臨済禅師が、山中で松を植えていました。そこへ師の黄檗(おうばく)禅師が来て、こんな深い山の中にさらに松など植えてどうするのか、と尋ねると、臨済は、「一つは山門の風致(ふうち)のために、一つは後人(こうじん)の標榜(ひょうぼう)のために」こうして松を植えているのです、と答えました。 . . . 本文を読む
「読者は、最後の2ページをごらんになるまえに、どうかこのページを開いていただきたい。私がこのようなお願いをするのは、胎児のときから水銀に犯されたわが子を抱いて風呂にはいっている母親の姿こそ、私がこれまでに表現しえたところの、汚染に対するこのうえなく強い呪(のろ)いであり、生命の持続を擁護するためのこのうえなく雄弁な言明でもあると信ずるからである」 . . . 本文を読む
わたしはほとんどの人がとても信じてくださらぬほどの早い時間に起きて、じっと天地の声に耳を傾け、詩を書いているのであるが、こうしたとき一番感ずるのは、守られて生きているということである。 . . . 本文を読む
神話、そして認知の変換がインターネットの登場によって可能になってきた。生存の知識というのは、百科事典的ではなくネットワーク的だ。ある人が経験し、記述したものは、特定の部分、特定の場所に関連している。どこに立つかによって何百もの眼鏡を掛け替えるようなものだ。このように、ある点から現実をとらえるというのは、視点を変えれば違って見えるということだ。複数の視点がなければ、関連づけをしたり、仲間をつくったり、儀礼を行ったり、社会を再生することはできない。非線形で網目状の思考が重要だ。 . . . 本文を読む
グローバリズムはグローバリゼーションの一部分なのに「世界は大きな一つの都市になるべきだ」といった具合に、妙に突出して自己主張する。経済力や軍事力が強い国が強烈に推進しようとするから、画一的で、のっぺらぼうな世界をつくっていく気配がある。多様な文化を尊重し、積極的に取り入れたところは歴史的に見ても活力があった。ローマもモンゴルもオスマントルコもそうだ。日本も新たな異文化を巧みに吸収したことが、世界に冠たる日本文化を築く原動力になったのを忘れてはいけない。 . . . 本文を読む
日経新聞「やさしい経済学」が日本の企業家を特集しています。今回の企業家は、明治の日本企業の興隆を支えた番頭経営者のひとり、金子直吉。解説は、神戸大学教授・加護野忠男さん。以下にダイジェスト版を記します。 . . . 本文を読む
経済成長とともに産業のウエートが第一次産業(農林水産業)から製造業など第二次産業へ、さらにはサービス業など第三次産業へと移行することは、ぺティ・クラークの法則として知られています。実はこの法則、古代メソポタミア文明においてもその通りに働きました。その結果、基幹産業である農業はかえりみられなくなり、メソポタミアの衰退を招くことになります。 . . . 本文を読む
CO2ゼロという極端な目標は、経済を破壊する可能性の方が高い。政府は、安価な化石燃料の従来通りの利用を禁止し、CO2の回収貯留を義務付けるという。乃至(ないし)は不安定な再生可能エネルギーや扱いにくい水素エネルギーで代替するという。これにより2030年に年90兆円、2050年に年190兆円の経済効果を見込んでいる。だが莫大(ばくだい)なコストが掛かることを以(もっ)て経済効果とするのは明白な誤りだ。 . . . 本文を読む
トランプ叩きの中でも、否定されにくいのはトランプ前政権のわが日本への政策である。民主党や主要メディアのトランプ政策の否定の中で、対日政策や対日関係だけは触れ難い聖域のようだ。トランプ氏の対外政策を担当した後、仲たがいして一気に全面非難へと転じたジョン・ボルトン元大統領補佐官さえ、回顧録で政権の対日政策が功を奏したことを認めていた。日本側でもこの点への正面からの評価が必要であろう。この作業は日本にとって「トランプ大統領」とは何だったかという総括につながっている。トランプ前政権下では、日米関係はかつてなく良好だったといえよう。 . . . 本文を読む
多くの日本人がその存在を知らないことに驚きますが、日本の大手マスコミは中国と1964に「日中記者交換協定」を交わしています。これによって国交がない段階で日本の報道機関が北京(ペキン)に駐在することが認められましたが、68年に一方的な改定である「政治三原則」を押し付けられます。 . . . 本文を読む
【藤井】 チャイナのやり方を現代的な視点で語ったのが、中国人民解放軍の空軍大佐だった喬良・王湘穂の両氏によって執筆された『超限戦 21世紀の「新しい戦争」』(日本語版は共同通信社/2001年)という本です。「超限戦」とは「あらゆる限界を超える戦争」という意味ですが、これがチャイナで公に出版されたのは1999年だったと思います。【石平】 中国でベストセラーになりました。 . . . 本文を読む
近年、憲法改正の論議が盛んになっています。いわゆる保守派の方々も憲法改正をやるべきだという声を高くしておられます。私も憲法改正は必要なことだと思いますし、決して改憲そのものを批判するわけはありません。しかし、ここで立ち止まって、「憲法とは何か」ということをもう一度考えてみる必要があると思うのです。 . . . 本文を読む
「日本は借金で危険だ! これ以上の国債発行は危険だ」とよく言われます。「日本は1000兆円も借金をしている。これではやっていけない、だから税金を上げるべきだ」とも言われます。でも、国債の90%近くは日本人が持っていますから、本来は何の問題もありません。日本の国債は世界で最も安全です。だから今でも売れているのです。外国の投資家が日本の国債を買いたがっているのですが、日本はそうは簡単に売りません。 . . . 本文を読む
慰安婦はみな合意契約をしていた。口約束の場合もあり契約書を交わした場合もあったが、合意契約がなければ慰安婦になれなかった。その契約が慰安婦と経営者の間で、どのように機能していたのか明らかにしたのが、ハーバード大学ロースクール教授マーク・ラムザイヤ―が『国際法経済学レヴュー』(international Review of Law and Economics)に掲載した「太平洋戦争における性契約」の中身だ。これは「慰安婦強制連行説」、「慰安婦性奴隷説」を根底から覆すものだ。 . . . 本文を読む