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辺野古沖埋立の免許取消処分について~3

2015年02月28日 16時29分00秒 | 法関係
前回記事において、撤回の理由として挙げた4条3項1号の適用についてですが、当方の凡ミスで間違っておりました。お詫び致します。「権利を有する者」の定義は、既に条文中に規定されてます。


>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/bf7b5e33d83018085c6f55c7466d4536



具体的には、法5条の各号(以下)によるものでした。

一  法令ニ依リ公有水面占用ノ許可ヲ受ケタル者
二  漁業権者又ハ入漁権者
三  法令ニ依リ公有水面ヨリ引水ヲ為シ又ハ公有水面ニ排水ヲ為ス許可ヲ受ケタル者
四  慣習ニ依リ公有水面ヨリ引水ヲ為シ又ハ公有水面ニ排水ヲ為ス者




従って、

 ①公有水面占用許可者(法令)
 ②漁業権者・入漁権者
 ③引水・排水許可者(法令)
 ④引水・排水実行者(慣習)

が権利を有する者であって、その同意が得られていることというのが免許承認の条件でした。


市町村は、利害関係者(法3条)ではあるものの4条3項1号にいう「権利を有する者」ではないことは明らかであり、当方の勘違いでした。お詫びして訂正致します。こんな簡単なミスでさえ、これほどの期間気付くことができず申し訳ありません。本日再度条文を読んでいたら、普通に書かれていることに気付きました。


そこで、再び撤回を表明する場合の理由について、考えてみました。
攻め手が中々思い浮かばず、撤回の根拠として使えるものを書くこととしました。


ポイントとしては、昨年12月の仲井真前知事の退任直前の工事変更申請に対する承認があったのですが、これを撤回事由としたいと思います。

>http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=93431


撤回をする場合、免許承認時(報道ベースでは2013年12月)より事後的に事情変更があった場合でも、法令上の規定が存在せずとも撤回が可能です。免許の取消処分とは異なりますので。
免許の承認直前段階までの瑕疵の存在を証明して取消といったものではなく、合理的理由の提示ができればいいはずです。


そこで、提出されていた変更申請に対する承認が2014年12月4日でしたので、この時点において埋立免許承認の可否に係る事情が存在していたかどうかを検討します。


工事の変更内容の妥当性は勿論ですが、着手前であったのですから、総合的に判断して免許の承認をするべきであることは当然でありましょう。

前の記事でも指摘しましたが、地元自治体であるところの名護市が埋立に同意していませんでした。法3条にいう利害関係者であることは明らかなのですが、同意が免許承認条件とはされておらず(通常は同意すべきものとして取り扱うのが普通だろうということでは)、権利を有する者(=基本的には補償対象ということでしょう)にも該当していません。

しかし、地元市町村の権利というのが全く認められていないわけではありません。
4条1項3号の免許不承認の規定を準用することも考えられましょう。


(再掲)

○公有水面埋立法 第四条  

都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願左ノ各号ニ適合スト認ムル場合ヲ除クノ外埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ

一  国土利用上適正且合理的ナルコト
二  其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト
三  埋立地ノ用途ガ土地利用又ハ環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体(港務局ヲ含ム)ノ法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト
四  埋立地ノ用途ニ照シ公共施設ノ配置及規模ガ適正ナルコト
五  第二条第三項第四号ノ埋立ニ在リテハ出願人ガ公共団体其ノ他政令ヲ以テ定ムル者ナルコト並埋立地ノ処分方法及予定対価ノ額ガ適正ナルコト
六  出願人ガ其ノ埋立ヲ遂行スルニ足ル資力及信用ヲ有スルコト




3号規定においては、「環境保全に関する地方公共団体の法律に基づく計画に違背しないこと」が挙げられているのです。これを利用するということです。


具体的には、2014年12月の変更申請後の承認の可否判断時点において、

 ・名護市は埋立に不同意であったこと
 ・名護市の環境基本条例及び景観計画に違背(抵触)する

ことから、2013年12月に埋立免許を承認をしたものの、変更申請時の再度の審査においては撤回すべき事情が存在したものと言える。


よって、14年12月時点において撤回すべきであったものが、現時点においても未だ撤回されておらず、埋立権者の違法行為にも匹敵する知事命令違反が堂々と国家の権力の名の下に行われているのです。


直ちに撤回すべきです。



辺野古沖埋立の免許取消処分について~2

2015年02月08日 18時58分06秒 | 法関係
沖縄県としては、これから瑕疵がなかったか検討して7月までに結論を出す、といった報道が出されているわけであるが、何を悠長なことを言っているのですか、と思いますね。

直ちに「撤回」すべきです。
防衛省の活動を完全停止に追い込むには、これ以外の手などありませんよ。相手が実力行使で正面から強行突破を仕掛けてきているというのに、ここで戦わないでいつ戦うというのですか。怯まずに戦うしか方法なんかないし、相手を追い込めないですよ。敢然と戦うべきです。


それには、撤回しかありません。
瑕疵があるかないか、の検証は取消処分に活用して下さい。



撤回の理由を以下に説明します。
これまでの不勉強をお詫び致します。公有水面埋立法は、意図的に読み難く理解しずらいように、古い条文のまんまにしているとしか思えないね。まあこれはいいか。

公有水面埋立法に基づく根拠を提示します。


根拠は4条3項です。まず条文から。


○公有水面埋立法 第四条

都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願左ノ各号ニ適合スト認ムル場合ヲ除クノ外埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ

一  国土利用上適正且合理的ナルコト
二  其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト
三  埋立地ノ用途ガ土地利用又ハ環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体(港務局ヲ含ム)ノ法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト
四  埋立地ノ用途ニ照シ公共施設ノ配置及規模ガ適正ナルコト
五  第二条第三項第四号ノ埋立ニ在リテハ出願人ガ公共団体其ノ他政令ヲ以テ定ムル者ナルコト並埋立地ノ処分方法及予定対価ノ額ガ適正ナルコト
六  出願人ガ其ノ埋立ヲ遂行スルニ足ル資力及信用ヲ有スルコト


○2 前項第四号及第五号ニ掲グル事項ニ付必要ナル技術的細目ハ国土交通省令ヲ以テ之ヲ定ム


○3 都道府県知事ハ埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者アルトキハ第一項ノ規定ニ依ルノ外左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ非ザレバ埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ス

一  其ノ公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者埋立ニ同意シタルトキ
二  其ノ埋立ニ因リテ生スル利益ノ程度カ損害ノ程度ヲ著シク超過スルトキ
三  其ノ埋立カ法令ニ依リ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ノ為必要ナルトキ




この3項において、免許を為すことを得ず、という場合を決めているものです。簡単に言うと、3つのうちのどれかに該当していない場合には、免許を与えることは認められない、ということです。
この1号規定、「権利を有する者が埋立に同意した時」ということになっていない場合には、免許を与えることはできないのです。

では、「権利を有する者」とは、誰か?
具体的には、地域住民などであれば沿岸海域の受益者となろう。海で泳いだり、釣りをしたり、カヌーをしたりする権利がそもそもあるわけであるから。景観に関する権利でもやはり権利を有すると考えてよいだろう。


縦覧期間中に意見書を提出したのか、という点について問われる可能性はある。利害関係者の存在を示す必要性からも、意見書提出が基本的には必要であろう。たった今、当方が「利害関係を有する」と宣言したからといって、その権利が容易に認められるとも思えない、ということだ。


したがって、法4条3項1号の適用から免許を認めないと主張するには、
  ・権利を有する者が
  ・埋立に同意してない
ということが必要であり、「権利を有する者」の根拠として、

  ・縦覧期間における「意見書の提出者」

を挙げるものとする。


そこで、意見書提出者で同意してない者の存在を言えばいいということになるのだが、特に重要な立場なのが、地元市町村なのである。


○公有水面埋立法 第三条

都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願アリタルトキハ遅滞ナク其ノ事件ノ要領ヲ告示スルトトモニ前条第二項各号ニ掲グル事項ヲ記載シタル書面及関係図書ヲ其ノ告示ノ日ヨリ起算シ三週間公衆ノ縦覧ニ供シ且期限ヲ定メテ地元市町村長ノ意見ヲ徴スベシ但シ其ノ出願ガ却下セラルベキモノナルトキハ此ノ限ニ在ラズ

○2 都道府県知事前項ノ告示ヲ為シタルトキハ遅滞ナク其ノ旨ヲ関係都道府県知事ニ通知スベシ

○3 第一項ノ告示アリタルトキハ其ノ埋立ニ関シ利害関係ヲ有スル者ハ同項ノ縦覧期間満了ノ日迄都道府県知事ニ意見書ヲ提出スルコトヲ得

○4 市町村長第一項ノ規定ニ依リ意見ヲ述ベムトスルトキハ議会ノ議決ヲ経ルコトヲ要ス




このように、市町村長から意見徴取を義務付けているのは、具体的な利害関係者であり公有水面に対して現実の「権利を有する者」に該当しているからに他ならない。よって、4条3項1号でいう「権利を有する者」として、法人格としての地方自治体(市町村)か個人でということなら市町村長が該当していると考える。


当然ながら、名護市及び名護市長からの意見書提出が行われた。この意見書では、免許を与えることについて不同意が明白であり、名護市議会も反対決議を出していたはずである。


これにより、公有水面埋立法第4条第3項第1号規定によって、仲井真沖縄県知事が埋立免許を認めたことは違法であり、現職の翁長知事は職権により撤回すべきである。

まとめると、

公有水面に関し権利を有する者=名護市及び名護市長が埋立に同意していないのであるから、法4条3項1号により「埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ス」である。


これを撤回事由とすべきである。



鞆の浦埋立問題では、埋立が回避されている。

参考>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9E%86%E3%81%AE%E6%B5%A6%E5%9F%8B%E7%AB%8B%E3%81%A6%E6%9E%B6%E6%A9%8B%E8%A8%88%E7%94%BB%E5%95%8F%E9%A1%8C


ところで、最高裁ってのは、本当に悪の巣窟だな。権力機構からの独立なんて、あり得ないんだよ、貴様らのような腐った法曹どもというのは。公有水面埋立法に関係する過去の判例について、以前は検索で読めていたものが、今では隠されてしまっているんだよ。どうしてか分かるか?

