シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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女はみんな生きている

2008-02-29 | シネマ あ行
ヴァンサンランドンと二人で出かけた夜、自分たちの車の窓をいきなり血まみれの女が叩く。「助けて、開けて」彼女のあとから物々しく男たちが追いかけてくる。夫は変な事件に関わりたくないとドアをロック。その場からさっさと立ち去り車についた血のことばかり気にしている。妻エレーヌカトリーヌフロは次の日もあの女性のことが忘れられない。すでに血まみれだったが、あのあと男たちにボコボコにされたに違いない。もしかしたら、殺されたかもしれない。救急病院に片っ端から連絡し、ついに彼女が運び込まれた病院を突き止め見舞いに行った。あの女性はノエミラシダブラクニという名の娼婦らしい。意識不明の重体だ。

責任を感じたエレーヌは献身的にノエミの看病を始める。家のことをすべてほっぽりだし、妻がいないと家のことは何もできない夫はくだらない用事で携帯電話の留守電に何回もかけてきている。以前から、夫には愛想が尽きていた。いまはノエミの看病のほうがずっと大切だ。

エレーヌの看病の甲斐あって、順調に回復するノエミ。そこへ執拗に追ってくる売春組織の男たち。病院から拉致されかかるノエミを助けたエレーヌはそのまま夫の母リーヌルノーのいる田舎町へ避難した。田舎でゆっくり静養し、徐々にしゃべれるようになるノエミ。そこで初めて彼女がどうして売春組織に追われているのか、彼女の過去が明らかになる。

ここからは、急にハードボイルドなお話へと展開する。ワタクシは始めこの急な展開について行けなかったです。ちょっとオマヌケ主婦の冒険&開眼物語くらいに思っていたら、大きな犯罪組織を向こうに回し、女性たちが頭脳と文字通り体を張って(女の武器を使って)戦うんですからねー。ビックリしましたよ。

女性を中心にした物語にはありがちですが、ここに出てくる男性陣の情けないこと情けないこと。旦那は妻がいなければ家のことは何ひとつできないし、バカ息子ファブリスオレリアンウィイクも、二股をかけて本命の彼女からアパルトマンを追い出され実家に逃げ帰ってきたくせに、エラそうな態度だし。おまけに二人してノエミの罠に簡単にひっかかっちゃうんだからねー。鼻の下延ばして本当に情けないですね。フランス人の素敵な男性をイメージしてる女性たちは“なんだ、これじゃ日本の男と一緒じゃん”ってガッカリしちゃうでしょうねー。

強い女たちを見たくない人は見ないほうがいい作品かもしれませんね。
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アメリカンギャングスター

2008-02-28 | シネマ あ行
こういうのはワタクシ好きですね~。

ハーレムの大物の運転手からハーレムのキングへとのし上がったフランクルーカスデンゼルワシントン。彼はベトナム戦争を利用して、現地から純度100%のヘロインを買い付け、純度の高い“ブルーマジック”を安価で売りさばき、のしあがる。しかし目立ったことはせず、裏で静かに商売を操り、ハーレムの住人には信頼される人物にまでなっている。一方、彼を追う刑事リッチーロバーツラッセルクロウはこの当時めずらしく汚職にまみれていない警官で、司法試験にも受かっていて頭も切れる。

この二人、マフィアと警官ということを除いても正反対な部分がある。フランクはギャングのボスだが、家族を大切にし、妻を大切にし、女遊びなどしない。しかし、リッチーは真面目な警官だが、女グセが悪く妻には愛想を尽かされ、親権を争っているがその裁判の弁護士ともデキていて勝てそうもない。彼の元妻カーラグギーノが言うセリフ「ワイロを受け取るような人でも良かったから、私には誠実でいてほしかった」これが、フランクとリッチーの両方のことをよく言い表していると思う。警官のリッチーは仕事では誠実だったが、妻のことは裏切り続けていた。ギャングのフランクは仕事はマトモではないが、妻のことは裏切ったことはなかった。妻にとっては夫が犯罪者かどうかということよりも自分に対して誠実かどうかってことが大事だったんだな。フランクの妻のミスプエルトリコ、エヴァライマリナダルがさ、フランクと付き合いだして明らかにフランクが犯罪者ってことが分かってても知らん顔してたもんな。普通ドン引きやろ?その辺はちょっと疑問だったけど。

