シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ペーパーボーイ~真夏の引力

2013-07-31 | シネマ は行

あらすじを見るとサスペンスっぽかったし、キャスティングも魅力的だと感じたので見てきました。

嫌いなんだよなー。アメリカ南部のswampっていうの、あの沼。暑くてじめじめしてて虫がいっぱいで。1969年のお話だから余計にもう暑苦しいったらありゃしない。みんなの汗の臭いまで伝わって来そうな雰囲気。

その上登場人物が輪をかけて暑苦しい。
大学を退学になって仕方なく父親の新聞社の新聞配達を手伝っているペーパーボーイ・ジャックザックエフロン。ジャックの兄で都会の新聞社で記者をしているウォードマシューマコノヒーが地元で起こった事件を調査しにヤードリーデヴィッドオィエロォという黒人の相棒を連れて帰って来た。警官殺しで死刑判決を受けているヒラリージョンキューザックと手紙のやりとりをして婚約したシャーロットニコールキッドマンという女がヒラリーの無実を主張してきたのだ。

死刑囚と手紙のやりとりだけで婚約してしまう40がらみのシャーロットがいかにもって感じの厚化粧とヒョウ柄ワンピースなんだけど、純情童貞ボーイのジャックはそんな彼女に惚れてしまう。母に捨てられた経験があるから、なんて説明があったけど、いくら年上だからってあんな女に母を感じるか?ただヤリたいだけじゃないの?それにヤらしてくれそうだし。って思ったんだけど違うのか?

ジャック、ウォード、ヤードリー、シャーロットの4人はヒラリーの無実を証明するために行動を起こし始めるのだけど、なんかその辺のアリバイがどーのこーのとかはかなり二の次な感じで、ヒラリーに面会に行ったとき触れ合えないヒラリーとシャーロットの1メートル離れた強烈なファックを見せられたり、海でクラゲに刺されたジャックの上にシャーロットが放尿するシーンを見せられたり、わりと硬派に見えたお兄ちゃんウォードが実は黒人好きのゲイでしかもドMでド変態プレイが大好きと分かっちゃたりと、もうこれは一体何の話?そしてフロリダの湿地帯に生息する完全に住む世界が違う人々の空気感とかもうたまんない。暑苦しいというか、分厚いの、空気が。ジャックのひと夏の成長物語にしては濃すぎるんだよ!

それで結局一体何の話だったんだろう…あ、そうかジャックのひと夏の成長物語か。っていうのを見終わったあと何度か堂々巡りしてしまいました。

なんとなくうまく言えないけど、アメリカ映画にはなんかこういうジャンルがあるなぁ。どんなジャンル?他にはどんな映画が?って言われるとすぐには出て来なくて困っちゃうんだけど、なんか確実にある気がするんだよねー。ひと夏の経験ジャンルではなくて、南部の怪しげな人たちジャンルで。と非常に無責任な発言をしておりますが。。。

ニコールってもうあれぐらいの演技やっても驚かないなぁ。ま、あれだけやって驚かないなんて、それだけで彼女がいかにすごい女優かってことを証明しているとは思うんですけどね。それよりワタクシ的にはマコノヒーのあの状態のほうがキョーレツだった。。。8月には「マジックマイク」を見に行こうと思っているのに、あの姿が目に浮かんじゃいそうでイヤだよう。

あとはジョンキューザックのあのイカレっぷりが新鮮だったなぁ。彼ってちょっととっちゃん坊や風のイメージがあって善人っぽいから。でもすごくうまくてビックリしました。とても優秀なイカレっぷりでした。ザックエフロンはタイトルロールなのにみんなに喰われまくりでちょっと可哀想かな。あのブリーフ姿も周りのド変態度がアップするのも彼のキュートさあってこそなんですが、キュートな彼だけを求めてこの作品を見ちゃった人は、もうお口あんぐりってとこかもしれません。

語り部であるアニータを演じてたのってメイシーグレイだったんだー。キャスティング見るまで分からなかった。確かに、声が!完全にメイシーグレイだったわ。

このクソ暑い真夏にクソ暑い映画を見たい人はぜひどうぞ。


31年目の夫婦げんか

2013-07-30 | シネマ さ行

結婚31年目のケイメリルストリープとアーノルドトミーリージョーンズの夫婦。子供は2人とも独立し夫婦2人きりの生活だったが、寝室は数年前から別々。ケイはおめかしして勇気を振り絞ってアーノルドの寝室へ行くが、「今日は疲れてるし、その~、あの~」とごにょごにょ言われてしまい退散。ケイはこのままの結婚生活を死ぬまで送るのはイヤだと有名なカウンセラー・バーナードフェルド医師スティーブカレルのカップルカウンセリングに申し込む。4000ドルもする短期集中カウンセリング。アーノルドには内緒で申込を済ませ、もうお金を払ったから一緒に来てと誘うが断られる。怒ったケイは私一人でも行くわ、と家を出ていき、アーノルドは職場の離婚経験のある同僚に妻を喜ばせるようなことをしておいたほうが身のためだと言われ渋々ついて行くことに。

このフェルド医師のカップルカウンセリングというのは、ようはセックスカウンセリング。ケイはセックスレスになってしまった2人の関係をどうにかしたいと考えている。アーノルドは現状に不満などなかったし、ケイがそんなことを考えていることすら知らなかった。カウンセラーの赤裸々な質問にアーノルドはカンカンに怒ってしまう。

たまたまなんですが、「アンコール!!」と連続で熟年夫婦ものを見てしまった。あちらはほのぼの感動系だったけど、こちらはちょっと深刻。「アンコール!!」よりは少し若いカップルだけど、熟年夫婦のセックスレスを真剣に扱っている。少し笑えるシーンもあるけど、内容としてはかなりマジ。こういうカウンセリングの実際のプロセスが語られているのかどうかは分からないけど、スティーブカレル演じる医師には一切お笑いはナシ。なので、彼のズッコケ具合に期待して行った人はガッカリしたんじゃないかなぁ。ワタクシは彼がスムースにいかにもカウンセラーって感じで話すのがいつもの彼とは違うけど、全然違和感なくて好きでした。

熟年夫婦のセックスレス問題なんて、見たくも聞きたくもないやい!って人にとっては「オエー」っていう展開です。2人でした最高のセックスについてだとか、2人で実際にはしたことのないどんな妄想をするかとか、では今晩お互いに触れ合ってみましょうとか、色々踏み込んだところを見せられ聞かされますから。ワタクシは熟年夫婦だってセックスしたいと思って何が悪い!?と思っているし、中高年・老人の性についてもっとオープンであっていいと思っているタイプなので、全然何とも思わなかったというか、いいじゃない、と思いました。

ケイがアーノルドとのセックスを復活させたいと思っているのはやはりそこに愛があるからだし、アーノルドだってめっちゃくちゃ文句言いながらもケイについて来たのはそこに愛があるから。なんとなくセックスしなくなって今更気まずいと思っていてもちゃんとカウンセリングに来たアーノルドにはまだ改善の余地があったということ。そうでなきゃあそこまでついて来ないもんね。あれ以上冷え込んでたらもう改善は無理だろうなと思うけど、フェルド医師は2人の関係が終わる手伝いもすると言っていたので、そのあたりはリアルだったと思う。フェルド医師は魔法使いでも何でもない。ただ手助けができるだけだ。

あれで4000ドルってのは高い気もしたけどあの夫婦は多少余裕のある生活をしてそうだったし、あれで2人の絆が取り戻せたならケイにとっては安いもんだったのかも。2人が取り戻したものってやっぱりセックスだけではないんですよね。それももちろんそうだし、同時に心の絆も取り戻せた、というかアーノルドがちゃんとケイの心に向き合うことができたということなんだよね。ケイだってただ欲情していたワケじゃないんだし。

今回メリルストリープはどこまでも普通のおばちゃんだったんですが、やっぱり上手だねぇ。トミーリーは「苦虫を噛み潰したような顔」ってのを辞書で引いたら出てくるよっていう顔をほとんどのシーンでしてましたね。でも照れたり、ちょっとエロ嬉しそうな顔したり、悲しそうな顔したりと普段の作品では見られない表情をたくさんしているかも。お久しぶりのエリザベスシューが良いシーンで登場したので、あの後もちょっと関わりがあるのかと思ったらあんなちょっとだけだった。

これ、本当に熟年夫婦で見に行ったらどうなるのかなー。2人の関係を見直すきっかけになるか、それとも気まずーーーーい雰囲気で帰るハメになるか…


アンコール!!

