シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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解夏

2005-08-30 | シネマ か行

大沢たかおがベーチェット病という病気になって目が見えなくなってしまう主人公を演じます。この病気にかかると、すぐに目が見えなくなる人もいれば人によってはずっと失明しないでいる人もいるらしい。そして、失明の時はいつやってくるか分からないし、さっきまで見えていたのに突然、ということもあるらしい。(この説明は劇中同じ病気にかかって失明したという役どころの柄本明によって語られる。このくだりも物語の邪魔にならないようにうまく病気の説明を観客にしていてうまい)その事実を知った主人公は恋人石田ゆり子に「君が幸せになれないから」と言い別れを告げ、仕事も辞め、故郷長崎に帰る。

自分が病気で恋人が幸せになれないから別れよう。という展開はワタクシは好きではない。実際には、確かにこういうことってあるだろうし、その気持ちも分かるけど、、、でも、映画のストーリーをそれで引っ張っていかれるといかにもメロドラマ調になってもう虫ずが走るというか、「はい、はい」って気分になってくるからだ。

この作品も始めのあたりでは、「私の幸せを勝手に決めないで」とかなんとか恋人が言って、ここからぐじぐじそういうやり取りが始まるのかと思ってげんなりしかけたんだけど、故郷に帰った主人公を彼女が追いかけて押しかけて行くあたりから、少しおもむきが変わってくる。結構あっさり彼女のこと受け入れるんですよね。心の中ではもちろん別れなくてはと思っているんだろうけど、物語の焦点が主人公が目が見えなくなるまで大好きな故郷の町を見て周ろうというところにスライドされていくんです。主人公が独りで、または彼女と長崎の町を見て周る。最後に見ておきたいものを心に納めておくために。

そこで彼らには貴重な出会いがある。発作を起こして休憩していた寺にいた住職の松村達雄だ。この住職が劇中でこの主人公たちに「解夏」についての話をしてくれるのだ。この作品を見る前には「げげ???なんじゃそりゃ???」と思っていたワタクシも(多分観客の多くも)この住職の言葉を通して「あー、そういうことなんかぁ」と納得がいくようになっている。そして、この住職が主人公に言う「あなたの目が見えなくなるまであなたはその恐怖と戦い続けなければならない。その目が見えなくなるとき、あなたはその恐怖から解き放たれるのです。なんとも皮肉なことですなぁ」という言葉は正に的を射ていて主人公を(観客も一緒に)開眼させる。非常に重要な役どころを松村達雄が演じると本当に悟りを開いている人のようでもの凄く説得力があった。

もう一人素敵な役を演じていたのは、主人公の母親役の富士純子だ。彼女は年を取ってもキレイで上品で、でも少し抜けた感じのする人で、おっとりした感じのお母さんにはぴったりだった。そして、それだけではなくて、息子の病気のことを察し心配しながらもどうしていいか分からない前半と、彼女のことを気に入りながらもやはり息子と一緒にさせて不幸にするわけにはいかないという気持ちでいる母ごころを演じる後半ともに非常にうまかった。そして、息子や彼女のためにお団子をいそいそと買いに行っている姿も田舎のちょっと天然ボケのお母さんという感じがすごく出ていて素敵だった。

他にも団子屋の女主人の渡辺えり子、石田ゆり子の父親の林隆三、主人公の友人役の田辺誠一がそれぞれ自然に役を演じていて素直な感じがしました。


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愛についてのキンゼイレポート

2005-08-29 | シネマ あ行
んんんー。どうなんですかね…この映画…キンゼイという学者がそれまでのタブーを破って「性」に関するアンケートを行い、彼はある素敵な結論を導き出す…というコピーに魅かれてリーアムニースンが主演なこともあり、見に行きたいと思ったのですが…

まず邦題ですが、「愛についての、、、」というのはちょっとなー。「セックスについての」が本当だけど、それはあまりにもストレートすぎたか。
映画としては面白いし、物語の展開には飽きることなく最後まで見れます。が、、、

ワタクシ個人としてはこのキンゼイ博士にいい印象を持てなかったんですよね。それまでのタブーを破って、「性」に関する大調査を行ったり、若者の性の悩みに答えたりすることには好感は持てました。やはり、正しい知識を持たずにむやみにタブー視するだけというのは良くないと思うし、「性」というのはやはり人間生きていく上でフタをしてばかりはいられないものだと思いますしね。

ただ、彼が破ろうといていた“道徳観”というものと“愛”と呼ばれるものを彼は混同してしまっていたんじゃないかなと感じました。ネタバレになりますが、彼が助手ピーターサースガードと浮気したり、同じ助手と自分の妻ローラリニーに「したいならすればいい」と言ってセックスを薦めたり、助手の間でスワッピングしたり…っていうのは、既成概念を打ち破るための行為。と言われても納得できない何かがワタクシの中にはありますね。 「パートナーを傷つけたくない」という気持ちを“愛”ではなくて一夫一婦制に縛られた道徳観だと言われてしまえば言い返す言葉はありませんが…

結局は妻の気持ちまでも奪った同僚ティモシーハットンと殴り合いをする助手クリスオドネルに「あなたは冷酷だ」と言われたキンゼイ。この助手がワタクシの思うキンゼイ像をすべて物語っていたような気がする。そして、これと同じようなセリフは彼の妻からも別の助手からも聞かれる。やはり、人間はそこまで感情を完全に排除してセックスだけを楽しむというのはセックスをするだけではない特定のパートナーがいる場合、非常に難しいのではないか?キンゼイが思い描くようには人の心はできていないような気がする。このあたりの状況を見ていると、「性」に関する研究をしている本人たちが「性」に溺れて操られてしまっているような感じがした。「オープン」ということと「何でもアリ」ということは違うんじゃあないか?

