シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

内部被爆の脅威~原爆から劣化ウラン弾まで

2011-02-24 | 




先日見た「ヒバクシャ」という映画の関連本です。
「ヒバクシャ」の監督の鎌仲ひとみとその中に登場する肥田舜太郎医師が共同で執筆しています。

「ヒバクシャ」を見たときには、とにかくイラクでの劣化ウラン弾の話や、アメリカのハンフォード核施設の話など、次から次へとおそろしい話がどんどん出てくるので、実際に「内部被爆」とはどういうことなのか、いまいち分からないままでした。単に放射線というものが危険なものであり、それを危険なものと認識することをあえてさけている世界中の政府のせいでどんどんヒバクシャが増えているという事実に圧倒されて終わってしまった感がありました。なので、今回それをもう少し理解するために本を読んでみました。

肥田舜太郎先生が、内部被爆について解説してくださっています。少しややこしい話もありますが、全体的には分かりやすい内容になっていると思います。わずか数センチしか届かないα線やβ線がいかに人体に恐ろしい作用をおよぼすかが説明されてあります。

やはり世界中の権威ある団体が、この放射線の危険についての認識を経済的な観点から無視している状況にあるということに戦慄を覚えます。日本でも昔RCサクセションが「COVERS」というアルバムを発売したときに歌詞の中で原子力を非難し、発売中止になったこともありますね。映画「ヒバクシャ」もスポンサーがしり込みするため、メディアではほとんど取り上げられることがない作品です。



この本を読めば、どれだけ内部被爆というものが生き物にとって脅威かということが分かるわけですが、やはりすべて「科学的根拠がない」というお決まりの文句で捨てられてしまう現状にあるようです。
もちろん、この本に書いてあることがすべてではないのでしょうが、それでもやはりここに示される放射線が原因と思われる事象を無視するわけにはいかないと思います。

唯一の原子力爆弾による被爆国の日本人の中でさえ、「核は抑止力」と考える人が多くいる時代。果たして「原子力」というものにそんな力を期待して頼って生きていっていいのか?興味のある方はぜひ読んでみてください。

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Glee

2011-02-23 | 海外ドラマ

アメリカで「Glee」のCDが発売されたころ、密林書店がしつこくワタクシにそのCDをレコメンドしてきておりまして、それと言うのもワタクシが普段から密林書店でポップスのCDをよく買っているからだと思われるのですが、始め「なんじゃ?このGleeってのは?」と思って調べてみますと、アメリカで流行っているドラマだとか。

アメリカのドラマはもう10年くらい見ていなかったんですが、この「Glee」ってやつはなかなかに面白そうだなーと思っていたところ、レンタルが始まったので見てみることにしました。うちの家、ケーブルテレビは入ってるけどFOXが映らないんですよ。標準パックに入ってなくて。なのでレンタルまで待ってやっと見ることができました。

「Glee」っていうのは日本にはあんまり存在しないんですが、このドラマの邦題にもあるようにまさに「踊る合唱部」って感じ。アメリカの中西部ではかなりメジャーなクラブのようです。

好きなナンバーや聞いたことのあるナンバーが次々にGleeのキャストによってカバーされ、楽しいったらありゃしない。コメディなのでお話はむちゃくちゃなところがあるけど、それでもメンバー一人一人がとても魅力的で、ときにはほろりとさせられることもあって見れば見るほどハマっていきました。

キャストの中ではやっぱクインディアナアグロンが可愛いなぁ。美人でセクシーで、始めは嫌な奴だったけどエピソードを追うごとに良い子になっていってるし。オフスクリーンで見せる姿もやっぱり断トツに美しいです。


でも、「クイン可愛いなぁ」と思うたびにレイチェルリーミシェルに悪い気がするのはどうして…???
レイチェルって実質主役だとは思うんですが、なんて言うかこうすごく自分が好きな子でスターを夢見ていて自信たっぷりで時に嫌な子でもあるんだけど、歌唱力はものすごい。合唱部の話だからキャスト全員歌がうまいんだけど、その中でも群を抜く歌唱力を持っているんですよねー。そんな彼女にはなんだか抗えない有無を言わせぬパワーがあります。


そして、そんなレイチェルに「愛してる」と言える勇気ある男フィンコーリーモンテース。おバカな奴なんだけど、純粋ですごく良い子。彼は男声パートのリードを取る子なんだけど、メロディアスなロックを歌わせると抜群ですね。でも歌はうまいのに踊りが下手なところがまたキュートです。


今年のゴールデングローブ賞テレビ部門で助演男優賞に輝いたカート役のクリスコルファー。ゲイの彼と父親との絆には何度も泣かされました。声変わりしてないの?というくらい綺麗な声で歌います。彼の衣装には大注目。


そのカートに最初恋心を抱いていたメルセデスアンバーライリー。いまではカートの親友になっています。そして、妊娠して家を追い出されたクインを迎えてあげる。一番共通点のなさそうなクインと仲良くなるんですね。彼女は黒人女性独特のパンチの効いた歌声を聞かせてくれます。



