本人保護を理由として艦内に留め置いたものの、海軍省の判断は現地官憲に委ねるべし、ということだったんだよ。法に従う、ということは、どういうことなのか考えてみよ。


現在、日本国政府の行っていること、防衛省及び海上保安庁の行動は、明白な違法である。

この違法を追及する方法が、損害賠償請求訴訟であり、公務員職権濫用罪での告発だ。法廷闘争以外には、海保の暴力に対抗できない。


在日米軍に法は全く通用しないのか

2014年09月16日 21時05分49秒 | 法関係
これまで、長きに渡り、日本人は騙され続けてきたのである。

外務省とか防衛庁なんかの、くだらない従米派官僚たちが己の特権的地位を守らんが為に、インチキを延々と続けてきたのだ。これを支えたのが、砂川事件の判決を出したような最高裁だったわけである。


要するに、こうした大変ご立派な、学識もあるであろうはずの、最高裁裁判官とか外務省官僚とか、そういう連中によって、日本国民は騙されてきたのである。日本の法学というのは、一体全体どうなっているのだ?


当方も不勉強であった為、全然知らないことがたくさんありました。先日書いた記事でも、間違ったことを書いてしまっていました。申し訳ありません。
米軍基地というのは、まるで大使館のようなものに近くて、国内法が通じないのかなと勘違いしてきました。

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/f36a474ff9a17d163224b3ed74488fdf



でもそれは、正しくはありませんでした。当方もやっぱり簡単にペテンに引っかかってしまっていたということです。



まず、よくある通説というか、在日米軍には日本の法律は関係ない、みたいな言い分について例示します。




昭和48年7月11日 衆院内閣委員会


運輸省航空局技術部長 答弁

○金井政府委員  私どもが外務省から聞いておりますことは、米軍に対しては、地位協定の原則に従ってすべて原則として適用除外である。地位協定特例法によって適用するものは適用すると書いてあるけれども、原則としては全部適用除外であるというふうに理解しております。


外務省アメリカ局長 答弁

○大河原(良)政府委員  地位協定の問題、私から御説明させていただきます。一般国際法上は、外国の軍隊が駐留いたします場合に、地位協定あるいはそれに類する協定に明文の規定があります場合を除いては接受国の国内法令の適用はない、こういうことになっております。したがいまして、地位協定の規定に明文があります場合には、その規定に基づいて国内法が適用になりますけれども、そうでない場合には接受国の国内法令の適用はないわけでございますが、一方、一般国際法上も外国の軍隊は接受国の国内法令を尊重するという義務を負っております。地位協定の中にも、その点を明確にするために国内法令尊重の義務をうたっている規定もあるわけでございます。


○大河原(良)政府委員  この点につきましては、私の了解しているところでは、政府は従来一貫いたしまして、ただいま私が御説明申し上げましたように、一般国際法上、地位協定並びにそれに類する協定に明文の規定がない場合には、派遣国の軍隊は接受国の国内法令の適用はない、こういうことを御説明申し上げているわけでございますが、ただし、派遣国の軍隊は国内法を全く無視してよろしいということにはならないわけでございまして、国内法を尊重する義務を負っているわけでございます。現在の国内法の地位協定の規定もまさにそういう趣旨で立てられているわけでございまして、先ほどたとえば戦車の輸送について御指摘がございましたけれども、これは、地位協定第五条の規定に基づきまして、米軍といえども交通に関しまする国内法令を順守しなければいけないという明文の規定に基づいて、ああいう措置がとられているわけでございます。



運輸省の官僚も、やっぱり外務省に騙されてしまっていたわけである。
原則として全て適用除外である、と。


外務省の大河原アメリカ局長が言う、「一般国際法上、軍隊には接受国の国内法令適用がない」というのは、一面的には正しい。それは、米軍に日本政府の指揮とか命令とか、そういった権原がないから。国際法上、他国の軍隊には領域国の法令が適用されるというものではない。だからといって、米軍は無法無敵の存在とか、米軍は日本国内でどんなことをしても違法を問われないか、というと、それは違うはずである。”占領”ですらないのだから。




それから、最高裁の考え方が反映されているのが、次の判決である。

>http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/258/052258_hanrei.pdf


外国国家に対する民事裁判権免除に関しては,いわゆる絶対免除主義が伝統的な国際慣習法であったが,国家の活動範囲の拡大等に伴い,国家の私法的ないし業務管理的な行為についてまで民事裁判権を免除するのは相当でないとの考えが台頭し,免除の範囲を制限しようとする諸外国の国家実行が積み重ねられてきている。しかし,このような状況下にある今日においても,【要旨】外国国家の主権的行為については,民事裁判権が免除される旨の国際慣習法の存在を引き続き肯認することができるというべきである。
本件差止請求及び損害賠償請求の対象である合衆国軍隊の航空機の横田基地における夜間離発着は,我が国に駐留する合衆国軍隊の公的活動そのものであり,その活動の目的ないし行為の性質上,主権的行為であることは明らかであって,国際慣習法上,民事裁判権が免除されるものであることに疑問の余地はない。したがって,我が国と合衆国との間でこれと異なる取決めがない限り,上告人らの差止請求及び損害賠償請求については被上告人に対して我が国の民事裁判権は及ばないところ,両国間にそのような取決めがあると認めることはできない。





国際慣習法上、民事裁判権が免除される、ということらしいです。まあ、確かにそうだ。
これについては、後で見ることとする。




1)合衆国軍隊には日本の国内法は全く無効なのか?


ここが一番の問題。結論から言えば、否、であろう、というのが拙ブログの見解である。

どうしてか?
それは、日本の従米派外務官僚とかがそう言った、というだけであり、米国政府とか、司法省や国務省がそうした見解を明らかにした、という事実を見つけ出すことができなかったから、である。日本の官僚や裁判所の言い分は、必ずしもアテにはならない。



それに、以前の国会答弁では、そういうことになっていなかった。


昭和35年6月12日 参院 日米安保条約委員会


外務省条約局長

○政府委員(高橋通敏君) ただいま御指摘の点でございますが、新条約の第六条に、アメリカ合衆国は「日本国において施設及び区域を使用することを許される。」、すなわちわれわれといたしましては施設、区域というのを米国に使用を許しておるわけでございます。すなわち施設、区域というのは、日本が米国にその軍隊の使用に供することを許可した施設並びに区域であるというふうに考えております。従いまして、これは一般に考えられますような租借地だとか、また治外法権的な地域であるというふうには考えておりません。すなわち、われわれが施設、区域を使用に供するわけでございますが、その使用に供された施設及び区域はあくまで、当然のことでありますが、わが日本の主権のもとに立つ地域でございます。従いまして、原則として日本の法令がここに施行されるわけでありますので、これは日本の法令から、全く適用から除外された租借地であるとか、また治外法権的な地域であるというふうには考えていない次第でございます。従いまして、ただここに施設、区域を使用に供しました次第でございますので、その施設、区域を運営するに必要な措置、これはとることを許しておる、こういうふうな状況にあるわけであります。
 また第六条の場合においては、「基地」という言葉を使っておりますが、これは施設、区域が戦闘作戦行動のための基地として使用されている、すなわち施設区域が戦闘作戦行動のために使用される場合、このような使用の形態というものはまさしく基地としての使用であろうと考えております。従いまして戦闘作戦行動というようなもののためにこれが使用される場合においては、特に基地としての使用ということを入れたわけでございます。




このように、日本の法令下にある施設及び区域なので、日本の法令が適用される、ということである。租借地的とか治外法権的なことにはならない、ということである。いわゆる属地主義ということになるのである。基本的には、日本の国内法が適用される、ということだ。



更に、同日の答弁から。



外務省アメリカ局長

○政府委員(森治樹君) 新協定と旧協定との間におきまして、施設における米軍の管理権の実体的な内容については相違はないわけでございます。これは第三条の合意議事録にも、米軍のとり得る措置につきましては列挙をいたしておりまして、この合意議事録につきましては、旧協定と新協定との間に差異はないわけでございます。ただ旧協定ではあたかも米軍が治外法権的な権能を有しているかの誤まった印象を与えるおそれがあるのでありまして、アメリカ軍における管理権と申しますのは無制限に認められるものではなくて、その米軍の使命達成上必要な限度において認められているのでございます。従いまして新協定ではそのニュアンスを出すために、アメリカ軍は「必要なすべての措置を執ることができる。」という実態に即するような表現といたした次第でございます。


○政府委員(森治樹君) ただいま申し上げましたように、米軍の施設内における権利については法的な実際的な差異はない。ただし施設外におきましては、先ほども申し上げましたように、従来の協定では米軍は必要のある場合に限って日本側と協議をして、第一次的にアメリカ軍が措置するという書き方になっているわけでございますが、今度の協定におきましては、日本側がまず必要な措置を法令の範囲内においてとる、そうしてアメリカも権能を有しているけれども、その権能の行使にあたっては、必要に応じてでなく、常に日本側と協議の上とらなくちゃいけないことになっております。従いまして、施設外におきましては、大いに従来と実体的な相違があるわけでございます。




アメリカ軍が治外法権的というような誤解を与えるおそれがあったので、そうではないという協定にした、と述べられているわけである。必要な限度においてのみ管理権が認められる、ということであって、それ以外は日本の国内法が適用されるのである。

また、施設および区域の範囲外においては、日本が国内法令の範囲内において措置をとるのであり、アメリカ軍は軍隊としての権能は有してはいるものの、無制限の能力が与えられているものではない。



そもそも、国際慣習法の一般原則として、軍隊だからという理由だけでどんな法令も適用されず不法行為も許容されるといった特別の法的地位が与えられている、と信ずるに足る根拠はない。


戦時国際法でいう占領であっても、占領軍は領域国の法令を尊重する義務がある。日米地位協定においても同じく、合衆国軍隊は日本の法令を尊重しなければならない義務があるのである。施設及び区域内における軍隊の行為に対しては、接受国の法令が必ずしも適用されるものではないかもしれないが、域外においては当然に制限がある。


例えば、米海軍の軍艦は、日米地位協定でいう「合衆国軍隊」ではないのか?


そんなはずはないだろう。
たとえ米海軍の軍艦であっても、軍艦内は不可侵権及び治外法権が国際法上確立されていようとも、日本の港の出入りなどでは日本国内法令に従う義務があるはずだ。またカボタージュについても同じく、沿岸国の法令によるはずなのだ。無制限の自由が軍隊に与えられているわけではない、ということだ。



もしも本当に米軍に何らの制限もなく国内法が無視できるなら、特別法の制定そのものが不必要となろう。
今の辺野古埋立にしても、無条件で埋立できる権能を有するということになるぞ?

日米地位協定3条の合意事項には、そう書かれているではないのか?
浚渫や埋立ができる、ということになっているであろう?



どうして公有水面埋立法の手順を踏まなければならないか、というと、米軍には制限が課されているからだ、ということになろう。
何ら制限がない、と嘘を言っているのは、日本の外務省とか裁判官なのだ。




福島みずほも共産党も何故海保を訴えない?

2014年09月14日 13時08分24秒 | 法関係
海保が全く姿勢を変えない理由が、どうして分からないんだ?

>http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-231578-storytopic-271.html


海保にいくら口で「違法だ、おかしい」と言ったところで、向こうは痛くも痒くもないんだってば。
烏合の衆が抗議したところで、何の効力も持たないんだよ。


何故、それが分からないんだ。



唯一、海保を手出しできなくさせる方法は、裁判所の判決だけなんだよ。
海保に、海の上で勝とうとするのは、どうしてだ?



本気で、戦う気がないのか。

海保に海の上で勝てるわけがない。
勝てる方法は、海の上ではない。陸上だ。


普通の市民の皆さんが、対等に戦える場所は、たった一つ。

それは、法廷のみ、である。
何遍も言うが、裁判所でなければ、勝てないんだって。


どうして、損害賠償請求訴訟を提起しないんだ?


何の為の、弁護士なんだ!
海保が正当だ、という主張は、裁判で白黒決着をつける以外に、方法なんかないんだよ。


海保は、抗議する人々を烏合の衆としか見てないんだよ。
どうせ、何もできない、と思っているんだよ。


だから、違法な拘束を続けるの。


対抗手段は、訴訟しかないんだってば。




追記:


公務員職権濫用罪でもいいよ、こうなったら。

海保の写真撮影は、明白な権利侵害に該当する。


兎に角、法廷での決着を目指す為の手を打て。他には、勝ち目はない。



日本共産党よ、今こそ実力行使をしてくれ

2014年09月09日 14時11分52秒 | 法関係
共産党の方々は、勝てなくてもいい、と思っているのでしょうか?