誰かが読めないように、だろ。
読ませないようにしたんだろ。前に読めてたものが、どうして今は読めないのか?隠蔽を指示されたから、だろ?ああ、腐れ外道どもは、こういうのを裁判所の「特定秘密ですね」とか言うつもりか?(笑)
司法が独立しているなんてのは、全くの嘘八百なんだよ。
言いなり。操り人形。ロボットというのは、ロボットに失礼だな。


クズどもって、本当にくだらない小細工が好きだな。
こっちがどのページを読み、何を調べ、どういうことを書いてるかを洗いざらい知っているからって、卑怯な手を使って邪魔することはねーだろ?
読ませない方法をいくらでも取れる、ってのは、よーく分かりましたわ。
国会議事録とか、議会HPとか、そういうのも小細工できるんだな。さすがだわ、クズどもの手口は。


うるせーことを言ってくるヤツには、資料を与えなければいい、読ませなければいい、ってことだもんなあ。特定秘密でも何でもないものであっても、こういう手がいくらでも使えるんだ、って勉強になったわ。なーるほど。
そして、最高裁の腐れ外道どもは、判例検索から都合の悪いものは消す、と。さすが、最高裁事務総局さまの腐敗ぶりはすさまじいわ。東京第五検察審査会の杜撰な子供騙しみたいな捏造を軽々とやったくらいだから、そういうのと同列でもって、悪事に勤しみ、国民の邪魔をするだけしか能がないわけだ。


この国は、真に、権力機構の隅々まで、本当に腐っているわ。国の全ての中枢部分に、腐敗が完璧なまでに浸透しているんだよ。
ヤツラは、何から何を守っているのだろう?(笑)


辺野古沖埋立の免許取消処分について

2015年01月27日 18時02分21秒 | 法関係
前にも書いたが、根本的には法律で埋立工事をさせないようにすることが必要。それには、条例制定が最も強固な対抗策となる。

だが、時間的猶予がない中では、今の辺野古沖での工事強行をとにかく止める、ということが何よりも優先される。


官邸は、沖縄県知事との面会を拒絶し、テーブルに着かせないという意思表示を行ったのであるから、対決するよりないと覚悟を決めるべきである。

防衛省も工事強行を図り、これを海上保安庁が側面支援するということになっている。勿論、沖縄県警も東京から派遣された官邸の犬どもの指令に従って、暴力支配を貫いているのである。よく中国の政治体制について、土地没収などの強行策を批判してきた連中がいるわけだが、今の沖縄で行われていることはそれと何ら変わりない。


工事を止めることはできる。
瑕疵がなかったか検証する、とか言っているけど、そんな遠回りをせずとも問題ない。


まず、撤回は職権により可能であるので、撤回をする。瑕疵の存在証明が必要とはされない。これを問題だ、違法だ、と言うなら、その立証を防衛局が裁判所で行えばよいだけなのである。撤回の理由を問われたら、「当時の知事の下、免許申請に対し時間的制約があり不十分な検討しかできなかった、まさか現在行っているような工事手法をとるなどとは申請書からは到底読み取ることができなかったからだ」と言えばよい。


故に、兎にも角にも、迷うことなく、即座に撤回を宣言する。
これにより、公有水面埋立法に基づく免許は消滅するので、埋立に関する工事は全部止めることができる。


これと並行して、有識者会議をやるならなってもらってもよいだろうが、決定過程の瑕疵を探すことよりも、免許取消の決定的事由について、重点的に探すべきである。


撤回を宣言したことにより、これに対抗するには、国は裁判に訴えるよりない。何故なら、撤回という行政処分の効力を失わせることができるのは、司法権だけだから、である。これにより、時間が稼げる。たとえ負けたとしても、時間を稼ぎ、工事を阻止できる。


仮に、この「撤回」という行政行為は違法だ、として、最高裁で国が勝ったとしよう。
そうすると、撤回は無効となるが、それでも取消処分が不可能となったのではない。前任の知事が出した埋立の免許を「撤回するのは不当」ということになっただけであるから、だ。

撤回に伴う損害賠償請求はあり得るが、本工事を止められれば、現実損はまだそんなに多くはない。数~数十億円ということになろう。埋立てからの賠償請求額となれば、拡大する可能性があるから、重要なのは、ヤツラのそういう手口を素早く封じることである。賠償額を膨らませることで、ヤツラは脅し効果を狙っているのだよ。


話を戻すと、撤回に関する裁判をやっている間に免許取消事由について、新たに根拠を見出しておけばよいのである。
具体的には、工事申請の不備、だな。
例えば、現在の海上に設置したフロートである。
或いは、作業台船や大型船のアンカー等によるサンゴ礁破壊等の海洋生物への悪影響の評価がないこと、である。それとも、仮設工事における土石投入による海水汚濁や海洋微生物への悪影響の評価の不備、といったものである。


たとえ、撤回の裁判で負けた場合においても、公有水面埋立法の規定により、免許取消処分を出すものとする。この処分による賠償請求は、認められない。撤回時点でカタがついているはずだから、である。


公有水面埋立法 第三十二条  

左ニ掲クル場合ニ於テハ第二十二条第二項ノ告示ノ日前ニ限リ都道府県知事ハ埋立ノ免許ヲ受ケタル者ニ対シ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リテ其ノ為シタル免許其ノ他ノ処分ヲ取消シ其ノ効力ヲ制限シ若ハ其ノ条件ヲ変更シ、埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ存スル工作物其ノ他ノ物件ヲ改築若ハ除却セシメ、損害ヲ防止スル為必要ナル施設ヲ為サシメ又ハ原状回復ヲ為サシムルコトヲ得

一  埋立ニ関スル法令ノ規定又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ
二  埋立ニ関スル法令ニ依ル免許其ノ他ノ処分ノ条件ニ違反シタルトキ
三  詐欺ノ手段ヲ以テ埋立ニ関スル法令ニ依ル免許其ノ他ノ処分ヲ受ケタルトキ
四  埋立ニ関スル工事施行ノ方法公害ヲ生スルノ虞アルトキ
五  公有水面ノ状況ノ変更ニ因リ必要ヲ生シタルトキ
六  公害ヲ除却シ又ハ軽減スル為必要ナルトキ
七  前号ノ場合ヲ除クノ外法令ニ依リ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ノ為必要ナルトキ




この32条1項4号を適用する。生物多様性の保護といった観点から、埋立工事は認可できないといえる。

埋立に関する工事施行の方法公害を生ずるの虞あるとき

この条項は、知事が虞があると判断できる材料が存在すればよいのであり、これを提示することは比較的容易である。


この決定について、裁判になったとして、仮に最高裁で国が勝利してしまったとしよう。それでも、以前から言ってきたように、環境保護条例による工事阻止規程を設けておくことで、条例で止めることができるだろう。


条例制定>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/7366ef7a2b743fa6d860d3014bf45c98


国が諦めないなら、これについて、また裁判をやって勝ってもらう必要が出てくるだろう。


こうした手法は、これまで国がとってきた作戦だ。
相手が死に絶えるまで、長期間裁判地獄で時間を浪費させ、命を削らせて、大勢を黙らせてきたのだよ。これが、日本の司法界のやり口だったんだ。今度は、これを逆手に取るのだ。

国に時間地獄を味わわせる番なのだよ。

戦争する覚悟、というのは、そういうことなんだよ。絶対に負けが確定するまでは、諦めず戦い抜く、ということだ。それくらいの決意がなければ、国という相手には勝負できないってことだ。これは、30年、40年の戦争になる、と覚悟するべし。そうでないと郷土は守れないんだ。


どうして反対派の弁護士界の人間は、本気で戦おうとしないんだ。
意図的に勝負を回避しているとしか思えない。



海保を訴えないワケとは?

2015年01月22日 18時17分10秒 | 法関係
もう何度も同じことを繰り返しているのは、どうしてなんだ?


これは、ヤラセか何かの一種か?
意図的に裁判を避けているのか?

それとも、一般国民からワザと遠ざける為の作戦か何かか?


>http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.goo.ne.jp/chuy/e/a826a16887cb8edbf1c41ce7e651f0eb


前から何度も言っている通り、いくら海保に勝とうと思っていたって、法廷でやらなけりゃ絶対に勝てっこないんだってば。

普通に考えられる弁護士ならば、告訴したって那覇地検が起訴なんかしてくれないんだから、民事しか手がないことは明白だろうに。
それを敢えて避ける理由とは、一体全体何なんだ?


ごっこ、としか思えないわけだが。
真剣に勝つ気があるとは思えない。


前から何度も言ってきたが、これほどまでに左派弁護士たちが無為無策とは思わなかった。
福島みずほを筆頭に、法廷での戦いを避けているとしか考えられない。


13年9月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/5a4afe673ccd3bcf6514d999a6f236aa


民事に持ち込む手立てだって、考えたではないですか。

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/61a578842ef5029531a5e021334cd2aa


なのに、何ヶ月間も何をやってきたのですか?

ただ、無力な人々を海に出して、暴力を受けさせているだけではないですか。


無謀を意味なく継続させることに、何の意味があると?