それに関連して、フランクの家族もそうなんだよねー。ママルビーディーが最後らへんで「兄弟はお前を尊敬しているから、お前がなる職業になっていた」というシーンがあるけど、お兄ちゃんにニューヨークに呼び寄せられて、麻薬の商売で儲かっているってことが分かっても誰も反対しないんだよね。もちろん、それは強烈な兄貴の影響力と、顔色ひとつ変えずに人を殺せるところを見せられたこと、そして、貧困からの脱出を願う気持ちっていうのが背景にあるっていうのは分かるんだけどね、あそこまでみんな積極的に手伝っていたのがすごかったな。

演出はさすがのリドリースコット。2時間37分、全然飽きなかったですよ。やっぱり彼はハードなものを撮るほうがいいよね。デンゼルワシントンの演技はなー、なんかいっつも一緒って思えてきちゃいました。ラッセルクロウは絶対に誠実な警官なんかに見えない、、、んだけど、そこが良かったのかな。逮捕後のフランクと対峙するときのリッチーはめっちゃカッコ良かったな。

捕まってから、バカバカ他の犯罪者の名前を吐いちゃうところはいかにもアメリカの司法取引の伝統って感じですね。汚職警官を挙げるのに役立ったんだからいいのかもしれんけどねー。しっかし、いきなり協力体制でフランクとリッチー並んでニコニコされてもなぁ。。。なぁんか違和感大アリでしたな。

それにしても、アメリカにはあといくつの"A True Story"が埋まってるんでしょうねぇ?
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ジャンパー

2008-02-25 | シネマ さ行
うん、まぁ、見てる間は多少楽しめるかな。アクションとか映像とかそういうところはね。ジャンパーは一瞬にして、世界中のどこへでも行けちゃいますからね。ビッグベンの上に立っていたかと思うと、スフィンクスの頭のてっぺんで寝そべってみたり、フィジーでサーフィンを楽しんでたりってね。その部分の面白さはすごくあると思う。

原作を読んでいないので、なんとも言えないんだけど、原作ではもう少し、“ジャンパー”と“パラディン”の関係とかが明らかにされてるんかなー?映画では先輩ジャンパーのグリフィンジェイミーベルが新米ジャンパーのデヴィッドヘイデンクリステンセンにかる~く“パラディン”とは何かっていうのを説明するところがあって、しかも、「昔から魔女狩りとかやってたのも彼らさ」となんか“過激キリスト教保守派”っぽいことの説明だけで、彼らの歴史とか、構成員とか、いつからジャンパーを捕まえているのかとかそういうことは一切説明されないんだよねー。ジャンパーにしても、なんでそんな能力を持つ人がいるのかとか、どういう人がその能力を持っているのかとかそういう説明も一切ナシ。まーそんなことは考えずに楽しんじゃってよと言われれば、それでもいいかなーという気もしますがね。公式ホームページには“ジャンパー”と“パラディン”についての説明があるから、やっぱり原作にはあるんでしょうね。

それでもやっぱりひとつだけお母さんダイアンレインのことだけは気になりますね。あんな突然にお母さんを登場させて、それで最後にそれで終わり?パラディンの親玉ローランドサミュエルL.ジャクソンにデヴィッドの母親ってことがバレたのに、組織からの制裁も何もナシ?ほんで、そもそもなんでお母さんは“パラディン”やったん?ほんで、最後も「ハイ、さようなら」で終わり?なんかもうちょっとさー、せっかくそういう親子関係の設定があるんやから、もうちょっと映画でも掘り下げようよ。んー、残念

