シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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ずっとあなたを愛してる

2010-02-19 | シネマ さ行

15年間服役していた姉ジュリエットクリスティンスコットトーマスを歳の離れた妹レアエルザジルベルスタインが空港まで迎えに来た。生活が落ち着くまでしばらく妹の家に身を寄せることになるジュリエット。レアの夫リュックセルジアザナヴィシウスはあまりいい顔はしなかった。レアにはベトナムからの養女が二人いる。

15年前とある事件を起こし、服役していた女性の再生物語。彼女はなぜそんな事件を起こしたのかというミステリー的な要素も少し含みつつ、彼女が服役していた間の家族の関係や久しぶりに再会し、大人になった妹との関係、服役後の新たな人間関係などを描く。物語の進行はフランス映画らしくとても静かだ。ときにこれが物語全体に何の関係があるの?と思うようなシーンも含まれているが、ジュリエットの日常生活を描くことで彼女の苦悩や葛藤を描き出していく。一方、妹のレアのほうもやはり姉が犯罪を犯したということで苦しんできたし、もう一度幼いころの姉妹に戻れるのかと葛藤している。

クリスティンスコットトーマスはとても美しい女性だけど、この作品での最初の登場場面ではまるで別人のように疲れきった顔をしている。目の下の隈、拗ねたように突き出したあご、顔色の悪さ。もちろん、メイクのおかげもあるだろうけど、彼女の役者根性を見た気がした。ゴールデングローブの主演女優賞にはノミネートされてましたけど、アメリカのアカデミー賞ではノミネートされませんでしたね。フランス語のセリフだったからかな?彼女はイギリス人なのに、フランス語喋れるの?って思ったらフランス留学経験ありだったんですね。旦那さんもフランス人だし。この物語の姉妹がイギリス人とフランス人のハーフで英語訛りのフランス語で話しているというシチュエーションは彼女を主役にしたいがために作られたものなのでしょうか?

ジュリエットの罪は一体なんだったのか?なぜそんな事件を起こしたのか?というのはなんとなく想像がつきますので、その辺のミステリーには大きな期待はしないほうがいいです。それよりもやはりこの姉妹の絆とジュリエットの再生に焦点を当てて見たほうがいいでしょうね。ジュリエットの表情やしぐさ、話し方などが映画の序盤と後半で変わって行くのが、地味だけどよく分かります。何かで劇的に変わったりしないのもまたフランス映画っぽいかも。“存在しない”自分が“私はここにいる”にまで変わっていく様子とレアが毎日少しだけでもジュリエットのことを必ず考えていたと分かるシーンに静かに感動しました。

あとは、レアの養女のプチ・リスリズセギュールの存在がとてもうまく使われていたと思います。彼女の存在がなければレアの夫もジュリエットに心を開いてくれることはなかったかもしれないし、レアもジュリエットの感じた痛みを同じように感じることはできなかったかもしれない。それと、ジュリエットがプチ・リスに教えてあげる姉妹の思い出の歌がとても効果的に使われていましたね。何度も繰り返される歌の歌詞にきちんと彼女たちにつながる意味があって感動しました。

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バレンタインデー

2010-02-17 | シネマ は行
イギリス映画の「ラブアクチュアリー」に似たような構成の群像劇。バレンタインデーの一日を描く。日本のバレンタインデーと欧米のバレンタインデーの過ごし方が違うっていうのはもう知っている人も多いと思うので、割愛。「ラブアクチュアリー」よりも登場人物が多い分、“ちょっとずつ感”が増している。ワタクシはこういうタイプの映画は好きですね。うまくできていないとダメだけど。今回はゲーリーマーシャル監督の構成力に脱帽です。

