「ハチ公物語」は未見です。実際のハチ公がどんな目に遭ったかっていう話も本当のとこどうなんだか知りません。ただこのハリウッド版の感想としてお読みください。
現在アメリカにはアメリカンアキタと呼ばれる種類の日本の秋田犬をもとに作った犬種がいますが、おそらくこの純日本産のHACHIを登場させるためにわざわざ冒頭のシーンを作り、日本からの迷子犬ということにしたんでしょう。飛行機に乗るのに、あんなカゴで乗るなんてちょっと不自然な気もするけど、まぁそのへんは目をつぶりましょう。
このハチがベッドリッジ駅でパーカーリチャードギアに出会う。とにかく仔犬のハチの可愛いこと。そりゃ、パーカーだって飼いたいってなるわな~。ワタクシも秋田犬は飼いたい犬種の上位にいるんですよねー。秋田犬って超かわいい。この純日本産の犬に「ハチ」という日本の名前をつけるために、パーカーの同僚に日系のケン ケイリー=ヒロユキタガワを登場させているところもなかなかうまい。
アメリカ人が揃って「ハァチィ、ハァチィ」という姿は日本人としてはどうしても違和感があるんだけど、お父さんと一緒に駅まで行く姿とか帰りを待っている姿とか全部がかわいくて微笑ましい。最初は飼うのを反対していたお母さんジョーンアレンも(前の犬が死んだトラウマ?)お父さんがいない間にいっぱいおやつをあげたりして、ハチをかわいがっているのがよく分かる演出になっていた。
毎日毎日お父さんと一緒に駅まで行って、夕方に迎えに行っていたハチがお父さんが突然亡くなって、それでも駅で待ち続けるという文章にしてしまうとそれだけの話なので、映画にまで広げるのは結構大変なんじゃないかなと思ったけど、お父さんとハチの関係を丁寧に描くことで待ち続けるハチの姿が一層感動的になっていたし、映画の展開が待ち続けるハチだけになったときも全然退屈せずに見ていられることができた。
一時は引っ越した娘さんサラローマーのところに引き取られたハチだったけど、やっぱりお父さんに会いたくて、駅まで行ってしまう。「え?居場所が分かってるなら何度でも連れ戻しに来ないか?」と思ったけど、何度連れ戻してもきっと行っちゃったんだろうね。新聞に載ったのも知らないほどのところ引っ越しちゃったんだろうし。(アメリカには無数の地方紙があるから少し離れると別の地方紙になったりするだろうし)ここでは新しい飼い主としてなついてくれないって悲しいだろうなぁって変にこの娘さんに同情してしまったワタクシでした。
もちろんお父さんは一度も現れることなく時だけが過ぎていく。衰えていくハチの姿とともに、時折映像がハチの目線に変わるのが切ない。犬を飼っている者としてはたまらないなぁ。自分が死んだらうちの犬もこんなふうに帰りを待ってくれるのかなぁなんて自分に重ね合わせたりしてね。10年後にはお母さんにも再会できたし、そしてついに最後の最後はお父さんが「ハァチィ」って現れてくれて、ここは涙なしでは見られません。「あぁ、ハチ良かったね。やっとお父さんに会えたね」って。
本編が終わってから、日本のハチ公の説明書きが入り、ハチの写真や渋谷のハチ公の銅像が写ったりして、ラッセハルストレム監督が、日本のハチのことを大切に想いながらこの作品を作ったことが分かって二重にじーんときました。