シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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ソロモンの偽証~後篇・裁判

2016-02-26 | シネマ さ行

さていよいよ裁判です。こちらも前篇同様、裁判開廷までの経緯、開廷後の裁判の様子、周りの反応などを丁寧に丁寧に描いていきます。

生徒たちがきちんと裁判とはどのようなものなのかを調べて、弁護人、検事、陪審員、判事、廷吏と役割分担を決めていく過程までが丁寧に描かれていることに好感を持ちました。特に成績トップで高校受験のことしか頭になくこんな裁判受験の邪魔になるだけだと思っていた井上康夫西村成忠を藤野涼子藤野涼子がうまく乗せて判事になってもらうシーンが、この作品の少ないほのぼの笑えるシーンに出来上がっていて好きだった。その後も“判事”井上君は要所要所でいい味を出してくれていた。

大出君清水尋也に裁判に出廷してもらうために奔走する弁護人・神原君板垣瑞生と助手の野田君前田航基や、少しでも事件の真相に迫ろうと柏木君望月歩の通話記録まで調べあげ、聞き込み調査を行う検事・藤野涼子とその助手・倉田まり子西畑澪花と向坂行夫若林時英のシーンは結構本格的なミステリー要素も踏まえているようでかなり面白かった。

もう一人の重要人物である三宅樹里石井杏奈は松子富田望生の死以来学校に来なくなってしまい、彼女にもまた裁判に出廷するよう説得に行く藤野涼子。彼女たち2人の対比はこの物語の中で重要な役割を担っていたと思う。まっすぐに事件を見つめようとする涼子と自分が犯した罪と向き合えない樹里。彼女たちのそれぞれの家庭環境の違いもかなり影響しているように思えた。

家庭環境と言えば、秀才で私立の中学校に通っている苦労知らずのおぼっちゃんに見えていた神原君の衝撃の過去が大出君を裁判に出るよう説得するシーンで明らかになる。この彼の過去が裁判のクライマックスにおいても大いに関連してくるのだった。

いよいよ裁判が始まり、大勢のPTA、教員、生徒が見守る中、涼子たちは立派に裁判を進行していく。始めあまりにもざわついたり野次を飛ばしている傍聴席の群集に対して死んだ松子のお父さん塚地武雅が「この子たちが一所懸命にやろうとしている裁判、ちゃんとやらせてやってください」と頭を下げるシーンが泣けた。娘を亡くして、こんな裁判反対だと言っていたお父さんがどう心変わりしたのかという描写はなかったのだけど、それだけ涼子たちの本気が伝わったのだろうと感じた。

裁判の大きな見どころとしては大出君のアリバイの証明、三宅さんが告発状について何か知っているのか、なぜそんな告発状が送られなければならなかったのか、学校側の対応はどうだったか。といったところだろうか。

三宅樹里が証言台に立ち、「告発状は松子が書いたもので私は一緒に投函しただけ」と言ってみせたところは正直驚いた。ワタクシの中で三宅樹里がどういう証言をするのかというのが一番注目していたところだけに、そうきたかー!と思った。彼女にしてみればもうあそこであんなふうに言うしか残された道はなかったんだと思う。もちろんいけないことだけど、自分の浅はかな考えが大騒ぎを起こしてしまって、ぎりぎりのところまではまだ保身に走りたかった気持ちは分からないでもない。

大出君の弁護人である神原君がなぜ告発状が送られたと思うか、その原因は大出君によるいじめが原因だと大出君を責め立てていくシーンがあって、この裁判の大きな見せ場になっているが、あれは果たして彼の弁護人である神原君がやるべきことだったのだろうか。むしろ、それくらい人をいじめていた大出君なら柏木君を突き落としても不思議はないというふうに検察側が責めるべきだったんじゃないかと思う。

裁判から去って行った三宅樹里だったが、保健室で涼子に話した松子の死の真相というのはかなり衝撃だった。これが物語の中で一番衝撃だったかも。松子ちゃん、本当に死ぬ必要なんてなかった子なのに一番かわいそうだったな。

最終的に検察側の涼子が柏木君の死の真相について重要な証拠を新たに見つけたとして、柏木君ちの通話記録から柏木君が死んだ夜最後に4回も電話していた人物の存在を明らかにする。それはなんと神原君だと言うのだ。。。

ここから神原君が証言台に立ち、柏木君の死の真相について語り始める。ってか、お前最初っから全部知っとったんかーい!!!とビックリしたんだけど、一応神原君の説明を聞けば彼がどうしてここまでそのことを黙っていたかということも理解はできた。