おそらくキンゼイの“道徳観”を打ち破りたい気持ちは保守的で頑固で息子のことを認めなかった父親ジョンリスゴーに対する反抗心から来ていたものだったんでしょうね。この父親の少年期の「性」に対するつらい思い出を聞くまでは。このあたりからキンゼイは少し“愛”について分かり始めたのかな。妻とのラストシーンからも“愛”というものを感じることはできますね。それに気付くまでに随分遠回りして色んな人を振り回したなぁ…という印象がものすごく残りました。

おそらく彼のした調査っていうのは、現代のワタクシたちにも通じるものがあるんではないでしょうか?キンゼイが言っていた「それぞれみんなが違うのに一緒じゃないと駄目と思うのは間違っている」というメッセージは今の世の中でも同じことが言えると思う。最後のほうで出てくる同性愛のおばさんが「勇気を持って生きれたのはあなたのおかげ」というシーンには涙しそうになった。彼の調査にかける情熱によって振り回され傷ついた人もいれば、救われた人もいただろうし、それを逆手にとって利用した人もいただろう。良いとか悪いではなくて本当に自分の信念を信じて突っ走った人だったんだろうなぁ。

オマケ妻役のローラリニーがところどころで意味深な表情をしています。夫が助手に魅かれていることが分かっている場面とかではその表情の意味は分かるのですが、特にそんなこともないシーンでもやたらと意味深な表情が目立ちました。夫のやることなすことに「あきらめ半分」という顔だったのかな?真相は分かりませんでした。どなたか教えてください。
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アンダーワールド

2005-08-28 | シネマ あ行
この作品の勝因はケイトベッキンセールを主役に置いたこと。これに尽きると思う。以前にも「ヴァンヘルシング」 「アビエイター」で取り上げているけど、ケイトベッキンセールという女優さん、最近とても光っている。初めて「シューティングフィッシュ」で見たときは、“たいして可愛くもないわりに外見だけを売りにしている子”というとてもとても低い(ワタクシの勝手な)評価で、その後も「ブロークンダウンパレス」とか「パールハーバー」とか“あ、まぁ、可愛いか”というところまでいったけど、単にそこ止まりで。「セレンディピティ」を見たときに、“お、なんかキレイになって演技もなかなかイケてるやん”と思っていたら、「ヴァンヘルシング」「アンダーワールド」「アビエイター」と続いてワタクシの度肝を抜いてくれたのでした。こんなにダークなヒロインが(上記3役とも)似合う人だったなんて。ほんとに御見それしました。初めにとても低い評価をしていたワタクシが甘かったです。ごめんなさい。という感じです。

何千年も戦いを続けているバンパイア(吸血鬼)一族とライカン(狼男)一族のお話。この二つの種族がなぜ戦っているのかというのはきちんとお話の中で明かされますが、冒頭からイキナリ何の説明もなく2種間の戦いで物語の幕が開き、 「うおー、かぁっこえぇ」と思っているうちにどんどん話が進んでいき、徐々に背景が見えてくるという手法。ワタクシはこういうダークなヒーローっていうのが最近好きなんだけど、このテのものはかなり気をつけて作ってくれないとめちゃくちゃチープになってしまうんですよね。その点、これは監督レンワイズマンがMTVやCF出身ということで洗練された映像が見れてカッコよかったっす。しょっぱなのケートベッキンセールがビルからすとっと音もなく飛び降りてスッと歩き出すところなんて惚れ惚れしたもんなぁ戦い方も現代に沿って、銃なんだけど、それぞれがお互いが苦手な紫外線弾液体銀弾を開発し合ってるところはちょっと笑けるけど、それが命中したときもカッコよくてねー。

肝心のなんでこの2種が戦っているかなんやけど、これには深い恋物語が関わっていて、なかなかに切なくてワタクシは好きでした。狼男の親分ルシアンマイケルシーンが切なくてかっこいい。

昔から吸血鬼は貴族で狼男は粗野に描かれることが多くて、これもその伝統(?)を踏襲していて、狼男族にはちと気の毒な気もしたな。でも、狼男族のほうがカッコよかったですけどね。それから、ケイトベッキンセールが吸血鬼の歯をつけてるんだけど、上の歯全部にマウスピースみたいにつけていて話しづらそうやし、ちょっと出っ歯みたいでブッサイクやったのが残念だったのと、狼男と吸血鬼のミックスになるマイケルスコットスピードマンがどんなカッコイイ姿になるかと思って期待していたら、なんか単なる泥んこまみれの人間みたいになってしまったのが残念だった。なんかもっといいデザインなかったん

