シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

魔笛

2007-07-27 | シネマ ま行

ケネスブラナーが好きだし、モーツアルトは普段聴くわけじゃないしまったく詳しくないけど、耳慣れている曲なら好きだし、クラッシックと聞いただけで敬遠してしまうタイプでもないし、オペラは見に行ったことはないけど、興味はある。というわけで、この「魔笛」公開に合わせて見に行くつもりがラッキーなことに試写会が当たったので行って参りました。

カメラワークは非常にケネスブラナーっぽかったな。ちょっと酔う人がいるかもって感じのカメラワーク。演出も彼っぽい。でもなんか変な映像のしかけ(特に夜の女王リューボフペトロヴァが歌うところ)はチープ過ぎてキライだった。それも彼っぽいと言えば彼っぽい。

正直なところ、ちょっとよく分からない作品だったオペラを知らないワタクシが悪いのか、モーツアルトが悪いのかケネスブラナーが悪いのか。しかし、200年も愛されてきたオペラを作ったモーツアルトが悪いとは思えない。自分を悪者にしたくないので、ここはケネスブラナーが悪いことにしておこうなんてね。。。

全体的な筋は分かるんですけどね、なんかあの試練が一番分かんなかったなぁ。喋ったら死刑とか言ってるわりにべらべらべらべら喋ってるし。。。というか、そもそもなんであの二人が試練を受けるハメになるのかが全然分からん。恋する相手に拒否されたらすぐに死ぬ死ぬ言うし。。。ん?この辺は原作通り?じゃあ、モーツアルトが悪いんじゃん。というか、台本を書いたエマヌエルシカネーダーが悪い?

まま、悪者探しはこれくらいにしてっと。そういう細かいところは突っ込んじゃいけないお話なんだろうなぁ。そもそもオペラにそういうことを求めるということ自体ナンセンスなんかなー?オペラを知らないのでなんとも言えん

ケネスブラナーのシェイクスピアの見事なアレンジと同等のものを期待していただけに残念に思えた作品でした。ただ、こんなに有名なオペラのこと、誰もが知っている曲も何曲かあって音楽は楽しめました。

オマケ試写会の前に世界口笛大会グランドチャンピオンの方が登場して、劇中に出てくる曲を演奏してくれました。おそらくほとんどの人が「世界口笛大会」なんつーもんがあることさえ初耳で、「口笛大会グランドチャンピオンって…へっ」って感じの会場に迎えられた彼でしたが、演奏のあとは拍手喝采、バカにしてごめんなさいほんとにあなたは素晴らしいてな感じになったのでした。いやー、ほんとに世界には色んな大会があって色んな達人がいるもんですね。


レミーのおいしいレストラン

2007-07-26 | シネマ ら行
最近、3Dアニメでそんなに面白いものを見ていなくて、少々飽きてきていた感もあったのですが、今回試写会が当たったので行って参りました。

レストランで忌み嫌われるはずのネズミが天才シェフとして大活躍するというから、そんな無理のある話をどんなふうに持っていくのかなぁという興味が強くありました。

ありえない話を説得力を持って見せてしまうアニメの世界ってすごいなぁって思いましたね。いやーもちろん、どのアニメもそうなんですけどね。またあらためて感心と言いますか。まぁ、レストランにネズミってだけで完全アウトっていう人もいるとは思います。ワタクシの場合はまぁセーフでしたけど、これが虫とかだったらいくらアニメでもさすがにバツかなぁって思いますしね。

ネズミの大群が大移動するところとかはさすがに超気持ち悪かったですけどねー。ネズミが特に苦手なわけではないワタクシでもゾーッとする感じがありましたから、ネズミが苦手な人は本当に見られないかも。レミーが単独で行動しているときなんかはすごい可愛いです。レミーは二足歩行が多いし。(これがまた、食べ物を触る時に手を洗わなくっちゃいけないからっていうネズミらしからぬ理由で

