シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

モニカベルッチの恋愛マニュアル

2010-05-27 | シネマ ま行

なんだよ、似たようなタイトルだな。と思ったら、本当は「イタリア的、恋愛マニュアル2」だった。なのに、“モニカベルッチの”なんてつけちゃうんだよなー。まぁ、その人目当ての客を呼ぼうっていうのは分かるんだけど。宣伝部さんも苦労しますな。

前作のイタリア国内でのヒットを受けて作られたとみられるパート2。前作がヒットしたのでモニカベルッチを使えるようになったってワケでしょうか。前作にももちろんイタリアでは有名な方たちが出ていたんでしょうけど、やっぱりモニカベルッチとなると世界的なネームバリューですもんね。

前作はCDブックを通して全編がつながっていましたが、今回はラジオの恋愛コーナーを通してつながっています。

最初に登場するのが事故で半身不随になったニコラリッカルドスカマルチョの理学療法士ルチアとして登場するのがモニカベルッチ。あのさー、モニカベルッチが理学療法士ってダメだよー。彼女はやっぱ娼婦とかスパイとかそういう現実離れしたような役じゃないと。モニカベルッチが理学療法士ってヤバいっしょー。そりゃニコラみたいになっちゃう人続出だよ。ニコラもルチアも結婚を控えている身だけど、お互いに惹かれ二人だけの一生涯の秘密として一度だけ関係を持つ。ハァ、もう好きにしてちょうだいって感じだよね。これは倫理的には絶対ダメだけど映画の中の話だし、こんな美男美女ならなんとなく許してしまう…

不妊治療中のマヌエラバルボラボブローヴァとフランコファビオヴォーロの夫婦。ホルモン治療のせいでマヌエラは情緒不安定。それをなんとかしようとフランコはオロオロ。でもなんかドジ。マヌエラを怒らせる地雷をいつも踏んでしまう。イタリアは人工授精ができないんですね。知らんかった。そのために二人はスペインへ。人工授精前にフランコは浮かれて海で泳いで熱を出したり、精子もほんのちょっとしかコップに命中できなかったりとドジばかり…それでも無事妊娠したようで、、、良かったね。

フォスコセルジオルビーニとフィリポアントニオアルバネーゼはゲイのカップル。フォスコの父親は頑固ジジイで二人の結婚を認めようとしない。フォスコはそのせいで結婚にいまいち踏み切れず、フィリポはそんなフォスコに切れ一度は別れるが、フォスコがゲイフォビアにボコボコにされたことからまたほだされて。これもイタリアではゲイの結婚が認められていないのでスペインで式を挙げる。前作からこれだけ恋愛が語られるわりにゲイカップルが登場しないな、やっぱりラテンマッチョの国だからかなと思っていたら、ここでやっと登場しました。イタリアでできないことをスペインでっていうルートが2話目と同じです。結構多いのかな。

いい歳したおじさん給仕長のエルネストカルロヴェルドーネはレストランで雇うことになった若くて美人のセシリアエルサパタキに誘惑されて、もう夢中に。バイアグラを使っていつでもどこでもハッスルしちゃう。(ハッスルって!)いい歳してバイアグラなんか使ってるから心臓発作起こしちゃうんだよー。それでも近づいてくるセシリアをなんとか追っ払って元の妻のところへ。妻はあっさり許すんだよね。それがまたエルネストにとっては辛かったりして。このセシリア、お父さんに捨てられた過去からやっぱ年上の男性に惹かれるのかなぁ。だって、こんな若くて美人の女性がエルネストみたいなおっさん、どこがええねん!って感じですもんねー。セシリアを演じるエルサパタキという女優さんがとっても魅力的でした。

前作より今回のほうがそれぞれのカップルのリンクがさらに薄い感じでした。もうちょっとうまくリンクさせて欲しかったかな。最後にモニカベルッチが登場して「あー、そういうことかー」っていうのがあって良かったけど。

ゲイのフォスコを演じたセルジオルビーニと若い娘に恋しちゃう冴えないおっさんエルネストを演じたカルロヴェルドーネが前作にも出演しているので、ちょっと戸惑ってしまいました。どちらもケーブルテレビで見たもんで連続で見ちゃったんですよね。前作で最後に素敵な女性と良い感じになっていたカルロヴェルドーネが今回娘ほどの若い女にうつつを抜かしてるのを見てちょっとガッカリしてしまって。まぁこれは分けて考えないといけないんですけど。

「2」ということで少し前作から落ちる感もありますが、今回も悪くないデキでございました。


イタリア的、恋愛マニュアル

2010-05-26 | シネマ あ行
最初のナレーションの女性アニタカブリオーリの声が妙にエロチックで、「イタリア的」なんてついているもんだから、すっかり肉感的なお話を想像していたら意外に純情な物語で驚いた。このナレーションっていうのが実は劇中で発売される「恋愛マニュアル」というCDブックで、そのテーマごとにそれぞれのカップルが語られる。