なんせ主役が吸血鬼なもんで、画面は2時間中ずーーーっと暗いです。ワタクシはそういうのは結構苦手なほうなんやけど、そのワタクシでも飽きずに見れたということはやっぱりアクションや映像のデキが良かったからだと思います。特に深みがあるわけでもないけど、アニメ的に楽しんでもらえればいいんじゃないかなと思います。

オマケ吸血鬼の親分ヴィクターを「ラヴアクチュアリー」で老いぼれロックシンガーを演じたビルナイが演じています。今回は大真面目なんやけど、どうしてもロックシンガーの役を思い出して、笑いそうになってしまいました。
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シンデレラマン

2005-08-26 | シネマ さ行

ネタバレありです。ご注意を。

にゃおと試写会に行ってきました。

初めこのタイトルはなんかふざけとるんか?と思った。タイトルだけ知ったときは「ゼブラーマン」とかと同じような系統の日本映画かと思っちゃいました。試写会に並んでるときも「これ、シンデレラーマンの列ですか?」とか聞いてくる人がいて、「いやいや、ゴリラーマンやないねんから」とツッコミを入れちゃいました。「なんでこんな邦題つけたんやろ」と思って見ると原題そのままやったんですね。実在のボクサージェームスJブラドックラッセルクロウを当時の新聞がそう呼んだとこからきているというのは映画を見ていくと分かります。

大恐慌時代。過去にボクシングで稼いだお金で買った物はほぼ売り払い、日雇いの生活。その仕事もたまにしか貰えない。まだ、幼い長男が家計を心配して肉屋からサラミを万引きしてくる。友達が両親の元を離れてよそにやられるのを見て不安になったせいだ。それを知ったブラドックは「お前たちを絶対によそへはやらない」と約束する。

このシーンは映画のかなり前半部分なのだけど、ここでもうすでに泣いてしまった。こういうイタイケな子どもに弱いんですよ、ワタクシ。

それでも生活はどんどん苦しくなり、次男が病気になり電気も止められた時、妻メイレニーゼルヴェガーは父と息子の約束を知らずにブラドックが仕事にいっている間に、まだ暖房のある自分の父親の家に子どもたちをやってしまう。それを知ったブラドックは恥も外聞も捨てて救済センターにお金を借りに行き、ボクシングのプロモーターをやっている金持ち連中に頭を下げに行く。

ここも涙ポイントでした。家族のため、息子との約束のためならそんな恥もいとわない彼の行動に感動すると共に彼の心中を察すると心が痛かった。

そのブラドックに復活のチャンスが。怪我したボクサーの代わりに出た試合に勝ったのだ。それで、次の試合の話も舞い込んで来る。以前より年をとっているのになぜか強くなっているブラドック。このへんはなぜかというのは分からない。これが本当の話じゃなかったら、「そんなん都合良すぎるわ。もう年やのに」と思うところだけど、本当にそうだったんだから仕方ない。運動選手のピークというのは人によってかなり開きがあるようだ。個人的に思うところを言うとGアンツのK原のピークは高校時代から何年かだったような気がする…(あくまで勝手な意見です)

ここからブラドックの快進撃が始まる。お金も入ってきて生活も楽になる。けど、妻メイの心配事はお金から以前の心配に戻った。復帰をさせるマネージャーポールジアマッティのところに文句を言いに行く妻。。。このマネージャー、ブラドックが体を張って儲けたお金でぬくぬくと暮らしているのかと思いきや、高級マンションの中は何もかも売り払ってガラーンといていた。「虚勢を張って生きているだけさ」この男にいきなり親しみを感じた。そして、「男が何かすると言い出したら、女は止められないわ」という彼の奥さん。いや、そりゃアンタの旦那は命張ってへんやん…と振り返ってみるとそうだけど、お金持ちの生活から転落しても彼について行く彼女も愛情の深い女なのだろう。最後にちらっとしか出ないけど、試合後に抱き合うこの夫婦に深い絆を感じた。

ついに過去にリング上で二人殺したチャンピオンと戦うことになるブラドック。レストランでメイにセクハラ発言したチャンピオンにメイがグラスの水をぶっかける。ざまあ見ろと思っていると「女房に戦わせる男か?」とチャンピオンがブラドックを挑発。その時のブラドックの台詞がいい。

"Isn't she something?" 「すごい女だろ?」

っかーーー。しぃびれるねー。チャンピオンの挑発を、さらりとかわして軽くパンチを入れる。いやー、しびれた。

この試合に出かけていく時のブラドック家族が印象的。末の女の子と次男にキスを。長男には握手。この長男、まだ小学校2年生か3年生というところだ。それでも父親は自分がいないときの家長として長男を扱う。だから、キスではなくて握手。それを見た次男が自分も握手をせがむ。背伸びをする腕白な次男だ。そして、妻は心配すぎてまともに行ってらっしゃいも言えない。つれなく背中を向けてしまう。ここの演出がさりげなくてことさらに涙を誘うものじゃないところがいい。