もう、共産党の弁護士連中とか、福島みずほとか、絶対に信用できない。

彼らは、意図的に解決させないようにしているとか、県外の一般市民の支持を受けさせないように仕向けているとしか思えない。


運動の為の運動であり、民心を離反させようとしているとしか考えられないわ。



京都府警警察官による京大違法捜査事件について

2014年11月08日 21時16分00秒 | 法関係
先日、話題になった事件だが、思う所を書いてみたい。「インターネッツの敵(笑)」を自称する京都府警、ではなかったか。昔の記憶は薄れているので忘れたが、ネット界隈からは目の敵に思われているのが京都府警だったような。

で、問題は京都府警の警察官が京大構内に侵入し違法捜査を行っていた、というものである。これについて、名古屋大学の大屋氏が公安の肩を持ちたいようなツイートを連発。どうしてなのかは不明だが、官憲に取り入る方が大学人生が楽しく送れるとか、政府の御用学者として重用され易いとか、費用配分や海外出張などについての特権かお目こぼしでもあるのではなかろうか、と邪推しないわけではないが、そういう先入観はよくないので、下衆の勘繰りということで反省。


>http://twilog.org/takehiroohya/date-141106



どなたかが、かつての大屋氏のビラ投函事件における見解を指摘していた。

>http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000268.html


マンションのビラ配りが刑事罰を与えられるのであれば、同じく公安の「不法侵入」についても刑事罰で当然であると言うべきではないだろうか。曲学阿世とか言ってなかったか、自分自身で?あっ、言ってない?スマン。未確認だった。


とりあえず、面罵したい気持ちは抑えて、違法性について検討する。

大屋氏は立川ビラ投函事件の時、「いくらマンションに侵入したのは、こういう目的です、と当人が言ってもダメなんだ」(超意訳)くらいに言っていたんだから、今回の公安警察の事件でも同じく「いくら公安がこういう目的で大学に入った」と言おうとも、無効だと主張すべきであろう。それができないなら、最初から立川の事件に対する解説なんかするんじゃないよ、とは思う。


参考までに(参考にも何にもならんだろうけど)、拙ブログの見解はこちら

08年4月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/50ffc498249c5fac90a5a00159f92c06

09年12月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/4ef6b2408b34818a4fb972702afb4e3f



1)不法侵入は成立してるか

結論的には成立しているだろう。京大の管理方針としては、「警察官の入構」は事前通告するという管理方針であったことは明白で、マンションの管理組合が誰に入館を許可し、誰に許可しないかの管理権者の権限があるのと変わらない。京大と警察の事前協定そのものが公序良俗に反し無効とかいう意見が見られていたようだが、管理権者には相応の権限があるわけである。相手が京大ではなく、団地とかマンションであっても同じく令状に基づかない警察官の侵入があれば、ビラ配りと同様に違法確定であろう。違うのは、被害届を出すか出さないか、くらいではないか。


2)「トイレの為に立ち入った」は通用するか

しない。2名の警察官が侵入しているので、2人とも緊急にトイレ利用だったことの証明をする必要がある。トイレの利用は、最低限「京大内でなければ不可能だった」くらいの証明ができても当然で、近隣にコンビニ等があればその時点で目的の違法性阻却をいうことはほぼ無理であろう。また、トイレ利用時間は極めて限定的であり、侵入からの時間経過は不自然だ(学生に演説中に見咎められており、その場にいる理由の説明ができない)。1人ならまだしも、2名ともトイレが必須であったことなど、証明できないだろう。


3)「図書館利用だった」は通用するか

しない。図書館の場所に向かうべきであろう。何故学生の演説現場に立って待っていなければならないのか。その理由を説明できない。図書館利用の為に、学生の演説現場に居続ける理由が説明できない。大屋氏の、立川ビラ投函事件のご意見に従うならば、仮に「当人にとって、そういう目的であったとしても、外見上は通用しない」のだから、違法だろうね(笑)。


4)公安は逮捕監禁罪をいえるか

言うだけならできるのかも(タダなので)。大屋氏のいう、私人逮捕の場合なら、”直ちに”警察に引渡さねばならない、というのがあるとしても、3時間がその”直ちに”の条件を逸脱しているかどうかは、証明できまい。

>https://twitter.com/takehiroohya/status/530302070847324160

『まず「逮捕」ではないはず。私人逮捕だとすると直ちに官憲に引き渡す必要があるので、今回の対応はマズいです。「身柄を(事実上)抑えた」ということでしょうが、仮に「追っかけられたので教室に逃げ込んだ」という経緯だと、追跡の正当性が明確でない限り、緊急避難になる可能性が。@morita0』


私人逮捕だと直ちに官憲に引渡す必要がある、という”直ちに”の要件を言えるなら、示してもらおう。

参考までに、条文中に「すみやかに」や「遅滞なく」とは異なる「直ちに」があっても、それが3時間以内とかいう基準を明示している法律など、ただの一つもないと思うが。


具体的に例示してみる。


○政治資金規正法 第11条

2  政治団体の代表者又は会計責任者と意思を通じて当該政治団体のために一件五万円以上の支出をした者は、領収書等(振込みの方法により支出したときにあつては、金融機関が作成した振込みの明細書であつて当該支出の金額及び年月日を記載したもの(以下「振込明細書」という。))を直ちに会計責任者に送付しなければならない。


○会計検査院法 第27条  

会計検査院の検査を受ける会計経理に関し左の事実があるときは、本属長官又は監督官庁その他これに準ずる責任のある者は、直ちに、その旨を会計検査院に報告しなければならない。


○会計検査院法 第34条
 
会計検査院は、検査の進行に伴い、会計経理に関し法令に違反し又は不当であると認める事項がある場合には、直ちに、本属長官又は関係者に対し当該会計経理について意見を表示し又は適宜の処置を要求し及びその後の経理について是正改善の処置をさせることができる。



○市町村の合併の特例に関する法律 第4条

2  前項の規定による請求があったときは、当該請求があった市町村(以下この条及び第五条の二第一項において「合併請求市町村」という。)の長は、直ちに、請求の要旨を公表するとともに、合併対象市町村の長に対し、これを通知し、当該請求に基づく合併協議会に係る地方自治法第二百五十二条の二第一項 の協議(以下この条において「合併協議会設置協議」という。)について議会に付議するか否かの意見を求めなければならない。この場合において、合併請求市町村の長は、当該意見を求めた旨を合併請求市町村を包括する都道府県の知事に報告しなければならない。

4  合併請求市町村の長は、すべての合併対象市町村の長から前項の規定による回答を受理したときは、直ちに、その結果を合併対象市町村の長及び第一項の代表者に通知するとともに、これを公表し、かつ、合併請求市町村を包括する都道府県の知事に報告しなければならない。

9  第五項の規定による議会の審議により、合併協議会設置協議について、合併請求市町村の議会がこれを否決し、かつ、すべての合併対象市町村の議会がこれを可決した場合には、合併請求市町村の長は、合併請求市町村の議会が否決した日又はすべての合併対象市町村の長から第七項の規定による通知を受けた日のうちいずれか遅い日(以下この条において「基準日」という。)以後直ちに、基準日を合併対象市町村の長及び第一項の代表者に通知するとともに、これを公表し、かつ、合併請求市町村を包括する都道府県の知事に報告しなければならない。

12  前項の規定による請求があったときは、合併請求市町村の選挙管理委員会は、直ちに、その旨を公表するとともに、第一項の代表者及び合併請求市町村の長に対し、これを通知しなければならない。

13  前項の規定により通知を受けた合併請求市町村の長は、直ちに、その旨を合併対象市町村の長に通知するとともに、合併請求市町村を包括する都道府県の知事に報告しなければならない。



さて、これら条文中にある「直ちに」が、刑事訴訟法に書かれている「直ちに」と違うとか、それぞれの条文中の直ちには3時間以内とか5時間以内の実施されなければ違法確定といったことの証明をしてもらいたいものだ。大屋氏ならば、きっと3時間を経過していたりすると、「これは直ちに実行しなければならないので、違法確定ですね」と断言してくれるのではないだろうか(笑)。


ああ、ここで、どっとはらい、だったっけ?
大屋氏なら、そうだなという話。



5)私人逮捕は認定可能か

私人逮捕であろう、と推定される。

・入構が許容される人ではないという認識があったこと
・誰何により逃走を図ったこと


刑事訴訟法212条により、現行犯人とみなせる。
現行犯人であれば、私人逮捕は許容される。

現実に逃走したのであるから、大屋氏のいうトイレだの図書館利用だのといった言い逃れも、当然に使うことは不可能。何故なら、そうした正当事由が存在していたのであれば、逃走を図る必要性がないこと、自らの身分なり所属なりを明かすことに何らの問題も生じないこと、があるだろう。

現行犯人であることと、逃走を図ったことにより逃走のおそれがあることは明白であるから、住所氏名が不明又逃走のおそれがあるという刑事訴訟法の規定が適用できよう。拘束後には、司法巡査に現行犯人の引致を実行しているのであるから、形式的には何ら問題がないはずだ。

私人逮捕の要件は満たしているものと考える。


「直ちに」の条件が条文上で時間を規定できないなら、唯一残される論点は、公安警察官の「任意性」のみであろう。
副学長ないし教務職員等の言に従い、任意で教室に移動し留まったのであれば、違法性をあげつらうことなどできまい。


6)職務であることは違法性阻却事由となるか

ならないだろう。いくら警察官の職務上の理由があったにせよ、違法な手段による捜査は、根本的に違法なのだよ。警察だから違法捜査は許されるとか、官憲だから違法手続でも捜査活動は許されるといった考え方は、到底許されるものではない。本当に捜査に必要なら、令状を取ることに何らの問題もないはずだろう。官憲の持つ暴力性がゆえに、権限行使にはより厳格な運用が求められてしかるべき。



京都府警の発表らしいが、愚か者の典型例を見た。


>http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20141104000159

(一部引用)

京大は、警官が大学構内に立ち入る場合は府警から事前に通告を受け、大学職員か学生が立ち会う取り決めにしているという。杉万副学長は「事前通告なしに立ち入ることは誠に遺憾。事実関係を調査し、府警に申し入れをする可能性もある」としている。

 府警は「捜査の内容や構内に立ち入った経緯は明らかにできない」とした上で、「捜査の都合上、大学への通告なしに構内に立ち入ることはある。捜査員から事情を聴いている」としている。警官が構内にいる間、京大付近に一時、数十人の機動隊員を乗せた車両が待機した。

=======


捜査の都合上、立ち入ることはある、と宣言しているよね。
これは、明らかな違法である。立ち入り先が京大ではなく、別の施設やマンションや団地だったら、と考えてみればよい。
警察の考え方の根底には、「捜査活動なんだから、違法性は少々許される」という甘えがあるとしか思えない。究極が「捜査の都合上、あなたの家に通告なしに立ち入ることはある」だ。令状無視、と。憲法違反なんだよ。だが、これは、捜査という大義名分があるなら、「あなたの家」も「京大構内」も違いなどない、ということだ。


官憲の意味不明な権限拡大は、こうやって起こってゆくということだ。


京大がよくて、あなたの家がダメな理由が思いつくかね?
犯罪者を取り締まるためなら、誰の家であろうと大学であろうと、高校でも塾でもスポーツジムでもどこだって同じでは?
つまり、官憲の介入が正当であると認めるということは、どこであろうとも「立ち入って捜査していいです」という同意を与えたに等しいということです。その結果、何が起こると思いますか?