失業中のトンマーゾシルヴィオムッチーノは、自分の前を横切った黒猫の飼い主ジュリアジャスミントリンカに一目惚れ。それからしつこくつきまとう。ジュリアは日本人なんかと違ってはっきりお断りしてるんですけどねー。それでもしつこくつきまとうのがイタリア流か?これ、一歩間違ったらストーカーですが?でもいいんですよね、だってジュリアだって本当はトンマーゾに惹かれてるんだから。最初はこんなキモい男にジュリアがひっかかるか?って思ってたんだけど、あれよあれよと言う間にラブラブカップルになっちゃいました。トンマーゾってイタリアでは普通の名前なのかな?彼のキャラも手伝って随分トンマな感じでした。

トンマーゾとジュリアがいちゃついているところを見ていた中年カップルバルバラマルゲリータブイとマルコセルジョルビーニ。彼らはすっかり倦怠期。お互いにどうすればうまくいくか模索はしているものの、いつも擦れ違いばかりでついついケンカに発展してしまう。バルバラはついにハメを外して酔っ払い浮気するのか!?と思いきやマルコが迎えに来る。この2人どうなっちゃうんだろう?

バルバラとマルコが公園で話し合っているときにマルコの車に駐車違反の切符を切っていた婦人警官のオルネッラルチャーナリッティツェットは、自分の夫ガブリエーレディーノアッブレーシャは従順な良い夫だと思っていたのに、ベビーシッターと浮気をしていたことが分かってブチ切れ、前からイイ男だと思っていた同じマンションに住むニュースキャスター、ガブリエーレロドルフォコルサートと浮気に走るが…片方、もしくは両方が浮気しても元の鞘に収まる夫婦が多いってことかな。男性はともかくとして女性の浮気率は日本よりもずっと高い気がしますね。

オルネッラが夫の浮気を知って自暴自棄になり、違反切符をこれでもかと切りまくっていたときにモメた小児科医のゴッフレードカルロヴェルドーネは、妻に一方的に離婚を告げられ傷心の身。それならと病院の美人看護師サブリナインパッチャトーレと一夜をともにしようとするがあえなく失敗。一人で浜辺で一夜を過ごしたゴッフレードは浜辺のレストランを経営するリディア(なんと最初のナレーションの女性でトンマーゾのお姉さん)と出会い、初デートの約束を交わす。

ひとカップルごとに一応つながってはいるもの、そのつながりはかなり薄く群像劇というよりはオムニバスですね。最後にトンマーゾのお姉さんが登場してすべてが丸くリンクする感じ。そのお姉さん談でトンマーゾとジュリアに子供が出来ていることもわかるという仕組み。

冒頭にも書きましたが、「イタリア的」だからエロくてちゃらい話かと思ったら、真面目で純情なお話だったので、好感が持てました。イタリア人だってこんなふうに悩んでるんだなぁって。

それにしても、これだけイタリア人の名前を書いているとおいしそうなパスタの名前みたいでイタメシを食べたくなってきちゃいました。

パコと魔法の絵本

2010-05-25 | シネマ は行

ケーブルで放送があったので見ました。

これは公開のときから気になっていた作品です。実は何か他の映画を見に行ったときにこの作品の予告編をやっていて、それだけでウルっときちゃってたんですよねー。だから、本編を楽しみにしておりました。

予告やポスターを見ただけでかなりキテレツな世界が広がっているということは分かっていたんですが、冒頭の加瀬亮阿部サダヲのシーンでイキナリなにやらぶっ飛んでる感じ!ここで、ぽけっと置いてかれちゃった人はもしかして全編置いていかれるかもよーってな雰囲気。

「お前が俺のことを知っているというだけで腹が立つ!」が口グセの頑固ジジイ大貫役所広司と事故で記憶が一日しかもたないパコアヤカウィルソンとの交流が中心に描かれるんだけど、この二人が入院している病院には変な奴らがウヨウヨ。

なんだかメルヘンな医師浅田上川隆也に悪魔看護師タマ子土屋アンナ。猿に撃たれたヤクザ龍門寺山内圭哉にオカマの木之元國村隼、消防車に轢かれた消防士の滝田劇団ひとり、人気子役だった過去の栄光を捨てられない室町妻夫木聡。その他もろもろ、変な奴らがいっぱい登場する。

あのメイクで役所広司が登場することにもビックリなんだけど、彼以外にも上川隆也や國村隼があんな役で登場するなんて本当に意外だった。でも彼らはきっと演じてて楽しくてしょうがなかっただろうなぁと思います。少々嫌いなキャストがいたとしても好きになっちゃうような気がしますよ。

大貫とパコの交流がメインなんだけど、このヘンテコな連中のそれぞれのバックグラウンドがきちんと描かれるところが良い。そして、それぞれなんか切ないんだよねー。こんな変な映画なのに涙が止まらなくなっちゃうの。

途中ちょっとテンポが悪いかなぁと思うところもあるものの、最後のみんなで演劇しちゃうシーンに突入するとそんな雰囲気も一気に吹き飛びました。あのCGとの合成は素晴らしすぎるよ。彦麻呂とかまったく意味分からんけど(笑)特にブッキー演じるザリガニ魔人はサイコーほんと、違う意味で怖かった。

ワタクシ実は地球上で一番カエルが嫌いなもんでねー。前半実写で登場するときはかなりガマンして見てたんですが、後半のCGはまぁ大丈夫でした。と言うよりも、もう真剣にガマ王子を応援してしまいまいした。