先輩ジャンパー役のジェイミーベルくんねー、「リトルダンサー」のときめっちゃ可愛かったのになぁ。すっかり汚い青年になってしまいましたねー。それは役のせいで普段はもうちょっときれいよね、きっと。いずれにしても、こういうメジャー系作品でも見れるようになったのは嬉しい限りです。それにしても、ヘイデンクリステンセンくんはなんであんなオヤジの角刈りみたいな髪型やったんでしょうかねぇ…
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エリザベス~ゴールデンエイジ

2008-02-22 | シネマ あ行
一作目の「エリザベス」は1998年の作品で、当時ワタクシはカナダに留学中だった。字幕ナシで映画を見るというのは時に苦痛な作業で、サスペンスだとか、スパイものだとかになると、途端に何を言っているのか分からなくなるという感じだったけど、それでもやっぱり映画を見るのはやめられないワタクシだった。そして、この「エリザベス」も当然のように見に行ったわけだけど、当時、“ケイトブランシェット”という人がハリウッド映画界に突然、流星のごとく現れたという印象だった。ワタクシの周りにいた各国の映画好きさんたちの間でも彼女のことはウワサになっていて、「この人誰?そんなに若くないし、いままでどこでキャリアを積んできた人?」みたいな話になっていた。当時、英語の綴りでしか見たことがなくて、実際にメディアで彼女の名前が発音されるのを聞いたことがなかったワタクシたちは彼女のことを「ケイトブランチェット」と呼んでいた。そんな彼女は「エリザベス」でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、あれよあれよと言う間に賞レースの常連、そして押しも押されもしないハリウッドスターへと上り詰めていった。それにしても、まさか10年後に「エリザベス」の続編を同じ監督の作品で見ることができるとはまったく予想していなかった。

前作の「エリザベス」から10年。ケイトブランシェットも10年分歳を取っている。1作目も堂々たる演技だったが、今回の女王の貫禄は並々ならぬものだった。彼女がいかに素晴らしく充実した10年を過ごしてきたかが分かるのではないだろうか。この作品は、脇役も素晴らしくジェフリーラッシュクライヴオーウェンサマンサモートンと充実しているのだけど、すべての脇役をかすませてしまう迫力がケイトにあった。女王としての威厳、風格、そして、一人の女性としての孤独、寂しさ。まるで、彼女の一人舞台を見ているような気分にさえなる。脇役が主役を喰っちゃうっていうのはよく聞く話ですけどね、ここまで主役だけが目立ってしまっても許されるのはやはり女王様だからでしょうね。そこんとこ、もちろん計算した上での演技だと思います。そして、女王を威厳のある堂々とした姿だけではなくて、茶目っ気やウィットのある女性として描いたことで、女王の頭の良さをうまく表現していたと思います。

ケイト以外に目を引くのは、やはり衣装でしょうか。エリザベス王朝時代のドレス、カツラ、アクセサリー。実際の時代考証っていうのはワタクシは詳しくないですが、あのカツラのバリエーションと髪飾りの形にはビックリですね。しかし、戦のときにあんなふうに髪を振り乱して大丈夫でしょうか?戦のときこそ、普段つけていたまとめ髪のカツラにすればいいのに…なんて余計なこと考えちゃいました。あとは、スペイン国王のフェリペ2世ジョルディモリャが国王らしくなかったのが気になりました。国王の威厳が全然なくて、なんかちょっと変質者っぽい感じだったもんなぁ。

物語的には、エリザベス女王の女性としての側面と、女王としての側面をバランスよく見せてくれていたと思います。実際に起こったこととフィクションが入り混じっているようなので、そのあたりの史実を知りたい人はあとできちんと調べないといけないと思います。ラストに近くなるほど、ちょっと演出過剰かなーと思われるシーン(女王が崖に立って、壮大な音楽で引きの映像になるとことかね)がいくつかありましたけど、シェカールカプール監督の10年間の思い入れが爆発しちゃったのかなと思うことにしました。