祖父の代から続く花屋の経営者リードアシュトンカッチャーはバレンタインデーの朝、同棲している恋人モーリージェシカアルバにプロポーズしてOKをもらい有頂天。
リードの親友のジュリアジェニファーガーナーは久々に出会ったバツイチのイイ男ハリソンパトリックデンプシーが出張でバレンタインデーを一緒に過ごせないと分かりちょっと拗ねていた。
ジュリアの友達のカーラジェシカビールは“バレンタインデーなんか大嫌いパーティ”を毎年開催しているが、今年は誰も集まらずナーバスブレイクダウン寸前。
カーラのクライアントであるアメフト選手のショーンエリックデインは、引退するかどうかの瀬戸際にいた。
スポーツ記者のケルビンジェイミーフォックスは、上司スーザンキャシーベイツからバレンタインデーの町の様子を取材するよう命令されるが、その途中でショーンの取材をさせてもらおうとカーラにお願いしに行く。
ショーンのエージェントで働くリズアンハサウェイは、同じ会社のジェイソントファーグレイスと一夜を過ごしたが、彼女には秘密がある。
ジュリアの勤める小学校のクラスの生徒エディソンブライスロビンソンは、バレンタインに告白をしようとリードの花屋に配達を頼む。
エディソンのおじいちゃんエドガーヘクターエリゾントとおばあちゃんシャーリーマクレーンは結婚51年目のアツアツカップルと思いきや、おばあちゃんが思わぬ告白を。
エディソンのベビーシッターをしているグレイスエマロバーーツ(ジュリアロバーツの姪っ子。可愛いの)は、今日昼休みにボーイフレンドアレックスカータージェンキンスと初エッチを計画中。
グレイスの友達のフェリシアテイラースウィフトとウィリーテイラーロートナーは学校一のバカップルだけど、エッチはまだ先送り。
LAに向かう飛行機の中ではケイトジュリアロバーツとホールデンブラッドリークーパーが隣同士の席で仲良く話しているが二人がそれぞれ目指す先とは?

ふぅ、やっとこれで主要メンバーは全員?これに、リズ(アンハサウェイ)の上司のポーラクイーンラティファに、リード(アシュトンカッチャー)の部下アルフォンソジョージロペスをくわえればほぼ完璧かな?

こうして文章にして説明してしまうとわけ分からーんって感じになっちゃいますが、映画の中ではそれぞれの関係も分かりやすくて無理がありません。全員がちょっとずつS字フックで引っかかって関係し合ってるって感じですかね。一見全員に関係なく進んでいるように思えた飛行機の中の二人が実は、、、っていうのが最後にあって感動しました。ジュリアロバーツの目指す先は特に。ワタクシ、ジュリアロバーツという女優さんはあんまり好きじゃないんですが、彼女のことまで好きになっちゃいそうなエピソードでした。(このエピソードのネタバレはやめておきます)

一応、メインはアシュトンカッチャーのとことジェニファーガーナーのとこってことになるのかな。アシュトンカッチャーは今回のような役がすごく似合うな。顔は可愛いけど、ガタイはデカくてキュートですね。ジェニファーガーナーはワタクシのお気に入りの女優さんの一人なんですが、レストランでの復讐シーンとか、バレンタイン大嫌いパーティーに行ってハート型のピニャータを叩き潰すところとか、自分の生徒であるエディソンへのアドバイスとか、一番おいしい見せ場が多かったかもしれませんね。あと、見せ場と言えばアンハサウェイのテレフォンレディ?ロシア訛りのSM女王とか、あま~い声の女の子とか色々演じ分けてくれます。そして、そのお株を一瞬にして奪ってしまうクイーンラティファが最高。
ジェシカビールも結構好きなんですよね、ワタクシ。細いけど、筋肉もりもりだったな。鍛えまくり?もう一人ジェシカアルバも好きなんだけど、今回全員がちょっとずつの中でも一番ちょっとだけだったので残念。

