シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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カミハテ商店

2012-12-27 | シネマ か行

劇場で予告編を見て興味が湧いたので行きました。

山陰のさびれた港町・上終(カミハテ)という自殺の名所で小さな商店を営む千代高橋惠子。彼女の焼くコッペパンと牛乳を自殺者は最後に口にして断崖絶壁へと向かう。千代は彼らが残した靴を持ち帰り、家に置いている。彼女の父親もまた彼女が幼いときに彼女の目の前で断崖に身を投げて自殺している。

千代を訪ねてくるのは牛乳屋の知的障害の奥田君深谷健人と役所の福祉課の須藤水上竜士くらいで、あとは自殺願望者だけだ。

千代の弟良雄寺島進は都会で会社を経営しているが、売り上げが回収できず支払いに困っている。そんなときホステスのさわ平岡美保に出会う。さわは連れ子を一人で育てていたが、貯金通帳と連れ子を良雄に託して姿を消してしまう。

千代の店の前に毎日バスが来る。おそらく数時間に1本。一日に数本といったところだろう。千代はバスが停まる度に身を固くして待っている。今日は自殺者が降りてくるのか、誰も降りてこないと分かると千代はまたコタツに寝転がり、自殺した父と病気で亡くなった母を想う。

自殺者が最後にパンを食べる店としてネットでウワサになってしまった千代の店に面白半分で訪ねてきた女の子たちを千代は酷く冷たく追い返した。自殺者が来たからといって止めるわけでもない千代だが、自殺者をあざ笑うような人間は許せないのだろう。

ある日、子供を置いて自殺しに断崖へ行こうとした母親を止めた千代は警察や役所からお手柄と言われるが、その親子は帰り道で線路に飛び込んで死んでしまった。自分が止めさえしなければせめて子供だけでも助かったものを。千代はそう思ったに違いない。それでも奥田君が断崖に立っていた時、それを止めずにはいられなかった。

またある時やってきた若い女性にはパンはないと言って追い返してしまう千代。その女性は「ここのパン食べて死のうと思っていたのに調子が狂った」とバスの運転手あがた森魚に言い残し帰って行った。人は何かにすがりついて何でもいいから理由をつけて死なないでおこうと思いたいのかもしれない。自殺者を送り届けることの多いバスの運転手が「連れてきた人を帰りも乗せるのは目覚めがいいもんだね」と言う。自分には直接関係がなくともやはり人の自殺というのは重く心にのしかかるものなのだろう。

弟の話と千代の話がどこで合流するのかと思っていたら、最後に行方をくらませたさわが千代の店にやってくる。彼女は無事もう一度帰ることができたのか。

おそらく病気を抱えていると思われる千代はただ淡々と日々を生きている。あまりに淡々としていて見ているのはちょっとツライ。セリフが非常に少ない中で高橋惠子の演技は素晴らしいんだけれど。

ただ、ワタクシはセリフの少ない映画というのが結構苦手なので。製作者側が言わんとしていることは受け止めてることはできていると思うんだけど、もう一度見たいかと言われればNOだし、人に薦めるかと言われても正直こういう映画が非常に好きという人にしか薦めないな。ごめんなさい。

自殺が愚かなことなのか、命は尊いものなのか、この作品はその答えを観客に押し付けはしない。ただもし自殺の名所まで行って自殺を思いとどまった人々が、現実に帰っていってまた生きようと思える世の中なのか。自殺大国と言われるこの国の受け皿というもの関して考えさせられた。

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アメリカドラマ忘備録8

2012-12-26 | 海外ドラマ

忘備録を書くのを忘れるというボケたことをしてしまいまして、以前に書いてからかなり溜まってしまいました。


「アグリーベティ」シーズン1、2、3、4(途中)



シーズン4エピソード8まで見たんですが、なんか途中で放送時間が変わってしまって見逃してしまいました。9、10回目を録画し損ねているので、レンタルして録りだめた続きを見ないといけないんですけど、まだレンタルできていません。「ベティ」を見るとハッピーな気持ちになるので早く見たいです。ってか、シーズン途中で放映時間変えるなんてやめてほしい。


「キャッスル」シーズン1、2、3(終了)



ベケットスタナカティックが撃たれて大変なところでシーズン3が終わってしまいました。ベケットは主役だから死ぬわけはないんだけど。撃たれたベケットをキャッスルネイサンフィリオンが胸に抱いて"I love you."って言っちゃってましたねー。シーズン4ではいよいよ恋人同士になっちゃうってことですかね。


「コールドケース」シーズン1、2、3、4、5(終了)



シーズンが進むにつれて、音楽にあまり重点が置かれないようになってきたような気がしますが、どうなんでしょうか。あいかわらず、リリーキャサリンモスは美しく、エピソードは切なくて泣けるものが多いですね。時折、ジェニファーローレンスとかシャイリーンウッドリーとかいま活躍している子がまだ無名のときに出演していたりするのが楽しいです。途中から殺人課に加わったキャットミラートレイシートムズもなかなか良いケミストリーを生み出しています。ニックヴェラジェレミーラッチフォードはいつも事件関係者の憎まれ口を叩いたりしますが、実は一番彼らに入り込んで彼らの気持ちを理解しようとしたりしているところが好きです。スコッティヴァレンズダニーピノとリリーの関係も徐々に良い相棒になっていっているのが良いですね。いまシーズン6を放映していますが、まだ録画して見ていません。


「ブラザーズ&シスターズ」シーズン1、2、3、4、5(終了)



シーズン5全109話見終わりました。一回一回独立している話が多いアメリカドラマの中でこういうタイプのを109話一気に見るというのは結構面白いもんですね。まー、それにしてもこれだけ家族でごちゃごちゃとすごいですね。でも家族の話と言っても、結構インテリの人たちが早口でまくしたててケンカする姿というのは見ていて小気味良かったです。最後らへんはちょっともうダラダラ続けてる感ありましたけど、それもアメリカドラマの典型的な例ではないでしょうかね。ケヴィンマシューリースは後半でひげを生やしているのが前半より良かったですね。スコッティルークマクファーレンは最初のほう嫌いでしたけど、ぐいぐい好感度を上げて行ったキャストでした。個人的にはロバートロブロウが亡くなって、レベッカエミリーヴァンキャンプがいなくなってしまって以降は急速に面白くなくなってしまいましたが、あと少し!って感じで見終わりました。エミリーヴァンキャンプはこのドラマの一番の収穫でした。


