マイケルマン監督って「インサイダー」は面白かったと思うんですが、「ヒート」とか「コラテラル」とかはイマイチだったなぁという記憶があって、いわゆる“男の世界”ってやつを描くのが好きな監督なんでしょうけど、なんか上っ面だけなイメージなんですよね。
今回のこの作品は、ワタクシ個人的にはジョニーデップ目当てではなく、クリスチャンベイル目当てでした。彼は昔から好きなので。
んー、中身はどうかなぁ。これは実際の話だし、本当にあったことなんだから仕方ないんだろうけど、描き方の問題かな。デリンジャー(デップ)が何かポリシーがあって、銀行強盗をしていたって感じでもないし、いくら銀行のお金しか盗らないとか言っても別にそれを貧乏人に分けていたわけでもないしなぁ。ビリーマリオンコティアールのことだって「俺が守る」とか言ってたけど、じゃあ強盗やめれば?って元も子もないこと思ってしまいました…まぁ、ビリーがそれでいいなら別にいいんだけどね。
ジョニーデップの映画だけあって、スティーブンドーフとか、ジョバンニリビシとかデビットウェンハムというような注目したい俳優陣が結構揃ってるんだけど、一人一人のキャラクターの掘り下げもないし、背景もデリンジャーとの関係もイマイチ分からないし、デリンジャーはすごく仲間を大切にした人みたいな言い方されてたけど、それを表現するには仲間の扱いがぞんざい過ぎるんですよね。
デリンジャーにとっては敵役のFBIのメルヴィンパーヴィス(クリスチャンベイル)のほうも、仕事に関してはいいけど、彼の人となりとか家族とかそういった背景を示すような表現がなかったために、彼にもいまいち感情移入できない。結局誰にも感情移入できないままに終わってしまった感があったなぁ。これで、それぞれの背景がうまく描かれていたら「アンタッチャブル」のような名画になりえたのかもなぁと思いつつ見ていました。しっかし、本当のことだから仕方ないけど、捜査当局どんくさ過ぎ。
唯一すごいなと思ったのはマリオンコティアールかなぁ。彼女ってフランス人だけど、普通に英語話してて違和感なかったもんなぁ。フランス人でここまで普通に英語話してハリウッド映画に出てる人ってそうそういないような気がする。まぁ、フランスにはフランスの映画界があるからその必要はないんだけど、彼女のチャレンジ精神はすごいなぁと思いましたね。顔はそんなに好みではないんですが、女優としてはすでにアカデミー賞とってますけど、これからもっともっとすごい役をやってくれるんじゃないかなぁと期待しています。
ジョニーデップのファンの方にとっては「キャー、かっこいい~」ってなるんだろうなぁと思います。そうでない方はDVDでもいいかも。