2013-07-29 | シネマ あ行

もうこれ、ど頭に書いちゃいますけどね、テレンススタンプがちょーーーーーカッコ良い!渋くて優しくてでも偏屈で頑固じじいなんだけど、奥さんヴァネッサレッドグレーヴのことはめちゃくちゃ愛しちゃってるんだよねー。この性格のせいで息子ジェームズクリストファーエクルストンとはうまくいってなかったりもするんだけれども。テレンススタンプと言えばこれまでも渋い役者の代名詞みたいなもんだったけど、この作品がいままで見た中で一番カッコ良かったなぁ。

突然テレンススタンプ絶賛から初めてしまいましたが、、、この作品、初めて知った時テレンススタンプがこんなお涙頂戴系に出るの?と思いました。テレンススタンプにはなんかハードボイルドなとっつきにくイメージがありましたから。

内容は老人合唱団のお話です。アーサー(テレンス)の愛妻マリオンの趣味は同世代の仲間と集まってやっている合唱団、その名も「ザ・年金ズ」。アーサーは送り迎えはするものの合唱団には参加しない。以前ガンを患って以来体調が優れない妻を気遣って合唱団なんてくだらんことはやめろとさえ思っている。

ある日、練習中に倒れたマリオンはガンが再発したことを知らされる。「ザ・年金ズ」が大会の予選に参加することになり、コーチのエリザベスジェマアータートンは余命いくばくもないマリオンのためにソロを用意してくれた。見事予選を通過する「ザ・年金ズ」だったが、本大会の前にマリオンは息を引き取ってしまう。

息子と会うのも拒否して一人寂しく暮らしていたアーサーだったが、実は「ザ・年金ズ」のことは気にかかっていたし、アーサーのことを気にかけてくれるエリザベスに少しずつ心を開いていき、「ザ・年金ズ」の一員になることを決めた。

バネッサレッドグレーヴが予選で歌う「トゥルーカラーズ」がめちゃ泣けたなぁ。その前からすでに随所で泣かされていたんですけど、あの「トゥルーカラーズ」はすごく良かった。70代の人が歌うのだから声量もあまりないし、歌唱力もすごくうまいかと言われたらそうでもないんだけど、なんだろうなぁ、あのこれまで生きてきたその人の人生が表れるっていうのかなぁ、なんかこう書くとベタな気がするけど、ほんと歌って歌唱力だけがすべてじゃなくて、その人そのものが見えてしまうのだなぁという感じでした。そして、それがアーサーの「トゥルーカラーズ」をマリオンだけが知っているというシチュエーションにもピッタリ合っていて、それを恐れずに見せてというメッセージがマリオンが亡くなったあとのアーサーの行動にもリンクしていてこれまた泣けました。

すごくありふれた設定の作品だと思うんだけど、なぜか最初から最後まで泣けました。老いとか夫婦愛とか考えちゃうからかなぁ。でも全然それが暗いものではなくてこんなふうに老いていけたらいいなと思えるものなんですよね。息子との確執についてはちょっと都合が良過ぎるところはあったと思うけど。だってあんな人が自分のお父さんだったらきっと本当に傷つきながら育っていただろうし。でも彼らの雪解けが徐々に孫を介した形で描かれていたのでそれも許せる範囲だったのだと思います。

老人の合唱団については昔「ヤング@ハート」という実在の合唱団のドキュメンタリーを見たことがあって、合唱団の構成員とか選曲とかがすごく似ていたけど、あれは確かアメリカの話だったな。老人合唱団がロックとかヘヴィメタとかやるのってすごくいいな。こういうのが日本にもあればいいのになぁ。あるけどワタクシが知らないだけですかね。日本だとあんまりポップスとかロックとかはやらないイメージがあるから。

ジェマアータートンは「タイタンの戦い」や「プリンオブペルシャ」で女神さまやらお姫さま的な役ばかりしか見たことなくて今回初めての生身の人間といった感じだったんですが、すごく良かったです。彼女の特徴のある声とイギリスアクセントの英語がマッチして素敵でした。

最後の本大会のところは予定調和ってやつでしょうけど、こういう話はあれでいいんです。最後のアーサーの歌も感動したしね。テレンススタンプは歌も上手でした。孫娘の"Come on Graddad!"は予告編で見ていたにも関わらず感動しちゃいました。最後の展開に感動できるのもポールアンドリューウィリアムズ監督のそれまでの丁寧な作りのおかげだと思います。


コンプライアンス~服従の心理

2013-07-26 | シネマ か行

2004年にアメリカのマクドナルドで起きた実際の事件を基に作られた作品です。

金曜日、ファーストフード店の店長のサンドラアンダウドは昨日の夜従業員の誰かが冷蔵庫の扉を閉め忘れたせいで食材がダメになり材料係に補充を頼んだ。本部長にはまだ報告していない。自分でなんとか解決できれば、報告はそれからでもいいと考えていた。金曜日は忙しい。そんな夜のシフトに入るバイトたちに冷蔵庫の話をし、本部から客を装った調査員も来るからきちんと仕事をするように話すがバイトたちにはいまいち響いていないようだった。混み始める店内。冷蔵庫の件で食材が足りない。なんとか店を回していく店長とバイトたち。そこへ一本の電話がかかる。警察からだった。

「そちらに金髪の若いレジ係がいるでしょう?」
「ベッキーですか?」
「そうそう、ベッキー。彼女が客の財布からお金を盗んだと被害届が出てるんですよ。実は彼女、他にも容疑がありましてね。ちょっと彼女を事務所に呼んでくれませんか」

忙しい中事務所に呼び出されるベッキードリーマウォーカー。この瞬間から彼女は4時間もの間事務所から出られることはなかった。

電話の向こうの警官は巧みに店長を誘導する。盗んだお金のありかを調べるためにベッキーのポケットやカバンを探らせる。拒むベッキーとも電話で話し、いまここで解決すれば問題は最小限で済むと説得する。仕方なく服を脱ぐベッキー、調べる店長。盗んだお金などない。警官は下着も脱がせて調べろと言う。全裸になったベッキーには事務所にあった汚いエプロンが渡された。すべて調べたが何もないと言うと警官は服を回収してベッキーには返すなと言う。彼女の兄に麻薬の容疑がかかっているから服も後で調べると言う。いつ来てくれるの?と聞く店長にベッキーの家を家宅捜索しているからすぐにはいけないと言う。

店長は忙しい店に戻らないといけない。警官は誰か別の者に見張りをさせるよう指示し、バイトの男の子に見張りを任せるが彼は全裸のベッキーを調べろという警官を拒否しこんなことに関わりたくないと言う。店長は別の誰かに見張りをさせろと言われ婚約者ヴァンビルキャンプに電話する。やってきた婚約者はバイトの男の子とは違って警官の指示に戸惑いながらも従い始める。

電話の向こうの警官の指示は徐々にエスカレートし、、、

最終的に事件はこの店長の婚約者ヴァンが警官の指示でベッキーに性的虐待までするという事態にまで陥ってしまう。

この事件の電話の相手はもちろん警官などではない。忙しい店内、自分の店で起こった事件を大事にしたくない店長、拘置所に行かずに済ませたい容疑をかけられた少女という軽いパニック状態の中何かがおかしいという気持ちをおそらくどこかで持ちながらもありえない指示にまで従ってしまう。

これは所謂アイヒマン実験を地で行く事件なのである。人間の心理として割り当てられた役割に則した行動を取ってしまう。この現場を俯瞰で見ている観客の中にはこんなことで騙されるわけないだろ。バカか。いくらなんでもここまでするわけないだろ。イヤだって言えば済むことだろと考える人もいるだろう。でも実は人間の心理というのはこういう状況に騙されやすいものなのだ。