フタを開けてみれば所謂青春の思春期特有の悩みが原因で、「告白」的なぞーーーっとするようなラストを期待していたワタクシは、え、これめっちゃ爽やか青春物語やんとこれまた少し驚いてしまった。そうか、そうやったんか、これ普通に青春物語なんや。あ、でも柏木君はなんとも言えず不気味やったなぁ。彼には確かにぞーーっとした。

エピローグ的に裁判後の校庭の風景が本当に青春物語っぽく描かれる中で、三宅樹里と松子の両親の対面シーンには泣けた。松子は亡くなってしまっているのに、ご両親があそこまで三宅樹里に寛大にいられるというのがすごすぎない?と思ったけど、それまで松子のご両親の人柄はよく表れていたので納得できるという部分もある。

とにかく全篇、中学生がこんなんできるかー?と思う部分もあるけど、中学生だからこそあそこまで懸命にできるのかもしれないという部分もあり。演じる生徒たちをきちんとあれくらいの世代でまとめたのもえらいなぁと思いました。だいたい学園ものって18才くらいの子でも中学生を演じてたりして違和感があるものが多いですから。そして、成島出監督がとても丁寧にワークショップを行った結果、彼らの演技を引き出すことができたんだろうなぁということがとても伝わってくる作品でした。

裁判のオチとしては少し物足りない感じもあるし、前篇のほうが面白かったかなという気はしますが、それでもやはりぐっと入り込んで見てしまう作品でした。原作を読んだ方がどう感じるかは分かりませんが、製作陣と出演者がとても誠実にこの作品に取り組んだことがよく伝わってくる作品でした。

*前篇、後篇と連続で見たので、厳密に2つの作品の切れ目が分からなくなってしまい前篇後篇が混じったレビューになってしまっているかもしれません。

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ソロモンの偽証~前篇・事件

2016-02-25 | シネマ さ行

ケーブルテレビで見ました。公開時に面白そうだなと思っていたので楽しみにしていました。

クリスマスの朝うさぎの世話のために中学校に行った2年の藤野涼子藤野涼子と野田健一前田航基は屋上から飛び降りたクラスメイトの柏木卓也望月歩を発見してしまう。

状況から警察は自殺と断定するが、学校と藤野涼子の元に柏木君が大出俊次清水尋也たち不良グループに屋上から落とされたのを見たという告発状が届く。

校長小日向文世は警察と相談して生徒たちのカウンセリングと称して、誰が告発状を書いたのか探ろうとする。担当刑事の佐々木田畑智子は三宅樹里石井杏奈と浅井松子富田望生が怪しいとふんでいた。

そのクラスの担任だった森内恵美子黒木華のところにも告発状が届いていたのに、彼女がそれを破り捨てたという手紙がテレビ局に着いたことから、告発状の存在が世間にも生徒たちにもバレてしまい、学校は何もしていなかったのかと追及される。

しかし、目撃者はそんな真夜中にどうして普段鍵が閉まっている学校の屋上にいたのか?そして、そんな事件を目撃したのになぜすぐに通報しなかったのか?という単純な疑問を佐々木刑事はPTAに説明をし、PTAの怒りは収まった。

告発状が相手にされなかったことで、告発状を書いた三宅樹里のことを心配した浅井松子は樹里の家を向かい、事故に遭って死んでしまう。

柏木に続き、松子まで死んでしまったことで、これらの事件の真相を暴こうと藤野涼子は野田健一、そして柏木君の小学校の時の親友でいまは私立中学に通う神原和彦板垣瑞生とともに学校内裁判を行おうと考える。

最初は刑事である父親佐々木蔵之介や母親夏川結衣に反対されるが、涼子は自分の意志を曲げず、唯一最初から味方になってくれた北尾先生松重豊の協力を得てなんとか学校内裁判を行う許可を取る。

簡単にあらすじを紹介してもこれだけかかる。この中にもっと細かいエピソードが挿入されていて時系列もいじってあったりして、最初少し戸惑ったのだけどうまい作りになっています。

成島出監督他製作陣がかなり真剣にオーディションで選んだことが分かる中学生たちの人選。みんな演技がうまいし、一所懸命やっているのが伝わって来て魅入ってしまいました。特に主人公の藤野涼子の目力がすごくて泣くシーンも本当に涙腺の奥から涙がつーっと流れるのが分かって、泣こうとしていないのに泣いてしまう、泣きたくないのに涙が溢れてしまうという心情がすごく伝わってきました。