「レバレッジ」 シーズン1、2、3、4(終了)



シーズン4で完全に終了ですかね?5人の結束がどんどん固くなっていくのが良かったな。エリオットクリスチャンケインがどんどんパーカーベスリースグリフとハーディソンオルディスホッジの保護者みたいになっているのが面白かった。最後のエピソードではいままで登場した他のキャラクターたちも総出演だったのが良かったですね。


「NCIS:LA」 シーズン1、2、3(途中)



全員でケンジーダニエラルアーを騙す回がなんか切なかったです。ケンジーってやっぱディークスエリッククリスチャンオルセンのこと好きなんだよね。なんかディークスは煮え切らんけど。それでごちゃごちゃと暗号のように持って回った言い方をするので何がいいたいのかよく分からんときがあります。
ケンジーが殺人犯に疑われるエピソードも良かったな。このときもディークスは「一秒たりとも君を疑ったことはない」とか言っちゃってさー。もう早くくっつけばいいのに。くっつくと言えばエリックバーレットフォアとネルレネーフェリススミスもあやしい雰囲気ですね。
これも数回のエピソードを録り損ねてしまって現在再放送待ち中です。


「クリミナルマインド」 シーズン1、2(途中)



毎回シリアスで眉間にシワを寄せながら見てしまいます。ギデオンマンディパティンキンが若いメンバーを思いやっているのがすごく分かっていいですね。もうこれは他のドラマとは緊張感が全然違います。ワタクシはスペンサーリードマシューグレイギュブラーが好きだなぁ。天才なんだけど、その分世間を知らない感じで可愛いです。彼のお母さん役で「グリー」のジェーンリンチが登場したのでビックリしました。


「チャック」シーズン1、2、3、4(途中)



最近見始めたスパイコメディなんですが、シーズン3まで一気に見てしまうほど非常に面白いです。いままでこんなに失神する主人公っていましたっけ?ていうくらい情けないオタクのチャックザッカリーリーヴァイが主役です。チャックとサライヴォンヌストラホフスキーがなかなかくっつかなくてシーズン3の最初のあたりではもういい加減にしてよっ!ってイライラしてたんですが、やっとくっついてホッとしてます。チャックとサラのいちゃいちゃぶりが自然過ぎて、本当にザッカリーリーヴァイとイヴォンヌストラホフスキーって付き合ってんじゃないの?とさえ思っちゃう。
2人を見守るスパイ仲間のケイシーアダムボールドウィンが怖い顔して実は良い人で、チャックを影ながらフォローしてくれてサラのこともいつも気にかけてくれているのに、それを表に出さずにいるところが大好きです。彼の唸り声がクセになりそうです。
そして、チャックの過保護なお姉さんエリーサラランカスターも素敵だし、その恋人デヴォン(キャプテンオーサム)ライアンマクパートリンが実はあんな笑いのパートを担うようになるとは最初は全然予想だにしていませんでした。
チャックの親友のモーガンジョシュアゴメスも何かと絡んできて笑わせてくれますし、チャックが務めるバイモアの店員たちもこのドラマには欠かせないキャストたちです。モーガンはシーズン4ではもうすっかりスパイの一員としてボケボケながら実は肝心なところで助けてくれる存在です。
シーズン1、2は情けないオタクのチャックで、シーズン3で強くなってしまって面白くなくなるかと思いきや全然そんなことなく同じように笑わせてくれます。シーズン4になってからはちょっと失速かなぁという気もしますが、リンダハミルトンティモシーダルトン(元007!)という豪華キャストもいますし、毎回楽しみに見ています。

これは見ている人にしか分からないのですが、チャックとサラがようやくくっついたときのベックマン准将ボニータフリーデリシー"It's about damn time!"はコメディドラマ史に残る名セリフでしたね。


「ママと恋に落ちるまで」シーズン1、2(終了)



これは途中で笑い声が入ったりするアメリカの典型的なコメディです。2030年、子供たちに自分がどうやってママとくっついたのか話して聞かせるパパのお話。かなりベタな感じで、パパの親友のバーニーニールパトリックハリスがウザいんですがそれでもやっぱり笑えてしまいます。実は良い奴だったりするしね。それにしてもニールパトリックハリスって子役出身ですが、すごく芸達者な人ですね。アメリカンなちょっとだけ下品な笑いが好きな人にはいいと思います。シーズン5まであるようなのでこれからの放送を楽しみに待っています。


「ユナイテッドステイツオブタラ」シーズン1、2(脱落)



シーズン2が始まりました。なんかもう「1」よりさらに家族全員がバラバラの方向に行っていて、話がどこへ向かっているのかさっぱり分からなくて、なんか見るのがイヤになってしまって途中で止めてしまいました。


「モダンファミリー」シーズン1、2(途中)



待ってましたよ、シーズン2!先日アメリカのエミー賞のコメディ部門で作品賞、助演女優賞、助演男優賞を受賞しましたね。受賞できなかったキャストもほとんどノミネートされるという快挙。そりゃ、賞取って当たり前でしょってなクオリティで笑わせてくれます。
グロリアソフィアヴァルガラのラテン女っぷりとか、フィルタイバーレルのアホっぷりとかシーズン2でも健在!って感じですが、シーズン2はシーズン1に比べるとちょっとトーンダウンかなぁ。期待値が高いということもあると思いますが。やっぱりワタクシはグロリアもいいけど、クレアジュリーボーウェンが好きだな。


「ボーンズ」シーズン1、2、3、4、5、6、7(途中)



始まりました、シーズン7。事件の内容は特に代わり映えしませんが、ブレナンエミリーデシャネルがブースデイヴィッドボレアナスの子どもを産むシーズンということでそちらのほうに楽しみが移っています。妊娠しても相変わらずなブレナンと彼女を心配するブースの姿が微笑ましくもオカシイですね。アンジェラミカエラコンリンとホッジンスT.J.サインの赤ちゃんも無事に生まれて「ボーンズ」ファミリーに入っているのが可愛いです。


「グッドワイフ」シーズン1、2(途中)



