シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

瞳の奥の秘密

2010-08-26 | シネマ は行

アカデミー外国語映画賞を受賞した作品。そのためか、小さい映画館ながら観客が多かった。

舞台は2000年アルゼンチン。刑事裁判所を定年退職したベンハミンエスポシトリカルドダリンは、25年前に起きた事件を小説化しようとしていた。

ベンハミンが小説化しようとしていた事件は、銀行員の夫リカルドモラレスパブロラゴと幸せな新婚生活を送っていたリリアナコロトカルラケベドが自宅で強姦され殺された事件だった。犯人はリリアナの幼馴染のイシドロゴメスハビエルゴディーノと判明し、逮捕されるのだが…

ベンハミンは当時上司のイレーネソレダビジャミルと、部下のパブロギレルモフランチェラと協力して事件解決にあたるが、ベンハミンがこの女性上司イレーネに寄せる恋心や、アル中のパブロに対する友情なども絡めて描かれる。

物語は極めて静かな語り口で語られるのだが、それでいて、25年前に何があったのか、そしてそれが現在にどのような関わりを持っているのか、こちらの関心をぐっと掴んだまま観客は画面から目が離せない。ベンハミンはなぜずっとこの事件のことが忘れられなかったのか?それがきちんと明かされるのか?後半、本当にすべてがきちんと明かされるのかそれが気になって仕方なくなってきた。謎は謎のままなんだよ、とか絶対イヤやでーと思いながら見ていると、すべてが明かされてすごくスッキリした。

最後は衝撃の結末ってことなんだけど、これは愛する妻を殺された夫リカルドの怒りを思えば十分に頷ける内容だったと思う。彼の復讐の形があまりにも忍耐に満ち満ちていて、それがゆえにかえって不気味さを増すという部分もあるだろうけど、彼の気持ちは理解できる。

それにしても、ベンハミン!あんた、いくじなし過ぎるよ。ほんとにいくじナッシング。好きな女性に「私たち、あなたと私、どうなるの?」まで言わせておいて、“私たち”とか“あなたと私”なんていうくくりで自分たちのことを語らせておいて、そのまま去って行くのかよーーー!!!彼女が他の男と婚約してたから?それとも、自分のせいで彼女にまで危険が及ぶと思ったから?それはそうなんだけどさー。まぁ、イレーネ本人の口から25年のときを超えて「いくじなし」っていう言葉を聞けてちょっとスッキリしたけどね。最後も変に甘いハッピーエンドじゃなくてやっと覚悟を決めたベンハミンに家庭を持つイレーネが「そんなに簡単じゃないわよ」と釘を刺すところも良かったな。頑張れよ、ベンハミンってことで。

なんかちょっと軽い感じで書いてしまったけど、全体の雰囲気はちょっとヘヴィです。それでいて途中ちょっと笑えるシーンなんかもあってそれはそれで全然浮いている感じではないですね。

ベンハミンが被害者の夫の愛に心打たれるところは、ワタクシも同じように感動したし、犯人を追いつめるところや、イレーネが機転を利かせて犯人に自白させるシーンなんかは一流のサスペンスを味わえる。ちらっとですが、70年代のアルゼンチンの政治的な背景も絡めてあるので、それが分からないとなんでこんな展開に?と思う方もいるかもしれません。

なんでしょうね、この不思議な感覚。サスペンスと愛の物語を絡めて描いていて、かつ文学的な香りが漂っている非常に上質の映画。それは脚本の良さとフアンホセカンパネラ監督の手腕ということでしょうか。それも、ベンハミンとイレーネの愛だけではなく、リカルドの愛、そして、パブロの友情としての愛も描かれているところが非常に良いですね。

あとは、登場する役者さんがみんな良いですね。一人一人のキャラクターに非常に合っている。リカルドダリンとソレダビジャミルは25年の時を経て登場するんだけど、現在と25年前のどちらが実年齢に近いのかよく分からないくらいだったな。

「瞳の奥の秘密」というタイトルにもいくつかの意味がかけてあって、ベンハミンはイレーネに恋していたからこそ、例の犯人を突き止めることができたのかなと思うところもありました。色んな要素が混在し、かつそれが混沌とならずに純粋なまでにまっすぐに語られる素晴らしい作品でした。


