電脳筆写『 心超臨界 』

神は二つの棲み家をもつ;
ひとつは天国に、もうひとつは素直で感謝に満ちた心に
( アイザック・ウォルトン )

日本史 古代編 《 世界最古の百科辞書『秘府略』――渡部昇一 》

2024-05-19 | 04-歴史・文化・社会
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平安時代の書物ということになると、どうしても東宮学士(とうぐうがくし)であった滋野貞主(しげののさだぬし)が淳和(じゅんな)天皇(第五十三代)の命を受けて作った類書(るいしょ)(一種の百科辞書)である『秘府略(ひふりゃく)』1000巻を採りあげなければならない。これは天長(てんちょう)8年(831)に完成して、現在、そのうち2巻が徳富蘇峰の文庫(巻864)と前田家の文庫(巻868)に現存しているが、これは世界で最古の百科辞書であることに間違いがない。


『日本史から見た日本人 古代編』
( 渡部昇一、祥伝社 (2000/04)、p262 )
3章 平安朝――女性文化の確立
――日本における「成熟社会」の典型は、ここにある
(2) 遣唐使廃止――内的成熟の涵養(かんよう)

◆世界最古の百科辞書『秘府略(ひふりゃく)』

近ごろは漢方ブームであるらしいので、それに関することを一筆付記しておこう。

シナ大陸においては古代より医学が発達し、特に房内術(ぼうないじゅつ)、つまりセックスのことも、仙人の伝説と絡んで、はなはだしく発達し、隋や唐の時代はそのピークであったことが知られている。しかし、このころの房内術の本は絶滅して一冊も伝わっていない。

しかし幸いに、日本から奈良・平安に留学生で渡った者や、帰化人によって、多くの医書が伝えられ、医家の間で書写されていた。そうしているうち、こういろいろ医書が雑多にあるのでは不便であるというので、医術を以て朝廷に仕えていた丹波康頼(たんばのやすより)が、これらを系統的にまとめて『医心方(いしんぼう)』30巻として円融(えんゆう)天皇(第六十四代)に奉呈した。永観(えいかん)2年(984)のことである。

これは、隋・唐自体のシナの医書約200部を引用したもので、まさに世界的な文献である。面白いことには、幕末に近い安政7年(1860)に、蘭方(らんぽう)医に対抗しようとする漢方医たちが、力を合わせてこれを刊行した。これは明治37年(1904)に、日本医学叢書の中に入れられて出版されたが、買い手の多くは、当時の清国からの留学生だったと言われる。そして戦後の昭和30年に、今の北京政府の下で、北京人民衛生出版社が安政版を上下2巻に分けて、そのリプリント版を出した。

これなども雅楽や、空海の修辞学と同じく、日本によってのみ保存されえた古代大陸文化である。

平安時代の書物ということになると、どうしても東宮学士(とうぐうがくし)であった滋野貞主(しげののさだぬし)が淳和(じゅんな)天皇(第五十三代)の命を受けて作った類書(るいしょ)(一種の百科辞書)である『秘府略(ひふりゃく)』1000巻を採りあげなければならない。

これは天長(てんちょう)8年(831)に完成して、現在、そのうち2巻が徳富蘇峰の文庫(巻864)と前田家の文庫(巻868)に現存しているが、これは世界で最古の百科辞書であることに間違いがない。

シナでは宋の太宗(たいそう)のときに『太平御覧(たいへいぎょらん)』1000巻を作ったが、これは日本のものと同形式で、しかも約150年遅れており、本当に全巻が完成したのかどうかについては、すでに宋の時代より論議のあるところである。
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