本当に危惧すべきは、官憲による支配体制です。
人々の言論や表現の自由を奪われることです。京大の学生さんだけの問題ではないのです。



無限連鎖講における不当利得返還請求

2014年11月04日 12時46分02秒 | 法関係
遅れましたが、先日出された最高裁判決について、書いてみたいと思います。

26年10月28日>http://kanz.jp/hanrei/data/html/201410/084582_hanrei.html


これに類する検討をしたことがあって、08年当時に書いた記事では破産法適用ではなく、会社更生法ないし民事再生法でした。


>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/bcb0526924bcdbd6066a550a64bb0f20


参考:
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/6b178a23ac055525a456617c32b5918b
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/aa9d4e50d65300e328669d2782158796



特に関係がありそうな部分としては、例示の部分でしょうか。

(再掲)


ある壷販売会社Aがある。悪徳霊感商法により壷を販売し、不当利得を得ていた。この壷販売以外には、こけし製造も行っていたが、こけし製造は通常の合法事業であった。ここで会社Aが会社更生法を申請する場合を考えてみる。関係者として、壷を卸していた壷業者Bは会社Aに未払い代金を100万円請求しており、こけし販売会社CはAにこけし代金として30万円を払う予定になっていた。
更に、悪徳霊感商法の被害者Dが現れたとしよう。Bは債権届出をしていたが、Dは知らずに届け出していなかった。Dは霊感商法に引っ掛かったので、壷購入代金の20万円を返せ、と申し出た。

さて、通常であれば、Bは返済を求めることができるが、Dは届出してないので請求権はない。会社資産やCから受取る30万円は一端凍結され、更生計画に従って債権者に分配されてしまうだろう(今は債権者Bしかいないけど)。Dは泣き寝入りせよ、となってしまう。



=======


本件ねずみ講の場合であると、業者Bに該当する部分が既に「支払いを受けていた人」、つまり被上告人ということになるかと思います。会社の違法な営業活動によって利益を獲得した、という意味です(例示の場合だとその利益が債権ということです)。


事件の整理しやすくするため、次のように表記するものとします。
・破産法の適用する法人=ねずみ講会社
・配当を受けた人=幹部会員
・債権を持つ被害を受けた人たち=被害債権者
・破産管財人


ねずみ講会社が払った配当金は、そもそも不当利得と呼ぶ性質のものであるから、これを幹部会員の個人の利益と認定してしまうのは、問題であるということであろう。

本件配当金の原資は、大勢の被害者たちの拠出したお金であることは疑う余地がなく、まさしく不当利得に該当するものと言ってよい。
であるなら、民法703条により受益者たる幹部会員は返還義務を負う、と考えるべきである。


○民法 第七百三条  
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。


もし返還できないとした場合には、破産法適用によって、本来的には「不当利得」であったものが、裁判所が幹部社員にその所有を自動的に認めることとなってしまう。多数の被害者の損害と引き換えにして、幹部社員の不当利得をなすことを合法化してしまう、ということである。これは認め難い、と。


幹部社員にとっての配当金というのは、民法703条にいう「不当利得」であり返還義務を負う。管財人は幹部会員への請求権を有する、というのも妥当と考える。
この返還という行為が、破産者の債務減額につながるという「破産者への利益」を与えるものであるから認められない、というのは、やや無理があるように思われる。返還の効果を、あくまで破産者と幹部会員の中だけで見ればそうだが、破産法の趣旨は、補足意見の説示通りに『債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図る」こと』である。
本来的には、幹部会員に配当される以前に、ねずみ講会社に資金拠出した人々の持っていたお金であるから、配分の適正化を考えれば被害者に優先的に返還すべきと言える。会社更生法の適用例を考えた場合でも、共益債権という考え方ができるのではないか、というのと似た考え方である。


破産者の損得をまず考えるのではなく、本件破産の清算に関して、どのように行うのが公平か、適正と言えるのか、という視点からすると、最高裁判決は至極妥当なものであると思う。



妊娠に伴う不利益処分についての最高裁判決

2014年10月23日 21時04分00秒 | 法関係
久しぶりに、最高裁らしいというか、良い判決文を読むことができました。


>http://kanz.jp/hanrei/data/html/201410/084577_hanrei.html



既に報道でもあったように、妊娠に伴う人事について、不利益処分が違法とされた事件です。

恐らく裁判長の櫻井龍子最高裁判事が労働法畑が長く、労働法関係のエキスパートであったが故の、本件判決文ではなかったかな、と思えます。



以前の、体たらくからすれば、随分と良くなっていましたわ。
さすが、本職。


09年>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/8fa63f50bedf0e5c71b3fcb17d1bc97d


この時は、偽装派遣を認めた上で、労基署の指導後に行われた契約打ち切りが、どう見ても報復人事であり不利益処分でしかないものを、最高裁が企業側の立場に味方した、というものであった。


あんまりだ、と文句を言ったのですが、今回は大企業相手の訴訟でもなかったこともあってか、雇用側が敗訴となったわけですね。
本件被告が大企業であったなら、今回のような判決が出されたかは分かりませんが、それでも、本件判決文は非常に勉強になるし、比較的分かりやすく書かれた文章となっています。



本当に、深く理解している人が書いた文章というのは、説得的であり、簡明であり、理解しやすい、ということがあるかと思います。書いている当人がよく理解できているから、ということかと思います。本人ですら、論が定まらないようでは、読む人に理解させることはもっと困難になるわけですから。こんなことを言って、失礼だとは思いますが、率直な感想なので。


今後とも、こういう判決文を出せるよう、最高裁におかれましては頑張って欲しいものです。



言論の法規制に反対する~2

2014年10月05日 17時27分26秒 | 法関係
続きです。

ヘイトスピーチに関する法的な規制をすべき、という意見は、そう突飛なものであるとは思っていません。人権擁護に関する法律の制定を要望するということは、前からあったものです。今回の話が出るずっと以前の05年頃から、人権擁護法案について記事に反対意見を書いたりしたので、むしろ懐かしく思います。


法的規制の考え方とか法の主旨としては、人権擁護法もヘイトスピーチ規制もほぼ近いように思えるので、理解はできます。しかし、法規制をするべきか、ということになると、立法による規制はすべきでない、というのが拙ブログの見解です。この基本的考え方は、人権擁護法案の頃と同じです。



参考:

08年4月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a4b29ea643b15e79465e36e66028394c

08年9月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/da2ed47dbb44c2a1d23208b11a266b60



最も主要な反対理由としては、運用する側である行政庁を信用できない、ということになりますでしょうか。法の解釈・運用の権限は、行政庁にあります。彼らは、多くの場合、そう滅多に酷いことはやってこないであろう、とは思いますけれども、それはいつ何どき豹変するか判らないものです。滅多にないことでも、たまにはあるという印象です。


適用次第では、規制を強化することだってできてしまいます。
最近だって、辺野古沖での規制権限発動においては、刑事特別法適用だと海保が言ってたわけでしょう?それを合法だ、当然の規制だと賛同していた普通の人々は大勢いたんですよ。
陸山会事件においても、検事の捏造調書は違法を問われず、秘書だった石川元衆議員は虚偽記載の政治資金規正法違反で立件有罪となったわけです。何故検事の虚偽記載は無罪で、石川元議員は有罪なのであろうか?
それは、法の運用側に決定権があるから、です。検察及び裁判所は、司法権を悪用することも平気でやってくる、ということなのです。間違って書いたとしても、形式的に虚偽記載だとこじつけることができるなら、「有罪にできる」ということです。


従って、規制権限・法の運用権限を持つ権力側の胸一つで、やりようによってはいくらでも犯罪とできる、ということです。鑑定結果をジャーナリストに見せれば秘密漏示罪にだってできてしまうんですよ。鑑定とは医業である、というトンデモ論だって、いくらでも生み出せるんですから。


故に、法があれば、狙い撃ちをする意図があるなら、いかようにだって立件・有罪とできる可能性はあるのです。



そうであるのに、ヘイトスピーチについての法的規制であれば悪用されない、などとは到底思えないわけです。むしろ、それを口実として、いくらでも規制強化が可能であるという危機感を持つべきでは。


或いは、かつての日本での検閲みたいなのと似た状況を生む可能性だってある。非国民の名の下に、行き過ぎた「自主規制」「自己検閲」といったような風潮があったものと思われ、そういうのが復活しないとも限らないでしょう。監視社会っぽい炎上騒動は、現代においても起こっています。不届き者を徹底的に叩くことが行われた。
言論の法規制を認めることになれば、権力側に検閲の口実を与えかねないのではないか、という不安がある。それとも、自主検閲と称した、ネットでの炎上に類する攻撃が横行するかもしれない。日本では、そういう傾向があるやもしれません。



言論の自由を規制するのなら、その弊害や危険性についての吟味が必要であることは誰しも認めることでしょう。それが本当に必要不可欠なのか、法規制の実施については慎重であるべきでしょう。


現実に法規制が実施された例があります。鳥取県の条例でした。


鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例

>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A5%E5%8F%96%E7%9C%8C%E4%BA%BA%E6%A8%A9%E4%BE%B5%E5%AE%B3%E6%95%91%E6%B8%88%E6%8E%A8%E9%80%B2%E5%8F%8A%E3%81%B3%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%9D%A1%E4%BE%8B


多数の批判や、弁護士会からの意見などもあり、結局は廃止されることになったということです。他に解決できる代替手段などがあるのであればそれを考えるべきであるし、本来的には言論には言論で対抗するのが筋であると思うし、反対者の存在や間違った意見の存在も容認するべきなのが、望ましい社会ということなのではないか、ということであろう。


デモ隊が差別的デモを実行しようと道路使用許可が申請されているのであれば、警察が「こういう差別的発言を繰り返すようなら、二度と使用許可は認めない」と拒否すれば現実には実行不可能とすることができるでしょう。著しい人権侵害は、強行規範で禁止される行為であり、道路使用許可はそうした違法行為を実施させる為ではない、ということで、警察の不許可は合法的処分であると説明できるのでは。



一応補足しておきますが、拙ブログでは、辺野古沖の埋立工事を停止させるには、国に対抗する手段としての立法措置を行うべき、と主張しました。

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/7366ef7a2b743fa6d860d3014bf45c98


これは、規制対象が多くの一般人ではないこと、国の横暴というべき基地建設強行に対抗する手段とすること、近年の環境・生物多様性・景観保護という行政側の義務化と住民利益保護の判例の流れがあること、などから、立法措置が妥当なものであると思います。

人権擁護も環境保護も条例制定で変わりがないじゃないか、というふうに考える方がおられるかもしれませんが、規制対象と広範に及ぶものかどうか、国民の基本的権利にどの程度関わることか、という点で言いますと、沖縄県での保護条例は比較的限定的なものであると考えています。



続々・TPPに関する訴訟について

2014年10月02日 13時25分39秒 | 法関係
これまでに書いてきたように、外交交渉を直接的に訴訟で止める手段というのは、かなり難しいと考えられます。


ならば、他の法的手段はないのか?


