シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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告白

2010-07-30 | シネマ か行
公開前からうちのにゃおが見たいと言っていて、ワタクシも興味はあったんだけど、まぁ邦画だしなぁということでレンタルでいいかと思っていたんだけど、先日友達に薦められたこともあって、やっぱり見に行くことにしました。公開から随分経っているのに映画館はまだいっぱいでした。

中学1年の3学期の終業式を終え、ホームルームの時間を迎えたB組。生徒は全員牛乳を飲んでいる。牛乳が第二次成長期の子供たちにどのような影響を与えるかという実験のモデル校に選ばれているのだ。ざわつく生徒たちの前でこのクラスの担任の森口悠子松たか子が淡々と話している。生徒たちは好き勝手な行動をしているが森口はそれを特に咎めるわけでもなく、ただただ自分の話したいことを大声を出すわけでもなく話し続けている。「わたしの娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故死ではなくこのクラスの生徒に殺されたのです」こう話した途端それまで騒がしかった教室が水を打ったように静まり返る。森口はその犯人についてとうとうと語り続ける。

いやー、この冒頭のシーンがとにかくすごい。いったい何分あるのだろう。まるで、「ハムレット」の独白のように、森口は生徒の存在をほとんど無視するかのように話し続ける。いや、それでも彼女は確実に生徒たちの反応を楽しんでいるのだろう。そのことが徐々にこちらに伝わってくる。彼女が犯人の生徒が飲んだ牛乳にHIVウィルスに感染している血液を混ぜたというトドメと言える一言を言う瞬間まで、彼女はこの時間をたっぷりと時間をかけて楽しんでいた。この冒頭のシーンを見るだけでもこの作品を見る価値があると言っても過言ではない。このシーンだけで、もう1本の作品ができあがっていると言ってもいい。この後の展開ももちろん目を離せないものなのだが、この最初のホームルームがジェットコースターがガタンガタンガタンガタンと徐々に急な坂を上がっていく一秒一秒の積み重ねのようで、その後の展開は坂の頂点からただひたすら始めの力を使って爆走し続けるそれのようだった。

森口悠子の「告白」が終わり、その後シーンは彼らの新学期へと移る。2年生に持ち上がりであがったクラス。森口が辞め、その後に来たのは若くて希望にあふれた勘違い教師寺田良輝(ウェルテル)岡田将生。森口から犯人Bとされた下村直樹藤原薫は学校に来ていないが、犯人Aとされた渡辺修哉西井幸人は驚いたことにちゃんと学校に来ていた。その様子を学級長の北原美月橋本愛が辞めた森口に語りかける形で「告白」していく。ウェルテルに従い、表面上ハッピーな学生生活を送っているように見せかけているクラスメイトたち。その陰で犯人Aである渡辺修哉への制裁と称した陰湿なイジメが繰り広げられていた。

その後、物語は犯人B直樹の過保護な母親木村佳乃、犯人B直樹、犯人A修哉の「告白」へと続く。

人権派の人々が眉をひそめるような物語が息をつかせぬ勢いでどんどん進む。まるで、その人権派の人々に異論を挟む余地を与えないためかのように。冒頭のシーンから中島哲也監督の手腕が光る。彼は観客の心をグッと掴んで離さず最後までグイグイ引っ張っていくということに非常に長けた監督だ。これまでの作品でも彼の才能は遺憾なく発揮されていたが、この作品でさらに確固たるものになった感があった。

そして、その監督の情熱に応えた演技陣も素晴らしかった。松たか子は森口悠子という女性を冷徹に演じる反面、内に秘めた炎をたぎらせているのが不気味なまでに伝わってきたし、木村佳乃も息子を溺愛する絵に描いたような母親を絵に描いたように演じて、白々しさがないのが素晴らしい。それぞれの生徒たちを演じた子供たちも真剣勝負で演技しているのが分かる。そこに妥協を許さない監督の姿勢を見ることができた。

「先生、命って本当に重いですか?」美月が森口に語りかける。「一人一人の命は尊く、地球より重い」なんて言うのは簡単だけど、それをどう理解すれば良いのだろう。修哉にとって、母親の命は重いが、それ以外の命は特に大切でもなんでもない。森口にとっても、娘の命は尊いものだったけど、それを消した修哉や直樹の命は抹消に値するものだったのではないのか。国家は戦争で簡単に人を殺し、学校教育では人の命は重いものと教える。その矛盾に子供たちが気づかないとでも思っているのだろうか?

