シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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ノックノック

2017-09-25 | シネマ な行

まぁなんとくだらない作品なんでしょう(笑)

家族思いの男エヴァンキアヌリーブス。妻子は週末旅行に出かけ自分は仕事の都合で家に残ることに。そこへやってきた若い女の子2人。ジェネシスロレンツァイッツォとベルアナデアルマス。友達の家のパーティに来たが場所が分からず大雨の中タクシーもつかまらず、携帯も水没したのでネットを貸してほしいとやってくる。親切心から2人を家にいれてあげたエヴァンはそこから地獄を見ることに。

なんだかんだ手を変え品を変えエヴァンを誘惑してくる2人。こいつらおかしいぞと誘惑をかわしつつも若い女の子2人にきついことも言えないエヴァン。長い間誘惑を突っぱねていたエヴァンだったが最後は2人に屈服し・・・ていうかあれはもうレイプです。

翌朝起きてみると2人が家のキッチンを無茶苦茶にして朝ごはん中。「もう帰りなさい。送っていくから」というエヴァンに「ヤダねー」と2人。自分たちは15歳なのにエヴァンが犯しただの、性犯罪者は警察に捕まるだの言ってくる。

最終的にエヴァンは縛り上げられ、ベッドにくくりつけられてまた犯されそこを動画に撮られSNSにアップされちゃう。家の中はぐちゃぐちゃにされるし、お金あげるからとか言っても2人は聞き入れず結局一体何が目的なのかさっぱり分からない。

まーーーーーほんっとーーーーにくだらない映画です。でもなんかおもろかった。バカバカし過ぎてというところかな。何も残らないけど、途中は大笑いしながら見ちゃいました。それをキアヌが大真面目にやっちゃうもんだから余計に。これ、全然無名の人がやってたら全然ダメやったと思うんですけどね。キアヌだからこそおもろい。キアヌって名作にも出てるけど、こういうくだらんのも好きよねぇ。

この2人をただ娯楽のためにやってると見ると「ファニーゲーム」の劣化版か?と見ることもできるけど、女の子2人があそこまで体張ってってとこがなぁ。「ファニーゲーム」の男たちより自分にふりかかるリスクが大きいよね。それも彼女たちにとってはゲームのうちかもしれませんが。ベルが最後にエヴァンに「結局私たちを断る男はいままで一人もいない。あなたは言うかと思ったのに」なんて言いますが、それで世の男性の道徳観を正そうとしているのか???

とまぁあんまり真剣に分析することもないか。「くっだらねー」と言いつつ最後まで見るもよし、途中でやめるもよしです(笑)途中でやめても特に損はないと思います。

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ニュースの真相

2017-09-20 | シネマ な行

2004年ブッシュ大統領の軍歴詐称を指摘したCBSニュースだったが、その証拠の文書が捏造だと指摘され…

CBSの報道プロデューサーだったメアリーメイプスケイトブランシェットの自伝を映画化。アブグレイブ刑務所での米軍による受刑者虐待をスクープした人。しかしブッシュの軍歴詐称では文書の捏造を裏を取らずに報道したことで彼女のチームの首が飛んだ。

「質問することをやめればこの国は終わり」彼女の報道姿勢はその信念に基づいていた。その信念に間違いはないし、その姿勢は素晴らしいものだったが、大統領選の時期もあってスクープを焦り過ぎたか、左翼的な思想がブッシュ失脚を望み過ぎたか、とにかく彼女は道を誤った。

確かにこの一件に関しては、勇み足だったと思う。映画の中で指摘されているように情報源に対して「ちゃんと守る」と言っていたのに、体の調子が悪い老人を表舞台に引きずり出すことになってしまったこともどこかで尊い仕事をしている自分は特別だと感じていたことも否定できないと思う。

最後にメイプスが調査会でぶちまけたように、実際にあのキリアンメモがワードで書かれたかどうかという議論に終始してしまい、ブッシュの軍歴詐称の話はどこかに吹き飛んでしまった。現代の日本でもよくあることだが、議論の中心であるべきことがいつのまにか隅に追いやられて、「そこ?」みたいな議論が延々と続き人々の関心もそちらに移ってしまう。そうなると元の議論に戻すことはほぼ不可能であったりする。

もちろん、メイプスのチームが道を誤ったことは認めるし、「そのせいで」と言われてしまえばそれまでだけど、元の議論が吹っ飛んでしまったことは非常に残念だし、局は結局そこを追及せずに人の首を切って終わりにしてしまったことも残念でならない。

それにしても、ヤフーのこの作品のレビューがそれぞれの政治的な考えの違いで大幅に振れていることが興味深い。

映画的に言うと、ケイトブランシェットもキャスターのダンラザーを演じるロバートレッドフォードもいつも通りやたらとカッコ良かったんだけど、メイプスが集めた優秀そうなリサーチチームの面々の動きがいまいち分からずせっかく集めたチームを活用しきれていないように見えたのが残念だった。

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なんちゃって家族

2017-03-17 | シネマ な行

チンケな麻薬の売人のデヴィッドジェイソンサダイキスはボスに渡すはずのブツと金を盗まれてしまい、その埋め合わせにメキシコから大量の麻薬を密輸入するという大きな仕事をさせられることに。どう考えても国境で捕まってしまうと悩んだ彼は、どこにでもいる普通の家族になりきって運べば怪しまれないと思いつく。

そこで、同じアパートに住むストリッパーのローズジェニファーアニストンを母親役に誘い、いつもフレンドリーに接してくる高校生ケニーウィルポーターを長男役、アパートの周りをよくうろついてる不良の女の子ケイシーエマロバーツを長女役に誘う。お金目当てとかただ退屈しのぎとかそれぞれ理由があって参加することになったメンバーが、はちゃめちゃでトラブル続きの旅をすることになる。

このブログで何度か取り上げていますが、ジェイソンサダイキスは日本では無名ですが、アメリカでは有名なコメディアン。ワタクシは結構彼好きなんですが、日本ではほとんど彼の作品は取り上げられることがないですね。ジェニファーアニストンは映画界では大成していないけど、やはり「フレンズ」で培ったコメディセンスは光るものがある。エマロバーツはこの作品のころはまだ有名とまでいってなかったのかな。当然だけど、いまより幼い雰囲気が可愛い。でも不良の役だからかなりきわどいセリフも平気で言っちゃうギャップが良いですね。ひとり真面目な童貞君を演じるウィルポーターは「ナルニア国物語」で主役4人の従兄弟役でしたね。彼がめちゃいい味出してました。

