「東京裁判史観(自虐史観)を廃して本来の日本を取り戻そう!」
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する。
( 心が臨界質量を超えるとは → http://tinyurl.com/5kr6f )
( 東京裁判史観とは → https://tinyurl.com/ugz9qah )
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《 いま注目の論点 》
★感染「ゼロ」という北朝鮮の危機――西岡力さん
★「ウイルス 共産党入りしたかも」――矢板明夫さん
★中学教科書検定 偏向記述是正が不十分だ――産経新聞
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武漢ウイルス、特措法で大丈夫か――百地章・国士舘大学特任教授/日本大学名誉教授
【「正論」産経新聞 R02(2020).03.27 】
中国・武漢発の新型ウイルスの感染者と死亡者は世界的規模で拡大しており、欧米各国も相次いで緊急事態宣言を行ったり、厳しい緊急措置を取りだした。
わが国でも、武漢ウイルスを「新型インフルエンザ対策特別措置法」(平成24年)の対象に加えるための改正法が3月13日成立した。ところがこの平成24年特措法の定める「緊急事態宣言」や緊急措置に対しては、警戒する声や私権制限への批判が少なくない。
◆特措法は第一歩にすぎない
特措法によれば、新型ウイルス感染が国内で発生し、全国的かつ急速な蔓延(まんえん)によって国民生活と国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合、首相が「緊急事態宣言」を行い(32条1項)、蔓延防止のため知事は以下のような権限を行使できる。
・みだりに外出しないなど、感染防止に必要な協力を「要請」(45条1項)
・学校、社会福祉施設、興行場等に対し使用制限や停止等の措置を講ずるよう「要請」し(同条2項)、正当な理由がないのに応じない時は措置を講ずるよう「指示」(同条3項)
・臨時の医療施設を開設するため土地、家屋、物資を使用する必要があるときは、「所有者の同意」を得て、土地等を使用(49条1項)。正当な理由がなく同意が得られない時は、同意なしに利用(同条2項)
・緊急事態措置の実施に必要な医薬品、食品などの物資で、販売、輸送業者等が取り扱うものについて、その所有者に「売渡し」を「要請」(55条1項)。正当な理由がないのに要請に応じないときは収用(同条2項)
・必要物資の収用のための立ち入りや検査(72条)
・緊急の必要があるときは、それらの物資の生産、販売、輸送業者らに保管を命じ(55条3項)命令に従わず物資を隠匿などした者に6月以下の懲役または30万円以下の罰金(76条)
・国会が集会できない時は、内閣が金銭債務の支払い延期等のための政令を制定(58条1項)
◆万一爆発的感染が生じたら
私権(財産権などの私法上の権利)の制限に当たる緊急措置はこの通りだ。つまり、大部分が「命令」ではなく「要請」や「指示」にとどまり、強制力はない。また必要物資の保管命令に従わない場合の「罰則」も、物資を隠匿したりした場合に限られている。
「緊急事態宣言」は国民に警戒を呼び掛けると共に、国が責任をもって国民の生命や健康を守るとの決意表明ともいえよう。しかも緊急措置を行うのは首相ではなく知事である。にもかかわらず、国民の命と健康を守るための一時的な「私権制限」さえ危険視し、3月14日の安倍晋三首相の記者会見では、宣言によって私権が制限され、やがて「安倍独裁」に繋(つな)がらないかなどという質問まで出た。
幸い、政府による大規模イベントの自粛や全国の小中高校の一斉休校要請などによって、現在、わが国では感染の拡大は抑制されている。しかし、専門家会議は予断を許さないという。
感染の爆発的な拡大や医療崩壊は世界的に発生しており、中国と違って人権の手厚く保障されている欧米各国でさえ、国民の外出や移動の禁止、商店の閉鎖などを次々と行い始めた。
フランスでは買い物などを除き全土で国民の外出を禁止し、移動のための通行証まで発行しだした。米国ではトランプ大統領が国家非常事態を宣言し、カリフォルニア州では実質的な外出禁止令が出された。英国も、全国の学校を閉鎖している。中国を超える死者を出したイタリアでも3月10日から国内全域で移動制限を行い、理由なく外出した者に罰金まで科している。また、商業活動も大幅に制限されるようになった。
◆憲法にも緊急事態条項を
危機管理の要諦は、「想定外の事態」にも対処できるようにしておくことであるといいわれる。しかし、武漢ウイルスのパンデミックによる緊急事態は、想定外どころかいわば目の前で起こっている危機であり、いつ日本で爆発的感染が発生するかもわからない。
にもかかわらず、わが国の特措法ではそのような本当の緊急事態に効果的に対処する方法を定めていない。
それゆえ、万一イタリアのように感染の爆発的拡大や医療崩壊が生じたら大変なことになろう。
憲法は、国民のすべての権利・自由が「公共の福祉」によって制限されうることを明記し(12条、13条、22条、29条)、民法も冒頭で「私達は、公共の福祉に適合しなければならない」(1条1項)と明記している。にもかかわらずそのことを忘れ、「私権」を絶対視するかのような言説が目立つ。これでは真の緊急事態において、国が国民の命と健康を守ることはできない。