ネズミのレミーが料理して、料理が下手くそなリングイニは、レストランを相続してお店は大繁盛。ってまさかそんなご都合主義だけで終わるんじゃあるまいなーって思いかけたところで、きちんと色んな問題を解決してくれて、ちゃんと収まるところに収めてくれたところがワタクシとしてはスッキリして好きですね。

原題は「ラタトゥイユ」で、ラタトゥイユがどんな料理か知らなくても全然OKだけど、ちらっとだけどんな位置づけの料理かだけは知っておいたほうが、ほんのちょっとのスパイスで料理の味が変わるようにこの作品の味が変わるかもしれません。このラタトゥイユ、映画は舞台はフランス語ですが使っている言語は英語ですから、「ラタトゥーイ」って発音されていました。フランス語ではどう発音するんでしょう?

ハリーポッターと不死鳥の騎士団

2007-07-24 | シネマ は行
激しくネタバレしています。ご注意ください。

さてさて、くたちゃん始めポタリアン同盟のみなみな様、ホグワーツに行って来ましたよー

原作の中でも1、2を争うくらいに好きな「不死鳥の騎士団」。この日をどんなに待ち望んだことか、、、とか言っちゃって、原作を読んでからずいぶん経っていて詳しい内容はちと忘れ気味ではありましたが。。。これでポタリアンとは言っちゃいけないのかもなー。ごめんね

いつもながら、原作の内容が濃ゆ~いもので、どのように映画として料理されるのかと思っておりました。んんん、そうですねー。やっぱり筋はきっちり説明しなくちゃいけないからなー。それで、どうしても枝葉末節は切られちゃう。それは仕方ないんでしょうね。

とにかく、今回の印象としてはかなりハリーダニエルラドクリフに重点が置かれている感じ。彼が物語の主人公なんだから当たり前すぎることを言ってるのだけど、原作ではもっと他の人が活躍したり、詳しく書かれてあったりするもんね。今回は「不死鳥の騎士団」がかなり活躍するし、それがめちゃくちゃ格好良かったんだけど、映画ではその印象も薄い。そして、ファンとして一番残念なのは今回、ロンルパートグリントの影がもっとも薄い。なんか、ハリーとハーマイオニーエマワトソンにくっついて回ってるだけみたいな感じだったのがとても残念ハーマイオニーは「ブレイン」としてセリフが多いんですけどね。ネビルロングボトムマシュールイスもハリーたちが結成する「ダンブルドア軍団」に入って活躍を見せてくれますが、彼も原作ほどに目立っていたわけではなかったので少し残念でした。

そして、ロンとハーマイオニーの仲ももちろん気になるところですが、それについては軽いジャブが打たれるくらいで、今回はヨシとしておいて次回に期待しましょう。ワタクシはハーマイオニーがロンにあきれたりしているときだけ、「ロナルド」って呼ぶところが好きなんですよ~。

今回の新しいキャラクターは「不死鳥の騎士団」のトンクスナタリアテナ、ルーナラヴグッドイヴァナリンチですね。トンクスは映画ではあまり目立っていなかったけど、ワタクシの好きなキャラクターの一人です。ルーナは新しいキャラであり、重要な役どころであったので、どんな子がキャスティングされるかと思っていましたが、ワタクシはイヴァナリンチの外見よりも喋り方とか声がルーナのイメージにぴったりだったと思います。ルーナが見ることが出来るセストラルの映像化もワタクシが想像していた通りで嬉しかったな

「ダンブルドア軍団」を結成したことによってハリー、ロン、ハーマイオニー、ネビル、ジーニーボニーライト、フレッド&ジョージジェームズ&オリバーフェルプス、そしてルーナの友情が固く結ばれているのが分かるところがとても感動的だったし、映像も、彼らがそれぞれの「パトローナス」を出すところなんて鳥肌が立って、ホグワーツの子供たちがそんなものを出せるようになるなんてと涙ぐみさえしてしまいました。