アマルフィ~女神の報酬

2010-08-25 | シネマ あ行
ケーブルテレビで見ました。

織田裕二天海祐希も好きなので、二人の共演を結構楽しめました。全編イタリアロケで道路も封鎖しちゃったりなんかして、日本映画にしては頑張ってるなぁって感じですね。まぁ、舞台がイタリアである必然性はなかったし、「アマルフィ」っていう題名だけど、そんなに関係もないなぁと。ただ、その舞台がどこかによって風景とかそういうことで楽しめるのも映画の醍醐味のひとつだと思うので、ドカンとお金かけてイタリアで撮っちゃえ、話題も狙っちゃえっていうのは商業的にはアリかな。

お話のほうは、あんまり期待してなかったからか、結構面白かったな。もちろん、こういうお話なので幼い娘を旅行先のイタリアで一人でトイレに行かせるか?とか警備会社に入るための誘拐って回りくどいなぁとか突っ込みたいところはあるんですが、全体的に楽しめたのでヨシとしちゃいます。

織田裕二が演じた黒田外交官のキャラがワタクシは好きでした。こういうタイプの話だと、黒田みたいな堅物の男が天海祐希演じる母親紗江子とイイ感じになっちゃったりして、興ざめするパターンがあるけど、この話の中では黒田は終始クールなキャラを保っていて良かった。疲れる男だけどね。織田裕二が演じるとまた疲れが倍増するんだわ。

福山雅治は完全なる客寄せパンダで、まったく必要なかったと思うけど、大塚寧々伊藤淳史はどこかで活躍するのかと思いきや特に関係なかったのがちょっと残念だったな。織田裕二の電話の相手が「誰か有名な人の声だなぁ」と思っていたら中井貴一だったらしい。天海祐希はでっかくって強そうだけど、この“愚かな”母親を演じて違和感なかった。元宝塚の人って男役だった人は特に舞台的な演技が抜けなくてしんどい人もいるけど、彼女は自然体で違和感がないですね。

外交官・黒田っていったい何者なんですかねー?なんか隠密行動が多い感じですよね。スパイじゃないけど、裏の世界の人間って感じで、実際にこういうポジションの人って日本の外交の世界にいるのかなぁ?黒田自身の背景とかそういうことって結構気になりますね。ドコモ動画では「アマルフィビギンズ」って黒田の過去とか語られてたみたいだけど、最近では「踊る~」のときもそうだったけど、ドコモ動画だけでそういうことするのやめてもらえないかなぁ。

好き嫌いはあるんでしょうけど、やっぱりこういう映画を引っ張っていけるのって織田裕二なんだなーと思いました。

キャタピラー

2010-08-24 | シネマ か行
前作「実録・連合赤軍あさま山荘への道程」で連合赤軍を描いた若松孝二監督が先の大戦をどういうふうに描くのか興味があったので、見に行ってきました。

手足を失い、頭の半分が焼けただれ聴覚も失った状態で日中戦争から戻ってきた夫・久蔵大西信満を村人は軍神様と崇め奉り、家族でさえも妻シゲ子寺島しのぶに夫に尽くすことを押し付けてくる。夫は毎日食べることと妻を求めることのみを繰り返し、妻は夫を虐めるためかのように夫を台車に乗せて外へ連れ出す。

この夫は戦争に行く前は妻を殴る男で、戦場でも現地の中国人を犯して虐殺するという行為を行ってきた人物だった。妻はそんな夫の世話をかいがいしくしながらも、食欲と性欲にまみれた夫にうんざりしていく。

正直なところ、この話が“愛”に満ちた話じゃなくて良かった。これが、この酷い夫が戦争で障害を負ったことによって改心したとか、それを献身的に世話する妻の愛だとか、そういうことが語られたなら、途中でうんざりしていたと思う。この夫婦に本当の意味での愛など元々存在せず、(執着や惰性という意味ではあったかもしれないが)それは夫があんな姿になって戻ってきてからも変わらなかったことからリアルな日常が描き出せたのだと思う。

そういう意味で、これは戦争を背景にした夫婦の愛憎物語という感じで、これを“反戦映画”というジャンルにするのはちょっと違うように思う。もちろん、久蔵は戦争のせいであんな身体になってしまったのだけれども、それによってもたらされる悲劇というものがあの夫婦の元々持っていた問題にかき消されてしまっているし、途中途中で挿入される戦況も夫婦の物語とはイマイチ関連性がなく、取ってつけたような印象が否めない。最後の元ちとせの歌も原爆を歌ったものだし、もちろん大義的には久蔵の障害も、原爆も関係はあるのだけど、映画としてはちょっと焦点がボケてしまったような気がするんですよね。

