電脳筆写『 心超臨界 』

天才とは忍耐するためのより卓越した才能に他ならない
( ルクレール・ビュフォン )

不都合な真実 《 自分のことを自分で決められない国――藤原正彦 》

2024-09-08 | 05-真相・背景・経緯
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■緊急拡散『2024年8月発表:トランプ前大統領「米国を再び偉大にするための核心的公約20」』
■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
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■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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外国や外国人との交渉において、相手の願望を尊重しかなえてやっても、先方は借りができたとは思ってくれない。「相手が譲歩したのは、譲歩しなければならない弱みがあったからに違いない。これからも交渉では強く出よう」となる。これを知らない人が多いのか、我が国は外圧に極めて弱い。この事実は海外でよく知られているから、ひっきりなしに外圧が加わってくる。特に米中韓だ。


◆自分のことを自分で決められない国――藤原正彦

『管見妄語 常識は凡人のもの』
( 藤原正彦、新潮社 (2020/9/29)、p41 )

日本人ほど他人の気持ちを思いやる人々はいない。日本社会が穏やかなのはこれが大きな一因であろう。また激しい自己主張を抑え相手の気持ちを尊重するというのは、社会活動を円滑に動かす鍵(かぎ)となっている。

例えば他人からの願望や要求は、できたらかなえてやりたい、と日本人ならまず思う。利害の相反する件について衝突した時、残念だがひとまずは相手の気持ちを尊重し譲歩してやろう、というのもよくあることだ。「今回は譲っておこう。先方に借りができるから次には向こうが譲ってくれるだろう」と内心思ったりする。そしてそうなることも多い。

ところがこれは世界でも通ずることではない。外国や外国人との交渉において、相手の願望を尊重しかなえてやっても、先方は借りができたとは思ってくれない。「相手が譲歩したのは、譲歩しなければならない弱みがあったからに違いない。これからも交渉では強く出よう」となる。

これを知らない人が多いのか、我が国は外圧に極めて弱い。この事実は海外でよく知られているから、ひっきりなしに外圧が加わってくる。特に米中韓だ。

中韓は、外交上の優位に立つため、そして日本の軍備増強を防ぐため、しきりに歴史問題をむし返す。70年以上の前の戦争に関し、その罪状を罵(ののし)り続ける国は世界中でも、日本に対する中韓の他に一つも知らない。日本に対してだけ著効があるからだ。

一方、アメリカからの外圧はほぼすべて米国の国益追求のためだ。わが国におけるここ20年のめぼしい改革のほぼすべてはアメリカの外圧によるものだった。いくつもの金融機関を潰(つぶ)した金融ビッグバン、非正規社員を大量に生み世界1だった日本の雇用を壊した労働法改正、地方の駅前商店街を片端からシャッター通りにした大店立地法、簡保と郵貯350兆円の運用権を狙った郵政民営化などだ。すべて米企業のためである。TPPもその一つだ。東京裁判史観を今も信じ、日本が一方的に悪かったと卑屈になったまま、GHQが10日間ほどででっち上げた憲法を押しいただき、未(いまだに崇(あが)めている国民は、アメリカに唯々諾々(いいだくだく)と従うことを何とも思わなくなってしまったようだ。

ただ米中韓が外圧を加えてくるのは仕方ないとも言える。日本を含め世界は国益だけで動いているからだ。外圧に弱い国民性の方に問題がある。さらにやっかいなのは、国内問題を解決するために外圧に弱い国民性を利用する輩(やから)が多いことだ。

例えばかつて、文部省(当時)が高校教科書検定で、日本軍の中国華北への「侵略」を「進出」に書き換えさせた、との誤報が日本のマスコミから発せられ、ついには中韓の憤慨をよび外交問題にまでなった。

この結果、教科書には「近隣のアジア諸国への配慮が必要」という、世界に類のない「近隣諸国条項」が教科書検定に加えられた。アジア諸国とは中韓北朝鮮の3国だ。歴史とは社会科学であったはずだが。マスコミによる中韓への御注進はよくあることだが、時の政府さえ頻繁に外圧を利用する。

消費税を5%から8%へ上げたことで折角のアベノミクスは吹っ飛んでしまったが、この時も消費税を上げたい人々がIMFや世界銀行などに働きかけ、財政破綻(はたん)を避けるには消費税引き上げが不可欠、と日本に忠告させた。

スポーツ界までがそうだ。この10月になって、東京オリンピックの会場をめぐり、IOC、国際ボート連盟、国際水連などのトップが続々と都知事に会いに来た。IOC会長には天皇陛下への拝謁(はいえつ)を許すほどの阿(おもね)りだった。会場の計画縮小を目論(もくろ)む都知事に外圧を加えようと、それぞれの関係者が招請したのだろう。オリンピックには都民ファーストもアスリートファーストもない。国と都と組織委員会が総合判断すべきことだ。

いつの間にか日本は自分のことを自分で決められない国になってしまった。

南シナ海における中国の主張や行動は国際法違反、という仲裁裁判所による当然の裁定がでたが、中国はこれを世界注視の中で「紙くず」と言ってのけた。恐るべき不見識はともかく、自分の好きなように自分のことを決め、それに文句をつける奴は個人であれ世界であれ一喝する、というこの気合いだけは我が国も少しは学んでほしい。
(2016年11月17日号)
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