同じ監督の「プリティウーマン」で一躍有名になったジュリアロバーツを温かくサポートする執事役だったヘクターエリゾントとジュリアの関係が今度は何なのか?映画ファンを思わずニンマリさせてくれる粋な演出ですね。このおじいちゃんとおばあちゃんのエピソードは、心が痛い部分もあったけど、それでもやっぱり愛し合ってるんだよねと温かい気持ちにもさせてくれる。

まぁとにかく全メンバー、全エピソードがスウィートこういうのは「ケッ」と思う人は見ないでいいです。それから、欧米人の顔がいまいち判別できない人にはちょっと苦しい作品かも。(美女と男前ばかりで余計分かりにくい?友達同士が全員こんなに美女と男前ばかりなワケないとか言わないの)そういう人は相関図を見てからどうぞ。

オマケ1最近ではめずらしく最後のNG集があったのがうれしかったな。ここでもジュリアロバーツのジョークが効いてます

オマケ2すごいどうでもいいんですけど、ジェシカアルバがビバリーウィルシャーホテルに犬連れでチェックインするシーンがあります。普通に「お部屋を用意いたします」とか言われるんだけど、あんな高級ホテルで普通に犬も泊まれるの?
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インビクタス~負けざる者たち

2010-02-16 | シネマ あ行

30年近く投獄されていたネルソンマンデラモーガンフリーマンが釈放されて、南アフリカ初の全人種選挙によって大統領に選ばれた。全人口の10%に満たない白人たちは、これから黒人の大統領によるどんな政治が始まるのかと戦々恐々。黒人たちはいままでの立場が逆転したことに喜んだ。しかし、大統領は黒人たちに一切の復讐を禁じ、赦しの精神を貫くよう求める。

その一環として、ラグビーの弱小ナショナルチームを率いるキャプテンのフランソワピナールマットデイモンを官邸に誘い、来るワールドカップで優勝するように話す。

南アフリカでラグビーと言えば白人のスポーツ。黒人たちはもっぱらサッカーで、ラグビーには興味がないし、白人たちがプレイすれば、いつも南アフリカの敵の国を応援していた。そんなラグビーを白人からは取り上げず、黒人も一緒に応援できるスポーツにするよう大統領はナショナルチームに黒人地域への積極的な広報活動も求める。この国は憎しみではなく、同じ南アフリカ人として誇れる何かを求めているのだと。

ネルソンマンデラ氏の大きな心と精神力にただただ心を打たれるばかりの作品である。彼の人類に対する功績は計り知れない。それは確かに彼自身の強さの賜物だとは思うのだけど、ガンジーとかキング牧師とかマザーテレサとか、ああいったタイプの人たちはやはり持って生まれた何かが凡人とは違うのだろうなぁと思える。彼ら自身の努力というのはそれはそれは大きなものだとは思うのだけど、それだけでは到底追いつかない何かが備わって生まれてきた人たちなんじゃないかと思う。

そのネルソンマンデラを演じるモーガンフリーマンがとてもよく似ている。実際に風貌が似ているというのもあるけど、立ち姿とかそういったものをとてもよく研究しているなという感じだった。実際、ちょっとカメラが引きで映るときには“ん?これは当時の実際の記録映像?”と思うようなシーンがいくつかあった。

映画全体としては、クリントイーストウッド監督のいつもの真摯な態度で真面目に物語を語る雰囲気がよく表れていて、それが、この作品のテーマによくマッチしていたとは思うんだけど、エンターテイメントとしてはもうちょっと広がりが欲しかったなぁという感じはした。マンデラ氏のロエベ島での苦難とかをもうちょっと盛り込んで欲しかった感じもする。あとは、町の白人と黒人の軋轢とか、どんなふうに国民みんながラグビーにのめりこんでいったかとかをもうちょっと時間を割いて見せて欲しかった。マンデラ氏の実際の凄さにイーストウッドが遠慮しちゃった感があるのかなぁ。なんか優等生的過ぎるというか。いや、もちろんすごく良い映画だし、ワタクシも感動の涙は流しましたけどね。もう一歩踏み込んだ何かが欲しかったのは事実。ラグビーが全然分からない人はラストの20分くらいはどんな感じだったのかな?ちょっと退屈したかも?