アメリカのコメディにありがちな展開で、かなり下品なシーンやセリフも多いです。ワタクシはこういう系は大好きなので非常に楽しめました。そして、こういう系の話にありがちななんだかんだ言ってみんないい奴なんだよなーっていうパターンが好きです。麻薬を密輸しようっていうのに、いい奴ってなんだよ。そんなのダメだよ、と思う人は全然ダメな作品だと思いますが。

ワタクシはだいたい邦題は好きじゃないという場合が多いですが、この「なんちゃって家族」っていうのは結構好きだな。本当に彼ら「なんちゃって家族」って感じだし。長女役のケイシーが変な男に着いて行っちゃったときのデヴィッドとローズの心配の仕方なんて、本当のパパとママみたいで笑っちゃう。童貞君のケニーにキスの仕方を教えるケイシーとローズはちょっと調子に乗り過ぎちゃって、もちろんあれは“なんちゃって”家族だからできることなんだけど。

犯罪者が主役のコメディですから、物語も不道徳だし、オチも彼らに都合よくできています。それでも笑い飛ばせる方はぜひ。

オマケコメディ映画によくあるように最後にNGシーンが流れるのですが、カーラジオでみんなで音楽を聴くシーンでジェニファーアニストンにだけ内緒で「フレンズ」のテーマソングが突然流れるというドッキリが面白かったです。

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ナイスガイズ

2017-02-24 | シネマ な行

なんか全然宣伝されてない作品ですが、ラッセルクロウライアンゴスリングが好きなので見に行きました。70年代が舞台っていうのも好きなカテゴリーです。

腕っ節の強い示談屋ヒーリー(クロウ)はアメリアマーガレットクアリーという少女に雇われ、彼女を探し回っているという男と示談しに行く。その男というのが私立探偵のホランドマーチ(ゴスリング)。ヒーリーの示談というのは実際にはボコボコにして言うことをきかせるというもの。ヒーリーはマーチをボコってアメリアにつきまとうなと言う。

家に帰ったヒーリーは2人組の男に襲われ、アメリアの居場所を教えろと脅される。なんとか2人を追っ払ったヒーリーはアメリアの命が狙われていると知り、今度はマーチにアメリアを探すよう依頼する。マーチはアメリアの居場所を知っているとヒーリーを大気汚染に反対するデモに連れて行く。その団体を率いているのがアメリアだと言うマーチだったが、そこにアメリアはおらず、ボーイフレンドが火事で死んだからだと聞かされる。

こうして2人とマーチの13歳の娘ホリーアンガーリーライスも行きがかり上加わって、ひとつの手掛かりから次の手掛かりへと探っていくうちに、自動車メーカーの大気汚染問題、ポルノ問題、司法省長官キムベイジンガーまで続く大きな社会問題につながる事件だということが分かってくる。

この社会問題なんかもとても70年代的。ラジオで光化学スモッグ汚染の注意報なんかが流れていて、懐かしい気がした。日本でもワタクシが小さいころはよく光化学スモッグの注意報が出ていました。

もちろん舞台が70年代なんだから当たり前なんだけど、登場する人たちのファッションや家の内装なんかがすごくいい感じ。マーチが娘のホリーに"and stuff"って言うのをやめなさいって何度か言っていて字幕では「~とか」となっていたけど、当時の若者言葉で大人が聞いたらちょっとイラッとする感じだったんでしょうね。

ライアンゴスリングという人はハリウッド男前ランキング上位に常にランクインしている人なんだけど、こういうコメディもいけちゃうというのはすでに証明済み。だいたい変な役の時は変なヒゲでちょっと男前を崩して現れる。このドンくさいけど、実は頭は切れるというマーチを男前が演じるっていうのが絶妙ですね。

ラッセルクロウも腕っ節は強いけど、子供たちには優しい男っていうのがぴったりで。頼りがいありまくり。彼といたら絶対大丈夫って無条件に思わせてくれる。

そして、マーチの娘を演じたアンガーリーライスちゃんが良かった。よく見ると顔も可愛いんだけど、キャラのせいで見た目の可愛さが隠れていたかも。13歳でパパに生意気言ったりもするけど、全然憎らしくなくて可愛い。パパがダメ男だから彼女の良さが引き立つというか、彼女のツッコミにダメなパパは救われてる。

現代のようにネットでちょちょっと調べれば何でも分かるっていう時代じゃないから、泥臭く聞き込みとかして回る姿がかえって若い人たちには新鮮かも。ワタクシはこの時代を生きてきたわけじゃないけど、昔のドラマの雰囲気があってやっぱりどこか懐かしい。

ライアンゴスリングのコメディセンスがめちゃくちゃ光って、ラッセルクロウもなかなかにその間(マ)にうまくハマっていて、意外な顔合わせがまさにナイスはケミストリーを生み出していた。これはぜひ続編作って欲しい。

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ニュートンナイト~自由の旗を掲げた男

2017-02-08 | シネマ な行

南北戦争時代のアメリカ。まだ少年と言えるほどの年齢の甥が徴兵され、目の前で殺されたニュートンナイトマシューマコノヒーは甥の遺体を故郷に届けるべく戦線を離脱。元々金持ちが奴隷制を維持するために奴隷も持たない貧乏人が代理で戦争しているという考えだった彼は、そのまま脱走兵となる。

南軍は軍隊のためと貧乏な農民から農作物や家畜を搾取していく。残された女性と子供たちに銃を持たせ、南軍を追い払ったナイトはお尋ね者となったため、南部の沼に逃げ匿ってもらう。そこでは逃亡した奴隷たちがひっそりと生活をしていた。

そこでナイトは逃亡奴隷たちと、同じく南軍から逃れてきた白人たちを率いて南軍の搾取と戦うことになる。

ナイトは生まれも育ちも南部だが、貧乏な家で奴隷制とは遠いところで育ってきたのだろう。金持ちの白人に搾取される奴隷たちと自分たちに何の違いもないという価値観を持っていた。そして、どこかカリスマ性のある彼は自然とたくさんの人を率いるリーダーとなっていく。こういうカリスマ性のあるリーダーをやらせたら、マシューマコノヒーのカッコいいことカッコいいこと。

