シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ホビット~決戦の行方

2014-12-25 | シネマ は行

前作からまだかまだかと待っていたせいで随分長い間待たされていたような気になっていたんですけど、前作のレビュー書いたのは今年の3月でした。いよいよ中つ国での冒険が本当に終わってしまいます。

前回スマウグヴェネディクトカンバーバッチがバルドルークエヴァンスたちのいる村へ飛び去ってしまったところで終わりました。スマウグが人間たちの村を焼き尽くそうとしています。前回がとても思わせぶりなところで終わっていただけにこのスマウグとバルドの戦いを非常に楽しみにしていたんですが、なんだかあっけなく例の矢でスマウグが殺られてしまって少し残念な気がしました。

バルドがスマウグをやっつけ、傷を癒すために村に残っていたキーリエイダンターナーたちとタウリエルヴァンジェリンリリーもビルボマーティンフリーマンやドワーフの王トーリンオーケンシールドリチャードアーミテイジのところへ向かいます。

スマウグに村をめちゃくちゃに破壊された人間たちも村の再建のためにトーリンに約束の報酬をもらおうとトーリンの元へ。しかし、トーリン、なんとスマウグが持っていた黄金に目がクラクラくらんじゃってご乱心。黄金は誰にも渡さん!とか言っちゃってんの。。。

スマウグが死んだというウワサは中つ国中を駆け巡り、エルフもオークもスマウグが守っていた財宝をいただこうと攻めてくる。バルドはそんな中闇のエルフの王スランドゥイルリーペイスを説得して、トーリンが自分たちの取り分をくれれば戦をする必要はないと言い、トーリンに話に行くのですがご乱心のトーリンにそんな言葉は通じない。やっぱり僕ちゃんの黄金は誰にも渡さん!って言っちゃったからさぁ大変。ビルボが見つけていたアーケン石をバルドたちに渡し、それを交渉材料に使うもトーリンはそんなものニセモノだと信じず。人間、エルフ、ドワーフ三つ巴の戦いの始まりか!と一気に緊張が高まったとき、アゾグ率いるオークたちが攻めてきた。

このオークたちと一戦交えることになったとき、ドワーフたちが作った盾の壁の後ろからエルフ軍が一斉に飛び出てオークたちに攻めかかるシーンは最高にカッコ良かったです。スランドゥイルが乗っているヘラジカも超カッコ良かったです。今回残念だったのはエルフ、ドワーフ、オークともに全身甲冑に覆われていて生身の姿が全然見られなかったことです。特にオークは気持ちが悪いけど一人一人少しずつ造形が違うのでこのシリーズを通してオークを見るのが好きだったワタクシには残念でした。今回アゾグとボルグくらいしかはっきり見られませんでしたから。ボルグは甲冑が身体に食い込んだような姿をしていて、もっとじっくり身体の構造を見てみたいと思いました。

ご乱心のトーリンは奴らに戦わせておいて自分は財宝と共に地下に隠れていようとか言っちゃってましたが、独りになった時、自分の祖父もなってしまった「竜の病」の恐ろしさを感じ目を覚まし、そして、ドワーフの一行に共に戦おうと言います。ってさー、目覚めるの遅いよトーリン。あなたのせいでみんなもうぐちゃぐちゃよ。戦いに入る前にトーリンがビルボにミスリルをあげます。これはビルボがフロドにあげたものですね。

この戦いでキーリとフィーリが死んでしまうんですよねぇ。悲しすぎる。特にキーリは「愛している」とまで言ったタウリエルが見ている目の前でボルグに殺されてしまいました。タウリエルが最後までなんとかキーリを助けようとボルグに応戦するのですが、負けてしまいましたね。種族を越えて愛を知った2人が引き裂かれるのが辛かったです。キーリのかたきはレゴラスオーランドブルームが取ってくれました。「ロードオブザリング」の最初のほうではずっとドワーフのことを嫌っていたレゴラスですが、なんかもうここですでに仲良くなりかけているような気がしました。

アゾグとトーリンの直接対決。北の山の氷の上で。見ものでしたね。凍った池に落ちたアゾグ。このままあっさり死ぬはずはないよなと思っていたら案の定また襲ってきました。あそこでアゾグを倒すには相撃ちするしかなかったか。トーリンを見送ることになってしまったビルボ。やっぱりここは涙が出ました。

そう言えばガンダルフイアンマッケランのことを書くのをすっかり忘れていたわ。。。最初ガンダルフが捕まっていたんですけど、これってなんでこんなことになってんの?ってもう2作目のこと忘れてしまってました。いまでもどういう経緯でそうなったか実ははっきり思いだせてないのです。2作目見直さないとな。なんかネクロマンサーが出てきたことは覚えているのですが。

ここでガンダルフは9人の王に襲われエルロンドヒューゴウィーヴィング、サルマンクリストファーリー、ガラドリエル様ケイトブランシェットに助けられ、最後にサウロンまで登場します。この時はサウロンの力がまだ強大になっておらず、ガラドリエル様の“気合”で退散させられていました。サルマンが出てくるとついついコイツ悪い奴と思って見てしまうのですが、この時代はまだええもんグループにいたんですね。ガラドリエル様はあいかわらずコワ美しかったです。

