シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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ラブストーリーズ~エリナーの愛情

2015-02-26 | シネマ ら行

まず映画の内容とは関係ないのですが、最初に題名を知った時からこの「エリナー」という名前が気になっていました。「エリナー」なんて英語圏の名前では普通ないよなぁ、「エレノア」じゃないの?と思っていたら、やっぱり「エレノア」だった。じゃあなんで「エリナー」にしたんだろ?と思っていたら「エリナーリグビー」というビートルズの曲からつけられた名前の子だったんですね。そしてこの曲も「エレノアリグビー」なんだけど、きっとこの曲を最初に和訳した人が「エリナー」にしたからなんだなと納得しました。ワタクシはビートルズに詳しくないので「エリナーリグビー」という曲は知りませんでした。

「コナーの涙」を見た直後に鑑賞。こちらはエリナージェシカチャスティンが自殺未遂をするという衝撃的なシーンから始まります。あ、コナー編のあそこんとこからね~。と思いながら見ていましたが、コナージェイムズマカヴォイがお見舞いに来るシーンはありません。エリナーは病院から妹ケイティジェスワイクスラーの迎えで父ウィリアムハートと母イザベルユペールの待つ実家へ戻ります。

エリナー編ではコナーはなかなか出て来ません。エリナーが学校に通い始めて、授業中に手紙を回してくるまで。エリナー編では、コナーがエリナーを探していた間彼女が何をしていたかが語られるので、コナー編で消化不良だった部分が解き明かされる感じです。

妹、両親、学校のフリードマン教授ヴァイオラデイヴィスとエリナーの会話が中心に描かれて、妹との会話の中で初めてどうしてエリナーがコナーと離れたいと思ったかが語られます。コナーは亡くなった赤ちゃんの身の回りの物をクローゼットに放り込んで、その10分後に平然と中華料理のデリバリーの電話を掛けていた、と。些細なことに思えるかもしれませんが、悲しみのどん底に沈む彼女にとってはコナーの行動が非常に無神経なものに映ったのでしょう。コナー編で、コナーの悲しみ方を見ているこちらとしては、それは悲しみ方が違うだけで決してコナーが悲しんでいないわけではないと分かるのですが、エリナーにはそんな心の余裕はなくなっていたのでしょう。

家族や教授との会話の中でエリナーの心情がどう変わって行ったのかというのは正直なところ分かりませんでした。お母さんは妙に浮世離れした人っていう印象で、教授はとても好感の持てる女性だけど、それがどうエリナーに影響したかはワタクシにはくみ取れませんでした。

コナー編を先に見ているので、あ~ここはそうだったのかとか、ん?なんか違うぞ?とか思うシーンがいくつかありました。

コナーが実家に行ったとき、お母さんはエリナーはここにはいないと言っていたけど、実はいたんだね。コナーがお母さんにここに来たことは内緒でと頼んだのでお母さんは何も言わなかったけど、妹にばらされたとき、エリナーはお母さんに言って欲しかったみたいだった。

コナーのカフェバーに会いに行き、2人でレンタカーを借りて出かけたシーンは、2人の思い出のデートの再現だったということがエリナー編で分かります。そして、「他の人と寝た」とコナーが自ら告白したのではなく、こちらではエリナーが態度のおかしいコナーを見て「他の人と寝たのね」と察したことになっています。「君が浮気しろと言ったんじゃないか」とコナーが言い訳するのもこちらのほう。コナー編では彼が自ら告白し、その後言い訳じみたことは一切言わなかったことになっています。

コナーの浮気を知って、実はエリナーも浮気しようとクラブで知り合った男性の部屋まで行きますが、考え直して帰ります。ここは単純に男女の差という感じかな。

コナーが引き払うアパートに行き、再び結ばれたあと、「愛してる」と言ったのはコナーのほう。でもコナー編では「愛してる」と言ったのはエリナーのほうでした。お互い、相手が言ったことになっているんですよね。これはちょっと自己中じゃないの?と最初思ったのですが、自分が相手を愛しているという気持ちは自分が一番分かっているから、相手に自分を愛していて欲しいという気持ちの表れなのかもしれないなと思い直しました。

長く一緒にいるカップルは、どちらがそのセリフを言ったのかという記憶はあいまいになっていくものだと思います。だから、この記憶の違いもどちらかが嘘を言っているとか都合よく記憶を変更しているとかそういうことではなく、よくあることなのかもしれないなと思います。

そして、中途半端だったコナー編のラストシーン。フランス留学から帰って来たエリナーがコナーの後をつけ最後に声をかけて終わります。良かったー、声かけてくれて。消化不良じゃなかった。

男女どちらも見たのですが、どちらか一方に強く共感するということはなかったかな。どちらの気持ちも分かるという面もありました。でも、やっぱり夫婦という単位として、どんな理由があったにせよ勝手に行く先も告げずに失踪するというのはルール違反じゃないの?とエリナーに対してもやっとする部分があります。

ジェシカチャスティンの赤毛が美しくてロングもショートも良かったです。

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ラブストーリーズ~コナーの涙

2015-02-25 | シネマ ら行

1組のカップルに起こった出来事を男女両方の視点から描く2本の実験的映画の1本です。どちらから見るかは自由なようなのですが、上映時間の関係でワタクシはコナー編から先に見ました。

「実験的映画」と書きましたが、日本では「冷静と情熱の間」という小説がまさにこの映画のようでしたので、日本人には特に目新しいということはなかったかも。もちろん、2本の映画にはしていなくても同じ出来事をそれぞれの当事者たちの視点で描くというのは珍しくはないですが、それぞれを1本の映画にしてしまって、それが単独でも成り立っているというのは他にはないかもしれません。

コナー編はまだコナージェームズマガヴォイとエリナージェシカチャスティンが恋人同士だったときから始まる。2人でふざけて無銭飲食し、レストランを飛び出してダッシュし、公園で笑い転げる。そんなデートのワンシーンを描くことで2人がどんなにアツアツのカップルだったかということが簡潔に語られる。

それから数年後、コナーは経営するカフェバーのようなところで従業員相手にえらく不機嫌だった。「最近のお前はイヤな奴だ」とか友人でもあるシェフスチュワートビルヘイダーに言われているが、コナーは気にする様子もない。休憩時間に自分のアパートに帰るコナー。エリナーがベッドに寝ていて、「今日も一日中出かけなかったのか?」と隣に横たわるが、エリナーは背中を向ける。「浮気でもすればいいのよ」とコナーに浮気をすすめるエリナー。「そんなことしないよ」とコナーは答える。2人の間に流れる不穏な空気。理由は分からない。