南北戦争の陰にこんな人がいたなんてことはもしかしたらアメリカでも知られていなかったことなのかな。彼は南軍から奪取した土地で「Free State of Jones」という名前を掲げて独立宣言までしてみせた。(もちろん、北軍も南軍もそんなものを国とは認めなかっただろうけど)彼の国でのルールは「人はみな人」ということが基本にあった。黒人も白人もみな人。誰も自分が種を蒔いた作物を搾取されてはならない。そんな当たり前のルールがどんなに貴重なものであったか。

南北戦争時代のアメリカの合間合間に時折挟まれる裁判の様子。ナイトの時代から80年以上経ったアメリカ南部。最初はいまいち何のことか分からないのだけど、どうやらナイトと黒人女性レイチェルググ・ンバータ=ローの間に生まれた子の子孫が白人と結婚したかどで裁かれているようだ。いわゆるOne-Drop Ruleというやつで、8分の一黒人が入っている彼は白人の女性と結婚することは法律違反で罪に問われていた。

先祖のナイトが達成したかったことは3世代下の時代になってもまだ達成されていなかった。しかし、ナイトの血を引く彼は裁判に屈せず、結婚を取りやめないと言ったため投獄される。

ナイトの時代では、戦争が終わり奴隷解放宣言がなされたのもつかの間、リンカーン大統領の次のジョンソン大統領になると“年季奉公”と称し実質奴隷制を復活させる。選挙権を与えられた黒人たちもKKKの妨害に遭い、先導する者はリンチで殺されてしまう。

それでもナイトは北部に逃げることはせず故郷の南部に留まり続けた。(それゆえに3世代下の子孫が裁判にかけられるハメになるのだけど、おそらく彼も自分の故郷を離れようとは思わなかったのだろう)

映画としてはちょっと冗長な部分があり、後半少しダレてくるところもある。歴史の勉強としてはとてもいいし、心に残る力強い作品ではあるのだけど、140分の映画にしてしまうよりHBOあたりのミニシリーズにして歴史的な背景なんかもじっくり描いたほうが良かった題材だった気はする。

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ナイトクローラー

2015-08-25 | シネマ な行

銅線やマンホールを盗んでそれを売るお金で生活をしているコソ泥のルイスブルームジェイクギレンホール。ある夜たまたま交通事故現場を撮影するパパラッチを見て、自分もやってみようと思いつく。初めはちゃちい個人用のホームビデオカメラをゲット。(当然それも自転車を盗んでそれと交換した)

警察無線を傍受し、警察内で使われるコードを覚え、ついに銃撃事件の被害者に近づき血がどくどく流れる映像を撮ることができたルイスは、深夜枠のニュース番組のディレクターニーナロミナレネルッソに売り込みをかける。初めて映像を売ることに成功したルイスはニーナに自分を売り込み、これからもいいものが撮れたら買い取ってもらえるよう話をつける。

視聴率の低迷に苦しむニーナは、ルイスに過激な映像を撮ってくるように求め、ルイスも自分はこの仕事に向いているとどんどんエスカレートしていくことになる。

ジェイクギレンホールは12キロも痩せてこの役に挑んだそうです。頬が痩せこけてただでさえ大きい目が余計にぎらぎらギョロギョロして、目の下にクマがあって気持ちの悪い男を演じている。このルイスという男は見た目だけではなくて性格も気持ちが悪い。学歴はないらしいんだけど、オンラインでビジネスを学んだとか、勤勉で覚えが良いとかやたらと自己評価が高い。まぁ、アメリカ人が就職活動をするためには自分を売り込まないといけないから、自己アピールが激しいのは普通なのかもしれないけど、彼の場合、なぁんかそのなんの裏付けもない自信が気持ち悪かった。なんかその自信でニーナに関係を迫ったりするのも超キモかったけど、結局視聴率のためにニーナもルイスの言いなりになるんですね。

だからルイスが撮るものがどんどんエスカレートしていって、倫理的にも法的にもどうなの?ってことをやるようになってもまるで違和感がなくて逆にそこに不気味さを感じることができなかった。もっとどこにでもいる普通の人がどんどん踏み外していくって感じだったほうが良かった気がするんですよねぇ。そこがちょっと残念。

それにしても日本でも事件や事故の現場にズカズカと入って行って関係者に無神経なことを聞いたりしてムカつくなぁと思うんですけど、このナイトクローラーたちはそれとは比べ物にならないほどハゲタカ状態ですね。ライバルのナイトクローラービルパクストンが現場に向かう途中に追突事故を起こすシーンがありますが、本当にいつあーゆーことになってもおかしくないくらい。警察は何してるんだろう?って思いました。一人だけ刑事がルイスを連行して尋問したりしていますが、結局普通に釈放されているし。なんらかの罪に問えないのかな?

そんな奴らを野放しにした上、高額で買い取るテレビ局も要するに過激な映像を視聴者が望んでいるからだというわけで、愚民どもの風刺になっているんでしょう。そこんところは否定できないのが悲しいですね。

ワタクシはあまり高い評価をつけていませんが、世間の評価はとても高いようなので、ちょっとワタクシの評価はあてにならないかもしれません。ジェイクギレンホールの怪演は見る価値ありだと思います。ギョロ目のキモい男の次は筋肉モリモリのボクサー役が見られるみたいです。

オマケアメリカでは「ジェイクジレンホール」と発音されているようですが、日本での一般的な呼び名に習います。

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25年目の弦楽四重奏

2015-01-23 | シネマ な行

公開されたときに見たかったのですが、見逃していて今回ケーブルテレビで見ました。

結成25周年を迎えた弦楽四重奏団のチェリスト・ピータークリストファーウォーケンがパーキンソン病を患っていることが判明し、引退を示唆したことから他のメンバーにも不協和音が生じていく。

この四重奏団を結成した第一ヴァイオリンのダニエルマークイヴァニールは粛々とその事実を受け入れピーターの次に誰を入れるかという話合いをピーターとしている。

母親がピーター組んでいたヴィオラのジュリエットキャサリンキーナーは家族同然でやってきたピーターの発病と引退に大きく動揺し、ピーターが抜けるなんて認めないとあがく。