寺島しのぶがベルリン映画祭で女優賞を取りましたね。それに関しては異論の余地はありません。日本だけではなくて世界中を探してもこの役を演じられる女優はとても少ないと思います。それを女優としてのプロ意識とかそういうものだと呼ぶのはワタクシはちょっと違うとは思います。ぶっちゃけ、彼女ってそんなに顔をウリにできるようなタイプじゃないし、はっきり言ってこれは彼女の“ウリ”でしょ。だって鈴木京香がこの役やるとこ見たくはないし。キレイなだけが女優ではないけど、キレイがウリじゃない人はこういうこともやんないと、ってとこあるんじゃない?すごい根性してるなとは思いますし、受賞も当然だとは思いますが。

敗戦の日に軍神久蔵は自殺してしまいますが、あれがひとつの救いだと思ってしまったワタクシは人としてどうか?と自分でも思うところはあるのだけど、シゲ子の人生を考えるとあれが唯一の救いだと思わざるをえなかった。

最後の元ちとせの歌で泣きそうになりましたが、これは全然映画とは関係なかったな。映画の余韻に歌がプラスされて泣けたのではなくて、純粋に歌詞に泣けただけでした。“平和な世界にどうかしてちょうだい 炎が子供焼かないように あまいあめ玉がしゃぶれるように”平和って本当にこういうことなだけなんだと思うんだけどな。政治の世界のパワーバランスとか資源の奪い合いとかそういうことじゃなくて“炎が子供を焼かないように”って。

ヒックとドラゴン

2010-08-19 | シネマ は行

原題は「How To Train Your Dragon」で実際の登場人物はHiccup(しゃっくり)とToothless(歯ナシ)なんだけど、日本語ではヒックとトゥースという名前に変えられていました。“ヒカップ”と“トゥースレス”だと日本語的にはちょっと長すぎるし、子供たちには分かりにくいという判断だったのかな。まぁ、それはそれで良しとしましょう。

長年敵対関係にあるバイキングとドラゴン。ヒックジェイバルシェルはバイキングの長ストイックジェラルドバトラーの息子でありながら、ヤセっぽちでどんくさくて全然バイキングらしくない。そんなヒックがある日、凶悪なドラゴン“ナイトフューリー”を自作の武器で撃ち落とした。しかし、そんな話誰も信じてくれず、ヒックは証拠を探しに谷へ向かうとヒックの放った矢に捉えられたドラゴンが。ヒックはトドメを刺そうとするが、どうしてもできず、ドラゴンを解放してしまう。しかし、尾が傷ついたドラゴンはうまく飛べず谷に住み着いてしまい、ヒックは少しずつドラゴンとの距離を縮めていく。ヒックはドラゴンに“トゥース”と名前をつけ、傷ついた尾の変わりになる義足ならぬ、義尾を作ってやり、ドラゴンに乗りこなせるようになっていった。

ヒックがドラゴンの生態に詳しくなっていって、ドラゴンをやっつけるのではなく、手なずけることができるようになっていく過程が興味深かった。本当に野良犬や野良猫に人間を信用させて可愛がれるところまで持っていく過程とすごく似せて作ってあるところが感情移入しやすい。ドラゴンが犬や猫よりも知能の高い生物だと仮定して考えると、ヒックとのやり取りも納得できますね。

トゥースは見た目も決して可愛いほうではないけど(オオサンショウウオみたい)、やっぱりヒックに慣れていく姿を見ていると可愛く思えてくる。実際にクリエイターが飼っている猫などを参考にしたそうだから、その辺がうまく表現できていて素晴らしかった。

ヒックとお父さんの関係っていうのは、ちょっと単純すぎたかな~。アニメだし、あれくらいでちょうどいいのかもしれないけど、ヒックのお父さんがあまりにもヒックの言うことは無視だし、自分に都合の良い息子になったと思った途端「自慢の息子」で、がっかりさせたら、「お前なんか息子じゃない」なんてちょっと酷すぎるなぁってね。最後は謝ってくれたけどさ。