またこの犯人パットヒーリーってやつが言葉は適切でないと思うけど、非常にうまい。こちらがどんなに疑いを持って質問してもすべてきちんとした答えを用意している。権威をカサに着て威圧的な態度で命令したかと思えば、優しく諭したり、ほめそやしたり、ちょっとした世間話的なことをしてみたり。その間にいま指示に従った方が身のためだという強迫めいたことを軽く挟んでくる。まるで電話の向こうの相手の表情を読み取っているかのように、その時その時に適切なボールを投げてくるのだ。

「事実を基にしている」という作品の中にはインスパイアされただけでかなり自由にアレンジを加えている場合が結構あるのだけど、この作品は本当に信じがたいことなんだけど、実際に起こったことにほぼ沿っている。被害者が受けた性的虐待は実際のところ映画のほうが少しぼやかしてある分マイルドなくらいだ。実際の店長の婚約者は実刑判決を受けている。

そしてさらに驚いたことに同様の事件が10年に渡って全米で70件も発生していたらしい。こういう事件が発生していると知っていたのに全店に通達していなかったマクドナルドは被害を受けた女の子に損害賠償を支払っている。もちろん同様の事件と言ってもここまでヒドイ事態に陥ったのは、この映画になったケンタッキー州での事件だけなのかもしれないけど、ウィキ英語版を見てみると裸にされて調べられた件も何件もある。被害を受けた子が賠償金目的であそこまでしたんじゃないかという声もあるようなんだけど、それはおそらく企業側の弁護士の必死の抵抗と巨額の賠償金をもらった彼女へのひがみを感じる人の中傷だと思う。そして、もし、もしも万が一彼女が賠償金狙いであそこまでしたとしたら、もうワタクシはあっぱれと言うしかない。(ワタクシは彼女は純粋な被害者だと思っています。念のため)

電話をしたほうの容疑者はいったん捕まったものの証拠不十分で釈放されているっぽい。子供もいる男性らしいのですが。容疑者は警官になりたい願望があったらしくプリペイドカードの購入歴からもかなりクロに近そうな雰囲気ですけどね…以降同様の犯行はストップしているらしいし。この犯人、電話の向こうで相手の反応を楽しんでいるだけでこの状況をどこかから覗いているわけでもなんでもなく、相手が自分に従う状況をただ純粋に楽しんでいたっていうのもなんか怖いですね。

映画の作りのほうはというと、結構淡々としているなぁと感じる人もいるかもしれない。ワタクシはその淡々とした感じがなんか薄ら恐ろしいと感じた。こんな事態になるわけなんかないだろと感じてしまっている人にとっては、バカバカしい展開が続くというだけかもしれないけど、ワタクシはアイヒマン実験を信じているタイプなので、本当に恐ろしかったし、ベッキーがどこまでの被害に遭うのか知らなかったので見ている間気が気じゃなかった。上映時間は90分なんだけど、それよりも長く感じた。でもそれはこの作品がつまらないからではなく、このいたたまれない状況から早く抜け出したいと考えてしまうからで、逆を言うとこの作品がそれだけ良くできていると言える。

手持ちのカメラでのクローズアップなどが多くてまるでその場にいるような臨場感と緊張感があり、役者の表情などを非常にうまく捉えていた。店長を演じたアンダウドがいくつかの賞を受賞しているが、本当にリアルな演技が素晴らしかったし、被害者を演じたドリーマウォーカーも体当たりの演技で非常に勇気があったと思う。

いくつかの関連リンクを貼っておきます。興味ある方はどうぞ。

日本語版ウィキペディア → アイヒマン実験/ミルグラム実験
英語版ウィキペディア → Strip search prank call scam (実際の事件の説明)
You Tube → McDonald Stripsearch (実際の事件の監視カメラの映像とニュース映像)
シネマ日記関連記事 → The Wave ウェイヴ
シネマ日記関連記事 → es


モンスターズユニバーシティ

2013-07-25 | シネマ ま行

これは公開のずっと前から楽しみにしていた作品です。

前作からもう12年も経っているんですね。うちにはDVDがあるしTVでも何度も見ているのでそんなに前な気がしません。あの面白さが色褪せることはないし。

あの完全に出来上がった世界に続編を作るとどうなっちゃうの?と思っていたんですが、前日譚になるということで、前作の世界を壊すことなく面白いものが見られるだろうなと思っていました。

見た目が可愛く誰からも相手にされないマイクワゾウスキビリークリスタルは「怖がらせ屋」に憧れて小さい時から猛勉強し、モンスターズユニバーシティに入学する。怖がらせ屋学部にはジェームズサリバンジョングッドマンたちを中心とするエリート集団が集まっており、やはりマイクは落ちこぼれだった。実技では全然ダメなマイクだが、真面目なマイクは怖がらせの理論では誰にも負けなかった。

それでもハードスクラブル学長ヘレンミレンには認めてもらえず、試験の日にサリーと小競り合いをして学長の大切な記念悲鳴ボンベを壊してしまいサリーとともに学部を追い出される。マイクは学内の怖がらせ屋コンテストで優勝したら学部に戻してくれるよう学長に約束を取り付ける。果たして他の落ちこぼれ集団と一緒に怖がらせ屋コンテスト優勝を目指してマイクは必死で努力するのだった。

モンスターズインクという作品が先にあって、そこでの電力源は人間の子供の悲鳴というものすごく面白い設定があって、サリーとブーの友情があって、マイクの奮闘があって、、、という前作に比べるとその世界観を知っている分驚きというものがないだけに新鮮味に欠けてしまう。前作の最後で、子供の悲鳴より笑い声のほうがパワーがあるという結論に達しているだけに、子供を怖がらせることに必死なモンスターたちに少し違和感を感じてしまうのも事実。が、そこはさすがのピクサー、当然及第点の面白さまではもってくる。

最初は仲が悪かったサリーとマイクがどうして仲良くなったのか?名門の生まれでイヤな奴だったサリーがどうして良い奴になったのか?最初は友達だったランドールスティーブブシェミとはどうして確執が生じたのか?そして2人はどうやってモンスターズインクに入ったのか?こういう歴史をきちんと語ってくれてとても楽しいです。

あと、やはりこれもピクサーの真骨頂だと思うのですが、とにかく細かいところまでこだわりが見えます。マイクが小さいときにメガネをかけている絵だとか。(そう言えばインクではマイクはコンタクトなんですよねー)。マイクの学生証の顔がちゃんと写ってないのにすごく喜ぶシーンとか。最後のほうに登場するあのインクのおばちゃんとか所長がちゃんと若くて毛が生えていたり(笑)あと、マイクがカレンダーに毎日赤いマジックで印をつけているんですが、すでにかかれた印より今日書いた印がちょっとだけ色鮮やかなんです。油性のマジックって本当にそんな感じ!それにキャラクターをそれぞれ大学生にするってすごいなぁと。子供にするんだったらまだ簡単だと思うんです。でも大学生って中途半端な若者にしないといけない。しかも人間じゃないモンスターをですよ。それがちゃんとできているところがさすがピクサーだと思いました。

アメリカの大学の雰囲気もすごく出てましたね。社交クラブとかパーティとか、よくテレビや映画で見るアメリカの大学の感じでそういうところはリアルなんですよね。

声の出演としてはどちらかというとマイクはビリークリスタルより爆笑の田中のほうが合ってるって思っちゃう。今回は字幕で見ましたが、テレビで吹き替えで見るのも楽しみだな。ハードスクラブル学長のキャストをチェックしていなくて、見ている最中は「んー?シガニーウィバー?でもちょっと違うような…」と思いながら見ていたらヘレンミレンだったんですね。納得です。

最後にNG集がなかったのはちょっと残念でした。インクに入ってからの2人の写真がとても可愛かったです。


犬と猫と人間と2~動物たちの大震災

2013-07-19 | シネマ あ行

公開されると知ったときから見に行かねばなるまいと思っていました。「1」は現在の日本におけるペット事情に関するドキュメンタリーだったが、今回は副題にもある通り、東日本大震災で被災した動物たちの話を「1」の飯田基晴監督の弟子である宍戸大裕監督が撮影したものだ。監督は大震災の直後に現場に入り、約2年間に渡って撮影を続けた。

