万能鑑定士Qの事件簿 XII |
意味深なイラストが表紙の、事件簿の最終譚です。
大阪万博の象徴でもある太陽の塔で行方不明になった妻を捜すためにその夫が凜田莉子に助けを求め、すっかり相棒となった小笠原悠斗と謎に挑んでいきます。
密室とも言える塔の中から妻はどこに消えたのか、そして莉子の鑑定力を試すかのような挑戦状、その両者が紐づいたときに明らかになる真相、といったストーリーです。
前作もそうでしたが、鑑定と言うよりは探偵といった感じが強くなりつつあります。
鑑定も探偵も観察力、分析力などで真実を探っていくものですから似ていて当然ではあるのですが、すっかりと鑑定士よりも探偵士になっているところは評価が分かれるでしょう。
それを意識しているのかしていないのか、次のシリーズが推理劇となっているのは流れとしては自然なのかもしれません。
その今回はかなり壮大なスケールの背景にややチープ感の漂うトリックとバランスは今ひとつでしたが、相変わらずにテンポの良さは抜群です。
あれがそうだったのか、とやられた感のある伏線ではなく手も足もでないようなそれがやや不満だったものの、シリーズの中では標準的な出来だと思います。
久しぶりに登場をした雨森華蓮の意味深な発言にも興味をそそられますし、まだまだQシリーズは続くといったところなのでしょう。
莉子と悠斗の恋模様がどうなるのか、それも合わせて楽しんでいこうと思います。
2013年12月27日 読破 ★★★★☆(4点)