電脳筆写『 心超臨界 』

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ドクター・スース

不都合な真実 《 自覚なき国家漂流——西尾幹二 》

2024-09-21 | 04-歴史・文化・社会
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自分の背中の見えない韓国の夜郎自大を果たして日本人は笑う資格があるのだろうか。韓国とはまた違った意味で、同じ種類の国家観念の喪失症を患っているのが日本人ではないだろうか。世界地図の中の自国の状態や条件を見て常に最悪の事態を考える能力は、深く軍事的知能と結びついている。今の日本人は、それを失っていることは人間失格だということさえもまったく分からないほどに何かがまるきり見えなくなっている。


◆自覚なき国家漂流

『国家の行方』
( 西尾幹二、産経新聞出版 (2020/2/3)、p17 )

韓国が国家の体(てい)をなしていないおかしな振る舞いを重ねている事実に日本人が国を挙げてやっと気がついたことは、遅きに失したとはいえ、今後事柄の正常化に役立つと思うからこれはこれで良いことに違いないのだが、日韓問題はここでのテーマではない。これは脇道へそれた余談である。ここでのテーマはどこまでも日本人の国家意志の自覚の問題である。

さてそこで、東日本大震災と福島第一原発の事故という悲劇の時代を思い起こして頂きたい。2011年3月、原子炉のメルトダウンと温度急上昇が起こり、水素爆発によって建屋上部が崩壊、大量の放射性物質の放出が憂慮されたときのことだ。東京が一気に危険圏内に入った。そのとき何が起こったか。「トモダチ作戦」と銘打って大挙してやってきた米国の協力部隊はどう動き、何をしたかを思い出してもらいたい。

米国人は80キロ圏外に逃れ、米艦船は西日本に移動した。原子炉の現場作業に携わった米軍兵士は一人もいなかった。周知の通り、わが自衛隊と消防隊が決死の覚悟の放水を行った。そして東京の東電の本部のあったビルの一室には米軍の監視部隊のみが居残り、情勢の変化をワシントンに打電し続けた。その結果驚くべきことが起こった。原子力の災害対策本部の議事録を官直人内閣(民主党)はつけていなかった。後でその欠落を埋めたのはワシントンが受けた議事内容のファイルだった。

高い濃度の放射能が東日本を襲う可能性が恐れられていた時点で、米軍の主力部隊が西日本へ移動したことをわれわれは非難することはできないし、裏切りでも何でもない。当然の行動である。問題は日本が「国家」でなくなりかけているこのときに、日本の権力の中枢にその危機の自覚が果たしてあったのか否か、ということに尽きる。

日本は国家漂流の状態になりかけていた。思い出せばぞっとするほど恐ろしい事態である。国民が半ば浮足だって列島内を右往左往する局面で、国家は司令塔のない無政府状態に近づく。アメリカ政府があのとき見ていたのは、極東の地域全体の政治権力の喪失であった。日本の中枢が壊れれば、東アジア全域は流動化する。中国が動き出さないはずはない。米政府にあって今の日本政府にないのは、地球全体を見ている統治者の意識である。日本人は幕末より以前の時代感覚に戻ってしまっている。

昭和20年より以前の日本は今の時代よりもはるかにまともだった。視野も広く、国際社会の中での自分の位置や役割もちゃんと見えていた。むしろ視野狭窄(きょうさく)に陥っていたのは好戦的なルーズベルト政権のほうだったのではなかろうか。敗戦後に日本人に強いられた歴史のものの見方は敢(あ)えてひっくり返して眺め直して見る心掛けが必要かもしれない。

しかし、いずれにせよ、今の日本が敗戦後遺症を引き摺っていて、それをむしろ自らに有利とする米政府の政策のおかげで自分が何処にいて何をしているのかが見えない恐ろしい自失状態を再生産し続けていることは間違いない。戦争終結後もアメリカは対日戦争を続けているのである。

自分の背中の見えない韓国の夜郎自大を果たして日本人は笑う資格があるのだろうか。韓国とはまた違った意味で、同じ種類の国家観念の喪失症を患っているのが日本人ではないだろうか。

世界地図の中の自国の状態や条件を見て常に最悪の事態を考える能力は、深く軍事的知能と結びついている。今の日本人は、それを失っていることは人間失格だということさえもまったく分からないほどに何かがまるきり見えなくなっている。
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