どうして、実力行使をしないんだ。

実力行使とは、暴力闘争なんかではない。


強制力を働かせるようにする、ということなのだ。


国家権力相手の場合、向こうにはあらゆる強制力がある。警察権もそう、海保や自衛隊だって、各種行政庁の行政権だって、そう。いずれも、一般人にはない、強大な力が与えられている。だから、警察や検察に取調べを受ける側は、捜査権限が強制的に働かせられるし、質問にだって無理やりだろうと答えさせられるということになっている。


けれど、官僚たちには、一般人から答えさえる、ということができないんだよ。強制できないの。だから、海保にいくら「法的根拠はなんだ」と海上で怒鳴ってみたって、答えなんかしなくてもいいのさ。マスコミにだって、適当に答えても答えなくてもどっちでもいいし、それでも全然平気なんだよ。官僚組織中の仮面の下にいる限りは、誰も困らないのだよ。それは、相手が「海保」という名の組織であったり、「防衛省」という仮面をつけているからだ。


やつらにも弱点はあるはず。

それを攻撃するよりないんだよ。
やつらが恐れるのは、出世とかに響くことだろう。それは、汚点が残る、みたいなことを回避したい、ということだ。組織として、などではなく、個人として戦いの場に引っ張りだすようにすることだ。仮面を剥ぎ取ることだ。


法廷では、向こうの強制力とか権限に、こちらもかなり接近できるんだよ。それは、法の強制力が作用するからだ。裁判官の前では、「答えなさい」と求められれば、答えないわけにはいかない、ということなんだよ。国会議員さんが、議員会館に呼び出して、いくら厳しい口調で「どういうことか答えよ」と詰め寄ったとしても、その場では困惑した顔をするだけで、やつらには堪えないし汚点でも何でもないだろう。


汚点となるとすれば、それは、公式の記録として保存される、というものだ。しかも、組織名なんかじゃなく、担当者であった個人として、だ。
やつらは、それを最も恐れるはずだ。


だから、損害賠償請求訴訟を提起して下さい、とお願いした。行政訴訟なんかよりも、回避が難しいから、だ。裁判所だって、簡単には味方できないからな。いつもなら、原告適格とか処分性だったり、争訴性といった、本質論とは別部分で原告団を退けることができた。だが、通常の損害賠償請求訴訟の場合は、そうした抵抗手段が封じられるから。


どうして「その海域に入れないのか?」その理由を述べよ、といくら官僚を攻撃しても、ヤツラは屁とも思わず答えを濁したり、自分の責任ではないかのように振舞ってきたのが、裁判になればそうはいかなくなるから。


例えば、防衛省地方協力局長の誰、という形で、証言が永久に保存されることになる。その回答には、個人名で責任を有することになるのだよ。
だから、効果があるのだ。


これまでは、裁判外だったから、国会議員が聞こうが運動家たちの集団が聞こうが答えずとも全然困らなかったが、今度はそうはいかなくなる。そして、防衛省告示第123号の正当性については、向こうが反論してくることが必要になるからな。裁判所がそれを認めるにしても、そこは法理論として明確にせねばならなくなるから。


出鱈目のペテンの屁理屈は、これまでの最高裁判決なんかにも見られてはきたが、果たしてそれが下級審でも出るかどうか、だ。
高裁や最高裁がひっくり返すとしても、それなりの筋が通ってないと傍から見ればおかしいな、と気づかれるからな。



だから、損害賠償請求が認められなかったとしても、訴える側にはダメージはほぼない。たとえ賠償が認定されなくても、負けにはならない。防衛省や海保側の返答が、明確にされること、やつらに必ず答えさせること、これが達成できれば目的を果たせるのだから。やつらの答えの中にこそ、ヤツラの敗北の種があるのであり、攻撃すべき重大なポイントがあるはず、ということなのだよ。


だから、どうしても、法廷で戦える人たちが必要なんです。


本当に日米地位協定が、日本国内全部に通用する、根拠法たるのかどうか、ですわな。立法がなくとも、日米地位協定という「錦の御旗」があれば、それがどんなことでも実施可能とできるのか、どうなのか。


合理的に説明ができない、となった時、政府としては大変なことになってしまうわけだよ。


日本は法治国家ではなかった、同時に、合衆国政府も同じく法治国家でも何でもない、マフィアやギャング以下の暴力集団に過ぎなかった、ということが明確になるだろう。無法を長年強いてきたのだからな。



辺野古の基地建設阻止~その2.条例制定で対抗する

2014年09月07日 13時55分00秒 | 法関係
一番大事なのが、これです。
これまでは、国の方針に従わざるを得ない状況がずっと続いてきました。今度は、沖縄に決定権限を作り出す、ということです。

その為に必要なのが、立法措置すなわち条例の制定ということになります。もし仮に、この条例について国が「違憲立法だから取り消せ」と挑んできたとしても、その手続には長い年月を必要とすることでしょう。過去の沖縄の人々の苦しみを、立場を変えて国に思い知らせるのです。


具体的に、どういう考え方なのかを説明していきます。


1)総論

基本となる法令は、次のものです。
 環境基本法
 自然環境保全法
 景観法
 海洋基本法
 生物多様性基本法
 騒音規制法
 振動規制法
など。


制定する条例の主旨は、
「自然環境、海洋資源、生物多様性の保全・保護等を目的として関係法令の理念、主旨及びそれらに規定される地方公共団体の責務に鑑み、効果的に施策を実施するべく本条例を制定する」

というようなものです。

関係法令においては、例えば以下のように規定されています。


○自然環境保全法 第二条  
国、地方公共団体、事業者及び国民は、環境基本法 (平成五年法律第九十一号)第三条 から第五条 までに定める環境の保全についての基本理念にのつとり、自然環境の適正な保全が図られるように、それぞれの立場において努めなければならない。


○海洋基本法 第九条  
地方公共団体は、基本理念にのっとり、海洋に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。


○生物多様性基本法 第五条  
地方公共団体は、基本原則にのっとり、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。



条例の制定権が憲法、関係各法令から逸脱している、というような批判は封じることが可能と考えます。


条例案をとりあえず
沖縄県環境及び景観の保護に関する条例』とします。
沖縄県の所に入るのは、市町村議会が制定すれば市町村名でも可能です。以下においては、『保護条例』と簡略化して呼ぶことにします。


参考になるのは、例えば京都市の条例群でしょう。

>http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000056865.html

京都市自然風景保全条例、京都市眺望景観創生条例などがあります。



2)保護条例の組み立て

一般的にある環境保護法制と似たものを考えます。

規制行為の指定(定義)を行い、これを許可制とするのです。知事(又は市町村長)の許可がなければ、規制行為を実施できない、という条例とします。


規制行為をしようとする者(事業者等)が地方公共団体の首長宛てに申請、その申請を別に定める審査組織で審査を実施、審査組織からの答申(勧告)が知事へ回答される、回答結果を受けて知事が許可の可否を決定する、ということになります。ただし、過去の首長の手のひら返し、というのがあったので、それを封じる為の工夫もしておきます。今の仲井真知事を見れば、一目瞭然でしょう。

流れを書くと、次のようになります。

 ①行為実施予定者による計画書提出等の申請
 ②書面審査
 ③縦覧(公示)
 ④地域説明会の開催(住民への説明会開催義務化)
 ⑤環境審査委員会(便宜的にこう呼ぶ)による審査開始
 ⑥環境審査委員会による公聴会開催(委員から申請者に質疑応答)
 ⑦環境審査委員会の審査結果を公表、知事へ勧告
 ⑧公表後30日以上の期間を設けて住民投票の請求の有無を確認
 ⑨委員会審査結果の不服により住民投票の請求があった場合は投票を実施
 ⑩知事は委員会の結果もしくは住民投票結果をもって許可の可否決定とする
 ⑪知事から申請者へ結果の通知
 ⑫許可を受けた者は行為の実施へ


ポイントは、首長個人には決定権限が事実上ない、ということです。原則的には委員会の審査結果に従うことを条文上で義務化しておくのです。また、住民は委員会の審査結果に不服がある場合には、住民投票を直接行って住民の意思で決することができるようにします。この住民投票結果についても、首長は覆せない、ということを条文で規定するのです。

まさしく住民による自治、ということだと思います。



3)規制される行為について

条文ふうに書いてみます。


次の各号に掲げる行為を実施しようとする者は、知事(市町村長)に許可申請を行わなければならない。

一 建築物その他の工作物を新築、改築、又は増築
二 宅地造成、土地開墾、その他土地及び海底の形質の変更
三 深部掘削、鉱物掘採、又は土石採取(海底を含む)
四 水面(海面を含む)の埋め立て、又は干拓
五 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること
六 木竹を伐採し、又は著しく損傷すること
七 木竹以外の植物を伐採し、又は著しく損傷すること
八 熱帯魚、さんご、海藻その他の知事の指定を受けた動植物を殺傷し、又は著しく損傷すること
九 屋外における物の集積、又は貯蔵
十 物の係留(水面、海面)
十一 航空機を着陸させること
十二 騒音規制法における環境基準を超えること
十三 振動規制法における環境基準を超えること
十四 景観の保全を困難にする行為
十五 生物多様性の保全を困難にする行為

2 前項に掲げる各号に関する基準は、別に定める

3 次の各号に掲げる場合は、第一項の規定は適用しない
一 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
二 自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行う行為
三 認定生態系維持回復事業等として行う行為
四 法令に基づいて国又は地方公共団体が行う行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの
五 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの
六 自然環境保全地域が指定され、又はその区域が拡張された際着手している行為
七 漁業を営むために必要とされる行為



以上のように、ざっと書いてみましたが、規制行為を定めておけば、許可がない限り実行できなくなります。
建物は高さによる基準、面積による基準などがあるでしょう。土地造成や埋立などについても、広さ規制(例えば50haを超える、といった具合)で対応可能と思います。掘削深度で500m以上、鉱物や土石は100トン以上、伐採は、伐採する面積とかの基準を決めればよいでしょう。
海洋生物に関しては、重要なものの指定を行えばよいです。
騒音と振動は、既に基準があるので、改善命令や指導を受けるレベルの「環境に悪い状態」のものを対象とすればよいでしょう。


要するに、環境、自然、生物多様性、景観を保全保護する為に、本条例を制定するわけであり、それらにより結果的に新たな空港や海面埋立などは規制することができます。



4)住民投票の手続について

これは、民主主義の根幹を守るという意味で置いておく規定です。
基本的には、住民説明会と公聴会という、完全公開の場を2度設けていますから、住民への周知という点では問題ないと思います。
環境審査委員会は少数の専門委員(首長が任命、議会の同意人事とする)が専門的に判断するわけですが、その裁決に不服があるかもしれません。そういう時、例えば有権者数の15%以上の署名があれば、住民投票を行わなければならない、ということにしておけば、直接投票で決定できます。


委員会の審査結果が《許可・不許可》
 ◆住民の不服なし→知事(首長)は委員会と同じ決定

 ◆住民の不服あり→署名が15%以下→知事(首長)は委員会と同じ決定
         →署名が15%以上→住民投票実施
    住民投票の結果
       有権者の50%以上の投票→成立
       有権者の50%以下の投票→不成立
    住民投票の結果が委員会決定に
       過半数が賛成→知事(首長)は委員会と同じ決定
       過半数が反対→知事は委員会決定を不採用とする


このように、委員会の裁決を覆す機会が残されている、ということになります。つまり、住民の過半数が反対ということなら、そのようにできる、ということです。



この条例が制定されれば、新たな基地建設を極めて困難にすることが可能になると思います。条例の制定権で対抗するしかないと思います。国がこの決定を不服として争う場合には、今度は立場が逆転できることになるのです。

できるだけ早急に、条例制定を目指して下さい。
条文案は、弁護士だけでなく、地方自治体OBとか官僚OBとか、あらゆる手を尽くして、たたき台をつくるグループを用意するようにして下さい。落選議員さんたちの中でも、時間があり能力がある人たちはきっといるはずです。すぐさま条例制定の為に必要な手続をお願いいたします。
沖縄県議会では時間的にむずかしければ、当面名護市だけ、というような形でもいいです。規制行為の数を減らして、とりあえず「埋立」「土地関連の行為」といった部分だけでもいいですし、住民投票の手続は県レベルの条例案をつくるまで入れなくてもいいです。まずは、申請させること、許可は地方自治体に権限があること、これを確保するのです。公有水面埋立申請の免許が出される前までに、先に条例を制定することが必要になります。

どうか、沖縄の方々、頑張って下さい。
時間との勝負ですよ!!
必ず基地建設を止められるはずです。
法で対抗するんです。



辺野古の基地建設阻止~その1.防衛省と海上保安庁を訴える(追記)

2014年09月06日 13時55分59秒 | 法関係
徹底抗戦の方法について考えてみました。
それを以下に書いてみます。


まず、訴えるとして、訴訟相手の特定が必要。
そこで、沖縄防衛局及び海上保安庁11管宛てに、次のような文書を提出する。
(あくまで例なので、実施する方々がよく考えてみて下さい。準備も少し必要かとは思いますので。)


1 防衛省告示第123号に記載された水面域において、9月10日にカヌー同好者の集まりを行いたいが、実施の可否判断はいずれにおいて行われるのか。

2 防衛省告示第123号に記載された水面域において、9月10日に潜水同好者の集まりを行いたいが、実施の可否判断はいずれにおいて行われるのか。

3 期日までに回答がない場合においては、「前記集まりを実施してよい」という黙示の同意と解してよいか。

4 防衛省告示第123号を根拠として前記集まりの実施が拒否される場合、これを無視して実施した者は処分の対象となるか。

5 本回答をもって法令適用事前確認手続とみなしてよいか。



この書面をほんの一部だけ言い回しを変更(例えば「よいか」を「よろしいか」、「行われるか」を「行われますか」など)して、2通提出する。
そして、提出者グループも2つに分けておきます。一方は、回答があった場合でも敢えて「集まりを実施」してもらうことになります。実施はできない、という回答が得られているのに、制限区域とされる水面域に進入すれば、これまでと同様に拘束されるでしょう。


この拘束されるグループは、損害賠償請求訴訟の原告になる人だけで構成します。
その覚悟があるという人たちだけで実行して下さい。


回答が全くなく、無視された場合には、再度防衛省と海上保安庁に法令適用事前確認手続の正規の方法で書面を提出し、回答を要求します。30日以内に回答することが原則となっていますから、返答拒否は普通はしないでしょう(当方の個人的経験だけから言えば、無回答のまま何年も放置された。総務省に回答がないことについて相談したが、総務省には命令権限がないので所管省庁に命令できない、という答えが来ただけで永久に放置された)。


損害賠償請求の相手方が誰になるのか、それを確認する為に、面倒でもやるのです。


普通、行政相手の訴訟である場合、抗告訴訟が大半だと思いますが、例えば取消訴訟とか差止め訴訟というのは、原告適格とか争訴性という、所謂「入り口論」で止められるケースがほとんどです。ここをクリアするのは、裁判官相手の場合、割と難しかったりすると思います。
最近の例では、改正薬事法の厚生労働省令が違法かどうか、という訴訟がありましたが、あの場合であっても省令の取消や無効という請求は高裁でも最高裁でも退けられています。


なので、防衛省告示の取消を争うのは、面倒が多いと思うのです。重大かつ明白な瑕疵があることはほぼ間違いないはずなのですが、処分性とかを問題にされると争訴性がないとして、判断を回避されてしまいかねませんから。
(当方としては、不特定多数への処分=常時進入禁止、という強力な行政行為が行われているので処分性はクリアできているように思う。原告適格も地域住民の方々が原告であればクリアできてる。そうではあるが、裁判所は何を言い出すかわからないので用心に越したことはない)