最後はその試合をふんだんに見せて手に汗握りっぱなし。2時間20分という長さをまったく感じさせなかったけど、ボクシングで殴り合うシーンが多いのでそういうのが苦手な人はつらいかも。

子どもたちが非常に可愛く、(特に末っ子のロージー)この子どもたちがくすくす笑いを誘うことをやってくれて物語全体の緊張がうまくほぐれている。レニーもそつなくラッセルクロウも昔のボクサー的な体形になってたれ目の顔が似合う役で、目新しいところはまったくないですが、さすがロンハワード監督、本当に優等生的な作品でした。




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スクールオブロック

2005-08-25 | シネマ さ行
ジャックブラック。ひっくり返すとブラックジャックだな。今頃気付いた。まぁ、偶然だろう。そりゃそうか。

このジャックブラックという人は不思議な魅力のある人だ。「愛しのローズマリー」でも書いたけど、チビだし、デブだし、ハンサムじゃないし、イジワルなことばっか言うハッキリ言って本当に嫌な奴の役が多いし。それでいて、「ハイフィデリティー」で書いたように歌が抜群にうまい彼は自身バンドのボーカルもしているらしい。こういう彼の個性を全てぶち込んだようなこの役柄。彼の魅力で他の登場人物も観客も引っ張り込んで最後まで一気に見せてしまう。そんな作品だ。

脚本にほころびは多少ある。教師の資格も持っていないオチこぼれのロックオタク男が教師になりすまして小学生にロックを教え込むって話だけど、もっとコメディがうまい人が撮ればもっと面白い作品になっただろうという気持ちもある。でもそのあたりも全てジャックブラックがカバーだ。子供たちも可愛い。特に衣装係になる子がワタクシのお気に入りだ。最後のコンクールの衣装も可愛かった。なるほど、だ。ジャックブラックが着ていた姿は完全にコントだったけどね。往年のロックファンが喜びそうな楽曲が満載だし、ゴキゲンでいいじゃないか。バンドのメンバー以外にもグルーピーまでちゃんと任命しちゃうとこなんかもかなり往年のロック界を意識してる感じで細かくて笑える。

よくよく考えたら(考えなくてもか)自分がロックをやりたいために子供たちを引きずり込んだいい加減男なだけじゃないか。でも、それでいいのだな。ロックは、反体制、反抗精神が命なんだし、お行儀のいい、聞き分けのいいジャックブラックなんて見たくないもんな。ビバ!自分勝手野郎!
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バージニアウルフなんかこわくない

2005-08-24 | シネマ は行
新しく就任した大学の先輩教授リチャードバートンの家にお邪魔した若夫婦。この先輩夫婦なんかアヤしい。酒に酔ってはいるけれど、、、お互いに大声でののしり合ったかと思うと結託して若夫婦をイジめるようなことを言い始めたり。挙句の果てにおばさん妻エリザベステイラーのほうが若いダンナを誘惑しにかかたりまでする。それでも、先輩教授は何もしない。

どうもおかしな空気が流れている家だ。いや、空気は流れていない。よどんでいる。どうしてだろう?夫婦のののしり合いの中に家を出て行った息子のことが登場する。この息子の話もなぜか双方食い違っている。一体何なんだこの夫婦は?愛憎に満ち満ちている。

何か事件が起こるのかと言えばそんなわけでもない。実はこれは人間の内面を深くえぐった作品なのだということが徐々に分かってくる。中年を迎えた夫婦の歴史。謎めいた息子の存在。その全てがラストで明らかになる。運命に傷ついた繊細な人間の心の崩壊をエリザベステイラーとリチャードバートンがすばらしい演技で表現。ラストは静かな涙を誘う。アカデミー主演女優賞納得。

古い作品で白黒だし、映画を見慣れない人には少し見にくい作品かもしれない。かなりとっつきにくい。でも、舞台劇調なのが好きな人はぜひ見てください。一旦、はまってしまうとラストまで食いついて見てしまうと思います。
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トゥルーロマンス

2005-08-23 | シネマ た行
まだ、「パルプフィクション」を撮る前のクエンティンタランティーノが脚本を書き、トニースコットが監督をした作品。クリスチャンスレーターパトリシアアークエットが主演ですが脇でゲーリーオールドマンブラッドピット(←超ジャンキー)がちらっと出ていたりします。

ストーリーはかなり短絡的なもので、誕生日プレゼントとしてあてがわれた娼婦と恋に落ちた主人公がそのポン引きを殺しちゃって二人で逃走。彼女の服が入っていると思って持ってきたカバンにはヤクが大量に!なので、追われる身となるんですが、登場人物が例によってみんなイカレちゃってます。主人公の二人からしてねー。ビデオ屋の店員(ほとんどチンピラ)と娼婦なんですが、いきなり恋に落ちちゃって激しく愛し合ってます。 (電話ボックスの中でまで…えーーーっ)んで、二人で仲良く平和に暮らせばいいものをねぇ。ヤクを売りさばいて一儲けしようなんて思うからロクなことにならんわけですよ。と言いつつ、でもこの二人の馬鹿さ加減&一直線度がキュートでねぇ、なんか応援しちゃうワタクシなんですが。

