シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

命をつなぐバイオリン

2013-02-27 | シネマ あ行

ウクライナが舞台のナチス映画というので興味があって見に行きました。

ナチスがソ連を侵攻する直前のウクライナ。ドイツ人のハンナマティルダアダミックはウクライナ人の神童2人の演奏を聴き、同じイリーナ先生グドルンランドグレーベに習いたいと父親カイウォージンガーに頼む。

バイオリンを弾くアブラーシャエリンコレフとピアノを弾くラリッサイーモゲンブレルは最初はハンナを歓迎しないふうだったが、一緒に練習するうち徐々に親しくなり3人は親友となる。

ナチスが独ソ不可侵条約を破ってウクライナに侵攻を開始。ドイツ人のハンナたち一家をソ連軍の迫害から守るためにアブラーシャとラリッサの一家が彼らを匿い食糧などを調達してくれる。

しかし、ナチスが優勢となり形勢は逆転。今度はハンナ一家がユダヤ人であるアブラーシャとラリッサ一家を匿うことになる。

初めは自国にいる敵国人ということでドイツ人一家を匿ってあげたユダヤ民族のウクライナ人たちの話というのは珍しいなと思って見ていたら、すぐに形勢が逆転した。しかも、最後まで匿うという話ではなく途中でアブラーシャとラリッサの一家はナチスに捕まってしまう。

ハンナの両親は彼らが神童であるということを利用して彼らをなんとか助けようとする。担当の大佐が音楽好きとあって彼らは特別措置を受けられるのだが、ヒムラーの誕生日の席で完璧な演奏をすれば命を助けてやると幼い2人に命がけの演奏を求めてくる。

2人の演奏、特にアブラーシャを演じる子の演奏が素晴らしすぎてビックリする。実際にエリンコリフくんは天才バイオリニストらしい。セリフが外国語だからなんとも言えない部分もあるけど、それでも演技で見せる切ない表情もすごく良かったし、役者さんでバイオリンはアテレコなのかと思ったけど違うのですね。すごいなぁ。

ハンナたちがドイツ語で話しているのは分かったのですが、初めアブラーシャたちが何語を話しているのか分かりませんでした。ウクライナだからロシア語のはずだと思うのですが、ドイツ語で話しているように聞こえましたので。ハンナたちとも普通に通じ合ってたし。便宜上全員がドイツ語を話していたということなのでしょう。それが分かるまでは誰が何人(なにじん)なのかちょっと混乱してしまいました。

内容は子どもたち3人が親友になっていく過程があまり丁寧に描かれていなかった気がします。あとはハンナのバイオリンはこの2人と演奏するレベルではないのにイリーナ先生が引き受けたのはどうしてだったのか。ドイツ人家庭の子という無言のプレッシャーがあったのかな。でも、独ソ不可侵条約が破られるまでは独ソは対等な立場ではなかったのかなと思ったり。ワタクシの勉強不足だったらすみません。

そのイリーナ先生ですが、随分と闘志あふれる女性で、50歳以上のユダヤ人が収容所に連れて行かれるときにも毅然とした態度だったし、残されるラリッサにも「何があっても音楽のために生きるのよ」という力強いメッセージを残したり、匿われているときに食糧を調達しに行こうとしたアブラーシャに対して「行きなさい。革命の同志は愛する者のために戦うのよ」と励ましたり、最後にはナチスの兵隊相手に堂々と戦って死んでいきました。

ハンナのお母さんカテリーナフレミングは、ナチスの方針に従いユダヤ人が迫害されるのは仕方がないことくらいに思っていたようでしたが、最後にアブラーシャとラリッサが命がけの演奏を迫られ、ラリッサが失敗してしまったときにナチスの紋章を襟から引きちぎっていたのが印象的でした。

これは当然実話ではないので、少し迫力に欠ける部分がありますが、あれだけ人間の命を弄んだナチスですから、これくらいのことならやりかねなかっただろうなという気はしました。


glee シーズン4 第3話 Makeover

2013-02-26 | 海外ドラマ

「Everybody Wants To Rule The World」 by Tear For Fears

ブレインダレンクリスがカートクリスコルファーのいない寂しさを紛らわせつつ歌います。離ればなれになった2人がスカイプで一緒のテレビを見ている映像が笑えました。この曲にブレインの声がすごく合ってました。

「Celebrity Skin」 by Hole

サムコードオーバーストリートとブリタニーヘザーモリスのペアという珍しい組み合わせ。ワタクシこの曲好きなんですよねー。Holeってグリーでは確か初めてですよね。嬉しい。シーズン4に入ってブリタニー歌いまくりですね。決してすごくうまいわけではないけど、結構好きです。生徒会選挙なので、歌っているときの2人のスーツ姿が良かった。あと、バックの旗のパフォーマンスも。この辺のシーンではサムが物まねばっかやってて笑える。

「The Way You Look Tonight/You're Never Fully Dressed Without a Smile」 by Fred Astaire/The Cast of "Annie"

ヴォーグでバイトを始めたカートの上司イザベラライト役にサラジェシカパーカーが登場です。個人的に好きな女優さんではないですが、ニューヨークと言えば彼女って感じだし、イザベラは良い人そうなのでこの役はまぁまぁ好きです。
彼女が「アニー」を演じていたからこの曲が選ばれたのかな。歌の間にレイチェルリアミシェルがどんどん美しくなっていくのが良かった。昔のダサいレイチェルも好きですけどね。

ヴォーグにはあっさり採用されたカートですが、カートほどのおしゃれ上級者だからいっか。イザベラがあのカバのブローチにちゃんと注目してくれて嬉しい。

「A Change Would Do You Good」 by Sheryl Crow

シェリルクロウも初めてだっけ?レイチェルとブロディディーンガイヤーがどんどん距離を詰めていきますね。やっぱヤダ。

今回はパフォーマンスが少なめでちょっとイマイチな回だったな。ナンセンスな感じがシーズン1ぽかったかも。
ニューヨークでのカートはブレインをほったらかしがちでブレインが可哀想です。
シュー先生マシューモリソンが政府の芸術委員会だかなんだかに行っちゃうのかな?またスー先生ジェーンリンチがなんだかんだ言いながらシュー先生の尻を叩いてアドバイスしてましたね。

最後にブロディと家でいちゃついているレイチェルのところになんとフィンコーリーモンティースが訪ねて来ちゃいましたねー。きゃー。ま、フィンがレイチェルを振ったんだから文句言えないと思いますけど、こんないいところで終わるなんて。来週気になる~。


ステキな金縛り

2013-02-25 | シネマ さ行

ケーブルテレビで放映していたので見ました。

冴えない弁護士のエミ深津絵里は、被告人KANが犯行時刻に旅館で落ち武者西田俊行に馬乗りになられて金縛りにあっていたというアリバイを証明するために落ち武者の幽霊に会いに行き、裁判での証言を依頼する。

そもそもの設定がムチャクチャでこの前代未聞の幽霊裁判を成立させようとしているわけだから、もうすべてがムチャクチャなことには目をつぶるしかない。こういう荒唐無稽な設定の中に入り込んで笑えるかどうかはかなり人によると思うので、最初に乗りきれなかった人はもう最後までクスッとも笑えないという悲惨な状況に陥るかもしれない。

今回、ワタクシは2時間22分、終始笑い続けてました。なんかもう色んなことがムチャクチャで。特にこの落ち武者の設定がすごく良かったなぁ。この更科六兵衛という落ち武者は戦国時代に死んでいるわけだけれども、現代まで幽霊として生きていて(?)現代のテレビとかを旅館で見ているから裁判員裁判制度を知っていたり、喋り方もときどき「えー、〇〇って言ってたじゃん!」とか現代風になったりするところが面白い。「現代のテレビを見ているから」という理由ですべての時代考証を全部無視できちゃうところがうまい。

