電脳筆写『 心超臨界 』

誠実な心が誠実な行動を生む
( ブリガム・ヤング )

不都合な真実 《 デジタル全体主義——クライブ・ハミルトン 》

2024-06-19 | 05-真相・背景・経緯
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■超拡散記事『榎本武揚建立「小樽龍宮神社」にて執り行う「土方歳三慰霊祭」と「特別御朱印」の告知』
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深圳市では未来世界のヒントとなる出来事が起きた。ある市民が赤信号を無視して道路を横断すると、道を渡り切るまでに大きなスクリーンに彼女の顔が映し出され、警察からの警告が鳴り響いたのだ。彼女の違反行為はどこかのコンピュータに、彼女の他の違反行為の記録と共に保存される。監視カメラが1億7900万台あると言われ、さらにその数が増え続けている国では、どこでも人の顔を追跡できるような大規模な監視システムの誕生の予兆がある。


◆デジタル全体主義――クライブ・ハミルトン

『目に見えぬ侵略』
( クライブ・ハミルトン、飛鳥新社 (2020/5/29)、p339 )

北京のケンタッキー・フライド・チキンの店には、顔認証で客の好みの注文を提案してくる機械が置いてある。KFCの広報担当者によれば「このAI技術を使ったシステムは、客の推測される年齢や表情から、メニューの中のおすすめ商品を提案している」という。世界中の企業はわれわれの購入履歴を電子的に記録しているが、KFCはいまや客の顔まで記憶しているのだ。その機械は次回の来店時に、われわれを記憶していることになる。プライバシーについて尋ねると、ある顧客は「中国ではそもそもプライバシーなんてないですから」と答えてくれた。

このKFCの機械は目新しいアイテムのように聞こえるかもしれないが、実際のところ、中国の国営・民間企業はジョージ・オーウェルも真っ青になるほどの国家監視・社会統制システムを構築するため、顔認証技術やビッグデータ、そして人工知能などの分野に、莫大な投資を行っている。深圳市では未来世界のヒントとなる出来事が起きた。ある市民が赤信号を無視して道路を横断すると、道を渡り切るまでに大きなスクリーンに彼女の顔が映し出され、警察からの警告が鳴り響いたのだ。彼女の違反行為はどこかのコンピュータに、彼女の他の違反行為の記録と共に保存される。監視カメラが1億7900万台あると言われ、さらにその数が増え続けている国では、どこでも人の顔を追跡できるような大規模な監視システムの誕生の予兆がある。

信号無視の道路横断は、一つの軽犯罪として中国全土に広まっている「社会信用システム」に記憶され、ある専門家は「テクノロジーを市民の行動の統制と融合させた、現代のあらゆる政府にとって最も野心的な試み」だと説明している。政府の担当各局は、良い行動をとった国民にはスコアを加え、家賃を滞納したり、SNSに政府が好まないコメントを投稿するなど「反社会的な行動」をとれば減点している。信用スコアのシステムの中で、良い振る舞いを行えば昇進の速度が上がることになる。英エコノミスト誌は北京政府の職員の言葉として、現在広まっている社会信用システムは2020年までに「信用の高い人間はどこへでも自由に行き来できるようにすると同時に、信用の低い人間にはどこに行くにも制限を設けることが可能になる」という証言を載せている。こうすることによって汚職の防止や当然ながら犯罪活動の追跡が可能になると期待されている。

この野心的な「デジタル全体主義」の新しい世界では、国家への服従に報酬が与えられ、反対の姿勢には処罰が与えられる。中国には国民の思想や行動を監視する莫大なインフラがあるのだが、その偏執的な一党独裁体制はさらに精緻化された、非常に効果的な政治監視体制を整えようとしている。公務員の汚職を暴くことで有名なジャーナリストで、ブロガーである劉虎(リュウ・フー)(Liu Hu、新聞「新快報」記者)は、「虚偽の情報を拡散した」という嫌疑で逮捕され、裁判所で有罪となり、罰金を支払わさている。

