シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

ザ・サークル

2017-11-15 | シネマ さ行

「ザ・サークル」というSNS会社に入社したメイホランドエマワトソン。最先端の会社で住む場所もあって、会社の敷地内で何もかも用が済んでしまうほどの規模。医療保険も充実していて、多発性硬化症に苦しむメイの父親ビルパクストンに最新の医療を受けさせることもできる。

新人として頑張っていたメイ。CEOのイーモンベイリートムハンクスに注目され、新しい技術の小型カメラを24時間つけてそれを全世界に公開することになる。

最初の頃は、やたらと参加を促される課外活動やらパーティやらに戸惑いを感じていたメイだったのだが、独りでカヌーを漕ぎに夜の海に出た時にあちこちに置かれて公開されている新技術の小型カメラでメイの遭難を見ていた人たちのおかげで救急ヘリが来て助けられ、すっかりこの技術に魅了されてしまう。

って、ちょっと待ってーーーー。いくら自分の命も助けられて父親の病気も助けてもらえたからってこんな若い女の子が自分の生活を24時間全世界の人に公開するなんて頭おかしいとしか思えない。トイレは別って言ってたけどさ、シャワーはどうするの?着がえは?恋人ができたらどうするの?しかも、メイの目線でもカメラがついてるからメイの生活だけじゃなくて周囲の人の生活も公開されちゃう。そのせいで両親のセックスシーンまで全世界に公開されてしまった。それでもメイは「まだシェアすることは良いことだ」というモットーに従って、盲信していく。

この会社に入れてくれた親友のアニーカレンギランが憔悴しきっているのもスルー。この会社の技術の設立者であるタイラフィートジョンボイエガが忠告してくれてもスルー。いや、そこまで陶酔するきっかけあったっけ?とこちらは置いてけぼり。まぁタイの意見をスルー以前になんでタイが勝手にメイのことをやたらと信用してかなりのレベルの人しか入れない秘密の場所に連れて行ってくれるのか超謎。メイがベイリーたちのスパイだったらどうするの?しかもベイリーたちはタイのこと干してるって感じだったんのに、どうしてタイはまだあんな秘密の場所に入るクリアランスを持ってるの?

選挙の投票をサークルのアカウントで義務化とかってディストピア感出したいのかなっていうのも分かるんだけど、これが1980年代とかに作られた作品だったらそれも感じられたかも。

最後にシェアリングの力を使って人を探すという企画でメイの親友だったのにメイのSNSのせいで疎遠になっていたマーサーエラーコルトレーンをみんなで探そうということになり、スマホを持った連中に追いかけられたマーサーが車で逃げ橋から転落して死亡。それでメイが目が覚めるって設定だけど…これ、普通に逮捕者出ないの?ベイリーたちが警察とかに賄賂払ったりしてるから大丈夫だったのかな。

こんなくだらないことからメイの目を覚ますためのマーサーの命の扱いが軽過ぎるわ。タイもメイの決断がなくても自分の技術でそれまでになんとでもできたよね。

結局ベイリーたちが裏でなんか悪いことををしてるっていうのはずっとほのめかされてるけど、そこには対して踏み込まず。アニーがベイリーたちに何をさせられてきたのかも暴かれず。

映画化するくらいだから、原作は面白かったのかな。読んでないのでなんとも言えないのですが、映画を見た印象としては、原作のあらすじを端折って映画にしてみましたってだけに感じました。なんかエマやトムハンクスも編集されて出来上がった作品を見てちょっとびっくりしたんじゃないかなぁと思います。エマを見ているだけで満足な人しか見てはいけない作品かも。あ、でもね、なんかわざとなのか知らんけど妙に自然光使っててエマの顔もよく見えないシーンが多くて、もうせめてエマの顔に照明当ててじっくり見させてよと思ってしまいました。

オマケ一所懸命エマがアメリカ英語を話している横で親友アニーにスコットランド英語を話されたら、つられそうにならなかったかなと余計な心配をしてしまいました。

コメント   トラックバック (1)

女神の見えざる手

2017-11-07 | シネマ ま行

とにかくジェシカチャスティンが出ると決めた作品なら良い作品に決まっていると思って、彼女の作品はできるだけ見に行くようにしています。今作も以前からとても楽しみにしていました。

敏腕ロビイストのエリザベススローン(チャスティン)。本来は税関係が専門だが、所属する大手ロビー会社から今回銃規制法に反対する銃擁護派のロビー活動の担当にさせられそうになり、銃規制派であるロドルフォシュミットマークストロングが経営する小さなロビー会社に部下4人を連れて移籍。巨大な権力を相手にロビー活動をすることになる。

冷徹なまでに相手の動きを読み、脅しすかしなだめおだて、時には味方の陣営にウソをついたり作戦を内緒にしたりするやり方で敵をこちらサイドに寝返らせていく。自分のロビー活動を成功させるためなら味方をどんなふうに利用しても気にしない。相手が傷つくことなど平気でやってのける。エリザベススローンはそんな人。

それでも彼女がただのイヤな奴に見えないのは、ワタクシがジェシカチャスティンのファンだからなのか。いやそれだけではない、彼女が少ないプライベートの時間に時折見せる寂しそうなまなざし。誰を傷つけても気にしないという態度でいながら、どこか心の奥底では自分が傷ついていそうな雰囲気がある。決して語られない彼女の過去に何があったのか、そこに思いを馳せずにはいられない。

しかし、物語はワタクシのそんなセンチメントを笑い飛ばすかのようにドロドロの闘いが繰り広げられる。彼女が元いた会社の連中は、彼女のせいで負けそうになると彼女がロビー活動で行った法律に反する行為を暴き、スパーリング上院議員ジョンリスゴーを担ぎ上げ彼女を聴聞会にかけた。

弁護士に黙秘権を貫くよう指示されるスローンだったが、議員の挑発に乗り黙秘権を放棄してしまう。あそこまで頭の良い彼女がこんな挑発に乗るなんておかしくない?と思っていたのだが、彼女の行動は何もかも計算されたものなのだ。彼女の中では最後の最後の最後まで全部計算済みだったのだろう。彼女の中での計算外は彼女が買っていたエスコートサービス・フォードジェイクレイシーが偽証罪も適用される聴聞会で「彼女とお金をもらって関係を結んだことはない」と堂々と偽証してみせたところだけだったか。軽薄そうに見えたフォードだったけど、一度は心が通いかけた彼女の秘密を守ってあげたのか。あれは鉄の女にとって嬉しい誤算だったのかも。

ジェシカチャスティンはどの作品を見ても「いやー、やっぱカッコ良かったなー」と思えて、彼女の一番カッコ良かった作品が常に更新されていくような状況なのだけど、今回のエリザベススローンももうめっちゃくちゃカッコ良かった。ひとつ前に書いたシャーリーズセロンの役のフィジカルなカッコ良さではなくて、頭がめちゃくちゃいい人のカッコ良さ。そして他人を犠牲にすることなんてまったく気にしないっていう顔をして実は自己犠牲の精神がとてもあるというあの最後のシークエンスのぞくぞくするようなカッコ良さ。社会派ドラマが好きな方にはぜひぜひ見ていただきたい作品です。

コメント   トラックバック (1)