当時ものすごく珍しいなーと思ったのは、追っ手のジェームズガンドルフィーニにパトリシアアークエットがボコボコにされるシーンですね。女性があんなにボコボコにされて血まみれになるシーンっていうのはかなり少ないんじゃないかと。TV放映の時にはもちろんカットされてますけどね。目を伏せたくなるような壮絶なシーンです。

全体的にはタランティーノのウダウダ加減をトニースコットが非常にうまく料理して、スピード感あふれる作品に仕上げたっていうところでしょうか。それでも、エルビスの亡霊(生霊???)が主人公を元気付けるとこなんかはかなりタランティーノ節入ってます。音楽もやっぱり良くてサントラ即買いしました。バイオレンスラブストーリー(とまた勝手にジャンルを作る)がお好きな方に
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血と骨

2005-08-22 | シネマ た行
このところヘヴィなものを見る気になれず、この作品も話題にはなっていたけど、手をつける気になれなかった。特に、身近な暴力を扱ったもの(いや、それがテーマではないけど)だし、和製(朝鮮人という設定だけど)のものとなるとなおさら変にリアルなのがイヤで見ていなかったのだけど、父親に薦められて今回見てみた。

とにもかくにも、役者たちがスゴイ。ビートたけしは本当にめちゃくちゃ恐かった。この人のキャスティングは絶妙だった。途中の裸のシーンなんかではハーベイカイテルを思わせたなぁ。最後のあたりの爺さんになってからは、ちょっとだけ彼のコントを彷彿とさせる危険性もあった(!)けど、それもそこに至るまでの恐さでカバーしたという感じか。あとから考えると彼以外にこの役をできる役者が他にいただろうかとさえ思わせる存在感があった。「本物の親父を見てるようで恐かった」とまで原作者に言わせるのだから、現場でも相当の迫力があったに違いない。

そして、みんな大阪弁がうまいのには本当にビックリした。どこの地方のものでもそうだろうけど、やっぱり大阪人としては、大阪弁が下手な芝居はもうイライラして仕方がない。もうそうなると、ストーリーにちっとも入り込めなくなる。今回も見る前はそういう不安もあった。しかし、だ。もちろん、関西出身の出演者もいただろうけど、全員非常にうまかった。たけしはちょっとごまめで許そう。奴の演技はもうそんなもの以上だから。

大阪弁以外にもみんなの体当たり演技が物を言うのだけど、ワタクシが個人的に好きな鈴木京香が凄かったと書きたいところだけど、彼女はいつも通りだった。うまいのは言うまでもない。でも、そこまで。彼女は汚れた役でもやはりキレイで、その線も崩しきってはいなかった。スゴイのは濱田マリ。この人、女優でもなんでもないのに、ここまでやる必要があったのか?と思ってしまうほどだった。まぁ、女優でもなんでもないからこそ何のリスクもなくできたということなのかもしれないけど。

残念だったのは、ストーリーが少し希薄に感じられたこと。原作を読んでいないので、何とも言えない部分があるけど、なんか物足りなかった。全体的な迫力は役者の演技とそれを引き出した監督の手腕から来るものだということは分かるけど、脚本としての深さはあんまり感じなかったなー。あれだけの人生を全部詰め込もうと思えばあーいうふうになってしまうのは仕方ないのかもしれないけど、迫力だけでゴリ押しした感があった。もう少し、この父親の若い頃の体験(日本に渡ってからどんなふうにやっていたかなど)を見せてくれたら、この人の人格形成の部分が見れて興味深かったかも。(それは原作にもないのかな?)そして、手込めにして女房にしたわりには、自分の妻には冷たく、子供のできなかった愛人は脳腫瘍で付随になっても面倒を見続けたことなどの理由も描かれていなくて不可解だった。(まぁ、そんな不可解な人だったのかもしれないけど。)

この父親のパーソナリティに主人公はじめ、周りの人間全員が振り回された感覚となんとなく似てるというかな。脚本までが彼のパーソナリティに振り回されてしまったということか。

オマケオダギリジョーがしている背中の“もんもん”が非常に美しくてビックリしました。あーいうメイクの技術の向上って目を見張るものがありますよねぇ。



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アメリカンパイ

2005-08-21 | シネマ あ行
高校生の男の子たちが主役です。もちろん、彼らの頭の中は女の子のことでいっぱい。誰よりも早く童貞を卒業しようと必死なわけです。アホだ。アホ過ぎる。初めワタクシはそう思ってこの映画にまーーーったく興味がありませんでした。でも、なぜか見る機会があって。なんでか覚えてないんですが。そして、フタを開けてみると、やっぱりアホだった。

でもね、実は結構ピュアなハートの部分が描かれていて良かったよ。彼らはただの欲望の塊なだけじゃなくって、どうしたら女の子とうまくやっていけるかとか、ちゃんと恋人のことも考えていたりして、ちゃんとした青春物になっていました。