そう思うと、命は平等に重いものではなく、人によって相対的に重さが変わるもののような気さえしてくる。ワタクシの命はオバマ大統領の命より重いですか?と聞けば、ワタクシの家族や恋人、友人はワタクシの命のほうが重いと言ってくれるだろうし、それ以外の他人にとっては当然オバマ大統領の命のほうが重いのかもしれない。まぁ、だからと言って重くない命を奪ってしまおうとは思わないのが普通の人間なのだけど。それに、普通の人間ならある人が自分にとって重い命であるということから自分に関係のない人の命の重さを慮るということができるんだけどね。それが犯罪者の命、特に自分の子供を殺した者の命ならどうなのか。

ワタクシは当然のことながら、人を殺して良いなんて思っていないし、殺人は憎むべき犯罪だと思っているが、その殺人者を死刑にしても良いと思っている時点ですでに人を殺して良いなんて思っていないと言ったことに矛盾する。命が等しく尊いなんて思っていたら死刑に賛成なんてできないし、「必殺仕事人」やほとんどのアクション映画がヒットするのもおかしな話だ。

でも、やっぱり「死んじゃえ」と思うのと「殺してやる」と思うのには大きな差があるかな、とは思う。美月は「ウェルテルなんか死んじゃってもいい」とは思ったけど「ウェルテルなんか殺してやる」とは思わなかった。そこにやはり修哉と美月の差があったと思う。この差はわずかなようでいて、実は大変大きな隔たりがあるのではないか。

最後の爆弾は本当に爆発したのか…森口ならやっていてもおかしくはないと思う。直樹が母親を殺害するまで追い詰めた彼女なのだから。森口はただの復讐のためにすべての行為を行ったのか、それとも本当に命の重さを知ってもらうために?それはどちらでもあるのかな。彼らがそれぞれの母親の命の重さを知るということは、他人の大切な人の命の重さを知るということにつながることであるが、それを彼らが実感すればするほど、森口にとっての復讐が成立するということにもなるのだから、皮肉なものだ。(もしかしたら、犯人Aは反省するには狂い過ぎているし、犯人Bは反省するには気が弱すぎるのかもしれないが)

この作品がただヘドが出るような作品だと思える人はある意味幸せなのかもしれないな。まぁ、とにかく日本映画でメジャーでよくぞここまでの作品が撮れたもんだと思う。日本だからこその社会的背景もあるんだろうけど、この作品を映像化して公開できる日本映画界って結構やるじゃんと思った。
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扉のむこう

2010-07-29 | シネマ た行

先日、内閣府の調査で全国のひきこもりの数は推定70万人で、30歳代が一番多いと発表された。

日本独特の社会問題とされる「ひきこもり」にスポットを当てたこの作品を撮ったのはイギリス人のローレンススラッシュという映像監督だ。欧米の人から見ると「ひきこもり」というのはとても特異なものに映るのだろう。そりゃ、そうだよな。日本人のワタクシにも特異なものに思えるもんなぁ。んーいや、その人たちのことを責めるようなことは言ってはいけないんだろうけど。

やっぱり欧米だと、子供は大学生になったり成人すれば家を出ていくのが当たり前だし、子供部屋に鍵などつけないのが普通だろうし、何日か部屋にこもっていればドカドカと親が入ってきそうだもんな。それでカウンセラーのところに連れて行かれるってこともあるのかな。それに、他のアジア諸国やアフリカなどでは「ひきこもり」を無条件で養い続けるだけの経済力が親にはないだろう。「ひきこもり」というものを作り出す妙な悪条件が日本という国にあるということなんだろう。

この作品はまず中学生の岡田宏根岸健太が塾でも学校でもなんとなく浮いていて、ある日を境に急に部屋から出てこなくなる。母親の淑子印南雅子は、何度か宏に扉ごしに話しかけたりはしてみるが完全に無視されたり、向こうから扉をバンバン叩かれたりする。それでも息子の体が心配だから部屋の前に食事だけは運び続ける。