もうひとつの泣きポイントはハリーが心に入ってくるヴィルデモートレーフファインズと戦うところですね。ハリーはヴォルデモートが持っていないものを持っているって言って、パパやママの愛や、ロンとハーマイオニーの友情を表す場面が走馬灯のようにぐるぐるとハリーの心の中を巡るわけです。「ハリー、そうだよ、君は独りで戦っているんじゃないんだよ」って思ったら涙が出ちゃいました。

途中の活躍は少ないけど、最後の「不死鳥の騎士団」の戦いぶりっていうか、白い霧とともにボワッって表れるところなんかも鳥肌もんに格好良かった

魔法省からホグワーツに乗り込んでくるドローレスアンブリッジ教授イメルダスタントンの存在が、政治の教育への介入の恐ろしさなんかも描いていて、実際の社会とも脅威がリンクし、なかなかに興味深い内容だと思いますね。彼女と戦う彼らを応援する気持ちというのも、これまでシリーズを通して彼らに対して愛着が湧きまくってるから余計強く感じるんだろうなー。マクゴナガル先生マギースミスの反抗とかもめちゃくちゃ嬉しいし。前作ではちょっぴりうっとうしい存在だったトレローニ先生エマトンプソンまで愛しく思えちゃいましたよ。それにしても、どうしていつもダンブルドア先生マイケルガンボンはハリーに何も教えてくれないんだろう。危険が及ぶからとかっていっつも言うけどさー。ハリーがそれで孤独を感じてることを分かってやってよー。

なんかね、原作で読んでいるときにはシリウスゲーリーオールドマンが死んじゃうなんてさ、自分で読んでるだけだからなんとなく信じられないんですよね。それを映像化して見せつけられて初めて信じられるみたいなとこありました、今回やっと。次であの人が死ぬときもきっとそう感じるんだろうな。。。あー、本当だったんだぁみたいなね。。。

あ~、公開の随分前から楽しみにしていて、もちろん早く見たい見たいと思っていたけど、見終わっちゃうと寂しいなぁ。。。なんかホントにホグワーツへの遠足みたい。早く次の映画が公開になってほしいその前に第7巻を早く読まなくっちゃーーーー

ハリーポッターシリーズの記事(UPした時期は前後しています)
ハリーポッターと賢者の石
ハリーポッターと秘密の部屋
ハリーポッターとアズガバンの囚人
ハリーポッターと炎のゴブレット

その他のハリーポッター関連記事
HARRY POTTER AND THE HALF-BLOODED PRINCE
ハリーポッター、勝手に…
ハーマイオニーが

ボルベール(帰郷)

2007-07-13 | シネマ は行
この映画を見た感想をにゃおに聞かれて、「ペネロペの娘役の子がさー、ロナウジーニョに似ててさー」って言うと、「それ絶対ブログに書くやろ?オマケに書くやろ?」って言われたので、冒頭に書いてやることにしますペネロペクルスの娘役のヨアンナコパは現在スペインでもっとも注目されている若手女優の一人だそうですが、、、歯並びを良くしたロナウジーニョみたい。。。ごめん。

さて気を取り直して、、、監督ペドロアルモドバル主演ペネロペクルス。そう言われたら見に行かないわけにはいきません。ペドロの映画は「?」と思うこともあるけど、ペネロペがもっとも信頼している監督さんですもん、ペネロペをどう料理してくれるのか、ワタクシの注目ポイントはそこでありました。