そして、この「幽霊」の設定もまぁうまくできていて、幽霊は見える人と見えない人がいて、見えない人に対してもふっと息を吹きかけたりはできる。それをヒントに法廷でもイエスかノーの質問にハーモニカを吹いて答えることができるような設定にしちゃってるところがまたうまいなー。こういう発想にすごく笑わされる。

三谷幸喜監督の作品なので、いつものようにキャストが豪華なんですが、陰陽師を演じた市村正親とエミのボスを演じた阿部寛はちょっと計算づく過ぎる感があったんだけど、検事役を演じた中井貴一が非常に自然で良かったです。幽霊が見えてるくせに見えないふりをするという難しい役柄だったと思うんですけど、さすが中井貴一は何やらせてもうまい役者さんだなぁと改めて思いました。エミと六兵衛が検事が幽霊が見えていることを暴くために死んでしまった飼い犬のラブちゃんと再会させるシーンでは不覚にもほろっと来てしまった。こないだの「笑の大学」のときにも書きましたが、三谷幸喜ってそんなふうにちょこっと観客を泣かせたりもするところがニクイ。意外なキャスティングとしてはKANが良かったですね。なんか冴えない旦那の役がぴったりで。

あとは例によってカメオ出演的な人がいっぱいいるんですが、深田恭子のウエイトレス役が良かったです。いかにもなウエイトレスの制服を着せられて胸の谷間を強調されてましたね。唐沢寿明もいつもの大げさなオトボケ感で笑わせてくれました。

ついつい豪華なキャストに目が行きがちですが、筋のほうもなかなかうまくて最後に被害者竹内結子の幽霊を連れてきて証言させたのには、さすがにこのムチャクチャの中でも禁じ手!とは思ったもののまぁすべてが丸く収まって良かった。最後にラブちゃんに続いてエミのお父さん草剛も登場してほろっとさせてくれましたし。

いつも映画が公開されるたびに三谷幸喜は当たり外れがあるからなぁなんて思うんですが、彼のフィルモグラフィーを並べて見てみると結局ワタクシが全然ダメだったのは「THE 有頂天ホテル」だけだった。やっぱりワタクシ三谷幸喜が好きなんだな。


オマケ1エミのセリフで「ガラムマサラの主な成分はシナモン」というのがあって、家で見ていて思わず「そうなんやー!」と言ってしまいました。

オマケ2劇中に登場する「スミス都へ行く」という映画は1939年の古い作品ですが、いま見ても色褪せない魅力のある作品だと思います。未見の方はぜひ。こういった作品を登場させるのを見るとあ~三谷幸喜って本当に映画が好きなんだなとちょっと嬉しくなります。

オマケ3深津絵里は確か「ザ・マジックアワー」でも歌わされていたと思うのですが、今回も西田敏行と一緒に主題歌を歌っています。三谷幸喜は深津絵里の歌声が好きなのかな?


アメリカドラマ忘備録9

2013-02-22 | 海外ドラマ

いくつか最終回になったもの、新たに見始めたものがあります。


「グリー」シーズン1、2、3、4(途中)




こちらは別記事でどうぞ。

「アグリーベティ」シーズン1、2、3、4(終了)




ついに最終回を迎えましたー。ベティを見るといつも楽しい気分になるので大好きでした。終わっちゃって寂しいけど、最終回で(無理やり?)全部キレイにまとまったので良かった。この番組では時々ほろっとするシーンがありましたが、最終回はそういうシーンが多かったな。
ウィルミナヴァネッサウィリアムスもなんだかんだ言ってやっぱ最後は良い人だったし、マークマイケルユーリーもやっとウィルミナに認めてもらえて。アマンダベッキーニュートンのお父さん探しも一件落着したし、ジャスティンマークインデリカートは彼氏と幸せそうだし、お姉ちゃんアナオルティスも結婚したし、みんなみんな幸せになって良かったー。
肝心のベティアメリカフェレーラはロンドンでキャリアアップ。シーズン1から比べて見ると本当にキレイになりましたよね。それはそれで少し寂しい気もしたんですが。ダニエルエリックメビウスがまさかベティのこと好きってことになっちゃうとはなー。アメリカ版ではベティとダニエルという線はないと思っていたので。でも、途中で二人でごちゃごちゃされるのはイヤだけど、こういう形でほのめかして終わるっていうのであればOKかなと思いました。


「コールドケース」シーズン1、2、3、4、5、6(途中)



シーズン6が週一で放送されています。リリーキャサリンモスは例の麻薬課のヤツとうまくいくのかなと思った矢先、彼が潜入捜査に入ってしまいましたね。修羅場をくぐってきた彼ならリリーを受け止められるんじゃないかと思っていたのにな。また出てくるんでしょうか。事件は相変わらず切なくてクオリティが高いです。


「NCIS:LA」 シーズン1、2、3(終了)



シーズン3の後半はかなりドキドキする展開が多かったです。
ケンジーダニエラルアーとディークスエリッククリスチャンオルセンが潜入捜査で夫婦に扮して一緒に住んでたエピソードが良かったな。もうラブラブじゃんか。
犯人に殺されたハンタークレアフォラーニと話しをするヘティリンダハントはすごく切なかったな。ヘティが育てたも同然の子だったんだもんね。
Gクリスオドネルは犯人を撃っちゃったけど、どうなるんだろ?あれって完全に服役もんだよね。シーズン4では都合よくカムバック???


「クリミナルマインド」 シーズン1、2(途中)



エルローラクラウディーニがぷっつんしちゃったよ。。。結構好きだったんだけどな。残念。エルが不在になってからはJJA.J.クックが結構目立つようになってきたのは嬉しいですが。気難しい感じのギデオンマンディパティンキンがモーガンシェマームーアをさりげなく褒めたりするところが好きです。


「チャック」シーズン1、2、3、4(途中)




シーズン4で終わりだと思っていたらシーズン5まであるんだ。。。シーズン4の最後でチャックザッカリーリーヴァイとサライヴォンヌストラホフスキーが結婚して終わりかと思ってた。シーズン4のチャックはなんかウザイです。サラと付き合い始めて、任務中にごちゃごちゃと二人の問題を話そうとするところが。あんなんじゃ、サラに嫌気差されると思うけどなぁ。二人が仲良くしている姿は微笑ましいんですけどね。シーズン4に入ってからチャックの髪型が変だなぁ。なんかちょっとアイパー?って感じがする。前の長いほうが良かった。
ケイシーアダムボールドウィンとモーガンジョシュアゴメスが妙に仲良くなっているのが笑えますね。ケイシーは望んでないけど、それでもやっぱり名コンビになっちゃってるところがいいです。
ここへ来てチャックのお姉さんのエリーサラランカスターが実はキーパーソンってな展開になっていて、またちょっと先が気になります。


「モダンファミリー」シーズン1、2(途中)




ちょっとトーンダウンと言いつつもやっぱおもろい。フィルタイバーレルが自分ちの車に不動産の広告を載せたエピソードが面白かった。ジェイエドオニールがいつもグロリアソフィアヴァルガラに怒鳴られている姿も笑えます。
先日のエピソードでグロリアとジェイのおうちにステラというフレンチブルが来ましたね。この仔がまたひと騒動起こしてくれるんでしょうか。


「ボーンズ」シーズン1、2、3、4、5、6、7(途中)



ついにブレナンエミリーデシャネルが出産しましたね。その後はすっかり心配性のママになってしまって、ブースデイヴィッドボレアナスもあきれるほど。いつもの理詰めのブレナンに暴走する感情が相まってしまってもう手がつけられません。
それにしてもスイーツジョンフランシスデイリーの恋人デイジーカーラギャロはいつまで出るでしょうか。もうあのキャラめっちゃウザくて嫌いなんですよねー。かなり初期のシーズンから出てますけど実はスイーツもあんまり好きではないんだよね~。
もう放映は最終回まで終わってますが、まだ全部見ていません。