これは映画の編集のせいなのか分からないけど、淑子はしばらく父親の透古澤豪にさえ、そのことを話していない。意を決して話してみるが、父親は無理やり宏を部屋から引きずり出そうとして失敗し、その一回きりのトライであとは何もしようとしない。専門家に相談をしようという淑子の提案にも世間に対してバレたら恥だからという理由で賛成しない。その後の淑子の相談にも「今日は疲れたから今度にしてくれ」と言う。夜中に息子が降りてきて冷蔵庫をあさったり、風呂に入ったりしていることが分かっているにも関わらず、その時間に息子となんとか話そうともしない。

この両親の姿はまさにいまの日本両親の姿だと言えるかもしれない。母親は献身的に息子に尽くし、父親は仕事が忙しくて家族の問題と向き合おうとしない、というよりも逃げている。世間の評判を気にするより、息子の精神状態や将来のことを気にしないのか。当然の疑問が浮かぶ。この状況をどうにかしようとあがいて失敗するならまだしも、何もせずに穏便に済まそうとするのはこの国の国民性のせいか。親戚や近所の人にもひた隠しにする姿が異常にも思える。

この両親の対応が弟雄平小栗研人にも影響してくる。明るかった弟が下を向くようになる。そして、ついに両親は別居。このときひきこもりの長男はメモで父親と一緒に行きたいと主張するが、なぜか映画では何の説明もなく母親と残ることに。父親は長男を拒否し、次男だけを連れて行ったものと思われる。

しかし、宏にとってはそれは幸いだったかもしれない。父親がいなくなりある意味自由になった母親が専門家に相談するようになるからだ。やはりこの問題は専門家に頼らなければ解決できないのではないかな。欲を言えば、ひきこもりという状態になる前に相談できる土壌ができていればいいのだけど。

この作品はドキュメンタリーではなく、フィクションとして描かれているのだけど、監督の撮影手法がとてもうまく、ドキュメンタリーなのかフィクションのドラマなのか見ていて分からなくなる場面がたくさんある。キャストたちが母親役の印南雅子以外はみな素人ということもあるのだろうけど、カメラワークなども妙に自然で家の中のどこかにカメラを置きっぱなしにして撮ったような印象があり、すごくうまい構成になっている。

ひきこもりに関してはもっと国として対策を練らなければいけないんじゃないかと思う。国はNPO法人にばかり頼っている場合ではない。もっと大規模に手を差し伸べてあげなければいけないんじゃないかと思う。彼らの中で外に出て行きたくないと思っている人は少ないのだろうし。

でもなぁ、日本の社会って窮屈だもんねー。なんかさ、こうじゃなきゃダメ、とかこうあるべき、みたいなのがたくさんあってね。もっとちゃらんぽらんでもいいんじゃないのーとか思っちゃうけど。夢を持つことが大事なんて言ってないでさ、なりたいものとかやりたいこととかなくってもいいんだよー、って言ってあげられる世の中のほうがいいような気がするんだけどなー。なんかね、スポーツ選手とか芸能人とか夢を叶えた人がキラキラ輝いているのを殊更に見せつけられると、その陰の部分にいる人が一層暗くなる気がする。別に人生なんて日々輝いてなくてもいいし、やりがいなんかなくてもいいし、夢なんて叶わないことがほとんどなんだけどなー。

日本の経済力のことで言うと一時はやった「ひろしです」っていう芸人が「ひきこもるほどのお金がありません!」って言ってたの思い出したな。まぁ、ワタクシも言わばその状態だけれども。ひきこもりの子供を養うお金があるなら、カウンセリングとかそういうことにお金を使ってほしいな。

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クロッシング

2010-07-28 | シネマ か行

韓国のキムテギュン監督が描く北朝鮮からの脱北者たちの物語。

炭鉱で働くヨンスチャインピョは妻ヨンハソヨンファと11歳の息子ジュニシンミョンチョルと貧しいながらも幸せに暮らしていたが、妻は栄養失調のため結核になってしまい、しかも彼女は妊娠していた。北朝鮮では結核の薬は手に入らないため、ヨンスは妻と息子を残し危険を冒して中国に渡り、出稼ぎでお金を貯めようとするが警察に見つかり、やむを得ずNPOの力を借りて中国からも脱出し、ドイツ大使館経由で韓国に行くことになる。

