電脳筆写『 心超臨界 』

あなたが犯す人生最大の過ちは
過ちを犯すことを常に恐れることである
( エルバート・ハッバード )

「和を以て」令和憲法の前文私案――平川祐弘さん

2019-12-21 | 04-歴史・文化・社会
 「東京裁判史観(自虐史観)を廃して本来の日本を取り戻そう!」
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「和を以て」令和憲法の前文私案――平川祐弘・東京大学名誉教授
【「正論」産経新聞 R01(2019).12.19 】

日本をとりまく国際環境は悪化する。それに感づく人がふえたせいか、防衛力増強への反対が減った。以前は「平和憲法を守れ!」とむきになる婦人や宗教者がいて、カルチャー・センターの教室でも場違いな発言をしたが、世間の風向きが変わり出した。クラスの後お茶を飲みながら憲法改正を口にしても、怖い顔をされない。

◆知的成熟してきた日本社会

受講者には戦後のベビー・ブーム世代が多い。1946年憲法にあやかった憲一という名の人もいる。戦後民主主義の「団塊の世代」だが、学生時代にストを繰り返した。戦後教育の感化は続き、昭和天皇崩御の頃、神道について私が比較文化論的見地から講義すると、右翼呼ばわりされた。しかし今は60年安保騒動の高調と安保法制反対の低調にふれても、反発はない。往年の活動家も「日本のメディアも野党も惰性的に反対するだけで能がない」などとソフィスティケートした口をきく。

Sophisticationとは「知的成熟」とも「不純化」とも訳されるが、「憲法改正について日本のたいていの新聞は民意を読み違えている」という「おとな」の批評には一理も二里もある。

野党は口実を設けて国会で憲法論議を避ける。こんな子供じみたサボタージュする政党を世間が支持するだろうか。真っ向から真剣に国防を考えてほしい。これが人々の本音だ。私のクラスの過半は、外国体験が長いせいか、日本の大新聞とテレビの主張を信用せず、野党幹部に不満を抱き、若手の独立に期待し、もっと「反大勢」の論を書け、とけしかける。憲法前文は暗唱するに足る名文であることが望ましい、と述べたら、では具体的にというから、私案を提案させていただく。

◆暗唱するに足る名文の憲法

憲法には日本の伝統に則し、しかも世界に通用する精神を高らかに唱(うた)いたい。憲法前文を「和を以て貴しとなすの理念を重んじ日本国民は」と始めてはいかがか。平和共存は古代から日本の大原則だ。明治憲法がドイツ製、昭和憲法が米国製の名残があるのに比べ、令和の憲法は、聖徳太子以来の伝統にも依拠したい。

十七条憲法第一条はHarmony is to be valuedと普通英訳されるが、憲法の公式英文でTolerance is to be valuedと訳したい。21世紀は一神教勢力の衝突が懸念される。大宗教の地域的すみわけが終わり、人口移動の加速化で宗教対立に火がつきやすい。国際的にも注目される日本の憲法改正だ。寛容を冒頭に掲げる意義は大きいだろう。

世界の宗教文明の大原則は、モーセの十戒の第一戒のように「汝我のほか何物をも神とすべからず」という排他的主張で始まる。

Thee alone do we worship, and of Thee alone do we ask aid.と『コーラン』の英訳にある。聖徳太子は大陸から仏教を取り入れたが、外来文明導入派の蘇我氏と土着宗教維持派の物部氏の抗争を目撃し、日本は「和を以て貴しとなす」がよいとされ、『論語』の言葉を太子流に解釈し、わが国最初の成文法の第一条とした。国民も宗教的に神仏共存、文化的には和魂漢才(後には和魂洋才)の社会を造ってきた。

◆複数価値の平和共存認める

日本社会には自己の正義を言い立てる者を「わが仏尊し」と冷やかす智慧(ちえ)がある。だが西洋では「わがキリスト尊し」と熱心家の相手に水をさす言いまわしはなかったようだ。イスラム圏で「わがアラー尊し」などという言葉で相手をたしなめることはできまい。宗教的寛容の幅が狭いからだ。政治的寛容のない国は言論の自由もない。大陸中国で毛沢東の権威を担ぐ習近平主席を「わが毛主席尊し」と皮肉ろうものなら、公安当局に逮捕される。だが相手を揶揄(やゆ)し、複数価値の共存を認めることこそデモクラシーの大原則だ。それこそが日本が取るべき道だ。

和の主張は国際的にも意味がある。中国も、建前だけかもしれないが、和諧(わかい)社会を理想とした時期があった。そのスローガンは色あせ、新中華帝国は高度のテクノロジーを駆使して不満分子を監視する警察国家になりつつある。

日本は違う。新憲法の前文には明治維新以来、デモクラシーを国是とした国であることを明確にしたい。そのために、「廣く会議を興し万機公論に決する民主主義国家として日本は」と『五箇条の御誓文』を踏まえて政治形態を述べるがよいだろう。

また1946年憲法からも理想を引き継ぐならば「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から除去することに努め、国際社会に於いて名誉ある地位を占めたいと願う」との文言も拾えばよい。

最後に一言。将来天皇の位を継ぐ方の中から宮中祭祀(さいし)は行いたくないという方が出ることのないよう、天皇は皇室の伝統に基づき祭祀の儀礼を行なう、という趣旨を天皇の国事行為、公的行為として憲法で明文化していただきたい。

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