「グッドワイフ」シーズン1、2(途中)



アリシアジュリアナマグリーズとウィルジョッシュチャールズの関係にめっちゃイライラ。さっさとくっついちゃえよー!と思うけど、そう簡単にくっついたら全然「A Good Wife」じゃないしねぇ。結局はくっつかないのかな。ピータークリスノースのこと許しかけてるし。二人ともタイミングが悪いんだよね。
カリンダアーチーパンジャビの秘密がなかなか暴露されないのも気になるなぁ。もう一人の調査員のライバル関係が刺激的でいいんだけど、やりとりが回りくどくてよく分からんときがあります。
こないだのエピソードにベティ(アメリカフェラーラ)が登場してびっくりしました。メガネかけてないベティってすごく違和感あるわぁ。


「Lの世界」シーズン1(途中)




面白い回と面白くない回の落差が激しいような気がします。ベットジェニファービールスとティナローレルホロマンのカップルはなんかしょっちゅう険悪になってて、これでほんとにみんなの憧れになるようなカップル?って思っちゃう。デイナエリンダニエルズは最初好きじゃなかったけど、途中から好きになってきたキャラクター。マリーナカリーナロンバートは恋人のフランチェスカロリータダヴィドヴィッチが帰ってきた途端つまらない人に成り下がってしまいましたね。もうなんかみじめなヤツって感じで。
あとただの恋愛だけじゃなくてもっとゲイとしての生きることによる社会や家族との摩擦とかが親権に語られるのかと期待していたら、恋愛に比重がかなりかかっていたのが残念。相変わらず編集が下手で、音楽もとってつけたようなところが多いです。


「フリンジ」シーズン1、2(終了)



シーズン2まで一気に見終わりました。一話見ると次、次!って見たくなります。もうウォルタービショップ博士ジョンノーブル最高ですね。めっちゃキモい手術とかしてる最中に「あ!〇〇食べたいから買って来て」とかすぐピータージョシュアジャクソンや助手のアストリッドジェシカニコルに言ったりするんですよね。なんか不適切なところで喜んだりとか子供みたいに無邪気な姿が大好きです。そして、この助手のアストリッドがまたすごく可愛くて。いつも雑用ばっかりやらされているのに、文句も言わずきっとすごく優秀な捜査官になれるだろうに、ウォルターのお守りみたいなことばっかやっちゃって。それでもウォルターとはすごく良い関係を築いています。オリビアアナトーヴよりもずっとウォルターのことは分かってるんじゃないかな。
オリビアは相変わらず化粧っ気がまったくなくて色気もないんだけど、なんか妙にキレイです。口が大きくて素敵。コートにFBIのバッジを挟んでるのがすっごくカッコいいんですよねー。やっとピーターとくっついて、やった!と思ったのもつかの間なんとパラレルワールドに閉じ込められちゃったよー。どうなるんだー、オリビア。こんなところでシーズン2が終わるなんて拷問だよー。こないだシーズン3のキャッチアップやってたんですけど、吹き替えだったんですよねー。早く字幕でキャッチアップ放映して~。


「NCIS」シーズン1、2、3、4、5、6、7、8、9(途中)



シーズン9のエピソード1が「NCIS」には珍しくいきなりなんかややこしい話で始まったので、ちょっとしり込みしてしまったんですが、エピソード2からは普段の「NCIS」に戻ったようでちょっと嬉しかったです。エピソード1の話はまたおいおい出てくるんでしょうね。ややこしくて忘れてしまいそうですが。トニーマイケルウェザリーが実は昔いじめられてたって話でそれをマクギーショーンマーレイに正直に話さなきゃって言ってたのがちょっと良かったですね。アビーポーリーペレットが自分が実は養女だったってひょんなことから知ってしまって。これからどうなるんだろ。これも結構たまってきたんですが、まだ2、3話しか見てません。


「ミルドレッドピアース~幸せの代償」ミニシリーズ(全5回)



今回からミニシリーズも入れることにしました。主演のケイトウィンスレットと助演のガイピアースがエミー賞を受賞した作品。小説「ミルドレッドピアース」のTVドラマ化です。1945年に映画化された作品ですが、1945年版は原作とはかなり違うそうで、こちらのドラマ化のほうが原作に沿っているそうです。
ケイトウィンスレットは相変わらず素晴らしい演技ですね。夫ブライアンF.オバーンと別居を始めて最初はプライドが邪魔してなかなか仕事に就けないでいたけど、いったんウエイトレスの仕事を始めると才覚を発揮して自分のレストランを開いて成功する。しかし、娘ヴィーダエヴァンレイチェルウッドとの確執が続きミルドレッドを悩ませる。
確かにミルドレッドは少し口うるさいところがあったけど、そこまで過干渉って感じもしなかったし、逆にほったらかしたとか毒親って感じじゃなかったのに、なぜあそこまで娘が反発したのかよく分からんかった。並みの反抗程度じゃなかったもんね。そこまでひどい母親とは思えなかったけどなぁ。最後の展開にはちょっとびっくりしてしまいました。メロドラマとして見ごたえのある作品ですので、機会があればどうぞ。

アメリカドラマ忘備録っていうタイトルにしてしまってますが、イギリスドラマの「シャドウライン」も見始めました。まだ1回しか見ていません。なんか話がややこしそうなのでもしかしたらやめちゃうかも。


世界にひとつのプレイブック

2013-02-21 | シネマ さ行

試写会が当たったので行ってきました。今シーズンの賞レースに色々とノミネート&受賞している作品なので見に行くつもりでした。なので、ラッキーと思ったのですが。

結論としてはワタクシが期待しすぎたのかなぁ。そこまで良いかなぁ???って感じでした。おすぎが良い点数つけてたらしいから悪い予感はしたんですが。(ワタクシ、おすぎとはまったく好みが合わないので)

妻ニッキの浮気相手をボコボコにしてしまい精神病院に入院していたパットブラッドリークーパーを母親ジャッキーウィーバーが迎えに来る。家では何も知らなかったお父さんロバートデニーロが迎えるが、なんだかこのお父さんもちょっと問題がありそうな雰囲気…パットは退院して前向きに行き、妻ニッキを取り戻すと張り切っているが、頭がぼーっとするからという理由で薬を飲むのは拒否していた。

ある日、パットは友人の妻の妹で夫を亡くしたばかりの未亡人ティファニージェニファーローレンスを紹介されるが、彼女は夫を亡くしたことで自暴自棄になっており、会ったその日にパットをベッドに誘うが、パットはまだ浮気した妻を愛しているとつれなく断る。

その日からなぜかティファニーはパットのランニングコースにつきまとい、2人は次第に友人関係になっていく。ティファニーの姉がニッキの友人であることから、パットはティファニーにニッキへの手紙を託し、その代わりティファニーが目指しているダンス大会に一緒に出場することになる。その日から2人は懸命にダンスの練習に励む。ティファニーとの関わりを通してパットは薬もちゃんと飲むようになり、感情を爆発させて周囲に迷惑をかけるようなこともほとんどなくなっていった。

パットはおそらくニッキの浮気事件よりも以前から躁うつ病を患っていて周囲は大変だったのかもしれないけど、浮気したのはニッキのほうなのに、随分態度がデカいもんだなぁと、前半ニッキは登場しないけど、パットたちを通して見えてくるニッキ像になんだかモヤモヤした。