その間に妻は亡くなり、息子は父親を探しに中国へ向かうが国境を越えようとして捕まり収容所に入れられてしまう。たとえ11歳でも裏切り者の烙印を押された者は収容所生活を免れることはできなかった。

韓国から懸命に息子を探すヨンス。NPOの職員の力を借りてなんとかジュニを探しだし、モンゴル経由で脱北される手筈を整えたまでは良かったが…

北朝鮮から韓国へ来たヨンスが見たものは自分たちの生活からは到底想像することができない高層ビル群だった。目と鼻の先にこんな世界があったことにヨンスは絶句する。そして、妻の薬のために命をかけて国境を越えお金を貯めていた彼が韓国で薬局に行くと、結核の薬は保健所で無料で配布してくれるという。自分の国ではお金があっても手に入れることができない薬。それが韓国ではタダでもらえるのだという。一日でも早くこの世界に妻と息子を連れてきてやりたいと努力するヨンス。

たまにニュースなどで脱北者の報道などがされ、家族と離れて一人で脱北している人たちを見ると「どうして?」と思っていたけど、ヨンスのような事情がある場合も多いのだろう。誰だって家族と離ればなれになどなりたくないはずだ。

お母さんを頼むと言われた父との約束を果たせなかったことを悔やむ11歳のジュニ。彼は父母を敬う素直ないい子だ。ある意味、何もない北朝鮮だからこその素直さなのかもしれないと思うと複雑な気持ちになるけど。

この作品は100%北朝鮮のことを描いているんだけど、当然北朝鮮で撮影ができるわけはなく、韓国、中国、モンゴルなどで撮影が行われたそうだけど、実際北朝鮮の村などのセットはとてもリアルだった。それはこの作品が脱北者たちに綿密にインタビューをして撮影されたものだからなのだろう。いくらフィクションとはいえ、このような題材を扱っているのだからというキムテギュン監督の真摯な態度が見られる。

日本からも目と鼻の先にこの収容所国家が存在するんだよなぁ。なんか信じられないんだけど、よく隠し撮りなんかで映し出されている孤児などの姿がこの作品の中にもあった。でも、このことに関して日本人って何ができるんでしょう…正直なところどうしたらいいのか全然分からない。明日をも知れぬ生活を送っている人々がいる中で、ベルリンの壁のように内部から変わることを待っていてもダメなのかもしれないけど…中国やロシアにも大したことは望めなさそうだしなぁ。

と、いろいろなことを考えながら見ていたんだけど、この作品は「映画」という娯楽としてもとてもうまくできていると思う。テーマがテーマだけにこういうことを言うのはダメなのかもしれないけど、物語の運びにハラハラドキドキさせられる。でも、本物の脱北者たちはそれこそこんな経験をして、“ハラハラドキドキ”なんて言ってられないんだよね…やっぱりこういうことを言うのは不謹慎かな。

11歳のジュニがものすごく純真でフィクションとはいえなんとか助けてあげてほしかった。

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BOX~袴田事件 命とは

2010-07-27 | シネマ は行
1966年、静岡の味噌工場の経営者一家4人が殺害され、放火されるという事件が起こる。警察は従業員の中で親類ではなくかつ元ボクサーという袴田巌新井浩文を逮捕する。一貫して無罪を主張する袴田氏に対し、警察は執拗に長時間に渡る取り調べを行い、ついに袴田は嘘の自白をしてしまう。

自白以外に物的証拠が何もない裁判で3人いる裁判官のうちの一人熊本典道萩原聖人は、袴田氏は無罪じゃないかという思いを持ちながら証拠を吟味していた。

結局1審では3人の裁判官のうち、多数決で袴田氏に死刑が言い渡されてしまい、その後の上級裁判でも判決はくつがえらず、再審請求も却下される。

2007年にこの熊本氏は39年間、袴田氏の無罪を信じ、証拠の再検証の協力をするなどしてきたことを公表した。これは守秘義務に反するものであったが、熊本氏は自らの良心に従い、公表されたのだろう。