ある日、アパートに帰るとエリナーはどこにもいなくて、コナーは病院から連絡を受ける。エリナーはどうやら自殺未遂をしたらしい。ここでもまだ理由は分からないが、エリナーはコナーに「あなたと離れたいの」と言い、コナーは必死ですがるがエリナーは頑なな態度を変えない。

果たしてエリナーはコナーの前からいなくなってしまい、どこに行ったか分からない。学校の近くでエリナーを見かけたというスチュワートの話を元にエリナーを見つけ、ストーキングし始めるコナー。ある日、声をかけるが話す時間も与えてもらえなかった。

どの時点でそれが分かったか、忘れてしまったのですが、途中で、この2人が生後間もない息子を亡くしてしまったということが分かりました。あ~、それでコナーはここんとこイヤな奴になってしまったし、エリナーはコナーと気持ちがすれ違ってしまったんだということが分かってすっきりしました。子供を亡くした夫婦がお互いの悲しみ方の違いで別離に至ってしまうというのは現実にはどうか知りませんが物語ではよくあります。

原題が「The Disappearance of Eleanor Rigby」(エリナーリグビーの失踪)となっていて、消えてしまったのはエリナーのほうなので、コナーの物語はなんだかもどかしいことが多いです。エリナーの行方が分からず翻弄するコナーをずっと見ているのが辛かったです。

店もうまく行かず売ってしまおうと決めたとき、突然コナーの店にエリナーがやってきて「出かけましょう」と誘います。レンタカーを借りて出かけた先でいい雰囲気になる2人ですが、「別の人と寝たんだ」というコナーの告白ですべてが台無しになります。店の従業員に誘われて一度だけ寝てしまったコナー。まぁねぇ、失踪したのはエリナーだし、「浮気すればいい」なんて言ってたんだからエリナーに文句言う権利なくない?って思いましたけど。女心は複雑なのですな。

その後すべてをやり直そうとアパートを引き払う準備をしているところにまたエリナーがやってきて2人は再び結ばれるのですが、その朝またエリナーは消えてしまいます。

その後心機一転、父親キアランハインズの店を継ぎしばらく経って立派な店長になったコナーが開店前にNYの町を散歩していると、後ろからつけてくる女性が。。。

というところで、コナー編は終わります。なぁんか中途半端なとこで終わったなぁ。でもエリナー編があるからあっちを見ればこの先に何があるのか分かるのかなぁと思いつつ、終了でした。

ジェームズマカヴォイもジェシカチャスティンも好きなのですが、ジェームズマカヴォイが少し幼く見えるせいか、このキャスティングはどうなんだろうと思いましたが、スクリーンに映ると違和感なく見ることができました。

どうしてもコナー編だけだと中途半端な感想になってしまいます。明日のエリナー編でレビューも完結ということになると思います。

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アメリカンスナイパー

2015-02-24 | シネマ あ行

以前から見に行くと決めていた作品です。クリントイーストウッド監督がブラッドリークーパーを主演にイラク戦争でのアメリカ兵最高のスナイパーについて描く。

ブラッドリークーパーは原作の映画化権を自分で買ったというだけあって、主人公に合わせて体重を相当増やし、筋肉もりもりでむちむちのいかにもアメリカの軍人といった風貌になっていて、いつものハンサムでセクシーな彼はどこへやらといった感じで彼の気合を感じさせた。

ネイビーシールズの隊員クリスカイル(クーパー)はスナイパーとしてアメリカ史上最高の160人という人数を狙撃し味方からは「伝説」と呼ばれ、敵からは「悪魔」と恐れられて懸賞金もかけられた。

彼は典型的な(とワタクシがイメージする)テキサスの家庭で育てられる。敬虔なキリスト教徒で父親が猟に連れて行き息子に銃の扱いを教え、羊をいじめる狼を徹底的にやっつける番犬たれと教えを受ける。彼がのちに妻となる女性タヤシエナミラーに出会い、どうしてシールズに入ったの?と聞かれたとき「世界で最も偉大な国アメリカを守るため」と答える。彼は100パーセントそれを信じている人なのだ。

クリスが戦場に向かうまでの彼の半生が前半にきちんと時間を取って描かれてあり、彼の人となりを知ることができるようになっていて好感が持てた。彼が狙撃をするシーンの緊張感はふんだんにあったが、戦場のシーンは少々長すぎるかなという気がした。最近戦場シーンがリアルに撮れるようになってきたせいなのかどうかは分からないが、戦場シーンが長くなる傾向を感じます。

4回の派兵の合間に妻と子供の元に帰ってはくるクリスですが、ポスターのコピーにあるように「心は戦場においたまま」でした。戦場で命をかけて戦っている仲間たちのことを思うと息子の試合の結果なんてどうだっていいし、それを重大ごとのように話す妻にイライラしてしまう。このころ帰還兵たちのPTSDというのはどれくらい理解されていたのかな。まだいまほどではなかったのかな。

4回の派兵を終えて、除隊したクリスは他のPTSDに苦しむ退役軍人たちと対話することで自らの心の傷を癒していったようなんですが、ちょっとその辺りの描写が少なくて物足りなかった気がします。カウンセラーに一度会い、退役軍人たちを紹介されて、彼らと話すシーンが2つくらい流れ、その後すぐに奥さんが「元のあなたに戻ってくれて嬉しいわ」と言うだけで終わってしまったので、クリス本人の心の中までは詳しく語られていなかった気がします。

結局彼はあの戦争に行っても「世界で最も偉大な国アメリカを守った」自分というものには満足していたのだろうなと感じました。イーストウッド監督は共和党ですが、イラク戦争には反対の立場を取っているし、これが戦争を賛美した作品とは思わないのだけど、クリス自身にとっては「狼」から「羊」を守った「番犬」の役割を果たせたということが一番大事だったのかなぁという気がしました。戦場に行っても戦争が無意味だとか、敵にも事情も家族もあるんだとか、そんなことを考えるようになったわけではなかったんだなぁと。いや、実際にクリスがそう思わなかったかどうか分かりませんが少なくともこの作品にはそういうふうに描かれていたと感じました。言い方は難しいですが、彼のような人は戦場という場所に合っていたのでしょう。