他の生徒たちも全員魅力的なんですが、ちょっと割愛。
このGleeクラブの顧問を務めるのがウィルシュースター先生マシューモリソン。Gleeクラブの顧問だけあって、彼もめちゃくちゃ歌がうまい。彼はそんなにハンサムじゃないと思うけど、歌うとすごくカッコ良くてキャストの女性がぽーっとなるのが分かります。


そのウィル先生に恋をしている潔癖症のエマビルズベリー先生ジェイマメイズ。彼女も話の行きがかり上歌わされることがあるのですが、実はなかなかの腕前です。


Gleeクラブをつぶそうといつもその機会を虎視眈々と狙っているチアリーディング部顧問スーシルベスター先生ジェーンリンチ。彼女もゴールデングローブ賞テレビ部門の助演女優賞を受賞しました。Gleeクラブのメンバーからしたら敵なんですが、なぜか妙に真理を突いた発言をしたり、説得力のあることを言ったり実は良い人なんじゃないか?と思わせておいて、またイジワルをしてくるという不思議な役どころですが、「Glee」には絶対に欠かせない人です。



マドンナファンとしては"The Power of Madonna"の回は最高で、返却日までに何度も見直したし、もちろんGAGAの回も最高だったし、シーズン最後の"To Sir, With Love"には泣かされました。

「Glee」を見ていると、音楽の持つ圧倒的なパワーというものをあらためて実感します。マドンナが"4 minutes to save the world"と歌っていますが、まさに1曲の3分~5分の間に価値観をがらりと変えられたり、大きな決心をすることができたり、涙したり、心が熱くなったり、という色んなパワーが音楽にはあるなと感じます。

先日、最終回まで見終わって遂にDVDボックス買っちゃいました。もちろん、CDも全部買い~。しかし、DVDボックスに1巻が入ってなかったから超ビックリした。密林書店の説明をちゃんと読まなかったワタクシが悪いんですが。1巻だけ発売して最初に買った人が多いからなのかな?慌てて1巻だけまた買い足しましたよ。

うちはFOX映らないんでシーズン2見れないの…アメリカでも「Glee」は超人気で、シーズン2ではかなりビッグなスペシャルゲストがどんどん登場しているとか。早くレンタル開始してーってまだアメリカでもシーズン2の途中だからまだまだだけど…待ちきれないぜー。



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アーサーとミニモイの大冒険

2011-02-18 | シネマ あ行
公開のときに、リュックベッソンが撮った子供向けの映画かー、興味ないなぁと思っていたんですが、ケーブルテレビで放映していたので見ました。ケーブルテレビでも子供向けのためか日本語吹き替え版でした。

全然期待せずに見たということもあると思うのですが、結構面白かったです。公開のときにポスターなどで見ていた感じだと、ミニモイ族っていうのが全然可愛くなくてちょっとどーよ?と思っていたのですが、なぜか見ているうちに可愛く思えちゃうんですよね。西洋の妖精的な存在ってなぜかあーゆーつり目の可愛くない感じが多いと思うのですが、あれがステレオタイプなイメージなんでしょうね。

ミニモイ族っていう名称のネーミングがものすごく可愛いなぁと感じたのと、小さい彼ら(なんと身長2ミリ!)が人間とはまったく違った視点で自然の中で暮らしている様子が魅力的な世界でした。大人も子供に戻って楽しめると思います。

日本語吹き替えだったので、そのキャストを見てみるとやっぱり神木隆之介くんか。

そして、神木隆之介くん演じるアーサーが恋するミニモイ族の王女セレニアに戸田恵梨香。彼女の声は非常にセレニア王女に合っていました。ちょっとハスキーで子供なんだけど大人っぽい。これ、最後のエンドクレジットで知ったんですが、英語版ではなんとマドンナが演じているそうですね。あー、そう思ったら英語版で見たかったなぁ。マドンナが演じる子供の妖精って全然想像つかない。ワタクシはマドンナのファンだから彼女の声だったら、すぐに分かると思うんだけど、そうなるとどうしてもマドンナの顔を浮かんじゃうのかなぁと思ったり。

セレニアの弟でおっちょこちょいで笑わせてくれるパートのベタメッシュをえなりかずきが演じていたんですね。ワタクシえなりかずきはどうも好きじゃないんですが、ベタメッシュの声にはすごく合っていました。ベタメッシュって一番可愛い役どころだからちょっと得かも。

アーサーが10歳の設定なんですけど、セレニア王女との恋心も描かれていて、ちょっとおマセな感じなんですが、キスしただけで「結婚」ってなっちゃうところがやっぱり子供で可愛い。

このミニモイ族のCGがリアルなCGなんだけど、ちょっと昔の人形劇風なところがあってレトロが感じがして好きです。

この後「アーサーと魔王マルタザールの逆襲」、「3作目」と3部作で終了ということですが、3作目は順調に進んでいるんでしょうか?