とりあえず、損害賠償請求の相手としては、
・文書への回答を行った担当部局の長(文書の発出人)
・法令適用事前確認手続の担当部局の長

といった所になるであろう。


損害賠償の請求額は、1万円とか数千円といった少額でもいいです。
具体的には、前記「カヌーや潜水の集まり」が実施できなかったことへの賠償請求を行います。この場合、たとえヤツラが文書での回答を拒否した場合であろうとも、どうして「禁止なのか」ということの立論が必要になるので、「防衛省告示第123号がいかに正しいか」ということの証明を行うことになるわけです。


これを法廷でやらせるのだ。
こちらは、当該水面域を規制できる法令はないということ、公共用物であるから自分たちが利用できないのはおかしい、豊かな自然資源の恵沢を享受できないのは不当だ、自由に海で泳いだりカヌーしたりする権利を侵害された(=だから賠償せよ)、法律なき制限区域の設定は違法である、と主張するのは簡単だから。これについては、シリーズのこれまでの記事中で書いてきた通りです。


防衛省は、何が何でも「防衛省告示第123号」が正当であることの証明をしなけりゃならない。法的根拠を言うのは、防衛省の方なんだからな。こっちは、日米合意の協定文書の写しでも証拠請求すればいい。7月1日付文書には、何と書いてあるのかを確かめるのだ。


それに第3水域では日本国政府が投錨、停泊、潜水を禁じることになっているが、その根拠法令は何かを追及することもできる。これが現在でも生きている合意事項なら、防衛局がやってるボーリング作業等の実施そのものが違法となるだろう。海保の巡視船も離れて泊まってろ、ということになるわな(笑)。どこに停泊してんだよ、と。



文書にも裁判にも無視を続けるなら、毎日カヌーや潜水の集まりを実施することにすればいいのである。


まさか、戦う前に逃げたりする気か?
防衛省と海上保安庁が負けを認めるはずなどないだろう(笑)。
ああ言えば、こういう、というはぐらかしの官僚答弁を封じるには、法廷闘争を利用するんだ。




追記(22時頃):

さあ、いよいよ、海保のクズどもの忍耐にも限界ですかな?


>http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=82238


米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古への新基地建設をめぐる海上警備で、第11管区海上保安本部は5日、キャンプ・シュワブ沿岸部の立ち入り制限区域にある浮具(フロート)内に入った市民を排除している根拠について、刑事特別法を初めて挙げた。本紙の取材に答えた。11管関係者は「逮捕しなくても治安、安全が保てれば良い」とするが、逮捕権行使に必要な米軍側の同意も既に得ている。(城間陽介、比屋根麻里乃)

 11管はこれまで、市民を排除する根拠を海上保安庁法第2条に基づく「海上の安全と治安の確保」とし、個別の法的根拠は明らかにしてこなかった。

 同法第2条で規定される「法令励行」について、別の担当者は「刑特法も含まれる」とし、「フロート内に入れば、当然同法に抵触する」と明言。刑特法違反による身柄拘束は同法第10条で米軍側の同意が必要だと規定されるが、「クリアしている」(担当者)としており、逮捕権を行使する条件を既に整えている。

 政府は7月、新基地建設に反対する市民らが工事区域に近づけないようシュワブ沿岸の立ち入り制限水域の拡大を告示、8月に制限水域の一部にフロートを設置した。

 一方、フロート外を含む海域での市民らの排除について、海上保安庁警備課の花村幸宏対策官は5日、福島みずほ参院議員(社民)が参院議員会館で開いた集会で「海上保安庁法18条1項を根拠に制止活動をしている」との見解を示した。

 同法18条1項は「天災事変、海難、工作物の損壊、危険物の爆発等危険な事態がある場合で、人に危険が及び、財産に重大な損害が及ぶおそれがあり、かつ急を要する時」に船舶を移動させられると定めている。

 刑事特別法 日米地位協定に基づく法律。米軍施設・区域への立ち入りを禁じており、違反した場合は1年以下の懲役か2千円以下の罰金。県内では2013年9月、オスプレイ配備で男性が普天間飛行場に入って抗議し、同法違反容疑で逮捕されている。


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先に簡単な方から。
海上保安庁法第18条1項は、既に検討済みだ。

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/84ccf42b011a7e2ac46771f7083e706e


記事中で書いた通り、泳いでいる人たちには原則適用できない。
好きで泳いでいる人たちには、適用できないぞ。フロート内に飛び込んだ人たちを拘束した理由にはならない。



また、刑事特別法適用だ、と息巻いているらしいな。やってこい。さっさと、やってこいよ、無法のクズ野郎ども。
これも検討したから。

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/6fb9469af31c51c2cf50bd3b1a965732


こう言っては失礼だが、実際に適用されて逮捕されたりしたら、その人たちには申し訳なく思います。
裁判で決着がつくまでは、刑事訴訟の被告となってしまうので。
けど、それで工事手続を止める手段になりうる。


海保が刑事特別法適用だ、と文書で回答することを期待しているんだわ。
米軍の管理管轄権が及ぶ第1水域であることを、こちらは待っているんだわ。それを願っているんだよ。


アメリカ合衆国が、無法のただの違法暴力集団である、ということが世界中に明らかになるだろう。

どうした?
怖気づいたか?

ああ、暴力しか頼ったことのない連中に、法を守れと要望するのは、無理だったな。
世界一の無法国家の合衆国が、法を守るはずなどないからな。


知ってるか?海保の11管よ。

米国では、沿岸警備隊が警察権行使は海上のどこででも行使できない、ってことを。


アメリカさまの犬に成り下がった、マヌケの海保には、そういうことが分からないのだろう。
沿岸警備隊といえども、法の管轄外では手出しできないのだよ。

それは、どういうことか分かるか?
海では、自由が守られるべきは守られる、ということだ。


米軍とは何だ?
法的には、合衆国政府そのもの、と言い換えてもいい。

その合衆国政府の権限が及ばない水域である州政府の管轄水域には、沿岸警備隊の逮捕権限は及ばないのが米国法の決まりなんだよ。
すなわち、合衆国政府(米軍)の管理管轄権が及ぶ水域=第1水域とは、合衆国政府の権利(権限)主張ができることと引き換えに、義務も発生する、ということだ。すなわち、辺野古沖埋立工事そのものについても、合衆国政府は義務を負うことになるのだよ。


そうでなければ、海上のある区域について「排他的独占的」支配権を主張したりなどできない。権利は義務を伴うものなのだ。
合衆国政府の行政権が及ぶ区域でなければ、合衆国政府たる米軍は逮捕や警備その他国防の権限など行使できない。事実、合衆国政府権限は、州政府管理下の水域には及ばないのだからな。


合衆国政府が海保に「狩りをやっちゃっていいよ」と促し、第1水域に拡大したのであれば、そのこと自体が辺野古埋立の実行が停止されることとなるだろう。公有水面埋立法も当然及ばなくなる。日本国内法が及ぶなら、米軍の警備範囲全てに及ばないと法理的には矛盾するからな。


公共用財であるところの海域を日本国政府が立法措置なく提供したことが違法なのに、提供を受けた米軍=合衆国政府が自分の行政権が及ぶ水域に対して違法に海の埋立を行う、ということだわな。これが、無法国家の証だ、って言ってんだよ。


だから、刑事特別法適用だ、と宣言してほしくてたまらんのですわ。




ペテン国家「アメリカ合衆国」による辺野古蹂躙~その7

2014年09月05日 21時51分42秒 | 法関係
海上保安庁よ、貴様らの権限の根拠とは何か?
フロートを設置したのは、どこのどいつだ?
防衛局か?それとも、お前らか?


イカサマの防衛省告示第123号の制限区域の排他性とは、どういう法律に基づくのか?
えっ?日米地位協定だって?


それは嘘だ。
日米地位協定が存在しても、日米安全保障条約があるとしても、それだけでは日本国内に全て適用できるようにはならない。



国際条約が批准されて発効していても、国内法の整備をしなければ、日本国内では条約の条項が適用されたりはしないんだよ。


たとえば、こういうのがある。

女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約
>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E5%AD%90%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%82%E3%82%89%E3%82%86%E3%82%8B%E5%BD%A2%E6%85%8B%E3%81%AE%E5%B7%AE%E5%88%A5%E3%81%AE%E6%92%A4%E5%BB%83%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%9D%A1%E7%B4%84


この中の説明にもある通り、条約主旨に沿った国内法(例えば男女雇用機会均等法)を整備しないと、効力なんか生じない。
条約の締結だけでは、国内に適用なんかできないんだよ。だから、日米地位協定で何と日本国政府がアメリカさまにお約束をしていようと、それは国内法の根拠法があってはじめて効果を持つのだ。


なので、日米地位協定があるから、という理屈は通用しないぞ。
3条の規定にしても、日本国政府が執りうる措置というのは、「関係法令の範囲内」と謳われているではないか。もう一度書く。
『施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において、関係法令の範囲内で必要な措置を執る』


海保がやっている警備活動というのが、この3条を忠実に実行した結果であるとしても、貴様らが「関係法令」を具体的に示せない限り、法的根拠なんかないんだよ。



これまでにも散々指摘したが、海はお前らのものではない。防衛省の管轄でもない。
最高裁判例があったので、あげておく。



◎最判一小 昭57.6.17(民集36(5)824)

公有水面を埋め立てるため土砂を投入した場合でも、未だ埋立地が造成されず公有水面の状態にある段階においては、右の土砂は公有水面の地盤と結合しこれと一体化したものとしてその価値に格別の増加をもたらすものではないのが通常であり、また、埋立地が造成されてもそれが公有水面に復元されることなく土地として存続すべきことが確定されるまでは、なお右の土砂は公有水面埋立法三五条一項に定める原状回復義務の対象となりうるものと考えられること等に照らすと、右の土砂は、その投入によつて直ちに公有水面の地盤に附合して国の所有となることはなく、原則として、埋立権者が右の土砂を利用して埋立工事を完成し竣功認可を受けたときに、公有水面埋立法二四条の規定により埋立地の所有権を取得するのに伴い、民法二四二条の不動産の附合の規定によつて直接右の土砂の所有権をも取得するまでは、独立した動産としての存在を失わないものと解するのが相当である。



◎最判三小 昭61.12.16(民集40(7)1236)

海は、社会通念上、海水の表面が最高高潮面に達した時の水際線をもつて陸地から区別されている。そして、海は、古来より自然の状態のままで一般公衆の共同使用に供されてきたところのいわゆる公共用物であつて、国の直接の公法的支配管理に服し、特定人による排他的支配の許されないものであるから、そのままの状態においては、所有権の客体たる土地に当たらないというべきである。
しかし、海も、およそ人の支配の及ばない深海を除き、その性質上当然に私法上の所有権の客体となりえないというものではなく、国が行政行為などによつて一定範囲を区画し、他の海面から区別してこれに対する排他的支配を可能にした上で、その公用を廃止して私人の所有に帰属させることが不可能であるということはできず、そうするかどうかは立法政策の問題であつて、かかる措置をとつた場合の当該区画部分は所有権の客体たる土地に当たると解することができる。
そこで、現行法をみるに、海の一定範囲を区画しこれを私人の所有に帰属させることを認めた法律はなく、かえつて、公有水面埋立法が、公有水面の埋立てをしようとする者に対しては埋立ての免許を与え、埋立工事の竣工認可によつて埋立地を右の者の所有に帰属させることとしていることに照らせば、現行法は、海について、海水に覆われたままの状態で一定範囲を区画しこれを私人の所有に帰属させるという制度は採用していないことが明らかである。



◎最判二小 平17.12.16

海は,特定人による独占的排他的支配の許されないものであり,現行法上,海水に覆われたままの状態でその一定範囲を区画してこれを私人の所有に帰属させるという制度は採用されていないから,海水に覆われたままの状態においては,私法上所有権の客体となる土地に当たらない。
(中略)
海面の埋立工事が完成して陸地が形成されても,同項に定める原状回復義務の対象となり得る限りは,海面下の地盤の上に独立した動産たる土砂が置かれているにすぎないから,この時点ではいまだ当該埋立地は私法上所有権の客体となる土地に当たらないというべきである。




沖縄県民の方々に、是非とも裁判を戦う決意をしていただきたいと思います。
過去に、最高裁までいって敗北を続けてきた基地に関する訴訟が数々あったろうと思います。有無を言わさず土地を取り上げるという暴挙を繰り返してきました。それを根拠づけていたのが、駐留軍土地使用特措法でした。


日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法


第一条  
この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定を実施するため、日本国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊(以下「駐留軍」という。)の用に供する土地等の使用又は収用に関し規定することを目的とする。


第二条  
この法律において「土地等」とは、土地若しくは建物若しくはこれらに定着する物件又は土地収用法 (昭和二十六年法律第二百十九号)第五条 に規定する権利をいい、建物にある設備又は備品で当該建物の運営上これと一体的に使用されるべきものを含むものとする。

第三条  
駐留軍の用に供するため土地等を必要とする場合において、その土地等を駐留軍の用に供することが適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを使用し、又は収用することができる。




土地が必要だから、という理由で強引だろうと何だろうと、取り上げることが可能な立法措置だったわけです。「駐留軍の用に供することが適正且つ合理的」なら、所有権者がいかに反対しようとも収用できる、というものです。


残念ながら、法の壁というのは、立ちはだかってきました。
これは土地だったからで、最高裁判事たちに理屈で言い負けないというのは、とても困難だったのです。


しかし、今回は違います。
今度という今度は、防衛省のヤツラに勝ち目などない、とわたくしは確信しています。勿論、海上保安庁の連中も同じです。
何としてでも、ギャフンとやりこめてやろうではありませんか。


防衛省は墓穴を掘ったんです。
「駐留軍の用に供すること」のできる海域なんて、根拠法がないから不可能なのです。いくら国が海を支配し管理していようとも、法的根拠もなしに私権が設定できるわけがないのです。合衆国政府は私人ではない、と屁理屈を述べるかもしれませんが、一種の契約関係なのであり、土地収用の場合とほぼ同じ法的手続が必要なのです。

合衆国軍隊が独占的排他的に使用できる権限及び他者の進入を排除できる権利が附与される根拠なんて、どこにもないんです。陸上部分においては、上記駐留軍土地使用特措法があるが故に、米軍に権利があることの法的根拠となっているであろうと思いますが、海上は特措法が及ばないのですよ。


その無法を、防衛省と海上保安庁が、自ら率先してやった、ということです。
ここがチャンスなんです。


防衛省告示第123号が違法である、ということになれば、どうなると思いますか?
閣議決定を、詐欺師政権がやったんですよ。


そして、ペテン国家であるアメリカ合衆国も、共謀してこのイカサマを働いた、ということが明白になる、ということなのですよ。日米合同委員会なんて、せいぜい1カ月に1回、大抵は2カ月に1回程度の頻度でしか開催されてこなかったのに、何故か特定記事には毎日とか毎週承認が出されているって、おかしいでしょう?そういう詐欺の実態が、裁判で明らかにできる可能性が出てくる、ということなのです。



防衛省地方協力局なんて、要するに、「基地利権」のかたまりみたいなものなんじゃないの?
施設整備なんて聞こえはいいかもしれないが、基地利権の分配する米軍基地に寄生してる連中の巣窟なんじゃないのか?
施設分科委員会ってのも、臭い。施設調整部会とか、そういうのも、基地利権を利用しているだけなんじゃないのか?