中島哲也監督の作品は「下妻物語」も好きでした。「嫌われ松子の一生」はまだ見てないんです。ケーブルテレビで録画したものがHDDに入っているので近いうちに見たいと思います。


パリより愛をこめて

2010-05-24 | シネマ は行
ワタクシは映画雑誌を毎月買っています。そういう雑誌を買っているとかなり前からプレス向けに公表された作品のワンシーンとかの写真が載っています。この「パリより愛をこめて」の場合、スキンヘッドのジョントラボルタとスーツ姿のジョナサンリースマイヤースが映った写真がずっと前に掲載されていました。「パリより愛をこめて」という題名とジョントラのスキンヘッドだけを見て、この作品は難病患者のジョントラと家族の感動物語?って勝手に想像していました。それから徐々に作品の全貌が紹介されるようになって、ワタクシの予想があまりにも外れていたので笑えました。

ジョントラはアメリカ政府要人をテロリストから守るためパリにやってきた諜報員チャーリーワックス。そしてジョナサンリースマイヤースはフランスのアメリカ大使館の職員ジェームズリースでワックスの相棒となり諜報員への昇格を狙う。

このチャーリーワックス、天下無双のツワモノ諜報員。「オレ様はGOOD GUY。奴はBAD GUY。だから撃つ」それだけ。しかも、ワックスはヘマなんかしない。こんなにもヘマしない良いもん、みたことない!ワックスがヘマをしたのはたったの一度、リースの婚約者キャロリンカシアスムートニアックの正体を暴いて逃げられたときだけ。それでもちゃんと本部(ってドコ?)の別働隊(ってダレ?)に車のナンバーを知らせて追いかけさせる。

そう、この映画、“本部の別働隊”とかそういう面倒くさいものは登場しない。電話で連絡入れてそれで終わり。こっちは偉いさんの電話での指令で動き、こっちも電話で別働隊を動かすだけ。接触するのはおフランスのロイヤルバーガーを受け取るときだけ。(このロイヤルバーガー、「パルプフィクション」を意識している?)そんな単純明快さが良い。こんな単純な映画、久々に見たかも。あ、でも別働隊のドライバーのドライビングテクにもゾクゾクします。

脚本もコンセプトも単純。でも十分面白い。それはやっぱジョントラ演じるチャーリーワックスの魅力のおかげかな。ドンパチは分かるけど、あんな図体でチンピラをカンフーみたいのでやっつけちゃうんだからね。マジでシビれますよ。キャロリンの友達を躊躇なく撃つのなんて本当にカッコ良かった。あんなバズーカだって一発で仕留めちゃうしね。でももうぶっ飛びの倫理観ですからね。そこに引っかかる方はダメな作品かも。まぁ、リュックベッソン系ですからね、あんまり深く考えないで。

すっかりジョントラにお株を奪われたようなジョナサンリースマイヤースだけど、すらっとした優男風で真面目なキャラがワックスとの対照を際立たせてとてもイイ。それにしても婚約までしてたのに、殺したあとはちょっとあっけなかったね。自爆テロ犯に同情してみせるのは良くないから?

最後のチェスのシーンではこのコンビで続編を作ってもらいたいなーと思わせる感じでしたね。「ロシアより愛をこめて」はもうあるからダメだけど、「ドコドコから愛をこめて」シリーズを作って欲しいな。

グリーンゾーン

2010-05-21 | シネマ か行
この作品見ながらかなり眠かったー。画面が暗いせいもあるかもですが、ワタクシがたまたま眠かっただけでこの作品のせいではないと思います。

「あなたは114分間、最前線に放り出される」っていうキャッチコピーが結構気に入ったんですよね。なんかカッコよくて。日本の映画宣伝部がつけるコピーってなんかちょっと違うなぁってのが多いので内容とリンクしてるかどうかは気にしてなかったんですが。

例の大量破壊兵器はあったかっていうのが焦点になっているのですが、このロイミラー上級准尉マットデイモンって人が「大量破壊兵器なんてどこにもないやんけー」って政府高官とかCIAに噛み付いてその真相を探るっていうんだけどさ、一兵士とCIAが結託してあんな自分勝手な行動をしてもいいのか???上級准尉って少尉とかよりも下の階級だよね?なんかそんなにエラくない兵士があんな勝手な行動できるもんなん?速攻軍法会議とかになりそうな気がするんやけど…よう分からん。

まぁ、たいがい映画の兵士とか警察官とかって自分勝手な行動して問題解決しちゃったりしますからね。それで上司と対立してもこっちのほうが正しいってのが定説で。

最後のマスコミにばらしたのもねぇ…なんか握りつぶされて終わるような気がする。それならもうどうせファンタジーなんだからその黒幕と直接対決とかしちゃったほうが面白かったかも。

こういうの、イラクの人が見たらどう思うのかな?自国の失敗をネタにしてちゃっかり商売しちゃってるっていうね。それにワタクシも貢献しちゃったんですけど。

敵役のグレッグキニアとマットデイモンは「二人にクギづけ」で仲良しのシャム双生児の役をやっていたので、今回ちょっと笑っちゃいました。そして、超アイリッシュイメージのブレンダングリーソンがCIAというのも意外で。ジェイソンアイザックスはカッコイイのに、画面が暗くてほとんど誰か分からずかなり残念な感じでした。