シーズン2始まりました。すごく楽しみにしていました。シーズン1の最後でアリシアジュリアナマグリーズに告白したウィルジョッシュチャールズですが、なんだかこの2人はすれ違っていますね。まぁ、付き合うとなると不倫だしそう簡単にはいかないと思いますが。
一回一回で完結する裁判のほうは興味深くて面白いですが、旦那のピータークリスノースの選挙のほうは、もういつまでやってんの?って気がしてしまいます。毎回インテリジェンスな緊張感に包まれている心地よいドラマですね。


「Lの世界」シーズン1(途中)



もう何年遅れ?って感じですが、再放送が始まったので見始めました。当時一世を風靡したレズビアンドラマですね。キャストの中では断トツマリーナカリーナロンバートがカッコいいですね。あとはシェーンキャサリンメーニッヒも好きかな。シェーンは女にはだらしないですが、なんか良い子そうなので。いまんとこ。恋人と赤ちゃんを作ろうとしているベットジェニファービールスに関しては、彼女を見るといつでもどこでも「Flashdance」がついつい頭の中で流れてしまって困ります(笑)そのベットの恋人ティナローレルホロマンは髪の毛をくくっているときと下ろしてているときの見た目年齢にギャップがあり過ぎて驚きます。
まだ数回見ただけなんですが、なんかこう演出がまどろっこしいというか、どうもテンポがもっさりした感じで1時間が非常に長く感じます。編集も悪いしね。その辺が改善されると面白いドラマになると思うんですけどねぇ。


「フリンジ」シーズン1(途中)



以前から興味があって、一気放送が始まったので見始めました。疑似科学とかエセ科学の世界の話なんですね。ちょっと超自然的な話とは知っていましたが、ここまでどっぷりだとは知りませんでした。でも、結構面白い。「んなアホな~」っていう展開なんですけどね。
主役のオリビアダナムアナトーヴがキレイな顔立ちなのにまったく色気がないのは、まゆ毛が薄すぎるからではないかと勝手に考えています。FBI捜査官だから余計な色気はいらないという演出かもしれませんが。
オリビアの捜査に協力するウォルタービショップ博士を演じるジョンノーブルが「ロードオブザリング」のデネソールだと分かった時はちょっと興奮しました。どっかで見たことある~ってずっと考えていて、そうや!と思いだしたときは嬉しかったです。このウォルタービショップ博士がちょっとマヌケでチャーミングなところがあって、シリアスな話にちょっとした笑いのスパイスを足す役割も果たしています。

「ウォーキングデッド」はシーズン3が始まっているのですが、チェックし損ねていて録画できず、最初からの再放送を待っています。
「NCIS」シーズン8は録画して溜まっている状態でまだ見始めていません。
「パーソンオブインタレスト」は面白そうではあったんですが、何回か見てやめちゃいました。やっぱり美女が出てこないとなぁ。

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レ・ミゼラブル

2012-12-25 | シネマ ら行

これも「ホビット」同様、ずっとずっと楽しみに公開を待っていた作品です。まずアンハサウェイが新作のために髪を切ったというニュースがあって、それもショートカットとかいうのではなくて写真を見るとトラ刈り状態。彼女は「レ・ミゼラブル」のフォンテーヌ、ヒュージャックマンがジャンヴァルジャン、アマンダサイフリッドがコゼットを演じるという。しかも、それがミュージカルだっていうんだから、もうそれからは楽しみすぎてしょうがなかったです。ワタクシ、昔はミュージカルって嫌いだったんですけど、最近結構好きだな。歳取ったせいなのか?

何より、先にレコーディングをしてあとで口を合わせて撮影するやり方ではなく、撮影しているその場で歌って収録したというのも期待感を大きくさせる一因でしたし、キャスティングは現在の映画界で考えられる最高のキャスティングと言えるということも大いに気持ちを盛り上がらせる一因でした。

ヒュージャックマンはもともとミュージカルやってた人だし、アマンダサイフリッドは「マンマミーア」やその他で歌唱力は証明済み。アンハサウェイって歌えるの?って思ったら、お母さんはミュージカル女優だったんですね。いつか自分もこの役をやりたくてボイストレーニングはずっと受けていたとか。彼女が歌う「I Dreamed a Dream」は予告編で聞いた時から涙が出そうでしたが、本編で見るとより一層素晴らしく、口をぽかんと開けて見入ってしまう歌い上げっぷり。エモーショナルなシーンで涙を流しながら痛々しげに歌う姿に心が震えました。あれほどのシーンをノーカットで撮り切ってしまうというのは非常に勇気がいったんじゃないかと思いました。

ジャンヴァルジャンを執拗に追い続けるジャベール警部にラッセルクロウ。ラッセルクロウ???あの無骨なイメージの?ジャベール警部ってあんまり歌うパートないの?と思ってたら!ごめんよ、ラッセル。あなたがあんなに朗々と歌うことができるなんて想像だにしなかった。彼が自殺の前に歌う「Javert's Suiside」という曲はジャンヴァルジャンが歌う「What Have I Done?」と同じメロディで二人のアイデンティティについての想いを歌います。

コゼットと一目惚れの恋に落ちるマリウスにはエディレッドメイン。彼も最近映画の出演が非常に多い若手だけど、なんと歌も非常にうまい。貧乏弁護士でありながら、実はええとこのぼんぼんという雰囲気もエディレッドメインにぴったりでした。

そのマリウスに恋しているコゼットを虐待して育てていたテナルディエ夫妻サシャバロンコーエンヘレナボナムカーターの娘エポニーヌサマンサバンクスは今回もしかしたら一番の注目株になったかも?マリウスがコゼットに恋してしまったことを知り、恋に破れたエポニーヌが歌う「On My Own」は本当に切なさがこもっていて、もらい泣きしてしまいそう。彼女に決まるまでは様々な有名な歌手や女優の名前が候補に挙がっていたようですが、彼女に決めて完全に正解でしたね。

アマンダサイフリッドに関しても歌唱力は証明済みと書きましたが、それでもあんなに高音が出せるとは思わなかった。トムフーパー監督が「天使の歌声」と評していたのがよく分かります。

ジャンヴァルジャン以外にここまで挙げたキャストたちは、みんなだいたい平等に助演といった感じですが、ジャンヴァルジャン演じるヒュージャックマンはもちろん断トツに出演時間が長い。そのヒューが当然一番存在感があり、歌声も素晴らしくこの長い映画をぐいぐいと引っ張っていきます。ジャンヴァルジャンという複雑な要素を持ち合わせた男を歌声だけで、きちんと表現していく力は素晴らしかったです。