こいつらは、地方協力局という名の下に、何をやってきたんだか。


話が逸れた。


兎に角、日米合同委員会の承認というのが、違法に立脚している、となれば、これはもう、大笑いなんだよ。
そして、日米両政府で、新たな協定の合意文書が作成されているはずだから(勿論7月1日付だ)、その署名者が誰なのか裁判の時に証拠申請してほしいな。


国側が、裁判で自分たちの主張が正しい、ということの立証する為には、そうした合意文書が提出されないとおかしいからなあ?
情報開示請求なんかでは、絶対に出してこないような文書であっても、裁判となれば、秘匿するわけにはいかないから。



国民を騙したんだよ、詐欺師安倍政権は。
同時に、海を守れとスローガンを宣言したケリー国務長官は、日米合意文書についてどう思うかな?


公共用物であるところの海を、合衆国政府は日本人から没収して、独占的排他的支配下に置いたって?
そして、それを日本政府に貸し出して、自然資源を徹底破壊する辺野古沖の埋立を無理やりにやらせた、と?
手下どもを動員して、海保にうさぎ狩りをやってこい、と命じたと?


そういうアメリカ合衆国は、無法国家なんだよ。あなた方の国に、法の支配など、到底あり得ない、ということだ。

恥知らずどもめ。




ペテン国家「アメリカ合衆国」による辺野古蹂躙~その6

2014年09月04日 22時03分25秒 | 法関係
アメリカ合衆国政府は、日本と締結した協定において、第2水域の排他的使用により制限される、と主張する根拠は何か?
常時制限の課せられた第1水域とは異なり、「常時」ではないものの、排他的使用が許される法的根拠は何か、と尋ねているのだよ。


public waterであるのに、米軍の利益だけが保護される法学上の理由とは何だ?
排他的使用を、日本政府に保証させます、ということなら、何故そのように条文に書かないのか?


日米地位協定 第2条

1(a) 合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない「施設及び区域」には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。

(b) 合衆国が日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の終了の時に使用している施設及び区域は、両政府が(a)の規定に従つて合意した施設及び区域とみなす。




安全保障条約にも、地位協定にも、どこにも米軍の排他的使用の根拠は見つからない。米軍の一方的宣言だけである。自分が勝手に使うから、というものだけ。それを保証するのは日本政府の立法か?


米軍(合衆国政府)が日本の法規に従う、ということであれば、国内法に排他的使用を保証する規定がないなら、無効である。根拠法がないからだ。そうではなくて、米国の法規に従う、ということなのか?


だとすると、やはり第1水域と同じく、合衆国憲法及び判例法理に従うことになるはずであり、その場合、米軍のみの法益保護が他の法益全部に優先するとは到底考えられない。



防衛省告示123号による本件区域(水面域)の提供と日米合意の変更は、どの部分で行われたのか?
先の記事で書いた第1水域か?
それとも、意表をついて第2水域の拡大か?


一つ前の記事で示したとおり、覚書869には、漁業の制限というのが度々出てきていたわけだが、この漁業の権利を制限する為の法律として、日本国内法である漁業操業制限法があるわけである。



日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊の水面の使用に伴う漁船の操業制限等に関する法律(昭和二十七年七月二十二日法律第二百四十三号)


○第一条  
防衛大臣は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の陸軍、空軍又は海軍が水面を使用する場合において、必要があるときは、農林水産大臣の意見をきき、一定の区域及び期間を定めて、漁船の操業を制限し、又は禁止することができる。

○第二条  
国は、前条の規定による制限又は禁止により、当該区域において従来適法に漁業を営んでいた者が漁業経営上こうむつた損失を補償する。
2  前項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。




日本国政府が国内法で規制できるのは、この漁船操業制限法によるものだけである。


つまり、米国法では第1水域だけが米軍(合衆国政府)の権利主張が認められ、第2水域になると米国内であれば「オレさまだけが使用するから、他の連中は使えないぞ」と好き勝手に宣言したりすることなど、到底認められないであろう、というものであるはずなのだ。

だから、漁業権への制限は米軍自身が課さないようにしているのである。では、海の使用をどう制限させるか?


それは日本国政府にやらせる、という形式をとっているのだ。合衆国政府は、自分では違法になってしまってできないであろうことを、日本の政府に肩代わりさせたということである。そして、日本国政府は海の使用制限をするということで立法措置を行ったのが上記漁船操業制限法ということになろう。

しかし、保護法益に対して無条件に「お前ら、海を使わせないぞ」とはできないので、補償というシステムがとられているのである。つまり、public waterを利用する人たちに「使用制限を認めてもらう代わりに、金銭で解決しますね、使えなくなった不利益は補償しますね」ということになっているのだよ。


そうすると、第1水域以外の水面域というのは、漁業しか保護法益がないのか、という話である。
何故、漁網を使わない糸釣りが禁止されねばならないのか?
何故、遊泳が禁止なのか?
何故、カヌーやサーフィンやスキューバが禁止なのか?



そんなもん、法的根拠なんかどこにもないんだよ。
米軍には、それらを禁じる法的手段なんかないんだよ。
第3水域やLSTランプ、辺野古ビーチの項をよく読んでみよ。合衆国政府が禁じているのではなくて、日本国政府が認めないとなっているだけなのだ。


じゃあ、日本国政府はどうやって禁止できる権限を有していると思うか?

それは、根拠法があるものの場合のみ、禁止することができ、規制できるのだ。


そして、国内法で根拠法があるものは、漁船操業制限法だけである。
他にないから、漁船以外の一般人の手漕ぎボートとかカヌーとか遊泳者とかを検挙できないのだ。


おまけに、日本国政府が禁止している事項にはいくつかある。

第3水域ならば、『継続的な投錨、係留、潜水、引揚げ作業、停泊又はその他の継続的活動』、LSTランプ内なら『潜水、サルベージ又はその他の継続的な活動』、ということになっているわけである。


防衛省告示123号における本件区域の範囲がこれら第3水域やLSTランプ内といった部分に重複している場合には、台船が停泊したり投錨したりできない、とか、潜水やサルベージがダメなので、掘削作業なども禁止事項に該当するかもしれない。少なくとも「継続的活動」に該当するのではないか?



そうすると、仮に本件区域(水面域)の提供が第1水域になっている場合でも、米軍には米国法準拠の義務が生じる、第3水域等の拡大であると、今沖縄防衛局がやっている工事作業そのものが日本国政府の禁止項目に該当する可能性大、ということである(ただし合意文書の中身が大幅に改定されている可能性がないわけではない)。

だが、いずれにしても、抗議している人々を海上で拘束する根拠など、どこにも存在しない、ということが明らかになるわけであり、海保の違法行為が明確になったということである。


残るは、グレーの第2水域の拡大である場合、だ。
ただ、排他性が第1水域と同等の強力な権利であるなら、合衆国の法令が本当に適用されるはずなので、第1水域拡大の場合の結論に収束する。公共信託法理に則り、合衆国最高裁判例を尊重し、義務を果たせ、ということになる。合衆国政府の行政権が本件区域に及ぶなら、埋立手続において公有水面埋立法の適用外となってしかるべき、ということになろう。



よって、米軍の使用という理由で、本件海域における排他性が保証される根拠など、法的には存在してないのだ。唯一あるのは、日本国政府による漁船操業制限法だけである。

なのに、どうして海保は身柄拘束などできるのか?


それよりも、日本国政府が禁じていたはずの、投錨その他継続的活動をさっさとやめさせるべきなんじゃないのか?
もしも覚書869の大幅な変更があったのなら、その合意文書及び新たな協定文書が秘匿されているのは、おかしい。何故公開できないのだ?


工事作業そのものが、かつての覚書で禁止されていたのではないのか。それが変更されるには、相応の合理的理由がないとおかしいだろう?



政府の所有物でもない水域を提供するなど、何らの法的根拠もないわ。
防衛省告示123号は、全くの出鱈目であり、詐欺だ。


海域から排除できる根拠なんか、米軍にも、海保にもないんだろうよ。
お前らがやってることは、無法の暴力のみ、だ。


これを無法国家と呼ばずに、何と呼ぶ?




ペテン国家「アメリカ合衆国」による辺野古蹂躙~その5

2014年09月04日 19時53分46秒 | 法関係
前の記事でも指摘したが、本件の埋立工事についての手続は違法であるというべきである。
合衆国軍隊(以下、単に米軍と呼ぶ)には相応の義務があるはずである。それを考えていくことにする。


①米軍基地内では日本の法令に従うのか?

米軍が使用している基地は、日米安保条約第6条に基づく日米地位協定によって提供された「施設及び区域」である。根拠となる法文は、日米地位協定第2条となる。

さて、「施設及び区域」における管理管轄権の主体は米軍であり、恐らく米軍の軍法が適用されることになろう。日本の法令が逐一適用されているとは到底考えられないであろう。ごく一部に日本の法令及び裁判権が適用になることもあるだろうが、基本的には大使館内とほぼ似た状況であろう。

米軍と彼らが管理権を発動できる「施設及び区域」に関する最終的な責任所在は、合衆国政府となるだろう。すなわち、合衆国政府が拘束される法令による、ということだ。合衆国政府の権限の全ては、合衆国憲法及び合衆国最高裁判所判例に根拠があるもので、それらに反することができないはずである。



②米軍が権限行使できる範囲はどこまでか?

キャンプ・シュワブに関する「施設及び区域」についての日米合同委員会合意が存在してきた。それが国会質疑でも取り上げられた所謂「5・15メモ」というものだ。

外務省HPより、一部抜粋する。


1972年5月15日  日米合同委員会合意
覚書番号 869

○第2項e(3)(a)
第1水域:別添2に示すとおり北緯26度31分40秒、東経128度02分51秒の点と北緯26度30分57秒、東経128度02分16秒の点の間の陸岸から50メートル以内の水面域


○第2項e(3)(b)
第2水域:別添2に示すとおり北緯26度31分40秒、東経128度02分51秒の点から真方位90度に引いた線と、北緯26度30分57秒、東経128度02分16秒から真方位132度45分に引いた線の間の陸岸から500メートル以内の水面域


○第2項e(3)(c)
第3水域:別添3に示すとおり次の点を順次に結ぶ線の内側で陸岸に接続する水面域
  北緯26度32分00秒、東経128度05分24秒
  北緯26度29分34秒、東経128度08分13秒
  北緯26度25分15秒、東経128度03分49秒
  北緯26度25分15秒、東経128度01分35秒
  北緯26度28分42秒、東経127度59分57秒
次の日本国政府の航路灯浮標は、この水域には含まれない。
(略)


○第2項e(3)(d)
キャンプ・シュワブLSTランプ:別添4に示すとおり北緯26度31分24.5秒、東経128度03分02秒の点から真方位80度の線上1000メートルの点、その点から真方位145度の線上2150メートルの点を結ぶ線を中心に両岸200メートルの水面域
 次の航路灯浮標は、この水面域に含まれない
(略)

○第2項e(3)(e)
辺野古ビーチ:別添5に示すとおり北緯26度30分38.5秒、東経128度02分05秒の点から真方位132度45分の線と、北緯26度30分57秒、東経02分16秒の点から真方位132度45分の線との間の陸岸から800メートル以内の水面域




まず、土地の所有権者と似たような権限行使が可能な範囲というのが、「陸上」と「第1水域」と呼ばれる部分であろうと推定される。海との境界線は、満潮と干潮で変わるし、年間を通じて季節により変わるわけだから、潮が満ちた時に隠れる土地の部分まで所有者を名乗れるのが、せいぜい50メートルくらいまでであろう、ということだ。

この土地所有者とほぼ同等、という部分については、米軍の軍法に従うことになる可能性があり、管理権者に最も強い権限が与えられ、日本国民の権利主張をほぼ許容しないであろうと思われる。
つまり、米軍(=合衆国政府)がここは俺の土地だぜ、と言うのに匹敵する範囲が第1水域であり、日本人の権利保護は想定されていないであろう、ということである。


日米合意の内容は次のように規定されている。


○第2項g(2)(e)
前記の第2項e(3)(a)に記す第1水域は、合衆国軍隊の排他的使用のため常時制限される

○第2項g(2)(f)
前記の第2項e(3)(b)に記す第2水域は、合衆国軍隊の排他的使用のため制限される。ただし、網漁によらない小規模漁業は使用期間中において合衆国軍隊の活動を妨げない限り許される。



このように、第1水域は米軍の利益のみが考えられているので、常時制限となっている。しかし、第2水域になると、米軍が所有権者と同等の権利主張はできないので(米国法でそうだから、だ)、活動妨害にならなければ立入制限等は課されていない。遊泳、釣り、ボート遊び、シュノーケリング等々がダメとはなっていない。漁船が網を使って漁をするのは、できない、とされているだけである。また、第2水域は、日本国政府に誰かを「水域から排除する権限」が与えられているとは書かれていない。