でも、ぶっちゃけワタクシもしかして途中途中ちょっとずつ寝ちゃってたかも!?それならこの状態でこの作品を評価するのもフェアじゃないなぁと。また見る機会があったら再評価しないといけないかもしれません。

17歳の肖像

2010-05-20 | シネマ さ行
これはアカデミー賞にも絡んできた作品で、本国イギリスアカデミー賞では最多17部門にノミネートされました。

主演女優賞にノミネートされた主役のジェニーを演じたキャリーマリガンは撮影当時22、3歳ってとこですかね?でも、16歳から17歳になるジェニーを演じて何の違和感もなかったな。結構童顔な女優さんですね。ケイティホームズに似てるな。ケイティホームズが面白い女優さんに育ってきてるなぁと思った途端トムクルーズにさらわれちゃったから、その代わりと言っちゃあなんだけど、キャリーマリガンには活躍してほしいところ。

英アカデミーでは、衣装関係もノミネートされているのですが、60年代初頭の衣装がとっても素敵でした。ジェニーがおめかししたときのメイクはちょっといただけなかったけど。キャリーマリガンは素顔のときのほうがずっと可愛かった。

さて、このお話。学歴がなく苦労した父ジャックアルフレッドモリナは、自分の苦労を娘にはさせまいと娘をオックスフォードに入れるために頑張る。娘もその期待に答え苦手なラテン語以外では成績優秀。そんな彼女の前に年上の素敵な男性デビッドピーターサースガードが現れる。

まもなくデビッドと交際し始めるジェニーだったが、実はデビッドには秘密があり…

年上のちょっと危険な男性に16、7歳の娘が惹かれるっていうのはまだ分かるんだけど、お父さん!どうしてあんなに簡単に騙されちゃうかなー???デビッドがオックスフォード大出身で有名な教授にコネがあってって嘘をつくシーンがあるけど、その前からすっかりお父さんはデビッドに騙されてたよね?あの嘘が最初にあってっていうんならまだ分かるんだけどなぁ。ジェニーから見たらずっと年上のあんな男との交際を簡単に認めるってのがよく分からんかった。泊まりがけの旅行ありとかさー。なんか甘くない?女性は良い相手と早く結婚するのが一番っていう価値観だったからかもだけど、あそこまで手離しって。

しかも、デビッドの秘密ってのが、危険な商売ってだけならまだしも、こんなことを繰り返してるダメ男だなんてねぇ。ほんとジェニー妊娠してなくて不幸中の幸いだった。

それにしてもあのバナナのシーンはなんだ!?冗談?それとも本気?ってかただの変態?ジェニーも初めてなわりには「もうそんな気分じゃなくなった」とかわりと冷静だよね。しかも、「やっちゃうとあっけない」とか。それってデビッドが大したことなかったんじゃ…とか勘ぐってしまいましたが。

なんかジェニーの初体験までが物語の軸みたいに書いてしまいましたが、そんなことは全然ありません。むしろそっちはそんなに重視されていないような感じ。

原題が「AN EDUCATION」で、まさにその通りってな話ですね。ジェニーはちょっと痛い目を見たけど、いい勉強になって良かったねってこと。そして、そのおかげで父親に言われたからじゃなくてちゃんと自分の意思で大学に進みたいと思えるようになったということなのかも。

時代背景が1961年ということで、ビートルズとかストーンズとかが登場する寸前で、まだ若者のパワーが爆発できずにいたころなのかなぁと推測します。そういう時代にちょうどはまり込んでいたのが、ジェニーという存在だったのかなと。と、これはワタクシの勝手な推測に過ぎませんが。

脚本は人気作家のニックホンビィだそうですが、彼の書く本とはちょっと毛色が違う感じでした。他人の原作を脚本にするのだからそれはまた感覚が違うんでしょうね。これからも映画の脚本も手がけてほしいです。

ターミネーター4

2010-05-19 | シネマ た行
何ヶ月か前に始まった「ターミネーター:サラコナークロニクルズ」にハマっていて、第2シーズンが終わってしまったところで、「ターミネーター4」を観ようと思っていました。テレビシリーズとこの「4」は製作時期がほぼ同じって感じになるのかなぁ?製作とか脚本とか同じ人が絡んでるのかよく分からん。元々の製作者の許可なしでは続きは作れないだろうと思うけど、脚本とかは全然違う人が手掛けるんだもんね。ただやっぱり続く以上はあんまり矛盾なく作って欲しいところだけど、こういうタイムスリップものは、タイムスリップそのものに矛盾がいっぱい生じちゃうわけだから余計ややこしいね。

このシリーズは「3」は嫌いだって人が多いみたいなんだけど、ワタクシは結構「3」も好きで。もちろん「1」や「2」ほどではないけど、「3」は「3」で頑張っていたと思うし、“審判の日”が来てしまった絶望感も良かった。ただねぇ、やっぱジョンがニックスタールってのは良くなかったな。なんで急にブサイクになっちゃの?って。そこへ来て「クロニクルズ」のトーマスデッカー君がハンサム度を取り戻してくれましたよねー。そして、今回は大人になったジョンにクリスチャンベールって!!!ピッタリじゃーん!って感じです。トーマスデッカー君とはちょっと感じは違うけど、「2」のエドワードファーロングの流れを汲んでる感じですね。