彼らメインキャストの他にも革命を引っ張るアンジョルラスアーロントヴェイトも良かったなぁ。彼はこれから映画に出演してくれるでしょうか。これからの彼の動向に注目していきたいです。二人の子役ももちろん歌が上手だったな。他の囚人、女工、売春婦、群集を演じる人々もミュージカルのキャストから選ばれているから全員が素晴らしい。

歌が素晴らしい素晴らしいと何度も書いてしまいましたが、もう本当にそれだけ何度も書いてしまうほどに素晴らしかったです。そして、それプラス壮大なカメラワークで映画ならではのスケール感を楽しむこともできました。最後の総キャストで歌う「Do You Hear the People Sing?」のシーンなどは舞台では味わえない迫力でしょう。

ほぼすべてのセリフが歌というタイプのミュージカルなので、拒否反応を示す人は全然ダメだと思いますが、そうでない方はぜひご覧になってほしいです。上映時間は2時間38分と長いですが、まったく長さは感じない心を揺さぶられる名作を今年の最後に見ることができて非常に幸せでした。

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ジェネラルルージュの凱旋

2012-12-21 | シネマ さ行

「チームバチスタの栄光」の2作目です。ケーブルテレビで見ました。

チームバチスタ事件から1年後、高階院長國村隼から倫理委員会の委員長を命じられイヤイヤその仕事をこなしていた“愚痴外来”の田口先生竹内結子のところに1通の告発文が届く。

「救急救命センター長の速水先生堺雅人はメディカルアーツと癒着している。花房看護師長羽田美智子も共犯だ」

またもや田口先生はオロオロしながらも調査を開始し始めたところへ、例の厚生労働省のお役人・白鳥圭輔阿部寛が同様の告発文を受け取ったと言い病院にやってきた。

今回は救急救命が舞台とあって、スピーディでスリル満点なシーンがあって面白い。登場人物も多彩で前作よりも横幅が広い感じ。

スタッフをどんなに酷使しても、ICUから無理やり患者を一般病棟に移動させてでもすべての救急患者を受け入れるセンター長・速水。彼の不気味なまでの救急医療へのこだわりはどこから来ているのか。彼のような医者が医療メーカーと癒着して個人的に利益供与を受けているなんてことがあるのか。それとも、方々から嫌われている速水を陥れるためのワナなのか。

まー、それにしてもスキャンダルの多い病院だこと。あのバチスタ事件から1年でまたこんなスキャンダルが発覚したら大変なことになるぞ。本当なら多分もみ消しだね。おそらく厚労省もグルになってもみ消すね。このお話の中では厚労省は一応それを解明して暴く“正義”の立場だからそれはないけど。

今回ものほほーんとしたとぼけた味でパッシブフェーズが得意な田口先生と嫌味なことをズバズバと言って人の神経を逆なでするアクティブブフェーズが得意な白鳥が、良いコンビネーションで事件を解決していきます。前半に隠された色々なヒントが後半できちんと回収されていくのが気持ちいい。

倫理委員会での速水の“告白”のシーンもさすが堺雅人といった感じで迫力があるし、それを中断して入ってくる緊急事態からのラストの盛り上がりも良い。

なぜ速水が「ジェネラルルージュ」と呼ばれているかというエピソードはちょっと、、、なんかワタクシは引いてしまった。いくら顔色が悪かったら患者もチームも不安に思うとは言え、普通に医者が真っ赤な口紅ひいていたら超ビックリするよね~。「この医者、ふざけてる?」って思ってしまいそう。ワタクシはその口紅を少し頬に伸ばして赤みを帯びた頬にするのかなぁと思っていたら、べったり唇に塗ったので、えええーーーっ!?とビックリしてしまいました。

医療メーカーからのお金で非常時の備品を買っていたとかちょっと現実味には欠ける気はしたけど、緊急事態のときにそれを引っ張り出してくるのはやっぱりカッコ良かったですね。あと、個人的に供与を受けていたのがチュッパチャップスってのも良かったね。あれ見てると久しぶりにチュッパチャップス食べたくなりました。

一番ビックリしたのは最後の最後に速水先生と花房看護師長がくっついちゃうとこかな。あ、あ~、そういうことですか~、って。でもなんか、いいじゃーんってなりました。

オマケこのブログである映画の続編だけを取り上げるというのはあんまりないんですが、1作目の「チームバチスタの栄光」のほうは記事にするほど良いと思えなかったので、こちらだけにしました。人間関係をはっきりと知るためには「チームバチスタの栄光」から見たほうが良いと思いますが、映画としてはこちらのほうがデキが良いと思います。あと、「チームバチスタの栄光」はドラマも見たのですが、田口先生(伊藤淳史)、白鳥(仲村トオル)のコンビがドラマのほうが面白かったし、白鳥のキャラクターがドラマのほうがずっとチャーミングでした。

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マリーアントワネットに別れを告げて

2012-12-20 | シネマ ま行

マリーアントワネット関係と聞くとなぜか見に行きたくなるワタクシ。小さめの劇場でしたが、思ったより観客が多めで、やはりマリーアントワネット関係は人気があるのかなぁと思ったりしました。

バスティーユが陥落したその日、マリーアントワネット王妃ダイアンクルーガーの朗読係であるシドニーラボルドレアセドゥは王妃のことが気になって仕方がない。王妃を慕っている彼女は、この先の王妃を待ち構える運命を案じ、王妃が不幸な道を辿らないことを祈るばかり。

映画は、その前日から始まり、シドニーが王妃と戯曲を読む様子や、王妃が彼女に優しく接している反面気まぐれなところがあり、興味が次々に移っていき、その興味を満たすために使用人を動かす姿などが描かれる。そして、王妃から一心に寵愛を受けるガブリエルポリニャック夫人ヴィルジニールドワイアンの話もちらほらと聞こえてくる。

王妃の寵愛を受け、実際に相当貢がせていたポリニャック夫人ですが、フランス革命が起こるといの一番にオーストリアへ逃亡したと言われています。この作品の中では王妃の次にギロチンリストに載っていたポリニャック夫人を助けるために王妃の薦めで逃亡したという描写になっています。その時、途中でポリニャック夫人だとバレて民衆に殺されないようにお付きの者に変装して逃げるよう薦めました。そして、その変装がバレないようにポリニャック夫人役を申し付けられたのがシドニーというわけです。