マンデラ氏が投獄されていたときに心の支えにしていたという詩がカッコよかったですね。その最後のフレーズが特に。
I'm the master of my fate. 「我が運命を決めるのは我なり」
I'm the captain of my soul. 「我が魂を征するのは我なり」

オマケワールドカップの決勝戦で、旅客機が超低空飛行して「頑張れ!ボクス!」っていうメッセージを見せるシーンでは、本当にハラハラしました。本当にあんなことやったんですよねー?パイロットは処分されたりしなかったかな?

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50歳の恋愛白書

2010-02-15 | シネマ か行
はぁ、キレイだなぁ、ロビンライトペンは。ショーン、こんなキレイな奥さん手放しちゃダメだよ。

ワタクシは映画を見に行くときに、原題をチェックするようにしています。この作品の邦題「50歳の恋愛白書」というのを見て行った人は「騙されたぁ」って思うでしょうね。原題は「The Private Lives of Pippa Lee」ですから、内容と合っているし、騙された感はありません。なんだかね、日本の映画の宣伝部はこういうのを全部恋愛に結び付けないといけませんかね?確かに恋愛の話も入っているけど、それはこの作品のひとつの要素に過ぎませんよね。50歳の女性が旦那以外の男性、しかも年下、しかもキアヌリーブスに恋をして…みたいのを想像しないとみんな映画館に足を運ぼうとはしないのかな…ちょっと悲しい。

ピッパリー(ロビンライトペン)の人生を振り返って行くわけですが、彼女の青春はドラッグ漬けで、いまの日本の50歳の主婦たちが見ても全然共感できないんじゃないかな。いや、ワタクシがドラッグ漬けに共感できるという意味ではないですが…ピッパのように自由奔放に生きてきた人がハーブリーアランアーキンに出会って恋に落ち、いまのような良妻賢母に変わっていくんだけど、若いときのピッパブレイクライブリーといま現在のピッパのイメージが結びつきにくかったな。時々、お上品そうなピッパが、ちょっと口が悪くなったりしてたけど、あれが彼女の本当の姿だったのかな。

ピッパのドラッグ漬けの母親がマリアベロだったり、レズビアンのおばさんの恋人がジュリアンムーアだったり(彼女はレズビアンの役が多いねぇ)、ハーブの当時の妻がモニカベルッチだったり(なんと頭をピストルでぶっ飛ばしちゃうの)とキャストが豪華でしたね。キアヌは相変わらずぬぼーっとした中年の、よく見ると男前じゃないの、みたいな役でした。ウィノナライダーは地でいってんじゃないの?ってな役でちょっと笑えた。いや、ちょっと笑えない?

まぁ、「ピッパリーさんの私生活」っていう作品なので、特にそれで何が残るってわけではなかったけど、途中途中でそこそこ笑えたりはしました。自分に投影して何かを考えるとかそういったタイプの作品ではないと思います。ましてや「50歳の恋愛白書」なんて作品ではありません。ワタクシは嫌いではなかったけど。主役がとにかくキレイで良かった。
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THE WAVE ウェイヴ

2010-02-12 | シネマ あ行

1967年のアメリカで実際にあった出来事を現代のドイツに舞台を変更して映画化。実験の内容的には「es」という映画に似ていると思ったが、「es」の基になった実験は1971年のものだから、実際にはこちらの実験が先ということになる。ちなみにこの二つとよく似たアイヒマン実験は1963年に行なわれている。

