電脳筆写『 心超臨界 』

人生は歎き悲しむよりも
笑いとばすほうが人には合っている
( セネカ )

愚かな者は旅をすることによってもっと愚かになる――紀野一義

2024-07-06 | 03-自己・信念・努力
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旅というものはしたほうがよいか。しないほうがよいか。老子は「旅なんかしたってしょうがない、家におればいい」と言った。フランスの文人モンテーニュは「旅をしたほうがいい。賢い人は旅をすることによってもっと賢くなる。愚かな者は旅をすることによってもっと愚かになる」と言った。山頭火は旅をすることによって賢いところはいよいよ賢くなり、愚かなところはいよいよ愚かになった。三浦君はそう言った。


◆愚かな者は旅をすることによってもっと愚かになる

『生きるのが下手な人たちへ』
( 紀野一義、PHP研究所 (2003/4/1)、p18 )

昭和47年の夏に、私の主宰している真如会(しんにょえ)で夏の三泊研修会である高野山結集(こうやさんけっしゅう)というものをひらいた時、会員の一人でフォーク歌手の三浦久(みうらひさし)君が参加して「山頭火」を歌ってくれた。三浦君の歌はすべて自分で作詞作曲したユニークなものである。その哀調をおびた、単調なしかも深くたゆたうもののある歌の調べは、三百人近い若い人々の心を魅了しつくした。参加した若い母が家へ帰って口ずさんでいたら、二つになる女の子がすぐに覚えてしまったほどである。

三浦君は歌のあいまに旅の話をした。彼もまた放浪の詩人であるから、旅の心は他の人よりもはるかに深くわかるのである。

彼は言った。旅というものはしたほうがよいか。しないほうがよいか。老子は「旅なんかしたってしょうがない、家におればいい」と言った。フランスの文人モンテーニュは「旅をしたほうがいい。賢い人は旅をすることによってもっと賢くなる。愚かな者は旅をすることによってもっと愚かになる」と言った。山頭火は旅をすることによって賢いところはいよいよ賢くなり、愚かなところはいよいよ愚かになった。三浦君はそう言った。

私は三浦君の指摘したとおりだと思う。山頭火の最初の旅は、迷いがいよいよ深くなっていくような旅だったのであろう。

人間がさとりをひらいたり、迷いから解放されたりするのにはいろんなタイプがある。しかし大きく分けて、迷いを完全になくしてさとりに至る人と、迷いがまよいのままでいてしかも迷いでなくなるというさとりとの、二通りがあると思う。

才能のすぐれた、強烈な意志の人は、自分の力で迷いを克服してさとりというところへゆく。沢木興道師がよき例である。しかし、そういう意志力のない人は、やろうとすればするほどそれが迷いになる。ぬかるみに車輪を取られた自動車のように、エンジンをふかせば吹かすほど、いよいよぬかるみにのめりこんで、出られなくなるのである。

そのような人は、その迷いに徹するよりほかはない。第一その道はどうしても行かねばならぬ道なのである。右へ行ったり左へ行ったりできるのなら問題はない。しかし、その道を行くしかないのである。それゆえ山頭火は、

この道しかない一人であるく

と歌う。道はただ一つである。入ったらおしまいなのである。それゆえ山頭火は、もう歩けなくなるまで歩いた。歩いていなくては倒れてしまうからである。
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