というのも、王妃はポリニャック夫人のことを同性愛的な感情で愛していて、それをシドニーに告白するシーンがあります。シドニーも同じように王妃のことを想っているのに、その恋する相手から別の人への熱烈な気持ちを聞かされるなんて残酷ですね。実際に王妃とポリニャック夫人がどんな関係だったのかは知りませんが、この作品を見るにあたって史実との違いが気になる方は心からは楽しめないと思います。ま、その辺はご愛嬌というか、フィクションだと割り切って見てください。

バスティーユが陥落する前の王妃とシドニーの関係というのがたった一日しか描かれないのですが、その後のシドニーの言動からシドニーがいかに王妃を慕っていたかというのが描かれるようになっています。ワタクシとしてはもう一歩踏み込んでシドニーがどんなに王妃を慕っていたかを見せてほしかったなぁとは感じました。映画が終わったとき、え?終わり?と思ってしまうほど、演出が一本調子であっけない気がしました。上映時間100分ですから、もう少し時間を延ばして枝葉末節を表現したほうが良かったような気がします。

この作品で光っていたのは、このシドニーを演じたレアセドゥでした。彼女って結構無表情なんですよね。王妃に褒められてはにかんだ笑いを見せるシーンもありますけど、基本的になんだかぶすっとしてる。涙を流すシーンもありますが、泣き顔ですら無表情に見える。それなのに、そのぶすっとした無表情の中にあらゆる感情を忍ばせることができるんですよ、彼女は。王妃にポリニャック夫人への恋心を告白されるときの複雑な表情、王妃の運命を心配するときの顔、そして、王妃にポリニャック夫人の身代わりを命じられ、ポリニャック夫人の衣装をまとい馬車に揺られるときの絶望と決意の入り混じったような表情。これが、なぜかぶすっとした顔の中に感情が秘められているように見えるのです。まぁ、こちらが感情移入して見てるからかもしれませんけど、なんだか不思議な魅力のある女優さんです。

あの時代の豪華絢爛な衣装というのは、残念ながら堕ちていく王族を描いているので、そこまですごいってことはなかったですが、ヴィルジニールドワイアンとレアセドゥの美しい肢体を見ることができます。この2人の裸は本当に絵に描いたように美しかったな。

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ホビット~思いがけない冒険

2012-12-19 | シネマ は行

今年一年ずっと楽しみにしていた作品です。「ロードオブザリング」3部作のファンとして、待ちに待った公開です。

もうねー、最初の10分間だけで泣きそうになってしまうわけですよー。なんつったって、懐かしのホビット庄にビルボイアンホルムとフロドイライジャウッドが登場するんですもん。フロドはおまけ的にここにちょこっと登場するだけと分かってはいても、なんかもうワクワクが止まらない。

例のフロドの冒険の60年前、まだ若かったビルボマーティンフリーマンのところに灰色の魔法使いガンダルフイアンマッケランが訪ねてくる。そして、ドワーフたちが昔スマウグというドラゴンに乗っ取られた国を取り戻すための旅に同行してほしいと頼まれる。冒険なんて物騒なことはお断りというビルボだったが、ガンダルフが去った夜、ドワーフたちが次々と訪ねてくる。

13人のドワーフが次々に訪ねてくるこのシークエンスが最高に楽しい。思えば「ロードオブザリング」の暗い暗い旅も最初のホビット庄のシーンは楽しかったんだよなぁとまたここで懐かしい気分に浸ってしまった。この3部作、こんなふうにして前回の3部作とシンクロしていくんだろうなぁと思うとすでにこの辺りで次の作品が待ち遠しいとさえ感じてしまう。

さて、ここで次々と現れるドワーフたちなんですが、ドワーフと言えば、前回のギムリのイメージがありますが、今回の13人の中ではドワーフの王トーリンオーケンシールドリチャードアーミテッジとキーリエイダンターナー、フィーリディーンオゴーマンの3人はドワーフとは思えない男前っぷり。あとの10人はまぁドワーフらしい外見なんですがね。今回はむさ苦しい(失礼!)ドワーフたちばかりだからちょっとは男前も入れとかなアカンやろうという配慮でしょうか(笑)?

旅の途中でこの世界ではお馴染みのトロル、ゴブリン、ワーグに襲われたりしながら幾度もピンチを乗り越えて、最初は厄介者扱いされていたビルボが少しずつドワーフの仲間の一人になっていく過程が良いですね。トロルに囚われるシーンでは、まぁ相手がトロいトロルということもあって結構笑えました。トロルの一人がビルボが自分の鼻から出てきた変な生き物と勘違いするシーンが一番ウケました。ゴブリンの大群から逃げるシーンではドキドキしながらもローラーコースターのような楽しさがありましたが、ワーグが相手となるとそうそうワクワクもしていられないくらいちょっと怖いですね。

ゴブリンに捕らえられる前に一行はエルフの助言を求めて裂け谷に行きます。と言っても過去の確執(スマウグがドワーフの国を襲ったときエルフが助けてくれなかったこと)のせいで、トーリンはエルフに助言を求めることを拒否していたので、ガンダルフが無理やり連れてきたのですが。裂け谷でエルロンドヒューゴウィーヴィングからトーリンの持つ地図に書いてある言葉の意味を教えてもらいます。しかし、エルフたちは中つ国の平和を乱すようなドワーフたちの旅には反対で、ガラドリエル様ケイトブランシェットと白の魔法使いサルマンクリストファーリーとガンダルフでそのことを話しあうのですが、その間にドワーフたちはこっそり裂け谷を出発してしまいます。そのことに気付きながらも見逃すガラドリエル様。エルフは少し何を考えているのか分からない種族ですが、やはりガラドリエル様はガンダルフの味方でいてくれるようです。

