電脳筆写『 心超臨界 』

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( アナトール・フランセ )

WGIP 《 巧妙な四つの占領政策――西尾幹二 》

2024-06-30 | 04-歴史・文化・社会
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ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムというのが、昭和20年12月以降に成立します。戦争に関する罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画、と訳したらいいでしょう。そして、アメリカ占領軍の中にそのための委員会をつくりまして、いかにして日本人に罪の意識を植えつけるかを考え、これを実行した。


◆巧妙な四つの占領政策

『歴史を裁く愚かさ』
( 西尾幹二、PHP研究所 (2000/01)、p283 )

現実にアメリカが、いい言葉だけを全部自分が取って、実際にすこしも道徳的でなかったということを考えると、これは嘘つきになるわけです。個人だったら、嘘つきと非難できますけれども、国家を嘘つきとして非難することはできない。なぜならば、美しい理論を旗印にして他国を制圧し、他国に道理の付け入る隙を与えない国、たとえばアメリカのような国は、本当の意味での勝利者なのです。つまり、トルーマン大統領の演説に、ただちに有効な反論ができなかったわが国は、戦争に敗れただけではなくて、政治においても敗れたということです。

このことを、今こそわれわれは自覚しなくてはならないのではないか。戦前の日本の歴史において、アメリカやイギリスが正義であって、日本だけが犯罪を犯したという馬鹿な見方は全く成り立たない。日本がいかにして“戦後の戦争”に敗れたか、という四つの要因の一つは、言葉を取られたということなのです。

二番目は、アメリカ占領軍がただちに一般国民と支配階級とを区別して、一般国民には罪はない、指導者にだけ戦争責任がある、指導者を追放令その他で一新して、それによって一般国民を救ってやるんだ、という政策をとったことです。つまり、日本の文明が間違った方向に歩んでいたのであるから、教育しなくてはいけないというやり方をして、指導階級と一般国民を区別しました。

しかし、日本は第二次世界大戦に突入するときに、指導階級と国民とが必ずしも二つに分かれてはいなかった。たとえばドイツと日本を比べてみても、ドイツではナチ党と党幹部に相当の戦争責任があったとしても、日本では天皇と国民は、ある意味で運命共同体だった。これは歴史上、日本がもっていた特徴でありました。ドイツと違うところです。つまり、上と下の考え方や意識がそう大きく分離していなかった。われわれは一丸となって戦争に突入した。だから、敗けた後で一億総懺悔といったのです。敗戦の日に、宮城の前にひれ伏して泣いたのは正直な姿だった。

ところがアメリカ占領軍は、日本国民の敵は連合軍ではなくて、日本の支配階級であるといういい方をして、国民の怨嗟をうまくそらした。それに乗せられた国民が馬鹿といえば馬鹿でありますが、このアメリカ占領軍のやり方は、マルクス主義が支配階級と被支配階級というふうに二つに分けて、後者が前者を撃ち滅ぼして革命を起こすのだという考え方になんとなく重なるのです。

事実、次のような説もありますから、申し上げておきます。当時日本を占領していたアメリカ占領軍の首脳部は、共産主義者であったというのです。アメリカの共産党はけっこう強く、マッカーサーを除いて、占領政策を具体的に立てた人は、実は共産主義者であったという説です。いずれにしても、戦後わが国が苦しめられた、また、いまに至るも苦しめられているこの状況は、国民を支配階級と被支配階級に二分割する観念操作から始まった。そして、それに日本人が見事に乗せられた。これが第二点です。

第三点は、いまのことと関連するのですが、日本は封建的、前近代的、あるいは中世的な古臭い遅れた国だから戦争を起こしたのだ。だから日本に近代というものを与えてやらないといけない、と彼らは考えたのです。ところがこれは全くの間違いです。第二次世界大戦の主役は、紛れもなく近代だった。なぜならば、欧米の植民帝国主義は、間違いなく近代の所産だったからです。

20世紀の大戦争のほとんどすべては、基本的には西洋が引き起こした「西洋世界の内戦」(これは、ハンチントンというハーバード大学の教授が使っている言葉です)の影響を受けて起こったと考えざるをえない。アジア的中世とか封建意識が戦争の主原因だったのではない。

日本がもし、アジアの国のままでいて西洋と接触しなかったなら、戦争なんて起こることもなかった。つまり、戦争を引き起こしているのは西洋世界であって、遅れたアジアが戦争を引き起こしている話ではない。近代的欲望に火をつけたのはだれか、という点を考えてみても、進んでいるとか、遅れているということでわれわれの歴史観を考えるのは間違いです。

四番目には、占領軍が情報を独占して、自らに都合の悪い、たとえば原爆の残虐写真などは公表を禁止したことです。またアメリカは、自国を圧倒的な文明国と思わせるために、すばらしいハリウッド映画は上映したけれども、アメリカ社会の暗い部分にかかわる、たとえば黒人問題などを描いた映画は上映禁止でした。そして、日本軍の残虐性を思わせる映像は、これでもかこれでもかと流し続けました。

ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムというのが、昭和20年12月以降に成立します。戦争に関する罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画、と訳したらいいでしょう。そして、アメリカ占領軍の中にそのための委員会をつくりまして、いかにして日本人に罪の意識を植えつけるかを考え、これを実行した。たとえば、文部省を通じて歴史教育の内容にまで手を入れ、従来の日本史の教育はいったん禁止して、新たにアメリカが与えた歴史観で教えるようにした。要するに、徹底的な改造教育が行われたのです。

何度も言いますけれども、戦闘が終わっても、戦争は継続していたのです。戦勝国はそのことのもつ意味をよく知っていましたので、この“戦後の戦争”を続けていたといってよいのですが、日本は迂闊にもそのことを忘れてしまった。

そして、自分の戦った戦争と、朝鮮戦争やベトナム戦争、湾岸戦争など世の中にある一般の戦争とを混同して、いっしょくたにして議論するようになり、それとともに自分の歴史を、他人の歴史と取り違えるようになってしまったのです。こうして、戦後における戦争に敗れたことが、まさにこの国の敗戦の本当の意味ではないでしょうか。
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