もちろん、非常にお下劣なセリフやシーンもあるのですが、それもすべて“かわいい”と大人の目線で見れる方は楽しめるでしょう。どうして題名が「アメリカンパイ」かというところも観ていただければ分かります。!!!そうなんっ!!!って思いましたけど。(イヤ別に興奮はしてませんよ)初体験の組み合わせもビックリな子もいたりして、結構笑えます。

誰しもが通り過ぎてきたこういう時期を振り返って笑ってみるのもいいんじゃないでしょうか。ワタクシは笑えるだけじゃなくて、この子達はこの子達なりに頑張ってんだなーと変に感心したりもしましたけど。それに、こういう時期にこういうコトに無理やりフタをしようとするとちょっと歪んだ人が誕生してしまうし、性的なことばかり考えるっていうのも異常じゃないわけですから。みんなで笑い飛ばして見てみてください。
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青春デンデケデケデケ

2005-08-20 | シネマ さ行
1960年代、香川の観音寺を舞台にした高校生の青春ドラマ。大林宣彦監督作品。

デンデケデケデケというヘンテコな言葉は、ベンチャーズのパイプラインのエレキギターの音である。それを想像していただければ…デンデケデケデケデケデケデケ…お分かりになるだろうか?

昼寝の最中にラジオから流れてきたパイプラインのエレキギターに魅せられた主人公林泰文が高校でバンドを組んでロックする。でもそこは、60年代の香川県観音寺市。素朴なることこの上ない。ロックはもちろん不良の音楽とされてはいたが、周囲の人の大きな反対に遭うでもなく、まずは仲間を集め楽器を買うためにアルバイトをし、同級生の楽器店で楽器一式を購入。あとは街中いたるところで、デンデケデケデケと練習に明け暮れる。

物語は他愛もない高校生の日常が語られるだけなんだけど、香川弁も可愛く(香川の人が聞いたら下手くそなのかもしれんけど)、高校生の初々しい男女の悩みや友情、先生、家族との触れ合いが丁寧に描かれ60年代から70年代が青春時代だったという人ならじーんと涙を流してしまうんじゃないだろうか?ワタクシはその時代に青春時代を送ったわけではないけれど、それでもなんかどこか懐かしいような感じがする。そう、でたっ!古き良き時代というやつだ。うん、やっぱ好きですね。こういう時代背景。主人公がこちらに話しかけてくる手法で描かれるのもちょっとコントチックだけど、ワタクシは好きだ。

本当になんちゃあない話なんやけど、なんか心に残る。これが大林監督の実力なのか?

ワタクシは岸辺一徳演じる高校の先生が主人公に楽譜をくれたり、第二軽音楽部を創設するのを手伝ってくれたりして、「先生、これはひいきやないですか?」と主人公に聞かれ、 「一生懸命やってるやつは思いっきりひいきするんや」と堂々と言ってのけるところが好きですね。教育委員会的にはバツなのかもしれないけど、こんな先生いいですよね。

あとはやっぱり、ぼんさん役の子大森嘉文。主人公にいっつもエロ本を貸してくれるんです。しかも、ご丁寧に初級編からきちんとステップアップしていくように順番に貸してくれるんですよ。こういうマセた子って絶対いますよね。でも、彼の場合ただマセてるだけじゃなく、ぼんさんなので妙に悟りを開いてるというか、その辺の大人より世間を知ってたりするんですよね。でもひねてるんじゃなくていい奴なところがまたいいですね。

オマケ若き日の浅野忠信が主人公の親友、ギターの師匠役で出ています。顔はまったく変わってません。まだまだ、ヘンテコな映画ばっかりに出る前で正統派な感じがします。
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ファイトクラブ

2005-08-19 | シネマ は行
この映画は賛否両論分かれるだろう。否のほうが多いくらいか?はっきりは分からないけど、ワタクシは好きだ。ラストは気に入ってはいないけど、話の冒頭からのめりこませるように観客をぐいぐい引っ張りこむ力があると思った。

エリートビジネスマンのいかにもなマンションが爆破され、飛行機で偶然出会った男ブラッドピットのところに居候するようになる主人公エドワードノートン。このブラッドピット演じる男、少し頭がおかしいようだ。この男の仕事の様子を紹介するシーンが面白い。いかがわしい石鹸を作ったり、レストランでお客の料理に裏でこっそり放尿したり、映画のフィルムのつなぎ目にポルノ画像を入れたり。恐ろしいほど人をバカにした男だ。

その男を演じるブラッドピットはやっぱりカッコよかったなぁ。この人、顔がかっこいいわけじゃないと思うんやけど。それに、出てきた時も「え~、なんかカンペイちゃんに似てるやーん」と(誰の同意も得られなかったけど)思っていた。でも、「セブン」あたりからやたらとカッコよく見えるようになってきて、今でも顔はかっこいいとは思わないけど、やっぱカッコいいと思う俳優のひとり。