更に、第3水域、LSTランプ、辺野古ビーチでの制限内容を見てみよう。


○第2項g(2)(g)
前記の第2項e(3)(c)に記す第3水域内で、日本国政府は、継続的な投錨、係留、潜水、引揚げ作業、停泊又はその他の継続的活動を許可しない。合衆国政府は、使用期間中において合衆国軍隊の活動を妨げない限り、漁業を制限しない。

○第2項g(2)(h)
前記の第2項e(3)(d)に記すキャンプ・シュワブLSTランプ内で、日本国政府は、潜水、サルベージ又はその他の継続的な活動を許可しない。合衆国政府は、合衆国軍隊の使用を妨げない限り、航行及び漁業(網漁を除く)を制限しない。

○第2項g(2)(i)
前記の第2項e(3)(e)に記す辺野古ビーチ内で、日本国政府は、使用期間中において網漁を認めない。合衆国政府は、漁業及び航行が使用期間中において合衆国軍隊の活動を妨げない限り、それ以外のいかなる制限も課さない。




第1水域に比べて米軍の権利主張は後退し、制限は緩和されていることに気づくであろう。当時に考慮されていたのは、殆どが漁業民の権利であり、それ以外の人々が海域に存在するということは殆ど想定し難かったのだ。


いずれにせよ、米軍が強く権利主張できる範囲というものは、第1水域にほぼ限局されているのであり、それら以外の区域については、日本国民の権利が保護法益として無視できないのである。それ故、具体的権利であるところの、生存権や財産権や経済活動の自由の権利をなすであろう、漁業についての法益については、制限をしない旨が合意文書中に書かれているものと考えられるだろう。



③米軍が日本国政府に使用を許可できる範囲とは


防衛省告示123号で拡大された範囲が、第3水域やLSTランプ水域まで含むかどうかは正確な地図がないので、不明である。ただ、日本国政府が提供した区域は、上記合意のいずれに区分されたか、そこが問題となる。

形式的には、米軍(合衆国政府)が管理管轄権に基づき、「今使ってないから、日本政府が使ってもいいよ」と許可を与えることができる(日米地位協定2条第4項(a))のは、所有権者と同等の範囲だけであろう。日本(政府及び国民)が使っていいよ、と米軍が許可を出せる場所というのは、第1水域としか考えられない、ということである。常時制限区域とできる場所、だ。それは排他的使用が認められているので、他の権利者(例えば漁民)の法益保護を想定しなくてもいい場所だから、だ。



④米軍(合衆国政府)が管理管轄権を有する区域における基準は米国法?


もしも第1水域が告示の範囲まで拡大されたとすると、その範囲の埋立工事は米国法や合衆国憲法に従わなくていいのか、という問題がある。

米軍の使用していた区域は、原状回復義務が回避されており、要するに「滅茶苦茶に破壊しまくってもそのまま放置していっていい」という免罪符が与えられているのだ。そんな米軍が、特に自然破壊に十分配慮すべきではあれど、「破壊しても何の制約もない」ということにはなるまい?

米軍基地内の全てにおいて日本法が適用されるなら、日本の法律に基づく手続となるだろう。建築基準法や消防法等々が全部に適用されていると?本当か?

そうではなくて、日本の法令適用を免れているというなら、米国法が基準となろう。その場合問題となるのは、海岸線の土地所有者が米国において「何ら制限なく自由に埋立できる」ということなのかどうか、だ。海の管理者たる州政府が土地所有者に対して「自由にやっていいよ」と許可した場合、許可を決定した州政府が本当に憲法違反に問われないのかどうか、だ。


合衆国政府の決定や行為、すなわち行政権行使の結果が、過去の判例法理で違法と認定されるようなものである場合、その合衆国政府の権限行使は正当なものなのか?

米軍(=合衆国政府)に区域の処分権が認められている場合(具体的には、日本政府に使用許可を出す、民間人の利用制限を解除する等)、その区域の埋立工事に関して米国基準に準拠すべきなのではないのか。しかも、その工事の結果が、不可逆的で環境破壊の著しいものであり、原状回復義務や毀損の賠償責任さえ負わないとする一方的に不利益な契約関係に立脚するものなのである。

原状回復義務や賠償義務を免除される以上、著しい破壊や改造等が行われる場合には、一層厳密な基準適用を求められるのが法の要求するところではないのか。



⑤米軍(合衆国政府)の管理区域であれば管理者に義務が課せられるはず


米軍に提供された「施設及び区域」には、日本国政府の行政権が及ばない(ただし一部日本人の刑法犯や米軍関連刑法犯などは例外があるかも)とするなら、米軍が管理する区域内は米国法による行政権が及ぶはずであり、当然に米国法における管理者の義務が発生するはずだ。

具体的には、米国内において行政機関に環境保護義務があるなら、米軍の管理区域内においても同様の義務が課せられるべきだろう。何もない、ということならば、それはまさしく「無法地帯」以外のなにものでもない。日本法も米国法も及ばない空白地帯だとすれば、無政府・無法の暴力支配地域ではないか。


なので、日本の法規が適用されてないなら、米国法が適用されてしかるべき。すると、防衛省告示123号で提供された水域が第1水域に該当する常時制限区域であるなら、埋立工事そのものが米国の法令違反であれば不可能となる。


米国法では、そんなに簡単に海を埋め立てて自然資源の破壊を許されると?
不可逆的な環境の著しい毀損より米軍の訓練という利益が優先される、だと?

それが本当なら、合衆国憲法は空文であり、無法国家の証だと言っているのだよ。



⑥米軍(合衆国政府)管理区域に公有水面埋立法が適用されるのか


沖縄県知事による認可手続ということで、辺野古沖の工事が着手されたものと考えられているようだが、合衆国政府(米軍)にも同じく県知事の免許が必要ということなのか?

それはおかしい。
矛盾するでしょう?
米軍(合衆国政府)が自由に何をやってもいいよ、という区域であるなら、知事の免状なんか必要ないから。合衆国政府相手に、許認可権者である沖縄県知事が「やっていい」と免許を与えるわけがないですよね?


基地内の施設なんかが全て日本の法令による場合、日本の行政機関の立入検査等権限が全て等しく及ばないとおかしい。それが適用除外されているなら、当然に県知事の許認可権限だって及ばない。

常時制限区域の設定は、本当に合法なのか?



⑦架空の例で考えてみる

甲が所有する土地Aについて、乙との間で借地契約を締結。期間は便宜的に50年とする(米軍基地は無期限だ)。借地契約は他者への「また貸し」が原則として禁じられている。
乙は、土地Aを自ら使用。ただ、乙が土地Aを使用してない時には一時的に甲に貸すのは認められているので、甲に土地Aを短期間だけ貸す契約を締結した。乙は甲に土地Aに構築物Bを建設するよう、要求しているからである。


さて、これら契約関係について考えてみる。
甲は土地Aを乙に提供する(=借地契約を締結する)為には、自己所有物であることの証明が必要ではないか。土地Aの所有権が未設定である場合、なぜ契約締結権が甲に存するのか?その契約は有効か?

乙には土地Aの使用権があるし、その期間における管理義務があるだろう。土地Aを貸出すると違法に使用されることが分かっている場合、管理者乙の責任は問われないのか?
また、土地Aの使用の態様が明らかに公益に反する場合には、貸出契約自体の無効を判示されても不思議ではないだろう。乙が甲に短期貸出を行い、構築物Bの建設により、他人の法益侵害が著しく、公共の福祉に反するなら、乙から甲への貸出契約が正当化されるとは思われない。

土地Aの使用に関する乙の所有権か財産権が存在していない時、乙には甲に土地Aを貸出する権限が認められるのか?
乙に与えられているのが、使用することのできる権利だけで、実は土地Aの使用権が認められている丙が存在する時、乙が土地Aを甲に貸出する契約を締結することができるのか?
使用権がある丙を無視して土地Aに構築物Bを無条件に建設できるのか?


土地Aが完全に乙だけの所有になっているなら、土地Aに入ってきた人間を住居不法侵入で罰することを求めることができるだろう。時には、度重なる警告に従わないとか敷地内で暴れるなど不法行為があれば、私人逮捕もあるかもしれない。しかし、土地Aが「完全に乙だけの所有」ではない場合、土地Aに正当な使用権がある人間が入ってきたら、逮捕できるのか?


さて、甲は日本国政府、乙は合衆国政府(米軍)、土地Aは本件区域(水面域)、構築物Bは辺野古埋立基地、のことである。


再三指摘してきたが、日本国政府は本件提供区域の所有権を主張することはできない。どこにそんな法があるというのか。甲との契約が有効であると主張する乙は、もし本当に有効なら本件区域の管理者としての義務を生ずるはずだ。同時に乙の本件区域に対する処分権限(日本国政府への貸出許可)は、どこに根拠があるのか?

海の使用権限があるであろうはずの日本国民(上記例中では丙のこと)を無視して、合衆国政府と日本国政府との契約(協定締結)が無効でないと言えるか?合衆国政府は区域の処分について、完全な裁量権を有していると言えるか?



もしも上記例でみた契約関係が有効であるとか言うのなら、それは法なんかないも同然だわな。ただの詐欺だ。


うろ覚えであるが、確か合衆国判例では、州に居住しない人間が所有する漁船による操業を禁止する州法制定が憲法違反であるという判決があったのではなかったか?
海が完全に州の独占物ではないのに、州外の人間が漁業をすることを禁じるという排他的立法が憲法違反ということだ。

それなのに、米軍(合衆国政府)は海域の使用権を主張できる人間が入ってきたら、無条件に逮捕できると?
本当か?


海保が勝手にやったことだ、と言い逃れするつもりかもな、やっぱり。
けどな、米軍の要請がなければ、地位協定第3条は発動されないんだよ。


詐欺師安倍政権の共同共謀正犯なのだよ、アメリカ合衆国は。ペテン国家の面目躍如だな。



海上保安庁の辺野古沖での行為は違法である

2014年09月02日 13時44分44秒 | 法関係
たとえ海保が政府上層部―官邸かもしれない―直々に、当該海域を取り締まれと命ぜられていたとしても、やっていいことと悪いことがある。海保のやったことは、限度を超えている。

これを放置すれば、次もまたその次も同じことをやってくることになるだろう。国は、法を悪用する。従米派官僚どもにとっての法とは、自己保身かアメリカさま利益を守るための道具に過ぎない。


08年11月に、高江のヘリパッド工事に関連して、沖縄防衛局が8歳児を含む反対派住民15人を訴え、那覇地裁に仮処分申請したそうではないか。これが国(アメリカさまの犬たる官僚ども)の手口なのだよ。法は貴様らのような卑怯な下衆野郎どもを守る為にあるんじゃない。

国民にとって国の横暴に対抗できる唯一の盾だ。それが、法だ。


海保も防衛局も、裁判なんて痛くも痒くもないんだよ。どうせ国が守ってくれるから、だ。しかし、一般人は違う。提訴されるのも、提訴するのも、同じく辛く厳しい。裁判で戦い続けるには、組織力がものをいう。

国と違って条件が不利ではあるが、そうではあっても訴えるべきだ。海保のやつらに思い知らせてやるんだ。
いくら反対運動をやって、不当だと追及してみても、海保は痛みなぞ感じない。少々批判されたって、屁でもない。


痛みを思い知るべきだ。
海保は、国民の本当の痛みを知らない限り、犬をやめたりはしない。



具体的方法について、拙ブログの考えを書く。

まず、海保の説明はいい加減なものである、というのは間違いない。法的根拠を未だ答えられていないのがその証拠だ。法廷では、「答えない」などというチンケな作戦は通用しなくなる。
海保を訴えることは、告示された水域が制限区域として有効か否かという論点には無関係に(当然そこを争点化することが狙いでもあるが)、海保側の違法を指摘することができると考える。


で、海保の問題行為は、海保曰く、
「救助である」「安全指導である」
ということらしい。


>http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-230699-storytopic-3.html

抗議行動をするカヌーがフロートの内側に入った際、海保のゴムボートに体当たりされ、カヌーがひっくり返った。カヌーに乗っていた女性は「しばらく息ができなかった」と語った。別の男性は「首や顔を押さえ付けられ、繰り返し海中に沈められた」と証言した。海上保安官は近くにいた抗議船に対して「これは救助だ」と話したという。

>http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=81024

第11管区海上保安本部は一時拘束について「オイルフェンス内に入ったため、海上保安庁法第2条に基づき安全指導を行った」と説明。「なぜ指導に従わず侵入したのか任意で話を聞いた。事実関係の確認と指導の徹底が目的」とした。


海保の行為には、いくつかある。
・手漕ぎカヌーに高速ボートをぶつけて転覆させ、乗っていた人を身柄拘束
・海上に浮いている(自ら飛び込んだ)人々に高速ボートで近づき身柄拘束

これらについて検討する。


1)救助や安全指導であるなら、これは事故である

海保の言い分は、「これは救助だ、だからいいんだ」ということらしい。よろしい、その言い分を利用しようではないか。貴様らの歪んだ根性を叩き直してやりたいところだが、救助したという主張を認めてやろう。

海保が救助を行ったのであれば、これは正当業務に過ぎない、ということにできるわけだ。ふふん。なるほど。

そうすると、これは海難事故と見做すことができる。条文にそうなっているから、だ。


○海難審判法 第二条  
この法律において「海難」とは、次に掲げるものをいう。
 一  船舶の運用に関連した船舶又は船舶以外の施設の損傷
 二  船舶の構造、設備又は運用に関連した人の死傷
 三  船舶の安全又は運航の阻害



カヌーは船舶と言えるか?
答えは「言える」と考えてよいはず。理由は以下。


○海上衝突予防法 第三条  
この法律において「船舶」とは、水上輸送の用に供する船舟類(水上航空機を含む。)をいう。
2  この法律において「動力船」とは、機関を用いて推進する船舶(機関のほか帆を用いて推進する船舶であつて帆のみを用いて推進しているものを除く。)をいう。

(以下略)