当方が独自に考えた訴訟手段があります。それを以下に書いていきたいと思います。


1)自民党の選挙公約を標的とする

自民党の12年衆院選の選挙公約では、次のように記述されていた。


『「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します』


これは、昔ながらの玉虫色表現の騙しテクニックであり、関税撤廃が少しでも回避されれば(=僅かでも関税維持ができれば)、交渉に参加する、ということを意味している。決して、TPPに反対などしていないのである。拙ブログが発した警告は届かず、地方では自民党議員に公認や推薦を出した団体などは多かった。
12年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/faf547f3f3673c278ce041f7a54648d8


国会議員たちは、口では何とでも言える。反対だ、と選挙前には言っていながらにして、当選すれば前言撤回など朝飯前である。そして、実際に交渉参加は早々に決断されたわけであり、安倍政権は最初から参加を約束していたはずである。経団連以下、経済界が総力を挙げて、自民復権を後押ししたわけだから。


安倍政権が最優先と考えていたのは、TPP交渉参加と増税であったはずだ。増税は財務省が全てお膳立てしていたし、TPP交渉入りも簡単だったが(政府の専権事項なので)、原発再稼働については最優先事項でもなく処理が若干難しいので、とりあえず今は棚上げとなっている。
原発利権組は、勢力としては防衛米軍利権チームや経済財界チームと比較すると少数派で、電力会社関係を抑えられると「アメリカさまの強力なご支援」でもなければ政治力は限られる、ということであろう。


話が逸れた。
TPP交渉そのものを止めるのは非常に困難なので、攻め方を変えてみるのだ。その焦点となるのが、自民党の選挙公約ということ。


2)「自由委任の原則」で国会議員は無傷

まず、国会議員(地方議員や首長も含む)は、自分が選挙前に言っていたことと投票行動や政策判断などが、全く逆であったとしても、これについて違法を問われることはない、ということである。

例えば消費税増税に反対、と選挙前に言っていても、当選後に増税賛成票を投じることは、法で禁じられているものではないということである。多くの人々がこうしたことを知らないものと思う(当方も長年知らなかった)が、正反対の行動であっても何ら問題ない、ということだ。そしてこれは合法とされているのが通説である。過去の判例でも、同じ。


なので、国会議員本人には、政治的責任とか道義的責任云々というのはあろうとも、訴訟で法的にどうにかできるものではない、ということである。他の手段を考えるしかないのである。


3)具体的にはどこを攻めるべきか?

国(政府)や国会議員を相手にしても、訴訟で勝てる見込みはない。そこで、残された道として考えたのが、自由民主党の都道府県連である。党本部と政権からすると、前記”詭弁公約”でもって言い逃れが可能であろう。
聖域って、具体的に何とも言ってないし、例えば「米だけは守る」といえば公約通りだというこじつけも可能だからだ。


なので、党本部を直接狙うのは難しい。
しかし、都道府県連のレベルであると、まだ見込みがある。有名になった、例の「TPPゼッタイ反対」という自民県連のポスターね。ああいうのが存在していたことは、証明可能であるから、だ。


そこで、議員ではなく、県連を攻めるべき、ということなのだ。勝てる可能性が出てくる。これにより、議員への間接攻撃となるし、党本部への叛旗を促す効果が出るかもしれないから、だ。


主張の要旨は、次のようなものだ。


都道府県連(以下、単に県連と呼ぶ)は、通常農業団体、経済団体、医療団体等に対し、公認や推薦の要請を行うはずである。その結果、各種団体の構成員は投票行動に対する影響を受けるということになるわけである。

そして、公認(乃至推薦)された自民党候補者が「TPP反対」と主張していたものと誤信させられ、投票してしまった。すると、TPP交渉参加に反対してくれると思っていたのに、現実には交渉参加を実行されてしまったので、事前の説明とは大きく相違があるではないか、と。

これにより、精神的苦痛を受けたので賠償せよ、ということである。それか、賠償はなくてもよいので、県連は選挙時の公約が間違いであったことの謝罪か、TPP参加に賛成であると宣言する広告をすべし、と求める。


従って、訴訟を行う条件としては、
①自民党候補への公認推薦要請が県連から文書で行われたこと
②その団体が公認or推薦を出し、団体構成員に投票支援依頼が行われたこと
③原告はその団体の構成員であること

というのが必要である。


そして、一番大事なのは、「TPPゼッタイ反対」というような、有権者を誤信させるに十分な「出鱈目表示」があったこと、である。まさしく不当表示と同じ、ということだ。パンフレットや配布文書などが残っていれば、それは証拠となります。
できれば、議員本人の決意表明とか、演説会のようなもので、団体構成員たちを前にして「TPP交渉は絶対に阻止します」とか「TPPに反対です」といった意見を言った、ということが立証できれば、なおよいでしょう。


議員は自由委任の原則により、法的責任を免れるとしても、県連は必ずしもそうとは言えない。

県連からの公認要請とは、一種の契約とも取れるわけであり、その場合、説明責任が十分果たされていない(不都合な事実や情報を隠して相手方の判断を意図的に誤らせることがあるから)ということがあれば、不法行為を問うことが可能になるかもしれないから、だ。

県連は「国会議員はTPP交渉参加に反対しないこともあり得る」と知っていたなら、説明義務違反及び信義則違反を問われても当然だ。選挙公約とは、ただの口からでまかせであって、票を得る為ならばどんな出鱈目や詭弁を用いてもよい、ということであると、選挙制度の根幹を揺るがしかねない。


TPP交渉参加に反対(阻止)するかのように説明したり表示したことにより、不当に有権者を自民党候補に誘引し、TPP反対運動を行っている当該団体が公認(や推薦)するからには当然に公認を受けた自民党候補者自身も同じ政治的意思を持つものと誤信させるに至った。これにより、有権者たる団体構成員の判断に影響を及ぼし、自主的かつ合理的選択を阻害した。


ここに、県連には、説明義務違反があり、不当に有権者を誘引した違反がある。
各種団体に対し、公認ないし推薦の要請を行う以上、候補者の政治的意思や自由委任の原則に基づく各種団体の意向に反する意思決定があることを事前に説明しておくべき義務があった。また不当表示に匹敵するポスター等の製作や講演会の内容についても、有権者を欺く不法行為と言わざるを得ない。


候補者の公認(や推薦)要請は、自民党支部が各種団体に対して、各種団体の政治的要望等を国政に反映したり実現に近づけることを約するのと引き換えに、選挙における投票行動等の支援を依頼しているものであり、そうしたある種の契約関係になければ各種団体は「公認」などの支援を行う利益が存在しないことは明らかである。



県連が訴えられた場合、自民党本部の対応は難しい。基本的には、放置であろうし、地方でどうにかやってくれ、ということになろうが、県連の方からは本部への不満が噴出することになるだろう。何故なら、地方の殆どはTPPに反対しているのであり、地方議会レベルで見ても賛成という決議は皆無に等しい。そうすると、県連が本部に逆らうことを促すかもしれず、全国の都道府県連から「公約を守れ、TPPに反対せよ」という突き上げが起これば、多数派は反対なのであるから、止めることができる可能性が出てくる。


また、訴える場所を東京以外の裁判地を選んで、相手の弱い所や裁判官で選択することもある程度は可能。複数の場所で裁判をすることも可能で、法務省&最高裁の政治癒着組の意向を外すことも可能になるかもしれない。

団体構成員の個人を原告としたのは、地方で県連レベルではTPP反対で、JAや各種団体も反対で一致しているのに、訴訟で対決せねばならないとなれば、それはそれで辛いかもしれないから。これは、地方の自民党組織が東京の本部に対して、一斉蜂起をしてほしいという為の訴訟なのであり、TPPを絶対に阻止するには、国会議決が最後にものを言うからである。


TPP推進派は、既に「みんなの党」「維新」系の、経済重視・都会の支持基盤・新自由主義寄りの連中を、第二の勢力として確保しようと躍起になっているのだ。それは自民党だけを信じているということはない、ということ。どちらに転んでも、必ずやTPPを締結させようとしているのだよ。だから、「みんな」も「維新」もTPP賛成派なんだよ。それ以外の政治勢力など、存在できないのだ。共産党がどんなに反対しても、主流派には決してなり得ないから。



党本部が握っている権限は、金の配分だけ、である。実際の選挙は地方組織がやるのであり、党本部には何らの力もないのだ。公認権にしても、同じ。地方が大挙して叛逆に転じれば、党本部を窮地に追い込むことができる。国政選挙がある、という時であっても、地方から運動は一切できないと拒否すればいいのだ。

たとえ、政府間交渉が妥結したとしても、最後の最後で批准を阻止できれば、止めることが可能となる。発効を封じることが日本の死活問題なのだから。



JAのみなさん、TPPの反対を表明した結果、どんな仕打ちを受けたかご存じでしょう?

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/795d236f1b1ee9eeb605258e3f3833ed

山形県の農協は強制捜査の対象とされたんでしょう?


他の都道府県の農協だって、行政の権限を使って、立入検査などもやってきたでしょう?
ああいうのは、全て反対派を沈黙させる為の常套手段なのですよ。


安倍は、JA解体論まで出してきて、全国の農協を壊滅させることを脅しとしてやってきたんですよ?
それでもまだ、自民党を支援すると言うのですか?


目を覚まして欲しい。
真の敵は誰なのか、よく見るんだ。



TPPの訴訟より辺野古沖の訴訟を優先してほしい

2014年10月02日 10時47分08秒 | 法関係
TPP反対派の当方にとっては、一緒に戦ってくれる人たちの存在は、非常に心強い。まことにありがたいと思いますが、勝訴見込みの殆ど期待できない訴訟を仕掛けるよりも、勝つ可能性が高い辺野古沖の制限区域についての訴訟をやってもらいたい、とは思いますね。



防衛省告示123号は、明らかな防衛省側の失策です。

このチャンスを何故つかないのかな、と思うのです。海保の区域内ので行為は、違法のオンパレードです。この不法行為の立証は比較的容易であり、賠償請求訴訟でも以前の記事に書いたように「カヌー愛好家の集まりを不当に制限された」という、現実の損失について指摘できるので、その海域不使用による慰謝が、たとえ1万円であっても、勝訴は勝訴です。


>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/61a578842ef5029531a5e021334cd2aa

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/9706402aa6c5016ab37f669edcb9b18c



それ以上に、海保も防衛省も、市民団体の人々がいくら法的根拠は何だ、答えよと求めても、官僚どもは逃げの一手で答えなくてもいいという態度だったでしょう?