彼の弟や家族への手紙に弱気なことを書いていた仲間のグライムスマークリーはクリスに比べれば、戦場不適合者と言いますか、クリスは弟に「お前を誇りに思う」って言っていたけど、それは「羊」にしてはよくやった的な意味だったんじゃないかなぁと思えたし、グライムスは「あんな手紙を書くから死んじまったんだ」と言っていて、それはグライムスを馬鹿にしたとかそういうのではなくて、あんな弱気でいるから殺されるハメになるんだという悔しさだったんだろうけど、その辺は強者であるクリスには理解できなかった部分なのではないかなと感じた。

とは言え、そんな彼でさえPTSDに苦しむのだから、やはり戦場の狂気というものは異常であるとしか言いようがない。

シエナミラーが黒髪に染めていて誰だか分かりませんでした。申し訳ないのだけど、彼女にはちゃらちゃらしたモデルっていうイメージを持っていたので、ちゃんと演技できるんだぁと感心しました。そう言えばこないだ「フォックスキャッチャー」にも出てました。

イーストウッドっぽい静かな演出ですが、132分という長さは感じませんでした。それにしても彼はなぜ同じ退役軍人に殺されてしまったのだろう。犯人はPTSDによる心神喪失を訴えているようですが、実際の「理由」というものを知りたいです。

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デイブレイカー

2015-02-19 | シネマ た行

ケーブルテレビで見ました。以前から面白い作品だと聞いていたので興味がありました。

コウモリの持つ病原菌が人間に移り、多くの人間がバンパイア化した世界。

バンパイア→不老不死だが、人間の血を飲まないと理性を失ったり集中力をなくしたりする。太陽の光に当たると燃えつきて死ぬ。世界のマジョリティであり、地下街が発展したり、車は昼間太陽の光を遮断するような構造になっていたりとバンパイア仕様となっている。

人間→数が激減。バンパイアに見つかると食糧として捕まってしまうので隠れて生きている。

サブサイダー→人間の血が不足し、バンパイア同士で血を吸うとサブサイダーと呼ばれる化け物に変身してしまう。バンパイア軍は彼らを捕まえて処刑しているが、このところの食糧不足から数が増えている。彼らの容姿はかなり気持ち悪いです。

エドワードイーサンホークは人間の血不足を解決しようと日々人工血液を開発する研究をしている科学者。彼はバンパイアになりたくなかったが、弟フランキーマイケルドーマンに噛まれてバンパイアになった。弟は軍に所属しバンパイアであることを満喫しているが、エドワードのほうは自身がバンパイアであることを嫌い人間の血を飲むことを拒否していた。イーサンホークってチンピラもインテリもできる役者さんですが、こういう憂いある役がとても似合うと思います。

エドワードが働く研究所は人工血液の研究が完成するまで、人間の血を供給すべく人間を飼っていた。所長のチャールズブロムリーサムニールは人間だったとき癌で死ぬところだったが、バンパイアになったことで不老不死になれたことから、この“バンパイア病”に感謝していた。彼は人間の血で儲けることに罪悪感など感じていなかったが、彼の娘アリソンイザベルルーカスはそんな父親を嫌い人間のままどこかで生活していた。

ある日エドワードは逃亡中の人間と出会い、軍の追っ手をごまかして逃がしてやる。そこには元バンパイアだったが人間に戻ったというライオネルコーマックウィレムデフォーがおり、バンパイアたちを人間に戻す研究を手伝ってほしいとエドワードは持ちかけられる。

ライオネルは事故で車から投げ出され太陽の光に当たってしまい燃えた次の瞬間に池の中に落ちたことでバンパイアから人間に戻ったという。この偶然の状況を故意に作り出すことによってバンパイアを人間に戻せると考えたライオネルの仲間たちは科学者であるエドワードの力を借りようとしたのだった。そんな彼らにバンパイア軍の追っ手が迫る。

色々な設定が面白い作品です。マイケル&ピータースピエリッグ監督が作り出した新たなバンパイア像やその社会がきちんと矛盾なく描かれているところがとてもよくできていると思いました。太陽の光を浴びて、それを一瞬で消せば人間に戻るっていうのは、正直なんで?と思うけど、まぁそれも設定のひとつなのでヨシとしましょう。

エドワードが苦悩するバンパイアであり、それとは対照的な弟、ボスが描かれていますが、弟は兄を噛んだとき、兄にも一緒に不老不死になってほしかったからという兄への愛が見られます。ボスは娘を発見し、やはりバンパイアにしてしまいますが、娘は自分の信念に基づいてバンパイアであることを拒否し、わざと自分の血を飲んでサブサイダーに変わってしまい処刑される道を選びます。この辺りの人間模様がきちんと描かれていてスリラー要素だけではないところも好感が持てました。

映像的にはかなりスプラッタで、結構エグいので苦手な人は苦手かもしれません。特にサブサイダーが太陽に当てられて処刑されるシーンはエグいのですが、何人ものサブサイダーが車に鎖で繋がれて車が動き、建物の影から日向に出て燃え、あとに残された手錠と足枷だけが車に引きずられていくというのが、なんか妙にカッコいいと言うか美しささえ感じてしまいました。

もう一つの設定として、元バンパイアの人間の血を吸ったバンパイアも人間に戻るというのが最後のほうで分かるところもなかなか面白かったです。最後はかなり血みどろの戦いになって、イーサンホークとウィレムデフォーが出ていなければもっとB級くさくなったところですが、彼らのおかげで作品のクラスが保たれていたと思います。

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フォックスキャッチャー

2015-02-17 | シネマ は行

アカデミー賞に絡んだ作品で高評価だったので見に行きました。

アメリカのデュポン財閥の御曹司ジョンデュポンスティーヴカレルが全米レスリングチームのコーチデイヴシュルツマークラファロを殺害した事件を追うドラマ。

デイヴシュルツとマークシュルツチャニングテイタムは兄弟でロス五輪レスリング金メダリストとなった。兄のデイヴは自らも現役の選手でもあり、レスリングチームのコーチとしても活躍し家族を養っていたが、弟のほうは仕事にありつけずレスリングの練習は続けながらも貧しい生活をしていた。