手漕ぎのボートやカヌーは、「船舟類」である。海保が「救助だ」「安全指導だ」と宣言していたのは間違いないのであるから、これは海難審判法第2条第1項第3号に該当すると考えられる。海保基準ならば「安全の阻害」だろ?(笑)
だからこそ、救助や安全指導が必要になったわけで。


また海上に浮いて泳いでいた人々は、どうか?
これもやはり海難審判法第2条第1項第2号の「船舶の運用に関連した人の死傷」に該当するのである。幸いに死亡はないが傷害を受けた人たちが存在したので。
海保のボートにぶつかったり、カヌーや抗議船から海に落ちた(=飛び込んだ)人たちは2号規定に該当するはずだ。


以上により、海保の主張していた「救助だ指導だ」を尊重すれば(まさか海上保安官は故意に嘘を言わないはずでしょう?笑)、これらはいずれも「海難」となる。



2)海難は通報義務がある

海難である、となれば、次の条文が適用される。


○海難審判法 第二十四条  
国土交通大臣(船員法 (昭和二十二年法律第百号)第百三条第一項 の規定により国土交通大臣の行うべき事務を日本の領事官が行う場合にあつては、当該領事官)は、同法第十九条 の規定により海難について報告があつたとき、又は海難が発生したことを知つたときは、直ちに管轄する海難審判所の理事官にその旨を通報しなければならない。

2  海上保安官、警察官及び市町村長は、海難が発生したことを知つたときは、直ちに管轄する海難審判所の理事官にその旨を通報しなければならない。



第24条第2項により、海上保安官は理事官に通報しなければならないのだ。さて、正当業務を主張する海保なのだから、さぞかし正確な報告書を作成して海難審判所理事官に通報していることだろう。

もしも海保が通報を拒否した場合、対抗策がある。市町村長に通報義務があるので、市町村に海難の旨、海保に拘束された人たちが申告すればいいのである。市町村長が理事官に通報をしない場合には、市町村長の不作為で訴訟で勝てる。名護市の市長に申告をすることで、理事官に通報してくれるかもしれないし。



3)海保側に衝突回避義務があった海難事故である

海難であるから、事故として精査しなければならない。場合によっては、海難審判の手続開始となるかもしれないしな。

具体的な事故例としては、海保の高速ボートと手漕ぎカヌーとの衝突からカヌーが転覆し漕ぎ手が海に転落した、という場合を考えてみよう。


・海保の高速ボート:船体重量100kg以上、動力出力40~50ps以上(推測)

ボートの収容人員でサイズがいくつかあるはずだが、海保などが使っているのは50~70psはある高出力硬質ゴムボートだろう。なので、重量も非常に重い。前記海上衝突予防法第3条第2項の「動力船」に該当するのではないか。しかも、除外規定適用(2条1項1号の舟)の小型船舶ではない。


○船舶職員及び小型船舶操縦者法 第二条  

この法律において「船舶」とは、第二十九条の三に規定する場合を除き、日本船舶(船舶法 (明治三十二年法律第四十六号)第一条 に規定する日本船舶をいう。以下同じ。)、日本船舶を所有することができる者が借り入れた日本船舶以外の船舶(国土交通省令で定めるものを除く。)又は本邦の各港間若しくは湖、川若しくは港のみを航行する日本船舶以外の船舶であつて、次に掲げる船舶以外のものをいう。
一  ろかいのみをもつて運転する舟
二  係留船その他国土交通省令で定める船舶



反対派の手漕ぎボートやカヌーはこの法律の適用を受けない。海保のボートは該当するのだよ。

 船舶職員及び小型船舶操縦者法  海保のボートのみ適用
 海上衝突防止法  動力船→海保ボート/船舟類→カヌー
 海難審判法   海保ボートとカヌーいずれも該当


誰がどう考えてみたって、海保のボートは圧倒的に危険。カヌーは危険性が軽微である。重量、速度、出力、操縦性能、いずれでも圧倒的。なのに、海保の連中は義務違反の可能性が高いのである。


○海上衝突予防法 第八条

船舶は、他の船舶との衝突を避けるための動作をとる場合は、できる限り、十分に余裕のある時期に、船舶の運用上の適切な慣行に従つてためらわずにその動作をとらなければならない。

 →海保ボートは衝突を避ける動作なし、十分に余裕のある時期に動作してない

2  船舶は、他の船舶との衝突を避けるための針路又は速力の変更を行う場合は、できる限り、その変更を他の船舶が容易に認めることができるように大幅に行わなければならない。

 →他の船舶たるカヌーが海保ボートの変更を容易に認めらない=衝突転覆

3  船舶は、広い水域において針路の変更を行う場合においては、それにより新たに他の船舶に著しく接近することとならず、かつ、それが適切な時期に大幅に行われる限り、針路のみの変更が他の船舶に著しく接近することを避けるための最も有効な動作となる場合があることを考慮しなければならない。

4  船舶は、他の船舶との衝突を避けるための動作をとる場合は、他の船舶との間に安全な距離を保つて通過することができるようにその動作をとらなければならない。この場合において、船舶は、その動作の効果を当該他の船舶が通過して十分に遠ざかるまで慎重に確かめなければならない。

 →安全距離は保持されず、慎重に確かめてなどいない=衝突転覆

5  船舶は、周囲の状況を判断するため、又は他の船舶との衝突を避けるために必要な場合は、速力を減じ、又は機関の運転を止め、若しくは機関を後進にかけることにより停止しなければならない。

 →海保ボートは減速、機関停止、後進などしてない=衝突転覆


海保ボートが危険な操船をしていたのだよ。無実だと海保が言い張るなら、海難審判でやればいいのだ。
更に、海保ボートは次の条文にも抵触している。


○船舶職員及び小型船舶操縦者法 第二十三条の三十六  

3  小型船舶操縦者は、衝突その他の危険を生じさせる速力で小型船舶を遊泳者に接近させる操縦その他の人の生命、身体又は財産に対する危険を生じさせるおそれがある操縦として国土交通省令で定める方法で、小型船舶を操縦し、又は他の者に小型船舶を操縦させてはならない。


衝突その他危険を生じさせる速度で海保ボートがぶつかったんだ。遊泳者に接近したのも同じ。カヌーにぶつけたのも同様。すなわち、海保ボートを操縦していた海技士(?)は「23条の36」第3項規定に抵触している可能性が高い。
その旨を地元警察に届け出るべし。警察は、国土交通大臣に通知することができるから、だ。


○同法 第二十三条の三十八  
海上保安官又は警察官は、第二十三条の三十六の規定に違反する事実があつたことを知つたときは、その事実を国土交通大臣に通知することができる。


海保に申告しても通知しないから無駄だろうけど、警察は通知するかもしれない。たぶん無理だろうけど。ただ、何らのお咎めなし、となるかどうかはまだ分からんぞ?


○同法 第二十三条の七  

国土交通大臣は、小型船舶操縦士が次の各号のいずれかに該当するときは、その操縦免許を取り消し、二年以内の期間を定めてその業務の停止を命じ、又はその者を戒告すること(第二号にあつては、六月以内の期間を定めてその業務の停止を命じ、又はその者を戒告すること)ができる。ただし、これらの事由によつて発生した海難について海難審判所が審判を開始したときは、この限りでない。
一  この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したとき(次号に掲げるときを除く。)。
二  第二十三条の三十六の規定に違反する行為(以下この号及び第二十三条の三十七第一項において「違反行為」という。)をし、当該違反行為の内容及び回数が国土交通省令で定める基準に該当することとなつたとき。
三  小型船舶操縦者としての業務又は船舶職員としての職務を行うに当たり、海上衝突予防法 その他の他の法令の規定に違反したとき。



海保の誰か知らんが、免許取消or業務停止or戒告処分となるかもしれない。2号の「23条の36」違反には回数制みたいだから、何とも言えんが。しかし、前記「海上衝突予防法8条違反」があるとなれば、処分対象だ。
国交大臣が処分しなくても、海難審判開始でもいいぞ?


訴えられた側の立場になれば、少しは辛苦が分かるようになるかもしれん。


以上より、海保側主張を一部取り入れた上で、救助&安全指導対象となった事案につき、市町村長なり警察なりに申告すべきです。

・海保の主張が正しいものとすれば、「海難」事案である
・海難は海難審判所理事官への通報義務がある
・海保ボートには衝突回避義務があった
・海保ボートは「海上衝突予防法8条」の規定に違反している
・海保ボートは「船舶職員及び小型船舶操縦者法第23条の36 第3項」に該当
 


以上を踏まえて、

・船舶職員及び小型船舶操縦者法第23条の7第1項第3号により処分すべし

・海難審判法28条(理事官は、海難が海技士若しくは小型船舶操縦士又は水先人の職務上の故意又は過失によつて発生したものであると認めたときは、海難審判所に対して、その者を受審人とする審判開始の申立てをしなければならない。以下略)
に基づき 海難審判手続を開始すべし


海保の連中に、いずれかの処分を与えて、思い知らせてやるべきである。



ペテン国家「アメリカ合衆国」による辺野古蹂躙~その4

2014年09月01日 21時10分35秒 | 法関係
防衛省告示第123号は、明らかに違法だ。
喩えて言えば、馬鹿な国が公海上に「この区域はオレ様が銃撃戦ごっごに毎日使うので、誰も入ってくんな」と勝手に線を引いて、侵入者を片っ端から銃殺して、「保安上の措置だ」と豪語しているようなものだ。
そういう愚かなことをするのは、北朝鮮とか、海洋法条約を無視している合衆国政府くらいではないのか?
何故なら「オレ様は条約に入ってないから、そんなの関係ねー」と公海上を不当占拠し自分独自の使用をしても誰からも咎められないから、だ。こういう者を無法者と呼ぶのだ。銃撃戦ごっごを完遂できる圧倒的武力を有しているから、他者を何の理由もなく排除できるのだ。無法の暴力国家である証拠だ。


さて、辺野古の海に目を戻そう。
防衛省が出した「オレさまの海」宣言である、防衛省告示第123号は次のものである。


>http://www.mod.go.jp/j/presiding/pdf/2014/123_0702.pdf

内容をざっと書くと、次のようになっている。


6009 キャンプ・シュワブ

◎共同使用
・水域 5,168,000平方メートル
・所有関係 未知
・沖縄防衛局が普天間飛行場代替施設の建設のため共同使用する。
・使用期限:普天間飛行場代替施設の工事完了の日まで


◎使用条件変更
・所有関係  未知
・普天間飛行場代替施設の工事完了の日まで、次の各点を順次に結ぶ線によって囲まれる区域の内側で陸岸に接続する水面域を臨時制限区域とする。
・臨時制限区域は、陸上施設及び普天間飛行場代替施設の建設に係る区域の保安並びに水陸両用訓練に使用するため、常時立ち入り禁止区域に設定する。

=======


所有関係は、「未知(ブランク)」なんだと。
公海上の所有権が誰のものとも特定できないのと同じ。そこに「オレ様の海」宣言とは、これ如何。

日本の詐欺師安倍政権と馬鹿官僚たちが考え出した、日本国民を騙す詐術だ。陸上の土地であれば、所有関係が明らかであることが殆どなので、そこに契約関係等の設定は、所有権者に相応の自由があるだろう(当然に著しい公益の毀損には配慮が必要なことは言うまでもないはずだが)。

しかし、所有物でもないものを、一体全体何の権利があって「制限区域」とできるのか?もしもできるとすれば、立法措置のみであるはずだろう。国会がそのように決めない限り、政府の所有物でないものの処分を政府が好き勝手できる権限なんかない。


恐らく詐欺師たる政権が依拠していると考えられるのは、日米地位協定第2条の規定である。


日米地位協定 第2条

○第2項
日本国政府及び合衆国政府は、いずれか一方の要請があるときは、前記の取極を再検討しなければならず、また、前記の施設及び区域を日本国に返還すべきこと又は新たに施設及び区域を提供することを合意することができる。

→これにより「新たに区域を提供することを合意」できる、と。これが今回の水面域の指定ということであろう。


続いて、分かりやすい(b)からみる。

○第4項
(b)合衆国軍隊が一定の期間を限つて使用すべき施設及び区域に関しては合同委員会は、当該施設及び区域に関する協定中に、適用があるこの協定の規定の範囲を明記しなければならない。

→たぶん、本件告示の範囲が協定中に明記されたはず、ということ。7月1日に閣議決定した後、超特急で日米間の合意文書作成が行われ、新たな協定文書に署名・発効された、ということだろう。合衆国政府の協力がなければ、こうした処理は不可能なはずだ。だって、2日の告示までに間に合わせたわけだからな。


ひとつ戻って、(a)の項を見る。

○第4項
(a) 合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、又は日本国民に使用させることができる。ただし、この使用が、合衆国軍隊による当該施設及び区域の正規の使用の目的にとつて有害でないことが合同委員会を通じて両政府間に合意された場合に限る。


軍隊が区域を一時的に使用していないときは、日本国政府又は日本国民が「臨時に使用」できる、と。本件告示においては、政府が使用するのと同時に、工事業者たる日本国民に使用させることができる、という意味だろう。
そして肝要なのが「この使用が、正規の使用の目的にとって有害でないことが両政府間で合意された場合に限る」、ということだ。


つまり、本件告示は両政府間の合意というのが大前提となり、それは「合衆国政府の意思」ということでもある。

合衆国政府は、合衆国憲法あるいは合衆国最高裁判例には従う必要がない、と宣言したに等しいではないか。さすが、無法者国家たるアメリカ合衆国だな。


で、合衆国政府と日本国政府間の合意文書が存在しなければ、区域の提供はできないし、日本国政府に使用させることも不可能。


仮に、日本の安倍政権のやった「区域の提供」が日本の法令に違反しており無効であるとしても、合衆国政府はその違法には必ずしも拘束されないのかもしれない。しかしながら、合衆国憲法及び合衆国最高裁判例には従うべきなのではないのか。ならば、公共信託法理が本件の海域に適用されても当然であると言えよう。
合衆国軍隊の海域の利用というものが、他の全ての法益に最優先される、ということが証明できない限り、住民意思や利益が保護法益として優先される。具体的には、キャンプ・シュワブの使用目的はあくまで訓練であって、戦闘行為などではないし国防上の利益云々なんてものも、本施設及び区域には課されていない。


