電脳筆写『 心超臨界 』

あなたが他人を責めるとき
あなたは成長し変化する自分の力を放棄したことになる
( ロバート・アンソニー )

日本史 古代編 《 「仏教オカルテズム」としての天台・真言——渡部昇一 》

2024-05-24 | 04-歴史・文化・社会
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加持祈祷してもらうことによって、自分ではそれに値する者になることなしに、現世において名誉や幸福や健康を得ようというのである。お客様がお客様なら、祈祷をやるほうもやるほうなので、釈迦の弟子であるべき僧侶が、みんな現世の利益(りやく)や幸福をもとめようということになった。その面で寺同士の競争が起こって、僧侶が武器を持つに至ったり、国家鎮護の道場であったはずの比叡山が、いちばん天下を乱し、天皇を嘆(なげ)かせるということになったりした。


『日本史から見た日本人 古代編』
( 渡部昇一、祥伝社 (2000/04)、p273 )
3章 平安朝――女性文化の確立
――日本における「成熟社会」の典型は、ここにある
(3) 平安仏教――オカルテズムの定着

◆「仏教オカルテズム」としての天台(てんだい)・真言(しんごん)

平安朝の仏教の開祖である最澄(伝教(でんぎょう)大師)の天台宗も、空海(弘法大師)の真言宗も、みんな護摩焚(ごまだ)きになってしまうのだ。

元来、天台宗では四種相承(ししゅそうじょう)といって、円・密・禅・戒の四つを包含していたのであったが、そのうちの「密」だけがグロテスクに成長してしまい、天台宗は台密(たいみつ)にすぎず、比叡山は、まったくの加持祈祷(かじきとう)の道場になってしまったのである。

同じことは空海の真言宗についても言える。元来、真言宗には、高尚深奥(こうしょうしんおう)なる教理を教える「教相」と、実践的なお祈りをする「事相」の二つがあった。空海には『十住心論(じゅうじゅうしんろん)』とか『即身成仏義(そくしんじょうぶつぎ)』などの教相のほうの著作があったけれども、平安朝390年間、空海以外にこの教相にコメントを加えた者も、空海の著作に学問的な注釈を加えた者も、一人もいないといってよいのであり、真言宗は単なる東密(とうみつ)になって、護摩ばかり焚いていたことになる。

このような密教を、和英辞典で引くと、esoteric Buddhism(秘密の、あるいは難解な仏教)としてあるが、これは誤訳に近い。学問的にむずかしくても esoteric と言えるからである。

私なら Buddhistic occultism(仏教オカルテズム)と訳すだろう。オカルテズムは元来が女性的原理であるから、虫のよいところがある。

加持祈祷してもらうことによって、自分ではそれに値する者になることなしに、現世において名誉や幸福や健康を得ようというのである。お客様がお客様なら、祈祷をやるほうもやるほうなので、釈迦の弟子であるべき僧侶が、みんな現世の利益(りやく)や幸福をもとめようということになった。その面で寺同士の競争が起こって、僧侶が武器を持つに至ったり、国家鎮護の道場であったはずの比叡山が、いちばん天下を乱し、天皇を嘆(なげ)かせるということになったりした。

しかし、こういう密教にもよい面はあった。それは現世的なものに金をかけることを魂の救いと関連づけたからである。藤原道長の法成(ほうじょう)寺や宇治平等院の鳳凰堂や阿弥陀堂などの美麗な建築物は、そのため出来たからである。

それは、ある意味で西洋の宗教が中世末に堕落したといわれる時代に、免罪符(正しくは贖罪符)を売買したのと似ている。救霊の問題と、現世において教会に金銭を寄付することが結び付くからである。それが神学的にどのくらい正しいかは別として、そのおかげで、後世の人はミケランジェロやラファエルの傑作で埋められたサン・ピエトロ大聖堂を持つことになった。
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