ジュリエットの夫で第二ヴァイオリンのロバートフィリップシーモアホフマンはこれを機に自分にも第一ヴァイオリンのパートを弾くチャンスが欲しいと画策する。

ジュリエットとロバートは夫婦でその娘のアレクサンドライモージェンプーツもヴァイオリンを習っていて大学ではピーターの授業を受け、ダニエルから個人レッスンを受けている。ジュリエットとダニエルはどうやら元恋人同士らしいのだが、アレクサンドラがダニエルに恋をし、ダニエルもその気持ちを受け入れてしまったもんだからやっかいなことになった。激怒するロバートとジュリエットだったが、ダニエルは悪びれもしない。ダニエルとの関係についてジュリエットに責められたアレクサンドラは、ツアーばかりで子育てなどしてこなかった母親への不満をぶちまける。

ロバートとダニエルは妻や娘のこと以外でも何かの意見の相違がある。時には冒険をして暗譜で演奏会をしようと提案するロバートをダニエルは一蹴した。

第一ヴァイオリンのパートもやりたいと望むロバートだったが、妻のジュリエットはロバートの才能は第二ヴァイオリンにふさわしいと言いロバートは傷つく。それもあって以前から仲良くしていたダンサーと不倫してしまうロバート。その不倫はすぐにジュリエットにばれ、家を追い出される。

マークイヴァニールという役者さんのことは顔を知っているくらいで分からないのだけど、クリストファーウォーケン、キャサリンキーナー、フィリップシーモアホフマンと聞けばもうかなりの演技合戦を期待して見てしまうはず。クリストファーウォーケンは最近、「おぉ~クリストファーウォーケン、こんなとこに出てるんかー」みたいなちょっとしたゲスト出演的という感じのが増えていた気がするので、ここまで落ち着いてウォーケンの演技を見られるのは嬉しかった。そして、夫婦役のキーナーとホフマンの息がぴったりで演技していても気持ちいいだろうなと思わせた。物語そのものよりもむしろ演技合戦を見たいという人のほうがこの作品に良い点数をつけているかもしれません。

ワタクシはクラシック音楽のことは全然分からないのでベートーベンの弦楽四重奏曲第14番なんて全然知らないんだけど、全7楽章をまったく途切れなく弾き続けなければならず、途中で調弦が狂ってもそのまま弾き続けるしかないのだそうだ。25周年コンサートでそれを演奏しようとする4人なのだけど、4人の仲がぐちゃぐちゃでうまくいきそうもない。

が、多分プロの音楽家たちのことだから舞台に上がってしまえばお互いのいざこざなんて全部吹き飛んでしまうのだろう。それがすべて表現される最後の演奏会のシーンは素晴らしかったし、ダニエルがすっと楽譜を閉じたときには涙さえ出そうになった。

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NOノー

2014-09-02 | シネマ な行

1988年チリ。軍事独裁を続けるアウグストピノチェト政権の信任継続延長を問う国民投票が行われることになった。ピノチェト政権は政治犯の拷問・投獄などを行っていたが経済的成長を成し遂げたため、国民に間では信任派がたくさんいた。庶民の間では長らくの独裁のため政治に期待しても無駄というあきらめムードもあり、当初は信任派が勝つであろうとされていた。

広告マンのレネサアベドラガエルガルシアベルナルは信任継続反対派の中心人物である友人ウルティアルイスニエッコから依頼を受け、信任派、反対派が選挙期間中にそれぞれ1日15分間流すテレビCMを作成することになる。

まず軍事独裁政権に対する信任投票でYESに投票する人のほうが多いと考えられていたという状況に驚いた。ブルジョア層は別としても庶民層までもが経済的発展を理由に数々の政治犯を逮捕・拷問・監禁している政権にYESというのだということに愕然とした。

当然NO派は、政権が行っている拷問での死者の数、行方不明者の数などを並べ立てたCMを作る。

広告マンのレネは言う。「こんなの楽しくない」

「は?」

である。

人々を苦しめる軍事独裁政権にNOと言うのに、「楽しくない」とは何事だ?と上層部と揉めるレネ。レネには広告マンとして確固たる自信があった。いくら正しいメッセージでも暗くて辛いだけのCMに人々は心惹かれないのだと。人々が目をやるのは楽しくて喜びにあふれて未来を感じさせるCMだと。

軍事政権側から嫌がらせを受けながらも着々とCMを作成するNO派。徐々に人々の間にNO派が増えていく。。。

という展開でレネのCMが人々の心を掴み、NO派が増えていっているっていうのはもちろん歴史が証明していることだから分かるんだけど、実はこの作品の作りではいまいち分かりにくい。巷に溢れるNOバッジとYESバッジではNOバッジしか売れないからYESバッジは置いていないとかいうニュースが流れたりはするんだけど、これもNO側が流している番組の一部だからこれが宣伝なのか事実なのか分からない。

この作品の場合、軍事独裁政権にNOと言う事によって人々が解放されたということを知っているからレネの作ったCMは素晴らしいという評価を下しがちだけど、これはどちらの側に使われてもおかしくはないわけで、CMで世論を変えることができるという証明としては、ある意味ではとても怖いことだなぁと思った。小泉政権が繰り広げたワンイシュー選挙を通じるものを感じた。世論なんて簡単にころっと騙されるものだなぁと。騙されるというと人聞きが悪いですが。

レネとYES派の上司ルチョグスマンアルフレドカストロの関係が興味深かった。グスマンはYES派でNO派に加担するレネに対して脅してみたり昇進の条件を出して懐柔してみたり、汚い手も辞さない雰囲気でレネを説得にかかるんだけど、レネの妻ベロニカアントニアセヘルスがデモで逮捕されたときなどは、当局に口を聞いて釈放させてくれて「上司の仕事だから」と言ったりして、政治的信条が違うというだけで友人には変わりないという態度でいた。

1988年の雰囲気を出すためか、ビンテージカメラで撮影されたらしく逆光がまぶしく映像も荒くて見にくい。確かに昔の時代の雰囲気は出てるんだけど、ワタクシはいまの普通の映像で撮ってくれたほうが見やすかったなぁという気がした。

レネに関して、レネのお父さんもどうやら政治犯的な人だったらしく、レネには海外で暮らした経験がある、とか、奥さんは別に男の人と暮らしている、とか、はっきり語られないけどほのめかされるだけということが多くてちょっと謎な部分も多かったです。

ガエルガルシアベルナルは顔が可愛らしくて背も小さいから、大人の役者になりきれるのかなーと余計な心配をしていましたが、こういう役をやってもまったく違和感がなくなってきました。これからも楽しみな役者さんです。