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ウォールストリート

2011-02-16 | シネマ あ行

世紀のvillain、ゴードンゲッコーマイケルダグラスが23年ぶりに復活。
ようは、リーマンショックがあったことで、この金融界にゴードンゲッコーを蘇らせてみたら面白いんじゃないかと考えたクリエーターがいたということなのかな。

8年の刑期を終えて帰ってきたゴードンゲッコーには迎えの人など誰もいない。前作で3歳だった(超太ってて甘やかされていた)息子はドラッグ中毒で死に、前作の後に生まれたらしい娘ウィニーキャリーマリガンは、父親との縁を切っていた。

しかし、そんな娘の恋人ジェイコブムーアシャイアラブーフはウォールストリートのマネートレーダー。彼女自身もどうしてこんな人を好きになったのか?なんて言ってるけど、それは父親への得られなかった愛への渇望の裏返しってやつですかね?

その恋人ジェイコブはゴードンゲッコーに近づき、娘との仲を取り持つ代わりに様々な裏の情報を得る。

んー、やっぱりジェイコブって誠実に見えるけど、所詮はウォールストリートの切れ者。取引によって汚い手を使うのだって平気。恩師であるルイスゼイベルフランクランジェラが自殺する原因となったライバル会社のブレトンジェームズジョッシュブローリンに復讐をするために彼女に黙ってゴードンゲッコーと取引をする。

このあたりのビジネス上のやり取りはまぁ面白い面もあるけど、やっぱり経済問題に疎いワタクシにはさっぱり分からん部分もありまして、内容は置いといてどっちが騙したとか、損させられたとかそういう結果だけが分かればストーリーを理解する上では問題ないかなと思います。

ゴードンゲッコーはやっぱり娘とその恋人を騙してでも自分の欲を満たそうとしますが、これはゴードンゲッコーを知っていれば何もビックリすることはない。23年前に彼が言った名セリフは現代に蘇るどころかさらにパワーを増して"Greed is good."(「欲は善だ」)が"Greed is legal."(「欲は合法だ」)となっているのだから。こんな時代に彼のような人が殊勝に生きられるわけがない。

ゴードンゲッコーに関しては、彼はそんな人だからもういいんだけど、あの彼氏ジェイコブもさー、やってることかなりひどいよ。ゴードンゲッコーにそそのかされたとはいえ、自分の彼女のお金を自分が投資したい会社にあげたいからって「君が持っていたってどうやってロンダリングするんだ?どうせ何にも使えない。国税局が黙っていない」なんて脅すようなこと言ってさ。エコなエネルギーに投資したいっていう志は立派でも他人のふんどしで相撲取っちゃいかんでしょ。

最後はゴードンゲッコー、彼氏ともども彼女との絆を求めて反省したような態度だったけどさ、ウィニー、あんたそれで許しちゃっていいの?ゴードンゲッコーは絶対にまた裏切るようなことをしてくるだろうし、あーゆーデカいお金を動かすことが大好きなその彼氏も結構この先ヤバイと思うよ。このあたり、オリバーストーン監督、ちょっと男どもに甘すぎるんじゃないですか?どうしてこんな結末にしたのかなぁ?なんか年取ったマイケルダグラスに花持たせたかっただけかよー、みたいな。一応、彼らがエコエネルギーに投資する“いいもん”的な終わり方にはなってますけどね。なんとなく釈然としないラストでした。

オマケ1AIG保険の問題のときにアメリカの議員が「日本の経営者にならって自殺でもしてみせるべきだ」と言って騒ぎになりましたが、それからも分かるようにアメリカの経営者はそんなことで自殺なんてしません。なので、この作品の中のルイスベイゼルは、日本人からするよりもアメリカ人から見たら相当殊勝な人間に映っていると考えられますね。

オマケ2おそらくみんなが期待していたであろうバドフォックスことチャーリーシーン。やっぱり登場してくれましたね。バドってば、お父さんの会社やっぱり売り飛ばして大儲けしたらしい。私生活が出るのか、渋く枯れていたマイケルダグラスよりもなぜか劣化が激しく感じるチャリ坊でしたが、なぜか憎めない奴なのです。

オマケ3前作でもそうでしたが、今回もオリバーストーン監督がカメオ出演していますね。探してみてください


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ウォール街

2011-02-15 | シネマ あ行

23年ぶりに続編が公開されるというので、もう一回見直してから続編を見に行くことにしました。

舞台は1985年。日本のバブル景気の少し前って感じですかね?ちょっと調べると「プラザ合意」がどうのこうのって、聞いたことある言葉が登場するんですが、経済問題はワタクシのもっとも苦手とするところですので、その辺はちょっと無視させてもらいます。

いまから振り返ってこの作品を見てみると、本当に日本のバブルのころに登場していたアイテムがばんばん出てきます。デカい携帯電話、自家用ジェット、リムジン、絵画収集。あー、このアメリカの波がもうすぐ日本にやってくるのかなぁという感じ。

当時まだ22歳のチャーリーシーンが、野心を持った若き証券マン・バドフォックス。いやー、チャーリーシーン本当に若いっていうかカッコ良かったのになぁ。どうしてあーなる???実際のお父さんマーチンシーンが親子共演してますが、彼は政治活動に熱心なリベラル派だし、お兄ちゃんエミリオエステベスだって、超売れっ子ではないけど、堅実に良い作品を生み出しているというのに、チャリ坊はどうしてあーなった???