ペドロの作品に出るとペネロペは完全にスペインの女になります。ハリウッド映画では彼女の魅力は出し切れないのよ、やっぱり。思いっきりやらしそうで、情熱的で、しっかり者のスペインの女。(ワタクシの偏見ね。これ。しかも、ペネロペだから言えることね)しかも、今回はラ・マンチャ地方の砂漠からの熱波を受けて育ったおしゃれにしていてもどこか砂埃臭い女。あー、あそこまで演じきるなら歌も歌って欲しかった。あれが吹き替えならアカデミー賞は取れないよ。いや、アカデミー賞なんてどうでもいいけどさ、やっぱりあのシーンの吹き替えでガクッときちゃったもん。そのせいで、あのシーンの感動も半減しちゃいました。ペネロペってもしかして音痴?普通に歌える人でもあの曲はめちゃくちゃ難しいと思うけどね。。。とてもいいシーンなだけに本当にとても残念だった。でもやっぱりペネロペはスペイン語喋ってるほうがイイスペイン映画でスペイン女演じてるほうがイイ彼女の魅力をスペイン映画だけに閉じ込めておくのはもったいないと思うけど、これからもスペイン映画にはたくさん出て欲しい。

お話はまぁ100%ペドロって感じだったな。ライムンダ(ペネロペ)の秘密っていうのもパターン的にちょっと分かっちゃう感じだったよね。でも、お母さんカルメンマウラの秘密は分かんなかった。しかも、途中まで「なんやこれ?オカルトちっくな話?」なぁんて思っちゃったりしてました。お恥ずかしい。映像の色彩といい、ブラックなユーモアといい、良くも悪くもペドロ色(へどろ色じゃないよ)の作品でした。

オマケ1スペインの人もあんなふうにお墓を掃除するんだねー。そりゃ考えてみれば当然かもしれないけど、あーいうところを実際に見る機会ってないから、新鮮に感じました。

オマケ2ラテン系の女性って背があまり高くない人も多いですね。今回ペネロペはかなり高いヒールを履いていて、小さい彼女がとても背の高い人に見えるほどだもんね。なんとなくホッとしたりして。。。

オマケ3ペネロペがハリウッド映画に出ているときのをチェックしていないので、分からないのですが、今回の彼女、腕の毛を剃ってませんね。それってやっぱラマンチャの女の雰囲気を出すためなのかなぁなんて考えながら見てました。でも、そんなふうに見えただけでくっきり腕が見えたわけではないし、ハリウッド映画のときも剃っていないのかもしれませんが。(なんかそんなとこまで見ていて変態ちっくに思わないで下さいね。。。

ティアーズオブザサン

2007-07-10 | シネマ た行
日曜日にTV放映がありましたね。TVで見たのでカットされている部分があって、本来の意味でこの作品を見たということにはならないかもしれないけど、TV放映を見た感想として受け止めてください。

この映画を肯定的に語るには、「現実的でない」という部分に完全に目をつぶってしまわないといけないだろう。この作品に限らず、映画に出てくるSEAL部隊なんかはよく軍の命令を破っている気がする。実際にはそんなことできないだろうし、やっちゃたら大変なことだろうし、エリートの集まっている部隊とは言えないんだろうなぁと思いつつ、、、ブルースウィリスが渋くきまっていたし、物語のテンポも良かったので、「ええい、目をつぶってしまおう」とかなり前半の部分で心に決めました。

モニカベルッチって美しいですね~。特に好きな女優さんってわけではないんですが、顔の美しさだけで言うともう世界一美しいんじゃないかと思っております。ほんでまたセクシーというかなんかえっちなんですよねー、この人。普通にしてるだけで、誘われてる?って思っちゃう感じですよね。アフリカでもメイクぱっちりでねー。それはさすがにアカンやろーって思ったけどね、ここも「突っ込んだらあきまへん

ブルースウィリス演じるウォーターズ大尉が「良いことや正しいことはもう長い間していないような気がする」というシーンがありますね。自分がお国のためと思って、それを信じて任務についていても、やはり、目の前の敵を倒すことが仕事。政治的に利用されることも多々あるだろうし、自分は正しいことをしていると自分に言い聞かせてはいても、それでは納得させられない思いが常にある。自分の国の信条と違うからと言って戦うことが正しいのか?大義名分のために人を殺すことが正しいのか?長く軍人をやっているとそんな気持ちになることがあるだろう。そんな中でウォーターズ大尉は、自分が良いと思えることを今回はしたかったのではないだろうか?国の思惑を超えたところで、良いと思えることを。それはそれで、絶対的に正しいことではないだろうけど、少なくともウォーターズ大尉の中ではそんな思いだったんじゃないかと感じた。

最近の軍隊系の作品といえば、かなりリアリティを追求したものが多いので、その中ではちょっと毛色が違う感じがします。どちらかといえば、ひと昔前の軍隊ものって感じですね。完全なエンターテイメントとしてぬる~い目で見ることができる方は楽しめるんではないでしょうか?