そして、この男が首謀者となり地下組織「ファイトクラブ」をなるものを結成していく。普段は普通の会社で働くごく普通の男たちが夜な夜な集まって殴り合う。もちろんあまりにも野蛮ではあるけれど、鬱屈した現代社会に生きる男たちが自己解放と称して殴り合うという姿は結構説得力があるとワタクシは感じた。だって、エドワードノートン演じるエリートビジネスマンなんて、趣味といえば自分はそういう病気とかじゃないのに色々なグループセラピーに顔を出すことだもん。病んでるよね。

そして、この組織はだんだんと軍隊化していき、この男の本当の目的が明かされるのだが、それにしてもこの男は一体何者なのか?というところから話がクライマックスへと急展開する。この急展開へと傾きかけたところで「うぉぉぉーーー、そういうことやったんかぁ」ってカラクリが分かるんですが、それまでは全く分からなかった。ワタクシ自身もこのブログ内で封印しようよとまで提案した使い古されているはずのこのネタもこの話の時には「なーんや、またそれかよ」とは思わなかった。それは、そこに至るまでの「見せ方」の勝利だと思います。

この強烈なカリスマ性を持ちどこかチャーミングな男をブラッドピットがその肉体の効果もプラスでうまく演じています。そして、その相棒となっていくエドワードノートン。そりゃ、エドワードノートンやもんね。ただのエリートビジネスマンなわけないよな…
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愛しのローズマリー

2005-08-18 | シネマ あ行
「メリーに首ったけ」のボビー&ピーターファレリー兄弟の作品。

自分はチビでデブでハンサムでもないくせに、女性はとびきりの美女でなくては付き合わないという男ジャックブラック。しかも、これが父親の遺言というのだからイキナリからふざけている。そんな主人公が催眠術によって内面の美しさが見える男に変身する。というわけで、外見は美人でも心が綺麗じゃない女性は彼の目を通してみるとすごくブサイクに見えてしまうようになるのです。なので、ローズマリーグィネスパルトローに出会ったとき、彼には彼女が絶世の美女に見えたわけです。ところが本当の彼女はおデブどころじゃない百貫デブ!(死語?)でお世辞にも美しいとは言い難い。彼女の父親でさえ「娘が美しくないのは知っている」と言う始末。

でも、彼の目に美人に見えるということは内面は美しいということなのです。実際、彼女は小児病棟の子供たちのケアをするボランティアや青年海外協力隊に参加するような、他人のために進んで何かをするというタイプの人なのです。

そんな彼女と彼のデートがすごくキュート。ローズマリーは(本当はかなりのおデブですから)レストランでは凄まじい食欲を見せるし、甘いものもガンガン喰うし、プールの水しぶきはもの凄いし、レストランのいすは壊れちゃうし…初めてのベットインで彼女が脱いでみせるパンツの大きさも半端じゃあありません。

実は彼女のパパは偶然にも彼の勤める会社の社長で仕事も恋愛も絶好調ーーーという時に催眠術を解かれてしまった彼。その彼の目の前に本当の彼女の姿が…さて、この二人どうなるのか…

内面の美しさが外見に影響しちゃったらどんなことが起こるか???映画的には色んな人の外見が彼の目を通すと違うふうに見えて、そのくだりがやはりこの作品の一番の見所ではあるのですが、実際にこんなことがありえるとすると、「やべえ」という人もいれば、「そうなればいいのにな」と思う人もいるのではないでしょうか。

ジャックブラックの身勝手な男ぶりとグィネスパルトローの美女&おデブのローズマリーがめちゃかわいくて◎育ちが良くて心優しいローズマリーにグィネスはぴったりだったと思います。ハイソなイメージのある彼女がこういう役も似合うんやなと再認識した作品です。

それから、このファレリー兄弟。彼らのユーモアのセンスは一風変わっています。他の作品でもそうですが、身体障害者や知的障害者の人を必ずと言っていいほど登場させます。そういう人たちを笑いものにしているように感じる人もいるかもしれないけど、ワタクシはそうは思いません。むしろその逆で、障害者も同じようにユーモアのセンスがある。人生を謳歌しているんだ。と、健常者と全く同じ目線で彼らを見つめているからこそできる演出なのではないかなーと思うのです。

ちょっぴり下品めの演出にピュアなハートが光る。そういう雰囲気の作品。彼らの真骨頂ですね。

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忘れられない人

2005-08-17 | シネマ わ行
今から考えるとクリスチャンスレーターがラブストーリーなんて似合わない気がするけど、この当時はそんなに違和感はなかった。繊細な主人公をうまく演じていたと思うし。ヒロインはマリサトメイ。以前にも書いたけど、ラブストーリーのヒロインらしく元彼、今彼はロクでもない奴でイイ女なのに男運がなーーーいというタイプ。そして、同じダイナーで働くスレーターは彼女に密かに恋をしていて、ある夜暴漢に襲われそうになった彼女を助けてから親しく言葉を交わすようになり…