と、いうことはさておき。

そのバドフォックスが一所懸命セールスをかけているのが、この業界の伝説の男ゴードンゲッコーマイケルダグラス。このころのマイケルダグラス本人もそうだっただろうけど、もうギラギラしまくりよ。若手セールスマンのバドをうまいこと言いくるめて自分の手先となって動くように仕向ける。それが多少法に触れようがそんなことはおかまいなし。どうせしっぽを掴まれることなんかないとタカをくくっている。

彼が株主総会で言う"Greed is good."(「欲は善だ」)のセリフは映画史上に残るセリフとなったが、あの1985年当時に彼が株主総会のシーンで言ったことをワタクシたち日本人は、つい5、6年前に「物言う株主」として突如表舞台に現れた村上ファンドの村上世彰氏から聞くこととなった。アメリカでゴードンゲッコーが20年前に言っていたことだ。「お金儲けって悪い事ですか?」映画の中の株主総会でもゴードンゲッコーは拍手喝采を浴びる。"Greed is good."欲がなければ、発展もない。それは確かにそうかもしれない。でもね…なんか釈然としないのはワタクシがただの貧乏人だからか?

結局村上氏も「聞いちゃったと言えば聞いちゃったんだよなぁ」と言って逮捕されたけど、ゴードンゲッコーもバドフォックスもやはり法に触れてはアンタッチャブルではいられなかった。父親の会社を立て直そうと思い直したバドフォックスと、それでもどこまでも「ハゲタカ」であり続けることを選ぶゴードンゲッコー。オリバーストーン監督はバドフォックスとゴードンゲッコーの対比によって、どちらが“善”であるべきかという答えを提示していたように思うが、現実にはこの作品以降も時代はどんどんとゴードンゲッコーのような人物を生み出していき、1%の富裕層が残りの95%の所得を集めたよりも多くの富を所有する時代がやってくることになった。

でも現実の世界でもそうだと思うけど、やっぱりお金儲けの才能がある人っていうのはいるわけで、ゴードンゲッコーのような人も逮捕とかされても絶対にまた大きく儲けるときがやってくるんだろうなぁとラストを見ながら思っていたんですが、まさか本当にカムバックしてくるなんて、当時はストーン監督でさえ思わなかったでしょうね。


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ザ・タウン

2011-02-14 | シネマ さ行
貧しい街、ギャングから抜け出したい男、かたぎの女、腐れ縁の女、ギャングの仲間、FBI。
昔、昔から何度も何度も題材にされてきた物語。
特に目新しいことは何もない。

なんだけど、銀行を襲う場面もスリリングだし、そこからギャングから抜け出したい男ダグベンアフレックが人質に取ったかたぎの女クレアレベッカホールと恋に落ちる場面への発展もスムーズだし、FBIとの駆け引きやギャング内での力関係、過去などすべてがスムーズに観客に入り込むようになっていて、ありきたりな話ながら飽きることなく見ることはできた。

狭いボストンの路地を駆け回るカーチェイスや、あのメジャーリーグの名門球場フェンウェイパークをアクションの舞台に持ってくるところなんかはベンアフレックの地元愛を感じます。

まーね。結局お前だけ生き残ってうまいこと抜け出すんかよっていう気持ちはぬぐえないよね。頭のてっぺんまでどっぷりとこの世界に浸っていて、ダグが仲間から抜けることを許さなかったジェムジェレミーレナーは都合よく死んじゃってくれたしね。

ダグはお酒もドラッグも卒業したって言ってて、確かに良い奴だとは思うけど、クレアにちょっかいをかけた奴をボコボコにしに行くとこなんかは、これが彼の本性じゃないの?って思っちゃう。結局、自分だけはこの腐った町のギャングとは違うなんて思っていても、同じ穴のムジナじゃないのかと。

それでもねベンアフレックが、結構渋くていいんですよ。彼ってマットデイモンと共同で「グッドウィルハンティング」の脚本を書いて脚光を浴びましたね。あのときどうもマットデイモンがハーバード大ってことで、ベンのほうは頭の良くないほうなんていうイメージで見ちゃったんですけど、彼だってハーバードではないですが、なかなかスマートな人なんですよね。最近では彼のほうが先に監督デビューしちゃってこれが2作目だし。ジェイローとつきあったりアル中になったりとちょっと迷走していた感がありましたが、奥様ジェニファーガーナーのおかげかどうか、いまではすっかりクリーンになってこれからも監督でも演技でも活躍してもらいたいです。

クレアを演じたレベッカホールは、「それでも恋するバルセロナ」に続いてまたなんか優等生な雰囲気の役でした。特に美人というわけでもなく、まぁそれくらいのほうが説得力があるのかなぁと。クレアの「晴れた日」のエピソードはこの物語の中での大切なキーワード。