ドラゴンというものは洋の東西を問わず、架空の生き物として古代から存在して、人々を魅了してやまない存在だと思うんだけど、今回そのドラゴンにいろんな種類があるっていう設定がいままでにないなぁと感じました。それぞれのドラゴンがいろんな特徴を持っていて、これ考えるの楽しかっただろうなぁと思います。

欲を言うと、主人公の男の子や相手役の女の子の顔がもう少し可愛らしかったらなぁと思うのですが、これはアメリカン的にはOKなのかもしれません。その辺は文化的な好みの差なのか、よくアニメではそう思います。

夏のアニメということで単純に比較して考えると「トイストーリー3」のほうが上だなとは思うのですが、男の子はこちらのほうが面白いと感じる子も多いかもしれませんね。トゥースが飛ぶときのワクワク感なんかはたまらないんじゃないかなと思います。

オマケ1今朝、通勤電車の中で「まぁトイストーリーのほうが上だったなぁ。あの炎を目の前にしてみんなで手をつなぐシーンなんて…」とトイストーリーのことを考えていたらまたジーンときてうっすら涙すら浮かべている自分にさすがに「アホか」と思いました

オマケ2「Dream Works」のマークの月に腰かけている男の子がやけにリアルになっていて、ちょっと気持ち悪かったなぁ。


きな子~見習い警察犬の物語

2010-08-18 | シネマ か行
試写会に行ってきました。

んー、これは…どーでしょうか。

きな子はねぇ、確かにすんげえ可愛いっすよ。本物もすっごく可愛いラブちゃんだし、あのドンくささがなんとも言えない良さですよね。でも物語のほうはあんまりだったかなぁ。ちょっと甘すぎない?って感じで。

警察犬訓練所の所長寺脇康文がね、見習い訓練士の杏子夏帆に「(訓練を)勝手にやったらえーやんかー」って言うでしょ?あのシーン、ちょっと警察犬の訓練士さんが見たら怒りませんかね。だって、警察犬の訓練って犬にとってもそうかもしれないけど、人間にとってすごく厳しいものなんじゃないかな。見習い訓練士が何の指導もされることなく勝手に犬の訓練をつけるなんて、許されないと思うんだけど。見よう見まねで勝手にできるようなそんな甘い世界じゃないと思うんですが…

それからあの所長の娘、新奈大野百花の生意気な性格がめちゃくちゃ鼻についた。っていうか、おかん戸田菜穂もっと怒れよって思いましたね。会場のほとんどは彼女のセリフで笑っていたからワタクシが気に入らなかっただけなんだけど、あの生意気っぷりにワタクシはまーーーーったく笑えなかったし、製作者の姑息な意図を感じてダメだった。

クライマックスの遭難事件は、まぁあんなことでも入れておかないと全然ドラマになんないし、別にいいんだけど、きな子、杏子の家に行ったことないのにどうして杏子の家のほうに走って行ったんだろう?普通、訓練所のほうに行かないかい?ま、いいけど。

本物のきな子がいる訓練所の方たちはそんなに意見とか言える立場じゃなかったのかなーって感じです。きな子の映画ができることは嬉しくてもこの出来栄えじゃあねぇ、と思いつつですが、これでまたきな子に注目が集まればマスコット役としては大満足ってとこでしょうか。

ワタクシはあんまり楽しめなかったので、悪いことばかり書いてしまいましたが、会場の中には泣いている方もいらっしゃったので、良い作品だと思われる方も少なくはないようです。

ザ・コーヴ

2010-08-11 | シネマ さ行

まーいろいろと話題になっている作品ですな。一応、やっぱ見とこうかなと思ったのは多分テレビでは放映されることはないだろうなと思ったからです。あと、文句を言うなら見てからのほうがいいじゃない、とも。ワタクシの払ったお金が彼らに行くのはシャクですけどね。

