電脳筆写『 心超臨界 』

偉大さは偉大であろうと試みることにある
それ以外の道はない
( アルベール・カミュー )

不都合な真実 《 堪忍袋の緒が切れたトヨタ社長――川口マーン恵美 》

2024-06-27 | 05-真相・背景・経緯
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


私の見た限り、氏は腹を括(くく)っており、記者たちに対して「明日の朝刊で、私のことをどんなに悪く書いてくださっても構わない」とまで言っていましたが、なんとテレ東以外の多くのメディアはこれを無視するか、あるいは、吹けば飛ぶような記事に仕立てただけでした。世界中が「2050年カーボンニュートラル」一色に染まっている状況下、極めて勇気あるゲリラ的発言で、コメント欄も絶賛だったにもかかわらず、です。テレ東が取り上げなければ、誰も知らずに終わっていたかもしれないと思うと、日本のメディアの偏向さ加減に憤りを感じます。


◆堪忍袋の緒が切れたトヨタ社長――川口マーン恵美

『無邪気な日本人よ、白昼夢から目覚めよ』
( 川口マーン恵美、ワック (2021/6/20)、p103 )

2020年12月17日、トヨタ自動車の豊田章男社長の堪忍袋の緒が、ついにぶち切れました。ようやく、皆が変だと思っていることを発言する人が現れたのです。

日本自動車工業会主催の記者との懇談会で、会長の豊田氏がスピーチをした模様を、テレ東NEWSがアップすると、このビデオはあっという間に拡散されました。私の感想を述べれば、これを見た途端、これまで持っていた豊田氏のイメージ、何となくアメリカナイズされた軽いイメージは木っ端微塵に吹き飛びました。その真剣な姿には、憂国の士といった悲壮感さえ漂っていました。ご存知ない方には、ぜひ見ていただきたいと思います。

  https://www.youtube.com/watch?v=6zoznlVU0VU

豊田氏の発言内容を、私なりにまとめますと、①「2050年カーボンニュートラル」が日本にとって何を意味するかということを政治家はわかって言っているのか? ②メディアは正しい世論が形成されるよう、正しく報道せよ。③間違った政策は日本経済を破壊する、の3つです。断っておきますが、豊田氏がこの通りの言葉で発言したわけではありません。

私の見た限り、氏は腹を括(くく)っており、記者たちに対して「明日の朝刊で、私のことをどんなに悪く書いてくださっても構わない」とまで言っていましたが、なんとテレ東以外の多くのメディアはこれを無視するか、あるいは、吹けば飛ぶような記事に仕立てただけでした。世界中が「2050年カーボンニュートラル」一色に染まっている状況下、極めて勇気あるゲリラ的発言で、コメント欄も絶賛だったにもかかわらず、です。テレ東が取り上げなければ、誰も知らずに終わっていたかもしれないと思うと、日本のメディアの偏向さ加減に憤りを感じます。

発言の詳細はYouTubeビデオを見ていただくのが一番良いのですが、少しまとめますと、氏はまず、自動車業界もカーボンニュートラル社会の実現のため、全力で貢献したいということを述べています。「自動車メーカーは、これまでも常に新しいことにチャレンジしてきたし、これからもしていく」とまさにその通りだと思います。

しかし、氏はそれにもかかわらず、2030年代にガソリン車の新車販売を無くすことが、いかに困難であるかということを、多くの数字をあげて説明しました。中でも拘(こだ)わっていたのが、「電動化」という言葉の意味です。氏は、「電動自動車」にはEV(電気自動車)だけではなく、ハイブリッドも含まなければならないと主張していました。

拙著『世界「新」経済戦争』(角川書店)でも触れましたが、EUはハイブリッドを「電動車」に含みたくないのです。彼らは目下のところ、ハイブリッドが利便性とうまく合致する最良の技術だということ、そして、そのハイブリッドで圧倒的に強いのがトヨタであることを百も承知です。だからこそ、ハイブリッドをどうしてもEU市場から締め出したい。今でさえ豊田のプリウスは、安心の電動車としてEUで人気です。ドイツの自動車メーカーはEV開発で出遅れているため、とりわけ日本のハイブリッド車を非常に恐れています。前述の潤沢な補助金も、もちろんハイブリッドには付きません。