神原君を演じる板垣瑞生という子は初めて見たのですが、あまりの男前っぷりにびっくりしてしまいました。男前というか可愛らしいというかとにかく顔が整い過ぎ。この子は世間にきゃあきゃあ言われてるんやろうなーと思って、彼が映るたびにどうしても顔をじーっと見てしまいました。

樹里役の子も松子役の子もすごくリアルですし、樹里と言えば樹里の母親を演じる永作博美が妙に不気味で、やっぱりこの人うまいのよねぇと思いました。

あと大阪人としては小さい頃から見ているまえだまえだのお兄ちゃんが出ていてびっくりして、そして、やたらと標準語がうまいことにもびっくりしました。彼は大阪弁を話しているイメージしかなかったので。

役者のことばかり書いてしまいました。前篇なので、評価を下すのは難しいですが、柏木君の死をきっかけに1つの中学校が生徒、教師、PTA合わせて揺れ動く姿が綿密に描かれていて、この後の裁判に大きな期待を寄せるに十分な前篇の出来だと思いました。上映時間2時間1分なんだけど、良い意味で長く感じました。長くというと退屈なように聞こえると思いますが、密度の濃い2時間1分という感じでした。

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ペコロスの母に会いに行く

2016-02-24 | シネマ は行

ペコロスって小さい玉ねぎのことで、ペコロスみたいな頭をしたおっさん岡野ゆういち岩松了は認知症の母みつえ赤木春恵の面倒を見ている。妻とは離婚し、年頃の息子まさき大和田健介と2人でみつえの面倒を見ていたが、徘徊癖が強くなり、日中誰もいない家に置いておくわけにはいかなくなって介護ホームに預けそこへ面会へ出かける日々を描く。

まだみつえが家にいるとき、駐車場で一日中ゆういちの帰りを待っていて、「危ないからここで待ってちゃいかん」と言われ、「そんな言い方せんで。怒っとる?怒っとらん?」と言うみつえが何とも可愛らしい。壮絶な介護生活を送っている方にはお叱りを受けるかもしれないけど、この映画のそんなシーンはとてもほのぼのしていた。汚れた下着をタンスにしまいこんでいるのを見つけた家族はたまったもんじゃなかっただろうけど、それも少し可愛げがある感じだったし、何と言ってもオレオレ詐欺の電話がかかってきて、騙されてしまうのかと思いきやそこへ孫が帰って来たりして受話器を置いたが最後電話をしていたことすら忘れてしまって詐欺をする奴を華麗に放置してしまうシーンがとても笑えた。

介護ホームに入ってからは息子ゆういちのこともだんだんに分からなくなりつつあるのだが、あのハゲ頭を見せると「あ、ゆういち~」と思い出してくれる。ハゲてて良かった~というゆういちの横で同じホームに母親を預けているかつらをかぶった本田竹中直人がどぎまぎするっていうのはちょっとコメディ演出が過ぎるシーンだったけど、まぁいいとしよう。

いま現在のことはどんどん忘れて行っても昔のことは忘れてないという認知症の症状を追うように、母みつえの幼い頃~結婚~子育て~と思い出を辿って行く。そこでみつえの幼馴染のちえこちゃんが口減らしによそにやられるシーンがあり、大人になったみつえがちえこに会いに行くんだけど、ちえこは明らかに女郎屋に売られたのであり、そこへ「久しぶり~。会いたかった~」と呑気に言っていたみつえがどうにもワタクシには馬鹿なの?と思えてしまった。自分だって特に資産家の娘というわけでもないみつえがあの時代赤線に売られていった幼馴染の苦労とかくらい想像がつかないもんだろうか?女郎に身を落としてしまった少女が幼馴染に会いたくないと思う気持ちとか分からないのかな~とちょっと物語の軸からは外れてしまう感想を持ってしまいました。

みつえは何度も何度もちえこちゃんに手紙を書き、ずっと返事がなかったけど、夫さとる加瀬亮の暴力に耐えられず幼いゆういちを連れて死のうとしたとき初めてちえこちゃんからの返事が届き生きようと思い直すシーンは泣けました。でもそれもみつえが死ななくて良かったということよりちえこちゃんの心情を察するととても辛くて泣けてしまった。ちえこちゃんは自分の境遇を引け目に感じていたからみつえに返事は出せなかったけど、みつえから来る手紙を心の支えにしていたということだったのだろう。だとすれば、みつえが空気を読んで手紙を出すのをやめないで良かったということなんだろうな。