まずは袴田氏と熊本氏、双方の成長を見せ、事件の詳細、裁判の詳細を丁寧に描いている。高橋伴明監督の作品は初めて見たんだけど、彼はこの作品を見る者に袴田氏が有罪か無罪かを判断させるのではなく、きちんと袴田氏は無罪だという主張を持って撮ったということでその主張は一貫していて分かりやすく、小さな映画館での上映だけど、一般的な視聴者にも十分に受け入れられる内容となっている。

そして熊本氏を演じた萩原聖人がとても素晴らしかった。巨大な権力を打ち負かせない弱い自分を恥じ、苦悩に満ち、それでも自分のできる限りのことを尽くす誠実な熊本氏に萩原聖人はとてもよく合っていた。最後は熊本氏の苦悩と、独房で「走りたい」という欲求に押しつぶされていく袴田氏の苦悩が重なり合ってワタクシたちに訴えかけてきていた。

他の俳優陣が結構豪華なんだけど、袴田氏を追い詰める立松警部を演じていた石橋凌がやっぱりうまかったな。この人は人情派も演じることができるのに、こういうムカつくほどの悪役もとてもうまい。

足利事件の菅家さんのことや裁判員制度、取り調べの可視化関係のためか、このところテレビのドキュメンタリーなどでも冤罪が多く取り上げられている。今回の袴田事件を含めていくつかの事件のことを見たけど、どれもすべて警察や検察の決めつけや、保身といったものが見られる。捜査当局の単純なミスなどで不運にも冤罪となってしまった例というものは皆無に等しい。自白というものが証拠として採用される日本の裁判制度にも問題があるだろう。そして、取り調べの可視化を捜査当局がなぜ執拗に拒み続けるのかが理解できない。そこにはさまざまな形での強要が存在すると言っているようなものではないのか?真犯人の告白はプライベートなものでなければ引き出せないと言っていた警察官がいたが、それはワタクシにはただの言い訳にしか聞こえない。

「冤罪は明日自分の身にも降りかかるかもしれない恐ろしいこと」などというそれでもまだまだ他人事な言葉などでは済まされない、ワタクシたち一人ひとりにもっとできることがあるんじゃないか。取り調べの全面可視化の実現に向けてできることをやっていきたいと思わせる作品だった。
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トイストーリー3

2010-07-12 | シネマ た行
ピクサーの作品が大好きなワタクシですが、中でもこの「トイストーリー」シリーズはワタクシの中で1位、2位を争う作品です。「2」からもう11年も経っていたからすっかりこのシリーズは終わったものと考えていたんですが、今回「3」が来るということで楽しみにしていた反面、大好きなシリーズがしょうもないものになっていたらイヤだなぁという気持ちもありました。

ところが、この「3」はそんな心配を吹き飛ばすどころか、シリーズ中最高傑作と言ってもいい作品だったのです。

まず、アンディがちゃんと大学生に成長しているところがいいですね。それによってウッディやバズたちに起こる事件が今回描かれるってわけです。大学生になったアンディにウッディたちは捨てられてしまうのか!?これから大人になっていくアンディとはいつまでも遊べないことは分かっていても、自分たちを大事にとっておいてくれればいつかアンディの子供たちと遊べるかもしれない、と信じているウッディ。もう、この冒頭のウッディの気持ちを聞いただけでウルウルしちゃいました。他のおもちゃたちが悲観的になっても絶対にアンディを信じ続けるウッディ。けなげだなぁ。

いつも仲間たちは色々とウッディに文句をいっぱい言うし、仲間割れもするんだけど、ウッディは絶対に仲間を見捨てないんだよねー。そして、バズもとんちんかんながらいつもパワー全開でウッディの力になってくれる。バズはウッディよりもちょっと高度なおもちゃだけに今回も保育園の悪者のロッツォハグベアたちに出荷時初期モードにされちゃったりするからまたやっかい。

しかも、今回、まさかの!バズ・スペイン語バージョン!!!