もう行く前から絶対泣くよなぁということは分かっていたんだけど、実際見ると泣くなんてもんじゃない。もうはっきり言って嗚咽だ。映画館だから一応嗚咽するのは我慢したけど、我慢するのが大変だった。

震災前、野良猫にエサをやっていた小暮さん。その野良猫たちが津波を生き延びたことを知り、またエサをやる。がれきの奥から出てきたミーちゃんは小暮さんを見つけるとにゃーにゃーとずっとずっと鳴き続けしばらく小暮さんの足元を離れようとしなかった。いままでは野良猫にエサをやっているというだけの感覚だった小暮さんだったが、被災をきっかけにその猫を飼うようになり家族みたいになった。

避難場所に犬のコロスケを一緒に連れて行った磯崎さん夫妻。抱っこできない犬は中に入れられないと言われ外にコロスケをつないだ。その結果そこまで津波が押し寄せてきてコロスケは亡くなってしまった。もっと別の安全な場所につなぐことができたんじゃないか。お父さんは後悔し続けていた。数か月が経ち、「いまはまだ無理だけどいつかまた犬を飼えたら」というお母さんと「もう絶対に犬は飼わない」というお父さんの悲しみへの向き合いかたの違いが印象的だった。

震災の翌日に飼っていた犬モモを見たという人がいたことからモモを探し続ける小野さん夫妻。昔次男を病気で3歳で亡くしてからモモは家族全員の心の支えだった。1年半が経ち「震災で消えた小さな命展」という震災で亡くなった動物たちのイラストを展示する会に小野さん夫妻の姿があり、モモの絵もそこにあった。全国をまわる展示が終わってモモの絵が家に帰ってくることを心待ちにしている。

立ち入り禁止区域内に残された牛たちを生かすボランティアのやまゆりファームと希望の牧場。政府は安楽死を薦め多くの酪農家が賛成したが、この2団体だけは現在ももう出荷することはできない牛の飼育を続けている。実際、もう出荷できない牛をただエサをやって生かすことに何の意味があるのかという批判もかなり受けていたようだ。ボランティアに来ていた女性が「でも出会ってしまったから」と言っていたのに共感した。たとえ、自分は菜食主義者ではなくても、たとえ、今日帰って焼肉を食べようとも、出会ってしまった命を無視することはできなかったのだろう。それはただ偽善と言ってしまえばそれまでのことだけど、人間としてその感覚はワタクシは分かる。蛆がこれでもかというくらいに湧いた死体の横でも生き続ける牛。どうせ殺されて食肉になる運命だったのだから放っておけばいいじゃないか。そう思う人もたくさんいる。でもそれに抵抗する人たちもいる。それはもう他人にどうこう言われるような問題じゃないと覚悟を決めているようだ。

犬猫を保護しているボランティア団体に引き取りに来た夫婦がいたが、主催者側はどうもその飼い主ではないという気がして引き渡さなかった。本当のところは分からない。でも、犬がフィラリアにかかっていたことからそもそも大切にされていなかったんじゃないかという思いから引き渡しを拒んでいた。彼女の行動はもしかしたら間違っていると思う人もいるかもしれない。でも、飼い主もその犬が自分の犬がどうか分からない様子だったし、フィラリアのことも何も知らない人に引き渡したくなくなる気持ちは分かる。

亡くなった夫が可愛がっていた犬チビタと一緒に暮らしていた今野さん。自宅が立ち入り禁止区域になってしまって新しい場所ではペットは飼えず、チビタはボランティア団体に預かってもらっていた。月に一度会いに来る今野さんに嬉しそうなチビタ。今野さんが帰るときおもちゃをくわえて持ってきて「お母さんまだこれで遊ぼう」と言っているみたいなチビタに涙が出た。

他にもたくさんのエピソードが登場するのだが、印象的だったエピソードを取り上げさせてもらった。人間の悲しみと動物たちの悲しみが重なって見ているのが本当に辛い。そして、動物とのきずなを感じていた人々が感じた悲しみ。「震災で消えた小さな命展」の主催者の方が避難所などで人が亡くなって悲しんでいる人の前で、自分のペットを亡くした悲しみなんて語れなかったと言っていた人がたくさんいて、その悲しみを表現しようと思ったと言っていた。そりゃあそうだろう。いくら家族のように思っていたと言っても所詮は動物でしょと言われてしまうだろし、私が家族を亡くした悲しみと一緒にしないでよと言われてしまうだろう。それを言う人が酷いわけではない。確かにそうなのだ。

震災後、ペットショップの売り上げが上がったと言っていたのには少し驚いた。あの状況で小動物に癒しを求める人がたくさんいるということには驚かないが、そこで「ペットショップ」という発想がやはり現在の日本人の感覚なんだなと改めて思った。同じように被災して保護されている動物がたくさんいるにも関わらず被災者もペットショップから新たに動物を買う。この国でこのサイクルはそろそろストップさせないといけない。しかも、不安定な生活で新たにペットを飼い始め、飼えなくなってボランティア団体に任せる人たちのことも話されていて、これまたショックだった。

これ見てるとね、なんか本当に原発さえなければって気持ちになった。あの災害でもちろん、がれきの下敷きになったり、津波に飲まれたりしてしまった人も動物もたくさんいたけど、やっぱり原発さえなければここまで酷いことにならなかったっていう人たちや動物たちがいっぱいいるんだよなぁ。廃棄物の処理の方法も確立されていない。事故になったときの対処の方法も確立されていない。対処するにはその人たちが永遠に被爆し続けなければならない。こんなワケの分からないものを推進している人と反対している人のどっちの頭がお花畑か?ってね。。。

全体的に監督のナレーションがずっと入っていて、数値を表すときは分かりやすいグラフで、申し訳ないけど素人が作ったのか?と思うくらい素朴なドキュメンタリーに仕上がっている。でも動物の死骸などの映像は、ショッキングだから映さないほうがいいなどという余計な自主規制などせずにきちんと映してくれているところに好感が持てた。

あの時、すべての人が色んな方向に必死だった。その陰で動物たちがどのように生きどのように死んでいったのか。たくさんの人に見届けてほしい作品です。


ファーストフードネイション

2013-07-17 | シネマ は行

同名のノンフィクション小説をリチャードリンクレイター監督が映画化した作品。原作はファーストフード業界のルポを基に、業界の実態を暴くもの。

大手ハンバーガーチェーン、ミッキーズのマーケティング部長ドングレッグキニアはビーフパテに糞便性大腸菌(つまりはフン)の混入の調査のためにパテの工場があるコロラドへ出張してきた。工場の見学を一通り終え徹底管理された最新の工場には何も問題ないように感じたが、あまりにも完璧過ぎて何かがおかしいという気持ちを拭えずにいた。

一方メキシコとアメリカの国境から密入国してきたメキシコ人たちはその精肉工場での職を斡旋してもらう。

最初から最後までアメリカ(他の先進国も含め)が抱える問題のオンパレード。ストーリーを通して&登場人物が語るセリフを通してどれだけたくさんの問題が挙げられたろう。思い出せるだけ書いてみる。

・ビーフパテへの糞便性大腸菌混入。
(工場でのラインが早すぎて解体のときにフンが混じる)
・不法移民
・不法移民の仲介で儲ける人たち
・不法移民を不法就労させている工場
・そこでのセクハラ、ドラッグ問題
・不法移民が就労中に大ケガをしても知らん顔の会社
・ファーストフード店の衛生観念
・ファーストフード店での防犯カメラが客ではなく店員に向けられていること
・牛の飼育環境(汚染されたエサや狭い飼育スペース)
・牛の糞便を河川に流し汚染している
ちらっと会話に登場するだけのもので
・銀行の不動産投機
・わざとケージを狭くして客に可哀想と思わせ買わせるペット産業
・南アのアパルトヘイト問題
・森林伐採問題

と、ざっと挙げるだけでもこれだけある。ワタクシが思いだせていないものもまだあるかもしれない。

これだけの問題を織り交ぜながら一応のストーリーとしてはちゃんと筋があるものが作れているというのが結構すごい。ポスターや結構豪華なキャストからもう少しユーモアのきいた笑える作品だと思ったけど、笑えるシーンってのはほとんどなくて割と真面目に語られるお話だった。と言っても小難しいところは全然なくてすんなり入り込みやすい作品だと思う。