ギャング内の腐れ縁の女クリスタを演じたブレイクライヴリーは、「50歳の恋愛白書」のときでも書いたかもしれないですが、若手の中でもかなり演技ができる子だなぁという印象です。美人だし、こういう悪女っぽいのも清楚な少女もこなしてしまう。いま最も注目している若手女優の一人です。

ボストンというと、ニューイングランド地方の煉瓦作りの建物や、ハーバード大をはじめとするアカデミックなイメージからボストンでギャングの話?と意外に思う日本人も多いかもしれませんが、一歩中心を離れるとこの作品に描かれるような界隈が広がっているようです。

オマケギャングの親玉で出演していたピートポスルスウェイト。今年の最初に亡くなられたのですね。名わき役として数々の役柄をこなした役者さんでした。残念です。



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ハンコック

2011-02-10 | シネマ は行

少し前にTVで放映していましたね。

アル中で、汚い言葉を発し、人々を助けるときにも街をめちゃくちゃに破壊してしまうスーパーヒーローハンコックウィルスミスは、みんなの嫌われ者。そんな彼がある日PR会社に勤めるレイジェイソンベイトマンを列車事故から救う。そのときも列車を破壊してみんなからはブーイングを浴びるのだが、命を救われたレイはそんなハンコックをなんとかまともな正義のスーパーヒーローにするべく、ハンコックのプロデュースを始める。

レイはハンコックのイメージが良くなるように、スーパーヒーローらしいユニフォームを用意し、決めゼリフを用意し、普段の振る舞い方もコーチする。それによってハンコックのイメージは向上し、みんなハッピー!!!

レイの妻メアリーシャーリーズセロン以外は。。。

メアリーはレイがハンコックと関わるようになってからなぜか不機嫌。とにかくハンコックに自分の家族に関わって欲しくない様子だった。

それはなぜか???

実はメアリーには大きな大きな秘密があったのだ。

途中まではこの話、かなり笑えるお話だった。ウィルスミスはいつものようにゴキゲンに主人公を演じているし、スーパーヒーロー稼業も順調に行き始めて言うことナシ。このあとなんか凶悪な敵を倒して拍手喝采を浴びて大団円。だと思っていたら大間違い。

メアリーとハンコック、もしかして惹かれあってる?不倫?いいの?スーパーヒーローなのに。いいの?レイにはお世話になったのに?って思っていると、なんとハンコックがメアリーに投げ飛ばされた

なんだ、その怪力ーーーっ

おぉ、実はメアリーもスーパーパワーを持った人だったのね?と分かって、ハンコックがメアリーのことをキッチンにある色んな物でぶん殴って確かめるところあたりまでは、まだ笑えた。二人して、町中ぶっ壊すほどの壮絶な大ゲンカまでもまだ笑えた。

しかしこのあと、お話は急転直下いきなり悲しくて切ないストーリーになる。

ハンコックは、実は記憶を無くしている。その前には自分がどこで何をしていたかを知らない。秘密の鍵を握るのはメアリー。なんと二人は何千年もの時を超える恋人同士だと言うのだ。彼らは男女の対で創られ、恋に落ちる運命にあるが、一緒にいるとスーパーパワーは失われ、危ない目に遭うことになる。そのためメアリーは記憶を無くしたハンコックの元をそっと離れたと言うのだ。

これをあのシャーリーズセロンが目にいっぱい涙をためて言うもんだから、こっちはもう切なくて切なくて胸が締め付けられてしまう。さっきまで大声出して笑っていたのに、忙しくって仕方ない。

メアリーと一緒にいたためにスーパーパワーを失ったハンコックは血だらけで病院に運ばれるし、そこでもまた襲われるし、メアリーも同じように死にかけてるし、うえー!お気楽スーパーヒーローものじゃなかったのかよー!と思いつつ最終的にどうなるの?と目が離せない。

結局、これが「究極の愛」ってやつなのかな。。。と思いつつ、なんか悲しい。一応、これをハッピーエンドって言うんだろうけどね。長くマトモに生きていこうと思ったらハンコックとメアリーは絶対に一緒にはいられない。メアリーも普通のいわゆる「女の幸せ」ってやつが欲しかったのかなー。あそこまで愛し合っている者同士ならもう一緒に死んじゃったほうが幸せって思わないかなぁ?なんかレイだって、そんな事実を知ってよくもまぁ一緒にいられるもんだなって思うけど、これがアメリカのスーパーヒーローものなんだから仕方ないか…

シャーリーズセロンって、どうも真面目な作品を選ぶ傾向にあるからこういう能天気なので、可愛い彼女が見られたらうれしいなと思っていたら、全然能天気な作品じゃなかったんだけど、切ない愛を告白するときの彼女はいままでの中でも最高に美しかったです。


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RED/レッド

2011-02-09 | シネマ ら行

引退した超一流スパイたちが再結集して悪に立ち向かう。。。
ん?なんか最近こんなん聞いたな。「エクスペンダブルズ」とよう似てるな。というのが最初の感想だったのですが、予告編を見るとなかなか面白そうだったので見に行くことにしました。