もう、あのシーンばりばりウケたー。
まさかバズにラテンの血が流れていたとはねぇ。スペイン語バージョンになったら、すっかり性格もラテン系になっちゃって、腰をクネクネさせて情熱のダンスを踊っちゃったりするんだよねー。ジェシーにもやたらと積極的だし。考えてみたらアメリカのおもちゃだからね、いまスペイン語しか話さない人がアメリカにたくさんいるという社会情勢もふまえた展開なのよね。ほんと、ピクサーって目のつけどころがすごい。

今回、3Dがイヤで2Dで見たんですが、映像の迫力はそれでも凄かった。ウッディがハンググライダーで飛ぶシーンのグライダーの緑色の影でうっすらウッディが緑がかっているところとか、クライマックスのゴミ収集場のシーンもものすごくリアルで、前に座ってた3歳くらいの男の子なんて怖がって泣いちゃってたよ。本当にウッディやバズっていう生きているキャラクターが動いているのを普通にカメラでシューティングしているかのようだった。

ウッディやバズ以外のメンバーも健在でちゃんとみんなが活躍してくれるところがまたイイ。今回ジェシーはあんまり活躍しなかったけどね。もっぱらラテンバズの相手?体がバネになっている犬のスリンキーは、そのバネを利用して大活躍だし、ミスター&ミセスポテトヘッドは目、鼻、口などが取れるという性質を大いに活用させていた。特にミスターポテトヘッドがミスタートルティーヤになったりミスターキューカンバになったりするシーンには大ウケ。ワタクシの大好きなリトルグリーンメンも今回一番の活躍だったしねー。みんながちゃんとそのおもちゃの特性を生かして活躍するところがイイよね。

今回アンディがめちゃくちゃ良い子に育ってくれていたのもすごく嬉しかった。やっぱりウッディたちと遊んでいたからだよねぇって。

このシリーズはいつもホロッとさせられるんだけど、今回ホロッとどころかだだ泣きしてしまいました。大人も十二分に楽しめる作品だと思います。

2Dでは日本語吹き替え版しかなかったので、吹き替えで見たのですが、唐沢寿明所ジョージを始め、みんなすごく合っていて違和感ないです。ウッディなんか後半唐沢に見えてきちゃったもんね。ほんと。

吹き替えだったので、小さい子供がすごく多かったけど、思ったよりみんな静かに見てました。それだけ引きこまれていたってことではないでしょうか。笑うシーンもあからさまに大人と子供のウケるシーンが違うという感じではありませんでしたね。会場が一体になって笑っている感じで。お父さんもお母さんも子供たちと同じように楽しんでいたと思います。

この作品、アメリカで見ていたら最後拍手が起こるんじゃないかなと思うくらいのデキです。最後に流れるお馴染みのテーマソングがスペイン語バージョンだったのも最後まで笑わせてくれました。

オマケ本編の前に流れる「ナイト&デイ」もメッセージ性のあるかなりの傑作でした。
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88ミニッツ

2010-07-08 | シネマ あ行

9年前、FBI異常犯罪分析医ジャックグラムアルパチーノの証言で死刑が確定した連続猟奇殺人犯フォスターニールマクドノーの死刑執行が近づき、獄中にいるフォスターと同じ手口の犯罪が起こる。フォスターは無実なのか?真犯人は誰なのか?そんな中、ジャックグラムに「お前の命はあと88分」という脅迫電話がかかる。

88分というのはジャックにとっては因縁の数字で、それは劇中で明らかにされます。9年前の事件のとき、フォスターが犯人だと思いながら完全な証拠がなかったために、ジャックは被害者に偽証させていた。そのことがジャックの頭に引っかかる。もしかして、本当にフォスターは無実なのか?その疑いが観客の頭にも引っかかる。ジャックは分析医だが、決して正義の味方というキャラクターではない。悪い奴は誰なのか?犯人はコイツ?はたまたコイツか?という思わせぶりなシーンを数々挟みながらジャックの残り88分が迫ってくる。

アルパチーノの周りには美女がいっぱい。捜査を手伝う学生のキムアリシアウィット、この事件絡みで何者かに暴行されるローレンダグラスリリーソビエツキー、学生課部長のキャロルデボラカーラアンガー、事務所のシェリーエイミーブレネマン。この女優さんたちのキャスティングが大物じゃないけどちょっと有名な人たちを使っているだけに誰が犯人でもおかしくない感じをさらにアップさせている。