そんなマークのところへある日ジョンデュポンの秘書だという男性から電話があり、飛行機をファーストクラスで用意するからデュポン家まで出向いてほしいと言われる。戸惑いながらも行ってみると空港からも専用のヘリでデュポン財閥の大邸宅に連れて行かれる。初めてジョンデュポンに会ったマークは彼が建てたレスリングの練習場を見せられ、ここに住んで練習し、チームのメンバーも選んで招集してほしいという彼からのオファーに驚くが、言い値で給料も払ってもらえるということで喜び勇んで兄のデイヴのことも誘いに帰るが、家族の生活の場所を変えたくないという理由で断られてしまう。

仕方なく一人でデュポン家に向かうマーク。ここから兄とは離れた道を歩むことになる。自らチームを集め、「チームフォックスキャッチャー」とし世界大会に向けて練習するマークをジョンデュポンが金銭的にも精神的にも支えてくれた。

世界大会に優勝したマークだったが、その後デュポン家で好き勝手にだらだらと過ごすようになってしまい、そんな現状を打破しようとジョンデュポンはかねてから諦めていなかった兄のデイヴをとうとう説得し家族ごとデュポン家に引っ越してこさせ、ソウル五輪へ向けてチームを鼓舞する。

この辺りからマークのジョンデュポンをデイヴに取られてしまったような嫉妬心がジョンデュポンへの反抗的な態度となる。一方ジョンデュポンのほうは、素晴らしいコーチであり、人柄も良いデイヴに自らがなれなかったすべてを見るようで彼に嫉妬心を抱くようになっていく。

かなーり淡々とお話が進んでいきます。レスリングの試合の様子なんかも結構時間を割いてあるんですが、あの辺はいらなかったような気がするなぁ。ジョンデュポンの狂気というのも、じわじわと感じる部分もあるし、子供の時親友だと思っていた子に母親ヴァネッサレッドグレーヴがお金を払っていたとか、レスリングみたいな下品なスポーツはやめなさいと言われたり、練習を見に来た母に一所懸命自分の良いところをアピールしようとする姿などで、彼の母に愛されたいという満たされなかった欲求というのが表現されているというのは分かるんだけど、彼の奇行とかそういうのに振り回される周囲の人々みたいなのがあまり描かれておらず、ただの寂しい大金持ちだったのか、本当に頭のおかしな人だったのかいまいち分からないままだった。自分に関するドキュメンタリーを作らせて、デイヴに「彼は人生の恩師です」なんて無理に言わせようとするところなんかは、奇行と言ってもいい部分だったと思うけど、彼が裏でそう指示してると匂わせるだけで実際のシーンではドキュメンタリー制作のスタッフが言っているだけだから、これもいまいちインパクトがない。

3人の役者は素晴らしく、普段のスティーヴカレルは映画ファンでない日本人はあまり知らないかもしれませんが、コメディ俳優で顔も全然違うので、アメリカの人はとても驚いたんじゃないかと思う。メイクでの変装だけではなくてどうしようもなく陰気臭くて辛気臭いジョンデュポンを非常にうまく演じていた。チャニングテイタムも普段のハンサムでチャーミングなイメージからほど遠い、これまた暗いマークを演じて違和感がなかった。格闘技の選手特有のあのギョーザのような耳もメイクしていましたね。マークラファロはこういう良い人っぽい役がとてもうまい役者さん。

シュルツ兄弟とジョンデュポンの愛憎にまみれた三角関係の末、一番所謂“普通”の感性を持ったデイヴが殺されてしまったのは本当に悲劇だったと思います。デュポンの勝手な嫉妬心で殺されてなんで俺?って感じだよね。映画としては観客が想像して汲まないといけない部分が多くもう一歩踏み込んだこの物語の裏話みたいなものを期待していただけに少し残念なデキだった。

デイヴだけが所謂“普通”と書いてしまいましたが、実際のマークシュルツ本人はこの映画の中のキャラクターや設定に全然満足していないとアメリカのネットに書かれてありました。ベネットミラー監督に相当怒っているそうです。

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ドラフトデイ

2015-02-16 | シネマ た行

見に行こうかどうか迷ったのですが、ジェニファーガーナーに魅かれて見に行くことにしました。

まず始めに日本人用にNFLのドラフトについての説明が映画が始まる前に入りました。ワタクシ、こういうの嫌いなんですよねー。なんか興冷めしてしまうっていうか。と、思ったのですが、後々この最初の解説に感謝することになりました。

1、ウェーバー制でのドラフト
2、指名権をトレードできる
3、指名の持ち時間は10分。その間にも指名権のトレードは可能。

特にこの3番目を知らなかったので、教えてもらっておいて良かったです。

成績不振が続くクリーヴランドブラウンズのGMサニーウィーバーJr.ケヴィンコスナーは12時間後に迫ったドラフトに向け、シアトルシーホークスから今年の第一位の指名権を譲るから3年分の1巡指名権を譲れと取引を持ちかけられ悩む。私生活では球団の財務の役員でもある恋人アリ(ガーナー)に妊娠を告げられ戸惑っていたが、今日はドラフトの日、それどころではないという態度をしてしまい彼女を怒らせてしまう。

GMたちはお互いに電話でやりとりをしてその間に選手のエージェントや選手本人に電話もしたりして、駆け引きが行われていく。肝心の駆け引きがほぼ電話でのやりとりになるにも関わらず、スピード感もあるし、映像のうまさもあってまったく退屈しなかった。

60歳のケヴィンコスナーと43歳のジェニファーガーナーが恋人同士で、彼女が妊娠っていうのが絶対ないとは言わないけれど、なんか無理やり感のある設定で、恋人同士でもいいけど、妊娠どうのこうのっていうのはこの作品には必要なかった気がします。「カンパニーメン」ではジェニファーガーナーの実際の夫ベンアフレックの義理の父をケヴィンコスナーが演じていたので、そんなことも思い出してしまって違和感がありました。

ジェニファーガーナーを目当てに見に行ったワタクシとしてはこの幼い頃からフットボールが大好きで、フットボール愛ゆえに男の世界でのし上がった役員のアリがとても魅力的で大満足でした。さすが男社会の中できびきびと働いている優秀な女性だけあって、はっきり言うことは言い、それでいて研修生などには優しい一面も見せるところがとても良かったです。彼女が喧嘩をするGMとヘッドコーチ・ペンデニスリアリーを止めて「2人ともコーヒーでもどう?」と言い、コーチが「砂糖とミルク入りで頼むよ」と言うと「誰が淹れてやるか!」と啖呵を切るシーンはとてもすっきりしたし、前のチームでの優勝リングをみせびらかすペンコーチに向かって「世界で一番タフなスポーツの優勝記念品がジュエリーなんて誰が決めたのかしらね」なんて言うところも吹き出しました。今時のデキるオンナなのに、食堂で取っていたのはジャンクフードばかりだったのも好感が持てました。

