電脳筆写『 心超臨界 』

一般に外交では紛争は解決しない
戦争が終るのは平和のプロセスではなく
一方が降伏するからである
ダニエル・パイプス

日本史 古代編 《 「聖」と「俗」を感じるセンスとは――渡部昇一 》

2024-07-13 | 04-歴史・文化・社会
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「俗」なるものしか感じることができない人間にとって、空間は無限の延長にすぎず、また時間も節目のないノッペラボーの流れにすぎない。ところが「聖」なるものへのセンスを持つ人間は、理論的には、等質の広がりである空間の一点に聖なる点を設けたがる。これが「聖地」の意味である。そして同じように均質な時間の流れの上に聖なる点を設けたがる。これが「祝日」であり「記念日」である。つまり聖なるものへのセンスを持つ人間というのは、特別な人間ではなく、普通の宗教感覚を持った人である。


『日本史から見た日本人 古代編』
( 渡部昇一、祥伝社 (2000/04)、p87 )
1章 神話に見る「日本らしさ」の原点
――古代から現代まで、わが国に脈々と受け継がれたもの
(5) 日本的アイデンティティの出発点

◆「聖」と「俗」を感じるセンスとは

これに対して紀元節反対論というのがある。その理由というのは、だいたい二つ挙げられるようだ。

その第一は前に言った「非科学的」という議論である。その論法でいけばクリスマスもイースターも、お釈迦様の祭りも、ユダヤの祭りも、すべてパーになることなのであるが、そういう無祝日の状況こそ知性の開かれた科学的な時代だというなら、それは一種の啓蒙史学の立場というわけで、話は解る。

ここで思い出すのは、比較宗教学の碩学エリアーデの発言だ。彼は人間には「聖」なるものを感ずることができる人と、「俗」なるものしか感じることのできない人間がいるということを指摘する。

「俗」なるものしか感じることができない人間にとって、空間は無限の延長にすぎず、また時間も節目のないノッペラボーの流れにすぎない。ところが「聖」なるものへのセンスを持つ人間は、理論的には、等質の広がりである空間の一点に聖なる点を設けたがる。これが「聖地」の意味である。そして同じように均質な時間の流れの上に聖なる点を設けたがる。これが「祝日」であり「記念日」である。

つまり聖なるものへのセンスを持つ人間というのは、特別な人間ではなく、普通の宗教感覚を持った人である。むしろ「俗」なるセンスしか持たない人間こそ、徹底した唯物論者で珍しいということになる。

唯物論革命であったはずのソ連でも、レーニン廟があり、革命記念日がある。レーニンの葬られた場所は、ほかの空間とは異質な空間である。つまり「聖」なる空間である。何年か前に革命をやった日と同じような太陽対地球関係の生ずる時間を記念日とするのは、本来、等質な時間のその点を別扱いにすることにほかならない。つまり聖なる日、革命記念日となるのである。共産主義が一種の宗教だと言われるのは、本来ならば、等質・無差別的な時間や空間の中に記念日や廟を置くことによって、共産主義が「聖」なる観念を持っていることを示していることからもよくわかるのである。

本当の唯物論者というのは、私の知っている人の中にもいるが、神社のお祭りだろうが、革命記念日だろうが、そういういっさいの「お祭りさわぎ」に無関心なものだ。
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