シュワちゃんの型のターミネーターが登場するのはまぁご愛嬌として、ジョンの子供を産むって「3」で言われてたケイトブライスダラスハワードがちゃんと妊婦さんとして登場するところなんかは、ちゃんと続編として意識した作りになってます。

さて、このお話。審判の日から10年後の2018年らしい。スカイネットVS人類の戦い真っ最中。でも、人類の軍隊はまだジョンコナーが率いているって感じではなくて、他におエライさんがいっぱいいて、意見が対立したりしている。捕えられた人類ごとスカイネットの基地を破壊しようとしている軍隊に対して、ジョンコナーは人類を助けてから破壊しようと行動に出る。それを助けるのがマーカスライトサムワーシントン。彼はなんと人間と機械の中間に位置するような存在だった。彼は元々2003年に死刑囚で、セレナコガーン博士ヘレナボナムカーターに献体をして半分機械の体になっていた。

このマーカスライトが2018年に記憶を失くした状態で目覚め、自分は人間だと思っていたら、半分機械にされていてビックリってわけ。目覚めたときにいきなりメタルからの攻撃を受け助けてくれたのがカイルリースアントンイェルチェン。そうジョンコナーの父ちゃんよ。まだ10代だけど。

マーカスライトはジョンコナーに人間だと信じさせてスカイネットの中枢までおびき寄せるために利用されたみたいなんだけど、元々セレナコーガン博士の目的は何だったんだろう?2003年の段階でこんなこと思ってないよね?ってことは博士は2018年からタイムスリップしてきたの?ワタクシ、なんか見落としたんすかね?これはまた新たな3部作の始まりということらしいので、これからまた明かされる何かというのもあるんでしょうか?マーカスの過去とかちょっとしか触れられてないけど、これから触れられるのかなぁ?もうマーカスは登場しない?

とにかく、ジョンコナーはスカイネットに捕まってしまったカイルを助けに行くんですけど、スカイネットはカイルを捕まえておいてどうしてすぐに殺さなかったのかなぁ?そうすればジョンも生まれずスカイネット完全勝利じゃないのさー。バカ。ってスカイネットの勝利を望んでいるわけじゃないけどさ。

今回はこのシリーズの最大の魅力と言っても良い強烈な敵キャラっていうのが存在しないのがちょっと残念だったかも。マーカスライトは魅力的なキャラではありますが。あ、でもあのバイクのマシンはカッコ良かった。

3部作って言ってるけど、ちゃんとあと2作作ってくれるのかな?だとしたら、ちゃんと最後にはジョンに完全勝利宣言させてあげたいよー。なんか「サラコナークロニクルズ」にハマっていたせいもあって、ワタクシたちがいまいる現実とのパラレルワールドでジョンはずっとメタルと戦っているような気になってきたよ。

オマケ1「サラコナークロニクルズ」ではカイルがもう少し大人になるまでジョンには会っていない設定になっていたので、すでに「4」とは違う展開になっちゃってます。これはタイムスリップでなんとか修正できるもんですかね。

オマケ2「サラコナークロニクルズ」はシーズン2が終わったあと、TVシリーズが頓挫してしまっている状況です。脚本はこの先もできているらしいのですが。めっちゃ気になるところで終わってるんですよねー。なんとかちゃんと映像化してほしい!じゃないと、トーマスデッカー君がおっさんになっちゃうよ。ジョンを守るターミネーターキャメロン役のサマーグローちゃんもおばさんになっちゃう。彼女がなんか美人じゃないけど、もうジョンとくっついちゃえば?って思うくらい可愛いんすよ。

運命のボタン

2010-05-18 | シネマ あ行

これはあんまりかなぁと思いつつ、キャメロンディアスジェームズマースデン見たさに行ってきました。キャストが見たくて行った作品なので、内容は二の次なところはありました。

アーサー(ジェームズマースデン)とノーマ(キャメロン)の夫婦のところに、とある日の早朝玄関チャイムが鳴り、ドアの前には箱がひとつ。箱を開けてみると大きな赤いボタンのついた謎の装置。その日の夕方にアーリントンスチュワードフランクランジェラという男が説明に来るという手紙。いや、こんな早朝にドアの前に置かれた箱を受け取るか?その時点で警察とか呼ばない?設定が70年代だからそういう意識が薄いのか?

はたしてその日の夕方ミスタースチュワードがやって来た。彼は顔がやけどか何かで左頬の大部分が欠けている。左頬の奥のほうは完全に口の中が見えている。彼は「このボタンを押すと100万ドルもらえます。その代わりあなたの知らない誰かが死にます」と言って目の前の100万ドルを見せ、その中の1枚の100ドル札をくれる。「1日で決めてください。あなたが押さなければ、プログラムしなおして別の誰かにチャンスをあげます」と言う。

さて、あなたなぁ~らどぉする~?ってとこか?