ダイヤモンドインパラダイス

2007-07-09 | シネマ た行
ピアースブロスナンが大泥棒?「トーマスクラウンアフェア」の続編か?と思ったら全然関係なかったんですね。タイプキャストを恐れず、それどころか楽しそうに同じような役を演じちゃうピアースブロスナンって逆に素敵

「同じような役」と「泥棒」ってだけでいっしょくたにしちゃいましたが、実際には職業が泥棒っていうのが同じなだけで、中身は全然違いますね。「トーマスクラウンアフェア」のほうは表向きは大富豪でとても洗練された雰囲気のおされな大泥棒でしたが、こちらの作品の彼はどこか野性味のある、根っからの泥棒マックス。もちろん、お相手の女性もトーマスクラウンのときのレネルッソに比べてグンと野性味のある(と言うかほぼ野性味だらけの)サルマハエック。アイリッシュとメキシカンの異色のカップルですね。彼女も実は泥棒で、お仕事の良きパートナー。彼女が本当にセクシーで今まで見たサルマハエックの中で一番キレイに見えた作品でした。(キレイに“見えた”というのは失礼ですね。。。彼女はもちろん、キレイな人なんですけど、ちょっとクセのある役を演じることが多いので素直に彼女の美しさが映し出されている作品というのは意外に少ないんですよね)彼女は何かって言うとマックスをベッドに誘う役だから、このキレイさで説得力が出ています。

冒頭で、彼らは見事にダイヤモンドを奪ってみせて、それを機に引退し、南国の島で今まで稼いだお金で優雅に暮らそうと計画していた。そこへ今までずっと彼らに辛酸を舐めさせられていたFBI捜査官スタンウディハレルソンがやって来て、この島にナポレオンダイヤモンドという秘宝の展示会が行われると挑発してくる。そんな情報を流してマックスの泥棒としてのプライドをくすぐってまた泥棒稼業に復帰させ、そこを自分が捕まえようという魂胆。

かくして、マックスはダイヤモンドの誘惑とFBI捜査官スタンと、彼を完全に引退させようとする恋人ローラの間で右往左往することに。。。

このマックスとスタンの関係がなかなかに面白く描かれていて、こういうルパンと銭形のオヤジみたいな関係っていうのは、実際にもあるっぽいし、犯罪者側が憎めない奴で天才的であればあるほど面白くなるものだと思う。ピアースブロスナンの魅力は言わずもがなだし、ウッディハレルソンもちょっと怖い顔ながら実は結構チャーミングなところもあって、この役にはぴったりでした。

随所に笑いがちりばめられていて、南の島のパラダイスの景色も堪能できて、泥棒もののドキドキ感もあり、マックスを引退させたいローラの切ない気持ちも伝わってきて、色んな要素が楽しめる作品にできあがっています。熱い夏の日にオススメの作品です。

オマケ洋画にわざわざ原題と違うカタカナの題名を付けることに関しては「?」と感じることが多いのですが、この作品の原題は「After The Sunset」。「ダイヤモンド・イン・パラダイス」のほうがいい題名だと思います。

あるスキャンダルの覚え書き

2007-07-05 | シネマ あ行
ジュディデンチとケイトブランシェット。彼女らそれぞれの主演作を最近UPしたばかりだ。どちらもとても好きな女優さんだといつも書いている。今回の脚本では、この二人の主演があって初めてきちんとした映画になったと言えると思う。この二人の主演映画でなければ、ただの安っぽいサイコスリラーになりかねなかったからだ。