オマケエリザベス女王が側近のウォルシンガム(ジェフリーラッシュ)が人前で結婚の話を出したと言って、二人っきりになった瞬間にウォルシンガムの頭をペシーッとはたくシーンで「プププー」と笑ってしまったのですが、隣の人にじろじろ見られてしまいました。真面目な映画だから、そんなことで笑っちゃいけなかったですかねぇ
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いのちの食べかた

2008-02-21 | シネマ あ行
これも予告編で強烈な印象を受け、もし時間が合えばぜひ見たいと思っていた作品です。大阪の十三(ジュウサンではなくてジュウソウと読みます)というところにある第七芸術劇場(通称:ナナゲイ)というところで上映していました。この映画館はここ何年かで映画ファン以外の方でも気軽に行けるようになってきた単館系シアターと呼ばれるところよりももっとコアな雰囲気の作品を上映しています。一日に順番に何作品も上映しているのですが、仕事終わりで行くにはなかなか時間が合いません。18時か19時台にうまく見たい作品を上映してくれればいいのですが。。。ワタクシが見たいと思う作品を夕方にやってくれなんて勝手なお願いですね。というわけで、うまく時間が合ったときにはチャンスとばかりに見に参ります。

さて、この作品。「いのちの食べかた」です。ワタクシたちが日々食している物がどのように生産されているのかを淡々と見せるドキュメンタリー。人口のハウスの中で伸びていく植物。日本の農場では考えられないような巨大なトラクターで刈り入れされる野菜。ベルトコンベアーを流れていくヒヨコ。ドーナツ状の機械に乗せられて搾乳される牛。機械化された牛の種付け、出産、屠殺、解体。その間に挟まれる従業員たちの食事風景。少しほのぼのした映像もショッキングな映像もただただ淡々とナレーションもセリフもなく進んでいく。聞こえるのは機械の音、従業員の話し声、動物の鳴き声だけ。

植物はまだしも、動物の屠殺、解体シーンなんて完全にタブー化されたものを映像化したニコラウスゲイハルター監督は確かにすごいと思う。ナレーションを完全に排除したのも、観客の判断にすべてをゆだねるという意図があるからだと思う。が、しかし、「映画」として残念ながらかなりキツイ。これを家でテレビで見て、一緒にいる人となんだかんだと話をしながら見られるならばいいだろう。でも、これを映画館で黙って見ろと言われるのはかなり厳しい。判断は観客にゆだねるとしても、せめて多少の説明をナレーションで入れてくれないと、ヒヨコを選別しているのが何が基準なのか、牛の種付けも何をパソコンで見ているのか全然分からない。ブタの屠殺も実際どういうふうにされているのか、見ているだけではよく分からなかった。それぞれに説明がないので結局、どうしても屠殺や解体といったショッキングなシーンだけがのちのち印象に残ってしまった。

屠殺のシーンというのは案外ワタクシにとってはショッキングではなかった。話に聞いていたとおりというところか。それよりも、食用牛たちの異常な太り方、完全に手間を省いた出産のさせ方、そしてやっぱり実際に解体のときに流れる血というものがショッキングだった。映像では匂いというものが伝わらないが、実際の匂いは想像を絶するものだろう。

こういうテーマになると、必ず思うことがある。動物が食用として殺されるシーンは確かにショッキングだ。叫び声も聞こえる。そこには命を殺して食すという実感がある。一方、植物はどうだろう。野菜や果物は刈り取られるとき、叫び声もあげないし、苦痛の表情もしない。痛くはないのかもしれないけど。命を殺しているという実感がそこにはない。ベジタリアンの方にはいろいろな信条があるし、何を食べようと食べまいと他人の勝手だけど、命を殺して食べるのはイヤだという人にとって、植物は命ではないのかな?こんなこと、どちらの命も殺して食べているワタクシに言われたくはないだろうけど。責めているわけではなく単純な疑問なのでケンカ腰の議論はかんべん願いたい。