と思いきや、まぁ悩む時間も1日しかないわけで、ずばりあならならどうする?的な深層心理に迫ってくるようなお話ではありませんでした。この夫婦悩んではいたけど、結構あっさり妻のほうが押しちゃった。その前に金銭的に追い詰められているという話も挿入されていたので、彼女が押した気持ちは分かる。

しかし、こっからが問題。100万ドル手にしたはいいけど、なんだか周囲で変なことばかり起こる。考えてみればこの箱を手にした日から変なことはいっぱい起こっていましたね。校長の鼻血とかアーサーが宇宙飛行士の試験にトップの成績だったのに落ちたこととか。

ってかさー、ズルいよ、ミスタースチュワード。だって、アンタこのボタンを押したら100万ドルもらえる代わりに誰か知らない人が死ぬって言っただけじゃん。こんなに周囲で変なことがいっぱい起こるよって言わなかったじゃん。もちろん、“あなたの知らない誰か”が死ぬっていう設定なら自分が誰かの“あなたの知らない誰か”になることだって考えられるわけだから、次の人が押すとノーマが死ぬっていう設定には文句はないけどさ。結局ミスタースチュワードは何がしたかったんだろう?あの人は火星人?そこんとこは分かんなくてもいいよっていうことなんだろうけどねぇ。あのピースサインとか水とか鼻血とかノーマのミスタースチュワードに対する同情心とか色々もったいつけちゃってくれてますけど、結局それで???みたいな。まぁ、それで?でいいんだろうけどね。

ミスタースチュワードの“雇い主”は、どうやら人類を試してるってことみたいなんだけど、こんな条件付け程度で試されてもねぇって感じだよね。たとえこのボタンを自分自身が押さなくても、世界中のあっちこっちで戦争だのテロだの殺人だのって人は死んでるんだよ。自分がボタンを押して直接手を下さなければそれで合格なの?戦争に加担してる国(いまの日本も含めて)の国民は戦争の被害者たちに大して責任の一端はあるでしょうよ。って、ここでそこまで考えなくてもいいのかな。いや、こういうことまで考えさせようって思ってる?色々深いことを含んでのこの出来上がりなのか???分からん。

ノーマが死んじゃうのはボタンを押した報いってことなんだろうけど、意図的に金銭的に追い詰めておいて、良心に従って押すべきじゃないなんてなんか腹立つ。そして押すのがいつも妻なのはなんで?リチャードケリー監督はなんか女性に金銭絡みでイヤな目にでも遭ったんでしょうか?

キャメロンとジェームズマースデンを見に行ったワタクシとしては、70年代ファッションに身を包んだ2人を見れて、その点は満足でした。ってところに着地点を見つけるしかない、かな。


タイタンの戦い

2010-05-17 | シネマ た行

あんまり何も考えずに楽しめる作品もたまには見たいので、見に行きました。「アバター」で3Dはもうこりごりだったので、こちらは2Dで。

神々の王ゼウスリーアムニースンと人間の子供であるペルセウスサムワーシントンは人間の子として育つ。人間は神々の横暴さに反乱を起こし、ゼウスは兄で冥界の王ハデスレーフファインズを人間を殲滅するために地上へと送る。人間たちは半神のペルセウスとともに戦う。

なんか神対人間という構図がイマイチよう分からんかった。神が横暴だから人間が怒って反乱を起こしたらまたそれに神が怒って、、、となんかどっちもどっち的な…まぁギリシャ神話なんてみんながみんな欲望のままに自分勝手に行動してますからね。なんか意味不明な逆恨みとかいっぱいありますもんね。だから、その辺はあんまり気にしないことにしてと。

それで、ペルセウスは人間として育って、神に恨みを持っていくら父親でも神の力は借りんとか言ってるわりに要所要所でわりと助けてもらっちゃったりね。ゼウスも人間に怒ってるわりにはペルセウスのことを助けたりして、結局どっちの味方やねん!と。真剣に戦ってるハデスがちょっと可哀想になってきたりしてね。

リーアムニースンはあーいう後光が差してるような役がなんか似合うな。レーフファインズはヴォルデモートかと思ったよ。サムワーシントンは「ターミネーター4」も「アバター」も本作もなんか半分混じった役で「早く人間になりたーい」ってところ?人間の軍人役でマッツミケルセンが出ていて驚いたな。彼もこんなにお金のかかった作品って初めてなのでは?でも、意外に古代の鎧が似合ってましたね。あのペルセウスを守っていた女性イオジェマアータートンは美しかったですね。野郎ばかりでむさ苦しいシーンが多かったので、彼女がいてくれたおかげで画面が華やかになりました。

巨大サソリとか、メデューサ、クラーケンなどのクリーチャーのCGは見事でした。ワタクシは特に巨大サソリが好きでした。結局手なずけちゃってるし(笑)あの三魔女はさ、なんで目を取られたのに、目を捨てられるのが分かったの?

なんかグタグタと理屈はいいからもっとばんばん戦ってよ!って思っちゃいましたね。「戦い」というよりも「冒険」的な要素が多かったような。もっとストレス解消的なものを期待していたのですが、その辺は少し残念でした。ところで、「タイタン」ってなんのことだっけ?


