シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

フィールドオブドリームス

2005-07-05 | シネマ は行
"If you build it, he will come."というお告げをとうもろこし畑で聞き、そこをつぶして野球場を作ってしまうという頭のおかしな男ケビンコスナーの話だ。実際、周囲からは変人扱いされる彼だが…

このころのケビンコスナーは売れ盛りのころで、一つの信念を持ってひたむきに突き進む役がとてもよく似合っていた。

さて、このお告げがいったい何のことを指しているのかをたどっていく過程が面白い。最初は反対していた奥さんエイミーマディガンも予知夢みたいなのを見て、その予知夢に従って、旦那は伝説の小説家J.D.サリンジャージェームズアールジョーンズに会いに行き、その彼とも新たなお告げを見る。この小説家がJ.D.サリンジャーだというのは映画でははっきり語られないが原作では名前まではっきり出ている。権利の問題か何かで映画では明言が避けられたのかもしれない。

彼を登場人物として扱えない代わりかどうか、PTAで彼の小説(おそらく「ライ麦畑でつかまえて」だろう)が禁止本にされそうになるエピソードが挿入されている。この本が禁止されそうになるのを主人公の奥さんが演説をぶって救うのだ。原作での奥さんは金髪の女性らしい感じの人だが、このシーンを撮りたいがためにエイミーマディガンにしたんじゃないかと思えるほど、彼女にピッタリ合ったシーンだ。始めは反対しながらも旦那をサポートしていく姿など、このヘンテコな状態を楽しんでいるようでもありエイミーマディガンがクールなママを演じてすごくいい味を出していた。

手作り野球場のほうでは、八百長事件で追放になったシューレスジョージャクソンたちがプレーしに来る。そんな彼らを見に来るお客も増えてくる。よく考えると、プレイヤーは幽霊で気持ち悪いのだけど、映画の冒頭からファンタジーの世界にどっぷりハマってしまっているので、あんまり違和感ないですね。

そして、そもそものお告げのことなんか忘れかけてたわって頃にきちんとあのお告げが何だったのかを明かしてくれます。根本的に「なんで?」は聞いちゃいけない質問ですけどね。

J.D.サリンジャー、とうもろこし畑、レモネード、野球という古き良きアメリカを感じる作品です。