引退した元CIAのスパイ、フランクブルースウィリスが突然何者かに殺されかけ、その黒幕がCIAだと知った彼は昔の仲間を集めて復讐に乗り出す。

いまは老人ホームで余生を過ごす何度死んでも死なない男ジョーモーガンフリーマン

スパイ活動のせいでパラノイア気味になり、湿地帯でひそかに暮らすマーヴィンジョンマルコビッチ

洒落た洋館でガーデニングをして静かに暮らす元MI6のヴィクトリアヘレンミレン

冷戦時代は敵味方同士だったが、現在では協力し合う仲の元ロシアスパイ、アイヴァンブライアンコックス

そして、なぜかこの戦いに巻き込まれたフランク憧れの人サラメアリールイーズパーカー

フランクがサラを無理やり連れて、それぞれの仲間のところに会いに行くんだけど、そのときの一人一人の再会エピソードがすべてきちんとそれぞれの背景を踏まえてオモシロおかしく描かれているところがなかなかに良かったです。全員が超腕効きってのもすごいんですが、みんなちょっとどこか頭のネジがぶっとんでいて、殺しを楽しんでいるところがまたスパイコメディとしては笑いを誘う。そして、アクションだけではなくてセリフで随所に笑わせてくれるところが動きが多い作品なのにスマートなコメディに出来上がっています。

しかし、あーゆーイカレた役をやらせたらやっぱりマルコビッチは最高ですね。目ん玉がすでになんかおかしいし。このテの演技はお手の物ですね。でもそのパラノイアなところがそれだけで終わってなくて、実はちゃんと敵を見破っていたりするのが素敵でした。あの目つきの悪いブタちゃんもちゃんと役に立ちましたね。

そして、スパイの中では紅一点のヘレンミレン。すごく好きな女優さんです。堅い作品から軽い作品まで余裕でこなしちゃう感じがします。60代半ばで自然な美しさを保ち、長年の恋人アイヴァンから「君は相変わらずセクシーだ」なんて言われても全然違和感ありません。彼女の殺人狂なところにかなり笑わせられました。ヘレンミレンも演じてて相当楽しかったんじゃないかな。

彼らを追う適役に「ロードオブザリング~二つの塔」でエオメルを演じていたカールアーバンが“キュートな髪型”で登場しています。めっちゃハンサムってわけじゃないんだけど、男っぽい雰囲気がすごく良いですね。彼はこれからどんどん出てきそうな感じがします。要注目です。

そういえば、書き忘れるところでしたが敵役でリチャードドレイファスも登場します。引退したベテランスパイの敵には彼くらいの人じゃないとダメですね。今回は悪役でちょっと醜い太り方をしている感じでしたが、彼の知的な演技をひさしぶりに見たいなぁと思いました。

これだけの面子が集まってコメディするってだけでも贅沢ですが、コメディでありながら、実は物語の筋としては結構しっかりしていて純粋にお話だけでも楽しめる作品になっていると思います。

最後に本当にジョーが死んだのか気になって、エンドクレジットの最後に登場するかと思ったんですが、登場しませんでした。「2」とかあるのかな?


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ウッドストックがやってくる!

2011-02-08 | シネマ あ行
予告編を見て興味が湧いたので見に行きました。

ウッドストックってもちろん超有名なので、知ってはいるんだけど、実際のとこ何だったのかはよく知らないでいたんだけど、それがあのおんぼろホテルを立て直すためだけに、いち青年エリオットディミトリマーティンが自分の街に引っ張ってきたもんだとは、本当にまったく知らなかった。当然ウッドストックそのものをエリオットが企画したわけではないんだけど、開催するところがなくて頓挫しそうになったウッドストックフェスティバルをエリオットが苦し紛れの思いつきとは言え、救ったのは事実だろう。

でもやっぱこれ1969年の話だからなぁ。あんなに何の許可も取らないであんなことできちゃうなんて、現代だったらありえないよね。あのヘリコプターでやってきたウッドストックの主催者のマイケルラングジョナサングロフって多分超有名な人なんだろうけど、ワタクシは音楽にあまり詳しくないので彼が誰なのか全然分からんかった。というか、その他にも何がどうなってるのか分からんことだらけだった。

本当に潰れかけのホテルの子が、「うちでやっていいよ」って言っただけで40万人も集まる伝説のコンサートが実現しちゃうなんて、これを映画にしたらそりゃ面白いもんができるんじゃない?って思ったんだけど、内容はなんかグダグダで。もっと分かりやすく青春してくれればいいものをアンリー監督だとそういうわけにもいかないのか?