ティファニーがどうしてパットに魅かれたのか?っていうのもよく分からなかった。確かにパットはティファニーに付きまとう男を追い払ってくれて「彼女は繊細で芸術家なんだ」って言ってくれるのを聞いていたけど、そんなこと会ったばかりのパットに何が分かったの?って気がした。2人とも傷ついていたから、同じような人間に魅かれたのかもしれないけど。

パットが立ち直っていく姿も、父親との確執もなんだか中途半端な感じだったしなぁ。字幕にはちゃんと出てなかった気がするけど、あの父親もOCD(強迫性障害)の気があるんだよね?パットを通してお父さんも治療を受けるようになるとかそんな展開があるのかと思ったら、なんかそれはほったらかしだったし。お互いに暴力振るい合ってお母さんはオロオロするばかりだし。お兄さんもパットのことバカにしていたし。なんか「愛してるよ」なんて抱き合ってたけど、そう???って気がした。ズレた家族愛がすごく居心地が悪い。

パットの入院仲間のダニークリスタッカー(太り過ぎてて誰か分かんなかったよ!)の存在もただただ中途半端。あのポジションの役回りならもっと生かす方法があっただろうに、"Black it up."だけじゃすごくもったいない。ただのお飾り的で終わっちゃうんだもんな。

最後に2人のダンスを見せられるんだけど、本当にプロ並みの人たちがこぞって出ている大会で予選とかないのかなぁ?プロ級の人の後で、あの2人のすごく下手くそなダンスを見せられてもなんだかなぁ…あの2人が超うまいわけはないんだから、筋としてはそれでいいんだろうけど、映画的なカタルシスが全然感じられなかった。最後もなんか急にくっつかれても…みたいに戸惑ってしまった。

ワタクシ、デヴィッドO.ラッセル監督とは相性が悪いのかなぁ。「ザ・ファイター」も「スリーキングス」も好きじゃないし。「アダプテーション」もあんまりだったような…この作品はワタクシが大好きだった故シドニーポラックと故アンソニーミンゲラが企画していたらしいんだよねー。残念ながら2008年に2人とも亡くなっちゃったんだけど。もし、あの2人が製作していたらどんなふうになっていたかなと思わずにいられません。

悪口ばかり書いてしまいましたが、実は見ている最中は全然飽きることなく見られました。ところどころ笑えるシーンもあるし。それはやはりキャストの演技が素晴らしかったからかな。ブラッドリークーパーなんて単純に顔を見ているだけで飽きないしね(笑)なんせ世界で一番セクシーな男だから。あ、でも髪の毛は普段くらい長めのほうが良いね。ジェニファーローレンスは間違いなく若手ナンバーワンの演技力ですよね。もうちょっと美人だったらこの役にはもっと良かったんだけど。それプラス、デニーロだから演技合戦という意味では間違いなく楽しめます。

おすぎだけではなくて会場でも最後にはすすり泣きが聞こえたし、アカデミー賞作品賞だってノミネートされているし、ワタクシの感覚がズレているだけかもしれません。。。


レッドライト

2013-02-20 | シネマ ら行

科学者vs超能力者。このテーマにどれほどの人が惹かれるのか知らないけれど、ワタクシはかなり惹かれました。ワタクシは超能力とか超常現象とかそういうものを信じないタイプなので、科学が超能力のインチキを見破ってくれるというのはかなりスッキリするんじゃないかなぁという期待を持って見に行きました。

科学者のマーガレットマシスン博士シガニーウィバーと助手のトムバックリーキリアンマーフィーは大学での授業の他に、あらゆる超常現象のインチキを科学的に暴く研究をしていた。超常現象が起こるという家に出かけ、霊媒師のトリックを見破り原因を追究したり、インチキ超能力者のショーで彼らが秘かに観客の情報を探り、インカムでスタッフが超能力者に情報を流していることを暴いたりした。

そんな彼らの前にサイモンシルバーロバートデニーロという昔一世を風靡した盲人の超能力者がカムバックしてくる。サイモンシルバーはかつて彼を非難する記者がショーの最中に謎の心臓発作で死亡するという事件に遭い、それ以降表舞台からは姿を消していた。

彼を調べようと言うトムだったが、彼の全盛期に彼を調べた経験があるマーガレットは「彼は危険よ」と言って調査を拒んだ。マーガレットはサイモンシルバーに自分のことを見透かされた経験があり、一瞬とは言え彼を本物だと信じてしまった過去に囚われ彼に対峙することができなかった。トムはムキになって一人でもシルバーを調べると調査を始めるが、そのころからトムの周辺では不可解な現象が起こり始める。やはり、シルバーは本物なのか?

一連の不可解な現象の中で、マーガレットが発作で死んでしまうのだけど、その出来事を境に映画の雰囲気が変わってしまう。マーガレットが生きている間はまさに科学者vs超能力者という感じでセリフのやりとりも議論のようなものが多く面白かったんだけど、マーガレットがいなくなってしまってからはすっかりオカルト映画風になって、急にバーン!と大きな音が鳴って観客をびっくりさせるような趣向に変わって行った。ワタクシはマーガレットが生きていたときの映画の雰囲気のほうが好きだったな。

と言っても、後半もそれはそれでなかなかに楽しめたのだけど。

キリアンマーフィーという役者さんは、顔立ちがなんだかエキセントリックで不思議な魅力がありますね。「プルートで朝食を」という作品では、かなり彼の不思議な魅力が生きていたと思いますが、この作品でもシガニーウィバーという存在感が大きな人がいなくなってからの後半をきちんと引っ張れていたと思います。ロバートデニーロを向こうに回すのだから大変だったと思いますが。

この作品には最後に大きなどんでん返しがあります。その結末についてはある意味で“禁じ手”ということもあり、巷では評判悪いみたいなんですが、ワタクシは結構好きでした。このオチは全然予想していなかったので、本気でびっくりしたっていうのもありますが、トムバックリー博士が持っていた“憂い”のようなものが実はそれが原因だったのかと思うとなんか切ない気持ちになりました。その“憂い”を表現するのにもキリアンマーフィーはピッタリだったと思います。

映画はそのどんでん返しで終わってしまい、結局サイモンシルバーのトリックはなんだったのか?っていうのは完全にうっちゃられたままになってしまいました。不可解な現象もどこからどこまでがシルバーの仕業でどこからどこまでがトムのせいだったのか?記者が死んだのもマーガレットが死んだのも純粋にただの偶然だったのか、トムバックリーをフルボッコにしたシルバーの手先の仕業だったのか?ほんであの変な部屋みたいなのもなんやったんやろ?テレパシーのトリックはトムの恋人であるサリーエリザベスオルセンが暴いていましたが、その他の超能力は彼が実は盲人ではないっていうだけでは明かせないものもあったけど、それは映画の最後にはもうどうでもいい話になっちゃいましたね…もっと窮地に追い詰められるシルバーをデニーロがどう演じていただろうと思うと、そういうシーンがないのは惜しい気もしました。

巷の評判はどうあれ、ワタクシはメインキャスト全員が好きなおかげもあってか結構楽しめた作品でした。

オマケ1エリザベスオルセンって「オルセン姉妹」のどっちかの片割れだと思っていたら、「オルセン姉妹」の妹、なんですね。ちゃんと認識しなおさなきゃ。

オマケ2サイモンシルバーが舞台の上で空中浮遊したとき頭の中に「と~もだち~、と~もだち~」というフレーズが浮かんでしまったのはきっとワタクシだけではないはず。

オマケ3シルバーの若いときという設定でデニーロの物まねみたいな人が登場していたので、ちょっと笑っちゃいました。あんなんで良かったなら物まね芸人のテルを出してあげてよって思っちゃいました。


glee シーズン4 第2話 Britney 2.0

2013-02-19 | 海外ドラマ

第2話。以前から楽しみにしていたブリトニースピアース第2弾です。

「Hold It Against Me」 by Britney Spears

ブリトニーヘザーモリスがチア部と一緒に踊りながら歌います。やっぱブリトニーのダンスは最高。ちょこちょこ割り込んでくるキティベッカトービンがうざいです。
チア部が放り投げていた不思議な物体は一体なんでしょうか?チア部では当たり前の小道具?