ブルースウィリス演じるドンと同じ会社の社員が「大人になれよ。100%安全なもんなんてこの世に存在しない。パテに牛の糞が混ざってるからなんだってんだ。火を通すんだから問題ねぇよ」と言っていたのにちょっと笑ってしまった。まぁねってなんか説得されてしまいそうになる。自分たちの口に入るものを他人任せにしている以上100%の安全なんてどこにもないんだろうなと思う。そのリスクを背負いながらワタクシたちは日々食事をしている。この日常を変えようと思う人は自給自足の生活を求めていくだろう。でもワタクシは今日も明日もハンバーガーを食べるなぁ…もうこれは覚悟の上の選択です!としか言いようがない。でもこういう消費者が世界をダメにしているという面もあり…

結構豪華なキャストが揃っているのでそれだけでも見ていて楽しいです。リンクレーター監督お気に入りのイーサンホークとか。歌手のアヴリルラヴィーンも問題意識を持っている高校生役で登場していました。意外と演技もイケるかも。

色んな問題を提起して特に解決するとかはなく(現実的に解決していないのだからそりゃそうだろう)、最後に主人公もすべての裏を知りつつ新商品(偽)BBQ味バーガーを提案する。現実問題は別として映画のラストとしては皮肉っぽくて面白かった。


ボラット~栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習

2013-07-12 | シネマ は行

以前からずっと興味があったのだけど見ず仕舞いだったのでレンタルして見てみました。

最初にはっきり言っておくとワタクシはこの作品を好きとは言えません。見終わってからすぐはブログに取り上げることはないなと思っていました。全然面白くなかったわけではないんですが、ちょっと内容があまりにも下品でおゲレツ過ぎるし、ワタクシは決して映画を見るときには生真面目さんではないつもりだけど、それでも眉をひそめるシーンが結構ありました。

公開時、映画ファンの間では話題になった作品ですが、一般の方は全然知らない作品かもしれませんね。少し説明をしますと、カザフスタンのテレビリポーター・ボラットサシャバロンコーエンが国家の命を受けてアメリカ文化を学ぶためにアメリカに渡り突撃取材をするというもの。設定だけを聞くとまぁ面白そうと思うかもしれませんが、このボラットという男、というか彼の国カザフスタンの設定がちょっとえげつない。彼らは徹底した男尊女卑でユダヤ嫌いでゲイ嫌い、妻は誘拐して娶るもので、妹が売春婦なことを自慢に思う。ド田舎の楽しみは年に一度のユダヤ人追い祭り。その他もろもろ出てくるのだけど、まぁこれだけ聞いただけでもしっかり眉をひそめた人も多いのでは?実際にはこのボラットを演じるサシャバロンコーエンはユダヤ系イギリス人のコメディアンでイギリスではテレビのコメディ番組のキャラクターだからそれを分かった上で見る分にはちゃんとシャレになるというところなのだろう。

そのとんでもない国からやってきたボラットが色んなところを突撃取材する。これがいわゆるモキュメンタリーの形を取っていて、実際にボラットがカザフスタンから来たレポーターとして色んな団体などにインタビューする。演出もあるらしいんだけど、インタビューされている人たちはボラットが本当にカザフスタンから来たレポーターだと思って答えているのがほとんどだそうで、ボラットの下品で下劣な受け答えに戸惑う表情が見られる。

ユーモア講座では弟が知的障害者であることをみんなで馬鹿にしているというジョークを飛ばし先生は大いに困惑。「ここではそういうことはジョークにしませんよ」とたしなめる。
フェミニスト団体には「女は男より脳が小さいから教育は無駄」とか言って本気で怒らせてしまう。
ロデオ大会でテロとの戦いを賞賛して受け入れられるものの、図に乗ってイラク国民を皆殺しにし向こう1000年間はトカゲ一匹住めない死の国にしてしまえ!と言い客にドン引きされたあと、アメリカ国歌のメロディにニセのカザフスタンの国歌の歌詞を乗せて歌い大ブーイングを喰らう。
社交術を学ぶために南部の上流階級の家でディナーパーティに行くが、そこにいる女性を侮辱した上、トイレの使い方が分からず大便をビニール袋に入れてテーブルのところに持ってきてしまう。友達を呼んだからと娼婦を呼び本当に警察に通報されてしまった。
ホテルでプロデューサーのアザマットケンデイヴィシャンとケンカし、2人で素っ裸のままホテル中を取っ組み合いしながら走り回り最後には住宅ローン販売員の会議に乱入し、本気で警備員に取り押さえられる。この時、本当に素っ裸です、2人とも。
パメラアンダーソンを誘拐して結婚しようとしたが、この時も本気で警備員に捕まった。(この件はパメラアンダーソン自身は知っていたらしいのだけど、警備員は知らなかった)

と他にも端折ったところが何か所かあるんだけど、まぁ、行く先々でタブーというタブーを破ってしまうボラット。もうここまで行くと本当に笑えない。ジョークでは済まされない。インタビュー相手の顔がほんっとにひきつってるのが分かるんですよ。そして、その上でうまくかわす人、引く人、調子を合わせる人、怒る人、色んな反応があって、それも人間性というか。そのあたりは興味深いなぁと。怒る人の人間性が低いとかは思わないですけどね。あれじゃ怒って当然だし、差別発言とかは怒るべきだとも思うし。ボラットの息子の局部のアップ写真を見せられて「家族の写真です」と言われたマナーの先生がとても落ち着いて「服を着ている家族の写真をお見せしたほうがいいと思いますよ」と言ったのはあっぱれだと思ったなぁ。

好きとは言えないのに映画ブログに取り上げる価値があると思うところはやっぱりそこまでやるか!?っていう根性かなー。いくらテレビカメラが回っている(というてい)だったとしても本気で相手を怒らせるようなことばっかりやるんだから本当に勇気がいると思うんだよねー。実際あとで訴訟になちゃった件とかもあるらしいので、やっぱその辺のブラックジョーク加減っていうのはイギリスっぽいのかなぁと思ったり。彼の出身が架空の国だったらもう少し平気で見られたかもしれないんだけど、カザフスタンの人の心情を考えるとツライもんはありましたね。架空の国だったら全然面白くないんだよって言われるのかもしれないですけど。

サシャバロンコーエンという人はちゃんと「ヒューゴの不思議な発明」とか「レ・ミゼラブル」にも出演しているコメディアンだけど、何年か前のアカデミー賞のレッドカーペットでは金正日の遺灰(に見立てた粉)を壺からばら撒くという恐ろしいパフォーマンスもやっちゃってますね。根っからのブラックコメディアンということなんでしょうか。


クロッシング

2013-07-11 | シネマ か行

ケーブルテレビで見ました。

麻薬捜査官のサルイーサンホークは5人の子どもを抱え妻リリーテイラーは双子を妊娠中。家の壁のカビのせいで妻は体調を崩しているし、7人の子持ちにとっては手狭なため引っ越しを考えているが狙っている物件の頭金がなかなか貯まらない。

あと7日で定年退職する予定のエディリチャードギアは20年以上警官をやってきたが大した功績も残さず、無駄な争いには巻き込まれないようにしてきた。日々の楽しみといえばいつもの娼婦のアパートに通うことくらい。そんな彼は署長から教育係として新人を押し付けられる。

潜入捜査をしているタンゴドンチードルは、私生活のすべてを犠牲にしてきたが昇進は認められず嫌気がさしている。長年の潜入により警察側よりもギャング側に心を寄せるようになってきている。

この3人の共通点はブルックリンで一番治安が悪いとされている公営アパートの地域の管轄で働いているということくらいで、特に接点はない。同じ署で働いているから途中サルとエディが同じ空間にいるシーンはあるが、それくらい。邦題が「クロッシング」というからいつ交差するかいつ交差するかと楽しみに見ていたら最後の最後でほんのちょこっと交差するくらいだった。この邦題には騙された。あとから原題を見ると「Brooklyn's Finest」(ブルックリンの警官)だったので全然交差関係ないやん!って思いました。