ドイツのとある高校の体験授業で「独裁」を学ぶことになる。担当教官はロックなTシャツを着て、車でロックをガンガンかけながら通勤するライナーベンガーユルゲンフォーゲル。普段から生徒にはファーストネームで呼ばれるような水球部の顧問のオープンな体育教師だ。「独裁」と言えば、「ナチス」。ドイツの教育の中で生徒たちはナチスがいかに間違ったことをしてきたかを学び、はっきり言ってその話題にはうんざり。もうこの現代であんなこと起こりえるわけがない。そう言う生徒たちにライナーはとある実験を持ちかける。「独裁」になくてはならない要素は何だ?指導者。そう。このクラスの指導者は誰にする?多数決でほとんどの生徒がライナーを選ぶ。ならば、今日からこのクラスでは俺のことはベンガー様と呼べ。発言は立って簡潔に。俺の許可なく発言してはいけない。このクラスは全員仲間だ。団結のためには何が必要だ?制服を着用しよう。全員白いシャツにジーンズ。団体の名前を決めよう。ロゴを決めよう。敬礼のポーズを決めよう。

どんどん生徒たちからアイデアが出てくる。新聞部の子は初日で違和感を訴えこの体験クラスから抜けた。水球部のマルコマックスリーメイトと付き合っているカロジェニファーウルリッヒは全員が制服を着てくる日からおかしな方向に行っていることに気付き抜けることに決めた。当然マルコとはうまくいかなくなる。

団体の名前は「THE WAVE」(のドイツ語版)ロゴを考え町中にそのロゴをスプレーしてまわる生徒たち。いままで特に仲良くなかった連中同士も「THE WAVE」の仲間というだけで団結し始める。そして、「THE WAVE」以外の連中を排除しようとも。

このクラスの中でもっとも「THE WAVE」に心酔するのが、いじめられっ子のティムフレデリックラウ。彼はいままで自分の居場所がなかった。誰も彼のことを気に留めてくれたこともなかった。でも「THE WAVE」は違う。仲間が僕を受け入れ、助けてくれる。ベンガー様は偉大だ。「THE WAVE」は偉大だ。このティムを見ていると、独裁主義というものの怖さを顕著に見ることができる。良くない言い方ではあるが、ティムのような底辺にいる人間にとって「THE WAVE」のような団体に属することで、そこにいる他のメンバーと自分が同じ地位まで引き上げられることになる。学校という組織の中で力を持つ運動部の連中や不良の連中の仲間に自分も入ることができるような錯覚に陥り、恍惚感を覚える。これこそが独裁主義の怖さ。

そして、ティムのような底辺にいる子だけではなく、どこにでもいる普通の子たちが、普段から優秀な子たちが、みんな「自分たちだけは特別だ」という意識に陶酔する。この組織に属していて実験そのものに疑問を抱いたのは、ごくわずかの人数だった。

恐ろしいのはこれが、月曜から土曜までの「た っ た 6 日 間 の 出 来 事」であり、生徒たちは「い と も 簡 単 に」“ベルガー様”に洗脳されたということ。普段生活しているとナチスなんて狂気の沙汰だと思っている善良な人々が、(もちろんワタクシも含めて)簡単に洗脳されてしまう。人間とは、そういうものなのだ。だからこそ、それを分かった上で人間というものを扱わなければならないし、それを分かった上で行動しなければいけない。自分はそうじゃない、とか、もっと確固たる良心を持っているとかそういう過信が一番危険だと思う。

この物語のラストに起こったことは、容易に想像はついたが、実話が基になっているということで、本当にこのラストに起こったことが実際にあったのだろうか?(今の時点でネットで調べても出てこないのだけど、これは原作を読むしかないか)もし、そうだとしたらこの実験に参加した生徒たち全員のトラウマが心配だ。ベルガー様がタネ明かしをしたとき、ハッとすぐに我に帰ることができた生徒が果たして何割くらいいたのだろう。彼らの後日談を知りたい。