しかし、これアカデミー賞取っちゃったんだよなー。これが受賞したと聞いたとき、またエライことになったなって思ったけどね。太地町の人々は彼らが挑発を繰り返した結果このような映像が撮れたとおっしゃってるんですけど、その映像をもっと大々的に放送することってできないんですかね?彼らもビデオカメラ構えてましたよね。巧みな編集でまるでリックオバリーたちが被害者のように描かれていると言うのだから、その証拠の映像をまとめて「メイキング・オブ・ザ・コーヴ」を作るべきだったと思うんですが、漁業組合ではそういうツテもお金もないということなんでしょうか。日本のニュースとかYou Tubeとかで問題にされてましたけど、その「メイキング・オブ・ザ・コーヴ」をアカデミーに送り付けるだけでも受賞するってことはなかったような気がするんですが、そういうわけにはいかんかったんですかね。

とは言え、日本人が心配するほどたくさんの欧米人がこの作品を見るとも思えないんですけどね。所詮ドキュメンタリーだし。アニマルプラネットとかで放映しちゃうのかな…ヨーロッパでは冷静な意見も見られたし、そんなにイルカ漁に文句言うならテキサスに来て牛殺しの文句言えよっていうおっさんも出てきている一方で、日系人のお墓を壊しちゃうオーストラリア人も出たりして困ったもんです。

純粋に映画としてはね、くやしいけど非常に良くできてます。誤解を恐れずに言うと見てて全然飽きないですもん。これが、日本のことじゃなかったらほんとにころっと洗脳されちゃいそうなくらい。他のドキュメンタリーを見る時も気をつけなきゃなって勉強させてもらった気分にもなりました。

可愛い可愛いイルカちゃんを食べるなんて、なんて野蛮なんだー。しかも撲殺するなんてサイテーだー。っていう主張は分かりましたよ。んで、牛とか豚は?ってな突っ込みは入れても無用なのかな。クジラだってね、昔はあの人たちバンバン獲ってたでしょ。しかも日本人みたいにどこの箇所も無駄にしないっていうんじゃなくてランプの油を取るというそれだけの目的でさ。

イルカが知能が高いっていうのもいいけどさー、じゃあアホな生き物は食べていいんかい?と。ならアホな人間は殺されてもいいんかい?と言いたくなりますな。はっきり言って食べるための撲殺より、水族館の見世物にするための捕獲のほうが問題じゃね?食べるためならいいでしょうよ。水族館に売ったらすごい良い金になるっていうビジネスが成り立ってるほうが問題じゃない?オーストラリア人も激しくクジラやイルカをかばってますけどね、オーストラリアにだってシーワールドがあって、イルカショーやってんじゃんよ。それに可愛い可愛いカンガルーちゃん、食べまくってるじゃん、と。しかも観光客に出して目玉にしてるじゃん。これが、無駄に自分を擁護することに長けている欧米人なら「カンガルー保護映画」なるカウンタームービーを作ってるとこじゃない?

イルカ肉には水銀がたくさん含まれていて、日本政府がそれを隠してるとかいう主張のところで水俣病の映像を出してくるのはもの凄く卑怯だと思いましたね。そんなふうにして人の恐怖心をあおりたいんやろうけど、可愛い可愛いイルカちゃんに水銀がいっぱい含まれてて危険だよっていう主張ってなんか変だなぁと。なら水銀が含まれてなかったら食べていいの?あんたらの主張はそうじゃないでしょ、と。まるでこっちの身体を心配してくれてるような顔してね。イルカの水銀中毒を言うなら、イルカのことを心配してあげれば?って思ったり。しかも、食べてる量で言えばマグロに含まれてる水銀のほうが問題だしね。まぁ、彼らにとっては可愛くも賢くもないマグロなんてどーなったっていいんでしょうけど。

とにかく自分の主張を何がなんでも通してやるっていう彼らのやり方にはある意味感心しますし、見習うべきところもあるかなと。(軽蔑もしますけどね)国際社会では結局それが主流のやり方なんだったら日本人も交渉とかするために学ぶべきところはあるでしょうね。あくまでも交渉ごとや主張を押し通すという意味であって、それ以外の部分の美学っていうのは彼らには理解できないところだと思いますがね。

このイルカ・クジラ問題はほとんど宗教化してると言っても過言ではないですね。だからこそ、かなりやっかい。彼らにとってはどこまで行っても「善」なんでしょうからね。

あの人たち、和歌山の旅館に泊まって何食べたのかなー?マグロとかエビとかイカとかイノシシとかに舌鼓を打ったんでしょうかねぇ。


魔法使いの弟子

2010-08-09 | シネマ ま行
試写会に行ってきました。

「魔法使いの弟子」ってー、もうちょっと良い邦題なかったの?って思ったけど、原題が「The Sorcerer's Apprentice」ってことでそのまんまだから仕方ないっすね。