そのグダグダ感こそ、実はあの年代を表してるのかなー、と思ったりはしました。結局ヒッピー文化ってなんだったの?みたいな。「愛と平和」を説いたまでは良かったけど、そこにマリファナ、LSD、フリーセックスとなんでもアリなところがどうも振り返って見てみると、結局自分らに都合の良いことしか考えてなかったのかなぁと思ったり。当然あの時代背景を象徴するムーブメントだったってことは分かるけどね。若者はいつの時代も暴走しがちだし、それはある程度許容されても良いとワタクシは思っているし。

内容的にはウッドストックのコンサート自体に思い入れのある人が見たら拍子抜けしちゃうかもしれません。だって、まったくライヴシーンはないから。実際、ウッドストックに集まったのって多過ぎて、ライヴのほうまでたどり着かなかったって人が多数だったみたいだから、それもウッドストックの実情を表していたのかもしれません。

このウッドストックを通したエリオットの成長物語として見るのがいいのかもしれませんね。それにしても、エリオットの母親イメルダスタントンが酷すぎてちょっと引いてしまった。風替わりな母親とかじゃなくて、もうあれは完全に毒親の域入ってるもんねー。借金で首が回らなくて一家で困っていたのに、自分一人で思い切りへそくり貯めてたなんて絶縁ものだよね。と言ってもあの母親があんなんだったから、ウッドストックを呼ぶきっかけの借金がいっぱいできていたってことになるんだけど。

途中で登場するゲイの警備員のリーヴシュライバーが最高だったな。あれって女装する気あんの?リーヴシュライバーって男性の中にいてもごつい男なのに、ワンピースでガニ股で歩くもんだから、登場するたびにぷぷっと笑えてしまった。あれを見れたことがこの映画の一番の収穫だったかも。

なんかグダグダと進むお話の中でエリオット役のディミトリマーティンがチュートリアルの徳井くんの外人キャラに見えて仕方ないのでありました。


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ヒアアフター

2011-02-04 | シネマ は行

試写会に行ってきました。クリントイーストウッド監督作品ということで、公開されたら見に行くつもりだったので、ラッキーでした。

マットデイモンが死者と話しができる霊能者ジョージで、フランス人の女性マリールレセシルドゥフランスと、イギリスの男の子マーカスフランキーマクラレンというこの3つの物語が1つにつながる話ということだけを知っていたのですが、冒頭、フランス人のマリーが旅行先で巨大津波の災害に遭うシーンでいきなり度胆を抜かれてしまいました。イーストウッド監督の映画にはないド派手なCGが使われていたので、とても意外でした。

このいきなりのスペクタクルなシーンから、どんな物語が展開するのか、どんな大きな事が起こるのか???

起こるのか?

起こるのか??

起こるのかーーーっ???

っと思って2時間じーっと見ていましたが、結局ほとんど何も起こりませんでした。チャンチャン

もちろん、映画ですからお話はいろいろと展開していきますが、最初の津波のシーンで予感されるような大きな事というのは実は何ひとつ起こりません。
津波の被害に遭ったマリーのその後、イギリスでマーカスという少年を襲う悲劇、霊能者のジョージの日常が淡々と静かに静かに語られます。このあたりの静かで緻密な演出がイーストウッド監督の技。

死後の世界を知ってしまったマリーと、最終的にマリーとジョージをつなぐ役割をすることになる、双子の兄を亡くしたマーカスのそれぞれの心の痛みをジョージの霊能者がゆえに傷つくことになる日々と同時進行で丁寧に描いていく本作。その丁寧さがともすれば「退屈」という結論を出されてしまうかもしれません。

ジョージがいつも独りで食事をするシーンが何度も映るのですが、そこにある「孤独」が観客の心に染み入るように描かれています。そして、その「孤独」を打ち破ろうとしたのも「イタリアン料理教室」だったというのも、「食事」と結びついていますね。家族や恋人、大切な人たちと囲む「食卓」というものの「幸福感」をイーストウッドは大切に思っているのかもしれません。

霊能者の話、と聞くと色々と想像するとは思うのですが、このお話は一般的にワタクシたちが霊能者というカテゴリーから想像するような物語が展開するのではなく、いち霊能者ジョージの個人的な再生の物語と言ったほうがいいのかもしれません。霊能者としての特殊な能力を強欲な兄ジェイモーアに利用され、他人の人生を覗き見ることに疲れ果てたジョージが、その痛みを分かち合える女性と出会うまで、という大いなる「前振り」的な作品かなと。「え?前振りだけで終わりかいっ?」と突っ込みたくなる人もいるとは思いますが、ワタクシはとても好きな作品でした。

オマケジョージがイタリアン料理教室になぜ通っているか聞かれたときに「前の仕事を忘れたくて」と答えたとき「あ~、そりゃCIAのスパイなんてしんどい仕事忘れたいよね」と思ってしまって心の中で一人ウケてしまいました



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「映画」もいいけど「犬」もね。という方はこちらもヨロシクです。我が家の犬日記「トラが3びき。+ぶち」


砂と霧の家

2011-02-03 | シネマ さ行

随分前にケーブルテレビで放映していたものを撮りだめしていたので見ました。

いやー、暗い!本当に暗くて救いのない話。

キャシージェニファーコネリーは父から相続した家に夫と住んでいたが、夫には去られ、いまはその家に独りで暮らしている。しかし、たった500ドルの所得税を滞納したということであっという間に家を競売にかけられてしまう。

