電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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◆値段の大小よりも、不注意そのものに焦点を置いて言い聞かせるべきでしょう
『人生を創る言葉』
( 渡部昇一、致知出版社 (2005/2/3)、p186 )
第5章 教育の長所――眠れる才能を引き出す
[ 大塚琢造(たくぞう) ]
明治時代の博覧会審査官。佐賀県出身。フランス留学後、明治10
年のパリ万国博覧会に出張。その後、各国の博覧会で審査官を務め
た(1850~1914)
銀座にある資生堂パーラーは、かつて「資生堂ソーダ・ファウンテン」という名だった。その場所には以前、「三組屋」という高級料理店があった。主人は大塚琢造という人である。この人は、肥前佐賀藩の致遠館でフルベッキから英語を学び、西園寺公爵よりも少し早くフランスへ留学した秀才であり、三井物産の前身の起立工商という会社のパリ支店長を務めた人物であった。
この店には、フランスから直輸入した上等なふどう酒や、チェコから輸入した素晴らしいカットグラスのワイン・セットなどがあった。何しろそのセットは一組百円以上の品で、今でいえば大学出の給料の一か月分以上の値段がした。一個でも欠ければ売り物にならないので、店員たちはその扱いに細心の注意を払っていた。
しかし、棚卸(たなおろ)しをしているときに、小僧の一人がその中の一つを取り落として、粉微塵(こなみじん)に壊してしまった。大番頭は思わず声を荒げて、
「馬鹿! こんな高価なものを壊してしまってどうする気だ! 揃っているものが一つでも欠けたら、何百円もするものが一文の価値もなくなるではないか!」
と罵(ののし)った。
ちょうどそのとき店に入ってきた大塚氏は、黙ってその傍を通り抜けて、二階の事務所に行ってしまった。そして、しばらくして二階から屋内電話で番頭を呼んだ。番頭は高価な商品を壊してしまったことを怒られるのだろうと覚悟して、おそるおそる二階へ行くと、大塚氏は静かな口ぶりでいった。
「カットグラスを壊してしまったようですね」
「はい、とんだことをいたしまして申し訳ありません。気をつけてやってくれとやかましく申し付けておったのですが、不注意で棚から落としたのです。みっちりと小言をいってやりましたが、どうにもお詫びのいたしようもありません」
番頭はまだ怒りが収まらない様子だった。
すると大塚氏は番頭にこういった。
「番頭さん、あなたが店のためを思って小僧を叱ってくださったのは有り難いことです。しかし、あなたのさっきの怒り方を聞いていると、どうも不注意をたしなめているのではなく、高価な品を破損したという点を厳しく怒っているように聞こえました。ああいう場合、値段の大小よりも、不注意そのものに焦点を置いて言い聞かせるべきではないでしょうか。それが人を使う者の心得るべきことだと気がつきましたので、ちょっとお話ししたのです」
大塚氏はただそれだけを番頭に告げた。
大切なのは壊した商品の価値の大小ではない。叱るのなら不注意であることそのこと自体を注意せよ。それが人を使う場合の心得だ、と大塚氏はいうのである。さすがに銀座に店を構えるぐらいの大店主だけあて、物の筋道がよくわかった立派な言葉である。
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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◆値段の大小よりも、不注意そのものに焦点を置いて言い聞かせるべきでしょう
『人生を創る言葉』
( 渡部昇一、致知出版社 (2005/2/3)、p186 )
第5章 教育の長所――眠れる才能を引き出す
[ 大塚琢造(たくぞう) ]
明治時代の博覧会審査官。佐賀県出身。フランス留学後、明治10
年のパリ万国博覧会に出張。その後、各国の博覧会で審査官を務め
た(1850~1914)
銀座にある資生堂パーラーは、かつて「資生堂ソーダ・ファウンテン」という名だった。その場所には以前、「三組屋」という高級料理店があった。主人は大塚琢造という人である。この人は、肥前佐賀藩の致遠館でフルベッキから英語を学び、西園寺公爵よりも少し早くフランスへ留学した秀才であり、三井物産の前身の起立工商という会社のパリ支店長を務めた人物であった。
この店には、フランスから直輸入した上等なふどう酒や、チェコから輸入した素晴らしいカットグラスのワイン・セットなどがあった。何しろそのセットは一組百円以上の品で、今でいえば大学出の給料の一か月分以上の値段がした。一個でも欠ければ売り物にならないので、店員たちはその扱いに細心の注意を払っていた。
しかし、棚卸(たなおろ)しをしているときに、小僧の一人がその中の一つを取り落として、粉微塵(こなみじん)に壊してしまった。大番頭は思わず声を荒げて、
「馬鹿! こんな高価なものを壊してしまってどうする気だ! 揃っているものが一つでも欠けたら、何百円もするものが一文の価値もなくなるではないか!」
と罵(ののし)った。
ちょうどそのとき店に入ってきた大塚氏は、黙ってその傍を通り抜けて、二階の事務所に行ってしまった。そして、しばらくして二階から屋内電話で番頭を呼んだ。番頭は高価な商品を壊してしまったことを怒られるのだろうと覚悟して、おそるおそる二階へ行くと、大塚氏は静かな口ぶりでいった。
「カットグラスを壊してしまったようですね」
「はい、とんだことをいたしまして申し訳ありません。気をつけてやってくれとやかましく申し付けておったのですが、不注意で棚から落としたのです。みっちりと小言をいってやりましたが、どうにもお詫びのいたしようもありません」
番頭はまだ怒りが収まらない様子だった。
すると大塚氏は番頭にこういった。
「番頭さん、あなたが店のためを思って小僧を叱ってくださったのは有り難いことです。しかし、あなたのさっきの怒り方を聞いていると、どうも不注意をたしなめているのではなく、高価な品を破損したという点を厳しく怒っているように聞こえました。ああいう場合、値段の大小よりも、不注意そのものに焦点を置いて言い聞かせるべきではないでしょうか。それが人を使う者の心得るべきことだと気がつきましたので、ちょっとお話ししたのです」
大塚氏はただそれだけを番頭に告げた。
大切なのは壊した商品の価値の大小ではない。叱るのなら不注意であることそのこと自体を注意せよ。それが人を使う場合の心得だ、と大塚氏はいうのである。さすがに銀座に店を構えるぐらいの大店主だけあて、物の筋道がよくわかった立派な言葉である。