というわけでこの3人はなっかなか交差しないので、これはほとんどオムニバス映画のような感じです。ブルックリンの三者三様の警官にスポットが当たった3つの物語。ただ、共通して流れるテーマのようなものはあって、それは映画の冒頭でサルが殺す悪党が判事に言われたというセリフ「世の中にはrighter(より良い)とwronger(より悪い)しかない」righterとwrongerというright(善)wrong(悪)の比較級というものは実際には存在しない言葉なのですが、完璧な善や完璧な悪などなく、生きていく上でより良いとより悪いのどちらを選択するかなのだというのを頭の片隅に置きながらこの3人の警官のお話を見るとなかなかに興味深いでしょう。

どうしても頭金を用意したいサルは麻薬の売人たちを捕まえたときに回収するお金を横領しようと考えていた。何度もチャンスをうかがい金を持って逃げた売人を一人で追いかけたが、そいつはお金など持っていなかった。その間にも物件の売り手にはせっつかれ、妻の病状は悪化し、子どもたちは広い家を夢見ている。みんなの期待に応えるためなら汚い手も惜しまないと考えているサルだが、すべてがうまく行かずイラつきを見せてしまい相棒にも心境の変化を感じ取られている。

教育係としての一日目にやってきた新人は正義感あふれる若者で、とにかく争いごとを避けて通れというエディに愛想を尽かして一日で教育係の変更を願い出て二日目には別の新人をつけられた。小売店での小さなケンカを止めに入った新人とエディだったが、エディがパトカーに身元確認をしに行っている間に新人が小売店で発砲してしまう。自分のミスでそうなったと認めるエディだったが、幹部たちは警察の面子のためか、相手が麻薬を所持していたことが原因だったと事実を捻じ曲げようとする。エディは譲らず定年退職の日を迎え、馴染みの娼婦に一緒になろうともちかけるが振られてしまいもともと無気力だったエディはさらに自暴自棄になる。

FBIのスミス捜査官エレンバーキンの介入により、ギャング仲間の大物キャズウェズリースナイプスをでっちあげ事件で挙げろという指示を受けたタンゴはそれを断るが、上層部はそれと引き換えに昇進をちらつかせてきた。キャズ逮捕を決心するタンゴだったが、ギャング内の内輪もめでキャズが撃ち殺されてしまい、タンゴの中の何かが変わった。

3つの物語を同時進行で見せられるのだけど、どれもまるでドキュメンタリーでも追うかのように丁寧に描かれているので全然ややこしくもないし見ずらいということもない。3人とも全然身近にいるタイプじゃないんだけど、話の運びがうまいのと演技が素晴らしいのでそれぞれの苦悩が伝わってきてそれぞれに感情移入しながら見ることができる。最後はみながより良い(righter)選択ができるようにと祈るような気持ちで見ていた。

それぞれの起承転結の結の部分が最後にあの公営アパートへと向かわせる。ここで誰がrighterな選択をしたかwrongerな選択をしたかの答えが見事に出てしまう。たたそれが客観的に見ればwrongerな選択だったとしてもあの時の彼らにとってはもうそれしか選びようがないという状況だったのかもしれない。そこに至る過程が丁寧に描かれているのでたとえそれが間違った選択だったとしても彼らの気持ちが非常に分かる終わり方になっているのがとても切ない。

リチャードギアが冴えない老警官ってなんかミスキャスト?と最初は思ったけど、全然違和感なかった。あんまり演技派のイメージはないけどやっぱりちゃんと演技してるんだな~。イーサンホークとドンチードルはぴったりのキャスティングでした。

とにかく全然交差しないので邦題に騙されないでご覧ください。


ハングオーバー!!!~最後の反省会

2013-07-10 | シネマ は行

これは公開が決まったときから見に行くことは決めていました。正直なところあんまり期待はしていないけど、もうこうなったらちゃんと最後まで付き合ってやるぞ。来るなら来い!ってな気分でした。

冒頭からアランザックガリフィナーキスがぶっ飛ばしますよー。なぜかキリンを買ったらしい。どこからどうやって?とかそういうのは抜きね。そしてこのキリンを運んでる最中に事故ってまたまた大変なことに。キリンの首が吹っ飛んでもう生真面目さんは全然笑えないぞ。いままでアランの尻拭いをしてきたお父さんジェフリータンバーも限界。心臓発作でこの世を去ってしまう。お父さんの葬式でのあのアランの美声はなんだったんだろー?めちゃウケた。アランのいたずらでもなさそうだったけど。

残された家族はアランを施設に入れることにする。アランの義理の兄ダグジャスティンバーサはアランを説得するためフィルブラッドリークーパーとステュエドヘルムズに応援を頼む。

アランをなんとか説得し、ダグ、フィル、ステュ、アランのいつものメンバー4人で車に乗ってアランを施設に送る途中、いきなりギャングに襲われ拉致られた。なんとマフィアのボス、マーシャルジョングッドマンがミスターチャウケンチョンに盗まれた金塊を取戻し、チャウを捕獲してこいと言い、ダグを誘拐してしまう。やっぱりダグはまたもや全然出てこないキャラ。

バンコク以来チャウと連絡を取り合っていたアランがチャウと会う約束をしチャウを捕まえに行くが、もちろんチャウが簡単に捕まるはずはなかった。

またいつものようにどこかの時点で記憶喪失になるのかなぁと思って見ていたけど、今回はそれはナシ。金塊を返すというチャウの手伝いを3人でしたが、チャウにハメられて逃げられ、またチャウを追うという展開。

クスクスっと笑うシーンはいっぱいあるんですが、やっぱり「1」「2」に比べるとパワー不足というのは否めないでしょうね。ただ、やはり「1」「2」を見てきたファンだからこそ笑える一言とかが今回はすごく多いです。まー、この3作目だけをいきなり見るっていう人は少ないかと思うのですが、シリーズを見た人もレンタルで見直したりしてから見に行くとより楽しめるかも。

ちゃんと「1」でステュと結婚したコールガールヘザーグラハムも途中で出してくれて例の赤ん坊が大きくなってるっていう展開も嬉しかった。アランはあの子に変なこと吹き込んでましたね。今回も絶対マイクタイソンは出ると思ったんですけどねー。出なかったのは意外でした。

今回も無駄に男前のブラッドリークーパーがカッコ良かったですよー。またヨレヨレですけど。さすがのアランもフィルには一目置いてるというかちょっと憧れの部分があるのかな。あの「そのシャツいいね。ディーゼルの?あのモールのとこにあるディーゼルの?」ってしつこく聞いてたし(笑)

シリーズの完結作にしてこのシリーズのパターンを継いでいない今作にはファンがビックリするシーンもありました。チャウがどんちゃん騒ぎをしていたベガスのホテルに侵入するときの大ジャンプ。そりゃあ劇場中がアランが死ぬわけないって分かっていても結構みんながハッと息を飲むのが聞こえました。チャウのパラシュートは予告で見ていたけど、なんかもうやり過ぎ感が笑えました。映画見て以来"I believe I can Fly~♪"ってチャウの声で頭ん中で回るのよー。勘弁して。

そして、何と言ってもアランにまさかの運命の人現る!ってのがねー。キャスティングはもうアランの向こうを張れるのは彼女しかいないだろうというメリッサマッカーシー。「ハングオーバー!」の女性版と言われた「ブライズメイズ」でアランのような役どころを演じていたし。アメリカではコメディエンヌとして有名な人です。まー、彼らのラブシーンはステュが吐き気をもよおすのもよく分かるっていう気持ちの悪いもんでしたけど…

紆余曲折の末、チャウを捕まえたかと思ったらやっぱりチャウは死ぬわけなんかないよーーーーっ!てね。

それで最後はなんとアランの結婚式。ウルフパック解散の危機か(笑)!?ってとこでしたけど、やっぱりタダでは終わらなかったね。しかし、この作品を見に来てる人ってほとんどが「1」「2」と見た人だと思うんだけど、どうしてエンドロールが始まった瞬間に席立つの???このシリーズではエンドロールまで面白いって分かってるはずでしょ?今回本編がちょっと面白くなかったからさっさと帰ろうと思った?たくさんの人が通路に立ったまま見てたけど。このエンドロールもうサイッコーでしたね。ここが一番面白かったと言っても過言ではないくらいに。そして、まるでメビウスの輪のようにここから「1」に戻れるような展開だったのが良かったです。今回もステュに起きた災難がサイコーです。これ以上ないくらいに過激。そしてやっぱり、ダグはどこへ行ったーーーーーー????