くじらのことで怒っているオーストラリア人たちも、この映画を見て自分の国の屠殺場に行って見るといいんじゃないかなー。なぁんてちょっと挑発的なことを書いてみたくなるような作品でありました。
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ペルセポリス

2008-02-20 | シネマ は行

「ペルセポリス」は原作のグラフィックノベルが発売したときにどっから情報を得たのかにゃおが欲しいと言い出して、アマゾンで購入しました。それは普通の漫画とは違ってて「ほう、イランの女性が書いたのか。それは面白そうだ」とすぐに思いました。こういう民族的背景がまったく違う世界の女性が書いたものなら面白いに決まっていると思ったのです。

実際に読み始めると本当にとても面白くて、面白いだけではなくていままで知らなかったイランのお国事情なんかも分かるようになっていてとてもタメになりました。1巻、2巻そして、その後の「刺繍~イラン女性が語る恋愛と結婚」も全部読んでとっても大好きになりました。

「刺繍」を読み終わって少したったある日、「ペルセポリス」が映画化されて冬に公開になるという情報が飛び込んできました。速攻、にゃおに報告、速攻、前売り券購入でした。

大好きなマルジの世界がアニメになる。漫画がアニメになるんだから、そんなに期待するのもおかしいかもしれないけど、マルジが実際に動いてしゃべるんだぁと思うとワクワクしましたね。しかも、ボイスキャストを見てこれまたビックリ。マルジをキアラマストロヤンニが、マルジの母をカトリーヌドヌーヴが演じるというではありませんか!ワタクシはこの親子は世界一美しい親子だと思っているのですが、声だけとはいえ、彼女たちの親子共演を見られるなんて最高じゃーーーん!キアラはドヌーヴよりもお父さん(マルチェロマストロヤンニ)にソックリですが、それでも美しい親子には変わりない。そりゃ、パパとママが美しいカップルなわけだから、どっちに似たって美しいわな。

さて実際の映画のデキですが、お話そのものは原作からのエピソードの抜粋という感じですが、もとが良いので抜粋も良いに決まっております。モノクロで原作の雰囲気のまんま、マルジの子供時代の声もまったく違和感なく、(っていうか、小さい子が話すフランス語ってどうしてあんなに可愛いんでしょうか?)全体の空気感がまったく同じで嬉しくなっちゃう。やっぱりおばあちゃんダニエルダリューのシニカルなユーモアや心に染みるアドバイスは最高だったなぁ。キアラとドヌーヴの声だけの演技もびっくりするくらいうまかった。(特にキアラの「Eye of the Tiger」は必見ですヨ)先に声を録ってるせいもあるかもしれないけど、ものすごく自然で、キアラの声は少し渋くって、ドヌーヴの声のほうが少し高いんだなぁとかおもしろい発見もありました。

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4分間のピアニスト

2008-02-19 | シネマ や行
予告編を見たときからかなり興味がありました。ドイツ映画って真面目で丁寧でそれでいてハートウォーミングなものが多くて好きだし。今回も囚人である天才ピアニストと頑固な昔かたぎの教師という設定だけでかなり魅かれるものだった。

若くてエネルギッシュで暴力的なジェニーハンナーヘルツシュプルングと80歳の上品で物静かなクリューガーモニカブライブトロイという正反対な二人が心を通わせていく過程を丁寧に描き出すなかで、それぞれの過去のトラウマにも触れるという手法はこういう設定のなかでは王道と言えるのではないかな。ワタクシはこういうドラマは王道でいいというか、逆に王道であってほしいタイプなので、その点には満足しました。教える立場のはずのクリューガーが本当はジェニーによって解放されるっていうのもこれまた王道ですが、満足です。