しかし、裁判になると、これが回避できないんですよ。必ず答えなければならない。
この「必ず答える」というのが、最重要なのです。これは正式な文書と同様の効果をもって、後世にまで残り続けるからです。



勝てる勝負を避けるのはどうしてなのでしょうか?



逆に、勝ち目の極めて薄いTPPの交渉差止め訴訟は、よくよくお考えになられた方がよろしいかと。




続・TPPに関する訴訟について

2014年10月01日 18時28分24秒 | 法関係
昨日の続きです。


TPPの交渉を止める訴訟以外に、情報公開に関する請求という方法についても考えてみます。


例えば、交渉内容に関する文書を公開請求するとします。
「条約発効後4年間は、条約に関する情報公開を禁じる」という、交渉参加国の密約があるので、その合意文書を公開せよ、と。


情報公開法においては、文書の存在について無回答、ということが行政庁側には許されているので、そういう合意文書があるとしても「あるかないかはい言わない」ということにできるでしょう。そうなると、たとえ報道で「4年間は秘匿義務がある」という交渉過程の合意があるとしても、文書の不存在と回答されてしまうと訴訟でも勝つことは非常に困難です。


実際、沖縄返還時の密約に関する外務省の文書については、情報公開請求に関する訴訟では訴えが認められなかったはずです。

すなわち、情報公開請求が拒否されたので、これを不服として訴訟を提起するとしても、文書の存在が確実でない限り訴訟で勝てる可能性はかなり低いものと考える必要があると思います。


また、批准前の交渉段階において、情報公開がないことをもって「国民の知る権利が阻害されている」という主張をするのは、難しいと思います。何故なら、昨日も書いた通りに国会審議があるから、ということです。国会での審議に際して、批准の判断に必要な情報が秘匿されたという事態がなければ、知る権利の著しい侵害とか憲法違反であるといった主張は、難しいのではないだろうか、と。


普通に考えると、知る権利の侵害で勝訴できる見込みはかなり厳しいのではないかと思われる。



TPPに関する訴訟について

2014年09月30日 13時34分07秒 | 法関係
TPPを反対してくれている方々が、何とか交渉進展を止めたいということで、訴訟提起を模索されているものと思います。

>http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014092502000152.html


その心情には当方も同じ気持ちであり、感謝の念で一杯であると申し上げたいですが、訴訟という点については若干の個人的意見がございます。

実行前によくご検討いただければと存じます。


1)TPP交渉の差止請求は避けるべき

行政訴訟となれば、かなり困難が予想されます。これも以前に「防衛省告示第123号」の違法性についての訴訟の際に述べましたが、抗告訴訟での取消請求が否認される可能性は大であると思います。


TPP交渉という外交交渉を停止させる、ということを考えますと、これは極めて困難な立論が要求されるものと思われます。

もしも敗訴した場合を考えてみて下さい。
敗訴は、TPP推進派を一方的に利する結果を招きます。特に、交渉の違法性を証明しようとして失敗した場合、国会での審議前であれば、批准前に「合法である、合憲である」ということが確定してしまうことになってしまいます。

そうすると、批准するかどうかを議論する時に、推進派にとっては「最高裁(裁判所)のお墨付きがある、合憲だ」というプロパガンダとされることは目に見えています。かえって、推進派に錦の御旗を与えることを招きかねない、ということです。敗訴の際のダメージがあまりに大きいと考えます。


交渉を停止させる、ということは、相当困難な法廷技術なり立証技術なりを要すると思います。これが行政訴訟ではなく、損害賠償請求訴訟の形をとる場合であっても、交渉を停止させるだけの主張は、難しいと思われます。


2)裁判官はどのように判示してくるか

当方が裁判官の立場であるとして、どう答えるかということを以下に書いてみたいと思います(あくまで素人判断です)。


政府の交渉停止を要求するのは、非常に厳しい。外交交渉の過程であり、不確実な点があまりに多いので。
例えば原告側が「ISD条項は司法権や国家主権の侵害だ」と主張したとします。これが裁判所に認定されるかと言えば、ほぼ無理であろうと思われます。

まず、条約に本当にISD条項が入っているかどうかは、どのように判るでしょうか?原告側が、その存在を証明する必要があります。これは至難の業としか思えません。妥結してないなら、本当に条項が入っているかどうかは証明できないでしょう。

仮に報道内容や海外のNGO文書などから「入っているであろう」ことが推測できた(裁判所がそれを認めた)として、そうした条項が真に主権侵害などの違法なものであれば、国会審議において批准が否決されるべきものであると認識されるだろうから、その時点で判断することは可能である。

また、たとい条約にISD条項が入ってるのが事実であるとしても、管轄権や国家主権の問題となりうるのは条約の締約がない場合であって、国家間の同意(すなわち条約)の存在が明らかであれば、国際法上は合法であると考えられよう。主権侵害という主張の根拠そのものが失われており、訴える理由がない、ということである。


すなわち、事実上はISDSが極めて危険な条項であり、国家の公共政策の裁量権を限定したり委縮させたりして、これまでよりずっと制限が増えることになるとしても、「イヤなら受け入れなければいい」という屁理屈みたいな論理が通用してしまうのである。まさにTPP推進派の連中が言っていた屁理屈通り、「交渉に参加してみてイヤなら止めればいい」というのと同じ。
残念だが、この主張を法的に覆す手段は思いつかない。


条約内容の違法性を立証することは、極めて困難なのである。それに加えて、批准前の交渉内容を取り上げて「違法性の審査を求める」ことそのものが、不可能なのである。裁判所は違憲立法を単なる仮定に基づいて審査することはできない、ということ。現実に立法=条約なり国内法の制定がなされないと、難しいのではないか、と。


差止請求があり得るとすれば、憲法に反して例えば「A国と軍事同盟を結び、B国に戦争を仕掛ける条約(国際協定)を締結する」といったような場合では。A国と締結する協定が憲法違反で、これが締結されてしまった暁には、A国と一緒に戦争をする義務を負うこととなってしまうからだ。


行政訴訟ではなく、損害賠償請求訴訟であるとしても、立論は容易ではない。憲法13条や25条に反する、という主張を裁判所に認定させるのは、非常に難しい。

例えば、TPP条約発効後に、その効果によって健康保険制度が自己負担率50%とか70%に改定されてしまう(とは政府は言ってませんが、あくまで仮想です)ことが起こったとしましょう。これが憲法違反と言えるか?
国家予算をどの部分に投入するかは国会の問題であり、金銭負担を30%とすべきか50%とすべきかといった基準は、司法判断ではなく国民の選択の問題である。同じく、国立大学が全廃されて、全部私立大学に民営化されたとしても、やはり立法府の問題なのであり、国民の選択ということに過ぎないのである。「全部私立大学」という社会を選択したくないなら、立法府にそのように決定させることで解決せよ、ということだ。


従って、TPP交渉がどんなに危険で止めるべきものであるとしても、極端な例でいえば「全部私立大学となるかもしれないので賠償せよ」とか「健康保険制度が維持できなくなり、自己負担率が上昇するので、それを賠償せよ」といった請求は、訴訟としては成り立たないということである。

そもそも、未来の不確定な条件に基づいて、「具体的な損失額」というものが観念できない、ということである。TPP交渉がもたらす経済的損失を具体的に観念できない限り、損害賠償請求訴訟であろうとも、訴えの利益がないものとして扱われるだろう。


発効前に賠償請求するとして、具体性があるものの場合には可能であるかもしれない。例えば、知的財産権関連の国内法改正で著作権法が改正され、保護期間が20年延長(50年から米国式の70年へ、みたいなもの)されると、現時点で販売計画済みの50年以上経過した保護期間経過後作品の販売ができなくなり、結果として損害を蒙るから賠償せよ、みたいなものの場合である。
認められるか定かではないが、訴訟を提起する意味があるかどうか、という点だけで考えると、こうした損失額が具体的に算出できるものであれば、賠償請求は可能ではないのかな、と。しかし、具体的な損失が立論できないようなものであると、TPP交渉を停止させる程の損失回避義務が政府にあるのか、ということになる。


事後的な救済にしかならないが、国内の農家が全部廃業することになって、生存権を脅かす政策を実施した(=TPPの条約を批准した)せいだ、だから賠償せよ、ということならば、農家の人たちは請求可能であろう。損失が具体的に観念できるから、である。逆に言えば、国が条約締結を回避せねばならないような事態(例示では農家が全滅、みたいなもの)を立証できないと、交渉を停止させるのは難しいということである。立論するのは、かなりハードルが高い(というかほぼ無理筋に近いかも)。


なので、訴える場合でも、個別法に焦点を絞る(上記例であれば、著作権法)なら理屈を立てやすいが、問題は条約内容にそういう条項が入っているかどうかの証明であり、これは原告側が自力で行うのは不可能だろう。文書の存在なりを特定できないし、合意内容が判明することはないから、である。

最難関は、「批准前だから」というもので、国会審議で合憲性は十分担保される、と言われたら、手も足も出ない。

損害賠償請求の場合でも、未来の損失を具体的に観念できない。政府が損失回避義務を果たすとして、交渉停止を選択するほどの損失の存在を証明せねばならない。


このように色々と考えると、TPP交渉の停止を目指して訴訟提起するのは、勝ち目が極めて薄い、というか、ほぼ完敗なのは目に見えている。敗訴の結果、推進派を一方的に勢いづけることとなり、逆効果は普通ではなく、失地回復不可能な程のマイナス効果を覚悟する必要があろう。


もう少し、別な作戦を熟慮すべきではないかと思う。TPP交渉停止の訴訟提起は、極めて危険なものと考えるべきでは。


違法な海上保安庁を訴えないのはどうして?

2014年09月26日 14時04分05秒 | 法関係
あれほど辺野古沖で大暴れをしていた11管は、どうしたんですか?


怖じ気づいたか?
まさか拙ブログのような、寂れブログ記事に屈したというわけでもないでしょう?


やってこいよ。ホラ、海保の権限は合法なんだろう?
どうした?
やってこい。

海上で逮捕しろよ。どうしてしないの?