glee シーズン4 第22話 All or Nothing

2013-07-09 | 海外ドラマ

「To Love You More」 by Celine Dion

レイチェルリアミシェルの最終オーディション。原曲のキーってもうちょっと高くなかったっけなー?と思ったんですが、どうでしょうか?リアなら余裕で出る高さだと思うので何か意図があって低くしたのかな。ワタクシの思い込みかもしれませんが。
やはり、こういった曲を歌うリアは迫力ありますねー。あんな子がオーディションに来たら選考員もビビるんじゃないかなぁ。

「Rainbow Connection」 by Kermit the Frog

リージョナルの参加校The Waffletootsの曲。

「Clarity」 by Zedd feat. Foxes

ニューディレクションズのライバル校、The Hoosierdaddiesの曲。ジェシカサンチェスがボーカルを務めます。彼女はアメアイから出てきた子なんですね。ワタクシはアメアイ見てないので全然知らないんですが、すごい歌唱力ですね。

「Wings」 by Little Mix

これもThe Hoosierdaddiesの曲。こっちも迫力あったなぁ。ジェシカサンチェスともう一人黒人の女の子がボーカルなんですが、どっちもカッコ良かった。

「Hall of Fame」 by The Script feat. will. i. am

ニューディレクションズ男子がメインボーカルの曲ですね。今回の男子は歌唱力のある子が集まってますからカッコいいデキになってました。

「I Love It」 by Icona Pop feat. Chrli XCX

ニューディレクションズ女子がメインボーカルの曲。ワタクシはユニークアレックスニューウェルのファンなので、もっとリードボーカル部分が多かったら嬉しかったんだけどなぁ。

「All or Nothing」 by Glee Cast

グリーオリジナル曲ですね。レイチェル2.0のマーリーメリッサブノワとニューレイチェルのブレインダレンクリスのメインでした。マーリーはジェイクジェイコブアーティストとのほうが声の相性は良いと思うんですが、やはり今シーズンメインだったブレインに歌わせないわけにはいかなかったのかな。

シーズン4の最終回でした。
ライダーブレイクジェナーのチャット相手はユニークだったんですね。ライダーのこと好きだったんだ。マーリーが身代わりになろうとしてましたね。マーリーとユニークは強い友情で結ばれていますね。
ブリタニーヘザーモリスの天才的頭脳(?)が認められてMITに入学が決まったとか。もうめちゃくちゃやな。ヘザーは妊娠しちゃったし、次のシーズンはレギュラー契約はしていないみたいなので、「Fondu for Two」の見納めができて良かったです。
最後、やっとシュー先生マシューモリソンとエマ先生ジェマメイズが結婚してくれてスッキリした。引き伸ばしすぎーって思ってたから。
ニューディレクションズの発表のときにサンタナナヤリベラが泣いていて後ろのカートクリスコルファーにもハンカチを渡すシーンが良かったなぁ。なんか昔のグリーっぽい雰囲気が出てました。

ほんでリージョナル優勝って!マジで?ま、どのシーズンでもウォブラーズとかヴォーカルアドレナリンとかライバル校のほうがすごかったんちゃうん?とは思い続けてましたけど、旧ニューディレクションズのときはメンバーへの思い入れが強いから、それでも優勝して嬉しい!って思ってたけど、今回はなんかそうは思えませんでした。

シーズン4の総括は、と言ってもあまり書くことがないなぁ。
新しいキャラクターたちは好きでしたけど、あまりにもストーリーの掘り下げが浅くて彼らがかえって可哀想な気がしました。
ケイトハドソンサラジェシカパーカーも悪くはなかったと思うんですが。
サンタナがコヨーテアグリーで働いていたという設定だったからどうせならそこでのパフォーマンスを一曲くらい聞きたかったです。

さて、グリーはどんなに視聴率が落ちてもiTunesで曲が売れてFOXのドル箱シリーズということでシーズン5、6まで延長が決定していますが、、、
どうなるんですかねー。全国大会と卒業式から始まるの?
やはりなんやかんや言ってもファンとしては起死回生といってほしいもんです。


欲望のバージニア

2013-07-05 | シネマ や行

ここ最近注目しまくってるジェシカチャスティンが出演しているということで興味があり、予告編を見てますます興味が湧いたので見に来ました。大阪では一館だけでしか上映していません。なぜ?

禁酒法時代のバージニア州。密造酒ビジネスを手掛けていたボンデュラント三兄弟という実在した人たちの物語。
長男のハワードジェイソンクラークは大酒飲みでいつも酔っ払い、怪力の暴走野郎。
次男のフォレストトムハーディが事実上のリーダー。無口で佇まいに凄みがある。
三男のジャックシャイアラブーフは上の二人からいつもヘタレ呼ばわりされているが頭を使ってのし上がろうとしている。
彼らは「不死身」だといういわば生きる伝説と化していた。

彼らの表向きの商売として経営する食堂に都会から一人の女が職を求めてやってくる。都会の生活に疲れ田舎暮らしがしたいというマギー(チャスティン)を雇い入れるフォレスト。一方ジャックはお堅い牧師の娘バーサミアワシコウスカに恋していたが、彼女はお堅い牧師の娘で彼との交際など許されるはずもなかった。

彼らは地元の警察に賄賂を渡し、ビジネスはうまく行っていたが時折入るチンピラなどの邪魔者は容赦なく倒していた。そんな折新しく赴任した特別補佐官レイクスガイピアースがこの地域一体の密造酒業者に法外な賄賂を要求してきた。それをフォレストが突っぱねたときからレイクスにより執拗な脅迫が始まる。

その間にもジャックは幼馴染のクリケットデーンデハーンとともに上質の酒を造り、マフィアの大物フロイドバナーゲーリーオールドマンに認められビジネスを行うようになる。堅実にビジネスをしたがるフォレストの反対をよそにジャックは大金を手にし、新車を買い服を新調し舞い上がっていた。

ある日初めての商売相手がマギーに銃をつきつけて嫌がらせをしてきたことから諍いが起こり、フォレストが相手をボコボコにして退散させたかと思いきや後から相手のワナにはまり喉を掻っ切られてしまう。

フォレストが喉を掻っ切られたのが多分映画の真ん中くらいのときなんです。「え?不死身って言うてたんちゃうん?ここで死ぬん?ウソやろ?」と思っていると、なんと喉を掻っ切られたにも関わらず自分で30キロ先の病院まで歩いて行って助かったって言うやないですか!ウソーん!って思いましたけど、フォレストには死んでほしくなかったんで生きていてくれて嬉しかったです。いや、ほんまに不死身でした。

レイクスは他の密造酒業者をどんどん摘発していき、ついに残るはボンデュラント兄弟のところだけとなってしまう。その間にも大きな蒸留所を作っていた兄弟だったが、ジャックがバーサとのデートに成功し嬉しがって彼女に秘密の場所の蒸留所を見せようとしたことでレイクスたちにつけられてついに蒸留所を爆破されてしまう。しかもその時逃げ遅れたクリケットをレイクスは非道にも殺害してしまう。

そのことでキレた兄弟はついにレイクスと一戦交えることに。群境の橋で密造酒業者対汚職警官たちの血みどろの戦いが待っていた。

いやーーーーもうなんでしょうねー、これ。ボンデュラント兄弟ってただの無法者なんですよ。密造酒業者やし、暴力的やし。でも、それなのに、なぜかめちゃくちゃカッコいい。決して見た目とかじゃないんです。見た目はもの凄い田舎もんやし、むっさ苦しい。それなのに。特に次男のフォレストのカッコ良さったらハンパないです。無口でねー。なんか言うと思ったらすぐ"mmmm..."って低音ヴォイスで。そのくせ女にはめちゃくちゃ奥手で。マギーのことずっと好きなくせに全然手ぇ出さない。ついにはマギーのほうがしびれを切らせて素っ裸で部屋に入って行って「永遠に見てるだけのつもり?」とか言われちゃう。それくらい奥手。そこがまた可愛いっていうかフォレストらしさを表してました。無口で不器用な男って普段嫌いなタイプのキャラクターなんですけど、フォレストはめっちゃくちゃカッコ良かったです。トムハーディって「ダークナイトライジング」のときもいいなぁって思ったけど、今回で一気にファンになってしまいました。