国会はさらに実効性のある法制度を検討するとともに、憲法の中に法律上の緊急措置を担保するための緊急事態条項を定めるよう、活発な論議を始めるべきだ。
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する。
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《 いま注目の論点 》
★感染「ゼロ」という北朝鮮の危機――西岡力さん
★「ウイルス 共産党入りしたかも」――矢板明夫さん
★中学教科書検定 偏向記述是正が不十分だ――産経新聞
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武漢ウイルス、特措法で大丈夫か――百地章・国士舘大学特任教授/日本大学名誉教授
【「正論」産経新聞 R02(2020).03.27 】
中国・武漢発の新型ウイルスの感染者と死亡者は世界的規模で拡大しており、欧米各国も相次いで緊急事態宣言を行ったり、厳しい緊急措置を取りだした。
わが国でも、武漢ウイルスを「新型インフルエンザ対策特別措置法」(平成24年)の対象に加えるための改正法が3月13日成立した。ところがこの平成24年特措法の定める「緊急事態宣言」や緊急措置に対しては、警戒する声や私権制限への批判が少なくない。
◆特措法は第一歩にすぎない
特措法によれば、新型ウイルス感染が国内で発生し、全国的かつ急速な蔓延(まんえん)によって国民生活と国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合、首相が「緊急事態宣言」を行い(32条1項)、蔓延防止のため知事は以下のような権限を行使できる。
・みだりに外出しないなど、感染防止に必要な協力を「要請」(45条1項)
・学校、社会福祉施設、興行場等に対し使用制限や停止等の措置を講ずるよう「要請」し(同条2項)、正当な理由がないのに応じない時は措置を講ずるよう「指示」(同条3項)
・臨時の医療施設を開設するため土地、家屋、物資を使用する必要があるときは、「所有者の同意」を得て、土地等を使用(49条1項)。正当な理由がなく同意が得られない時は、同意なしに利用(同条2項)
・緊急事態措置の実施に必要な医薬品、食品などの物資で、販売、輸送業者等が取り扱うものについて、その所有者に「売渡し」を「要請」(55条1項)。正当な理由がないのに要請に応じないときは収用(同条2項)
・必要物資の収用のための立ち入りや検査(72条)
・緊急の必要があるときは、それらの物資の生産、販売、輸送業者らに保管を命じ(55条3項)命令に従わず物資を隠匿などした者に6月以下の懲役または30万円以下の罰金(76条)
・国会が集会できない時は、内閣が金銭債務の支払い延期等のための政令を制定(58条1項)
◆万一爆発的感染が生じたら
私権(財産権などの私法上の権利)の制限に当たる緊急措置はこの通りだ。つまり、大部分が「命令」ではなく「要請」や「指示」にとどまり、強制力はない。また必要物資の保管命令に従わない場合の「罰則」も、物資を隠匿したりした場合に限られている。
「緊急事態宣言」は国民に警戒を呼び掛けると共に、国が責任をもって国民の生命や健康を守るとの決意表明ともいえよう。しかも緊急措置を行うのは首相ではなく知事である。にもかかわらず、国民の命と健康を守るための一時的な「私権制限」さえ危険視し、3月14日の安倍晋三首相の記者会見では、宣言によって私権が制限され、やがて「安倍独裁」に繋(つな)がらないかなどという質問まで出た。
幸い、政府による大規模イベントの自粛や全国の小中高校の一斉休校要請などによって、現在、わが国では感染の拡大は抑制されている。しかし、専門家会議は予断を許さないという。
感染の爆発的な拡大や医療崩壊は世界的に発生しており、中国と違って人権の手厚く保障されている欧米各国でさえ、国民の外出や移動の禁止、商店の閉鎖などを次々と行い始めた。
フランスでは買い物などを除き全土で国民の外出を禁止し、移動のための通行証まで発行しだした。米国ではトランプ大統領が国家非常事態を宣言し、カリフォルニア州では実質的な外出禁止令が出された。英国も、全国の学校を閉鎖している。中国を超える死者を出したイタリアでも3月10日から国内全域で移動制限を行い、理由なく外出した者に罰金まで科している。また、商業活動も大幅に制限されるようになった。
◆憲法にも緊急事態条項を
危機管理の要諦は、「想定外の事態」にも対処できるようにしておくことであるといいわれる。しかし、武漢ウイルスのパンデミックによる緊急事態は、想定外どころかいわば目の前で起こっている危機であり、いつ日本で爆発的感染が発生するかもわからない。
にもかかわらず、わが国の特措法ではそのような本当の緊急事態に効果的に対処する方法を定めていない。
それゆえ、万一イタリアのように感染の爆発的拡大や医療崩壊が生じたら大変なことになろう。
憲法は、国民のすべての権利・自由が「公共の福祉」によって制限されうることを明記し(12条、13条、22条、29条)、民法も冒頭で「私達は、公共の福祉に適合しなければならない」(1条1項)と明記している。にもかかわらずそのことを忘れ、「私権」を絶対視するかのような言説が目立つ。これでは真の緊急事態において、国が国民の命と健康を守ることはできない。
国会はさらに実効性のある法制度を検討するとともに、憲法の中に法律上の緊急措置を担保するための緊急事態条項を定めるよう、活発な論議を始めるべきだ。