海保は更に罪状を重ねているようだな。
決定的証拠は、ここにある。


>http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=83137

>http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-231668-storytopic-1.html



海上保安庁の業務は内閣総理大臣命令だから、仕方なくやっているんだ、という主張をしたとしよう。
それとも、防衛大臣か国土交通大臣がやれと言うからだ、と。


たとえそうであろうとも、違法行為を許されているわけではない。


1)海上保安庁が押収したのは、どのような権限によるのか?

根本的な問題がこれだ。カヌーを押収したのは、大失敗だったな。
そのような権限は、海保に果たしてあるのか?

んっっ?
どうなんだ?


そんなもん、あるわけないよね?
海保が説明していた、海上保安庁法18条に基づく、という行為であるとしても、私人の支配権が及ぶカヌーをどうやって押収できるのだ?


海保の事務のどこに、その権限が与えられるか、答えてみよ。
条文の18条にはないことは明白だ。
何度も取り上げさせてもらって、勉強になりますわ>>>海保どの


第十八条  

海上保安官は、海上における犯罪が正に行われようとするのを認めた場合又は天災事変、海難、工作物の損壊、危険物の爆発等危険な事態がある場合であつて、人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害が及ぶおそれがあり、かつ、急を要するときは、他の法令に定めのあるもののほか、次に掲げる措置を講ずることができる。
一  船舶の進行を開始させ、停止させ、又はその出発を差し止めること。
二  航路を変更させ、又は船舶を指定する場所に移動させること。
三  乗組員、旅客その他船内にある者(以下「乗組員等」という。)を下船させ、又はその下船を制限し、若しくは禁止すること。
四  積荷を陸揚げさせ、又はその陸揚げを制限し、若しくは禁止すること。
五  他船又は陸地との交通を制限し、又は禁止すること。
六  前各号に掲げる措置のほか、海上における人の生命若しくは身体に対する危険又は財産に対する重大な損害を及ぼすおそれがある行為を制止すること。

○2  海上保安官は、船舶の外観、航海の態様、乗組員等の異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して、海上における犯罪が行われることが明らかであると認められる場合その他海上における公共の秩序が著しく乱されるおそれがあると認められる場合であつて、他に適当な手段がないと認められるときは、前項第一号又は第二号に掲げる措置を講ずることができる。





言うとすれば、法5条 十六号の『海上における犯人の捜査及び逮捕に関すること。』かな?

だったら、刑事訴訟手続きを踏めばいいだろうに。何故しない?
海保にカヌーを押収する権限は、18条からは導き出せないんだよ。それはどういうことかわかるか?


違法行為が確定、なんだよ。
公務員職権濫用罪がほぼ確定する、ってことなんだよ。


2)逮捕の場合はどうなの?

防衛省のカラッポ官僚は、元々刑事特別法適用だ、と年末以降息巻いていたはずだよな?
辺野古沖の制限区域に入った者は、排除できる、という根拠にすると言っていたな?


日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法


第二条  
正当な理由がないのに、合衆国軍隊が使用する施設又は区域(協定第二条第一項の施設又は区域をいう。以下同じ。)であつて入ることを禁じた場所に入り、又は要求を受けてその場所から退去しない者は、一年以下の懲役又は二千円以下の罰金若しくは科料に処する。但し刑法 (明治四十年法律第四十五号)に正条がある場合には、同法 による。



これを適用した場合、どうなのかといえば、現行犯逮捕はできないんだよ。

令状なしの逮捕は、3年以上の長期刑だ。


刑事訴訟法 第二百十条  

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。


しかもその執行の際は、逮捕理由を告げねばならない。
そして、現行犯逮捕しないと、私人の所有物を押収できないんだよ。



刑事訴訟法 第二百二十条
 
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第百九十九条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。第二百十条の規定により被疑者を逮捕する場合において必要があるときも、同様である。
一  人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り被疑者の捜索をすること。
二  逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること。

○2  前項後段の場合において逮捕状が得られなかつたときは、差押物は、直ちにこれを還付しなければならない。第百二十三条第三項の規定は、この場合についてこれを準用する。
○3  第一項の処分をするには、令状は、これを必要としない。
○4  第一項第二号及び前項の規定は、検察事務官又は司法警察職員が勾引状又は勾留状を執行する場合にこれを準用する。被疑者に対して発せられた勾引状又は勾留状を執行する場合には、第一項第一号の規定をも準用する。




海保が差押をやっていい唯一の場合とは、刑事訴訟法に基づく逮捕であり、その現行犯逮捕での差押だけである。


つまり、逮捕理由を告げる、同時に差押できる、という権限行使ということだ。


しかし、海保は、いずれもやってない。
逮捕権行使ではないし、逮捕状請求もやってない、けれども「差押」だけは実施した、ということだな。



まさか、この期に及んで「領置だ」と言い張るかね?
それは、任意提出だろうに。
(ま、海保の卑怯者どもなら、ありもしない「任意だ」と証拠捏造もやってくるかもしれぬ)


報道をみたって、どこからどう読んだって、任意性などカケラもかなろう?

まるで戦時中の徴発みたいに、無理やりに没収したようなもんだろう?


返せば済む、とでも思っているのか?
これを職権濫用と呼ばずに、何と呼ぶのか?



たとえ「刑事特別法適用」であったとしても(そんなのウソだけどな)、現場での逮捕は刑訴法210条により、執行不可能なんだよ。


すなわち、当該海上での令状なしでの逮捕権行使そのものが封じられている、ということだ。
それは同時に、差押不可能を意味する。


執行する場合には、必ず「令状が必要」なんだよ。



またしても墓穴を掘ってくれましたね。
海保は、何から何まで出鱈目をやったんだよ。


これのどこが正当業務なんだ?

何の権限があって、カヌーを没収した?
裁判所か?貴様らは。


こういうのを何というか知ってるか?
私刑、だろ。


執行官が裁判官を兼ねているようなもので、「オレが法だ」の論理だろう?



こんなの、裁判やれば、ほぼ勝てるの間違いなし、なんじゃないのか?

なのに、福島みずほも、共産党も、法曹界も、みな何もせずに放置とな。


明らかな違法があるのだぞ?


これは、暴力なんだぞ?


どこが民主主義国家なんだよ。

これのどこが法治国家なんだ?



究極の放置国家、だろ。




日本の最高裁は究極のガラパゴス化

2014年09月21日 11時45分04秒 | 法関係
日本の最高裁裁判官たちは、横田基地騒音訴訟において、『主権的行為であることは明らかであって,国際慣習法上,民事裁判権が免除されるものであることに疑問の余地はない』と、宣言してくれた。


疑問の余地がない、と?
よくもまあ、そんなことが平気で言えたもんだな。
疑問だらけではないか。

  福田博、河合伸一、北川弘治、亀山継夫、梶谷玄

これがその裁判官たちである。
裁判所の役割とは、政府やアメリカを守ることであると勘違いしている、日本国民の敵である。権力側を守り、一般市民を虐げる、まさしく悪代官を絵に描いたような連中なのだ。こんなヤツラが、法を支配する限り、日本が良くなることなどあり得ないだろう。最高裁に巣食ってきた連中というのは、こういう輩ばかりだった、ということだろうね。逆に、そういう人間じゃないと、最高裁判事になんかなれないんだ、ということさ。



彼らの言う国際慣習法などというものは、偽物である。
世界の慣習や潮流からは大きく外れた、全くの日本独自の「国際法」のようにしか思えない。国際というんだから、世界と同歩調でないと意味がないでしょうに。どうしてこんなことが起こってしまうと思うか?


それは、最高裁に「疑問の余地はない」などという出鱈目を高らかに宣言させ、これを漫然と放置し続ける、日本の法曹界・法学会だからなんじゃないのか。

何故、法学の世界において、このような職務怠慢か最高裁判事としての職務放棄に匹敵するような、恥じるべき判決について、強い批判が起こってこなかったのか?


何の為の、評釈なんだよ。
何の為に、研究しているんだ。


最高裁判決は、おかしいんじゃないか、という批判と検証が繰り返されてこなかったからこそ、おかしな判決が量産され続けてきたんじゃないのか。理屈に合わないことが、平然と行われ、最高裁が誰からも咎められないことをいいことに、好き勝手な判決を生み出してきたのではないのか。



本当に幻滅するわ。
日本の法曹界は、どうかしてる。最高裁判決だから、というだけで、これに従い続けるという精神が、本当に信じられない。


国際慣習法という以上、必ずしも明文的ではなく、慣行そのものの変遷だってあるし、考え方が多少なりとも変化するものだろうに。他国が変わっているのに、日本だけが閉鎖的で誰からも批判を受けない最高裁であるがゆえに、自分勝手なことをできるということだったわけだよ。


こうした批判性の乏しさが、最高裁判事の増長を許してきたんだぞ。官僚たちも同じ。ペテン国家合衆国と一緒になって、外務省官僚も防衛庁官僚も、ずっと日本国民を騙し続けてきたんだぞ。


mare liberumであるはずの沖縄の海が、一体誰の権原で制限できるのだ?

在日米軍が辺野古の海を「日本の政府、ないし日本の特定民間業者」に貸します、という処分権は、どういう権原から生じたものなのか?


海保よ、ただの一般人を海上で身体拘束することが、国際法上で認められているとでも言うつもりか?