いよいよドラフトが始まって、それぞれの指名の持ち時間10分の間にも、他チームとの交渉を続けるシーンがとてもスリリングで手に汗握りました。実際にも一番人気のはずの選手があとにあとに残されていくという現象が起こることもあるようで、絵空事でもないのかなと思う反面、こんな当日ギリギリに色々調査とかするの?という疑問もありつつでしたが。結局は人柄で判断、みたいなのって実際には甘い!ってことなのかもしれないけど、映画的にはそれもありかなと思いました。それにしてもドラフトまでエンターテイメントにしてしまうアメリカって本当に貪欲な国だなぁと思います。

ひさびさにケヴィンコスナーの主演作を見ました。彼ってこういう不器用だけど、実直で誠実みたいな役がとてもよく似合います。がんがん有能な人ってわけじゃないけど人柄で周囲を惹きつけるタイプのリーダーが似合います。

フットボールを知らない人が見るとわけの分からない作品かもしれません。アメフトまたはスポーツ好きの方にお勧めです。

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ビッグアイズ

2015-02-13 | シネマ は行

期せずして日本ではゴーストライター騒動やら「あります!」騒動やらがあったばかりでアメリカからティムバートン監督のゴーストペインター物語がやってきた。主演のエイミーアダムスが例によって様々な賞にかかっているので見てみるかーと行ってきました。

1960年代、ポップアートの寵児となったウォルターキーンクリストフヴァルツ。彼が描くやたらと大きな目の子どもたちの絵が注目され、ウォルターは原画には手が届かない人たちのためにポスターやらグリーティングカードやらお皿やらのグッズ販売を始め大当たり。いまでこそ、そういった形でのアートの売り方は普通だが当時は画期的な出来事だったらしい。

しかし、この「ビッグアイズ」シリーズ。実はウォルターキーンの妻、マーガレットキーン(アダムス)が描いたものだった。

風景画を得意としたウォルターとビッグアイズを手掛けていたマーガレットが知り合い意気投合。マーガレットの元夫が娘の親権を主張してきたため良いタイミングだと知り合ってすぐに結婚。不動産屋としても成功していたウォルターはセールスが上手くジャズバーの壁をレンタルして自分たちの絵を売ることを思いつく。そこで注目されたのがマーガレットのビッグアイズシリーズ。ウォルターはマーガレットがその場にいないのをいいことに、自分が描いたと言って客に売り始める。

当然抗議するマーガレットだが、女流画家がシリアスに受け止められないことや、売込みが上手なウォルターが描いたことにしたほうが絵が売れるということでうまくウォルターに言いくるめられ、ゴーストペインターとして誰にも知られてはいけない存在となる。

マーガレットは元夫からも逃げるようにして離婚したようだったし、ウォルターにも従ってしまうなどバタードウーマン的な要素があった人なのかなぁと思う。女性は夫に従って生きるのが当然という時代であったことも大きく影響しているとは思うが。

このねぇウォルターを演じるクリストフヴァルツがもうイヤったらしいったらありゃしない。この人、イヤな奴やらせたら本当にピカイチだよねー。口がうまくて外面が良くて、本性を知らない人にはとてもチャーミングに見えるというモラハラの典型のような男。パリに滞在していたなんてのも嘘で本当は1週間いただけだったし、ビッグアイズの構想は第二次大戦後にヨーロッパを回ったときに見た子どもたちの瞳だとかいけしゃあしゃあと息をするように嘘をつく。

しかもビッグアイズどころか、本人が得意とするところの風景画さえも他人の描いたものの上から自分の名前を書いていただけだったという、どこまでも嘘だらけ。何年も一緒にいて、そう言えば彼が絵を描くところを見たことはないわ、と気付いたマーガレットもまぁ随分悠長だなという気はするけど、創作活動というのは孤独なものだし、一人で仕上げていると考えてもおかしくはなかったのかな。2人で描いているシーンもそう言えばウォルターのキャンバスはブランクだった。

途中からマーガレットもビッグアイズ以外の自分の作品を発表したりして少しずつ反撃を始めた。この辺りからマーガレット、頑張れ!って気になってくる。バラしたら殺すとまで脅してきたウォルターの元をやっとのことで逃げ、訴訟を起こす決心をするマーガレットだったけど、アトリエをずっと見せないようにしていた娘に「ずっと知っていたわ」と言われたことが一番の原動力となったのかもしれない。娘にまでずっと隠し事をさせていたってことだもんね。

訴訟のシーンでのウォルターがまたうっざーーーー!!!彼の知っている法律の知識なんてドラマ「ペリーメイソン」から得ただけのものしかないくせに自分で自分の弁護をしてやたらと小芝居をしてみせたりして裁判官を怒らせていた。

まさか今までマーガレットが公にビッグアイズを夫の作品として認めていたという事実を証拠にされてマーガレットが負けるんじゃあるまいなーと思っていたら、裁判長が「簡単な方法があります。2人にここで絵を描いてもらいましょう」と言ったときには心の中でマーガレットと一緒にガッツポーズした。そりゃそうだ。それさえやれば一目瞭然。法廷で1時間の間にビッグアイズを描くように指示される2人。しかし、ここでも腕が痛くて描けないとか、まぁ見え透いた嘘で切り抜けようとするウォルター。ここまで来たら笑いもの以外の何物でもない。

かくしてマーガレットが勝訴。自らの尊厳を取り戻したというお話。いじわるな見方をすれば、確かにウォルターのセールス力がなければビッグアイズシリーズがブームになることもなかったかもしれないし、騙された人からすればマーガレットもグルと見られてもおかしくないし、儲けたお金でマーガレットだって贅沢な暮らしを享受してきたわけなんだけど、まぁだからってウォルターのやったことが許されるわけではないよね。自分はあくまでもエージェントという立場を貫けば良かったんだけど、いかんせんアーティストへの憧れと妄想が強すぎた。裁判後もウォルターはビッグアイズは自分が描いたと主張し続けてたらしいけど、当然新しい作品は1点たりとも生み出せなかった。