「Boys/Boyfriens」 by Britney Spears/Justin Bieber

アーティケヴィンマクヘイルとブレインダレンクリスがブリトニーを元気づけるために歌いますが、サンタナナヤリベラを恋しがるブリトニーに「Boys」「Boyfriend」のマッシュアップとは解せませんな。サンタナが歌うなら「Girls」「Girlfriend」に歌詞が変えられたところでしょうけど。
アーティとブレインのツインヴォーカルは最高でした。マッシュアップもよくできていてカッコいいです。

「Womanizer」 by Britney Spears

ティナジェナアシュコウィッツ、ウェイドアレックスニューウェル、マーリーメリッサブノワでジェイクジェイコブアーティストのことを歌いますが、女声3人(一応ウェイドも“女声”という分類で)なのに、3人とも渋い声ですごくカッコいい。ウェイドは女の子として何の違和感もないし、女子としてマーリーに忠告するとこなんかもハマっててすごく良いです。

「3」 by Britney Spears

ティナ、サムコードオーバーストリート、ジョーサミュエルラーセンの3人のコーラスがめっちゃくちゃカッコいい。曲のアレンジもすごく良いですねー。ってか、アメリカで「グリー」の時間帯でこの曲やっちゃってローティーンとかには大丈夫だったのかなぁ?まぁ、この曲が流行ったときには普通にMTVなんかでも四六時中流れてたんでしょうけど。ブリタニースピアースはたまにこういうPTAが嫌うような曲を出すところがワタクシは結構好きです。
曲の途中でチア部を首になってスー先生ジェーンリンチからポニーテールも禁止されたブリトニーが髪の毛を剃ろうとするという暴挙に出て、曲が中断されてしまったので消化不良でした。iTunesでフルバージョンが聞けてすっきり。

「Crazy/(You Drive Me) Crazy」 by Aerosmith/Britney Spears

マーリーとジェイクが初デート(?)で歌うのですが、数々の名マッシュアップを作り上げてきたグリーですが、これはどうでしょうねー。Crazyでかけたのはいいですが、ちょっと無理やり感があったような…マーリーとジェイクの声の相性は抜群でした。

「Oops!...I Did It Again」 by Britney Spears

NYADAでカサンドラ先生ケイトハドソンにセクシーじゃないと言われたレイチェルリアミシェルが先生を見返してやろうとパフォーマンスする曲。セクシーさがテーマだったからなのか、スローテンポにアレンジされてたのが残念だったなぁ。この曲大好きなんですけどねー。スローなのは最初だけで、テンポアップしてくれたらもっとカッコ良かったのになぁ、なんてそれはただのワタクシの好みの問題ですね。
レイチェルは、このパフォを手伝ってくれたブロディディーンガイヤーとまた親密になってきたようで、、、イヤだな。

「Gimme More」 by Britney Spears

学校での発表。例によってフィギンズ校長イクバルセバがわけの分からんことを言ってたのが面白かった。このパフォーマンスは前代未聞のリップシンク!!!合唱部のくせにリップシンクはありえませんよねー。ブリトニーがおかしくなって決めちゃったんですけど、パフォーマンスもやる気が全然なくてリップシンクってことをキティに見破られてしまいブーイングの嵐。校内発表は必ずと言っていいほど荒れますね。これもオンエアでは消化不良気味ですが、iTunesでカッコいいフルバージョンが聞けます。
リップシンクの件では、シュー先生マシューモリソンに大目玉を食らいます。

「Everytime」 by Britney Spears

マーリーがジェイクに振られた気持ちを歌う。そのバックでブリトニーがサンタナを想う映像が流れて切ないです。シーズン3ではサンタナのほうがブリトニーにご執心って感じだったのにね。

今回の最後でジェイクが正式加入、でいいのかな。ジェイクを説得するためにパックマークサリングがちょこっと登場して嬉しかった~。

ワタクシはブリトニースピアースのファンなので、今回は楽曲的には嬉しいものばかりなんですが、ブリトニーのキレのあるダンスをもっと見たかったので、その点は残念でした。


東ベルリンから来た女

2013-02-18 | シネマ は行

アカデミー賞外国語映画賞ドイツ代表ということで見に行きました。

ベルリンの壁が崩壊する9年前の1980年、医師のバルバラニーナホスは東ベルリンの大病院から片田舎の小さな病院へ左遷される。彼女がなぜ左遷されたかははっきりと語られないが、この時代、東ドイツで左遷と言えば、東西冷戦の政治関連だろう。彼女には西側に恋人ヨルクマルクヴァシュケがいて、彼の元へと行こうとしているようなのでそれ関連かなということは想像がつく。彼女には左遷されてきたときからシュタージ(東ドイツの秘密警察)の監視がついている。彼女が2、3時間行方をくらませば、家宅捜索が待っており、女性の捜査官から体の中まで検査されるという屈辱に耐えなければならない。

西の恋人ヨルクが着々とバルバラの西側への逃走の準備を進める中、バルバラは同じ病院で働く医師アンドレロナルトツェアフェルトと少しずつ親交を深めていく。バルバラはシュタージに監視されるような特別な事情の女性であり、初めは彼女自身も同僚たちに馴染もうともしなかったのだが、この小児病院にやってくる患者を通してアンドレとの距離は少しずつ縮まっていった。

ある日、ハンナヤスナフリッツィーバウワーという少女が矯正収容所から逃亡中に病気になり運び込まれてくる。現在の国の状況から逃げようとするステラにバルバラは共感を覚え目をかけてやっていたが、病気が治るとステラはまた矯正収容所に戻されてしまった。

いよいよヨルクが用意してくれた段取りで西側へ逃げる日になったが、病院にはアンドレが担当している自殺をはかった青年の手術も待っていたし、ステラがまた逃亡してきて自分を頼ってきていて、バルバラは迷う。自分だけが西側に行って幸せになるべきなのか…結局バルバラは自分の代わりにステラを西側へ逃がして自分は東側へ残る決断をする。

お話としてはなかなか興味深いし、シュタージに監視される女性医師バルバラというシチュエーションはとても緊張感があるものなのだけれど、いまひとつ西側の恋人との歴史や想いの深さなどが語られないことや、東側の気になる存在であるアンドレにも少しずつ魅かれていってしまっているという描写が物足りないために、あまりにも淡々と進んでしまうのがちょっとツライところ。全体的にもっと良い映画になる素材だっと思うんですけどね。バルバラを演じたニーナホスも魅力的だし。アンドレがシュタージの手先みたいなこともしているっていうのがほのめかされていただけに、その辺ももっとサスペンスフルな展開にできたと思うのですが。

バルバラはそういう寡黙な性格と言ってしまえばそれまでなのだけど、あんな状況の中で黙って耐えているバルバラの心の奥には燃えたぎるような情熱があったはずで、それを垣間見せてくれるシーンがあといくつかあれば良かったのになぁと思います。ただ、あの当時の東ドイツの実情や空気感を自らの肌で経験した人たちにとってはバルバラやアンドレにもっと寄り添える作品なのかもしれません。


笑の大学

2013-02-15 | シネマ わ行

三谷幸喜の脚本の舞台作品だということは知っていて、すごく見たかったのですが、舞台で見られる機会がなくて悔しい思いをしていたら、ケーブルテレビで放映があるというので見てみました。ケーブルテレビの放映を知るまで、この作品が映画化されているということを知りませんでした。