製作がジェリーブラッカイマーニコラスケイジが主演ということであんまりワタクシ好みの作品ではないだろうなぁと思って、全然期待していなかったからか意外にまぁまぁ面白かったです。

史上最悪の魔法使いモルガナを倒すことができる運命の子を1000年間探し続けていたバルサザール(ケイジ)の前に現れたデイヴジェイバルシェル。選ばれた魔法使いにしか反応しないドラゴンの指輪がデイヴに反応を示し、バルサザールはデイヴを弟子として迎え魔法の使い方を教える。

デイヴは冴えない物理オタクの大学生なんだけど、バルサザールはデイヴが物理が得意なのも実は魔法の力を持っているからと言う。ここんとこが結構興味深い設定で、魔法というものを科学的に捉えて人間の脳を100%使うと分子レベルのものまでコントロールすることができるという。そして、脳を100%使うことができる能力を備えているのが魔法使いというわけ。でも、あの必殺技はカメハメ波みたいでちょっと笑えた。

しっかし、主役のデイヴを演じるジェイバルシェル君っていうのが、残念ながら全然カッコ良くなんですよね…なのにあんな可愛いベッキーテリーサパーマーとくっつくなんて、納得いかない!そりゃ確かにデイヴは冴えない男の子っていう役だけど、それでもやっぱり本当に冴えない子なのはイヤだ。ごめん。最近テレビに出ている中野裕太くんにちょっと似てるなぁと思いました。中野くんのほうがかっこいいけど。

デイヴが自分の研究室の掃除をするシーンでモップやホウキが動き出すところは製作がディズニーだけに「ファンタジア」のパロディっぽかったな。オマージュっていうのか。最後に映る魔法使いの帽子もミッキーが「ファンタジア」でかぶっている青い帽子みたいだった。

ニコラスケイジは元親友のショーンペンに「くだらない映画にばかり出ている」と言われるほど、確かにお金に魂を売ったようなブロックバスターものにしか出なくなっちゃったね。アクションものイコールくだらない映画とは言わないけど、確かにあぁお金欲しいんやなぁって感じの出演作が非常に多い。彼がアクションヒーローとして扱われているっていうのもちょっと不思議な現象ではあるけど。今回のバルサザール役はちょっと疲れた中年の魔法使いでカツラもすごく似合ってて良かったと思います。相手役もモニカベルッチで、変に妙に若い子とかじゃなくてつり合いが取れてました。

モニカベルッチに魔女ってすごく似合うな。もうちょっと活躍して欲しかったところです。上に書いたテリーサパーマーちゃんは、すごく魅力的な子でした。オーストラリア出身の女優さんなんですね。これから要チェックです

あんまり細かいことは考えず過度な期待をせずに見れば楽しめる作品だと思います。

ハンサム★スーツ

2010-08-06 | シネマ は行
面白かった~。

ワタクシ、塚地武雄(“たけお”じゃなくて“むが”なんですよね。渋い名前です)が好きなんです。初めて見たときは「うわー生理的に受け付けへんタイプやー」って思ったんですけど、ネタを見たらめっちゃくちゃ面白いし、普段のトークもめちゃくちゃ面白い。「この人マジおもろい」って思って見てたら生理的に受け付けない感じの外見もまったく気にならなくなった。ってこれってこの映画のテーマっぽい感じやなぁ。

中身は良い奴なんだけど、不細工でモテない琢朗(塚地)が、ある日ハンサム★スーツを手に入れ、ハンサムな男谷原章介となって光山杏仁と名付けられモデルデビュー。

琢朗は小さいときからその容姿で損をしてきているから、当然杏仁みたいなハンサムになりたいと思うだろうし、そりゃ男なら北川景子ちゃんみたいな美人を好きになるよな。でも、美人には美人の苦労があって、「美人だから好き」って言われることにうんざりしてる。不細工には不細工の、美人には美人の悩みってやつがあるんでしょうけど、皮肉なことに不細工と美人には「中身で判断してもらえない」という実は共通の悩みがあるわけですよ。