最後にマーガレットは現在も毎日絵を描いているというキャプションと共に主演のエイミーアダムスとともに写るご本人の写真が出たときは非常に胸が熱くなりました。

演技も素晴らしいし、物語の運びもうまくできているこの作品をティムバートンが監督したとはびっくりです。ぶっちゃけ「マトモな映画も撮れるんやん」って思ってしまいました。言葉が悪いですが。さすがに実話の映画化ということで普通の世界のお話なんやろうなぁとは思っていたものの、そこはティムバートン監督のこと、どこかでファンタジー要素が入って迷子になるんじゃあるまいなぁという一抹の不安もありつつだったんです。でも違った。ピカソがちゃんとした絵を描けばうまい、みたいなもんですかね。ティムバートン監督の新たな一面を見せてくれた作品でした。

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プルーフオブマイライフ

2015-02-09 | シネマ は行

公開時見たかったのに見ずにきていました。今回ケーブルテレビで見ました。

グウィネスパルトロージェイクギレンホールが顔を寄せ合っているポスターの先入観でべたべたの恋愛物語かと思っていたのですが、まったく違いました。

天才数学者の父ロバートアンソニーホプキンスが亡くなった。晩年精神を病んでいた彼を大学を中退して面倒を見ていた次女キャサリン(グウィネス)は、父が遺したノートを読ませてくれと家に来ていた父の教え子ハル(ギレンホール)が父のノートを勝手に持ち出したと疑いをかけもめてしまう。

葬儀のために姉クレアホープデイビスがニューヨークから里帰りしてくるが、自分を過剰に心配し押しつけがましい態度を取ってくる姉が疎ましくて仕方がない。キャサリンは父と同じ数学者で、自分も父と同じように精神を病んでしまうのではないかと常に不安に思っていて、姉もそれを心配しているようだ。

ハルとはもめたものの、実はキャサリンは以前からハルのことが気になっており、ハルもキャサリンにずっと好意を持っていて父の葬儀のあと2人は結ばれる。自分の精神に不安を持っていたキャサリンは、他人と親密になるのはほとんど初めてのようで、それは初々しい恋の始まりのようだった。

2人が結ばれた朝、キャサリンはずっと隠していた1冊のノートをハルに見せる。それは数学の歴史的な証明が書かれてあるノートで、天才であるロバートが遺したものだとハルは考えたが、キャサリンは自分が書いたものだと言う。それを信じないハルと姉のクレアとの間にまた亀裂が生じ、、、

お話としては単純で他に枝葉末節があるわけでもなく、終盤はこの証明を書いたのは一体誰なのかという話に終始するのだが、その真実が明かされていく過程で過去の父とキャサリンとの関係が時間をさかのぼってうまく描かれており、自分を父のように偉大な数学者だと認めてほしい一方でそれを認めてしまうと自分も父のように精神を病んでしまうのではないかという不安にさいなまれる複雑な心境をグウィネスパルトローが非常にうまく演じている。この人最近アメリカではまともに本業やってない人リストのナンバー1とかに選ばれたりしてるし、確かに作品の選択がちょっとふざけた方向に行ってるけど、こういう演技させたらうまいはずなんだよね。もうちょっとこういうシリアス路線も選んでほしいな。

そして、相手役のジェイクギレンホールも非常にうまかったと思う。彼も演技力は評価されているけど、この作品での彼はすごく自然でいままで見た中で一番うまいと思ったかも。

実年齢ではグウィネスがジェイクの8歳上なんだけど、27歳と26歳という役どころで特に違和感は感じなかった。

実際にこの証明を書いたのが誰なのかということが決定的に分かるシーンが非常に切なかったです。あ~、やっぱキャサリンが書いてたんだという安堵感とともに、精神を病んでしまった父を再確認することになる娘の辛さが一体となっていて、ジョンマッデン監督の演出が光るシーンでした。

上映時間100分でちょっとあっけなく終わってしまう印象もある作品ですが、素直な演出でワタクシは好きでした。

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サプライズ

2015-02-06 | シネマ さ行

予告編を見て面白そうだったのでレンタルしてみました。

ポールロブモランと母バーバラクランプトンの結婚35周年を祝うために集まった兄弟たち。長男ドレイクジョースワンバーグとその妻、次男クリスピアンAJ.ボーウェンとその彼女エリンジャーニヴィンソン、三男フィリックスニコラストゥッチとその彼女ジーウェンディグレン、長女エイミーエイミーサイメッツとその彼氏タリクタイウェストが両親の別荘にやってくる。

長男ドレイクはなんだかイヤな奴で、次男は頑張ってるけどなんか大学の仕事がうまくいっていないらしい(でも彼女可愛いからいーじゃん)、三男はチンピラ風で彼女もそんな感じ。

両親はどうやらお金持ちっぽい。お金持ちだけど良い人なのは珍しいとクリスピアンだかエリンだかが言っていたけど、本当に良い人っぽかった。長男坊と次男坊は仲が悪いみたいで、ディナーの席でも言い合いを始めてしまう。と、そのとき外に誰かがいると窓をほうに行ったタリク。そして窓ガラスがぱりんと割れてタリクが倒れた。一瞬何が起こったか分からない一同。タリクを見ると矢が刺さっている。

ぎゃーーーーーー。

なごやかな(いや、なごやかじゃなかったか)ディナーの席が悪夢に変わる。

次々に撃ち込まれる矢。三男カップルは早々にリビングから避難。パニックの中、なぜか一人冷静にみんなに指示を出している人がいる。窓から離れて。イスを盾にしてこの部屋から出るのよ。なんて。ん?このコはなんだ?可愛い顔して随分冷静だなぁ。次男の彼女エリンである。彼女はソフィーマルソーみたいな可愛らしい顔をして、なんだかすごく頼りがいがある。

全員をリビングから出したあともエリンは、ケガ人に対して的確に手当し、この状況を分析している。この状況になってもまだ兄弟げんかを続ける兄たちに呆れたエイミーは自分が助けを呼びに行くと言う。外に襲撃犯たちがいるが、車まで走って行けば大丈夫。廊下からダッシュで出ていくエイミーを待っていたのは1本のピアノ線だった。首をぱっくり切られどくどく血を流すエイミー。用意周到に罠を仕掛けている犯人たちへの恐怖が増す。

そうこうしているうちに犯人たちは家の中に侵入してきたらしい。ヒツジ、キツネ、トラのマスクをかぶった男たちが家族を襲う。奴らの目的はなんなのか?そしてエリンは何者なのか?