海保の行為は、jus cogensに反する可能性大だ。


批判されない立場であるからこそ、政治家も官僚も裁判官も、何をやってもいいと思っているのだよ。

批判する側があまりに弱いから。
誰も批判なんかしてこないと分かっているから、だ。


在日米軍に法は全く通用しないのか~3

2014年09月18日 19時55分56秒 | 法関係
2)主権免除という最高裁判決は妥当か


本項では、本シリーズ最初に取り上げた、平成14年4月の横田基地騒音訴訟の最高裁判決について考える。



再掲しよう。


外国国家に対する民事裁判権免除に関しては,いわゆる絶対免除主義が伝統的な国際慣習法であったが,……おいても,【要旨】外国国家の主権的行為については,民事裁判権が免除される旨の国際慣習法の存在を引き続き肯認することができるというべきである。



いわゆる主権免除と呼ばれる考え方であり、国家(政府)が他国の裁判所において民事事件の被告とされることはない、とする慣習であった。けれども、近年においては、例外が認知されるようになり、実際に他国の裁判例で政府が被告とされた事件は存在してきた。簡単に言えば、私人の行為に類似する行為(商業活動など)は裁判免除は受けられず、公的行為は従来通りに免除される、というものである。


最高裁は判決文中で、絶対免除主義を採用するものではなく、制限免除主義を肯定してはいるが、本件についてみれば主権的行為=民事裁判権が免除される公的行為だ、として、請求を否認した。



(再掲)
本件差止請求及び損害賠償請求の対象である合衆国軍隊の航空機の横田基地における夜間離発着は,我が国に駐留する合衆国軍隊の公的活動そのものであり,その活動の目的ないし行為の性質上,主権的行為であることは明らかであって,国際慣習法上,民事裁判権が免除されるものであることに疑問の余地はない。したがって,我が国と合衆国との間でこれと異なる取決めがない限り,上告人らの差止請求及び損害賠償請求については被上告人に対して我が国の民事裁判権は及ばないところ,両国間にそのような取決めがあると認めることはできない。




このような裁判官の意見を到底同意することなどできない。
拙ブログの言い分については、後ほど述べる。


まず、近時ではどのようになっているのか、というと、日本は大陪審判例の変更がこの後の平成18年に行われた。


平成18年7月21日最高裁判決
>http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/348/033348_hanrei.pdf



国連裁判権免除条約に署名、批准

>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%80%A3%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%A8%A9%E5%85%8D%E9%99%A4%E6%9D%A1%E7%B4%84



国内法の立法措置も取られた。

外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律
(平成二十一年四月二十四日法律第二十四号)

>http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO024.html



このように、基本的には制限免除主義を最高裁判例や法律で明確にした、ということである。


これら立法措置は、横田基地騒音訴訟の時代には遡及できないから、これらの存在を理由として当時の裁判官たちを批判できるものではない。




ここで少し離れて、別角度から眺めてみることとする。


①合衆国連邦裁判所の姿勢

日本の最高裁判事は米国の判事を少しは見習うといい。最近話題の従軍慰安婦問題であるが、この裁判例が米国連邦裁判所であった。

米国籍を有しない女性15名が、日本政府を被告として賠償請求を行った、というものである。当然、外務省は主権免除だ、と合衆国政府に主張したに違いない。だが、裁判は行われた。連邦最高裁判決は2006年頃だった。産経新聞が連邦最高裁で却下された、といったような記事を報じていたはずである。


この件でも、日本製紙事件からでも分かるのは、合衆国裁判所のjurisdictionは日本で考えているより広いし、国際礼譲とか主権免除ということに対しては、少なくとも日本政府相手であれば安易に免除なんかしない、ということである。日本の最高裁が言うような、国際慣習法の存在ゆえに司法の役割を易々とは放棄してこなかった、ということだ。


もう一つは、合衆国連邦最高裁が日本の団体が提訴した米軍機の飛行差止訴訟(だったはず)で述べた原則がある。一般論として、連邦法を域外適用するには、当該法律がその旨を明示している必要がある、というものである。別の連邦最高裁判例でも同じく「法律は特段の定めがない限り域内にしか適用されないと解釈すべき」旨が判示されている。


ここから分かることは、米国法は原則として域内にしか適用されない、すなわち在日米軍は依然として属地主義的に、日本法の適用下にある、ということである。そして、在日米軍に対する規制措置としては、米国の域外なので米国法が適用できない、米国法の条文に域外適用の定めがない以上やむを得ない、と判示さえれたものだ。


結局のところ、従軍慰安婦訴訟では日本政府の主権免除とはなっていなかったこと、国際礼譲による管轄権の謙抑というのは明確な一般国際慣習法ということではないこと、在日米軍には原則として米国法が域外で適用できないこと、などが合衆国連邦裁判所の考え方であると思われる。



②主権免除の例外にはならないのか

日本の最高裁は米軍機の行為が「主権的行為」、すなわち国家(公的)行為論で国際慣習法上民事裁判権が及ばない、としている。

これには異論の余地があるものと考える。


理由1: ヨーロッパ国家免除条約

第11条 訴訟が法廷地国における身体の侵害もしくは有体財産に対する損害に関係する場合

受忍限度を超える騒音被害は、「身体の侵害」となりうると考える。これは本条約上の11条に該当するものと判断するから。


理由2: 国際刑事裁判所ローマ規程

「人道に対する犯罪」に抵触する可能性があるから。騒音被害は、『身体又は心身の健康に対して故意に重い苦痛を与え、又は重大な傷害を加えるもの』に該当する可能性がある。


理由3: 国際法協会における裁判権免除の例外規定

『E 法廷地国に存在する動産の所有、使用の権利、利益に関する訴訟』、或いは、『F 人身傷害、死亡、または財産の損害、損失に関する訴訟』に該当する可能性が高いから。
空域や海域を使用する権利がE、騒音による人身(健康)傷害がF、と判断する。


理由4: レイカー航空事件判決

国際法上、英国管轄権が優先するとの英国政府主張を、国際法及び米国法を理由として退けたこと。国際礼譲は自国(本件では米国)公共政策に影響がある場合認められない、英国裁判所の差止め命令は米国の反トラスト法実施の妨げなので認めることができないとした。
つまり、属人主義的な適用を否定、なおかつ日本の公共政策に影響する場合の管轄権は日本にあってしかるべき。


理由5: ハートフォード社事件判決

同時に2カ国の法規制下にある者は、同時に両方の法を遵守できる場合、conflictは存在しない(=故に同時にどちらも遵守すべき)。
a)適用される日本(外国)法が、米国法では禁止する行動を義務付け又は強制する場合、或いは、
b)米国法を遵守することが日本(外国)法によって発動される命令に違反する場合
には、管轄権が米国になっても当然と考えられ、その場合本来的には在日米軍が日本法適用下にあるが日本は国際礼譲という慣習法に従い管轄権の主張をしない、ということになる、というものである。

すなわち、米軍機の行動が、日本法に従うと自動的に米国法に違反してしまうならば、管轄権は日本にない、とすべきということである。


理由6: レテリエル事件判決(1980)

米国における主権免除についての法律が、外国主権免除法として76年に制定された。その法の適用と裁判権を巡り、チリ政府との管轄権の衝突が生じた事件である。判決中で、以下のごとく判示されている。

a)外国の不法行為又はその公務員、被用者が職務範囲で行った不法行為について、米国内の個人に生ずる身体損傷、死亡、財産損害に関する損害賠償訴訟は主権免除を認めない
b)(外国政府の)「裁量機能」とは(=いわゆる政府の公的行為となるべきもの)政策的な判断や決定が介在する余地がある行為を意味し、国家が違法行為を行うことの、又は公務員(や機関職員)に違法行為を行わせるという裁量は有していない
c)外国政府に政策的判断の自由があっても、国際法及び国内法で認められた人道の規則に反する行動をとるような裁量は有してない
d)チリ政府の行為がチリ国内では可能(合法的、政府の政策の裁量内)であったとしても、米国内に不法行為損害が発生すれば国家行為論は適用されない

これを在日米軍に照らせば、合衆国政府には自由裁量権があろうとも、日本の国内法に明らかに反するような裁量権は有しておらず、不法行為損害が日本国内で発生するなら国家行為論(日本の最高裁の言った主権的行為、論のことであろう)は適用されない、とするものである。

従って、主権免除を認めるだけの理由というものは、どこにも見当たらないというべき。
あるとすれば、米軍機の行動が日本国内法に従うと米国法では違法となってしまうか、米国法に従った結果日本法で発動された命令に違反する場合、である。


健康を害するほどの騒音被害を与えることが、米国法の要求しているところであるとは、到底思われないが。
仮に在日米軍は日本法に従う国際法上の義務を有しておらず、民事裁判権免除が許される立場であろうとも、在日米軍が合衆国憲法及び連邦法、連邦最高裁判例、コモン・ロー、国際法に違反する行動を許される、などとは考えられないし、米軍を規律する米国法や自由裁量の政策が、大勢の日本国民を夜中のジェット機の騒音で苦しめるよう行動することを要求しているなどとは想定できない。


論点を戻すと、米軍機騒音の民事訴訟において、法廷地国である日本では、在日米軍(合衆国政府)相手であると、主権免除という国際慣習法の存在により管轄権がないとする最高裁判決は、明らかな不当である。
上記に列挙した理由1~6により、平成14年4月当時、国際礼譲の存在により裁判権が免除されることを正当化できる理由など、何一つ見当たらないというべき。

また、米国法を遵守した上で、日本国内法を遵守することが法理において不可能という事態でない限り、合衆国軍隊はいずれの法をも遵守するべきなのである。日本国内法を遵守することにより米軍の活動が著しく妨害され、その結果として合衆国の安全を脅かすというような、最大に優先すべき利益が証明されない限り、米軍は日本法の及ぶ範囲にあるものと考えるべきである。


平成12年の日米共同声明において、以下のように述べられている。

環境保護及び安全のための在日米軍による取り組みは、日米の関連法令のうちより厳しい基準を選択するとの基本的考えの下で作成される日本環境管理基準(以下「JEGS」)に従って行われる。その結果、在日米軍の環境基準は、一般的に、日本の関連法令上の基準を満たし又は上回るものとなる。日本国政府及び米国政府は、JEGS を見直し、2年ごとに更新するための協力を強化する。米国政府は、関連法令に適合して、日本における環境を保護するよう常に努力を継続する。

当然に、日米両政府の法の管轄下に置かれる在日米軍であるから、どちらの法も遵守することにより共同声明中にある「日米の関連法令のうちより厳しい基準を選択する」ことになるのは必然である。


合衆国連邦最高裁の判例は、以前からこれを要求してきたものであり、合衆国政府がこれを無視するのは、法の支配の否定というべきである。
米軍が本当に無法集団でない、というのであれば、米国は米軍に法を守らせるよう規律すべきである。


日本の裁判所が、米軍を変に庇っているのだ。
外務省も防衛省も同じ。

オスプレイの飛行訓練ルートにしても、国内法を遵守せねばならないので、国土交通大臣の許認可が必要ということであるはずで、意図的に米軍の言いなりを演じる為に「どこでも飛んでいいですよ」と国民ではなく米軍を守っているんだよ。

本当なら、国交大臣が「認めない」と拒否すれば、それで済む話なのに、だ。


日本の最高裁は、連邦最高裁の爪の垢でも煎じて飲むべきではないのか。
官僚たちも、同じ。
政治家たちもだ。


これほど腐った国家なのは、どうしてなのだ?

あまりに酷い。