もし自分が琢朗だったら、杏仁の外見で食堂の兄ちゃんやりたい。最後に杏仁か自分かを選ばないといけないけど、杏仁の外見だったら絶対モデルやらないといけないわけじゃないでしょ?モデルの生き方がイヤなら食堂の兄ちゃんやればいいやん。でも、外見はやっぱり杏仁のほうがいいやん。あー、やっぱりワタクシって心がうす汚れているのか(爆)「人は外見じゃない」っていう教訓めいたお話なんだけど、まぁワタクシは子供ではないので、それはどっちでもいいです。やっぱ好みってあるし。「美人は3日で飽きるけど、ブスは3日で慣れる」とか言いますけどね、「慣れる」ってどんだけ失礼やねん!とも思いますし、「美人は3日でますます見たくなるけど、ブスは3日で殺したくなる」なんてね。こんなこと言ったらワタクシが殺されるか。

主題歌が渡辺美里の「マイレボリューション」で、それだけでも世代的にテンション上がっちゃうんですが、かかる曲かかる曲、青春ど真ん中だった頃の曲ばっかりでそれだけでも気持ちがかなり盛り上がっちゃいます。家で見てたので、時々口ずさんでしまったりしました。まーちょっとギャグは寒い感じだったり、後半の流れはモタつくとこもありますけどね。ちょっとしつこいっていうか。それは鈴木おさむが脚本だからかな。最近のテレビのしつこさっていうのが出てたような。

それでも許せるのはやっぱり塚地の力量だったと思います。やっぱコントであれだけうまい人は映画になっても演技うまい。谷章も突き抜けてやってくれてますしね。北川景子ちゃんも関西出身で面白い子だし、現場はすごく楽しかっただろうなぁと思います。

脇役も佐田真由美池内博之本上まなみブラザートム伊武雅刀温水洋一中条きよしとなかなかの面々が出ています。佐田真由美はワタクシが個人的に好きなだけですが。中条きよしが結構笑わせてくれました。まさに「ハンサムなおじさん」ですね。

最後のオチにはいろんな受け止め方があって、突っ込みを入れる人もいると思うんですが、先に書いたように「外見を抜きにして判断してもらいたい」と願う者同士がくっついたということで、あんまり深く考えずメデタシメデタシでいいんじゃないでしょうか。

ソルト

2010-08-05 | シネマ さ行
「ロシア大統領暗殺のために、ロシアのスパイが送られている。そのスパイの名はイヴリンソルト」
「イヴリンソルトは私よ」
「なら、お前がそのロシアのスパイだ」

このやりとりは何度も予告編で見たのだが、何度見てもゾクゾクする。アンジェリーナジョリーだもの。ロシアのスパイだもの。リアルさなんてどーでもいいよ。っていう気持ちで最初っから見てるもんだから、アンジーがどんな無茶なアクションしようとも冷めるどころか、もっとド派手にやってくれって思えちゃう。

リアルさなんてどーでもいいと言いつつも、最近アメリカでロシアのスパイが大量に捕まったりしてね。やっぱりあるのかーって。でも、なんか穏便に済ませちゃったけどさー、あれってどういうことなんだろ?お互いにそういうことやりやってるから、変に突っ込まずに「まーまーまー」みたいな感じでやり過ごしてしまおうって感じなのかな。

話を映画に戻しまして。育成されたエリートスパイがハメられて、逃げながら黒幕を追うってー、まるっきり「ボーンアイデンティティ」やないのー。と突っ込みを入れつつも、アンジーだったらなんでもアリじゃーん、と。これってもともとトムクルーズが主役の企画だったらしいんだけど、トムクルーズがやったんじゃ全然面白くないよ。変装のとこだってまるっきりイーサンハントになっちゃうし。途中で観客もろとも騙しつつも、まぁソルトが悪者なワケないかーと。これで本当にソルトが悪者だったほうが面白かったかもと思いつつ、やっぱそういうワケにはいかないのかな。

脇を固めるリーヴシュライバーキウェテルイジョフォーがいいんですよね。この二人はどこに出ててもいつもイイ味出してくれるから好きです。二人ともインテリな感じが似合いますね。リーヴシュライバーなんて、図体もやたらとデカいし、風貌も熊みたいなのに、それでいてスマートな雰囲気があるっていう不思議な存在。ナオミワッツとのツーショットがとても良く似合う人。