このちえこちゃんのエピソードにやたらと心を動かされてしまって、いかんいかん、これは認知症の母ちゃんと息子の話、と自分の頭を戻さないといけなかった。もうひとつこのちえこちゃんにまつわることで言わせてもらうと若い頃のみつえが原田貴和子で、ちえこちゃんが原田知世というキャスティングだったために、あれ?売られたちえこちゃんってみつえの妹だったっけ?と一瞬思ってしまった。わざわざ姉妹の役者を持ってくる必要があったのかなぁ。

母親の若い頃のエピソードと現在の介護ホームでの様子をうまく絡ませながら物語は進んでいく。唯一、死のうとまで覚悟したほどの暴力を振るう夫のことをみつえも愛していて、息子のゆういちもお父さんが大好きだったというのはワタクシにはどうしても理解はできないのだけど、実際本人たちがそう感じているのだから仕方ない。

クライマックスのランタン祭りは舞台の長崎の美しさをよく表現していた。長崎出身の人からすれば違うと思う部分もあっただろうけど、長崎弁の響きもこの物語によく合っていた。みつえとゆういち親子だけじゃなく、ゆういちの息子まさきやゆういちの友人、介護ホームの人たちとの人間関係など非常にうまく描いていて心温まる作品だった。

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エリジウム

2016-02-23 | シネマ あ行

ほとんどニールブロムカンプ監督の前作「第9地区」と似たような映像の雰囲気だなぁと思いつつ、「第9地区」は好きだったのでこちらもケーブルテレビで見てみることにしました。

2154年荒廃した地球。富裕層は宇宙空間にエリジウムという楽園を作って生活し、地球にいる貧困層を支配していた。元強盗だがいまは工場で働いているマックスマットデイモンは工場の作業中に大量の放射線を浴びてしまう。余命数日となったマックスはエリジウムにある治療カプセルに入るべく偽のIDを手に入れエリジウムに侵入しようとするが、エリジウムの指導者デラコート高官ジョディフォスターは地球にいる傭兵クルーガーシャールトコプリーにマックスを消すよう命じる。

放射線を大量に浴びたマックスは偽IDを頼みに行ったスパイダーワグナーモーラのところで半分機械の体みたいに改造される。マックスを改造したスパイダーはマックスにエリジウムで治療を受けさせるだけではなく、エリジウムを制御するコンピュータの記録を書き換えさせることで富裕層と貧困層に分かれた世界をひっくり返そうとしていた。

富裕層vs貧困層だとか、その世界に革命を起こすだとかっていうのは特に目新しい設定でもなく、正直「またか」という感じは否めない。ただいつも好青年的な役が多いマットデイモンがアウトロー的な役で、死にかけているっていうのがなかなか面白いなぁと思った。ほんとにあんな機械人間みたいになっちゃって頭もスキンヘッドでいつものイメージとはがらっと違う彼を見られて良かった。

ジョディフォスターをあっけなく殺しちゃって、シャールトコプリー扮するクルーガーの執拗で異常にねちっこいマックスへの攻撃を延々見せるというのが多分ブロムカンプ監督の面白さなんだろうな。

物語は目新しいところはありませんが、全体的な世界観とか好みに合う方にはオススメします。ただSF映画のわりに血なまぐさいシーンも結構あるのでそういうのが苦手な方は気を付けてください。

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フライトゲーム

2016-02-22 | シネマ は行

ニューヨークからロンドンに向かう旅客機に乗り込んだ連邦保安官ビルマークスリーアムニースン。彼の端末に1億5000万ドルを指定の口座に振り込まなければ20分に1人死ぬという強迫メールが届く。隣に座っていた乗客ジェンジュリアンムーアやCAのナンシーミシェルドッカリーの助けを借りながら犯人捜しを始めるビルだったが、犯人が指定した口座がビル名義のものだったことが判明し、クルーたちはビルに疑いのまなざしを向け始める。

犯人の宣言通り20分おきに人が殺されていく中、巧妙なやり口で犯人はなかなかしっぽを出さない。ビルが色々と試行錯誤して犯人を特定しようとする過程が結構面白かった。

それにしてもこういう刑事とかがアルコール依存とかそういう問題を抱えているっていう設定多いね。リーアムニースンってアクション俳優の中でもインテリっぽいイメージがあって、コメディでもない限り彼がアルコール依存症というのはなんだか似合わないなぁと思ってしまいました。どうしても完全無欠のヒーローっていうよりどこか欠陥のあるヒーローにしたいんだろうけどね。