小さな劇場ではありますが、立ち見が出ていました。注目されている作品のようですね。

オマケ話と全然関係ないんですが、ガエルくんの後ろ髪が1、2本ちょろっと長いのが気になって仕方ありませんでした。本物のサアベドラさんがそういう髪型だったのかな。

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ノア~約束の舟

2014-06-26 | シネマ な行

我らがハーマイオニーことエマワトソンが出ているので見に行こうと決めていました。ラッセルクロウジェニファーコネリーも結構好きなので。

お話はお馴染みの「ノアの方舟」なんですが、開けてビックリですよ、このお話。いいの?聖書に載ってるお話をこんなにしちゃって。ワタクシはキリスト教徒じゃないから別にいいけどさ、これ、キリスト教徒が見たら怒らない?お馴染みの、なんて書いちゃったけど全然お馴染みじゃないよ。まったく違う話になっちゃってる。

人間が悪い事ばかりするので神が怒って洪水で一掃する。神からのお告げを聞いたノア(クロウ)は箱舟を作り生き物のつがいを乗せ、家族を乗せ洪水を乗り切る。という大筋は当然一緒なんですが、箱舟を作るのを「ロードオブザリング」のエントのパクリみたいな岩の形をした天使たちが手伝ってくれちゃったりなんかして、まずそれでビックリ。そして、ノアの3人の息子はそれぞれの妻とともに箱舟に乗り、その子孫が繁栄ってことになっているのに、長男セムダグラスブースにしか妻イラ(エマ)はおらず、しかもその妻は子どもを産めない体ときたもんだ。

まぁ、別にひとつひとつ聖書と違うところを指摘しても仕方ないのでやめておきますが、これは完全にダーレンアロノフスキー監督の妄想爆発映画ということで、、、そうだ!この人!「ブラックスワン」で評価が上がって忘れかけていたけど、「ファウンテン~永遠の愛」っていうまさに妄想爆発映画作った人だったー。それを考えるとこの作りも納得。「ファウンテン」の時より監督の知名度が上がってお金かけられるようになって「ファウンテン」が大作になったような映画が「ノア」なんだー。

そのお金かけられるようになったって話なんですけどね、もちろんキャストやセット、CGにお金がかかっているんでしょうけど、あの動物たちがやってくるシーンのちゃちさは何なんでしょう。鳥、地を這う者、動物ってどわーーーーって順番に押し寄せてくるんだけど、一種一種が全然丁寧に作られてなくて、似たような感じのがいっぱい来るだけなんですよね。もっと色とりどり大きさも様々なのがすごい迫力で来るもんだと一番期待していたシーンなんですが、とても残念なCG初期のような作りでした。

この作品の中のノアは洪水が来るまえに人間の醜さを目の当たりにして、人間という存在に絶望し、この家族で人間を終わらせあとは動物たちの楽園になれば良いと考えるんですね。だから、奇跡的に授かった長男の赤ん坊を男なら最後の人間に、女ならその場で殺すと宣言しちゃう。おー、ノアさんご乱心。ってとこなんだけど、それはそれでワタクシ的には筋の通った話だと思いました。「地球が静止する日」でもそうだけど、ほんと、この地球って人間さえいなければずっと良い所なんじゃないかって思うもんね。どうせなら、ノアが滅ぼしてくれれば良かったのにと思わなくもない。でもこの思想はキリスト教とは真っ向対立する考え方なんだよなぁ。

でもワタクシが分からないのは、すべては神の思し召しなんだとしたら、イラが妊娠したのも神の思し召しじゃないのかな?どれが神の思し召しでどれが神への背信行為かをノアが決められるの?って疑問に思いました。

結局女の子の双子が生まれてノアは殺そうとしたけどできなかった。その子たちに愛を感じたからってことらしいけど、その後ノアは家族から離れて飲んだくれてるんだよ。飲んだくれた挙句に素っ裸で昏倒(?)って。いいの?神に選ばれし者にこの描写。孫娘を殺そうとした乱心親父を家族が赦して終わり、というなんとも不思議な物語でした。神様もねぇ、もっと具体的に色々告げてくれれば良かったんですけど。

見ている最中ずっと頭から離れなかったんですが、神様ってアダムとイヴを作ったまでは良かったけど、その後のことはあんまり考えてなかったのかなぁ。なんか何も知らずにハムスターのつがいを飼ったらアホみたいに増えちゃったーみたいなね…あ~こんなこと言ったらそれこそキリスト教徒の人に叱られちゃうな。

聖書のお話ということで、衣装がとても暗いんですが、その時代にそんな服を着ていたかどうかは知りませんが、それらしく見せつつも現代的な凝り方をしていてなかなかに面白いなと思いました。

監督の妄想爆発って書きましたけど、考えてみれば、映画なんてどれも監督の妄想からスタートしているのだろうし、聖書だってノアは500歳くらいだとか、箱舟は100年かけて作ったとか、フィクション要素がとても強いし、聖書の中で割かれているページ数も多くはないから監督の妄想が入る余地というのがたくさんあるのでしょう。要はそれを一緒に楽しめるかどうかってとこですね。ワタクシは「おいおいおいおいー」と突っ込みを入れつつエマワトソンが出ているからまぁ許そうって感じでした。エマはどこに出ていてもやっぱり可愛いね。ってそれが結論かい。

オマケ長男役のダニエルブース君。男前なんだけどなー、クチビルが。惜しい。

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南極料理人

2013-05-22 | シネマ な行

ケーブルテレビで放映していたので見ました。

実際に南極観測隊に料理人として参加した海上保安庁の西村淳氏のエッセイ「面白南極料理人」をベースにしているそうなんですが、原作は読んでいないので映画を見ただけの感想です。

不本意ながら南極観測隊に参加することになった西村堺雅人を語り部として南極のそれも昭和基地からも遠く離れた南極ドームふじ基地で生活する男たち8人の生活がユーモラスに描かれる。

細かい日常のエピソードの積み重ねが描かれるのでひとつひとつ取り上げてどーのこーのと話すことはできないのだけど、日々の任務以外は非常に退屈な生活をまぎらそうと色々と工夫する彼らの生活は非常に楽しかった。マイナス70度の中全員で裸で写真撮ってみたり、伊勢海老をエビフライにしてみたり、いい歳したおっさんの誕生日を一所懸命祝ってみたり、節分に豆まきを楽しんだり、ラーメンを打ってみたり、氷に直接シロップをかけてかき氷を食べたり。