今回、アンジーの金髪と黒髪が見れるんだけど、彼女は普段しているその中間のブラウンの髪が一番似合ってるなぁ。あと、この作品の中もそうだけど、最近ちょっと痩せすぎだよね。もうちょっとふっくらしたほうが可愛いと思うんだけどなぁ。ブラピもそう言ってるみたいだし。6人の子育てで太っているヒマがないのか。これからクレオパトラもやるみたいなので、また太れない感じかなー。何はともあれ、アンジーにはこれからもガンガンに飛ばしちゃってほしいです。

インセプション

2010-08-04 | シネマ あ行

見てまいりました。話題の「インセプション」

が、ワタクシちょっとウトウトしながら見ちゃったのですごめんなさい。
いやー、決してこの作品が退屈だったからではなくて単なるワタクシの体調の問題なので、これから見に行こうと思っている方は安心してください。

他人の夢の中に入り込みアイデアを盗むという非合法の仕事をしているコブレオナルドディカプリオ。今回のターゲットはサイトー渡辺謙だったが、失敗。反対にサイトーからアイデアを“盗む”のではなく、他人の夢にとあるアイデアを“植え付けて”思考を操作するという仕事を依頼される。その見返りに事情があって国に帰れず会うことのできていない子供たちに会うために国に返してくれるという。

危険な仕事になるため仲間には反対されるが、コブは子供たち会いたさに引き受ける。

夢にとあるアイデアを植え付けることでサイトーのライバル会社を二代目息子ロバートフッシャーキリアンマーフィーの代で崩壊させようというのがサイトーの狙いだ。

アイデアを植え付けるには深層心理へ入っていかなくてはいけない。夢の中の夢、そのまた夢へと侵入し深層心理へ入っていくためにコブはチームを集めて挑む。

夢を設計する仕事をコブに依頼されるアリアドネは「ジュノ」エレンペイジ。彼女にはこういう賢そうな役がよく似合う。「ジュノ」のとき、うまいなぁと思ったけどあれしか見てなかったので、今回やっぱりうまいなぁということが分かりました。若いのに落ち着いていて妙に説得力がありますね。

夢の中の夢に入っていくときに、一人は起きている人を作っておかなくてはいけないので、それぞれのステージでチームのメンバーが活躍することができるので、レオだけが目立つことなくメンバーが活躍できるというのもいいところでした。

それにしてもレオ演じるコブは、奥さんのモルマリオンコティアールにばかり囚われていて、彼のせいでピンチになることも多く、本当に優秀なエクストラクターなのかどうかっていうのが途中から分からなくなってきちゃいました。コイツさえいなきゃうまくいくんじゃねーの?なんて思えてきて…いきなりサイトーがターゲットな仕事から、サイトーに依頼された仕事になるので、彼の“優秀な”仕事っぷりっていうのがいまいち表現されていなかったような。サイトーの仕事の前にひとつふたつ成功例を見せてくれると良かったんですが。

しかし、最近見る映画見る映画にマリオンコティアールが出ている気がする。とびぬけて美人じゃないけど、そこがまた使いやすいのかな。演技力はしっかりしているしね。コブが翻弄されるのもよく分かる。メインのストーリーの裏で、コブとモルのラブストーリーが解き明かされていくところも興味深かったです。ワタクシ個人的には、いままでの中で初めてレオがちゃんとした大人の男に見えました。(いままではどうしてもどこかの青年にしか見えなかった)それもマリオンのおかげもあるのかな。

「ザ・セル」のように人の心の中に入り込んで、人の心を覗くっていうシチュエーションの作品はいままでにもあったと思うんだけど、そこにアイデアを植え付けてその人の思考を操るっていうのは斬新だったな。

CGはできるだけ使っていないらしく、巨大な傾いていくセットの中で役者たちが耐えたり、ジョセフゴードンレヴィットは無重力という設定の中で動き回って大変だったみたいですが、映像は非常に美しいですね。特に、アリアドネとコブの周辺でパリの街が爆発していくシーンはすごかった。クリストファーノーラン監督の頭ん中って不思議な感じになっていそうですね。あの話を書いていて、自分がこんがらがってきちゃいそうですけどね。

ぶっちゃけもう1回見ないとちょっと分からない部分もありました。一瞬ウトッとしたところがあったせいもありなんだけど、そうでなくてももう1度見たいと思わせる作品ではないでしょうか。