プレシャス

2010-05-14 | シネマ は行

母親モニークには身体的虐待を受け、父親には性的虐待を受けて育つ16歳のクレアリースプレシャスジョーンズガボレイシディベがこの最悪の状況を抜け出そうとする物語。

プレシャスは2度目の妊娠(2度とも実の父親の子)のせいで学校を退学になってしまう。そこで、フリースクールであるTOEOという組織で読み書きを習い始め、そこでの先生であるミズレインポーラハットンに出会ったことから、本気でいまの状況を抜け出すことを考え始める。

プレシャスの唯一の趣味は妄想。自分がスターになってドレスを着て多くの人から歓声を浴びるところを想像する。そんなプレシャスの妄想はいつも母親の怒号にかき消される。それでも、TOEOの先生や仲間たちといるときプレシャスは幸せを感じることができ、その幸せを実際にずっと持続させようと思うようになったのではないかなと思う。

ただ、映画の運びとしてはあまりうまくないように思われる箇所が多々あった。ひとつひとつのエピソードのつなぎがあまり上手じゃない。アカデミー助演女優賞を受賞したモニークを始め、ガボレイシディベは素人とは思えない演技だし、先生役のポーラハットンも素晴らしい演技だった。その素晴らしい演技のおかげでなんとか支えられてはいるのだけど、ひとつのエピソードに感情移入しかけると、そのエピソードがぷつっと終わってしまってもう次のエピソードに進んでいるという感じで全体が進んで行ってどうにも上滑りしている感があった。

プレシャスがソーシャルワーカーのミセスワイスマライアキャリーに突如として家庭内の真実を語り始めたのも、もちろんTOEOでの経験からだと思うんだけど、もうちょっとその辺の心境の変化というものを丁寧に描いて欲しかったかな。一応描かれてはいるんだろうけど、なんか物足りなかった。

ミズレインが父親との確執を語るシーンでも、深いところに触れるかと思いきや触れないし。先生が16歳の生徒に悩みを相談するってこともないだろうけど、それならもう少し別の形で見せるか何かして欲しかった。レニークラビッツが演じていた男性看護師との交流もなんか中身があるのかと思いきやたいしてないし。ちょっと全体的に演出が中途半端でしたね。

モニークは最後の告白での演技で賞を取ったんだろうな。あのシーンは本当に吐き気がするシーンだ。結局あの女は本気であんなふうに自分が可哀想な女だと思ってるんだろうな。自分がプレシャスにしてきたことは仕方なかったと、多分本気で思ってるんだろうな。あんな奴にどれだけ説教してもなにしてもムダだよね。あんな奴はどこかでのたれ死んでしまえばいいと本気で思う。

プレシャスは最後に一人目の子モンゴを取り返し、二人目の子も連れて両親の毒牙から逃れて強く生きていくことを選択する。プレシャスはこれから先もまさに"Why me?"という運命を背負って生きていかなくはいけないけど、彼女の決意と周囲の理解で幸せになってくれることを祈りたい。

オマケせめて最後にダウン症のためプレシャスにさえ「モンゴ」と呼ばれていた子の本当の名前を知りたかったな。


アイガー北壁

2010-05-13 | シネマ あ行
ナチス政権はベルリンオリンピックの年、前人未到のアルプスの難所アイガー北壁を踏破した者にオリンピックの金メダルを与えるという。それに挑んだトニークルツベンノフェルマンとアンディヒンターシュトイサーフロリアンルーカスの死闘を描く。

いやーしんどい。もう中盤から後半にかけてはずっとアイガー北壁を登ってて、ほとんど吹雪で寒くて痛くて辛い。これだけ見ていて辛いってことは映像がすごいってことなんでしょうけど。

こういう作品を見ているといつも思うんだけど、どうしてケガをしているのに無理をしたり、天候が悪いのに無理をしたりする奴が必ず出てくるんだろう。プロなら断念することも重要だと思うんだけどなぁ。でも、こういう危険な山とかでは多少無理する奴がいないと結局誰も踏破できないものなのかなぁとも思ったり。山を登る人たちはそれで死んでも本望だと思っているからかな?

山登りのシーンは確かに迫力があったんですけどねぇ。どうしてトニーは結局アイガー北壁に挑戦する気になったんだろう?初めはやらないって言ってたのに。

それにトニーと(昔?)恋人関係だったルイーゼヨハンナヴォカレクが、どこまで彼らのことを思っていたのかちょっと不明だった。最後にルイーゼがトニーを助けようとして壁を登っていくシーンがあるけど、あれはちょっとメチャクチャじゃないかなぁ?あんなことができるくらいなら、難所でもなんでもないんじゃないの?それに救助に来た人たちも、ロープが足りないとか結び目が邪魔だとかちょっとマヌケすぎないかなー?実際のとこどうだったか分かんないんだけど。

ルイーゼの先輩ヘンリーアーラウ記者ウルリッヒトゥクールが野次馬根性丸出しのイヤな奴って感じだったけど、ルイーゼだって最初は自分が幼馴染だっていう立場を利用してトニーたちを挑戦させようとしてたんだよね。なんかアーラウ記者ばっかりがイヤな奴みたいに演出されていたけど、それならルイーゼの反省とか後悔も入れて欲しかったなと。

あーいうところに挑戦する人の気持ちもロマンも分からないワタクシが見に行くにはちょっと山でのシーンが多すぎたかも。あんまりにも山登りのシーンが過酷なので、もし自分があそこにいたならトニーみたいに最後まで生きてダメよりも、もっと最初のほうで先に死にたいなぁなんてヘタレなことを思うワタクシでした。

