もし、パレスチナ人だけで行われているデモで、そこにテレビカメラなどがなければ、イスラエル軍は彼らを簡単に武力で制圧してしまうだろう。でも、そこにはイスラエル人がいて、ヨーロッパ人がいて、外国のメディアがいる。そうなって初めて、イスラエル軍が簡単に手出しはしないということになるのだ。
このデモに参加していてイスラエル軍に撃たれたノルウェー人の青年は「誰かが石を投げたんだ。それでイスラエル軍が発砲してきた。石を投げるのが良いことか悪いことが議論しても仕方ない。ただ、我々はイスラエル軍に武器を使用する言い訳を与えてはいけないんだ」たったひとつの小石でも、イスラエル軍は銃を発砲してくることができる。どんな些細な攻撃もあちらの強大な軍に大義名分を与えることになる。だから、パレスチナ人たちはじっと非暴力で耐えるしかない。
イスラエルはどんどんパレスチナ人の領土を奪い、職を奪い、水を奪い、生活のすべてを奪う。自分たちの領土に勝手に入って来たイスラエル人たちがどんどん新しい高層マンションを建設し、入植していく。それを指をくわえて見ているしかないパレスチナ人たち。
イスラエルにはアメリカという強力なバックがついている。国連もアメリカの反対があればイスラエルを批難できない。だって、アラブはみんなテロリストだもん。少々、民間人が死んだってしょうがないよ。必要悪だよ。ってか???(オバマさんが大統領になって少しは変わるかと思ったけど、やっぱり彼もユダヤ人にはベタベタって感じですかね…)
あ、ちょっと作品そのものからズレました。
この映画佐藤レオ監督のデビュー作ということですが、ちょっと“映画”としては、残念ながらそんなに出来は良くないと言わざるを得ませんでした。ドキュメンタリーなので、事実を淡々と見せればそれで良いのかもしれませんが、作りがどうしても単調になりがちで、そうなると大切な事実が頭に入りにくくなってしまいます。パレスチナの領土が侵され、数々の検問所のせいで住民の生活がこの上なく不便と恐怖にさらされていることを、せっかく地図を使って説明しようとしたのだから、もう少し時間をかけて分かりやすく解説するべきだったなと思いました。61分と短い作品だったので、寝てしまう心配はないですが、もう少し長かったらヤバかったかも…