バーバラジュディデンチは定年を1年後に控えた歴史の教師。学校では人気はないが尊敬を得ていると思っている。実はこのおばさん、どうやらレズビアンで、(カミングアウトはしていないし、隠し通せていると思っている)思い込みが激しく、好きになったらとことん相手を追い詰めてしまう性格。偏執的な愛情を相手に抱いてしまい、結局は逃げられるということを繰り返しているようだ。

シーバケイトブランシェットは随分年上の夫ビルナイを持ち、反抗期の長女とダウン症の長男を持つ。ダウン症の長男が学校に入り、つきっきりの育児がひと段落したところで、美術の教師としてバーバラのいる学校に入ってきた。家族を愛してはいるものの自分の理想と現実の生活の埋められないギャップに苦しんでいた。それが原因かどうか、シーバは教え子で自分を慕う15歳の少年スティーブンコナリーアンドリューシンプソンとあろうことか肉体関係を持ってしまう。そして、それがバーバラに知れ、、、

ケイトブランシェットが15歳の少年と、、、ってー、おいーっ。すごい設定だなぁ。。。たまに世間を騒がす教師と生徒の関係ってあるけどね。ま、あれですわな。ほんでまた、何がすごいってこの15歳の少年は最初こそシーバに恋していたような感じはあったけど、嘘で可哀相な家庭環境を作り上げて同情を引いたりもしていたし、初体験でもなかったし、最後には「遊びがマジになったらマズイでしょ?」とか大人の女性に言っちゃうんだよねー。かわいい顔してまぁ。

バーバラにそんなとんでもない秘密を知られてしまって、それ以降のシーバはまるで蜘蛛の糸に少しずつ少しずつ絡み取られていく可憐なチョウチョのような感じもしたけど、このチョウチョは自分で勝手につまづいちゃってるからなー。それも、シーバの孤独な心を表しているということなのかな。追い掛け回すパパラッチとバーバラの日記にキレて「私はここにいるわよっ」と威勢よくパパラッチの前に出たものの、結局は怖くなってバーバラの胸に逃げ込むところなどは彼女の自分勝手な弱さがよく表現されていた。ケイトブランシェットが基本的にガードの低い、そんなに頭脳明晰そうでもない女性を演じていて、まったく違和感がないのはもっとも王道的なブロンドの髪の色と彼女の演技力のたまものだろう。それにしても、ケイトブランシェットって本当にため息が出るほど美しい。このブログではもう何度も書いているから読んでいる方もうんざりかもしれませんが、書かずにはいられません。。。しかも今回のお相手は15歳ですからねー。こないだ書いた「ヘヴン」も年下だったけど、今回は年下なんてぇもんじゃない。しかも彼女のほうが彼との関係に夢中になっちゃって、、、刺激的、、、である。。。

バーバラの日記で語られるのだけど、お呼ばれしたからにはおしゃれを、でも、そんなに気づかれない程度に、、、でも結局そんなにおめかししてって気づかれちゃう、そして、そのおめかしはここにお呼ばれしたからよと言えずにこのあと約束があるからなのって言っちゃうみたいなのが、アメリカ人とはちと違うイギリス人っぽい感じが出ていたような気がした。そして、そういうところはちょっと日本人と似てるなぁなんて思ったりもしました。

このバーバラが結局最後はほんとにサイコ的に描かれているのもあんまり好きじゃなかったなー。最後のシーンは、彼女の毒牙にかかる可憐な少女がまた一人~みたいな感じだったもんね。それだと、さんざん表現してきた彼女の孤独と苦悩みたいなのが全部吹っ飛んじゃうもの。途中まではいい感じだったんだけどな。

最初に書いたように、B級サイコサスペンスになりそうなところを二人の女優が救った映画という感じでしょうか。