月に囚われた男

2010-05-12 | シネマ た行

これは見に行くかどうか迷っていたんですが、時間が合ったので見に行きました。デビットボウイの息子ダンカンジョーンズの監督作品ですね。これはデビットボウイの息子とはいえ、親の七光りとは言えない作品ができあがっているのではないでしょうか。

ワタクシは特にSFファンというわけではないのですが、一応映画ファンとして「2001年宇宙の旅」とかは見ているので、なんとなくこの作品がその辺りへのオマージュかなってことは分かりました。全体的な雰囲気も低予算で作られたこともあってかとても70年代チックにできあがっていましたね。

さて、近未来人類は必要なエネルギーを月で採掘していて、その任務に着いているのがサムベルサムロックウェル。なんでこの人がたった独りで任務に着いているのかちょっと疑問なんですよね。ネタバレしちゃいますけど、彼はクローンだから独りでも良いってことなのかな?ここにいるクローン人間は独りなんですが、彼を手伝うAIがいてそのAIは画面にニコちゃんマークがついていて、それでちょっとした感情を表しているところが妙に可愛かったです。

ケビンスペイシーが声を演じているこのAIのガーティはHALのような感じなのかなーと思って見ていたんですが、なぜかガーティはクローン人間サムベルの味方をしていましたね。てか、それはなぜ???その辺も掘り下げてくれるともっと良かったかも。

なんせ登場するのがこのクローン人間1号と、すれ違いで誕生したクローン人間2号。(ここには何体もサムベルのクローンが寝ていて3年ごとにガタがくると次のクローンが起されるという仕組み。そして、その仕組みにクローンたちが気付いてしまって、というお話)つまりどっちもサムロックウェルが演じているわけでさながら彼の独り芝居。彼が見事に3年目でガタが来ているほとんど死に掛けの1号といま起きたばかりの元気な2号を使い分けていて、見た目はもちろんまったく同じ人間なのにまったく別人格のように思えてくる。設定として特に目新しいわけでもないこの作品がこれだけ高い評価を受けているのは彼の演技によるところも非常に大きいと思う。この役者さんは、ほんとに役によって好きになったり嫌いになったりしてしまうんですよ。イヤな奴のときはほんまにムカつくし。ようするに、それだけうまいってことですよね。

にしても、、、上映時間を見ると97分なんですねー。なんか長く感じた。セリフが少ないのと全体的に無機質な感じがしたからかなぁ。まぁ悪い意味だけではないのですが。

設定に色んな無理を感じながらもこのクローンたちの悲哀というのが感じられてなかなかに切なかったですね。知らないうちに成長した我が子(とクローンが信じさせられている子)と通信がつながるところなんかは、やっぱり辛かったな。SFノスタルジック悲劇ってとこでしょうか。最後の最後の展開を見ると悲劇で終わるわけではないのかな。でも、大企業のズル賢さでサムベルのクローンの訴えなんてひねりつぶされるのでは?と思ったり。

オマケこの未来の大企業、韓国籍みたいですね。少し前なら確実に日本だったような…時代の流れでしょうか。(ワタクシは日本の経済が世界の中でトップにいる必要はないと思っている人間ですが)


やさしい嘘と贈り物

2010-05-11 | シネマ や行
GW中に見た作品が結構たまっていますので、アップしていきます。

この作品、製作者側の意図とはかけ離れたコピーになってます。この構成の作品で「私を忘れてしまった夫、もう一度あなたに恋をする」っていうコピーつけたらダメじゃない?一応、それオチなんですけど~?みたいな。いや、そりゃ映画見てればすぐに分かるけどさ、それでもよ。

この痴呆症の、あ、そう、もうどうせバレバレなんで言っちゃいますけどね、この痴呆症の旦那さんマーティンランドーは独りで住んでいて、毎朝決まった時間に起きて歯を磨いて髪をとかして、薬飲んでネクタイしめて勤め先のスーパーに行くっていうことができちゃうんですよね。ここんとこがちょっと都合が良いなぁ。痴呆症ってもっと普段の生活に支障が出るもんじゃない?こんなふうに生活だけはちゃんとできるなら家族もそんなに苦労しないよね。

その彼に近づくご近所の同年代のおばあさんがエレンバースティン。彼女はちょっとホラーなイメージがつきまとって怖いんだけど、今回は素敵な女性だった。いや、女優歴が長いですから、色んな役があるんですけど、やっぱりホラー的なイメージが強いなぁ。あと「レクイエムフォードリーム」の印象が強烈だし。

まぁ、お涙ちょうだい系なんですけど、こんなこと言いながらしっかり泣いちゃいましたよ。娘エリザベスバンクスも息子アダムスコットも良い子だしね。母親が傷つくのを恐れて反対する娘のことも理解できたし、父親の恋を応援する息子の姿も良かった。それにやっぱりどうなっても夫を愛し続ける妻の姿には感動したな。

オチが分かっているだけに、オチの発表をここまで後半にせずにもう少し中盤に持って来て、そこからまた家族の絆的なものを見せてくれると良かったかなぁと思います。オチからがあっと言う間に終わってしまってちょっと残念なんですよね。それまでの家族の苦悩とか、息子や娘の思いなんかももうちょっと深くまで見せて欲しかった。

痴呆症を題材にしたファンタジーと思えば良い話だと思います。実際に痴呆症の患者と接している人からすればもしかしたら笑止なのかも。