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恋するベーカリー

2010-02-10 | シネマ か行

試写会に行ってきました。

これ、R-15指定だったので、なんで?って思ってたんですが、下ネタがあるのと、分別のある(はずの)50歳過ぎたいい大人が“ハッパ”吸ってトンじゃうところがヤバかったのかなぁと。このご時勢ってことでしょうか…

さて、離婚して10年目を迎えたジェーンメリルストリープが元夫ジェイクアレックボルドウィンとやけぼっくいに火が点いちゃって…っていうお話なんですが、このジェイクって奴は本当に調子が良くって、10年前だってジェイクの浮気で離婚に至り、今回もその再婚相手のアグネスレイクベルとうまくいかなくなっているときにちょうどそこに元妻がいたってな構図。ジェーンのほうも10年間女で一人で寂しかったところに気心の知れているジェイクとの不倫。アグネスへの復讐の気持ちもあってかどうか、二人はひととき燃え上がる。

10年間、ご無沙汰だったジェーンなんだけど、いきなりモテ期?とばかりに、家の増築をたのんでいる建築家アダムスティーブマーティンともなんかいい雰囲気~。なんですね。

このアレックボールドウィンの調子良い男とスティーブマーティンの真面目男のキャスティングがナイスかな。スティーブマーティンのほうがコメディアンだけど、彼のほうが今回は物静かな人を演じているのが良かった。逆だったら、もっとジェイクのお調子者ぶりがドタバタになり過ぎていたような気がする。アレックボールドウィンは、ちょっと世代が下だなぁとは思うけど、あの2枚目の彼がメリルストリープの元旦那を演じるようになるとはねぇ…

50歳過ぎたおばさんたちが集まって、下ネタ言い合って笑ってるのとかを「キッツー」って思っちゃうタイプの人にはちょっと辛い作品かもしれないなぁ。おじさんおばさんのベッドシーンとか。その辺は寸止めでシーンそのものはないけど、そういうのを匂わせるだけでもキモっとかって思っちゃう人は止めておいたほうがいいかも。

ワタクシは結構ウケましたねー。ジェイクのふざけっぷりとおばさまたちの下ネタに。ジェイクは現実にいたら、「サイアク~」って感じのヤツだけど、映画の中の世界だから許せるってとこかな。ハッパやってトンでるシーンもワタクシは普通に笑えたしね。

そして、ナンシーマイヤーズ監督らしく、ちょっとほろっとするところもあってね。子供たち全員にジェーンがきちんと自分の気持ちを説明するシーンは会場でもほろっときてる人が多かったみたいです。

それにしても、彼らの長女ローレンを演じていたケイトリンフィッツジェラルドは美人さんですねー。他の作品で見たことがない人なんですけど、これから要チェックです。そのローレンの婚約者ハーレイを演じたジョンクラシンスキーは超真面目なアイビーボーイって感じですが、コメディパートをうまく演じていましたね。

「恋するベーカリー」っていう邦題から連想する雰囲気とはちょっと内容は違うかなぁと思います。“ベーカリー”の要素は少なめですね。原題は「It's Complicated.」ですけど、これをそのままタイトルにすると変だし、日本語に訳してっていうのも変だしね。配給会社さんはちょっと苦し紛れにつけちゃったかなぁって感じがします。

分別盛りの大人が何やってんだ!って思っちゃう人にはまったく受け付けられない作品かなと。そんな堅いことはあんまり考えないで楽しめる人には良い作品だと思います。

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潜水服は蝶の夢を見る

2010-02-08 | シネマ さ行
ずっと気になっていた作品ですが、やっとケーブルテレビで見ました。

雑誌「ELLE」の編集長をしていたジャン=ドミニクボビー氏マチューアマルリックが脳梗塞で倒れ、意識は戻ったもののロックトインシンドロームという症状で体は左目のまぶたしか動かせない。意識ははっきりしている彼が、言語療法士のアンリエットマリ=ジョゼクローズに教えられてまぶたを動かすことでコミュニケーションすることを覚える。