彼はブラックリストに入れられたために、航空券や不動産、そして特定の列車に乗るためのチケットを購入できなくなった。このシステムでは控訴が不可能であり、ブラックリストにはいまや700万人の名前が掲載されているという。これには2歳の時に掲載されてしまった少女が含まれているのだが、その理由は彼女が両親から受け継いだ借金を抱えているからだ。裁判所は彼女の父親が妻を殺したために、父に莫大な罰金を課した。彼はその後に処刑されたが、その娘は罰金を受け継ぐことになった。

いくつかの都市では、ブラックリストに載っている人物の電話の呼び出し音が当局によって変えられており、電話をかけた人は信用のない人間に連絡を取ろうとしていることを警告される。

社会信用システムには、総合的なデータ収集とその保存、分析、そしてその検索――これこそがビッグデータ研究の最大の目的だ――を行う巨大なシステムが必要となる。ビッグデータとは「極めて大規模なデータのまとまりであり、とりわけ人間の行動やその交わりに関するいくつかのパターンやトレンドや関連性を明らかにするため、計算的に分析されるもの」である。社会信用システムが中国全土で展開されるまでには、まだかなりの努力を必要とする。それでも北京は習近平国家主席の支援の下で推進する覚悟を決めている。

中国は、ある人物がテロ活動を行う可能性があるかどうかを予測するため、雇用経歴や銀行口座歴、消費習慣、友人、そして監視カメラによって記録された動きなどのデータを使うシステムを試験運用している。このような「犯罪予知」認識ソフトウェアが、中国共産党の支配とは別の体制を希求するような人々に対して使われているのは、ほぼ確実だ。

中国電子科技集団(China Electronic Technology Group Corporation)によって進められている「スマートシティ」計画、これこそ社会信用システムの最前線である。中国電子科技集団は情報・通信システムを専門とした中国トップの軍事研究機関の一つである。ここにある総合ビッグデータセンターは将来的に都市の「近代化を支え」たり、サイバー空間の安全性を高め、サイバー空間のセキュリティや国防能力を強化すると豪語している。都市に運用指揮中枢、もしくは「脳」をつくることによって、スマートシティ計画は軍と民のデュアルユーステクノロジーの融合を実現している。そしてこれらは一帯一路計画を通じて、他国へ輸出される計画だ。

第十章でも見たように、オーストラリアの納税者たちは中国電子科技集団とシドニー工科大学との間の合意を通じて、スマートシティ計画推進を財政的に助けている。中国電子科技集団のビッグデータに関する共同研究の他にも、シドニー工科大学は世界最先端の抑圧的な監視システムや社会統制技術の発展に貢献している。それは監視カメラとAIが、近隣住民や家族の一員の代わりに「密告者」となる、いわば電子版シュタージ(旧東ドイツの秘密警察・国家保安省の電子版e-Stasi)である。

社会統制のために顔認証システムを開発したのは中国だけではない。アメリカの警察ではすでにコンピュータ全国民の半分の顔が記録されていると見られている。彼らは犯罪者の確認のために「仮想リスト」へのアクセスができる。アメリカの監視体制はスノーデンの文書で暴かれており、これによってデータの不正使用に関する深刻な不安を巻き起こすことになった。しかし、アメリカでは警察の権力に対するチェックが働いている。法律によっていくらかの保護が受けられるし、データを不正使用した警察官は告訴される。メディアはこのような不正について調査・報告することができる。一般市民もそれらの情報へアクセスする権利を持っている。つまりそこには権力の分散があるのだ。中国にはこのようなものは全く存在しない。しかも2017年に成立した「国家安全法」のおかげで、政府は自らが必要とみなしたあらゆる個人のデータにアクセスできる法的な権利を得た。西洋諸国で国民の権利のために活動している人々は、政府に説明責任を迫っているが、中国で同じことをすると刑務所に入れられるだけだ。
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