エルフ、ドワーフ、人間の連合軍がオークたちをやっつけてビルボはホビット庄へ戻ることに。ここでのお別れのシーンがまた切なかった。「お茶の時間は4時だよ。ノックはしなくてもいいよ」なんてビルボもなかなかシャレたことを言います。

ガンダルフは当然ビルボが例の指輪を持っていることに気付いているのですが、ここでビルボから指輪を奪ったりしないのは、やはりビルボを信頼しているということと、戦いを望まないホビット族が例の指輪を持っておくのが一番良いと考えたからなのかな。

今回はゴラムが出てこないのが少し寂しかった。あんなに気持ち悪いゴラムなのに登場しないとなんかやっぱ寂しい。

とにもかくにも、これで本当に中つ国にお別れです。この物語を見終わって、あぁ本当にピータージャクソン監督と同じ時代に生まれて良かった、と思いました。大げさではなく、本気で「ロードオブザリング」「ホビット」が映画化されたリアルタイムに生きていて良かったと思いました。ここまで思えるのはこの作品くらいかもしれません。


フューリー

2014-12-19 | シネマ は行

ムビチケが当たったので見に来ました。当たらなくても見に行くつもりだったのでラッキーでしたが、タダで良かったというのが率直な感想かな。

第二次世界大戦時のドイツ。フューリーと名付けた戦車に乗るウォーダディブラッドピット率いる4人のメンバー。運転士のゴルドマイケルペニャ、信心深いバイブルシャイアラブーフ、荒くれ者のクーンアスジョンバーンサル、新兵のノーマンローガンラーマン

ドイツの対戦車砲に立ち向かって行ったり、ドイツの戦車Tiger(ってのが有名らしい)と戦ったりと百戦錬磨のウォーダディと彼について行くフューリーのメンバーたちの絆を描く。戦闘シーンに関してリアリティがないという意見をネットのレビューでちらほらと見ましたが、ワタクシはその辺りはどうなのか全然分かりません。戦闘シーンが多いので変に甘っちょろい戦争映画よりは全然良いとは思いました。

ワタクシにはフューリーのメンバーの絆ってのがイマイチ分からなくて。ひとつの町を占拠したときにウォーダディがノーマンを連れてドイツ人女性が2人いる家に入って行きお湯を浴びさせてもらって食材を提供して食事を出してもらうっていうシーンがあるんだけど、そこでウォーダディがノーマンと年恰好が同じくらいの女の子をノーマンにあてがう形で初体験させてやる。若い2人は意気投合したようだったし、別に無理やりレイプしたとかそういうわけではないからウォーダディが初めからそのつもりで女性を物色していたかどうかは分からない。

そこへクーンアスたち3人が「2人だけで何楽しんでるんだよお」と乗り込んできて、なんだか険悪なムードになるんだけど、ここんとこのテンションがワタクシにはどう解釈したら良いのか分からなかった。ウォーダディがノーマンだけを贔屓しているみたいになったことに他の面子が腹を立てたのか?ノーマンが参加するずっと前に大変だった戦闘の話なんかを持ち出して、そんな俺たちを差し置いてお前が良い目を見るのかよ?って感じだったのか?そんな単純なことではない気がするのだけど、あれをどう読み解いて良いのか分からん。

捕虜を殺すくらいなら自分を殺してくれと懇願するような新兵だったノーマンが最後には「ナチ殺人マシーン」とまであだ名されるようになってしまって、これを「成長」と呼ぶのはすごく抵抗がある。最後に「お前はヒーローだ」なんて言われていたけど、結局ノーマンが壊れていくさまを目の当たりにしたような気がするんだけど、作品の中では特にそういうふうにも受け取られていない気がした。もちろん、自分がドジを踏めば自分も他の人も殺されるという状況の中で「憎きナチを殺せ!」となり、一度慣れてしまえば高揚感というものも出てきてそれがまるで彼らの絆のように見えるのは事実なんだけど、結局それって人間の頭がおかしくなっている状態なんだよね。デヴィッドエアー監督は従軍経験があって、戦争とはつらくて怖いものと話しているそうなんだけど、作品を見る限りそれが妙に肯定的に描かれている気がした。この高揚感は俺たちにしか味わえないぜ!みたいな。

最後300人のドイツ兵を相手に動かなくなったフューリーに籠城して戦う5人の姿が描かれて、これがこの作品のクライマックスなんだろうけど、300人に奇襲されたわけではなく、逃げる時間はあったのに、あえて「ここが俺の家だ。お前たちは逃げろ」とか言っちゃうウォーダディを観客は「カッコいい」と思わなくちゃいけないの?ワタクシには単なるバカにしか思えなかったけどな。そんなこと言ったら他の面子も残るって言うに決まってるし。あの十字路を死守するということが任務だったからなのは分かるけど、あまりにも無茶過ぎるし、本当ならあんなに長時間もたないと思う。

