goo blog サービス終了のお知らせ 

シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ミレニアム3~眠れる女と狂卓の騎士

2012-11-01 | シネマ ま行

「ミレニアム祭り」最終回です。リスベットの過去がすべて明らかになる「3」です。

「2」と2部作というだけあって、完全に「2」の終わりから始まります。救急ヘリで病院へ運ばれるリスベットノオミラパス。重傷を負い脳から銃弾が取り出されます。しかし、リハビリが必要なものの経過は良好な様子。そして同じ病院には宿敵ザラゲオルギーステイコフも命を取り留めて入院しているではありませんか。あのオヤジ生きとったんか!

政府公安警察内の秘密組織は元ロシアのスパイの亡命を助け、彼を匿ってきたことが公になるのを恐れ、ザラとリスベットを消そうともくろみ、「ミレニアム」の編集室にも脅しをかけていた。ザラは病院に襲撃してきた組織のグルベリハンスアルフレッドソンに殺されましたね。こいつを殺したらええやんと思ってましたが、まさかこんなにすぐに殺されるとは思いませんでした。グルベリはリスベットのことも襲おうとしますが、偶然リスベットのお見舞いに来ていた弁護士でミカエルミカエルニクヴィストの妹のアニカアニカハリンがいて思うように動けないリスベットを助けます。彼女は「1」から登場していたし、弁護士であるという前振りはあったんですが、それがここに来てミカエルの依頼でリスベットの弁護を引き受けるというところにつながってくるんですね。実はこの「3」でもっとも活躍するのは彼女だったのかも。なぜか妊婦という背景がストーリーに関係するのかどうか分からないですが、大きなおなかを抱えてリスベットの危険な弁護をする彼女に妙にハラハラしました。

ミカエルはまたしてもリスベットを助けるべく、リスベットの携帯をリスベットの主治医に頼んでリスベットに渡してもらう。この主治医がすごく良い人でほっとします。リスベットはその携帯端末で自らの過去を暴く自伝を書き、そこからハッキング仲間のプレイグトマスケーラーに連絡を取って応援を頼んでいた。このプレイグも「1」のときから登場しているんですが、ミカエルが登場するまでは多分リスベットの唯一の友人であったと思われる人で、リスベットが自分より上だと認めるほどハッキングの腕がすごい人です。風貌はおデブでオタクっぽいけど、やることは非常にカッコいいです。

「3」でキーパーソンとなるのは、リスベットを12歳のときに精神病院に収容し、そこで彼女を虐待し、嘘の精神鑑定書を書いたテレボリアン医師アンデルスアルボムローセンダールですね。コイツは秘密組織の手先となって、リスベットをまた精神病院に閉じ込めようと画策しています。

「3」では前半はリスベットは病院に閉じ込められていて、後半は父親殺害未遂の犯人として拘置所に閉じ込められています。というわけで今回まったく動きのないリスベット。主役がこんなんでいいのか?とも思ったんですが、裁判に登場してくるときの過激なファッションで度胆を抜いてくれます。ここがリスベットの真骨頂。しかし、拘置所であんな格好リクエストできるのかな?メイクの道具やらヘアスプレーなんかもアニカに頼んだのかなぁ?裁判ではこれまで虐げられてきた自分の歴史をすべて洗いざらい話すリスベットですが、そんな彼女にとってあの姿は“戦闘服”として必要だったのかもしれませんね。

リスベットの話と同時進行するミカエルの話のほうは、こちらは秘密組織に脅されたりしながらも首相じきじきの命令で捜査することになった公安が信頼できる“いいもん”らしく、強力な味方を得て、どんどん秘密組織の内部を調べつくしていきます。その間に、東欧の元スナイパーに命を狙われたりもしますが、公安警察のおかげで事なきを得ます。クライマックスでは組織の人間がばたばたと逮捕されていき、なんか結構簡単に終わったような気がしてしまいました。

ミカエルは体張って命張って頑張っているんですが、どうしてもこちらの興味はリスベットの裁判のほうに行ってしまう。かわいそうなミカエル。テレボリアン医師はリスベットの統合失調症を主張し、父親の暴力や後見人にレイプされたことなどはすべてリスベットの被害妄想だと主張します。それを覆す証拠のレイプDVD。ここで観客は相当スッキリしますね。しかも、プレイグがテレボリアンのPCをハッキングした結果、たくさんのロリータ画像などが出てきて児童ポルノ法違反でテレボリアンは逮捕されてしまいます。あんな違法に得た証拠が逮捕の根拠となっていいのか?スウェーデンの法律はどうなっているの?と不思議に思いはしますが、悪党が逮捕されたからいいとしましょうかね…リスベットが精神病院に入院していたときのカルテにしても病院側は提出を拒否したのにどうやって入手したものか明かされてませんでしたし。んー、これで納得するしかないか。

まぁ腐った組織の自己保身のせいで12歳から辛酸を舐めさせられてきたリスベットですから、当然こちらは彼女にとって良い結果が出てほしいと思っているわけで、多少の突っ込みどころはありながらも彼女にとって良い判決が出たことは喜ばしいことでした。そのために妊娠中だというのに奔走したアニカに一度も「ありがとう」のひとことすら言わなかったリスベットにはおいおい!と思いましたが。

そう言えばコイツはまだ生きてたな、っていうニーダーマンミカエルスプレイツとの対決が最後に待っていますが、またこれでリスベットが正当防衛とは言え人を殺したらまずいんじゃないの?と思ったのですが、ここでは自分では手を下さず頭脳プレーでやっつけてくれました。

最後に影ながらずっと支えてくれたミカエルに再会して「ありがとう。またね」というリスベットに間髪入れず「絶対だぞ」と言うミカエルがちょっと可愛かったですね。ハリウッド版とは違う二人の関係性が垣間見られる瞬間でした。

「1」とは趣が随分変わって、どちらかと言えば裁判ものの要素が強いこの作品。ワタクシは裁判ものが好きなので楽しめましたが、ミステリーの傑作と言われるとちょっと傾向が違うかなといった感じでした。

さて、ハリウッド版は、どんなふうになるのでしょうか?オリジナル版を見てストーリーはもう知ってしまいましたが、それでもやっぱり楽しみです。

オマケ1「1」~「3」全体を通してなんですが、リスベットの背中に入っているドラゴンのタトゥーがいまいちどんなデザインなのかキレイに見えなくて残念でした。「3」で主治医に見せるシーンがありますが、そのシーンでもはっきり映らない。ハリウッド版はきれいに映ってましたね。そういう面でのクールさに関してはハリウッド版に軍配が挙がると思います。

オマケ2ダニエルクレイグに比べて相当ブサイクなスウェーデン版ミカエルですが、ハリウッド版の映像が脳に焼き付いているせいか、時々ダニエルクレイグのように見えることがありました。よく見るとダニエルクレイグより毒蝮三太夫に似ているので、やっぱり幻だったんだとそのたびに思いました。



最新の画像もっと見る

1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ひーす)
2024-03-11 11:37:12
ミカエル・ニクヴィスト御大、残念ながら早世された故人ですが、それをブサイクと言葉も選ばずに表現されるのは如何なものかと。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。