昭和15年戦時下の日本。演劇はお上の検閲を通らないと上演できなかった。劇団「笑の大学」の座付作家・椿一稲垣吾郎は検閲官・向坂睦夫役所広司の面談を受けていた。

基本的には、椿と向坂の二人しか登場しない密室劇で映画化されるにあたって、少し別のシーンも加えられているが、おそらく舞台では完全に面談室で二人だけのお芝居なのだろう。

まず、椿が持参した脚本は「ジュリオとロミエット」。言わずと知れた「ロミオとジュリエット」のパロディものの喜劇だ。しかし、向坂に敵国イギリスの作品を使うとは何事だと舞台を日本に変更するよう命じられる。そこで、翌日椿はロミオとジュリエットを寛一お宮にした脚本を持ってくる。舞台がイタリアから日本に移ったことから、予期せぬ笑いが生まれ脚本は逆に良くなる。その後も向坂からどこかしら指摘を受けるたびに、書き直すという作業が数日続き、そのたびに脚本が面白くなっていくという皮肉な結果が生まれてくる。

向坂は今まで生きてきて心の底から笑ったことなどないという堅物。逆に椿は何を書かせてもついつい笑いの方向へ走ってしまうという根っからの喜劇作家。この二人が噛みあうはずがない。最初はそのズレが笑いにつながっていくのだが、途中からだんだん向坂に変化が現れる。何を読んでも何を見ても笑わなかったはずの向坂が、なぜか脚本の直しに必死になるようになる。椿のペースに乗せられて一緒にセリフを言って体を動かして、新しいアイデアまで出し始める。最初は完全に上演中止に追いやるつもりだった向坂が妙にイキイキし始める中盤からがまた面白い。

三谷幸喜独特の脚本だから、好き嫌いは別れるところだと思うし、四六時中笑っているというより、時々くすっと笑いが来るっていう感じなんだけど、登場人物がほぼ二人だけという心地よい緊張感もあってあっという間に時が流れる。

これを見ていると、あ~三谷幸喜って本当に喜劇が好きで好きでたまらないんだなぁって思う。ある意味では、この作品の中には彼の喜劇作家としての極意が詰まっていると考えてもいいのかもしれない。

もちろん、戦時中のお話ということは分かって見ているのだし、戦時中だからこそ成り立つ設定なんだけど、最後にあんなサプライズが待っているとは思いもしなかった。なんか気を抜いていたというか。。。あ、そうか、そういう展開ももちろんありえるんだ、ってちょっと抜け殻のようになってしまった。そして、不覚にも本気で泣かされてしまったよ。なんかねー、別に三谷幸喜の脚本すべてが好きなわけじゃないし、妙に鼻につくところもあるにはあるんだけどさ、それでもその作品を見ると喜劇だけど泣けるっていうねー、こういう人情喜劇を書ける人っていうのは本当に貴重だなぁと思いました。


glee シーズン4 第1話 The New Rachel

2013-02-14 | 海外ドラマ

始まりましたよ、シーズン4。

シーズン3は細々とストーリーのことまで書いていましたが、今シーズンは楽曲中心に紹介していこうと思います。

「Call Me Maybe」 by Carly Rae Jepsen

シーズン4のオープニングナンバーは2012年前半のナンバーワンソング。グリー部の新しいリードヴォーカルを巡ってティナジェナアシュコウィッツ、ブリタニーヘザーモリス、ウェイドアレックスニューウェル、ブレインダレンクリスが歌います。ここで、ティーンの最近の流行を持ってきたというのが、なんか製作者側はシーズン4での新しいファンの獲得を目指しているのかなぁという気がしました。ウェイドは今シーズンからマッキンリー高校へお引越し。やっぱり彼ほどの歌唱力はほっておけませんよね。「グリープロジェクト」では横柄な態度が問題になっていたアレックスニューウェルですが、きっとレギュラーのキャストの中に入ればあんな態度は改めざるを得ないでしょうね。

「Americano/Dance Again」 by Lady Gaga/Jennifer Lopez ft. Pitbull

ガガとジェイローのマッシュアップ。NYADAの鬼教師カサンドラケイトハドソンがレイチェルリアミシェルに自分の実力を見せつけるために歌います。初めてグリーに参加したケイトハドソンは、一日でダンスの練習をして「ハイ、本番」と言われるグリーの現場で「なんてクレイジーなの!」と言うとみんなから「Welcome to Glee.」と言われたそうです。
NAYDAではレイチェルに上級生のブロディディーンガイヤーが近づいていますね。レイチェルとくっつくのかな?ヤダな。

「Never Say Never」 by The Fray

ジェイクジェイコブアーティストのグリー部オーディションナンバー。新キャストですね。うまい!甘い声してます。この時は素性を隠していますが、実はジェイクはパックマークサリングの異母兄弟。パックと同様、素行に問題アリみたいです。

「New York State of Mind」 by Billy Joel

レイチェルのNYADAでの発表とマーリーメリッサブノワのグリー部オーディションを重ねています。いやー、久しぶりにレイチェルの声を聴いたらやっぱり圧倒されました。やっぱリアはすごいわ。新キャストのマーリーも可愛い顔して声は実は結構渋い。マーリーの笑顔を見ているとキレイ処のクインダイアナアグロンもサンタナナヤリベラがレギュラーから抜けたグリーの救世主って感じで、「あぁ、新しい子たちともやっていけそう」って思わせてくれました。

「It's Time」 by Imagine Dragons

ブレインがカートクリスコルファーのニューヨーク行の背中を押す曲。紙コップとか手拍子で取るリズムが非常に心地いいです。これを受けて、カートがニューヨーク行を決意するんですが、それを送り出すカートのお父さんマイクオマリーに第一話から泣かされました。もう、この父ちゃん出て来たら100パー泣くわ。

「Chasing Pavements」 by Adele

去年全国制覇していい気になってチア部やフットボール部のイジワルな子たちと一緒に太った食堂のおばちゃんの悪口を言っていたグリー部。実はそれはマーリーのお母さんトリシャレイスタールだった。もともと、人気者たちのご機嫌取りのためだけに合わせて悪口を言っていたグリー部のメンバーはマーリーに謝って、ソロを歌って欲しいとお願いする。みんなで歌う姿をジェイクが見ていましたね。この曲をバックにニューヨークでレイチェルとカートが再会します。ニューヨークになじめず落ち込んでいるレイチェルにカートが会いに行くシーンがまた泣ける。
その意地悪をしていたのはチア部のスー先生ジェーンリンチのお気に入りにキティベッカトービン。クインの跡を継ぐ子というポジションですが、クインには程遠いルックスだよね・・・彼女も後々はグリー部に来るみたいですけど、彼女に関しては好きになれるか自信がないなぁ。


ルビースパークス

2013-02-13 | シネマ ら行

予告編を見るまではまったく興味がなかったのですが、予告編を見たらすこぶる楽しそうな作品だったので、ちょっとウキウキした気分で見に行きました。

19歳のときのデビュー作で一気に天才作家ともてはやされたカルヴィンポールダノだったが、いまはすっかりスランプ状態。精神科医エリオットグールドの「スコッティ(カルヴィンの犬)のことを無条件に好きな人のことを書いてごらん」というアドバイスをもとに夢に出てきた少女のことを書き始めると絶好調に筆が進んだ。

すっかり書くことに没頭し、タイプライターの前で寝てしまったカルヴィンが朝になってキッチンに降りて行くと「昨日は書斎で寝ちゃったのね。ベッドで寂しかったのよ」と、そこにはカルヴィンが書いている女の子ルビースパークスゾーイカザンが立っていた。ついに気が触れたかとパニックになるカルヴィンだったが、どうやらルビーはカルヴィンの妄想や幻覚ではなく、本当にそこに実在しているらしい。