他の兵がいないところで泣くのを我慢しているような顔をしていたウォーダディの姿が何度か映し出されて彼も辛い状況をなんとか乗り越えようとしているのだということは分かるけど、あまりにもどの兵士の背景も語られないので、ここで死んでも悔いのない一匹狼なのか、妻子ある男性なのかってのも分からないのでなんとも感情移入がしにくかった。

ブラピは、ま、やっぱかっこいい。ジョンバーンサルが粗野な人間以外を演じているところを見てみたい。


ゴーンガール

2014-12-16 | シネマ か行

激しくネタバレしています。

予告編を見て面白そうだったし、ベンアフレックデヴィッドフィンチャー監督も気になるので見に行くことにしました。

結婚5周年の記念日に忽然と自宅から姿を消した妻エイミーロザムンドパイク。自宅のリビングに争ったような跡を見つけた夫ニック(アフレック)は警察に通報する。到着したボニー刑事キムディケンズはリビングの跡が明らかに偽装されたようであることに気付いてはいたものの、ニックに対して公平に捜査を進めていた。

始めは悲劇の夫として周辺住民やメディアから扱われていたニックだが、徐々にその目は嫌疑の目へと変化していく。

妻が失踪や殺害された場合"It's always the husband."と刑事ものでよく言われるように、夫が第一容疑者として見られるのが常である。果たしてニックはエイミーを殺害したのか?

現在の状況と並行して、エイミーとニックの関係が出会いからかいつまんで語られていく。誰もがうらやむような素敵な関係に見えた2人。ロマンティックな出会い、夫婦になってからも決して世間のマンネリ夫婦のような関係にならないでいようとする2人。こんな2人に一体何があったのか。誘拐や殺害をしないまでも現在のニックが双子の妹マーゴキャリークーンに話す口調から、どうもエイミーとニックはうまくいっていなかったように聞こえる。付き合って2年。結婚して5年。その7年の間に2人の関係にどう変化があったのか。

エイミー失踪の謎と世間のニックに対する目が変化していき、ニックにも何か隠し事がありそうだと思わせこいつもなかなかどうして怪しいのではと思っている前半部分のほうが面白かった。エイミー失踪の謎が分かり、それからまたどうなるの?という後半はつまらなくはないけど、前半ほどサスペンスフルではなかったかな。

エイミー失踪の謎そのものは予想の範囲内だったわけだけど、その失踪準備もそうだし、それが破たんしてからのエイミーの行動もあまりにも作り込まれ過ぎているなという感じがしました。エイミーがあそこまでのサイコパスだったってビックリだよねー。7年間も普通にしていたわけだし。ニックとの夫婦関係が自分が理想として思い描いていたものではなくなった途端にその本性が出たと考えればいいのかなと自分を納得させているのですが、それで合っているのかな。将来的にもそうだけど、ニックが自分の理想の夫であり続ける限り、エイミーは「普通の女性」を演じ続けていられるということでしょうか。

エイミーの計画が破たんしてからプランBに変更したわけだけど、そもそもプランAがうまくいっていたらエイミーは自殺して死体をあげ、ニックを死刑に追い込むつもりだったんだよね?となると、自殺してまでニックを陥れたかったエイミーはめちゃくちゃ怖いけど、エイミーをキレさせたのはニックの浮気現場を目撃したからであって、つまりニックへの愛は嘘ではない、というか愛ゆえにだったのか。。。いやーゆがみ過ぎた愛でそれも怖くはあるのだけど、自分でニックを殺すのではなく、自分を殺してニックを死刑に追い込むというところが女性のサイコらしい考え方だったのかもしれない。

最後まさしく囚われの身となってしまったニックはこれからどうなるんだろう。こえーなー。あの家庭に生まれてくる子供もどうなっちゃうんだろう。。。今度は本当にニックがエイミーを殺しちゃうんじゃないかと思うけどな。それも自分の子供の母親だからという理由で無理になってしまったということかな。

失踪した妻、悲劇の夫、その愛人なんかがテレビに出てべらべらと自分のことを話し、いっときスポットライトを浴びるっていうのはいかにもアメリカのワイドショーって感じだね。そして、視聴者もやたらと誰かに肩入れしたりしてね。

この映画のレビューを見ていると「女ってコワイ」っていう感想がよく上がっているのが不思議です。男の連続レイプ殺人犯とかの映画の感想で「男ってコワイ」なんてのは全然目にしないけど、女性のこういうキャラクターが登場する映画の感想には必ず「女ってコワイ」っていう感想が上がる。なんで?エイミーって超特殊なサイコパスだと思うけどなー。なんで女性だといっしょくたになるんだろ。女性と付き合うのがトラウマになるとまで書いている人がいるんだから。不思議だね。

ロザムンドパイクはこの作品で一気に脚光を浴びたでしょうね。ワタクシはニックの双子の妹を演じていたキャリークーンが気になりました。