ドイツのメーカーは、常に日本車をライバル視してきましたが、特にフォルクスワーゲン社のトヨタ敵視が激しい。フォルクスワーゲンが自社の車に不正ソフトを埋め込んだのも、その背景には、どうにかして米国市場からトヨタを追い出したいという焦りもあったと思われます。しかし、フォルクスワーゲンの「クリーン・ディーゼル」はクリーンではなかった。クリーン度が高く、しかも、安心して走行できるのは、今のところハイブリッドだけで、その技術は日本の宝です。

トヨタは紛れもなく日本が世界に誇る大企業で、ここ半世紀の日本経済への貢献は計り知れないものがありました。日本経済を支えているのは、昔も、そして今も自動車産業で、経産省はそれを「自動車の一本足打法」と言いましたが、その一本足の打者がトランプ大統領の関税攻撃で追い詰められても、助けようとはしなかった。しかも、2030年代にガソリン車の新車販売を無くすと言っているわけです。一本足打者を駆逐した日本は、いったいその後、何で食べていくのですか。

豊田氏は言います。乗用車400万台をEVにすれば、特に冬場は電気が10~15%も足りなくなる。その量は原発なら10基、火力なら20基分、また、発電ステーション整備の投資コストが約14~37兆円。なのに、「理解の少ない方々」が、ガソリンはやめろと無闇に主張している、と。400万の乗用車が一気にEVになることはあり得ませんが、しかし、本当にガソリン車が販売されなくなったら、EVを買えない人は車を諦めなければならないのでしょうか。そこで、氏の次の主張となります。

地方の人々のライフラインは軽自動車の存在です。軽は日本の国民車で、地方のモビリティの8割を担っている。しかも、日本の道路は軽自動車しかすれ違えないような細い道が全体の85%を占めている。もし、カーボンニュートラルの美名のもとに軽自動車が庶民の手に届かなくなれば、地方は崩壊する、と。「一般国民の手に届かない車を作るのは、自動車メーカーがやってはいけないこと」という氏の言葉は、まさに氏の心の底から発せられたように、私には感じられました。

そして、実は、ドイツの事情もまるで同じです。ドイツは2022年に原発が止まれば、翌2023年より電気が足りなくなると予測されています。電力の確保が覚束ないままEV化を進めるのは無理な話ですが、そこは議論されません。また、都会を少し離れれば、自動車がライフラインである事情は、日本よりもさらに深刻かもしれません。そのライフラインである自動車を、補助金がついてもまだ高価なEVに変えて、充電ステーションのない土地で使えというのは乱暴な話です。だから、ドイツにおいても、これが通るとはとても思えないのです。

豊田氏曰く、日本の発電は現在8割近くが火力だから、同じ車を作るとき、たとえば8割近く原発で賄っているフランスより、生産工程でのCO2の排出量が多くなる。つまり、このままでは、ラディカルなCO2脱炭素社会となりつつあるEU市場から、日本車はいずれ、ガソリン車もEV車も締め出される運命だと訴えています。

なお、あまり知られていませんが、EVの完成時に行われる充放電の検査では、1台につき平均家庭の1週間分の消費電気がただ無駄になるそうです。これを毎日、何千台分も行わなければならないということを、政治家はわかっているのかというのも、氏の訴えの一つでした。

氏はまた、さまざまな方面においてなされてきたイノベーションにも言及しています。ガソリン車のCO2排出量が2001年の2.3億トンから2018年の1.8億トンと22%も削減していること、また、同じ期間にEV車の走行距離が、リットル当たり13.2kmから22.6kmと71%も向上していることなど。日本のメーカーは、さまざまな分野で幅広く先端技術の開発に関わってきたし、今も関わっているのです。なのに、その一つを禁止するなど、愚の骨頂でしょう。

私が言うまでもないことですが、本来、企業がイノベーションを進める一番の動機は利益の向上であるはずです。そのために、消費者が求めているものを的確に把握する。製品価格を下げるために技術革新がなされ、労働効率を上げるために合理化が進められるのです。

消費者も、単に安いものだけを買うわけではなく、企業に、人権擁護や環境への配慮があると見れば、それを支持します。つまり、人々の理念、企業の社会への貢献、そして企業と消費者の利益が良いバランスで結びついてこそ、イノベーションは、水が高いところから低いところに流れるように自然に進むのです。国連が、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)のESGなど打ち出す前から、日本のイノベーションはそうやって進んできたのではないでしょうか。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 悪魔の思想 《 反日的日本人... | トップ | 不都合な真実 《 自覚なき国... »
最新の画像もっと見る

05-真相・背景・経緯」カテゴリの最新記事