ジュリアンムーア演じるジェンが先が短い病気だっていうのは分かったけど、で、何してる人?なぜ彼女が自分の職業を隠す必要があるのかよく分からなかった。ニューヨーク=ロンドン便によく乗るんだから無職ではなさそうだし、それが何か物語に影響してくるのかと思ったら思わせぶりなだけで特に何もなかったね。

あまり深く考えずにハラハラドキドキを楽しむのがいいでしょう。こういうのはたいがい犯人が誰か分かるまでが面白いもんで、犯人が分かってからというのはどうしても少し面白さは半減してしまいますね。

それでもやはり飛行機なので最後は無事着陸できるかというところまでハラハラさせてくれました。こういう時の子どもの使い方がアメリカ映画はうまいな。


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ザ・コール~緊急通報指令室

2016-02-19 | シネマ さ行

911のオペレーターのジョーダンハルベリーは、少女から家の中に侵入者がいるという通報を受け、冷静に部屋に隠れて警官の到着を待つようにと指示を出すが、途中で通話が途切れてしまい思わず電話を掛け返してしまったことで犯人に少女がベッドの下にいることがバレ、その少女は殺されてしまう。自分のミスにより少女が死んでしまった罪悪感からジョーダンは一線を退き、新人オペレーターの教官として働いていたが、講習中にかかってきた電話を取った新人に代わり対応することになってしまう。

それはショッピングモールの駐車場である男に拉致され車のトランクに乗せられている少女ケイシーアビゲイルブレスリンからの通報だった。普通なら携帯電話を探知すれば位置が分かるが彼女が持っていたのはプリペイド方式の携帯で、その種類の場合簡単に逆探知ができないことから、ジョーダンが知恵を絞ってなんとか少女が閉じ込められている車を特定しようとするのだった。

いやードキドキしたよー。オペレーターの人と拉致された少女の電話のやりとりの緊迫感がものすごい。トランクからテールランプを壊して手を振って、とか、トランク内にあるペンキをその穴から流して、とか色々と指示を出してなんとか少女を助けようとするジョーダン。なんとか犯人に見つからないで車を特定できてくれーーーーと見ているほうはハラハラしっぱなし。

実際に自分の経験と知恵で少女を助ける方法をフル回転で考えるジョーダンがすごいんだけど、それだけじゃなくてジョーダンという30代女性がティーンエイジャーのケイシーを励ますときに使う"Honey"とか"Sweet Heart"とか"Good Girl"なんていう言葉がとてもアメリカ的でこちらも勇気づけられるように感じました。ジョーダンの話の持って行き方も、「私たちは2人ともやぎ座ね。やぎ座は戦う星座よ。2人で一緒に戦いましょう」「あなたはとても強くて賢い子よ」「好きな映画は何?この週末、一緒に見ましょう。私たち2人で一緒に見るのよ」とかってこの辺りもすごーくアメリカっぽくてなんかいいなぁと思いました。

土壇場で犯人に通話していることがバレて「いまなら引き返せるわ」と説得を試みるジョーダンに「もう遅いんだよ」と言う犯人の声とセリフが最初にジョーダンがしくじった少女を殺した犯人のものと同じだと気付いたジョーダン。おおおおー、アイツかー。とまったく予想していなかったので驚いてしまったのですが、確かに少女の特徴もよく似ている。。。

犯人は特定できたものの居場所は掴めない警察。ケイシーとの通話を繰り返し聞いてバックグラウンドの音からひらめくジョーダン。っておいー、ここで独りでそこに乗り込んでいくとかアカンからー。ジョーダンが単独行動をし始めたところからちょっと興ざめ。まぁ隠れ家の地下室を見つけたところで一回警察に電話はしようとしていて圏外だったからそこんとこは許すとしても。最初からそんなとこに独りで行ったらアカーン!そして犯人との直接対決。そして!