エイミーの首がすっぱり切れるまでは結構衝撃だったんだけど、ここからはちょっとだらっとした展開になる。こういう状況なのにパニックになったお母さんを一人っきりで2階に寝かせたりとか、他の人たちもやたらと別行動を取っていて、んなわけねぇだろー、と思った場面も多かった。

まぁそんなツメの甘さもありますが、実はサバイバルキャンプで育ったというエリンがとにかく強い。体力的に強いだけではなくてキャンプで培った生き残りの知恵がすごくて、そこらへんにあるものを使って色々と武器や罠を作っていく。エリンが作った板に釘を打ちつけた罠を犯人が踏んじゃって「痛いよー痛いよー」なんて大騒ぎするところは笑ってしまった。

このエリンが犯人を殺すときに、これでもかというくらい殴ってもうすでに死んでいるのに殴り続けて三男坊カップルは引いちゃってたけど、だいたいこういうスリラー系映画では殺したと思った犯人が実は死んでいなくてまた反撃してくるっていうパターンが多いから、ここまでやっちゃうのは本当に珍しい。これもサバイバルキャンプで教わったのかな。ミキサーを頭に押し付けられて殺されたやつが一番すごかったな。エリンのオーバーキルっぷりにすっきりしたと言っては悪趣味ですが、実際そうでした。

キツネたちはこの一家に来る前にご近所さんを2人殺していて、それは多分無差別殺人に見せかけるための小細工だったんだろうけど、実は三男坊カップルの金目当ての犯行だとバレちゃう。ってか、なんかこんな土壇場になって実行犯グループともめたりして、実行犯グループも見た目ほどプロ集団ってわけじゃなかったのが、なんだかマヌケだった。助けを呼びに行くと言ったままずっと帰ってこなかったクリスピアンも当然怪しいってのはある程度予想がつきましたね。

途中でエリンが玄関ドアに仕掛けた斧に誰が殺されるのかっていうのがずっと気になっていましたが、まさか最後に入ってきた警官に刺さるとは。かわいそうな警官さん。

こういうスリラーものらしく突っ込みたい部分は結構ありますが、エリンのサバイバル術を楽しめたのでヨシとします。

オマケサバイバルキャンプというのは終末論者が集まって、終末に備えて日々を暮らしている集団のことです。

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美しい絵の崩壊

2015-02-05 | シネマ あ行

オーストラリア東部の美しい海岸沿いに住む幼馴染のリルナオミワッツとロズロビンライト。共に育ち同世代で結婚・出産。同じ年の息子を持つ2人。リルの夫は息子イアンゼイヴィアサミュエルが幼い頃に亡くなってしまったが、お互いがひとつの家族のように暮らしてきた。

リルの息子イアンとロズの息子トムジェームズフレッシュヴィルも美しく成長し、2人もまた親友同士。よく飲み過ぎるトムを快方するためにイアンはロズの家に泊まることが多かった。ロズの夫ハロルドベンメンデルソーンが留守だったある晩、ロズとイアンは一線を越えてしまう。イアンの寝室から半裸で出てくる母を目撃してしまったトムはその足でリルのところへと向かい、今度はトムとリルも一線を越える。

親友の息子とデキちゃう母親たちの話ってのは知っていて見ているので、ここは特に衝撃!ってことはなかったのですが、ワタクシが衝撃だったのはこのあと。

リルはこうなってしまったことをロズに黙っていることはできず、ロズとイアンの関係を知っていること、トムともそういう関係になったことをロズと話し合いに行きます。そして、もちろんこんなことはダメね、っていう結論に至るんだけど、やっぱり2人ともやめることができなくて、、、

なんかこんなふうになってしまったお互いのことを罵り合ったりビンタし合ったり、そりゃあもう修羅場!ってのを待っていたら、なんだか2人でお茶しながら「こんなに幸せだと感じたことはないわ~」とか微笑み合っちゃてるよ、おいっ。

でもさー、リルはいいよ、未亡人なんだから。でもロズには夫がいるわけでー、と思っていたら夫とうまくいかなくなって(当然か)あっさり離婚。この夫がロズとイアンの関係を知っていたのかどうか最後まで分からなかったけど、どうなんでしょうか?知ってしまったら発狂すると思うが。

そのまま幸せな2年が過ぎお互いにずっとその関係が続いていたようなんですが、トムが仕事で都会へ行くことになり、なんとトム若い子とあっさり浮気。故郷でじりじりしているリルを「大丈夫だよ」とロズとイアンが慰めるというなんとも不思議な構図です。

で、結局トムはその若い子とあっさり結婚してしまい、、、そこでなんとロズはイアンとの関係を断ってしまいます。なんでリルとトムが別れたからって僕らも別れなくちゃいけないんだ!と納得のいかないイアン。そりゃそうだよねぇ。ワタクシも納得いかんかった。でもロズは身を引き、イアンはヤケになって付き合った子を妊娠させてしまい結婚しなくちゃいけなくなった。

どこへ行くんだこの話?と思っているとなんと、リルとロズがイアンとトム家族とともに海岸へピクニック。それぞれの奥さんと孫娘も一緒にわきあいあい。わきあいあいやっとる場合かいっ、ってかようわきあいあいできるなぁ。と、言いつつやっぱりお互いに未練がある雰囲気。怪しい。

ロズの家に全員集まっていると先に帰ると言うリル。さりげなく抜け出して後を追うトム。帰ったイアンは2人の情事を目撃してしまう。お前らが別れたから俺は仕方なくロズと別れたのに何やっとんねーん!!!

