シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

壬生義士伝

2005-07-20 | シネマ ま行
最近流行ってますね、貧乏サムライ話。ワタクシはこの作品がダントツ好きですね。

方言で話すダサダサ侍の中井貴一がカッコよすぎるんです。侍の名誉よりも誇りよりも面子よりも何よりもお金を稼ぐことに励む男。周りの侍からはさげすんだ目で見られるが、それもひとえに故郷で貧しい暮らしをしている家族のためなのだ。

家族のためなら、名誉も面子もどうでもいい。かっこいいじゃあないか。

それにこの男、ただの守銭奴じゃない。実は頭が良くて腕もたつのだ。そんな男だからこそ、初めは反発していた佐藤浩市も徐々にこの男の本当の姿に魅力を感じるようになっていくのだろう。

その彼らの姿と新撰組と幕府の関係など歴史に翻弄される侍たちの姿をうまく絡めて描いていて映画的な流れにも素晴らしいものがある。

佐藤浩市の相手役の中谷美紀 も潔い女の生き様として爽やかな印象を残してくれたし。回想として語られる中井貴一の子供たちが彼を見送るシーンは涙なしでは見られない。それ以外でも後半はもう涙、涙、涙ですけどね。

この男の生き様にワタクシはもの凄く共感したわけだが、彼の死んでいく様にもワタクシは共感を覚えた。彼はあがく。みっともないほどに、あがいてあがいてあがきまくる。愛する家族に会いたいからだ。

みっともない部分をすべて隠して誇りや面子を重んじる侍道が好きな人は嫌悪感さえ覚えるだろうけど、ワタクシはそんなもんクソくらえと思っている人間なので、それよりも妻や子供たちを想う彼に大共感なのでした。

(なんか、今回「共感」しか言ってないような…)