そのコミュニケーションとは、フランス語の単語で多く出現するアルファベットを順番に読み上げ、言いたい単語の綴りの文字のところに来たらジャンがまばたきをするという具合にして、一文字一文字をつなげ文章にしていく。日常のコミュニケーションをそれで取ろうということであれば、まだ必要最低限だけで済むかもしれないが、彼はなんとその方法で一冊の本を書き上げた。まばたき20万回ですよ!彼の努力もさることながら、それを書きとめた編集者のクロードアンヌコンシニの忍耐力たるや頭の下がるものがある。何度も何度もアルファベットを繰り返すのなら、それを録音して何度も繰り返し再生するってわけにはいかなかったのかなぁとか思ったけど、言語療法士さんがついていたんだから、あの方法が一番良いってことなのかなぁ。

原作は読んでいないのだけど、この映画の中で綴られる原作通り(だと思われる)言葉の数々を聞いていると、この物語が素晴らしいのは、ただ障害を負った人が書いた本だからということではなくて、その内容がユーモアにあふれ、素晴らしいイマジネーションと詩的な表現があるからだろうと思われる。作品を見るまでは「潜水服」と「蝶」って何のことだろうと思っていたのだけど、見るとこれもジャン独特の表現ですごく納得がいった。

初めは自暴自棄になって「死にたい」と言うジャンもすぐに「自分を憐れむのはやめた」と前向きに人生を捉え始める。彼自身も言っていたが、「ELLE」の編集長を務めるほどの彼には溢れる才能と豊富な思い出があった。そのことは同じ病気になった人の中でも彼はラッキーだったと言えるのかもしれない。

そして、登場する言語療法士さんや理学療法士さんオラツロペスヘルメンディアや編集者がみんなまぁ美人だこと。そんな彼女たちに面倒を見てもらえたこともジャンにとってはラッキーだったかも。こんなことを書くと不謹慎だと思われるかもしれないけど、ジャン自身もそう言っているから良しとしてほしい。

ジュリアンシュナーベル監督のいままでの作品はあまり得意なほうではなかったんだけど、この作品に関しては、前半、カメラがジャンの唯一の機能する器官である左目の役目をしており、そこへフレームインしてくる医者や療法士や見舞い客の様子が非常に臨場感ある形で描かれていた。本当にジャンにあんなふうに見えていたのかは分からないけど、映画がそのようにスタートし、その閉じ込められた空間でジャンが喋っているのをまず聞くことで“ロックトインシンドローム”というものを観客が一気に理解するという非常にうまい構成になっていたし、監督自身が画家でもあるということで、ジャンが書き留めたイマジネーションの世界を非常に詩的に表現できていたと思う。

その詩的な表現とジャンの周囲の人たち、元妻エマニュエルセニエ、父親マックスフォンシドーとの関係を非常に繊細に描き出し、まったくお涙頂戴な雰囲気がない自然な演出で観客の涙を誘うという高度な演出だったと思う。

ワタクシ個人的にエマニュエルセニエってなんか怖い女優さんっていう勝手なイメージを持っていたんですが、この作品では複雑な元妻の心情を非常にうまく表現していたと思います。そして、マックスフォンシドーは激シブでしたね。

ぜひ、原作を読んでみたいと思わせる作品でした。
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ラブリーボーン

2010-02-03 | シネマ ら行
こういうのファンタジースリラーとでも言うんでしょうか?分類が難しいというか、見ているこっちもどんな心構えで見たらいいのかが難しい作品だと思います。おそらく、この曖昧な分類についていけなかった人はいまいち良くないと思った作品かもしれません。

