旧友に進められてこの本を読み進むにつれ、森の消滅が鉄器の生産に強く関連していることを知る。一大文明の衰退は森の衰退と関連があることは知っていたが、更に詳しくは鉄器製造のための木の伐採がその一つの大きな理由と知る。
一つの民族や国家が安定して存続するには、命を確実につなぐための食の安定確保と外敵を寄せ付けない軍事力が欠かせない。軍事力は兵力と武器の優劣で左右され、武器は石器、青銅器、鉄器へと進化してきた。
人類が長い石器時代の後、青銅器や鉄器を利用するにつれ、高温下で金属を溶かすために燃料として大量の木を必要とするようになる。その結果、歴史に名を刻む強大な民族や帝国の繁栄したあとには森がほとんど残っていない。
紀元前1700年頃、アナトリア高原に誕生したヒッタイト帝国は、青銅器時代に最初に鉄を使い始めたことで知られ、その当時の製鉄滓が発見されている。エジプトのラムセス2世との戦争でも知られているが、他国に青銅を輸出或いは輸入していたともいわれる。鉄の製法はヒッタイトが滅びるまでは秘密にされたが、彼らが栄えたアナトリア高原ではレバノン杉の森が消滅している。
森の消滅について別の視点もあり、羊やヤギは草木を根元から食べつくすので、これらを家畜としたギリシャなどの国々では森林がそのために失われたとする説もある。
しかし、紀元前五百年からギリシャ都市連合がペルシャ帝国と戦ったペルシャ戦争では、ペルシャがギリシャ側に敗れた一因は、ギリシャ側が鉄製の鎧と武器を持っていたのに比べペルシャ側は青銅製あるいは一部に石器であったためとも言われる。この際の、鉄製造に大量の木々が伐採されたと思われる。
鋼の質と量が古代ローマ帝国に覇権をもたらしたとも言われ、シーザーがケルト人に勝ったのは、ケルト人が青銅製の武器を持っていたためとも言われる。
中国では殷時代から優れた陶器製造技術を持っていたため、他よりも100℃以上高温の1300度で製鉄し、優れた鉄器を作った。特に漢の時代は最も優れた鉄器を作っていたが、漢が通ったあとには森が残らないといわれていた。製鉄による森林の消耗があまりにも激しかったため、やがて森林資源がすっかり枯渇し、それ以降は良質の鉄器を作ることが出来なくなてしまったという。
海水に鉄を散布し植物プランクトンを増やすことで大気中のCO2を削減できるとする「鉄仮説」も紹介されていて、その実験結果についても触れられていて興味深い。
この本の詳しい紹介は次のULRでご参照ください。
http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/061/mgzn06110.html
一つの民族や国家が安定して存続するには、命を確実につなぐための食の安定確保と外敵を寄せ付けない軍事力が欠かせない。軍事力は兵力と武器の優劣で左右され、武器は石器、青銅器、鉄器へと進化してきた。
人類が長い石器時代の後、青銅器や鉄器を利用するにつれ、高温下で金属を溶かすために燃料として大量の木を必要とするようになる。その結果、歴史に名を刻む強大な民族や帝国の繁栄したあとには森がほとんど残っていない。
紀元前1700年頃、アナトリア高原に誕生したヒッタイト帝国は、青銅器時代に最初に鉄を使い始めたことで知られ、その当時の製鉄滓が発見されている。エジプトのラムセス2世との戦争でも知られているが、他国に青銅を輸出或いは輸入していたともいわれる。鉄の製法はヒッタイトが滅びるまでは秘密にされたが、彼らが栄えたアナトリア高原ではレバノン杉の森が消滅している。
森の消滅について別の視点もあり、羊やヤギは草木を根元から食べつくすので、これらを家畜としたギリシャなどの国々では森林がそのために失われたとする説もある。
しかし、紀元前五百年からギリシャ都市連合がペルシャ帝国と戦ったペルシャ戦争では、ペルシャがギリシャ側に敗れた一因は、ギリシャ側が鉄製の鎧と武器を持っていたのに比べペルシャ側は青銅製あるいは一部に石器であったためとも言われる。この際の、鉄製造に大量の木々が伐採されたと思われる。
鋼の質と量が古代ローマ帝国に覇権をもたらしたとも言われ、シーザーがケルト人に勝ったのは、ケルト人が青銅製の武器を持っていたためとも言われる。
中国では殷時代から優れた陶器製造技術を持っていたため、他よりも100℃以上高温の1300度で製鉄し、優れた鉄器を作った。特に漢の時代は最も優れた鉄器を作っていたが、漢が通ったあとには森が残らないといわれていた。製鉄による森林の消耗があまりにも激しかったため、やがて森林資源がすっかり枯渇し、それ以降は良質の鉄器を作ることが出来なくなてしまったという。
海水に鉄を散布し植物プランクトンを増やすことで大気中のCO2を削減できるとする「鉄仮説」も紹介されていて、その実験結果についても触れられていて興味深い。
この本の詳しい紹介は次のULRでご参照ください。
http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/061/mgzn06110.html