ロズに涙ながらに説明するリルにワタクシは二度ビックリ。一度は別れたのよ。でもやっぱりやめられなくて。時々うちに来てたわ。っておいーーーーーっ!!!久しぶりに再会しての情事じゃないんかいっ。いっとき別れてただけでずっと続いとったんかいっ。最低やな…

結局イアンがキレてなにもかも暴露してしまって2人の奥さんは子供連れて出て行った。そりゃそうや。

それで最終的には2組とも元サヤに戻りましたとさ。めでたしめでたし。

っておいーーーーっ。めでたしめでたし、なんかいーーーっ。いや、まぁ別にええけどー。このころにはなんかもう好きにして、みたいな気になってます。熟女の妄想映画なのかなー、これ。

まぁね、ロビンライトとナオミワッツだもん。そりゃ、アリっしょってなるよなぁ。もうすぐ50歳っていう年齢だけどロビンはきれいだしナオミは可愛いもん。アネットベニングあたりだったらもうちょっとおばさん風だったと思うけど。

邦題は「美しい絵の崩壊」ですが、この4人にとっては美しい絵は特に崩壊せず、美しい絵のままでした。

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エクソダス~神と王

2015-02-04 | シネマ あ行

ここ最近のリドリースコット監督とはちょっとそりが合わなくなってきていると思いつつもやはり「出エジプト記」クリスチャンベイルがモーゼの十戒をやると聞けば見に行こうという気になります。

大学時代に英米文化概論という授業で聖書の中身を少し勉強しました。ユダヤ教徒でなくても物語として興味深い旧約聖書の中でもワタクシはこの「出エジプト記」が物語として一番好きでした。

細かいストーリーは割愛しますが、どうしてもモーゼと言えば1956年作品のチャールトンヘストンの「十戒」のイメージが強くて全編で比べてしまったのが辛かったなぁ。クリスチャンベイルは素晴らしい役者で大好きなんですが、比べる対象がチャールトンヘストンとなるとクリスチャンベイルでさえ少しかげってしまいます。

そして、モーゼと兄弟同然に育ちながら戦うことになってしまう王ラムセスを演じるジョエルエドガートンがあまりにも弱弱しすぎてキャストミスじゃないかと思いました。こちらもユルブリンナーくらい目力と迫力のある人が演じないといまいち迫力が出ない。

モーゼはラムセスにヘブライ人を解放するよう要求し、その間にヘブライ人に武器を作らせて訓練をするシーンがありました。聖書であんなシーンがあったのかどうかちょっと忘れてしまったのですが、洞窟の中で弓の練習をしているシーンはいいとして、なんか広場みたいなところでやっているシーンもありましたけど、あんなのエジプト人の護衛たちに見つかって速攻処刑されるんじゃないの?

モーゼに任せてても埒が明かんと思ったかどうか、神はエジプト人に奴隷として捕らえられているヘブライ人を助けるためエジプトに10の災厄を下します。

1、ナイルの水を血に変える。
2、カエルを大量発生させる。
3、ブヨを大量発生させる。
4、アブを大量発生させる。
5、牛馬への疫病。
6、人々の肌に膿みや腫れを起こす。
7、雹を降らせる。
8、いなごを大量発生させる。
9、暗闇
10、エジプト人の子どもを殺す。

この10の災厄のCGがなんか大したことなかったんだよねー。いまの技術ならもっと気持ち悪い感じにできると思うんだけどなぁ。聖書のお話だけにちょっと抑え気味にしたのかなぁ。ワタクシはカエルが大嫌いなんですが、モーゼの話ということで奴が大量発生することは分かっていて覚悟して見に行ったんですが、画面がなんだか暗くて見にくかったので大丈夫でした。あ、暗闇の災厄が来ていたからなのかな?この順番で来たはずだけどな。最初に水が血に変わるのもワニが人を食べてその血が広がっていくっちゅうのもなんか変でした。

この10個目でラムセスの子も殺され、ついにラムセスはヘブライ人はエジプトから出ていくように言い渡します。

大勢のヘブライ人奴隷を連れてエジプトを出たモーゼたち一行ですが、紅海を目の前にして後ろからラムセス率いるエジプト軍が迫ってきます。(10個目の災厄で死にかけていた我が子がついに死んでしまったことでラムセスは攻撃に出た)目の前は海。後ろからは敵。という場面でモーゼが神に祈るとついに海がーーーーーー、


割れへんのんかーーーーーい!!!!


ってもうしーんとした映画館の中でワタクシの心の中はざわざわざわざわしましたよ。
モーゼでしょ、出エジプト記でしょ、十戒でしょ、この海が割れるシーンを見に来たと言っても過言ではないわけですよ。
なんやこれーーーー???
これじゃあ、なんかただたまたますごい引き潮になったって感じにしか見えへんやん。神の奇跡!をここで見せつけないとあかんのんちゃうの?あの水の壁を見せてよ!エジプト軍をやっつける火の柱を見せてよ!

まー、ままま、えーわ、次っ!次っ!十戒を授かるシーンよ!

エジプトを脱出したモーゼがシナイ山に登っていよいよ十戒を神から授かります。ここもついつい「十戒」の光がばばばばーーーーと石板に十戒を刻むシーンを期待してしまっていたのですが、さすがリドリースコット版は一味違います。ずっと“神”(の化身?神自身?)として登場していた少年がなんとモーゼにお茶を入れてあげていてその横でモーゼが自分で石板に十戒を彫っているではありませんか。しかも「私がこの十戒に賛同しなかったら自ら彫りはしない」とかなんとか言いながら。いやいやいやいや、これは神が人間との契約として人間たちに守るように授けたものであって、それにモーゼが賛同するかどうかなんて神がモーゼの意見を聞くわきゃないでしょうよ。しかも神がモーゼにお茶入れちゃってるよ。。。ユダヤの絶対神が。

ああああ「ノア~約束の舟」を彷彿とさせるわぁ。

ワタクシはユダヤ教徒やキリスト教徒ではないので、聖書に沿ったものを作らないからと言って怒るとかそういうのとは違うのですが、やはり映画ファンとして当然期待するだろうというシーンがすべて台無しな感じだったのでがっかりしてしまいました。最近のリドリースコットとはそりが合わないと思っていたのは残念ながら覆されなかったなぁ。

10の災厄も海割れも石板も実際の現象として検証すれば、こういうことだったんじゃないかっていう解釈の作品だったんだよね。だから、それを「あ、本当はこういうことだったんだな」と素直に思えればこの作品の評価は上がるのかもしれません。ワタクシは旧約聖書は(不謹慎ですが)一大スペクタクル超大作だと思っているので、ただただそういう作品を期待して見てしまったのがダメだったのかもしれません。クリスチャンベイルはやっぱりカッコいいのと神を演じていた少年が可愛かったのが救いでした。

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