このラストはねぇ。。。かなり賛否両論あるだろうなぁ。ワタクシは全然現実的ではないけど犯人ざまぁみろと思っちゃうほうなのでまぁいっかなぁ。ラストは書かないでおきますが、このラストで評価が下がったという人もいるみたいです。

ワタクシはラストを受け入れることができたのと、途中のハラハラドキドキがかなり楽しかったので高評価です。

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大脱出

2016-02-18 | シネマ た行

往年のアクションスター、シルベスタースタローンアーノルドシュワツェネッガーの共演作品。

しょっぱなからレイブレスリン(スタローン)が受刑者でとある刑務所を脱走し、あっさり捕まってしまって、なんじゃこりゃ?と思っていたらなんと刑務所のセキュリティーを調べるコンサルタントで、自分が脱走することによってその刑務所のセキュリティーの穴を指摘し、自らも刑務所の設計に携わるというなかなかユニークな脚本だなぁと感心させられました。

そのレイがCIAから極秘の任務を受け、とある刑務所のチェックに入るはずだったのだが、今回の任務は内部の協力者もいないとか、刑務所の場所を教えてもらえないとか秘密事項が多過ぎていつもの任務とは全然違っていた。レイのチームは彼の腕にGPSのチップを埋め込むが、それもレイが“逮捕”されてすぐに除去されてしまい、入所してからも聞かされていた所長とは別人ジムカーヴィゼルで、合言葉を言っても通じない。レイはどうやら何かのワナにはめられたらしい。

いつもと違う状況に焦るレイだが、すぐに冷静さを取戻しいつものように脱走のために囚人や看守の状況を把握することから始める。ここは普通の刑務所とは違い、囚人の牢屋はガラス張りでハイテクが駆使されていた。

そんなレイに近づいてきたのは囚人たちの中でもボス的な存在らしいロットマイヤー(シュワ)。レイはロットマイヤーと協力し合いながら脱出の方法を考える。

ワタクシは小さい時からスタローンが好きで、シュワちゃんが登場した時は、「何この人、スタローンの真似やん」と思っていました。それでもシュワちゃんの作品はずっと見ていますが、この作品のシュワちゃんがいままでで一番カッコ良かったかも。後半のクライマックスまではほとんどアクション的なものはなく、レイが知恵を絞って2人で色々と下準備をするんですが、今回のシュワちゃんはインテリっぽい雰囲気で白髪のヒゲもすごく似合っていてカッコ良かったです。

この2人の共演ということで相当派手なアクションを期待された方はがっかりするかもしれません。派手なアクションはクライマックスに一回あるだけです。ワタクシは派手なアクションより頭脳プレー的なほうが好きなので、今回はインテリっぽいスタローンとシュワちゃんが見られて大満足でした。

最後のひねりはえー、そんなんやったらレイもっと怒らへん?と思いましたが、インテリだけに実は気付いていたのかな。ありえない脚本ながらうまくできた作品だと思いました。

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スティーブジョブス

2016-02-17 | シネマ さ行

アシュトンカッチャーが演じたほうの「スティーブジョブズ」で彼の人生のことはだいたい分かっていたし、彼についてもう一度見たいほどのファンでもない。というよりも、彼の人生をもう一度見るのは不愉快だなと感じるくらいイヤな奴だったスティーブジョブズについての作品をまた見に行こうと思ったのはひとえにケイトウィンスレットが出演していて、しかもゴールデングルーブ助演女優賞を受賞、アカデミー賞にもノミネートされているから。彼女が出ていれば賞レースにかかっていなくても見に行ったとは思いますが。

まぁぁぁなんと字幕翻訳者泣かせのセリフの多さ。それもそのはず脚本は「ソーシャルネットワーク」を書いたアーロンソーキン。あれもセリフが膨大でした。字幕の人もそうだけど、それよりも役者さんたち大変だっただろうね。でも主役のスティーブジョブズを演じたマイケルファスベンダーはいきなりしょっぱなの本読みからすでに台本なしでセリフが頭に入っていたとケイトが言っていたからびっくりです。

最初にも書きましtが、スティーブジョブズのファンの方には申し訳ないですが、この人ってほんっとーーーーにイヤな奴でしたね。亡くなった人をけなすのは良くはないのでしょうけど、早く死んだからと言って彼の人格が上がるわけでもない。天才ってイヤな奴でもどこかチャーミングだったりする人も多い中で、彼にはそんなところが1ミリもない。側近だったジョアンナ(ウィンスレット)にはそういう面が見えていたのかなぁ。。。それともやはり噂されているようにアスペルガー症候群だったのかな。本人が公言していたわけでも検査を受けたことがあるわけでもなさそうですが、アスペルガーと言われると彼の「イヤな奴」という部分にも納得がいきます。一応言っておきますがアスペルガーの人がイヤな奴と言っているわけではないです。彼がコミュニケーション障害を持っていたとしたらすべてに説明がつくと思います。