最初はパニックになって精神科医やお兄さんのハリークリスメッシーナに電話しまくっていたカルヴィンだったが、なんせ理想の女の子が目の前に現れたのだ。合理的な説明や理性はすべてうっちゃって、この魔法の世界を受け入れることにした。「だって2人の人間が出会って恋に落ちるってだけでも十分ミラクルなんだからさ」っていうセリフにはこっちまで納得させられちゃったじゃないの。

まーこりゃー何と言っても男の理想中の理想だよねー。“文字通り”自分の思い通りの女性が目の前に現れるんだから。本当ならもうあんなこともこんなこともさせちゃうところだろうけど、その辺はまぁね、これ一応ちゃんとしたラブストーリーだから(笑)

二人が出会って、恋に落ちて、ケンカしてまた仲直り。っていうのはラブストーリーの王道を行く展開なんだけど、このケンカの部分が少々他と事情が違う。なんせルビーはカルヴィンの“創作物”なもんだから、カルヴィンがタイプすればルビーはその通りになってしまう。ルビーが冷たくなったら「ルビーはカルヴィンなしではみじめ」と書けばカルヴィンから片時も離れない重苦しい子になっちゃうし、「ルビーはいつもハッピー」と書けば、四六時中ドラッグやってんの?ってくらいテンションがおかしい子になっちゃう。

その辺まではまだ良かったんだけど、ルビーが自分の創作物だということをルビーにばらしてルビーの目の前でムチャクチャ書いちゃうシーンにはちょっと引いてしまった。だってさー、フランス語喋らせるとか指を鳴らさせるとかはまだいいけど、犬の物まねとか、踊りながら服脱がせるとかなぁ、、、好きな人にそこまで恥かかせたいカルヴィンってどうなの?って思っちゃったんだよねー。なんか、見てられないっていうか。ちゃんと最終的には"Ruby is free."って書いてあげるんだけどね。

まぁ、結局"Ruby is free."って書くんだろうなってことも、その後の展開も全部予想通りってことで、想像と違ったのはもっとポップで楽しい作品かなと思ったけど、ちょっと違ったってとこかな。出会いから二人がうまく行っているところまでのスピード感は良かったんだけどな。その後はちょっと停滞&深い話にしようとしたのかなって感じかな。ちゃんとカルヴィンの元カノが「相手を理想にはめないと気が済まない人」とカルヴィンを評していて、それからカルヴィンが脱却するっていうカルヴィンの成長物語になっているところは良いのかもしれないですね。

ルビーを演じたゾーイカザン。カザンと言えば映画ファンはどうしても往年の名監督エリアカザンを思い出しちゃうよね~。なぁんて思っていたら、実際にエリアカザンの孫だっていうじゃないの。しかも、この作品の脚本書いたの、彼女なんだってー!?そういう才能も受け継いでいるのか、と2度びっくりした次第。

オマケ"Ruby is free."のところで"Dobby is freeeeee!!!!"をどーーーーーしても思い出してしまったのはポタリアンの悲しい宿命。


マリーゴールドホテルで会いましょう

2013-02-07 | シネマ ま行

最初にキャストを聞いたときに見に行きたいなと興味はあったのですが、ゴールデングローブ賞などにノミネートされたと知って絶対見に行こうと思いました。

イギリスで老後を迎えようとする7人の男女がインドにあるマリーゴールドホテルの滞在型シニアリゾートの広告を見て、これまでの生活を捨て新天地へ向かう。

40年連れ添った夫を亡くしたイヴリンジュディディンチは、夫が亡くなってから借金があったことを知り、夫婦間に秘密があったことにショックを受ける。息子は同居を薦めてくるが、家を売って借金を返しインドへ。

ダグラスビルナイとジーンペネロープウィルトンの夫婦は夫が娘の会社設立にお金を出し、娘が事業に失敗したため簡素な老人用アパートにしか住めないことに落胆しインドへ。

奔放なマッジセリアイムリーは幾人目かの夫を探すため息子夫婦の制止を振り切ってインドへ。

女たらしのノーマンロナルドピックアップはイギリスではもう女性に相手にされずインドへ。

頑固な差別主義者のミュリエルマギースミスは腰に人工関節を入れるための手術がイギリスでは半年待ちだと知り、嫌々ながらもインドへ。

高等裁判所の判事として働いていたグレアムトムウィルキンソンは、同僚の引退パーティの日に思い立って自分も引退することに決めインドへ。この中で唯一グレアムだけが幼少期をインドで過ごしており、そこに戻ろうとするには理由があった。

一応、イヴリンを中心に描かれると言っていいのかな。彼女はインドでの生活をブログにしており、その内容が時折ナレーションとして入るので、彼女が全体の語り部となっている。

この老英国男女7人をインドで迎えるのが、マリーゴールドホテルのオーナー・ソニーデヴパテル。現地乗り換えの飛行機が欠航になってしまい、なんとかバスとトゥクトゥクを使ってたどり着いた7人を両手を広げて満面の笑顔で出迎えたのが彼だった。"Welcome to the Best Exzotic Marigold Hotel!"と威勢だけは良かったが、中に入ってみるとホテルはまるで廃墟のよう。カバーがかけられたベッドや家具はホコリだらけで、部屋には鳥だらけ、ドアのない部屋まである。この状況を楽しめるか否か。ほとんどの人は大丈夫だったんだけど、ダグラスとジーン夫婦の妻のほうジーンは、もう文句ばかり。まぁ、この人は普段から何かにつけ夫ダグラスに文句たらたら言ってきた人のようだったから、ここでもこんな状況を受け入れられるわけはない。

他の人はそれでもそれなりに楽しみを見つけたようで、ダグラスはホテルにこもりきりのジーンを置いて観光して歩き、マッジとノーマンはお金持ちを捕まえようと高級クラブに入りびたり。イヴリンは、生まれて初めて仕事を見つけ働き始める。グレアムは毎日どこかへ何か目的を持って行っている様子。ミュリエルだけは手術があるし、車いすなのであまり他の人には馴染まず蚊帳の外な雰囲気。

こうしてそれぞれの生活が描かれる。イヴリンが電話セールスのカルチュラルアドバイザーとして働く職場で「イギリスでは紅茶にビスケットを浸し、崩れる寸前を見計らって食べる」というイギリス文化を説明するシーンがあるんだけど、イギリスでDame(男性のKnightに当たる)と呼ばれる勲爵士を持つジュディディンチがイギリス文化の説明をしているということに、なんだかしばし映画を忘れて聞き惚れてしまった。

徐々にお互いに心を開いていく中で、グレアムがゲイで昔インドにいたころ恋人だった男性を毎日探しに行っていることが分かる。青年のころ彼との関係が周囲にバレ、インド人の彼は村を追放されてしまった。まだ高校生だったグレアムにはどうすることもできなかったが、それから何十年もずっと彼のことを気にかけて生きてきた。いま人生の終盤に差し掛かり、どうしても彼に会って謝りたい。グレアムの願いは叶うシーンがなかなかに切ない。

イギリスの病院でも絶対に黒人医師や看護師の手当を受けようとしなかったミュリエルは、最初こそ「部屋にインド人がいる!」と大騒ぎしていたがかいがいしく面倒をみてくれる女性従業員に対し、話しかけたりするようになっていた。その従業員は英語が話せなかったが、ミュリエルのリハビリの先生に通訳を頼んで食事に誘ってきた。彼女はミュリエルに感謝しているという。何もしていないのに?と言うミュリエルに、彼女はカースト制の最下層で「不可触民」と言われ、誰からも存在さえも無視されているのに、ミュリエルだけが存在を認識してくれたと言う。差別主義者のミュリエルがこの娘と戸惑いながらも交わっていく姿がとても良かった。