合衆国軍隊が合衆国憲法及び判例法理に拘束される限り、たとえ日本国民に対する法益侵害であるとしても、その侵害は到底許されるものではないはずだ。


いいか、合衆国政府が与えた合意そのものが、合衆国最高裁判例に抵触する決定内容である、ということだ。


整理して書くと次のようなことだ。


日本政府が米軍に区域を提供(第2項)
  ↓
米軍が日本政府に区域使用(=共同使用)を許可(第4項a)
  ↓
米軍が日本政府に海上の摘発を要請
  ↓
日本政府が自己占有と同等の領域とみなす
  ↓
 ☆海保が「我が物顔」で無法の横暴を繰り返す(今ココ)



そもそも、日本国政府(安倍政権)による本件区域の提供は、日本の法規に照らして違法であり、不法原因給付に匹敵するようなものだ。それなのに、合衆国軍隊は「善意の第三者」的立場なので、仮に違法な提供であろうと知らんぷり(=どんな汚い手を使っても勝てばいい、という無法者根性)を決めればいい、ということなのである。

しかし、バックレても合衆国判例で違法なら違法なんだよ。


海保が張り切っているのには、ワケがある。それは、区域の警備で摘発できる正当性があると考えていたから、だろう。元はといえば、刑事特別法適用と言っていたわけだからな。しかし、何か誤算があったに違いない。

本来的には、『米軍からの要請』というのが条件になっている。


日米地位協定

○第三条
合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。日本国政府は、施設及び区域の支持、警護及び管理のための合衆国軍隊の施設及び区域への出入の便を図るため、合衆国軍隊の要請があつたときは、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で、それらの施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において、関係法令の範囲内で必要な措置を執るものとする。合衆国も、また、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で前記の目的のため必要な措置を執ることができる。


これを読む限り、合衆国には区域のほぼ全権が与えられている、と言えよう。
区域の「設定、運営、警護、管理のため必要な全ての措置」が認められている。また「合衆国軍隊の要請があったとき」は、両国政府間協議の上「土地、領水、空間」において関係法令の範囲内で日本政府が必要な措置を執る、とされている。


海保が海上で逮捕権発動をしようとしたのは、「領水」における関係法令=刑事特別法が適用できると官邸筋(防衛省筋?)から指示された為であろう。従米派官僚の先走りとしか思えないわけだが。

ただ在日米軍~合同委員会・米側代表が「要請をしなかった」可能性は考えられる。「自分たちには責任がない(=やれ、とは言ってない)」という言い逃れをする為かもしれない。それとも具体的方法を考えたのが従米派官僚で、率先してお先棒担ぎをやったからなのかもしれない。


そうではあっても、合衆国軍隊が一切の義務から解放されているかのような言い分は間違いである。「アメリカさまが言うから」とか「アメリカさまには日本の法律は通じない」とか「アメリカさま相手の外交・国防上の秘密だから無理」といったことにはならないんだよ。


第三条1項の措置は、無条件なんかじゃない。
2項及び3項により制限があるのだ。


合衆国は、1に定める措置を、日本国の領域への、領域からの又は領域内の航海、航空、通信又は陸上交通を不必要に妨げるような方法によつては執らないことに同意する。合衆国が使用する電波放射の装置が用いる周波数、電力及びこれらに類する事項に関するすべての問題は、両政府の当局間の取極により解決しなければならない。日本国政府は、合衆国軍隊が必要とする電気通信用電子装置に対する妨害を防止し又は除去するためのすべての合理的な措置を関係法令の範囲内で執るものとする。

合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払つて行なわなければならない。


2項により領域からの又は領域内の航海を不必要に妨げるような方法によつては執らないのである。更に、3項により米軍が使用している区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行わなければならないとなっているではないか。注意義務や方法の制限は米軍側にこそ課せられている、ということだ。


それを、海保のやつらは何だ。無法とは、貴様らの方だ。



長々と書いてしまったが、まとめると次の通り。


◆日本側の問題
・水域の所有権者でない政府による米軍への提供は違法で無効
・常時立入制限区域(水域)の設定は根拠(国内)法がなく無効
・「5.15メモ」の日米合同委員会合意事項に自己矛盾する可能性


◆合衆国側の問題
・区域提供を受けた合衆国が住民利益を無視するのは合衆国憲法に反する
・米軍(合衆国)は提供水域の立入制限を無条件に義務付ける法的権限を有しない
・区域管理責任主体として注意義務を怠っている
(たとえ区域提供が日本の法令違反で無効であるとしても、だ)



日米両政府のやっていることは、どちらにせよ違法なんだろうよ。
お前らにある唯一の言い分は、「俺らの暴力が勝つ」ということだけだ。それが無法国家の証なんだよ。



海保よ、「刑事特別法適用だ」と答えてみろ!

2014年08月27日 13時38分00秒 | 法関係
海上保安庁はどうして日米地位協定2条1項に基づく刑事特別法2条の適用である、と宣言できないのだね?
昨年末から、産経新聞の報道でもあった通りではないのか。

おい、どうした?
まさか、ウチのような雑魚ブログ記事でも読んだか?
適用できないかもしれない、とビビッてるのか?
答えてみろや。正々堂々と言えるだろう?
制限区域内に立ち入れば「即逮捕だ」と張り切っていたんじゃなかったのか?


ロイター記事で、以下の記事があったはずだが、今は何故かnot foundにされたみたいだ。どうして記事を隠さねばならないのか?
これが、日本の情報支配体制、ということなんだよ。都合の悪いものは、こっそりと隠されてしまうのだ。


辺野古で海底の掘削開始
2014年 08月 18日 14:54 JST

沖縄防衛局は18日午前、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事に向け、海底ボーリング調査を始めた。防衛省幹部が明らかにした。普天間代替施設の建設に向けた本格的な作業で、17日に設置した台船を足場にして海底掘削を開始、埋め立て地盤の強度や地質を調べる。
 11月30日までに、米軍や工事用船舶以外の航行を禁止する臨時制限区域内の海底16カ所を掘削調査する。調査結果を基に埋め立て工事を設計する。
 辺野古移設反対派はこの日も船で抗議活動を展開した。反対派が制限区域に船で立ち入れば日米地位協定に伴う刑事特別法の処罰対象となる。


=======


クソ海保よ、もう言い分を撤回したのか?
威勢が良かったのは、どうした?
たったの1週間で前言撤回か?


>http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-230696-storytopic-3.html

(一部引用)
排除の根拠

 海上保安庁は辺野古海域での活動について、海上保安庁法第2条に基づいていると説明する。2条では、海上での任務について海難救助、船舶航行の秩序の維持、海上犯罪の予防および鎮圧、船舶交通に関する規制などと明記している。
 抗議活動する市民の行為が、具体的に第2条のどの部分に該当するか、11管本部は「個別的事案にはお答えできない」との見解を繰り返している。


=========



ところがどっこい、本日になると、「海上保安庁法第2条の基づく」という、何の答えにもなっていない返事とは、大笑いだな。


これを答えたヤツは、誰だ?
海上保安庁法第2条により、海にいた「お前ら、基地反対派を拘束した」と返答したということか?

沖縄の報道機関の方々にお願いです。
文書での回答を要請して下さい。そして、法令の所管部局の局長名か誰かの文書が来るはずなので、それに「海上保安庁法第2条に基づく」と書かれていれば、歴史的バカの書いた文書として、永久保存が可能となるでありましょう。何なら、裁判の際の証拠として、提出してもいいと思いますね。


本当に、海上保安庁法第2条により、身柄拘束ないし船舶の往来を妨げたりしたなら、それは無法国家の犯罪行為です。日本でも反海保運動の大規模デモくらいやった方がいい。アメリカ本国を見習うべき。米国警察の横暴に市民が対抗したではないですか。ああいう気構えが必要です。


どんな法令にだって、法律の目的が書かれているわけである。それは、大元の思想的なものがほとんどであり、抽象化した文言がほとんどだろう。


具体例で示そう。

ドラマ『半沢直樹』で「金融庁検査」というのが脚光を浴びたが、金融庁に検査権限が与えられていようとも、銀行に対しどんなことをやってもいい、ということになんかならないのだよ。


○銀行法 第1条  

この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。


金融庁が「預金者等の保護を確保する」為にやります、と主張しようとも、それはどのような行為を行ってもいい、ということが許されているわけではない。当たり前だろうに。



麻薬取締官には司法警察権が与えられていようとも、一般人を見境なく逮捕してもいい、なんていう権限なんかないんだよ。


○麻薬及び向精神薬取締法 第1条  

この法律は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もつて公共の福祉の増進を図ることを目的とする。


条文中に、「保険衛生上の危害を防止」って書かれているからといって、その為に「一般人の身柄を拘束しました」と逮捕権限行使が無条件に許されているわけがなかろうに。


海保よ、お前ら、バカか?
条文を読めんのか?
それとも、国土交通省に法規解釈部局でもあって、そこから聞いたのか?
海上保安庁の所管法令は、海上保安庁に法令解釈の部門があるんじゃないのか?
どこだ?総務部か?政務課あたりか?


○警察官職務執行法 第1条  

この法律は、警察官が警察法 (昭和二十九年法律第百六十二号)に規定する個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持並びに他の法令の執行等の職権職務を忠実に遂行するために、必要な手段を定めることを目的とする。


この条文に身体の保護だの犯罪予防だのと書かれているから、という理由だけで警察官は一般人の身柄拘束やその他行動制限や無用な職務質問を強制できるとでも言うつもりか?それじゃ、ただの暴力組織だろ。

法令の目的に書かれていることが、警察官や麻薬取締官や労働基準監督官やその他司法警察職員の行動を全て許可することになんかならないんだよ、恥知らずめ。行政職員が民間人に対して行える行為の根拠は、個別の条文中に規定されているものなのだろうよ。それとも、刑事訴訟法に根拠のあるもの、とかだろ。


○警察官職務執行法 第2条  

警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
2  その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。

3  前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
4  警察官は、刑事訴訟に関する法律により逮捕されている者については、その身体について凶器を所持しているかどうかを調べることができる。



2条3項をよく読んでみろ。
刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束されたり連行されたり質問への答弁を強要されることなど、できないんだよ。


海上保安官というのは、いつから下っ端のチンピラに成り下がったんだ?
法によらない暴力行為、それは暴力団やヤクザのやり口だろ。そして、海保がやってることは、そういうことだ。根拠を答えられないことを、貴様らはやっているんだぞ。
恥ずかしくないのなら、堂々と即答できるだろうよ。


本物の犯罪者と捕える時、コソコソと理由も述べずに逮捕するのか?お前らは。
性根の腐った、クズどもだな。
お前らのような人間を、恥知らずの卑怯者と呼ぶんだよ。



辺野古沖第一水域に関する防衛大臣告示は違法~海保に賠償請求せよ

2014年08月27日 08時53分53秒 | 法関係
海保がまた民間人を拘束したらしい。

>http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-230653-storytopic-271.html


米軍普天間飛行場移設に向けた名護市辺野古沖の新基地建設工事で26日午前10時半ごろ、カヌーなどで抗議中の市民らが海上に設置された浮具(フロート)内に飛び込み、海上保安官に取り押さえられた。同11時現在、少なくとも市民7人が海上保安庁に拘束され、海保のボートの上で事情を聞かれるなどしている。
 26日午前8時半ごろから、作業員らが海上に設置されているスパット台船の周辺で作業を開始。午前10時すぎには、沖縄防衛局の作業船2隻が青いスパット台船1基を引いて、辺野古漁港寄りに移動させた。カヌーなどに乗った市民は、スパット台船での掘削調査継続に抗議し、フロート内に飛び込んだ。


=========


海保の奴ら、一体全体どういう権限があって、7人を拘束したのか?

こういう時、法廷闘争を挑むべき。何故なら、法的な根拠が相手側から明らかにされるから、だ。海保が逮捕権が発動できるのは、通常は船舶のみ、だ。


遊泳している人間というのは、基本的に逮捕の対象とはならない。


海上保安庁法 第十八条  

海上保安官は、海上における犯罪が正に行われようとするのを認めた場合又は天災事変、海難、工作物の損壊、危険物の爆発等危険な事態がある場合であつて、人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害が及ぶおそれがあり、かつ、急を要するときは、他の法令に定めのあるもののほか、次に掲げる措置を講ずることができる。
一  船舶の進行を開始させ、停止させ、又はその出発を差し止めること。
二  航路を変更させ、又は船舶を指定する場所に移動させること。
三  乗組員、旅客その他船内にある者(以下「乗組員等」という。)を下船させ、又はその下船を制限し、若しくは禁止すること。
四  積荷を陸揚げさせ、又はその陸揚げを制限し、若しくは禁止すること。
五  他船又は陸地との交通を制限し、又は禁止すること。
六  前各号に掲げる措置のほか、海上における人の生命若しくは身体に対する危険又は財産に対する重大な損害を及ぼすおそれがある行為を制止すること。

2  海上保安官は、船舶の外観、航海の態様、乗組員等の異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して、海上における犯罪が行われることが明らかであると認められる場合その他海上における公共の秩序が著しく乱されるおそれがあると認められる場合であつて、他に適当な手段がないと認められるときは、前項第一号又は第二号に掲げる措置を講ずることができる。




仮に犯罪の予防的阻止という観点で逮捕権を行使した、という主張をする場合であっても、18条1項の1号及び2号が可能なだけである。それは、船舶進行のコントロール(移動させたり、停止させたり、)進路変更や誘導、といったことだ。遊泳している人間への権限行使など、ないのである。

海保が拘束した正当事由を明らかにできなければ、海保には遊泳者の拘束権限などない、ということが明確になるだろう。



制限区域が不当である、と主張することにより、最高裁判決まで持ち込むことも可能かもしれない。


とりあえず、海保を訴えるべき。
戦いには、法で対抗するよりないのだよ。市民運動とか言っていても、相手側には痛くも痒くもないのだ。いくら大声で叫んだって、相手側には何らのダメージにもならない。


同じ土俵に立てるチャンスがあるとすれば、それは唯一、法廷のみ、だ。
相手をそこに引きずり出すことが重要。


誰でもいい、実行できる人たちがやってくれ。お願いします。



続々・辺野古沖第一水域に関する防衛大臣告示は違法

2014年08月26日 16時36分56秒 | 法関係
続きです。
1)~5)では、日本国政府の違法について見てきました。今度は、アメリカ合衆国の責任について、考えてみます。


6)アメリカ合衆国に責任はないのか

前項2)でも触れたが、合衆国軍隊からの「国有財産提供のご提案」さえなければ、本件手続は開始されることはなかった。「ご提案」とは表の話であって、実際には不当要求に類するものだ。宗主国であるところの、アメリカさまには逆らえない、というだけ。

日米合同委員会での承認や、協定締結がなければ、こうした事態は生じなかった。業を煮やした米国海兵隊が、無理矢理に着工の既成事実を作り出したのだ。

日米合同委員会の時点でも、協定締結時点でも、アメリカ政府の法律顧問団がきちんと検討したりすれば、本件のような国家による違法活動は避けられたはずだ。だが、合衆国政府は、そうはしなかった。
日本に不当要求を押し付け、安倍政権に邪魔立てする存在がないことをいいことに、これに便乗して国防総省の都合最優先で辺野古の工事を進めたんだろ。米軍再編の進捗状況が芳しくない、という理由だけで、だろ。


百歩譲って、日本の安倍政権と取り巻き官僚たちが無能で愚かだったので、彼らが「国有財産提供ということで制限区域を設定しましょう」とか持ちかけたものであるとしよう。刑事特別法適用で脅せばどうとでもできます、などと調子のいいことを言ってきた、と。

仮に、そうであったとしても、合衆国にも相応の責任があった、と言わざるを得ない。

米国は、常々中国なんかに偉そうに言ってきたろう?
「海洋のルールを守れ、国際法を守れ」とか。

そういうお前らは、どうなんだ?
日本国政府が設定した制限区域は、あくまで日本の国内法であると言うのかね?