何より驚いたのは南極観測隊が非常に豊富な食料を持って行っているということだ。1年半も何も食べ物が採れないところに行くんだから、全部持って行かなきゃいけないってのは分かるけど、それこそインスタントラーメンとか缶詰とかばっかりなのかと思っていたらかなり豊富に食材があって、もちろん料理人の工夫のおかげでなんだろうけど、一般家庭と変わらないか、どうかしたら一般家庭よりいいもん食べてんじゃないのという食生活ぶりでした。なぁ、あんなところにいたらそれこそ食べることくらいしか楽しみがないだろうから、あれくらいでちょうどいいんだろうなと思います。

タイチョーきたろうがラーメンがなくなって発狂しそうになっていたけど、ちょっとそこのコンビニに行けば買えるっていう状況じゃないわけだから、あんな気持ちになるのも分かる気がします。残りの数をちゃんと計算して食べなかった自分が悪いと言えばそうなんですけどね。盆黒田大輔はバターをバクバク食べちゃったりして文字通り発狂寸前だったのかも。

一番若い兄やん高良健吾が恋人にしょっちゅう電話してて、だんだん恋人が冷たくなっていくのが切なかったね。あの状況なら交換手の人に思わず「結婚してください」なんてとち狂ったこと言っちゃうのも分かる気がする。最後に空港でその交換手の子が待っていてくれたのは映画的な面白さでくわえられていただけなんだろうけど、それでもなんだかあぁ、良かったねぇと思ってしまった。

あんな過酷な状況でもいつも飄々として自転車のトレーニングを欠かさなかったドクター豊原功補も良かったな。最後ほんとにトライアスロン出てましたね。

主任古館寛治は途中から鬱っぽくなって何も仕事しなくて仲間から批難されていたけど、普通の自動車会社の社員があんなふうに本人の希望とは関係なく左遷的に南極に行かされるなんて本当にあるのかな?いくらサラリーマンでも過酷すぎるよね。

南極に行くと決まったとき、西村の妻西田尚美と娘小野花梨が大笑いしてウケる~とか言っていたのがなんか不愉快だった。実際にそんな家族だったんなら仕方ないけどね。実際南極に行って帰って来たときは感動の再会みたいになってたけど、西村が妻の料理に文句たらたらだったシーンもあったし、あーいうのって日本の家族の照れ隠しなのかなぁ。ワタクシはあまり好きではありませんでした。それだったら本さん生瀬勝久のとこの怒って電話に出ない奥さんが空港で抱き着いてきてたほうがぐっときたな。

映画館でお金を払ってまで見る作品かと言われたらそこまででもない気もしますが。テレビ放映などで見るにはぴったりのほのぼの系作品です。

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ぬちがふう(命果報)~玉砕場からの証言

2012-11-14 | シネマ な行

沖縄の玉砕現場で、軍からの集団自決命令があったのかなかったのか。2007年、文部科学省は教科書から集団自決の軍命を削除させた。2011年、「大江・岩波集団自決訴訟」で沖縄戦の司令官が集団自決命令を発したとする十分な理由があるとする大江健三郎氏、岩波書店側が勝訴した。この作品は、当時の沖縄県民の証言を通して、当時の様子を明らかにしていく。

それと同時に軍属として朝鮮から沖縄に連れて来られ日本軍とともに戦った人々の証言や、慰安婦として連れて来られた女性たちの目撃証言などを集めている。

あれだけ多くの人が別々の場所で当時直接玉砕命令を耳にしているというのに、どうして軍からの命令はなかったなどと言うことができるのかワタクシには理解できない。あれだけの人数が知らない者同士で別々の場所で口裏を合わせたとでも言うのか。当時を振り返った人々の貴重な証言がここにはある。

自分の戦争体験を話すのがつらいと言う母親に聞くのがつらいという息子。
「生き残った良かった」というおばあ。
学校で学徒隊を編成するため、出頭命令を渡す役割をさせられた子。自分の判断であまり小さい子には渡さないことにしたという反面、自分が渡した子たちの中で戦死してしまった子の母親には向ける顔がないと言う。
家族で自決の覚悟をするが、なかなか子に手をかけられない親。「怖い」と言って子供が逃げ出したために考え直すことができた親。
軍が自決を迫る中、「逃げなさい」と言ってくれた将校。
市民が飢えで苦しむ中、牛をさばいて自分たちだけたらふく食べていた軍人。
壕の奥に自分たちの快適な場所を確保し、そこに慰安婦を囲っていた軍人。
軍属として連行され、ろくに食べる物を与えられず戦争に参加させられた朝鮮人。
慰安婦たちは最後には見捨てられ、見殺しにされた。

すべて書き尽くすことはできない証言がここに詰まっています。こういうドキュメンタリーこそ、学校などで上映会をしてほしいと思うのですが、いまの教育現場ではこういう作品を上映できる状態なのでしょうか?愛国心を教えるという名の下にこういう悲惨な歴史が封印されていくような恐ろしさを感じます。愛国心を教えるなら、実際に起こったことをありのままに教え、その反省に立った上で国を愛することを教えるべきだし、国を愛そうが愛すまいが、戦争をしてはいけないという理念はぶれてはいけないものだと思います。

映画として、決して見やすい構成になっているとは思いません。複数の方のインタビューがとびとびで流され、一人の人の時間がやたらと長かったり、沖縄の人の証言のあとに朝鮮の軍属の話になったりと話しがあちこちに飛ぶ印象があります。映画作品としては正直申し上げて高い評価はできませんが、関係者がどんどん歳を取っていく中、やはりこれだけの膨大な証言を集めた映像ということで非常に価値のある作品だと思います。

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のぼうの城

2012-10-23 | シネマ な行

試写会に行ってきました。予告編を見て面白そうな作品だと思っていたのでラッキーでした。

決して悪くはないんですけど、ワタクシの期待が大きかったせいか全体的にはいま一歩といったところでした。

豊臣秀吉市村正親陣営の石田三成上地雄輔率いる2万の軍勢と相手にたった500の兵力で戦った成田長親野村萬斎のお話。忍城・城主成田氏長西村雅彦は豊臣側に寝返りに行き、敵陣営に黙って城を明け渡すように指示されていた城代長親は土壇場で「そんなのヤだ!」と戦う選択をする。城主が寝返ることにもともと反対だった家来たち丹波佐藤浩市、和泉守山口智充、酒巻成宮寛貴らは長親に賛成する。