イギリスのそうそうたる役者陣が揃ったこの作品だけど、ワタクシが一番注目したのはビルナイだった。彼は結構型破りな役とか、大胆な役が多いと思うんだけど、今回はずっと着実に公務員をしてきて、キツイ性格の妻にも文句も言い返せない優しいというか少し気の弱い男性の役で、最初はなんかビルナイに合わないなぁって思ったんだけど、これがびっくり、やっぱ演技うまいんだなぁ。かなり早い段階で全然違和感を感じなくなった。彼がまさかイヴリンといい感じになるとは思わなかったけどね。最後は意を決して奥さんに別れを告げるのかと思ったら、奥さんのほうから別れを告げられちゃったよ。これはちょっと意外だったけど、ダグラスのどこまで行っても優しい性格とジーンがあまりにヒドイ女性のように描かれていたので最後には少し花を持たせてあげるというジョンマッデン監督の優しさなのかなと思いました。

このシニア世代と並行してホテルのオーナーのサニーと恋人スナイナテーナデサイとの関係や、サニーと母親リレットドゥベーとの確執なども織り交ぜられて色んなことが起こって結構楽しい。マギースミスがこんなずっと蚊帳の外的な扱いでいいの?と思いながら見ていたら最後の最後にサニーを救う救世主となって大活躍してくれるし、そりゃそうよなーと納得。

インドのことは何も知らないので、インドの人が見たら「えー!何コレー、ほんまはこんなんじゃないよー」ってとこもいっぱいあるにはあるんだろうなぁと推測しつつも、インドのエネルギーに触発されている英国老紳士&老婦人を微笑ましく見つめることができました。若いときに見るべき映画、年を取ってから見たら良い映画というものがあると思いますが、この作品は自分が歳を取ったときにまた見たいなぁと思わせてくれる作品でした。自分が彼らに近い年齢になって見てみたらまた違った感想になるかもしれません。


人生、ブラボー!

2013-02-06 | シネマ さ行

予告編を見て面白そうだったので行きました。

42歳のダヴィッドパトリックユアールは若いときに小遣い稼ぎのため、693回の精子提供を行いその結果533人の子の父親になっていた。彼がそれを知ったのはそのうち142人の子どもたち(年齢的にちょうど青年期の子たちばかり)が父親の身元を開示するように求める裁判を起こしたと知ったときだった。

初めはこんなの冗談じゃない!と憤るダヴィッドだったが、弁護士アントエワーヌベルトランに渡された原告の書類から抜き取った1枚がたまたま有名なプロサッカー選手だったため、有頂天になりそれをきっかけに他の子どもたちにも自分の身元は隠してこっそり会いに行き始める。

ダヴィッドは借金もあるし、家業の肉屋を父親と兄弟と一緒に経営しているが、いつもさぼってばかりでうだつがあがらない。恋人ヴァレリージュリールブレトンは妊娠したと言うがダヴィッドと育てる気は毛頭なく、一人で育てるから消えてとまで言われるような男。

それでも、なんだかダヴィッドは憎めない男なんですよね。なぜか彼を嫌う者はいないっぽいし、見ているこっちもダヴィッドに対してイヤな感情は持たなかった。

そんな無責任男ダヴィッドが、ひとりひとりの子どもたちと正体は隠したままでも少しずつ関わっていく中で、徐々に彼の中に父性が生まれ始める。原告となっている子どもたちは142人いるので、さすがに全員は紹介されないが、最初のプロサッカー選手を筆頭に俳優の卵の子がオーディションに行く助けをしたり、ジャンキーの子が立ち直るきっかけを与えたり、スーパーのお客様係の子にいっぱいのチップをあげたり、ストリートミュージシャンの子の演奏をずっと聞いていたり、障害を持つ子のところに面会に行ったり、といったようなエピソードがそれぞれにユーモラスで心温まる。

それと同時にダヴィッドの友人で弁護士の4人の子持ちシングルファーザーの親子関係とか、ダヴィッドの家族、恋人との関係がうまい具合に挿入されて、ドラマに膨らみをもたせているし、結局いつも冴えないダヴィッドに文句ばかり言っていたお父さんが名乗り出ようかどうか迷っているダヴィッドの背中を押してくれるシーンにはほろりと涙までしてしまう。ううう、とーちゃん、あんた、良い人だねぇって。

設定そのものが荒唐無稽だし、子どもたちを引き取った養父母とか子どもたちの中での意見の相違とかそういうややこしい話は一切排除して、主にダヴィッドの人生にスポットを当てているところは、評価の分かれるところだと思うけど、ワタクシとしてはシンプルな人生賛歌で気に入った。

最後にデヴィッドの恋人に赤ちゃんが生まれてたくさんの異母兄弟姉妹たちが祝福してくれるシーンが最高でした。そして、ダヴィッドとのひとりひとりのハグも良かったし、全員で巨大なハグをするシーンも笑っちゃうけど、同時にじーんともしました。あんな巨大なハグを上から撮った絵というのはある意味映画史に残るかも。なんかそれを見ているだけで心が洗われる気がして、やっぱりハグには心を清浄化する効果があるなと改めて思いました。


金正日花~キムジョンギリア

2013-02-05 | シネマ か行

松嶋×町山シリーズ4作目です。

タイトルの金正日花(キムジョンギリア)というのは金正日を称えるための花で46歳の誕生日に贈られたものらしいのですが、「愛、平和、知恵、正義」の象徴とされ北朝鮮では「不滅の花」と呼ばれているらしい。驚いたことにこれを作ったのは日本人の加茂元照さんという園芸家だという。ワタクシはこれを聞いた時には、北朝鮮を崇拝している日本人なのかと思ったのだけど、どうやらそういうわけではなく、しつこくこの花を譲ってくれと言ってくる朝鮮人に根負けしてあげたら、こんなことになったという話がウィキに載っていた。(ウィキ情報なので真偽のほどはワタクシが確かめたわけではありません)

この作品は、北朝鮮から脱北した人々のインタビューで構成されています。家族などが収容所に入れられ、一族郎党までもすべて収容所に入れられたという人や、両親が収容所に入れられていて、収容所で生まれたという人、仲良くしていた友達が金正日の愛人にされ、内情を知り過ぎたために収容所に入れられた結果、自分もその人と親しかったというだけで収容所に入れられた人などがいた。家族が収容所に入れられたという人の中ではほとんどが罪状は不明という人で、家族は処刑されたという人もいるし、子供の頃収容所内で処刑を強制的に見せられた人もいた。

悲惨なのは国内の収容所だけでなく、収容所の外でも飢饉が続き慢性的に国民が飢えて国際社会に助けを求めたところまでは良かったが、結局支援はエリート層が独占しただけで終わってしまい、援助団体も手を引かざるをえなくなってしまったことだ。金正日の独裁のツケをすべて貧しい国民が払わなければならない。

それにたとえ脱北できたとしても、脱北先の中国で人身売買され性的奴隷となって働かされた女性やキツイ下働きと拷問に耐えなければならなかったピアニストの男性など、脱北したからといってその先に幸せが待っているとは限らないという現実に非常に驚いた。ワタクシは脱北先では少なくとも北朝鮮にいたときよりは幸せに暮らせるのが普通だと考えていた。

インタビューの途中途中に創作ダンスの映像が映し出され、最初は奇妙だし余計だなと思っていたのだけど、徐々にそのダンスが脱北者たちの過酷な運命とシンクロしていって、もの悲しく胸を締め付けられるような感覚に囚われた。

この作品は2009年に発表されているので、インタビューを受けている彼らが「金正日さえいなくなれば・・・」と語っているのが辛かった。今現在、その金正日はいなくなっているが、結局息子が国を受け継ぎ体制が変わっているとは言えない状態だ。「金正日さえいなくなれば」と希望を抱いていた彼らはいまどんな気持ちで祖国を見つめているのだろう。