裂け谷を出発した一行は次にゴブリンに捕らえられるのですが、このときビルボはドワーフたちとはぐれてしまい、穴の中に落ちてしまう。落下した先でゴラムアンディサーキスと遭遇し、ゴラムが落とした指輪を拾ってしまいます。そう、指輪。あの指輪です。ビルボはここで偶然にゴラムから指輪を奪うことになったんですね。この穴の底からの出口を教えてくれとゴラムに要求したビルボはなぞなぞ合戦に勝ったら教えてやるというゴラムとの賭けに乗るのですが、ここでのゴラムがちょっとユーモラスです。ゴラムってめっちゃくちゃ気持ち悪い生き物なんですけど、「ロードオブザリング」でのゴラムを知っていると、なんかとても憐れな生き物なんですよねー。指輪の魔力に毒されてしまって、本来の“彼”ではなくなってしまっているし。「ロードオブザリング」の公開からまた技術が進歩したおかげもあってか、ゴラムの表情がすごく豊かになっている気がしました。

指輪を取ったことがゴラムにバレて追いかけられるビルボですが、偶然に指輪が指にはまって姿が透明になり、ゴラムから逃げることができます。この指輪が宙に投げ出されて、指にはまるシーンも「ロードオブザリング」のフロドのシーンとシンクロしていますね。

ゴラムから逃げてドワーフたちとも無事再会できたビルボですが、彼ら一行をドワーフの王族に恨みを持つアゾグというオークの親玉に襲われます。このアゾグの造形は途中まで監督予定だったギレルモデルトロのデザインでしょうか?彼の世界観に登場する異形の物にとてもよく似ていました。ここのピンチを救うのがガンダルフが呼んだ大鷲軍団なんですけど、「もう!もっと早よ呼べよ!」っつーのは思ってても言っちゃダメー!!!それは「ロードオブザリング」でも何回もありましたけれどもですねー、それだけは言っちゃダメです。ガンダルフの魔法の使い時はガンダルフにしか分かんないの。ガンダルフがいまと思ったときしか使えないの。

そう言えば、旅の途中でエルフたちが作った剣がいくつか発見されて、オークやゴブリンがいたら青く光るという剣をビルボはもらいます。そう、これも、あれですよ、あれ。いまの時点ではまだ偉業をなしえていないので、この剣には名前がないんですけど、きっとどこかで例の名前をもらえるんでしょうね。それも楽しみに待っていましょう。

原作の長さを考えると、こちらも3部作というのは濃さが全然違ってくるのでは?と思いますが、どうなんでしょうねぇ。この1作目の最後は遠くに目指す山の頂を見て終わりますが、この先はどんな冒険が待っているのかなぁ。楽しみ。願わくば「ロードオブザリング」ほど暗い冒険じゃなければいいのですが。

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ステロイド合衆国~スポーツ大国の副作用

2012-12-14 | シネマ さ行

松嶋×町山の三本目です。

子供のころチビだったクリスベル監督はハルクホーガン、スタローン、シュワルツェネッガーに憧れて筋肉モリモリを目指すが、そのためにはステロイドを注射しなければならないと知り断念する。彼の兄はレスラー崩れ、弟はウェイトリフティングの選手兼高校のフットボールコーチだが、彼らは二人とも当たり前のようにステロイドを使用している。そのことに疑問を一切持たない彼らに対して疑問を持った監督はステロイド賛成派、反対派のどちらにも公平にインタビューを行っていく。

アメリカでは驚いたことにプロのスポーツ選手よりも一般人のほうがステロイドを使用している割合が多いという。と言っても日本の割合を知らないのでこう言うのは公正とは言えないな。ただ、日本ではどう考えてもあんな不自然に筋肉モリモリの人ってそうそう見かけないよね。

プロ選手は禁止されてんだから、そりゃ一般人のほうが多くなるんじゃないの?って思う人もいると思うんだけど、こいつがまたまた驚いたことにあの超有名なロス五輪でステロイドで失格になったベンジョンソンだけじゃなくって、全世界のヒーロー、カールルイスまでもが実はステロイドやってたっていうんだよねー。これ、審査そのものが工作されてたって証言した人が登場して、なんとカールルイス本人までもがインタビューで否定してなかった。そのことを聞かれたとき明らかにムッとしてたしね。

この監督のいいところはステロイドを否定するばっかりじゃなくて、きちんとステロイド否定派の矛盾点を突いてるとこですね。倫理的にどやねんってのは分かるし、医学的にも絶対身体に影響ないわけないやん!って感じなんですけど、病気や寿命との関連性ってやつは証明が難しいっぽいですね。ステロイドが一般的に使われるようになってからまだ年数が浅くて長期使用の実験結果とかがちゃんと出てないっぽい。高校生の息子が自殺したのはステロイドのせいって言ってステロイド反対運動をしてるお父さんが出てくるけど、息子さんを亡くした人にこういうこと言うのは酷だけど、あのお父さんってステロイドを悪者にして自分を納得させているだけのような気がしたな。あの息子さんはステロイド以外にもうつ病の薬とか飲んでたようだし。

と言っても、ステロイド肯定派の意見もまた何と言うか・・・もうこれはイタイ、としか言いようがない。開き直って使ってる人はそれは納得済みで良いと思うけど、一人筋肉が異常なまでにモリモリのおじさんが出てきて、もう二の腕とかありえない変な形になってるんだけど、同じような写真を見て「いまのオレの二の腕はこんな形じゃない。こんなに変なら女の子とか引いちゃうだろ?」とか言ってたけど、十分同じくらい変だったよ?

笑っちゃいけないんだけど、一番笑えたのは監督がサプリメント業界の規制の緩さを指摘するために自らがインチキなサプリメントを作っちゃうところ。あんな適当な処方で勝手に作っても立派に商品として売ることができるアメリカ。きっと、薬業界が政界に相当お金を流して規制させないようにしてるんだろうね。

あとは、ストロイドだけじゃなくてアメリカ人の中にどれほど薬が浸透しているかってのが、非常に怖かった。麻薬とかの悪い薬じゃなくて普通に処方されたり、薬局で売っていたりする薬のバリエーションがすごい。うつ病の薬でプロザックっていうのがあってアメリカだと誰も彼もがプロザックを飲んでるっていう皮肉で「プロザックネイション」なんて言葉もできたけど、それだけじゃなくて大学生が勉強をするために夜中も起きていられる薬だとか、オーケストラのメンバーが気持ちを落ち着かせる薬とか当たり前のように飲んでいるという話。クリスベル監督はステロイドと同じようにそれって“ズル”じゃないの?という疑問を持つけど、明確な線引きは誰にもできない。