そしてそのマギー演じるジェシカチャスティンがまた今回最高です。都会から来たマギーは明らかに服装とか全然違ってて、徐々に田舎に染まっていくのかなぁと思っていたけど全然そんな気配はなくて終始キレイな格好してました。フォレストに惚れるくらいですから、マギーも一筋縄ではいかない女なんですが、はすっぱなわけでも威勢がいいわけでもなく一本スッと筋の通った雰囲気で、とびきりの美人でもないしお色気満開でもないのにそこはかとないイイ女の魅力を醸し出していて初対面でボンデュラント三兄弟が全員帽子を取ったまま押し黙ってしまったのがすごくよく分かります。実はこのマギーが喉を掻っ切られたフォレストを病院まで車で運んだんですけど、ここぞと言う時まで何も言わないんですよねー。そして自分がフォレストの喉を掻っ切った悪党どもに何をされたかもクライマックスまで自分の心の中に留めてきていました。このマギーのねぇ、なんて言うんでしょうね、プライドっていうかね、彼女の気質が魅力的過ぎ。出演時間はそんなに多くないんですけど、むさ苦しい画面に一輪の花という感じでした。

他のキャストも全員がものすごくハマリ役ですね。シャイアラブーフのあどけない顔は末っ子ジャックにピッタリだったし、ゲーリーオールドマンのマフィアも板についてるし。ガイピアースのちょっと変質的な捜査官にはビックリしました。超変な髪型だし。。。何アレ?まゆ毛まで剃ってちょっと笑っちゃった。

そして、つい先日「プレイスビヨンドザパインズ」でこれから注目株と思ったデーンデハーンが出ているじゃないですかー。クリケットはちょっとひ弱な感じで「ギルバートグレイプ」のときのディカプリオみたいでした。

男三兄弟の話なんですけど、三人とも性格とかバラバラで絆って言っても全然べたべたしてなくて、最終的にはもちろん助け合うんだけど普段は結構バラバラな感じがなんかリアルだなぁと思いました。一番上の兄貴は頼んないし、次男はリーダーだけど"mmmm.."だし、末っ子が一人で頑張ってた感じで、その辺がワタクシはなぜか好きでした。それでもやっぱりずっと最後まで一緒に過ごして切っても切り離せない仲だったんだろうなぁと思います。バージニア州には彼らの博物館まであるっていうじゃないですか。行ってみたいなぁ。


シャンハイ

2013-07-04 | シネマ さ行

ケーブルテレビで見ました。

ジョンキューザック渡辺謙コンリーが出ていることは知っていましたが他にもチョウユンファフランカポテンテデイヴィッドモースが出ていて結構な豪華キャストなのでビックリしました。ほとんど顔映らないけど菊地凜子も出ています。

1941年の上海。アメリカの諜報員のポール(キューザック)がやってくる。仕事仲間で親友のコナーと落ち合う約束をしていたカジノにコナーは現れなかった。海軍情報部に向かうとそこには殺されたコナーが棺に入っていた。コナーは誰に殺されたのか。そしてなぜ?コナーが調べていたアンソニーランティン(ユンファ)に近づくことにしたポール。アンソニーとその妻アンナ(リー)と知り合い親しくなる。

調べていくうちにコナーにはスミコ(菊地)という日本人の愛人がいたことが分かる。そして、コナーがタナカ大佐(渡辺)を秘かに調査していたことも分かってくる。

一方、クラブでのショータイム中に反日組織のレジスタンスが日本軍の将校たちを爆弾で殺害する。その場に居合わせたポールはそれがアンナの指示で行われたことを見破る。アンナの父は日本軍に殺され、アンナは夫アンソニーに隠れてレジスタンス活動をしていた。アンナを調べていくうちにポールは徐々にアンナに魅かれていく。

ストーリーはなんかちょっとイマイチなところもあってチープな気がしなくもないんですけど、やっぱりこれだけ豪華な役者がそろっていると見ごたえありますね。ぶっちゃけ途中からコナーの秘密なんかどうでもよくなっちゃってポールとアンナの関係とかスミコとタナカの行く末とかそっちのほうが気になってしまいました。というか、ワタクシはそっちのほうが気になったからまだ面白く見られたのかなという気がします。コナーの握った秘密とか各国の陰謀とかそういうものに期待を寄せて見ると、へ?それで?みたいなことになっちゃうと思います。

戦争ものというより恋愛ものというスタンスで見たほうがいいかもしれません。男たちの行動の動機がほとんど“オンナのために”なんですよね。太平洋戦争目前の上海でこれはまたのんきなと怒られそうですが、まぁノスタルジックなフィクションということで許してあげてください。女のために行動している男の中でもチョウユンファ演じるアンソニーが一番カッコ良かったな。まぁ彼も愛人とかいて一途に妻を想っているわけではないんだろうけど、そのへんはまぁマフィアだし時代的なものもあって愛人がいるイコール妻を愛していないというわけではないし、彼ら夫婦の関係ってどこかアンソニーが保護者的な雰囲気でしたしね。何があってもどこまでも妻を守り抜く姿がカッコ良かったです。

タナカとスミコの恋愛に関しては二人が幸せに過ごしてきた映像が一個もないのでちょっとピンと来なかったんですけどねー。タナカは当時の日本軍のエライさんにしては随分ヤワな男でしたが、それもご愛嬌ということで。

もうなんか当時の上海では本当はどーのこーの、とかじゃなくてパラレルワールドが舞台くらいに思って見たら面白いんじゃないかなーと思います。
取り上げたわりにはあまり褒めていない気もしますが、全体的な雰囲気とか好きだったので及第点にしました。

オマケいままで全然気付かなかったけど、動いているコンリーって天海祐希に似ているなぁと思いました。


glee シーズン4 第21話 Wonder-ful

2013-07-03 | 海外ドラマ

「Signed Sealed Delivered I'm Yours」 by Stevie Wonder

この曲好きなんですけど、他の人が歌っているバージョンで知っていてスティービーワンダーの曲だって知りませんでした。キティベッカトービンは歌って踊れる貴重な存在になりつつありますね。

「Superstition」 by Stevie Wonder

久しぶりにメルセデスアンバーライリーのパワフルな歌声が聞けて嬉しかった。でもリージョナルの練習なんだからもっとマーリーメリッサブノワとかユニークアレックスウェイドに歌わせてほしかったな。

「You Are the Sunshine of My Life」 by Stevie Wonder

カートクリスコルファーがお父さんマイクオマリーに捧げます。今回は嬉しいことのあとだったので良かった。

「I Wish」 by Stevie Wonder

ジェイクジェイコブアーティストって歌もうまいけど、ダンスも上手ですねー。マイクハリーシャムJr.と踊っても必死感がないところがすごいです。

「Uptight (Everything's Alright)」 by Stevie Wonder

カサンドラ先生ケイトハドソンがレイチェルリアミシェルを励ますために歌ってくれましたねー。これは嬉しいサプライズでした。カサンドラ先生はただの意地悪でレイチェルに辛く当たっているのはないとは思っていましたが、グリーだけに何があるか分からないとちょっと疑っていたので、本当に良い人で良かった。2番からレイチェルにも歌ってほしかったけど、それをやっちゃうとまた曲を捧げられている人まで歌う「お前も歌うんかい!」というパターンになっちゃったのでこれで良かったのでしょう。

「Higher Ground」 by Stevie Wonder

メルセデスがもう一曲。これはせっかく登場したのだからオマケの一曲みたいなもんですかね。

「For Once in My Life」 by Stevie Wonder

全員でオレンジや黄色の衣装を着ていました。ニューディレクションズで暖色系の衣装はめずらしい気が。

アーティケヴィンマクヘイルが映画学校の入学が決まって良かったですね。
フィンコーリーモンティースはどこへ行った?って思ったけど、コーリーはこの時期から薬物のリハビリセンターに入所しちゃったから出られなかったんですね。