当時67歳のアルパチーノがシアトルの町を駆けずり回るんだけど、やっぱり強烈な個性を持った役者さんだなぁという感じ。全身からエネルギーがみなぎっている。なんかあの眼力で説得されると負けちゃう気がするもんね。舞台がシアトルで秋なのはやっぱこういう話だし、いっぱい雨を降らしたいからかなぁと思ったり。

最後のオチはまぁ、「ふーん」という感じがしないでもないんだけど、一応すっきり解決してくれて良かった。ほぼ一人の力であそこまで映画全部を引っ張っちゃうアルパチーノってやっぱすごいなと再認識した作品でした。

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レポゼッションメン

2010-07-07 | シネマ ら行
鑑賞券が当たったので見に行ってきました。

近未来、人間のすべての体のパーツは人工で製造することができるようになり、ユニオン社はその機械のパーツを売っていた。そのパーツは高額でローンを組んで購入するのだが、そのローンが滞ると“レポゼッションメン”(回収屋)がやってきて、そのパーツを“差し押さえ”ていく。当然内臓を差し押さえられた人を待つのは死のみ。幼馴染のレミージュードロウとジェイクフォレストウィティカーはそんな回収屋をゲームを楽しむようにやっていた。

そんなある日、レミーは人工心臓の回収に行き、機械の故障で気を失い、意識不明のままユニオン社の人工心臓を埋められてしまう。その人工心臓の多額のローンを負ったレミーは同じく債権者であるベスアリシーブラガとともに回収屋から逃げながら、会社にある自分たちのローンの記録を消去しようとする。

ジュードロウにこういうムキムッキーな役ってどうなのかなー。なんかあんまりガラじゃないって気がしたな。彼はもっとスマートな都会的な役のほうが似合うな。それにM字ハゲを通り越して山伏みたいになっていたのが気になった。ところどころ小さい十円ハゲみたいのがあったけど、あれは百戦錬磨のキズ?共演のフォレストウィティカーは鶴瓶にそっくりやし、ジュードもM字で見ている間中、鶴瓶が浮かんでしょうがなかったよ。

この人工臓器を回収してまわるっていう発想はすごく面白いなと思いました。臓器の回収ですからね、実際映像的にはエグいところも多々ありまして。それで、R-15なのかな。エグかったけど、ワタクシは面白かったです。しかしまぁ、人工臓器にしてる人の多いこと多いこと。どんだけ不健康よ?さすがアメリカ?ってこんなこと言ったら怒られるな。

ベスとの出会いから、二人の関係が発展していくところはちょっとなんかチープな感じがしましたね。ネタバレになってしまうけど、最後の最後にある時点に戻るってことになるんだけど、その時点の前にあったことと、後にあったことっていうのが見終わったあとごっちゃになっていて、どこからが例の仮想現実で、どこまでが実際に起こったことなのか分かんなくなっちゃったなー。クライマックスの体切り刻み&スキャンは確実に仮想現実だけど。そうじゃなきゃ怖すぎる~。

しかし、レミーは仕事中の事故(誰かさんの仕業だったことがあとで分かるけど)で人工心臓を入れられたにも関わらず、労災利かないの?ユニオン社ってやっぱ悪徳だから?そのへんちょっと気になる。それにあんなに派手に回収作業やって、あんなにスラムみたいなところに逃げ込んでる人がいるにも関わらず世間はそれを知らないってちょっとありえないなぁと。

もうちょっとスマートに作ってくれたらもっとイイ作品になっただろうになぁと思うんですが、見ている間は十分に楽しめたし、オチはワタクシはそんなに嫌いじゃないです。SFものが好きな人と、ジュードファンには良いんじゃないでしょうか。
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踊る大捜査線 THE MOVIE3~ヤツらを解放せよ!