っていうことなんですけど、なんでちょうど暴漢がいたところに居合わせたかというと、彼はずっと彼女がちゃんと家に帰り着くように後をつけて見守っていたんです。っつーかそれって、、、そう、ただのストーカーやん。ですよねー。たまたまいい人で良かったよなー。まま、これはピュアなラブストーリーですから彼は“ストーカー”じゃなくって“見守ってた”ということで。

それでこの二人、地味ながらもロマンチックなデートを重ねます。寡黙なスレーターと甘い声のマリサトメイがよくお似合いでした。しかし、この彼には秘密があって…

心臓が弱くて手術を受けないといけないくらいなのに、幼い頃孤児院で言われた「お前の心臓はヒヒの心臓なのよ」というのを律儀に信じて手術を受けたくないと言うのです。別の心臓になったら自分じゃなくなって彼女を愛せなくなると…

ブァァァカもーーーん!!!何を言うとるか!彼女を愛してるならなんとしてでも生き延びろよ!

振り返って考えるとそう思うのですが、初めて見た時はうぅ…って切なくなって泣いちゃいました。まだ、子供だったからかなー。その頃に比べると随分握力が強くなって、欲しいものは絶対離すなーっていう考え方になってきたしなー。ワタクシも図太くなったもんです。

というわけで、結構クサい系ラブロマンスがお好きな方に

オマケマリサトメイがデートに出かける準備をしているシーンがとても印象的です。マリサの香水のつけ方(体の前にブワッと出してそれをくぐる)がなんともカワイイ。バックにはスザンヌヴェガの"Tom's Diner"が効果的にかかっています。

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キス☆キス☆バン☆バン

2005-08-16 | シネマ か行
お前はつのだ☆ひろか?みたいなタイトルのロゴですが…かなりレトロにハードボイルド、フィルムノワールといったものを意識した作品ですね。主題歌もすごく60年代チックです。フランス系よりも60年代イタリア映画に近い感じですかね。ポップな主題歌が映画を見終わった後もずっと頭に残ります。“ミニシアター系しか見ない”といういかにもな(自分はオシャレと思っている)若者にウケそうな感じです。とはいえ、映画的にはなかなかに良い。

引退を決意した殺し屋ステランスカルスゲールドの再就職として、アンティーク密輸業者の息子ババクリスペンのベイビーシッターをすることに。クリスペンの子守?はぁ?と彼を知っている方なら思うでしょう。彼は、「千と千尋の神隠し」に出てくる坊のように親が過保護で部屋から一歩も出さず体だけ大人になった子供を演じています。

クリスペンといえば、ショーンペンの弟です。ストイックで危険な香りの兄とは対照的に太っちょでクリクリおめめが特徴の彼。とはいえやはり、ギャングや刑事役が多いのですが、今回はその体系と顔にぴったりの可愛らしい役です。巨大なキリンのぬいぐるみを抱えた彼は本当に大きな赤ん坊のようです。その彼に初めて外の世界を見せるのが殺し屋というのはなんとも奇妙な組み合わせですね。

全体的な流れとしては、淡々と進んでいくのですが、その内にだんだんとこの二人に愛着が湧いてきます。もちろん、この二人もお互いに愛着を感じていきます。最後は、悲しい結末で、みんなハッピーになって欲しかったなと思いつつ、映画のラストとしてはイケてるんじゃないかなと思いました。

クリスペン演じる坊が初めて感じる雨をなめて「おいしい」と言ったり、「地球の涙が集まってできたのが海。だから、海はしょっぱいんだ」なぁんてあのクリクリおめめで言っているのを聞くと心が洗われるような気がしますねぇ。

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ブルースオールマイティ

2005-08-15 | シネマ は行
「オールマイティ」と聞くとトランプを連想する人がいるかもね。「何にでも使えるジョーカー」ですが、ここでのオールマイティとは全能のことですな。つまり、キリスト教世界では神様のことです。主人公のブルースジムキャリーが自分の人生の不運を全て神様のせいにして「お前が悪いんじゃーーー」って文句を言うと神様に呼びつけられて「ほんじゃあ、お前がやってみろやぁ」と言われて神様にさせられる。彼は全知全能の神ブルースオールマイティに変身するわけです。

ただ、他人のfree willは好きにできないよ。と言われるのです。このfree willというのが厄介な存在でどっからどこまでがfree willかという話になるとすごく哲学的なところにまで踏み込んでしまうのでやめときます。ここでは、元恋人を神の力で振り向かせようなんて、もし彼女がイヤがっているなら、そんな都合良くはいかないぞという一番シンプルな設定になっていますので、それで良しとしましょう。

彼は人生を建て直し、彼女ともやり直すというストーリーも他愛ないけど、心温まるって感じがしていい。

モーガンフリーマンのちょっと冗談の通じそうな、でも威厳のある神様がいい感じだし、ブルースが神になった途端、いろんな人のいろんな願いがうるさいほどに耳に入ってきたり、Eメールを開くとドワーーーーーッて世界各国から神様へのお願い事が届いていたりして、神様っちゅうのも大変やなー。そりゃ、願いを叶えてくれんでもしゃーないわ…とか思ったりして。敬虔なキリスト教徒には怒られそうだけど、楽しかったですね。
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