長親は城主氏長のいとこで、領民たちからは「でくのぼう」から取って「のぼう様」と呼ばれている。農民の暮らしの中にちょくちょく顔を出し、田植えを手伝ったり、子供あやしたりして人気はあるがちっとも武士らしくなく、のんべんだらりと日々を過ごしている。しかし、三成軍が彼らを舐めきった態度で開城の交渉に来たのが気に入らず「戦いまする!」と宣言してしまう。武士以外にも農民まで全員総動員で戦うことになり、長親は農民を集めて「こんなことになっちゃってごめ~ん」とか言ったりするまさに「でくのぼう」。しかし、彼ら500の兵が2万の兵を翻弄することになる。

野村萬斎さんがねー、ものすごく魅力的です。ワタクシは原作を読んでいませんが、読んだ人によると原作のイメージとは少し違うらしいんだけど、でもあの素っ頓狂な雰囲気とか敵味方全員の前で歌って踊るシーンなんかはもう萬斎さんの独壇場。もちろん、あのシーンのためのキャスティングだったんだろうけど、本当に良い声してらっしゃる。

そんな萬斎さんが演じるのぼう様なんだけど、予告編を見ているともっとのぼう様らしい奇策がたくさん飛び出して2万の兵を蹴散らしてスカッとする映画なのかなぁと思っていたら、そんなにたくさんは奇策というようなものは飛び出さないんですね。初回の対戦と例の踊りのところくらいで。そのへんがちょっと期待外れだったなぁ。

あと、原作ではどういうふうになっているのか知らないんですけど、のぼう様を慕う農民たちの中に子役の芦田愛菜ちゃんがいて、生意気な喋り方でのぼう様や丹波に話しかけるんですが、それがなんかもう鼻について仕方ありませんでした。あーいうのを「可愛い」って素直に見られればいいんでしょうけど、ちょっとワタクシは無理だった。なんかウケ狙いのいやらしさが見えてしまって。

上地が石田三成ってー!と最初は思いましたが、彼がアホだということを忘れることができれば演技としてはまぁ悪くはなかったと思います。のぼうに恋心を抱く城主の娘甲斐姫を演じた榮倉奈々ですが、ちょっとどうもなぁ。彼女の場合声があんまり良くないのかどうもセリフ回しが下手に思えます。実際に下手かどうかよく分からないんですが、なんか取って着けたような感じがするんですよねー。他の俳優陣は良かったと思います。

あまり良い事書いてませんが、もう少し短くまとめられたのでは?と思いつつも145分という長い上映時間もそんなに感じられないほど笑えるシーンも結構ありましたし、なかなか魅力的なお話ではありました。最後に今現在の埼玉県行田市に残る忍城の映像が映るところは、地名などに名残りがあって少しジーンとしました。

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長ぐつをはいたネコ

2012-03-12 | シネマ な行

試写会に行ってきました。

「シュレック」に登場する長ぐつをはいたネコ、プスを主人公にしたスピンオフ。おとぎ話の登場人物がたくさん登場する「シュレック」のスピンオフだけあって、プスの親友としてマザーグースのハンプティダンプティが登場し、お話のベースになっているのは「ジャックと豆の木」である。

プスの声をアントニオバンデラス、ハンプティダンプティをザックガリフィナーキス、プスに恋心を抱くネコ、キティフワフワーテをサルマハエック、悪役ジャックをビリーボブソーントンと豪華声優陣が揃っているのですが、残念ながら試写会は吹替えでした。プスが竹中直人でハンプティダンプティが勝俣州和というキャストで、竹中直人に関してはもう竹中直人以外の何者でもないって感じですが、まぁプスには合っていたかな。勝俣州和が意外とうまくてビックリしまいしたね。でもなぁ、やっぱりバンデラスとサルマハエックの声は聞きたかった。

幼いころからの親友プスとハンプティダンプティなんですが、ひょんなことから町の英雄になってしまったプスと不良仲間だったハンプティとの間に溝ができていき、お互い裏切られたという気持ちで別れ別れになっていた二人が再会し、子供の頃からの夢だった魔法の豆を手に入れて金の卵を産むがちょうを手に入れようっていう話なんですが、そこには実は騙し騙されみたいなお話がひそんでいて…ハンプティは確かにちょっと可哀想だけど、やっぱり根性悪いなぁっていう気がして最後に改心はしたものの、それまでの悪行がしつこかったのであんな一瞬で心を入れ替えたって言われてもちょっと納得いかない気もしたな。

お話そのものよりも、普通に人間と会話もできる設定のネコ、プスがミルクを飲むときにはちろちろと舌を出して飲んだり、レーザーポインターの光を追いかけずにはいられなかったりと急にネコとしての特性を出すところが笑えました。人間を説得するためにNoと言うことができないほどの可愛い瞳をして見せたりするところとかね。

あとは吹替えがバンデラスやサルマハエックということでも分かるように、このプスは完全にラテンのノリで、それがなかなかに面白い効果も発揮していると思います。ハンプティダンプティの気持ち悪さはやはりディズニーとは違うドリームワークスの仕事って感じかな。

全体のテンポがちょっと悪く感じるところがあるので物語としてはあまり良い点数はあげられない作品ですが、ところどころ笑えるポイントはきっちりあります。


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ニューイヤーズイブ

2012-01-12 | シネマ な行

年末に見てきました。以前の「バレンタインデー」が結構好きだったし、「glee」のリアミシェルが出ているのでずっと前から見に行こうと決めていました。
とか言いながら、実は内容的にはあんまり期待はしていなかったんですが。「バレンタインデー」と同じく、大人数のアンサンブルものです。

自転車便で配達をしているポールザックエフロンは、大晦日の日レコード会社の秘書イングリッドミシェルファイファーとのレコード会社主催のパーティのチケットをくれるかわりに彼女の夢を実現させるという約束を果たすためニューヨーク中を駆け回る。

ポールの姉キムサラジェシカパーカーは14歳の娘ヘイリーアビゲイルブレスリンが大晦日を彼氏とタイムズスクエアで過ごしたいと言いだし悩む。

ポールの友人でパーティ騒ぎが大嫌いなランディアシュトンカッチャーは、同じアパートの新しい住人エリーズリアミシェルとエレベーターに閉じ込められてしまった。エリーズはタイムズスクエアのイベントにバックコーラスとして出る予定で、チャンスを逃したくないと大騒ぎする。(CMで見たときは二人であみあみの中に閉じ込められていて、留置所にいるのかと思いました。ニューヨークのアパートのエレベーター、怖いです)