原題は「Bigger, Stronger, Faster」で「よりデカく、より強く、より速く」って意味だけど、これにはアメリカ人のメンタリティが大きく影響していると監督は分析する。よりデカく、より強く、より速くなって一番にならなくちゃ、勝たなくちゃ、という強迫観念とも言えそうなアメリカ人的気質が薬を飲んででも、という選択をさせるのでは?ということだった。「2位じゃダメなんですか?」と言って叩かれた政治家がいたけど、どんな手段を使ってでも1位に固執するメンタリティってのはやっぱり怖い。

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砂漠でサーモンフィッシング

2012-12-13 | シネマ さ行

ワタクシ不覚にも、この作品をノンフィクションだと思って見に行ってしまった。事前にあまり情報を入れないようにしているからというのもあるし、出演がユアンマクレガーエミリーブラントクリスティンスコットトーマスという好きなメンバーだったので、特に深く調べずに見に行くリストに載せたからというのもあるし、それプラス「イエメンで鮭釣りを」なぁんてあまりにも奇想天外過ぎて、それで逆に実話なんだと思ってしまったのだよなぁ。

見終わってから調べてイギリスでベストセラーになったフィクションが原作と知ってちょっとがっかりはしたものの、映画のほうはまぁまぁ面白かったのでヨシとしましょう。

イエメンの大富豪アムールワケドの資産管理人ハリエット(ブラント)から、イエメンの砂漠に川を作り鮭を泳がせて釣りをしたいという大富豪の要望を聞いた水産学者のフレッドジョーンズ博士(マクレガー)は冗談じゃないと一蹴するが、折しもアラブ諸国との関係悪化を懸念していた政府がこの計画を聞きつけ、イメージアップのために国家プロジェクトとしてバックアップすることになる。

政府の広報担当パトリシアマックスウェル(スコットトーマス)が乗り込んできて断りきれなくなったジョーンズは嫌々ながらもこのプロジェクトに参加することに。ハリエットの紹介でイエメンの大富豪シャイフムハンマドに会ったジョーンズは彼の人柄に魅かれたこともあり、このプロジェクトを真剣に成功させようと考えるようになる。

この壮大な計画がどのように実現していくのか、見ている方も馬鹿げているとは分かりつつも胸をわくわくさせながら見ていたのだけど、実はそっちよりもハリエットとジョーンズの恋愛話のほうが中心に描かれていたのがちょっと残念だった。そもそもジョーンズは妻とはうまくいっていないふうだったし、ハリエットも出会ったばかりの恋人が戦争に行ってしまって行方不明というフラグ立ちまくりの展開なわけで、まぁこの2人が恋に落ちるのは時間の問題だし、それについては異論はないけど、ちょっとあまりにも鮭計画のほうがとんとん拍子に進み過ぎだったのが残念だったなぁ。途中、イギリス人たちが鮭をイエメンにあげることに反対したり、イエメンのシャイフの対抗勢力に邪魔されたりっていうのはあるにしても、“理論上は可能”と再三ジョーンズが言っていた計画が“理論上”どころか実際にいとも簡単に成功してしまうっつーのがあんまり面白くなかったな。原作のほうはどうだったんだろう?

シャイフのセリフで「これは人間の偉業を称えるものではない。神の業と人間の業を分けるのは傲慢さだ」というのを聞いた時には「おいおーい!」と思った。シャイフのやろうとしていることこそ、人間の傲慢さの証のようなもんではないのか?それがいくら善の気持ちから来ていると言っても砂漠にダムを作って川を作って鮭をイギリスから運んで泳がせようなんて傲慢以外の何物でもないと思うんですがねぇ・・・

優秀な資産管理人であるはずのハリエットを演じたエミリーブラントは、どこにでもいる女の子って感じで彼女の魅力をあまりうまく引き出されてなかった気がするな。もう少し彼女の活躍場面も作って欲しかった。ここまで気の弱い役のユアンマクレガーってめずらしいと思うのだけど、肩をすぼめて控えめに話すジョーンズ博士をうまく演じていたと思う。今回一番楽しそうだったのはクリスティンスコットトーマスかな。彼女は見た目が気品溢れるイメージなので、こういうコミカルな役はあまりこないと思うんだけど、彼女の息抜きのための仕事だったんじゃないかと思えるほど、今回の役は楽しそうだった。

ワタクシはあ、これって恋愛映画なんだって思ってからは気持ちを切り替えて見るようにしたし、主役二人が好きだから結構楽しめたんですが、鮭計画がダイナミックに成功していくさまを見たかった人たちはがっかりしたかもしれません。

オマケジョーンズ博士が絵を描いて計画を説明したあとにハリエットが「絵が上手ですね」というシーンがあるけど、ちゃんと絵を描きながら説明していたので、ユアンが自分で本当に書いたんでしょうね。さらっと書いているけど、本当に結構うまかったです。

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ドリームハウス

2012-12-12 | シネマ た行

これは内容にそこまで興味があったわけではないのですが、レイチェルワイズダニエルクレイグが実生活で恋に落ちたきっかけになった共演作品ということで見に行かねば~と思って行きました。基本的にスターのスキャンダルとかそういうものには強い興味はないほうなんですが、レイチェルワイズのファンだし、レイチェルワイズとダニエルクレイグのツーショットなんて美しすぎる!と思いまして。

家族と過ごす時間を増やそうと 本を執筆するために出版社の編集長を退職したウィル(クレイグ)は妻(ワイズ)と幼い2人の娘トリッシュテイラーギアとディディクレアアスティンギアの待つ新居へと帰る。中古で購入したこの“ドリームハウス”を夫婦で改築し、夢のような生活を過ごせるはずだった。

しかし、末っ子のディディが窓の向こうに変な男がいることを発見した日から家族の生活に陰が忍び寄る。夜中に妙な物音がして地下室に向かうと近所のゴス系のティーンたちが入り込んで悪魔の儀式のようなことをしていた。彼らを問い詰めると、この家では数年前一家惨殺事件が起き、容疑者は生き残った父親で彼は精神病院に入れられていると言う。

