シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

イングリッシュペイシェント

2005-07-01 | シネマ あ行
「大河ドラマ」って定義はよく分からんのですが、それでもこの作品は「大河ドラマ」---って感じがします。第二次大戦下の北アフリカが舞台ですからね、全体的にロマンの香りがしたします。

「イングリッシュペイシェント」、つまり、イギリス人の患者ですね。主人公レイフファインズが重傷を負って記憶を失くしているのでそう呼ばれるわけです。そして、物語はその彼が過去を思い出してポツリポツリと語る過去の物語と彼の看病をしている看護師の現在進行形の物語が交錯して描かれます。

患者の過去の物語はと言うと、ズバリ不倫ですねー。ワタクシはどうしても不倫に賛成できないタチなので現実的には受け入れられないですが、お話の中であればシチュエーションによっては、まぁ、肯定はしないけど、彼らの心情に同情したり切なくなったりすることはできます。

このお話の二人は正に「出会ってしまった二人」ですね。女性のほうクリステンスコットトーマスは夫がある身でありながら抑えられないこの気持ち~みたいなね。男性のほうも彼女に夢中になって仕事も手につかず、隠すことさえできず、同僚にたしなめられても頭の中は彼女のことばかり…大人同士なだけに静かに燃える熱情っていうのが結構グッときます。この二人のキャスティングが非常に美しく、不倫の恋のはかなさを一層引き立てています。重傷を負った彼女と洞窟に二人で隠れている姿もさまになっちゃうんですよねー。

この彼女の夫というのがまたムキなっちゃってねー。セスナに妻を乗せこの不倫相手の男を低空飛行で追っかけちゃったりするんですよ。そりゃ、美しい妻を取られたんですもの、理解はできるわ。その夫を演じるのが「ブリジットジョーンズ」「ラブアクチュアリー」で最近ワタクシの中では赤丸急上昇中コリンファースです。なんかこの頃のほうが老けてる?

この切ない不倫物語に交錯する現在進行形ドラマでは、看護師ジュリエットビノシュと爆弾処理班のインド人の恋が描かれます。インド人が彼女に洞窟の絵を見せるシーンは綺麗に撮ることを非常に意識して作られたシーンですね。どしゃぶりの雨の中みんなではしゃぐシーンなんかには希望が感じられるし。

そんな中、主人公も希望を取り戻して回復するのかどうか…。彼をスパイだと言って執拗に追いかけてくる男ウィレムデフォーの言っていることは果たして正しいのか?この男の言葉によって取り戻された記憶。それは…

自分が愛する者のために国を売るという行為。多分、そんなの許せるわけない、という人もいるでしょう。でも、ワタクシは恋愛至上主義なので、(この場合不倫だったけど)彼女のためなら何を犠牲にしてもという彼の行動を肯定的に受け取りました。このあたりかなりメロドラマ調です。「ケッ」と思う人と「素敵~」と思う人がキッパリ分かれるでしょう。  

オマケ主人公が異常に執着していたのが彼女の鎖骨。同僚に注意されたときもそのことばかりが頭にこびりついて離れない様子。「ここの骨ってなんていう名前だったっけ?」はぁ、、、恋は盲目ですか…