ただ、クリューガーの過去がね、、、ドイツってやっぱりナチスからは切っても切り離せないんだなぁ。年代的にしょうがないんだろうけど、ここはひとつナチスは関係ナシでやってほしかった気もする。

最後の4分間はね、ワタクシの期待とはちょっと違ってたな。期待はずれだったというわけではないけど、予想とは大きく違っててちょっと驚いた。もう少し、クリューガーに教えてもらったことを披露してほしかった気もするけど。ジェニーのエネルギーが爆発しほとばしる4分間ではありました。最後のクリューガーの表情を見ているとあれで彼女は納得だったんだろうし。

主演2人の演技がとても素晴らしいのだけど、クリューガーを演じるモニカプライブトロイはモーリッツブライブトロイのお母さんなんですねー。モーリッツブライブトロイは「ランローララン」に出てた俳優さんなので、顔を見れば知っている人もいるんじゃないかな。ジェニーを演じるハンナーヘルツシュプルングはほとんど無名の女優さんだったのが、オーディションでこの役を得たのだとか。ピアノのことは全然分からないので、弾き方がリアルだとかそういうのは分かんないんだけど、彼女の背中を丸めてガニ股で歩く姿がジェニーのような不良娘をものすごくよく表現していて、とてもリアルで、怖くて近づきがたいような、それでいて内面の傷つきやすさもにじみ出ているという難しい雰囲気をよくあらわしていたと思う。よく見ると顔は美人だし、これからどんな役に挑戦してくれるのか、楽しみな女優さんがまた出てきた。
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チャプター27

2008-02-18 | シネマ た行
ちょっと時間が経ってしまったけど、年末にジョンレノン関連の映画が2本公開になりました。ひとつは「PEACE BEDアメリカVSジョンレノン」これはジョンレノンの平和主義者としての活動を追ったドキュメンタリー。そして、もう一本がこの「チャプター27」ジョンレノンを殺害したマークデイヴィッドチャップマンジャレットレトの話。ワタクシは「PEACE BED」のほうも見に行きたかったんですが、どうしても時間が合わず見られませんでした。それで、なんとしてもどちらかだけでも見たいと思い「チャプター27」、見てきました。

なんとしても見たいって、ワタクシ特にジョンレノンのファンでもなんでもないんですけどね、でもなんだか興味をそそられる。ジョンレノンはそういう存在です。

この映画の触れ込みはジョンレノンを殺害事件の真相に迫るっていうものだったと思うんですが、残念ながらちっとも真相に迫ってるっていう感じはありませんでした。マークチャップマンが最初から最後までブツブツブツブツ言いながらジョンレノン暗殺に至るわけですが、結局のとこなんで殺したかってことは分からない。マークチャップマン自身が多分分かっていないんだろうから、分かりようがないんだろうけど。彼が「ライ麦畑でつかまえて」をバイブルのようにしていたということで、それに触発されたのは間違いないんだろうな。自分を「ライ麦」の主人公のホールデンコールフィールドと同化させていたみたいだし。この本は実はワタクシも高校生のころ愛読しておりました。日本語版で読んでから、まだ英語がさして分からないときに辞書片手に英語版で読んでみたりもしたくらい好きでした。チャップマンはホールデンが言う「インチキ」なものとジョンレノンを重ねてしまったんですね。そのへんの思考回路は完全にいっちゃってる感じでしたね。そうでもなければ、人を殺そうなんて考えないんだろうけど。まぁ、ホールデンもちょっといっちゃってる子だからな。本当にあんなふうにホールデンとまったく同じ行動をチャップマンもNYでしたんだろうか?彼のインタビューが基になった映画だから、彼がそう言ったのかもしれないけど、彼のいっちゃってる加減を考えても本当にあんな行動をとったのかどうかは怪しいな。