違うだろう?
協定の締結なのだから、合衆国政府の責任でもあるのだよ。


日本国政府が「刑事特別法適用だ」と主張するということは、その「施設及び区域」の管理権限は合衆国政府にあるものだ。日米地位協定第三条を見てみるか?


第三条
1 合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。日本国政府は、施設及び区域の支持、警護及び管理のための合衆国軍隊の施設及び区域への出入の便を図るため、合衆国軍隊の要請があつたときは、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で、それらの施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において、関係法令の範囲内で必要な措置を執るものとする。合衆国も、また、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で前記の目的のため必要な措置を執ることができる。


日本の政府が日米地位協定「第二条第一項」に基づき、海保が即排除だ刑事特別法だと息巻くということは、当然ながらその区域は所謂治外法権としての区域であり、合衆国の管轄権が適用されるだろう。
上記第三条第一項にある通り、「合衆国は、区域内において、設定、運営、警護及び管理の為の必要なすべての措置」を執ることができる、とされているではないか。


要するに、その区域内とは合衆国内とほぼ同等であり、合衆国の法規が及んでいるのと同等なのではないのか?


では、お尋ねしよう。
合衆国では、海の通航を不当に制限して、民間人の往来や遊泳を勝手に禁じることが行われているのか?政府が一方的に宣言すれば、それが有効とされるのか?


「公共信託法理」というのがあるだろう?
合衆国においては、(河川や湖等)水上や海上の権利関係というのは、その法理に基づくのが基本的考え方なのではないのか?

政府は、あくまで国民(住民)に公共財を信託されているのであって、その管理は住民利益を損なわないように行う義務があるのだ。日米地位協定第三条を見ても分かるように、主語は合衆国であり、区域の「設定」及び「管理」は合衆国の憲法に従わざるを得ないはずだ。


少なくとも、合衆国は「公共信託法理」に反するような協定締結はできないはずだし、日本政府や防衛省官僚がどれほど愚かで無法な提案をしてこようとも、合衆国政府だけは「法令違反」を回避する義務があるはずだ。

再度、お尋ねしよう。
合衆国の管理管轄権が及ぶ辺野古沖の「第一水域」について、住民の往来や通航制限を行うのは、妥当なものか?
公共信託法理に照らして、違法性はないと言えるか?


「合衆国」には、海上の侵入制限や交通制限や遊泳禁止といった、住民の権利を大幅に制限する根拠が、本当にあると言えるか?それは、合衆国憲法違反なのではないのか?
Public waterであるはずが、どうして政府によって不当に制限されねばならないのか?


合衆国憲法に反することを、日本ではやっていい、ということか?
そうであるなら、そのように大声で主張すればいい。


我々アメリカ合衆国国民たる合衆国海兵隊は、合衆国憲法違反だろうと何だろうと、おかまいなしの暴力無法集団であり、法の支配など受けないので、問題ない、と。
そういうことか。
こういう国を、無法者国家と呼ぶに相応しいのではないのか。


海洋法条約の締約国なんかになってしまうと、米国の傍若無人な振る舞いが違法と糾弾されてしまうものなあ。国際法違反だ、条約違反だと騒がれたら、海での不法行為ができなくなってしまうから。
日本にpublic waterをpublicではないものにするよう強要する合衆国に、遵法精神などあるわけがない。ヤクザやマフィアなんぞ比じゃない、真の無法集団だ。


続・辺野古沖第一水域に関する防衛大臣告示は違法

2014年08月26日 13時52分33秒 | 法関係
防衛大臣告示が違法であり、それを基にした刑事特別法の適用が無効であることについて、当方の主張を述べる。

官報の内容を探したが、ネット上では見つけることができないなかった。全文を読みたいが、報道ベースからしか分からない。


因みに、タイトルはこれ>
 アメリカ合衆国が使用を許される施設及び区域について、共同使用、使用条件変更及び追加提供が決定された件(同一二三)


違法と考える根拠について、少し分けて書くことにする。


1)海は誰のものか?

最大の論点は、これだ。防衛省が米軍に「施設及び区域」を提供する場合、それは誰のものなのか、ということである。誰かの土地であるとか、明確な所有物であって所有権者が好きに処分できるというのなら、米軍に提供できるだろう。

しかし、海はどうなのだ?
法学上の論点としては、海に隣接する海岸などの土地部分については国有地等であるとされたりするが、沿岸から遠く離れた海は「誰のものか」ということが明確に定まっているわけではないのだ。

少なくとも国有財産ではない。
そもそも国有財産法に規定されていないから、だ。
行政財産でないなら、普通財産か?


一般に、海(や海上権)は「領海」であることは政府が主張できても、国有財産という規定が法文上で存在しない以上、国が「自分の持ち物」であると主張することはできない。敢えて所有権を設定するとしても、地方自治体の財産であるとする説が標準的であろう。

海は、「法定外公共物」であって、国がその所有権を主張できるものではない、ということである。


2)「施設及び区域」提供の手続

ざっと書くと、以下のような流れになっている。

・在日米軍から施設特別委員会宛に国有財産提供の提案
・施設特別委員会から防衛省へ提案内容を伝達
・国有財産所管部局は防衛省からの意見徴取に応じ防衛省に回答
・防衛省から施設特別委員会に提案
・施設特別委員会が提案に合意した場合、日米合同委員会に承認勧告
・合同委員会承認後、防衛省から関係省庁へ通知→所管部局へ通知
・防衛省及び関係省庁は閣議請議の合議を実施
・閣議決定の稟請→閣議決定
・閣議決定後外務省が米国と協定締結手続
・協定締結後、外務省から防衛省に通知
・防衛省が施設及び区域提供決定の官報告示、関係省庁へ通知


新聞報道からは、防衛省が関係省庁に意見徴取を行ったのは、農水省だけのようであり、国土交通省(港湾関係担当なので)が回答したかどうかは不明である。


いずれにせよ、重要ステップは、日米合同委員会の承認、閣議決定、日米間の協定締結、ということになる。

その結果が、7月の官報告示ということになろう。
アメリカ合衆国が提案したりしなければ、この水域提供までのステップは開始されないし、アメリカ合衆国が日米合同委員会で承認を拒否すればいいのだし、協定締結を阻止すれば、防衛大臣告示にも至ることがないのだ。


要するに、アメリカさまの言いなりで、日本側が沖縄県民を犠牲にして、手続きを強引に進めたのだ。国民を見殺しにする安倍政権は、アメリカさまのお陰で政権維持が安泰ということにしてもらっているのだ。マスコミもこれを支え続けているのである。


3)沖縄県知事の公有水面埋立に関する権限及び手続

裏切り者の現沖縄県知事には、埋立の免許についての権限がある。これを認めたことにより、防衛省が工事開始手続を進め、第一水域拡張の大臣告示まで行ったということだ。

ただし、沖縄県知事に許認可権があるとしても、米軍に沿岸部や海域を提供することを決定したりする権限まではない。埋立許可の免許を与えるかどうか、だけである。法定外公共物であるところの「海」が地方自治体の財産であるとしても、知事にその処分権限が存するわけではない。


4)漁業権だけが権利ではない

地元漁協を抱き込んで制限水域を設定することができたように考えているのかもしれないが、それはあくまで農水省所管の漁業権関連だけである。防衛省が米軍への「施設及び区域」提供手続を推進する為に、農水省から回答を得ているとしても、それには漁業以外の意味などない。
そもそも農水省が財産所管部局というわけではない、ということだ。


5)国に海の処分権限はない

既に結論に達しているが、最初の項で述べたように、領海内の海の部分が国の財産ではない、ということなら、根本的に政府がその処分権限を有しない、ということになる。

防衛大臣告示までの手続に瑕疵はない、といかに主張しようとも、大前提として米軍が提供の提案を行えるのは、そもそも「国有財産」についてのみ、である。2)の手続事務は国有財産の場合だけ、適用される。国有財産ではない以上、制限区域を設定したり、米軍に提供すると勝手に宣言する権利など、日本国政府には持ち合わせていないのだ。


念の為、国有財産法を見てみる。

国有財産とは次のものだ。


国有財産法 第2条  
この法律において国有財産とは、国の負担において国有となつた財産又は法令の規定により、若しくは寄附により国有となつた財産であつて次に掲げるものをいう。
一  不動産
二  船舶、浮標、浮桟橋及び浮ドック並びに航空機
三  前二号に掲げる不動産及び動産の従物
四  地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利
五  特許権、著作権、商標権、実用新案権その他これらに準ずる権利
六  株式、新株予約権、社債(特別の法律により法人の発行する債券に表示されるべき権利を含み、短期社債等を除く。)、地方債、信託の受益権及びこれらに準ずるもの並びに出資による権利(国が資金又は積立金の運用及びこれに準ずる目的のために臨時に所有するものを除く。)



沿岸から遠く離れた海の上は、国の持ち物か?(笑)
いずれも該当しないのであるから、権利主張はできない。仮に4号規定の「準ずる権利」を主張するとしても、矛盾が残る。

国が往生際悪く、「いやいや、領海内だから国有財産だ」と主張したとしよう。そうすると、行政財産か普通財産かのどちらかになる。


国有財産法 第3条  
国有財産は、行政財産と普通財産とに分類する。
2  行政財産とは、次に掲げる種類の財産をいう。
一  公用財産 国において国の事務、事業又はその職員(国家公務員宿舎法 (昭和二十四年法律第百十七号)第二条第二号 の職員をいう。)の住居の用に供し、又は供するものと決定したもの
二  公共用財産 国において直接公共の用に供し、又は供するものと決定したもの
三  皇室用財産 国において皇室の用に供し、又は供するものと決定したもの
四  森林経営用財産 国において森林経営の用に供し、又は供するものと決定したもの
3  普通財産とは、行政財産以外の一切の国有財産をいう。



もしも普通財産である場合には、普通財産の所管大臣は財務大臣ということになっている。

国有財産法 第六条  
普通財産は、財務大臣が管理し、又は処分しなければならない。



そうすると、米軍への提供事務手続においては、財務省の関係部局の意見徴取が必須となる。しかし防衛省は農水省に意見徴取したのみである。防衛省が施設特別委員会に提案する前の段階で手続過誤があるので、それ以降の過程は無効だ。

それに、普通財産だろうと行政財産であろうと、国有財産の目録一覧のような記録が必須のはずなのであるから、財務省にその記録があることを証明する必要がある。


国有財産法 第11条  
財務大臣は、各省各庁の長の所管に属する国有財産につき、その現況に関する記録を備え、常時その状況を明らかにしておかなければならない。



文書主義の官僚組織が、今回指定された制限区域の「財産目録が存在しない」などということがあるか?


話を戻して、普通財産ではなく、行政財産だと主張したとしよう。
すると、行政財産であるとすれば、処分性の問題が生ずるのだ。


国有財産法 第18条  
行政財産は、貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、信託し、若しくは出資の目的とし、又は私権を設定することができない。



2項以下に除外規定が置かれているものの、いずれも本件には該当しない。そもそも行政財産は、貸したりできない、ということだ。米軍への提供とは、何だ?譲与か?信託か?


また、第6項において、『行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度において、その使用又は収益を許可することができる。』と定められているが、いちいち海で泳ぐ人とか船で通航する人に「許可を与える」ことをやっているのか?


どの場合であっても、国が国有財産であることを主張することなど、到底できないということだ。
国有財産ではないなら、国に処分権限はなく、米軍に提供することは不可能。
国有財産であることを言う場合であっても、
・行政財産ならば貸せない=「施設及び区域」としての提供は不可能
・普通財産ならば財務大臣及び関係部局は財務省
・国有財産目録がない
・国有財産の使用許可(海上通航等)を出したことなどない


よって、いずれにせよ国の手続、処分、協定締結事務、全てが無効であり違法である。


防衛大臣告示は、根拠のない全くの出鱈目であり、制限区域を設定する権限などないのだ。
これを基にした刑事特別法適用などというのは、不当逮捕であり、国家の暴虐、非人道的国民虐待以外のなにものでもない。


長くなったので、とりあえず。
次項では、アメリカ側の違法性について書くつもりである。