2010-07-06 | シネマ あ行

ワタクシもうちのにゃおも「踊る」シリーズは大好きなので、7年ぶりの「踊る」公開初日に張り切って行ってまいりましたよ。

やっぱりこのシリーズは映画館も超満員でみんなの「待ってました!」っていう声が聞こえるようです。映画館もテーマソングずーーーっと流して盛り上がりまくり。

係長になった青島俊作織田裕二は今回引っ越し対策本部長に任命されておりまして、新しくできた湾岸署のお引越しに大忙しですね。この最初のシーンからダダダダダーっとお馴染みのメンバーが登場して、いよいよ始まるぞーってほんとにワクワクしました。

個人的には交通課の新人警官だった篠原夏美内田有紀が“女版青島”として青島の課に配属されてきたのがものすごく嬉しかったです。「そうそう、そう言えば内田有紀ちゃんも踊るファミリーだったんだぁ」みたいな。こんなふうにちゃんと昔からのキャラを大切にしてくれるところが好きです。
新キャストとして、和久さんの甥っ子和久伸次郎伊藤淳史。彼が持ってる和久ノートですがね、、、あんな使いかたってちょっともったいないなぁ。もっと本当にいいところで登場しないと。あんなむやみやたらと読み上げられてもありがたみが半減してしまった。
そして、これは新しい客寄せパンダなの?と思った本店と所轄の調整役鳥飼誠一小栗旬。彼の存在もちょっと中途半端だったかなぁ。あーいうキャラにするなら最後には熱い青島ともっと戦わせなきゃいけなかったんじゃないかな。
あとはなんと言ってもワンさん!滝藤賢一。この人なんのために出てるんだろう?ただのにぎやかし?って思ってたら、「中国6000年の歴史っ」ってやってくれちゃうんだよなー。あそこ、一番ウケたかも。

あのキャビアデートから7年も経ってすみれさん深津絵理と青島とはどうなっているのか!?っていうのが実は一番気になっていたところなんですけど、あんたら、なーんも変わってないのね…と。ここはもうちょっと進展があっても良かったんじゃないの?「X-ファイル」のモルダーとスカリーみたいにちゃんとくっついてよ。スピンオフで「青島君とすみれさん」って作って。いやーそれにしても、ふかっちゃんは綺麗だなぁ。このシリーズを通して13歳年を取ってるはずなのにどんどん綺麗になってるんだから、どーゆーことよ?ワタクシは内田有紀ちゃんのファンだけど、この作品中では完全にふかっちゃんのほうがめちゃくちゃ綺麗だった。すみれさんは今回シリアスな演技が多かったですね。でも、青島が余命いくばくもないなんて一人で思い込んでるもんだから、彼女がシリアスに演技をすればするほど観客が笑うというとても不思議な状態になっていたのが最高だった。

いつも笑わせてくれるスリーアミーゴス北村総一郎小野武彦斉藤暁はいつも通り最高でした。あのメイクで記者会見とかのところは確かにやり過ぎだけど、それでもウケた。最後ではせっかくカッコつけたのにねぇ…やっぱりダメだったな。

今回は室井さん柳葉敏郎と青島のからみが超少なくて、しかも最後に取ってつけてようにあっただけなのがすごく残念だった。室井さん、警察庁ナンバー2?そこまで偉くなっちゃったらもう青島と関わってるヒマないよね。自分がするのは政治だって言ってたし。

真下ユースケサンタマリアも偉くなっちゃってねぇ。忘れがちだけど実は彼もキャリア組だからね。奥さんの雪乃さんが今回は出ないのが残念だった。

これで主要キャストはひととおり網羅しましたかね。このキャストに再び会えただけでも許しちゃいたくはなるんだけど、やっぱり今回、お話自体はねぇ…若者がインターネットでどうのこうのっていうのもなんか目新しさがないしなぁ。日向真奈美小泉今日子を登場させるならもっとゾッとするようなことやってほしかったな。室井さんの命令で青島が説得に行くけど、大して説得できてなかったし。

なんか湾岸署のメンバーと本店の人たちだけでいっぱい詰め込まなきゃいけないし、事件も起こさなきゃいけないしで無理やり作った感があったなぁ。広くあさ~くって感じで。どんなに人気のあるシリーズでも脚本がしっかりしてなきゃ面白くないんだよね。「踊る」人気だけで突っ切っちゃえば誰にも気付かれないとでも思ってる?っていう感じのデキでした。もうこのシリーズは終わりなのかな?もし、また作るとしたらもっといい脚本で作ってほしいです。好きなシリーズだけに頑張って欲しい。

オマケ稲垣吾郎がワンシーンしかないのに、エンドロールでヘアメイクさんまで紹介されていたのが面白かったです。ゴローちゃんやっぱり髪が命なんだね。

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