その家を競売で破格の値で購入したのはイランからの移民のベラーニ大佐ベンキングスレー。彼は祖国の政変で仕方なくアメリカに亡命してきたのだが、アメリカでは思うように収入を得られず、祖国での生活水準を変えようとしない妻ショーレアグダシュルーの前ではお金のあるふりをしてきた。そのため、この破格で手に入れた家にしばらく住んだあと転売し、儲けを得ようと考えていた。

キャシーを行政に代わって追い出したときの警官レスターロンエルタードは妻子ある身でありながら、キャシーに魅かれ不倫の関係に陥ってしまう。妻子を捨ててキャシーと一緒に暮らそうとする彼だが…

キャシーがどんなに手を尽くしても行政は何もしてくれず、ベラーニ大佐に直接返還を求めるが、彼も家族の生活のために一歩も譲れない。

この物語には本物の悪者というのは一人も出てこない。確かに不倫は道徳的に責められるべきことだろうし、ベラーニ大佐も祖国での栄光にすがってばかりで現実を見ようとはしていないし、キャシーはどうやらドラッグだかアルコールだかの依存症であった過去もあるらしいけど、そういう弱いところがありながらも、全員が“悪意”から行動を取ってはいない。なのにもかかわらず、事態はちっとも好転しないのだ。彼らが何とかしようとすればするほど、事態は悪い方向へ進んでしまう。なんかねー、全員が全員とも非常に頑固なんですよね。柔軟性がないというか。それも彼らの弱さの裏返しなのかもしれません。

それぞれにこの「家」に執着する理由っていうのがあるのですが、絶望しかけた人間たちの集まりのせいですかね、この結末は。結局一番貧乏くじを引いたのはもともと全然関係ないはずだった警官のレスターだと思うのですが、彼がキャシーを選んだのも自業自得だし、この結末を引き出したのも実は彼だったりするわけで。彼がいなかったら、もうちょっと良い結果になっていたような気も。

いやー、冒頭にも書きましたが、見終わってからも「はぁああああ」とため息しか出ない暗さ。ここから何を言いたいかをくみ取るとかそんな必要は別になくてメロドラマを楽しめたからいいかなといった感じです。このメロドラマを楽しめたのはやはり、ジェニファーコネリーとベンキングスレーの演技のうまさなんでしょうね。二人ともいやらしいくらいにうまいです。

監督のヴァディムパールマン「ダイアナの選択」も監督した人で、こういう落ち着いたドラマを撮るのがうまいのかな。ウクライナ出身ということで両作品の独特の暗さも納得かも。

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9デイズ

2011-02-02 | シネマ な行
これも随分長い間ハードディスクに入れっぱなしになっていた作品でした。

アクション映画で、クリスロックかぁ。まぁまぁな感じのんかなぁとあまり期待しないで見たんですが、これが結構イケました。

プラハで核爆弾の密売のおとり捜査中に、CIAチームの要であるケヴィンポープ(クリスロック)が殺されてしまい、ベテランエージェントのゲイロードアンソニーホプキンスは、アメリカで生まれたすぐに養子に出されたケヴィンの生き別れの双子の弟ジェイク(クリスロック)にケヴィンの代わりをさせようとする。

ジェイクはダフ屋的な仕事をしているようで、ふらふらして生きていることから彼女ケリーワシントンにも逃げられちゃいそうな具合。CIAの仕事の報酬につられて引き受けるが、にわか仕込みでおとり捜査に参加しなければならないため、短期集中で訓練を受けさせられる。この訓練では、優秀なエージェントだった兄と双子なせいか、なかなかに良い腕前を見せるジェイク。確かにダフ屋として生活をしていても、チェスの名手だし、計算は早いし、頭は切れる奴だった。

核爆弾を売ろうとする側と買おうとする側(CIA)と、それを奪おうとする第3の勢力も登場して、その辺の取引の話はなんだか真剣に追うのが面倒くさくなっちゃったんだけど、途中途中のクリスロックに笑わせられるし、それに応えるアンソニーホプキンスも大真面目に芝居をしていながら、なんとなく楽しんでいそうなのが分かる。彼は直観的に芝居をするタイプだから、お互いにアドリブなんかもあったのかもしれないなと思ったり。

途中で死んだケヴィンの恋人がジェイクがケヴィンになりすましているとは知らずに誘惑してくるところが可笑しかった。ジェイクはいい加減な奴だけど、ちゃんと浮気しないように頑張っているところに好感が持てました。あの彼女はキスしただけで「あなた、ケヴィンじゃないわ」って分かったみたいだったけど、それくらいで分かるもんなんかなぁ。ケヴィンかジェイクのどっちかが異常に口が臭かったとか!?

ちゃっかりアンソニーホプキンス演じる老エージェントと同僚の女性エージェントの仲を取り持っちゃたりなんかして、ジェイクと彼女も最後はハッピーエンドで楽しませてくれました。

アメリカのコメディアン事情にはあまり詳しくないので分からないのですが、クリスロックってアメリカでは活躍中なんでしょうか?日本で、海外のコメディアンが売れるというのはヒット映画がない限りほとんどないですね。やはり笑いのポイントが違うせいでしょうか。



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