一緒にアップルを立ち上げたスティーブウォズニヤックセスローゲンが「君はプログラマーでもデザイナーでもない。一体何を作ったって言うんだ?」というシーンがあってちょっとスッキリしました。いままでココ一番疑問だったから。そう彼は何も作ってないんじゃないの?ってコンピュータのことが全然分からないワタクシは思ってしまいます。実際のところはジョブズ自身が言っていたように彼はオーケストラを指揮する指揮者の役割だったってことなのかな。彼の発想力がなければ現在のコンピュータやインターネットの世界の発展はなかったってことなんでしょうか。これもアスペルガー的な人並み外れた探究心のなせる技だったのかな。

アップルを支え続けたアップルⅡのチームに一度でいいから公の場で謝辞をを頼むウォズニヤックを拒否し続けるジョブズ。ここでも「天才と人格者であることは共存できるんだぞ」というウォズニヤックにスッキリ。ウォズニヤックを演じたセスローゲンは特に賞レースにかかっていないけど、すごく良い演技をしていたと思います。

物語は1984年のMac、1988年のNeXT Cube、1998年のiMacの発表会の直前という3幕でほぼ構成されているので、スティーブジョブズの伝記的なものを期待して行くとがっかりというか、ちょっとわけが分からないという感じになるかもしれません。そういう意味ではアシュトンカッチャー版が良い予習編と言えるかも。彼が頑として認知しようとしなかった娘リサのこともアシュトンカッチャー版を見ていたほうが分かりやすい。それにしても彼があそこまで頑なにリサの父親であることを認めるのを拒否していたのはどうしてなんでしょうか?それはどちらの作品を見てもよく分かりませんでした。彼自身が養子だったことと何か関係があるのかなー?

最初に書いたようにセリフの量が膨大なので、これも好みの分かれるところかもしれません。ワタクシはセリフが多い劇が好きなので入り込んで見ることができました。スティーブジョブズの伝記としてより純粋にセリフ劇として見れば評価できるかな。伝記として見に行った方はがっかりかもしれません。

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キャロル

2016-02-16 | シネマ か行

大好きなケイトブランシェットの作品なので見に行くことにしました。

1952年のニューヨーク。デパート店員のテレーズルーニーマーラが接客をしたご婦人キャロル(ブランシェット)。一目見たその時からテレーズはキャロルの圧倒的な気品と風格に魅かれていたようだった。キャロルが忘れて行った手袋を返送したテレーズにキャロルからお礼の電話がかかりランチに誘われる。

それを機に2人は何度か会いお互いのことを知るようになる。キャロルは離婚訴訟中で、テレーズは恋人に婚約を迫られているがいまひとつ踏み切れないでいた。

テレーズは盲目的に従順にキャロルに誘われるがまま旅行に出かけるが、2人はなかなか一線を越えない。ここんとこの演出の意図はなんだろう。時代的な奥ゆかしさなのかな。2人ともお互いの気持ちは完全に分かっていたし、キャロルは昔にも女性の恋人がいたようで肉体関係を躊躇する理由があるとは思えない。テレーズもそんな経験はないとは言え、恐れから一線を越えることから逃げているようにも感じなかった。

まぁとにかくこういう上流階級の上品で威風堂々としたご婦人を演じさせればケイトブランシェットの右に出る者は今のハリウッドにはいないだろう。ただこれの前に見たケイトブランシェットの作品が「ブルージャスミン」だったので、いつまたナーバスブレイクダウンを起こすかドキドキしてしまいました。それは単にワタクシが勝手に前に見たものが抜けていなかっただけなのですが、お金持ちのご婦人というのが同じ設定だったもので。

やっと2人が一線を越えたのもつかの間、キャロルの夫ハージカイルチャンドラーが探偵を送り込みテレーズとの仲を理由に親権を奪おうとしてくる。そのためキャロルはテレーズを捨てざるをえなくなるのだけど、ここんとこの演出が少し分かりにくかった。キャロルは娘に会うために一刻も早くニューヨークに戻らなければならなかったのかもしれないけど、だからって寝ているテレーズを放っておいて置手紙を元カノアビーサラポールソンに渡させるっちゅうのはどういう了見か。それだけ別れるのが辛かったってことかもしれないけど、ワタクシは不誠実に感じました。

でも、娘か恋人かの二択を迫られてキャロルが娘を取ったのは仕方のないことだったでしょうね。あの時代同性愛は“治る”と思われていて、キャロルも夫側にカウンセラーのところに通わされていたみたいだったし。そうして“治療”を受けることが娘に会える条件だったのでしょうね。