そのイベントには人気歌手ジェンセンジョンボンジョヴィが来る。そのジェンセンはこのイベントのシェフ・ローラキャサリンハイグルに会いに来ていた。一年前ジェンセンはローラにプロポーズしたくせにその直後に逃げてしまったのだ。アシスタントシェフのエバソフィアベルガラは何かとローラをからかいつつも彼女の恋を応援してくれている。

タイムズスクエアの年越しイベントを取り仕切るクレアヒラリースワンクは準備に取材に大忙し。警備員のブレンダンクリス“リュダクリス”ブリッジスはそんなクレアをあたたかく見守っていた。年越しのメインイベントであるボール落としのボールにトラブルが起き、呼ばれたのはベテランエンジニアのコミンスキーヘクターエリゾンド。クレアは年越しの瞬間行くところがあると会場を抜け出す。

病院で死を待っているだけのスタンロバートデニーロは、年越しのタイムズスクエアをどうしても見たがっている。スタンを献身的に看病するエイミー看護師ハルベリーも年越しには大切な予定があった。

臨月のテスジェシカビールと夫のグリフィンセスマイヤーズは新年に一番最初に生まれた赤ちゃんに賞金が出ると知って、なんとか最初に生もうと画策。それに対抗心を燃やすジェームズティルシュバイガーとその妻。

年越しパーティのためにニューヨークに向かうサムジョッシュデュアメル。昨年の大晦日に運命の女性に出会い、もし同じ気持ちなら1年後に会いましょうと言われ、今年行くべきかどうか迷っている。彼の運命の女性とは誰なのか?

「バレンタインデー」と同じくらいの人が登場します。そして、少しずつつながりがあるようなないようなという感じ。「バレンタインデー」のときはもちろんイベントがイベントだけに恋愛にまつわるLOVEの話が多かったですが、今回は恋愛だけではなく色んな形のLOVEが表現されている感じでした。

全員のエピソードを押し込めるためにちょっとした無理矢理感はありますが、まぁ大晦日という特別な日、ニューヨークという特別な場所で、なので許してあげてください。ええ話やなぁみたいな話が盛りだくさんでお腹いっぱいになります。でもやっぱりほろっときちゃいました。

「豪華キャスト」と言いつつ、映画ファンでもない日本人的にはそうでもないかなぁと。「glee」ファンのワタクシとしてはやっぱりリアミシェルの歌がボンジョヴィのバックコーラスも含めて3曲も聞けて嬉しかったです。どうしても彼女のことは贔屓目というか保護者的な目で見てしまって「glee」のレイチェル以外の役をちゃんと演じられるのかハラハラしながら見てしまいましたが、小さいときからブロードウェーに出ている彼女にワタクシなんぞの心配は無用でしょう。

今回、ジェシカビールもハルベリーもまぁ好きだけど、そこまで大好きな女優さんがたくさん出ていたわけではなかったのでちょっと物足りなかった部分はありました。ローラのアシスタントシェフを演じたソフィアベルガラが結構笑わせてくれて楽しかったな。キャサリンハイグルもやっぱコメディのセンスがあるんでしょうね。二人の掛け合いが良かったです。

こういうスターがたくさん出てるよーっていう作品は酷評されがちなのでアメリカでの評判は悪いみたいですが、ワタクシはそんなに嫌いじゃないです。「バレンタインデー」が好きだった方にはオススメの作品ですね。最後のNG集も今回も楽しいですよ。

オマケ1一度はタイムズスクエアで年越しをしてみたいなぁ、なぁんて思うんですが、「イッテQ」で7、8時間前から並んで一旦入ってしまうとトイレに行けないって言ってましたね。それを前に見ていたので、どうもあのラストを見ても「みんなトイレ我慢してるのかなぁ」と頭をよぎってしまいました。

オマケ2いつもタイムズスクエアが映ると大画面のスポンサーのTOSHIBAという文字が見えるので、少し誇らしい気持ちがします。ニューヨークの一番目立つところに日本企業の名前があるのがなんだか嬉しい気分になります。

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ニセ札

2011-11-11 | シネマ な行

ケーブルテレビで見ました。キム兄こと木村祐一の初監督作品です。

山梨県で実際に起きた事件を基に作られた作品だそうです。紙すき産業がさかんな村でチンピラ大津シンゴ板倉俊之がニセ札つくりを紙すき職人橋本村上淳、カメラ屋花村(キム兄)、元軍人戸浦段田安則、小学校教師かげ子倍賞美津子にもちかける。始めは拒むかげ子だったが、貧しい村人や空っぽの小学校の図書室を見て加担することに同意する。

芸人さんが撮ったわりには、終始真面目なつくりです。特に奇をてらったところもないし、基本に忠実な感じ。でも、ワタクシはなんか好きだな。こういう戦後ものが好きっていうのもあるかもしれないけど、実際にニセ札ができるまでのプロセスとか、なかなか楽しいものがありました。

やっぱりこのシチュエーションが成り立つのってあの戦争の直後だからなんだと思います。軍国主義一色で育てられてきた自分たちの国が負けて、あっさりいままでの自分たちを全否定された人々。国は間違ってたくせに国が作ったお金と私たちが作ったお金の違いは何?って純粋に思っちゃったんですよね。そう、それが間違ってることなんて価値観は完全にぶっ飛んじゃったんですよ。だって、国だって間違ったじゃないって。そう思うことって何もおかしくないとワタクシは思います。捕まってから裁判でかげ子が言ったことはありきたりのようでいて、実は重い言葉なんじゃないかなぁと思いました。

これは山梨県で実際に起きたことだそうですが、それならなぜわざわざ関西弁にしたんだろ?それもなぜ板倉?キム兄だったら関西弁をしゃべれる知り合いならごまんといるはずなのに、どうしてわざわざ関西弁をしゃべれない板倉に変な関西弁をしゃべらせたのか?倍賞美津子は女優さんとして使いたかったのだとしてもそれなら全員標準語で良かったような気がします。

監督が芸人さんということで笑える面白さを求めて見ると失敗する作品です。

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