「チャプター27」っていうのは「ライ麦畑でつかまえて」が26章までで、その続きってことなんだろうけど、その続きでホールデンもどきがジョンレノンを殺しちゃったなんて、サリンジャーもいい迷惑だね。

映画としては、チャップマンがずーっと一人で語ってて、特にビックリするような真相も出てこないもんだから、途中から「もうさっさと殺して終わりにしようぜ」なんて不謹慎なことを考えちゃうくらい退屈になってしまったんですが、かつてはキャメロンディアスの恋人でもあったあの可愛らしいジャレットレトが、30kgも太ってチャップマンを演じているのは素晴らしかったと思います。偏執狂的なチャップマンを非常にうまく演じていて、普段のジャレットレトとは似ても似つかなくて、彼を知らない人がこの映画を見たら、あとからジャレットレトを見ても同じ人とは気づかないよね。リンジーローハンはいろいろプライベートではお忙しいようですが、映画に出てくるとやっぱり存在感あるなぁ。せっかく才能あるんだから、変なことに時間を使わないでもらいたいですね。

J.P.シェーファーという監督さん、これが初監督だそうです。なので、ちょっと採点甘めにはしておきますが、次回はもうちっとがんばってほしいです。
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マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋

2008-02-15 | シネマ ま行

お久しぶりです。かなりサボっておりました。これからもボチボチは更新すると思いますのでよろしくお願いいたします。コメントの返事も亀レスになるかとは思いますが、させていただきますので。

さて、この作品、試写会に行ってまいりました。上映時間1時間34分って、みじかっん~子供向けだから仕方ないのか。ワタクシは短い映画が好きですが、この作品はもう少し上映時間を延ばしてもいいから掘り下げて欲しい部分がいくつかあった。

結局マゴリアムおじさんダスティンホフマンって何者?とかマゴリアムおじさんとモリーマホーニーナタリーポートマンの関係は?というような基本的なことにくわえて、モリーが作曲途中であきらめていた曲を完成させることもできたし、マゴリアムおじさんがくれた不思議な箱ももっとすごいからくりがあるのかと思ったらそうでもなかったり、ずっと寂しげにしていたサルのぬいぐるみが最後に何かしてくれるのかと思ったら、会計士のヘンリーウェストンジェイソンベイトマンにちょっと抱きついて終わりとか、、、なんだかちょっと物足りない部分が結構あった。

ただまぁ、子供向けということと、実際この不思議なおもちゃ屋さんがとっても楽しそうなところであることや、その色彩、孤独だけど聡明でモリーの友人のエリックアップルアウム少年を演じるザックミルズくんがとっても可愛かったことで映画そのものは救われていたような気はする。(あ~彼もオズメントのようになっちゃうのかしらん?)ワタクシはいつもたいして登場人物の衣装をきちんと見ていないんだけど、そんなワタクシでもナタリーポートマンの衣装は見ていてとても楽しかった。

それにしても、ダスティンホフマンとナタリーポートマンはとても良かったな。ダスティンホフマンのマゴリアムおじさんは本当に最高で、彼の哲学に見習いたいところがたくさんあった。マゴリアムおじさん風のちょっと変なしゃべり方なんかはキャラとしてとてもよくできていたし、さすがダスティンホフマンだなぁという感じだった。ナタリーは顔もきっととてもとても小さいんだろうけど、それ以上に肩幅が狭すぎて、逆にちょっと変な体型に見えた。なんかあやつり人形みたいな感じだ。あの髪型だったから余計感じたんだろうけど、オードリーヘップバーンに本当によく似ているなと思った。ワタクシは彼女のセクシーな役っていうのはあんまり好きじゃないのでこういう役はピッタリだなぁと思います。

先に書いたように物足りないところも多い作品だったけど、残念ながらひとつひとつはちょっと忘れてしまったけど、字幕になっていない部分でウィットに富んだセリフも多かったりして、気負わずに見れる作品としてはまぁまぁ良かったんではないでしょうか。

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