この家の秘密を知ってしまったウィルは過去の事件について調べ始める。向かいに住むアンパターソンナオミワッツにも探りを入れてみるが、彼女の態度はどうも怪しい。

色々と調べていくうちに容疑者の男が精神病院を出て援助施設に入っている事を突き止めたウィルはその施設に向かうがそこで衝撃的な事実を知らされることになる。

と、この衝撃の事実っていうのがお決まりの例のパターンで。へっ?こんな早い時間にこのパターンでいいの???と不安になったのだけど、こっからもうひと展開するのがこの作品の他とは違うところ。確かに隣人がナオミワッツなのにただの隣人で終わるわけないよなー。てか、あんな事実を知ってたならもっと早く教えてくれりゃーいいものを。とも思ったけど、あの状態の彼に事実を告げたって、信じてくれるわけないか。

この衝撃の事実ってやつが知れてからのダニエルクレイグとレイチェルワイズの夫婦がもう美しいったらないんだわ。あの二人じゃなきゃ、ケッと思って終わりの人もなんだか非常に上質な作品を見せられている気になっちゃう。なんだこれ?って思ったら監督がジムシェリダンなんだよね。なんで彼がこの手の作品を撮ったかわかんないけど、やっぱり本来の上品さは隠せないってことかな。

娘二人がトリッシュとディディって呼ばれてるのがこの謎解きのひとつにもなってるけど、トリッシュってすっかりパトリシアだと思ってたらベラトリスからきたほうのトリッシュだったのねぇ。ディディがケイティからきてて、本当はキャサリンってのもうまかった。筋とは関係ないけど、この二人の子役がまた可愛いんだわ~。同じ苗字なんだけど本当の姉妹なのかな?子役が可愛いとやっぱすんなり感情移入してしまう。

内容としてはありがちなスリラーなんですが、好きな役者がそろって出ているので結構ひいき目に見てしまいましたとさ。

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フロムイーブル~バチカンを震撼させた悪魔の神父

2012-12-07 | シネマ は行

これも「松嶋×町山未公開映画を観るTV」からのDVD化です。

1970年代から90年代にかけて北カリフォルニアで起こったカソリック教会のオリバーオグレディ神父が児童性的虐待を行っていた事件を追うドキュメンタリー。

このオグレディ神父が児童性的虐待をしているというのが明るみに出るのが、1970年代なんですが、その時に教会がどうしたかっていうと彼を離れた別の教区に移動しただけなのですよ。そして、そこでまた児童性的虐待が明るみに出て、また教会は彼を子どもたちから引き離して修道院に入れるという約束を反故にしてまたちょっと離れた教区に移動させる。新しい教区では何も知らない信者たちがまた被害に遭う。ということをずっと30年間も繰り返して、その報告を受けていたはずの教会のエライさんたちは、知らぬ存ぜぬを通しちゃって何のお咎めも受けないでいる。

驚いたことに、とあるエライさんは、オグレディ神父にレイプされた女児に対して「君は女の子だから、オグレディ神父のやったことは異常なことじゃないんだよ。君が男の子だったら問題だったけどね」なんてセリフまで吐いてる。それが人々を救うべき聖職者のセリフとは・・・ってか、俗世間に住んでるワタクシたちでも、こんなセリフ言わないよ。それこそ悪魔じゃないか!って感じだよね。しかも、オグレディは男児にも同じことしてるし。

このドキュメンタリーには何人か被害者の人たちも登場するんだけど、彼らはオグレディのせいで人生を破壊されちゃったんだよね。それだけでも十分に辛いのに、オグレディを罰するべき教会は彼を守り続け、年金まで支払うというのだから。普通に子供の時にそんな目に遭うだけでも十分辛いけど、彼らはカソリック教徒として育てられて、自分が信じてきたものに完全に裏切られた。家族ごと全員。カソリック教会の神父が赴任してくるとその信者の家族はみんなで神父を家に迎え入れ歓迎する。とある被害者の両親は「私たちは悪魔に娘を差し出してしまった」と涙していた。それが、オグレディの個人の問題で教会がきちんと対処してくれたのであれば、彼らも少しは救われたかもしれないけど、教会はただただ自分たちの面子を守ることだけしか考えてこなかった。

被害者たちがカソリックの総本山であるバチカンまで出向いて行って、法王に手紙を渡そうとするシーンがある。バチカンはなんと彼らを門前払いにした。ほんっとうにサイテー。カソリック教会は法王を頂点として完全なるヒエラルキーが成り立っている。その中で出世街道から外れてしまうスキャンダルを彼らは全力で隠ぺいした。

もうひとつ、この作品で非常に驚くのは当のオグレディ自身が登場してカメラの前でぺらぺらと自分の考えをしゃべる。あまりにもナチュラルに最初から登場するので、「え?この人は誰?」って思っちゃった。ちゃんとオグレディ神父と紹介テロップが入るにも関わらず、自分の見ている光景が信じられなかった。彼は現在故郷のアイルランドでもう少ししたら支払われる教会からの年金を待ってぬくぬくと暮らしているらしい。30年間子どもたちをレイプし続けて、おそらく名乗り出ていない被害者もいることを考えると数百人の被害者がいると考えられる男がアイルランドで普通に暮らしているなんてゾッとする。しかも、コイツは「被害に遭った子供たちに手紙を書こう。会って謝りたいんだ。最後にはハグできるといいね」とかもう虫唾の走るようなことを平気で言うんだよ。まぁ、それだけ頭がおかしいんだろうけど。周囲の人は彼が児童レイプ魔だってことも知らずにいるんだからたまんないよね。

このオグレディについては個人的にかなりヤバイ奴だとは思うけど、作品中に登場する心理学者によると、カソリックの神父はローティーンのときに神学校へ行き、妻帯は許されず、非常に性的に未熟なまま大人になってしまう。その興味が自分と性的な精神年齢が同じくらいの子どもに向かう。と分析していた。神学校の卒業生の10%が小児性愛者だとも言われている。こうなると神学校は小児性愛者養成学校ってことにならないか?(と、こういうフレーズを書いたときには必ず「と言うと語弊があるかもしれないが・・・」と続くもんだけど、今回は語弊があるとは思わない)

アメリカでのカソリック聖職者による児童性的虐待は10万件を超え、1950年以降カソリック教会が賠償金として支払った額は10億ドル以上と言われている。これでもバチカンを始めとするカソリック教会は知らぬ存ぜぬを貫くつもりなのか・・・

法王ですらこの状態を改善しようとはしていないらしいんだよね…

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