一方振られたテレーズはキャロルへの想いを抱きながらも、キャロルがきっかけを与えてくれたカメラのキャリアへの道を進んでいきました。

このままお互いに違う人生を歩んでいくのかと思ったんですが、キャロルはやはりそのような状態には耐えられず、親権は夫に渡し、面会権だけを得ることで自分自身の人生のほうは思うままに生きようという道を選びます。あの時代の女性が「自分自身を偽っても存在意義はないわ」とまで言い切れるというのは、とても勇気のいったことでしょうし、キャロルがその道を選んだことはとても素晴らしいことだと感じました。キャロルはおそらく生まれながらにしてお金持ちだったと思いますが、上流階級のしがらみよりも自分自身の生き方を選ぶことができたというのは、彼女自身の強さの表れだったのでしょう。

最後にテレーズにもう一度会い、「愛してる」とまで言ったキャロル。このシーンは実は冒頭でこのセリフの直後からテレーズの男友達がテレーズを見つけて駆け寄ってくるシーンが描かれていて、あの冒頭のシーンがまさかキャロルがそこまでの愛の告白をした直後のお邪魔虫だったとは夢にも思いませんでしたね。テレーズが果たして自分との人生を選んでくれるのか。そこは無理強いはせずすっと去るキャロルでしたが、テレーズはやはりキャロルとの人生を選ぶのでした。キャロルに会いに来たときのテレーズを見つけたキャロルの表情で幕となりますが、ここんとこの演出はちょっと分かりきってしまってましたね。観客が分かりきっている演出でそれでも魅せてしまうのがケイトブランシェットの技量なのだとは思いますが。

全体的に演出がとても繊細で静かでちょっと眠くなってしまうところもあったし、少し展開が分かりにくく主演女優2人の演技に頼り過ぎてるかなーと思う部分もありました。魅かれあう2人の描写が繊細過ぎて、心の奥底からどうしようもなく湧き出てくる情熱とまで表現しきれていなかった気がしました。あと一緒にいる2人があまり楽しそうに写らなかったのも残念だったかな。お金持ちのご婦人と一介の小娘という関係性を越えるほどの愛というところまで表現してほしかったなと思います。

コメント

ブラックスキャンダル

2016-02-15 | シネマ は行

ワタクシはジョニーデップの演技があまり好きではないのですが、ジョエルエドガートンベネディクトカンバーバッチが出ているということと、物語も面白そうだったので見に行くことにしました。

1970年代、アイリッシュマフィアのボスジェームズバルジャー(デップ)と弟で政治家になったビリーバルジャー(カンバーバッチ)、そして幼馴染でFBI捜査官になったジョンコノリー(エドガートン)の3人の関係を描く。しかも実話。と聞けば面白そうだな~と思いますよね~。

しかし、ひとつ言っておきますが、カンバーバッチほとんど出て来ないよ~~~~。最近増えているベネファンの皆様ご愁傷様でございます。

ほとんどがFBI捜査官ジョンコノリーとジェームズバルジャーの関係で成り立っております。ジョンは幼いころから憧れているジェームズにFBIに情報を流してくれるように頼みます。これは決してチクリじゃない。ライバルであるイタリアンマフィアを倒すためにFBIと協定を結ぶんだよ、とかなんとか、コイツなかなかうまいこと言いよるのぉ~。それでジェームズを乗せて利用しまくるってわけかー、と思いきや、コイツ本気でジェームズの味方してイタリアンマフィアを潰すだけのつもり???

なんかその辺りの展開がジョンコノリーがマヌケに見えてしまってどうもスリリングさに欠けていたような気がします。ジョンがジェームズからの密告のおかげでイタリアンマフィアが捕まったように見せかけるために他の情報屋から仕入れた情報を全部ジェームズからのものにしてごまかしていたのが、FBIの上層部にバレるシーンの演出が平坦だったせいで、せっかくのドラマチックな展開が台無しだったしな。題材は良かったのに演出がそれをダメにしていた気がしました。

ワタクシが普段は好きではないジョニーデップの演技ですが、今回は良かったと思います。ただこれも演出のせいかもしれませんが、ジェームズバルジャーが「マフィアのボス」というほど大物に見えなかったのが非常に残念でした。最初はチンピラでここからのし上がっていくのかなぁと思いきや、なんかやってることがせこくてずっとただのチンピラっぽく見えてしまいました。

アメリカのギャングものって結構そうですが、結局最後はみんな司法取引して仲間を売っちゃうというね。仁義もなんもあったもんじゃない。

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