電脳筆写『 心超臨界 』

自分を励ます最良の方法、それは人を励ますこと
( マーク・トウェイン )

◆反日感情の源は「恐怖」と「貪欲」

2024-08-11 | 05-真相・背景・経緯
§2-1 日本人移民を受け入れられなかったアメリカ
◆反日感情の源は「恐怖」と「貪欲」


ナチスの強制収容所はコンセントレイション・キャンプ(concentration camp)と言うが、日系アメリカ人の収容所はリロケイション・キャンプ(relocation camp)と言う。直訳すれば、「再配置キャンプ」であるが、何のことはない、日系移民が迫害の中で営々として作り上げてきた豊かな農地を、根こそぎ没収する手段にほかならなかった。


『日本史から見た日本人 昭和編』
( 渡部昇一、祥伝社 (2000/02)、p170 )
2章 世界史から見た「大東亜(だいとうあ)戦争」
――三つの外的条件が、日本の暴走を決定づけた
(1) 反米感情の“引き金”は何か

では何がアメリカ人をして、そんなに日本移民を憎ませたのであろうか。それは第一に恐怖心であり、第二に貪欲(どんよく)である。

恐怖とは前に述べたように、近代化した有色人の存在は、アメリカの白人優位体制を根本から危くするものであるという予感、あるいは実感から生じたものであろう。

だから交渉中の埴原(はにはら)大使が、「帰化不能外国人条項」はおたがいに友好的、互恵的な両国の関係に「重大な結果(grave consequences)」を及ぼすおそれがある、という趣旨の手紙を書いた時、この「重大な結果」という表現は故意に政治化させられてしまった。すなわち、この表現は今日の外交用語では戦争を意味するとこじつけられ、さらにこれは「ベールをかぶせた脅迫(veiled threat)」だと騒がれてしまったのである。

これはこじつけである。というのはヒューズ国務長官がこの手紙を受け取った時は、脅迫を感じたどころか、喜んで返事を書いているからである。しかし新聞がこの表現について騒ぎ出すと、議会に共鳴振動を惹き起こして、「これは脅迫だ」ということになった。これは当時のアメリカの議員はそれぞれ日本に対し、心の深い所で脅威を感じていたからにほかならない。

また貪欲(cupidity)が排日運動の大きな動機だったことは、十数年前からウィリアム・ピーターソンのような研究者が認めるようになってきた。「排日が実益をも兼ねる」という事態は、太平洋戦争が勃発するとすぐに作られた「強制収容所」で頂点に達することになる。

ナチスの強制収容所はコンセントレイション・キャンプ(concentration camp)と言うが、日系アメリカ人の収容所はリロケイション・キャンプ(relocation camp)と言う。直訳すれば、「再配置キャンプ」であるが、何のことはない、日系移民が迫害の中で営々として作り上げてきた豊かな農地を、根こそぎ没収する手段にほかならなかった。

日露戦争前後から35年も続いた排日の歴史は、リロケイション・キャンプで完結するまでの道程だったといえるであろう。
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