ワタクシはこの作品を見る前から、そういう意味でちょっとややこしそうな作品だなぁとは思っていたのですが、あまり心配はしていませんでした。なぜなら、監督がピータージャクソンだから。彼ならまずファンタジーの部分はまったく不安がないのと、それプラス彼は素晴らしいストーリーテラーだと思うから。ピータージャクソンは決して映像技術だけに頼らず、きちんと丁寧に映画作りをしてくれる監督だと思っている。だから、この作品を作るにあたって、彼は完璧な監督だと思った。

14歳で殺されてしまったスージサーモンシアーシャローナンは、天国と地上の間の世界にとどまってこの世を見ていた。自分が殺されたことによって、父親マークウォールバーグは犯人探しにやっきになり、そんな父親の横で母親レイチェルワイズは精神的にまいっていく。幼い弟バックリークリスチャントーマスアシュデイルにはスージーがまだこの世と天国の中間に漂っているのが分かるらしい。そして、すぐ下の妹リンジーローズマクアイヴァーに犯人スタンリートゥッチの魔の手が伸びようとしていた。

まずスージーがいる天国と地上の間の世界が、ピータージャクソンの「乙女の祈り」の映像を彷彿とさせる。あの少女たちの世界をもっとカラフルにした感じかな。ワタクシは天国とか宗教とか信じないタイプの人間なんだけど、もし亡くなった人たちがこんなにきれいな世界にいるなら、それは素敵なことだなぁと思える世界だった。

そんなスージーのいる世界から見えるこの世の現実はとても胸が苦しくなるものだった。スージーを亡くしたことで、家族それぞれに影響を及ぼす。犯人と対峙する父親と妹のシーンなんかももうドキドキもんだ。

スージーのいる世界とこちらの話が交互に描かれているのに、見ているこっちはまったく違和感がない。スージーには特に超常的な力があるわけではなく、ただただ見守っているという雰囲気だから、ファンタジックな要素が現実世界の邪魔をしないのかもしれない。

シアーシャローナンちゃんは「つぐない」を見ていないので、彼女の演技を初めて見たんですが、さすがアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたことがあるだけあって、素晴らしい演技でした。なんかすごい自然なんですよねー。スージーって色んな表情を見せる必要がある役なんですけど、本当にうまい。
そして、犯人を演じたスタンリートゥッチ。まじ怖いよ。「プラダを着た悪魔」「ジュリー&ジュリア」のいいおじさんとはとっても思えない。
あと忘れちゃいけないのが、おばあちゃんを演じたスーザンサランドン。何このファンキーなばあちゃん!ともすれば、この物語の中で超浮いてしまう存在だと思うんですけど、それが妙にハマるから不思議。やってることはハチャメチャだけど、ちゃんと家族みんなのことを見守ってるんだろうなっていうのがいいんですよね。

結局犯人が逮捕されずに勝手に死んじゃうところがちょっとイヤだったなぁ。あんなに妹ちゃんが頑張ったんだからちゃんと逮捕されて裁かれてほしかった。あんな形で死ぬなら「ゴースト」みたいに、怖い奴らに迎えに来てほしかったな。

オマケ1お父さんがスージーが生前に撮ったフィルムを現像に行くシーンでカメラ屋さんのお客さんがピータージャクソンだったような…?違う?彼は「ロードオブザリング」でもカメオ出演してるみたいだから(ワタクシはどこにいたか見つけてないですが)今回もカメオ出演したのかなぁ?

オマケ2そのピータージャクソン、「ロードオブザリング」のときは自身もホビットのようで可愛かったのに、最近ではすっかり痩せて別人ですね。彼の健康のためにはいまのほうがいいんだろうけど、前の彼のほうが好きだったなぁ。長く映画を撮ってもらいたいから、健康でいてほしいですけどね。

オマケ3あとはやっぱりあの本屋さんのシーンでの「ロードオブザリング」の原作がデカデカと映るシーン。字幕が出たから日本では全員が気付いただろうけど、英語で見てる人はどれくらい気付いたんでしょうね。こういう茶目っ気がピータージャクソンぽくて好きです。
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